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Posted by naturum at

2010年02月13日

開発許可以前の状況(両備社員)3名の陳述書

2010年1月19日(火)16時00分から岡山地方裁判所353号ラウンドテーブル法廷で住民訴訟第一次(3世帯)第15回口頭弁論準備手続きが行われました。

裁判前日(1月18日)に、被告(両備)から提出された準備書面4 (現在の土壌汚染状況は被告が宅地開発した当時、予見できない) に添付された被告側証人(両備社員)3名の陳述書(乙第24号証・25号証・27号証)、を掲載します。


次に、両備社員の陳述書(乙第25号証)です。


陳述書

平成22年1月18日
住所 岡山市中区桑野×××―×
氏名   ○ ○ ○ ○     印

第1 身上・経歴

1 私は、本件訴訟の被告である両備ホールディングス株式会社の従業員で、現在は資産管理部の仕事をしているものです。

2 私は、本件不動産の開発許可・宅地造成について、被告(当時は両備バス株式会社。以下「会社」と言います)側の担当者をしていましたので(当時の役職は企画開発課係長でした)当時のことについてお話しいたします。

第2 開発許可以前の状況について

1 私は、小鳥が丘団地の北にある小鳥の森団地の販売も担当していました。その関係で、小鳥の森団地にはほぼ毎日と言っていいくらい通っていたのですが、分譲が相当程度進んだ段階で、住民の方から悪臭についての苦情が出るようになりました。
 特に夏場になると、南から風が吹いてきて、しかも暑さからか住民の方は窓を開けているので、ひどい臭いがしました。私も現場にいたのですが、夏は旭油化の工場から北に約200メートル離れた現場販売所にいても臭いがするような状態でした。
 ただ、悪臭についての問題は昭和50年頃からあったのですが、小鳥の森団地は順調に分譲され、昭和56年12月までにはその約84%にあたる219区画が販売済みでした。

2 もちろん旭油化の工場にも近づいてみたのですが、特に工場の周りは臭いがきついというわけでもなく、全体的に同じような臭いがするといった状態で、原因についてはわかりませんでした。

3 もちろんこういった問題については行政も気づいており、昭和51〜52年頃には岡山市の公害課だか岡山県の保険所だったかの依頼した環境保全事業団の測定車が来ていろいろなデータを取っていたようです。
 あまり詳しい話は覚えていませんが、メチルメルカプタン、硫化水素、アンモニアが基準値をオーバーしていたという話を誰かから口頭で聞いたように記憶しています。
 もっとも、そうした問題が片付く前に私は小鳥の森団地からは離れて別の現場に向かいましたので、その後の経過についてはよく知りません。結局会社がその土地を買い取り、臭気対策工事をしたと聞きました。


第3 開発許可について
1 実際に第1期の開発許可が下りる半年前くらい(昭和62年4月頃)に、当時の常務だった○○○○氏から、本件土地について命令を受けました。
 そろそろその土地で問題になっていた臭いも落ち着いているだろうから、本件土地を住宅団地に変えようと思っている。そのために必要な開発許可を取れ、ということでした。

2 それで私もあの悪臭がどうなったのか気になり、現場に行ってみました。私が知っていたときとはずいぶん異なり、悪臭はほぼ全くといっていいほどしませんでした。
 その後も様々な用事で現場に行きましたが、せいぜい風の無いどんよりした天気の日にドブ川のような臭いがする程度でした。なお、臭い以外の問題があると言う事を会社から聞かされたことはありません。

3 現地の状況でしたが、土壌を撹拌する作業を行った後というような状態でした。当時の地面の様子や色について言葉で説明するのはなかなか難しいのですが、ちょうど畑の土が乾いて、白色や灰色っぽくなったような状態だったというのがわかりやすいかと思います。
 今回、旭油化工場があった時の写真(甲第10号証)や、現在土を掘り返した時の写真(甲第31号証)を見せてもらいましたが、この様な黒い土は当時全く見ていません。
 私が当時現地で見たのは真砂土の色(学校のグラウンドのような薄い茶色)とも違う、畑の土が乾いたような白っぽいというか灰色っぽい色の土が全面に広がっていた光景でした。
 現地は更地になっており、建物はもちろんのことドラム缶やコンクリートなどもありませんでした。部分部分を見ればでこぼこしていましたが、全体としてみると平坦地だったように思います。

4 その後、開発許可申請に必要な手続きを行っていきました。手続自体は山崎測量設計というところにお願いしています。行政側は確か第1期の開発の時は岡山県の建築課が担当していたかと思います。
 もちろん岡山県も旭油化のことについては十分知っていたと思いますが、開発許可の際に臭いのことについて何か条件を付けられたり、あるいは注意喚起されたりするようなことは一切無く、問題なく開発許可がおりました。

http://geocities.yahoo.co.jp/gl/kotorigaoka/view/20100213





次回に続く





次回に続く
http://blogs.yahoo.co.jp/kotorigaoka/50176030.html  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 14:55Comments(1)小鳥が丘団地土壌汚染

2010年02月13日

両備の予見可能性に添付された両備社員の陳述書

 2010年1月19日(火)16時00分から岡山地方裁判所353号ラウンドテーブル法廷で住民訴訟第一次(3世帯)第15回口頭弁論準備手続きが行われました。

 裁判前日(1月18日)に、被告(両備)から提出された準備書面4(予見可能性の主張)に添付された被告側証人(両備社員)3名の陳述書(乙第24号証・25号証・27号証)、を掲載します。

両備社員の陳述書(乙第24号証)です。

陳述書

平成22年1月18日
住所   岡山市兼基×××―×
氏名    ○ ○ ○ ○  印

第1 身上・経歴

1 私は、本件訴訟の被告である両備ホールディングス株式会社の従業員で、現在は仲介事業部次長をしているものです。

2 私は、本件不動産を被告(当時は両備バス株式会社。以下「会社」と言います)が即決和解で取得した当時、その件についての会社側の担当をしており(当時は平の従業員でした)、またその後の悪臭対策工をどうするかといった問題についても担当しておりましたので、当時のことについてお話しいたします。

第2 本件土地取得の経緯
1 当時会社は、本件不動産の北側にある分譲地(小鳥の森団地)の分譲を行っていたのですが、分譲地を購入されたお客様から、南の方から悪臭がするので、何とかしてほしいという申し入れが、分譲業者である会社や、行政の方にたびたび寄せられていたそうです。ただ、悪臭についての問題は昭和50年頃からあったのですが、小鳥の森団地は順調に分譲され、昭和56年12月までにはその約84%にあたる219区画が販売済みでした。

2 すぐに原因は、南にある旭油化工業株式会社(以下「旭油化」と言います)の運営する工場からの悪臭が原因であると判明しました。よその会社のことですから会社としても対応に苦慮していたようですが、最終的には旭油化自体に操業を止めてもらうしかないとの結論にいたり、本件不動産自体を買い取ることになりました。
 ですから本件不動産は、会社が宅地造成なり転売なりしてもうけようと買ったわけではなく、あくまでお客様、もっと広く言えば地方の方に奉仕させていただくつもりで買わせていただいたのです。


(第2 本件土地取得の経緯)

3 しかし旭油化との間で買収金額はなかなか合意に至らず、最終的には即決和解という手続を通すことになりました。その際に私が、代理人である杉本弁護士との間に立つ会社側の窓口として任命されたのです。とはいえ、細かい条件や条項案については杉本弁護士に相手方との間で詰めていただいています。

4 こちらが旭油化に対してお願いしたのは、悪臭を除去すると言うことです。当時旭油化の工場が、高い煙突の先から黒い煙を吐き出し、それが悪臭となっていることは公知の事実でした。
 私も会社も、旭油化は油かすを原料として石けん類を作っている会社であり、臭いの元があるとすれば、製造過程か、原料・廃棄物くらいしかないと思っていましたが、具体的にどの過程かは知りませんでした。とにかく操業を止めて、悪臭の元となるものをきちんと廃棄してほしいということを旭油化に申し入れたのです。
 即決和解の条項には、6項に「相手方ら(旭油化)は、申立人(会社)に対して、本件と地上のすべての建物及び地下工作物を収去し、本件土地上のコンクリート、廃白土及び、アスファルト部分を除去し、本件土地上の油脂付着物を除去して本件土地を昭和57年12月31日までに引き渡す。」という条項がありますが、当方は工場内で具体的にどのような作業が行われていたかすら知らなかったわけですから、「廃白土」という言葉自体聞いたことはありませんでした。

 ですからこの条項は、おそらく相手方から「これこれのものを取り除きます」という話があって決まったものだと思います。なお、南古都?環境対策検討委員会の調査では、今回発見されたトリクロロエチレンなどの化学物質は、機械洗浄の溶剤として用いられた可能性が高いとのことですが、当時旭油化が、機械洗浄の溶剤に化学物質を使っているとか、ましてや機械洗浄の溶剤を適切に処理することなく垂れ流しているなどと言う話は全く出たことはありませんし、そのような噂さえありませんでしたから、私自身も全く聞いたことはありませんでした。


第3 本件不動産取得後の経緯

1 結局即決和解は成立し、その中で、
?会社は旭油化に、不動産の売買代金と建物等撤去費用として2億3146万円を支払うこととする。

?旭油化は、本件土地上のすべての建物及び地下工作物を収去し、本件土地上のコンクリート、廃白土及び、アスファルト部分を除去し、本件土地上の油脂付着物を除去して本件土地を昭和57年12月31日までに引き渡す、

?会社は旭油化に、?のうち8000万円を昭和57年7月31日までに、残金を?の終了後支払う、ということが決まりました。ちなみに?の「コンクリート」というのは地面を覆っているようなものではなく、「土地上にあるコンクリート製の構造物」を指すと聞いています。

2 それで一部金を支払い、残金を支払う前のタイミングで、一度相手がきちんと即決和解通りの工事をしているか確かめる為に現地に行きました。
 私が現地に行ったのはこの時が初めてです。残金を支払う前のタイミングだったことは確かなのですが、具体的にどの程度まで工事が進んだ段階だったかは覚えていません。土地上に旭油化の工場がまだあったのか、それとも解体されていたのかも、今となっては覚えていません。ただ、甲第10号証の1,2に写っている青い建物については、見た記憶はありません。

3 私が現地に着いた途端、タンパク質が腐ったような腐臭が漂ってきました。私は、この臭いはかなり強く、これをどうにかしないと、どうにもこの土地を利用することはできないと思いました。

4 ただ、先ほど当時の工場の様子を撮影した写真(甲第10号証)や、現在の土地を掘り返した様子を撮影した写真(甲第31号証)を見せていただいたのですが、この様な黒っぽい土とか、黒い水が見えていたかと言われると、そのようなものを見たという記憶はありません。
 もちろん私は現地をくまなく巡ったわけではありませんから、単に気がつかなかっただけという可能性もあります。しかし地面は、概ね普通の色をした土と、白っぽい土に油のような黄色っぽいものが付着したような部分とが入り交じった状態でした。
 黄色っぽい部分も、別に油でべたべたしているような感じではなく、なんとなく色が違うな、という程度のものでした。どの場所に集中していたとか、何かが置かれていた場所が特に黄色くなっていたとかについても記憶がありません。

5 それで私は旭油化に対し、杉本弁護士を通じて、「このままでは到底残金を支払う事は出来ない。きちんとこの臭いをなんとかしてくれなければ、和解のときと話が違っていることになる」ということを伝えてもらいました。
 また杉本弁護士も現地を見た方がいいといわれましたので、後日一緒に現地に行きました。

6 当時は公害であるとか環境基準であるとかについての認識は全く一般的ではなく、私も含め会社は、とにかく苦情が出されていた臭いをなんとかしないといけないと考えていたわけです。
 そして、その臭いの原因というのは、製造過程から出てくる臭いが適切に処理されていない、あるいは製造過程で使用・排出された物質(排煙や廃白土)が悪臭を発しているものと認識していましたから、工場の稼働を停止させ、臭いの発生源になっている物質を除けば、全く問題ないものと考えていたのです。


第4 本件不動産における臭気対策工

1 しかし結局、旭油化の工事は不十分なままに終わりました。
 これについてはまた別の民事訴訟が起こされたのですが、結局会社が別の会社に、土地上にあるコンクリート製の構造物等の除去や臭気を減らすための工事をお願いするということで決着が付きました。
 株式会社東山工務店(以下「東山工務店」と言います)にドラム缶や油分の多い土壌の搬出作業を、株式会社ナップ(以下「ナップ」と言います)に消臭工事を依頼しているはずです(これらの会社も既に倒産していますし、当時の資料も残っていませんので、あくまで記憶です)。

2 東山工務店には、ドラム缶や油分の多い土壌を搬出し、廃棄物として処理してもらいました。この時に会社がお願いしたのは、汚れがひどい土を処分して、分譲地として支障ないようにしてほしいという事で、具体的にどこそこの場所にある土を何?運び出してくれ、等の具体的な指示をしたことはありませんし、また全体の表層から何mの土を削り取ってくれ、と土地全体の処理をお願いしたこともありません。
 もちろん取り残しなどはあるでしょうから、本件土地にあった白色や黄色っぽい油が完全に除去されたとは考えていません。しかし残された油分自体が健康被害など生活に支障がある問題を引き起こすとは私も会社も考えていませんでしたし、建物を建築してここを宅地として利用するに当たっても何ら問題はないと思っていました。

3 その後、ナップが、本件土地に粉末状の石灰(生石灰だったか消石灰だったかは覚えていません)をまいて、重機で撹拌していました。その後土地の表面はキレイにならしてくれていたような気がしますが、他所から真砂土を搬入して覆土したのかどうかについては知りません。
 ちなみに、この石灰をまいて消臭するという方法については、おそらくナップから紹介されたものだと思います。少なくとも会社から出た工事方法ではありません。

4 工事後に私も現場を見に行きましたが、臭い自体が完全に消去されたわけではなく、まだ幾分残っていました。それは臭いが気になって困るというようなものではありませんでしたが、住宅地として販売した場合に、特に臭いに敏感な人であれば、それを理由に購入を断られることも可能性としては考慮していました。
 ただ、既に臭いの原因は取り除かれているわけですから、これから臭いは空気中に放散されて薄れていくと考えていました。

5 そこで、念のため臭いが薄れるまでさらに3年程度本件土地はそのままにして置いていましたが、もちろんその間、臭いが酷くなるなどの変化はありませんでした。
 3年程度経って臭いが薄れたので、この土地を住宅地として販売しても問題ないと判断して、開発許可を取ることになったのです。

6 その後、開発許可がおり、本件土地は宅地として造成されたようですが、開発許可手続以降のことについて私は担当していないので分かりません。
 その後、団地を購入された住民の方から臭い等について苦情が出たという話は、平成16年の水道工事がなされるまで聞いたことがありません。

第5 最後に

1 本件土地は決して安い買い物ではありませんでしたが、悪臭を垂れ流していた旭油化の操業を停止させて悪臭を解消したことで周囲の住民からも感謝され、企業として地域のために奉仕できたものとして自負しています。

2 そしてその後20年以上、なんの問題もなく生活できていたわけです。悪臭がしたとも、健康被害があったとも、土壌汚染が発見されたとも聞いたことはありません。
 これらの問題を住民の方が言い出したのは、すべて平成16年以降のことです。

3 私も会社も、当時できる最善のことをしています。今になって「土の中に大量に油が捨てられていた」とか、「トリクロロエチレンなどの化学物質で汚染されていた」などの問題が出てきているようですが、上で述べたとおり、臭気対策工事を行った当時には、そのようなことを伺わせる事情は何もありませんでした。
 ですから本件訴訟には納得がいかない、というのが正直な気持ちです。

以上
http://blogs.yahoo.co.jp/kotorigaoka/50171373.html

上記内容の適切性を保障するのもではありません。各自の判断願います。  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 14:41Comments(1)小鳥が丘団地土壌汚染

2010年02月06日

小鳥が丘の被告の故意過失、当時の認識

平成19年(ワ)第1352号 損害賠償請求事件

原告 藤原 康 外2名

被告 両備ホールディングス株式会社

次回期日  平成22年1月19日

準備書面4

平成22年1月18日

岡山地方裁判所第1民事部合議係 御中

                       被告訴訟代理人

         弁護士 菊池捷男 弁護士 首藤和司 弁護士 財津唯行 弁護士 安達祐一

= 第1 被告の故意過失について =
1 これまで原告らが行っている、不法行為に基づく損害賠償請求における要件事実の一つである「故意・過失」についての主張は、概要以下のとおりである。

(1)被告は、旭油化が汚染し続けた土壌が有害物質で汚染されている事を十分に認識して(もしくは認識し得た状態で)、旭油化の敷地を買収した(訴状第2の5一、平成19年12月10日付原告ら準備書面第2の1)。

(2)それにもかかわらず、被告は抜本的な無害化工事を実施しなければ到底造成地としてはならない本件土地につき、ごく一部の土壌を搬出除去し、表層土に石灰を混入させて中和凝固させただけの簡便かつ不十分な対策をなし、表層土に盛り土をしただけで、危険物質や土中のドラム缶等を除去することなく土地を宅地として造成し、分譲した(訴状第2の5二、第2の7、平成19年12月10日付原告ら準備書面第2の1、第2の4、平成20年11月17日付原告ら準備書面第1の5)。

(3)被告は、汚染の事実が表面化しても危険はないと断言して、原告らに対して何らの対策をとろうとしなかった(訴状第2の5三、第2の7)。

2 このうち
(3)については、被告に対策義務(少なくとも損害賠償義務)があることが前提の主張であるし、
(1)については単独で故意過失を構成するものではないから(汚染があったとしても、無害化して売却すればよいだけのことである)、結局のところ原告らの主張する故意・過失についての主張は、
(2)すなわち、被告が当時行った対策工事が、当時の土壌の状態について被告が認識しあるいは認識し得た事実に基づき、技術的・科学的水準に照らして、必要十分なものだったか、それとも原告らが主張するように、簡便かつ不十分なものだったかという点に収斂される。

= 第2 被告における当時の認識について =
=== 1 旭油化における悪臭の原因についての認識 ===
(1)そもそも、原告らは臭気の原因が油等によって汚染された土壌にある旨主張しているようであるが、当時そのような理解がされていなかったことは、以下のような事情から明らかである。

ア 旭油化は、ソーダ油さいや廃白土(食用油などを作る際に出る、植物性油と白土の混合物で、産業廃棄物)などを分解、生成して塗料の原料や燃料を生産、販売する会社として認識されていたこと(甲第1号証の1、2)

イ 一般的に、悪臭の原因は、工場内に放置された汚泥や廃白土の分解、生成の過程から発生する悪臭が、工場施設のほとんどに屋根がないため周辺に拡散されたことによると認識されており、土中に不法に投棄された油、産業廃棄物ないしはそれにより汚染された土壌が存在するとは考えられていなかったこと(甲第1号証の1、2)。
 岡山県においても、悪臭の原因は「分解釜を主体とする製造施設の老朽化及び脱臭設備の不備、汚水処理施設の処理能力及び管理不足、製造廃液及び脱水汚泥の場内放置、原料、製品ドラムの貯蔵方法、施設の不備並びに清掃の不徹底による」ものと認識していたこと(乙第26号証)

ウ 本件土地から検出された化学物質は、機械洗浄の溶剤が原因と思われるが(乙第9号証)、機械洗浄の溶剤を適切に処理することなく不法に廃棄していたとの話は当時存在しなかったこと(甲第1号証の1、2、甲第1号証などでも悪臭と水質汚濁に言及されているだけである)

(2)よって、被告が本件土地を取得した昭和57年頃当時において、
?旭油化に関するものとして一般的に認識されていた問題点は、悪臭と、せいぜい水質汚濁程度であり、油ないし化学物質による土壌汚染については全く認識されていなかったこと、
?またその悪臭の原因は、工場内の原料や製造過程から不可避的に発する悪臭を、旭油化が適切に処理することなく大気中に放出したことが原因と考えられており、旭油化が廃棄物を不法に土中に投棄しているとか、油が地面にしみこむままに放置しているとかいった事実は存在しなかったと思われるし、仮に存在していたとしても、旭油化と何の関係もない被告が認識することは不可能であったこと、は明らかである。

=== 2 必要な対策工事についての認識 ===
(1)そのため被告も、悪臭の原因は石鹸等を作成するための原料、作製工程、製造後に排出される廃棄物(煤煙等)であると考えて、旭油化の操業を停止させ、建物を撤去し、悪臭の原因となっている原料・廃棄物を破棄すれば、悪臭は除去でき、本件土地に関する問題は解決するものと考えた(乙第24号証第2の2、4、第3の6)。
 もっとも、被告には、具体的にどの物質が悪臭を放っているかについて断定することは出来なかったから、本件土地上のコンクリート等構造物をはじめ、廃白土や油脂付着物などのすべてを旭油化に除去させるとの内容で即決和解を行った(甲第3号証)のである。

(2)原告は、現在本件土地に存在する黒い汚泥(甲第15号証)が、旭油化撤退当時から存在したかのような主張をしているが、即決和解直後の本件土地は、かなり強い悪臭はあったものの、地面はおおむね普通の色をした土壌と白っぽい土に、油のような何となく色が違う程度の黄色っぽいものが付着したような部分とが入り交じったような状態であり(乙第24号証第3の3、4)、現在見られるような黒い汚泥は存在していなかった。
 また、臭いも、現在問題になっているような油臭ではなく、タンパク質の腐ったような臭いであった。

(3)そのため、被告(ないし旭油化)は、本件土地を、商業的に利用できる土地へと生まれ変わらせるため、以下のような対策を行った。

ア 旭油化は、不十分ながらも、建築物、製造施設、原料ドラム缶、場内汚泥(廃白土のことと思われる)の搬出を行った。この点は昭和58年1月10日、岡山県により、廃棄物の搬出が確認され、撤去作業の完了が確認されたこと(乙第26号証)から明らかである。

イ また、旭油化が行った搬出作業によっても悪臭が十分除去できたとは思えなかったため、被告は昭和59年2月頃、株式会社東山工務店に対し、油分の多い土壌の搬出作業を3673万2000円で依頼した(乙第24号証第4の1)。
 この際被告は、東山工務店に対し、「汚れがひどい部分を処分して、分譲地として支障がないようにして欲しい」と依頼し、東山工務店はそれに従って、ドラム缶や油分が多い土壌を搬出し、廃棄した。

ウ また被告は同時期に、株式会社ナップに対して消臭工事を依頼し、ナップは本件土地に粉末状の石灰を撒いて重機で撹拌し、土地の表面をならすという消臭工事を行った。

(4)被告は念のため、造成を行うまで3年程度その土地をそのままにしておいたが、その間ににおいがひどくなるようなことはなかった(乙第24号証第4の5、6)。
 また悪臭の原因が取り除かれた以上、その後悪臭は空気中に拡散していき、将来的には全く問題が無くなると予想される状態になった。

(5)従って、当時の対策工においては、悪臭を発生させる直接に原因だった工場等の建築物、及び廃白土や油脂付着物などの廃棄物が完全に除去され、工場や廃棄物からしみ出した油がしみこんでいる可能性のある土壌もその大部分が除去され、わずかに土壌に残っているかもしれない油から生じる不快感(悪臭)についても石灰を撒くことで取り除かれ、十分な対策がなされた。
 また当時の科学的知見で、本件で検出されているようなトリクロロエチレンやシス―1、2―ジクロロエチレン、テトラクロロエチレン(以下「トリクロロエチレン等」という)についての危険性を認識することは不可能であった。
 なぜなら、これらの物質が土壌を汚染することによる危険性がはっきり認識されるようになったのは、平成15年に施工された土壌汚染対策法及び同施行令において、当該物質が特定有害物質に指定されてからのことだからである(それまで土壌汚染については、農用地におけるカドミウム、銅、ヒ素についての汚染について定めた「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」があるだけであった)。

 またトリクロロエチレン等などという旭油化の行っている事業とは無関係な物質が土中に存在しているなどと言うことを予想することはできなかったのである。したがって、当時の技術的・科学的水準に照らせば、当該対策工は、本件土地にまつわる問題を解決する上で、必要十分なものだったのである。


=== 3 その後分譲当時における土地の汚染状況についての認識 ===
(1)そして、この対策工が十分なものだったことは、以下の事実経過からも明らかである。

ア 昭和62年4月頃、すなわち被告が本件土地の宅地造成のため、開発許可申請の準備に取りかかった頃、本件土地における悪臭は、「せいぜい風のないどんよりした天気の日にドブ川のような臭いがする程度」(乙第25号証第3の2)「それほど臭いが強いというわけではなく、何となく臭いがする、という程度」(乙第27号証第2の2)になっていた。

イ また、当時の土壌の表面は、「畑の土が乾いたような白っぽいというか灰色っぽい色の土」(乙第25号証第3の3)「田んぼの土が乾いたような、グレー色」(乙第27号証第2の1)で、黒い土壌は見受けられなかった。

ウ 岡山県ないし岡山市は、小鳥が丘団地につき、昭和62年10月1日、昭和62年2月23日、昭和63年11月26日、平成2年3月20日に、順次開発許可を行った。

エ 被告は、上記開発許可に基づき、東山工務店に対し、本件土地における造成工事を、純粋な通常の造成工事として依頼した(乙第25号証第4の1)。

オ 造成工事の過程で、
(ア)宅地として既存の道路と高度を合わせるために、川沿いにある土壌を団地の南側に移動する工事を行った。その際にショベルカーで川沿いを数メートル掘り返す作業を行った。

(イ)高台にある住宅のため、将来掘りぬきの駐車場として使用するための空間として、地表から数メートル下の土地を大きく掘り抜いたが、周囲の色の違う色の土が出てきたり、黒い汚泥や汚水、悪臭が発生したりすることはなかった(乙第25号証第4の3)。

カ 造成工事完了後、岡山県(ないし岡山市)の職員が検査済証を発行するため現地を見聞したが、悪臭等について何らの指導を受けることはなく、検査済証は問題なく発行された(乙第25号証第5の1)。

キ 本件土地における住宅建築の際、黒っぽい土が出てくることはあったが、それは現在見られるような、真っ黒で、水分を多量に含み、非常に広範囲にわたって分布するようなものではなく、むしろ濃い灰色で、水分量はさほど多くなく、土中の一部にのみ存在する塊状で、団地内のごく一部(把握されていたのは2か所のみ)にだけ存在しているに過ぎず、上述した「わずかに土壌に残っているかもしれない油」の域を超えないものであった(乙第27号証第3の4,5)。

ク 宅地造成後、懸念されていた悪臭については、「特に雨上がりの日、あるいは夏場に・・・側溝の周辺など団地の数か所でかすかに臭う、という程度」(乙第27号証第2の4)にまで低減され、ほぼ解消した。

(2)以上の通りであるから、造成工事が完了し、分譲が開始された時点においても、前記対策工が不完全であったことをうかがわせるような事情はなく、むしろ異臭がほぼ完全に消滅していたこと(この点については原告らも認めるところである)、土壌の色が表層部から地下数メートル部分までのほとんど全てが通常のものになっており、油分を含んでいる部分は、そのごく一部で発見されるにとどまるものになっていたこと、行政側も問題なく開発許可、検査済証を発行していたことなどを考えれば、対策工が完璧に行われていたと評価できる状態になっていたのである。

(3)これは何も、被告が勝手に「対策工が十分に行われた」と思いこんだという意味ではない。
 なぜなら、本件土地上に建物を建築するに当たっては当然基礎工事が行われ、地面を数十cm程度掘り返しているし、また本件団地内の住宅は全て個別浄化槽を採用しており、浄化槽(5人槽)を埋設するために、縦約2.2メートル、横約1.1メートル、深さ約1.7メートル程度の縦穴を掘っているから(乙第22、23号証。いずれも一般的な浄化槽についてのものである)、もし黒い汚泥や汚水が出たり、悪臭が新たに発生したとすれば、必ずその時点で問題になっているはずである。

 しかし、わずか団地の2か所程度から、黒っぽい土が出てきたのみで、住民からも、特に問題視されることはない程度に過ぎなかった。
 原告らは、建物建築を行った業者(被告を含む)が、このほかにも汚泥や悪臭が発見されたにもかかわらず、それを隠蔽した旨主張するかもしれないが、当時わずか数年の間に小鳥が丘団地に30余件の住宅が建築されているのであることを考えてみてもらいたい。
 自宅は一般市民にとって一生の買い物であるから、建物建築前、建物建築中を問わず注文主やその家族、購入を考えている人など様々な人が幾度も現地に足を運んでおり、その延べ数千人にも及ぶほどの人間の目を全て欺いて、汚泥や悪臭を隠蔽することは不可能である。
 原告ら自身も、購入当時には悪臭や汚泥には気づかなかった旨述べていることも、本件土地に客観的な異常があるようには見えなかったことを裏付けている。
 また発見された油分についても、本書面第2の1(1)で述べたような旭油化の操業態様を前提とすれば、ガソリンや重油のようなものではなく、むしろ植物性の油にすぎないから、人体に対し健康上の被害があるわけでもなく、また土中にあれば臭いについても問題にはならない者であると当時は認識されていた。

 土中に土以外の物質が仮に存在しているとしても、それが即土地の瑕疵にあたると言えないのは当然であり、それを全て完全に除去しなければ販売が許されないわけではない。
 宅地であれば、その土地上に建物を建築するについて支障となる質、量の異物が地中に存在するために、その土地の外見から通常予測されうる地盤の整備、改良の程度を超える特別の異物除去工事等を必要とする場合に瑕疵にあたるという判例(東京地判平成14年9月27日)に照らせば、本件のように建物を建築する上で全く支障がなく(現に20年を経過した現在に至るまで宅地として使用されている)、そのまま土中に埋め戻しても何ら悪影響がないと当時の科学的知見では思われていた油をそのままにした上で分譲を行ったとしても、対策工が不十分だったとされるいわれはないのである。

(4)なお、これらの事実を前提とすれば、当然現在本件土地に存在している黒い汚泥がどこから来たのか(土中深く、容易には認識できない深さに存在していた油が毛細管現象により地表付近までしみ出してきたのか、土中にあった何らかの物質が化学反応を起こして汚泥に変化したのか、当時存在していた黒い土壌が何らかの理由で拡散していったのか(それにしても油の総量が増えたとは考えられないから、やはりどこから来たのかは問題となる)、それとも別の機序によるのか)も問題となりうるが、この点については現在調査中であるので、その結果を待って改めて反論することとする。
 ただいずれにせよ、当時の科学的知見でこれを予測することは不可能だったのである。そもそも科学が20年以上発達した現在においても、この黒い土壌がどこから来たのかを未だに解析できていないことを考えれば、20年以上前の科学でそれを予想しろというのが不可能であることは自明である。

4 以上の通りであるから、対策工事を行った時点、あるいは本件土地を分譲した時点において、本件土地が油やテトラクロロエチレン等の化学物質により汚染されていることを被告が認識していた事実はないし、また認識することは不可能であった。そしてそのような事実を前提としてみるに、対策工事は当時の科学的・技術的水準から見て必要十分なものであった。

5 従って、被告には本件不法行為についての故意または過失はないのである。


http://blogs.yahoo.co.jp/kotorigaoka/MYBLOG/yblog.html

http://geocities.yahoo.co.jp/gl/kotorigaoka/view/20100203

http://blogs.yahoo.co.jp/kotorigaoka/50146935.html

等を参考にしましたが、不正確や不適性な内容が含まれている場合がありますので、各自の責任に閲覧してください。





  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 12:46Comments(2)小鳥が丘団地土壌汚染

2010年01月31日

豊洲専門家会議報告書(案)の内容に関する意見について

報告書(案)の内容に関する意見について

No. 主なご意見・ご質問(要約) 専門家会議の考え方

1 調査

1
 東京ガスの調査・対策で可とした地点で基準値オーバーが出た原因について
言及が不十分である。

 東京ガス(株)による既往土壌汚染調査・対策は当時の環境確保条例および東京都土壌汚染対策
指針に基づき実施されております。しかし、専門家会議が行った追加調査結果でわかりますように、
新市場予定地内では表層土壌ガス調査で深部の土壌汚染や地下水汚染を把握することは難しく、
ベンゼンによる土壌汚染範囲が全て把握されていなかったと考えられます。
 シアン化合物等の重金属等については、30mメッシュでの深度3mまでのボーリング調査が主であり、深度3mで土壌汚染が
確認された地点についてのみ深度7mまでのボーリング調査が行われており、深度3m以浅の土壌・
地下水の調査しか行われていない箇所が多く、深度方向に土壌汚染範囲が把握されていない地点
(調査が不足していたところ)もありました。
 また、土壌汚染対策はこれらの調査で把握された処理基
準を10倍以上上回る汚染土壌のみを対象として行われており、10倍以下の範囲で処理基準を超過
していた汚染土壌は残存したままとなっていました。このような事実を報告書(案)の第3章に記述し
ております。

2
 いくら時間をかけてもいいから、専門家の方々が一致して安全だと言える状況
になるまで、さらに慎重に徹底的に調査を継続してほしい。

 報告書(案)9章で記述しましたように、生涯曝露による人の健康被害の防止に加え、食の安全・安
心という観点から揮発成分(ベンゼン、シアン化合物)が隙間や亀裂から建物内に侵入することによ
る生鮮食料品への影響が防止されるという要件を満たすと考えられる安全な対策のあり方を提言し
ています。

3
 はじめに移転ありきで専門家会議の調査が進んでいることに大きな不安がある。

 専門家会議は移転ありきで検討しておりません。築地市場の移転は、市場の設置者である東京都
が責任を持って対応すべき問題であると考えております。

4
 「対策に必要な調査として、以下の絞込調査を行う必要がある」とある。であれ
ば、絞込調査を実施してから対策を提言すべきである。

 専門家会議は、詳細調査結果を受け、対策のあり方を提言するところまでとしております。絞込調査
結果が出てきたとしても専門家会議の提言する対策内容が変わることは基本的にありません。

5
 地下の多くの部分の汚染調査を避けた「報告書」に科学的根拠が無い。

 報告書(案)の4.15.1に記述しておりますように、追加調査により、東京ガス(株)による既往土壌汚染
調査の結果をもとに土壌汚染対策を行うと高濃度の地下水汚染が見逃されたままとなってしまう可
能性があると考えられましたので、新市場予定地全体を対象に10mメッシュでの詳細調査を行いまし
た。詳細調査では、表層土壌調査に加えて、深部も含めて汚染状況をスクリーニングするため、帯
水層全体の平均的な地下水汚染状況を調査しました。

6
 広大な敷地にきめ細やかな調査がされ、都民の不安に対し真剣に取り組んで
いることが分かった。

 一生涯この土地に住んだとしても生涯曝露による人の健康被害は防止され、生鮮食料品を扱う市場
となった場合でも食の安全・安心が十分確保されることを目標に、土壌と地下水の汚染対策を提言
しています。

7
 大きな値が計測されている直上・直下で不検出のポイントがあり、このようなこと
が現実に存在するのかどうか。あるいは計測に問題点があるのではないか。

 計量証明事業者が公定法に基づき分析を行っています。また、精度管理により、分析結果の信頼性
の確保も行われていることから、計測に問題があるということはありません。

8
 地下に汚染物質や汚染地下水の「溜まり」があると、そこから汚染が拡大する。
汚染物質、汚染地下水の「溜まり」場所の調査をすべきではないか。

 生涯曝露による人の健康被害を防止するという観点から土壌汚染調査を行っており、不透水層であ
る有楽町層よりも上位の地層全体を対象に調査を行っております。上部から深部に土壌汚染がつな
がっている箇所については、対策実施時に底面管理等で汚染状況を確認していくことで対応が可能
であると考えており、汚染物質が土壌・地下水中に溜まっている場所があれば把握されると考えて
おります。なお、有楽町層については、透水性が土壌汚染対策法に規定する不透水層の基準の
1/26となっており、新市場予定地における層厚が約2〜20mあることから、遮水効果が高く、汚染の
可能性は低いと考えられます。

9
 東京ガスの元社員は、汚染原因は、土の上に直接おがくずを敷き、その上で
タールを練っていたと証言している。それが事実なのか調査したのか。汚染原
因はそれだけなのか。

 東京都が東京ガス(株)に照会したところ、同社が、当時の従業員に実施した調査では、ガス製造過
程で発生したタールスラッジを、地面の上で、直接、木屑と混ぜる作業をしたという話は聞いていな
いとの回答があった、とのことです。


10
 大量のベンゼン・シアンが検出された協力会地区について、当時の東京ガス
担当者、協力会の責任者に当時の状況説明をしてもらいたい。

 東京ガス(株)には、東京都から既に複数回、高濃度の汚染が検出された地点の当時の土地利用
の履歴等についてヒアリング調査を実施しており、その結果は専門家会議で報告されています。

11
 採水にあたってのパージング(孔内洗浄)の徹底度を見たり、地下水の賦存状
況の確認のためには、水位・水温・導電率のその場測定が不可欠だが、一般
公開時に現場をみた限りでは実施されていなかった。

 パージ作業は孔内に溜まった水を揚水により汲み出し、井戸内に周辺から集まってきた新鮮な地下
水を採水しております。井戸内滞水量の3〜5倍量を目安に揚水をしたことで新鮮な地下水と置換さ
れていると判断しています。

12
 時間間隔をおいた繰り返し測定による水質変化の吟味もなされていない。

 報告書(案)の6.2で地下水質のモニタリング結果を報告しています。第7回専門家会議において、極
端に濃度が変動しているものはなく、濃度がある幅に入っているという感じであることを確認しており
ます。

13
 有楽町層の上位の地層は、埋め立てられた人工地層なので、地下水の流況
を解析するには詳細な観察が欠かせないが、今回の詳細調査では必要な情
報が欠落している。

14
地下水の流況を解析するには、報告書(案)の表4.13.4のように、地質と分析
値を関連づけた対比表が必要。

15
 結果が信用できない。

 指定調査機関が試料採取を行い、計量証明事業者が公定法に基づき分析を行っています。また、
精度管理により、分析結果の信頼性の確保も行われていることから、調査結果の信頼性は確保さ
れていると考えております。

16
 絞込調査では処理基準や排水基準を超過した地点のみ数ポイントを調査する
こととなっている。詳細調査でだけでは不十分なことは誰が見ても明らかであ
る。

 報告書(案)の9章で述べている対策に必要な要件を満たす上で、詳細調査および引き続き行われ
ている絞込調査の結果をもとにまとめた対策のあり方が行われれば、9.5で述べているように人の健
康リスクおよび食の安全・安心の観点から問題のない状態になると評価しています。

17
 調査項目について、5・6項目と極めて少なく限定されている。欧米諸国に比べても明らかに少なくこれで結論を出すのは無理がある。

 調査項目は、ベンゼン、シアン化合物、ヒ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムの7項目を基本とし、
油汚染に関する項目として油臭・油膜、全石油系炭化水素(TPH)、ベンゾ(a)ピレン、石油系芳香族
炭化水素画分を加え、木くず・タール混じり土壌および浚渫土のPCB、ダイオキシン類も調べてお
り、十分であると考えております。

18
 有楽町層についてまず既存の全データを公開し、地質学の専門家の多様な
意見を集約することをもとめます。
東京都の方で資料をまとめ公表致します。

19
 なぜこの土地に土壌汚染・地下水があるのか。汚染原因はなにか。ガス蒸留
および乾留による有害物質汚染の歴史を明らかにして欲しい。

 汚染原因として考えられる東京ガス(株)豊洲工場の操業履歴および有害物質の使用・排出状況等
を報告書(案)の中に記述しております。新市場予定地以外の有害物質汚染の歴史の整理について
は専門家会議による検討の対象外と考えております。

20
 先生の判断により調査を行い、全面にわたる土壌入れ替え、観測井戸の提言
案は、汚染の実態解決方法について明確にしたことはすばらしい結果であり
成果である。
一生涯この土地に住んだとしても生涯曝露による人の健康被害は防止され、生鮮食料品を扱う市
場となった場合でも食の安全・安心が十分確保されることを目標に、土壌と地下水の汚染対策を提
言しています。

詳細調査では、旧地盤面に対する表層部の土壌汚染状況を把握し、帯水層全体の地下水汚染状
況をスクリーニングすることを目的としました。この調査で絞り込まれた土壌汚染が存在している可
能性の高い範囲について、対策のための絞込調査で詳細な地質状況も確認されることになります。


http://www.shijou.metro.tokyo.jp/senmonkakaigi1/09/kaitou/kaitou.pdf  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 17:50Comments(0)豊洲

2010年01月31日

「第9回豊洲土壌汚染対策工事技術会議」BK

「第9回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の概要

1 日時
 平成20 年12 月25 日(木) 9:30〜12:00

2 場所
東京都庁第一本庁舎

3 出席委員
原島文雄座長 ほか4名

4 検討項目
? 地下水管理システム
 第7回技術会議で検討した複数の地下水管理システム案について、データの通信
方法や維持管理費を含めて試算した経費を検討し、一つの案に絞り込んだ。

? これまで検討した全体計画の評価・検証
 これまでの技術会議において検討した複数の一貫した対策案、公募提案のあった
汚染土壌・汚染地下水対策、液状化対策、市場施設完成後の地下水管理システムを
全て含む総合的な対策について、各案の内容、各委員による評価の結果などにより
比較検討した。
 この結果を踏まえ、複数の一貫した対策案を総合し、一つの対策とした案につい
て検討した。
次回会議までに、汚染土壌処理、埋め戻し材料に係る費用を精査することとした。

? 技術会議報告書案の検討
 技術会議報告書の構成及び骨子について議論した。




「第9回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」会議録
1 日時
 平成20 年12 月25 日(木)9:30〜12:00

2 場所
 東京都庁第一本庁舎33 階 特別会議室N3

3 出席委員
 原島座長、矢木委員、長谷川委員、安田委員、根本委員

4 議事
(1)市場施設供用後の地下水管理システム
(2)これまで検討した全体計画の評価・検証
(3)選定する技術・工法(案)
(4)技術会議報告書の構成
(5)その他

5 検討内容
(1)市場施設供用後の地下水管理システム
(東京都) それでは、ご説明させていただきます。
まず、1−1ページをごらんください。この地下水管理システムにつきましては、
前々回の第7回技術会議でお示ししたものでございます。案―1としまして有線方式、
案−2としまして無線と有線を併用したもの、どちらを組み合わせていくか決めてい
ただきたいと思います。

 まず、案−1でございます。これは有線方式で、地下水の水位観測は圧力式水位計
を有線で行います。水位の観測データ等は、各街区ごとのデータ集積端末を介して中
央司令室まで有線で転送するというものです。
 案−2につきましては、地下水の水位観測は圧力式の水位計ですが、これを無線で
行う。あとは有線と一緒です。それをフローに示しましたのが1−2でございます。
左のほうにあります「井戸」というところから二つ四角を飛ばしたところに「街区端
末」というデータの集積端末がございます。ここまでを上の有線、下の無線。あとは、
下のほうの無線は、それ以降、中央監視装置までは有線になりますので、ここだけが
有線か無線かの違いになります。

 この経費につきましては、前回もお示ししたとおり、1−3にもう一度つけさせて
いただいております。イニシャルコストは案−2のほうが高いんですけれども、ラン
ニングコストによって逆転する。
 それから、担当の委員のほうから意見をいただいております。結論から申しますと、
無線と有線の併用式のほうがよいだろうという意見でございます。確実性はどちらも
同じぐらいで、今は無線といってもかなり確実性が高いので遜色はない。有線でやっ
てしまうと、将来、無線+有線に変更するときに、無線をやるときにちょっとコスト
がかかってしまう。ただ、無線と有線を最初に計画しておけば、将来、有線方式に変
更するにも比較的変更が可能であるという意見をいただいておりまして、担当の委員
は無線+有線のほうがよいと。ランニングコスト、それから将来の変更可能という点
から見ても、案−2の無線+有線のほうが有利ということで、ここでは案−2で行き
たいと考えます。よろしくお願いいたします。

(委 員) 案-2 は、各センサからデータを集積するところまでが、無線で、そこから有線にする
ということでよいか。センサはすべて地下にあるのか。データの集積はどの程度の単
位で行うのか。

(東京都) 井戸の水位計から地上に信号を発信して、各街区ごとにデータを集積し、その後、中
央の監視装置に有線で送る。データの集積は、最大200m程度無線LAN で飛ばせる
ということで、各街区1 ヵ所を想定している。

(委 員) いざというときに有線に変えることはできるのか。

(東京都) 無線の場合だと、無線を有線に変えるだけなので、井戸の中のセッティングが比較的
容易である。有線を無線LAN に変えるためには、機械をすべて入れ換える必要があ
ることから、無線としておくほうが、将来的に有線に変える場合でも対応しやすい。

(委 員) センサは、どの程度の深さに設置するのか。

(東京都) センサはA.P.+2m より下に設置する。地上から7m 程度の深さとなる

(委 員) 水位計は、フロート式か。

(東京都) 水圧式である。

(委 員) 水圧器は数年間で壊れることが多いが、問題ないか。

(委 員) メンテナンスはできるか。

(東京都) メンテナンスは可能である。

(委 員) 給電のための電力線は、一緒にはいるのか。

(東京都) その通りである。

(委 員) 無線(案-2)のランニングコストが安いのはなぜか。

(東京都) 有線の場合、線の維持管理が大きい。

(委 員) 水圧を測って水の浸かっていないところから、無線を飛ばす方法と、空気圧を測る方法がある。

(委 員) これは水圧、空気圧のどちらか。

(東京都) 水圧である。

(委 員) 無線の技術は、ここ5 年くらいで、極端によくなっている。

(東京都) 昔だと、無線は難しかったが、今は有線とさほど遜色がない。

(委 員) 無線+有線(案-2)を採用することでよいか。

(東京都) そのように考えている。

(委 員) 無線を使った事例はあるか。

(東京都) 提案内容を見ると実績はある。

(2)これまで検討した全体計画の評価・検証
(東京都) これまで検討した全体計画の評価・検証
技術会議で既に示した推奨案である汚染物質、液状化対策などを含む一貫した技術会
議としての対策案、土壌汚染対策全体を網羅した提案など、これまで検討した全体計
画について説明した。

(委 員) 評価が高かった案-1〜5 のうち、案-4 については、原位置微生物処理のため確実性に
問題があり、案-5 については、土地の利用、機能、価値の問題が、経費に対して十分
プレイバックされないので、事務局としてはこれらを除いた案-1,2,3 をまとめて、そ
れぞれのよい部分を組み合わせて案をつくるということでよいか。

(東京都) その通りである。

(委 員) 案-4 の原位置微生物処理は、期間が長ければ問題ないが、期間の制約や浄化の確認の
問題があるので、豊洲での適用は難しい。そういった点で、事務局案の考え方でよい
と思う。

(委 員) 案-1,2,3 は、これしかないという特殊な工法ではないと思うので、今後の入札も考え、
事務局案の通り、まとめればよいのではないか。

(3)審査項目及び判定方法
(東京都) 皆様のお手元に、「別紙」ということで判定方法について書いてございますが、判定
方法について確認したいと思います。まず、この判定方法ですけれども、審査項目と
いうのは、以前も技術会議で出させていただいております。提案された各新技術、新
工法について審査項目を4段階評価で、S、A、B、Cと行った上で、総合評価とし
ての判定方法ということで、さらに総合評価の中でもS、A、B、Cによる判定を行
うとしております。表1の審査項目は、例えば「実効性」という中で、豊洲に適用が
可能で、実現の可能性は高いかどうかは、以前技術会議の中でお示ししたものでござ
います。今回、総合評価としての判定方法ということで、Sはどんな基準でつけるの
か、Aはどうするのかということですけれども、「審査項目のほとんどが特に優れて
いる」のをS、「審査項目のほとんどが優れている」のをAとしまして、「審査項目
のほとんどが標準である」というのがB、Cとしましては「審査項目のほとんどが標
準に達しない、または実効性が標準に達しない」。こういったもので、S、A、B、
Cという判断基準にしていきたいと考えますが、これでよろしゅうございましょうか。

その辺のところを議論していただければと思います。

(委 員) 5 つの審査項目に、S,A 評価が何個以上というような評価の仕方とするのか。

(委 員) 最終的には数値化し難いところもあるが、結果としてS,A 評価の数はわかる。分野ご
とにばらつきがないか、大きな矛盾はないか、最終的にはチェックが必要である。

(委 員) B,C 評価の「標準」はどのように判断するのか。

(東京都) 以前に会議で提示した一般的な工法を考えている。

(委 員) S 評価なのかA 評価なのかというときは、実効性が重みが増すのではないか。

(委 員) 審査項目のうち、実効性が最も重要となる。これがなければ、その他の4 項目の評価
が高くても意味がない。「実効性」が絶対的なものだという判断がいるのではないか。
「ほとんど」ということを数値化することは難しいと思う。

(3)選定する技術・工法(案)
(東京都) それでは、次に3−2ページをお開きください。技術会議のほうで、今、ここに個別
の提案された技術・工法ではなくて、このように工法という形で選定していただきた
いと考えております。

 例えば遮水壁の設置でございますが、ソイルセメントに遮水シートを組み合わせた
遮水壁を1から3案として採用しております。それで、一つにまとめるに当たっても、
こういった工法を採用していきたいと考えております。内容としましては、現地の土
とセメントを混合してつくるソイルセメントといいますけれども、それの中に遮水壁
を組み合わせてつくるというものです。

 それから、汚染地下水につきましては、浄化は、地下水の揚水とあわせて土壌ガス
を吸引といった工法を採用していきたいと思います。地下水の汲み上げとあわせて、
井戸の周囲にガスを吸引する管を設置して、土中に残った汚染地下水からの揮発性の
高いベンゼンなどのガスを吸引していくというものです。処理としましては、通常使
われています曝気、凝集沈殿処理。地下水中のベンゼンは曝気、シアン化合物は酸化
分解、重金属は凝集沈殿といったもので処理していきたいと考えています。

 汚染土壌の処理でございますが、微生物処理と中温加熱と洗浄処理、大きく分けて
この三つになります。微生物処理の中には、さらに前処理として原位置で処理するも
の、これは土壌中に栄養塩とか空気を供給して微生物を活性化させて、土中のベンゼ
ン濃度を低下させていくというものです。それから、掘削の処理としましては、一度
ベンゼンを含んでいる土壌を掘削して、別の場所で栄養塩や空気を供給する。それか
ら、微生物を活性化させて分解するので、ちょっと原位置とは異なったやり方も取り
入れております。

 中温加熱処理でございますが、油膜はなかなか低温では取れませんので、400 度か
ら600 度ぐらいに加熱をして、油類を揮発させるという方法。
洗浄処理につきましては、通常ベンゼンなどは水洗いが非常に難しいんですけれど
も、洗浄処理の過程の中に泡浮遊分離装置ですとか曝気処理装置をつけて、ベンゼン
なども洗浄できるような装置。シアン化合物、重金属は洗浄で十分ですけれども、ベ
ンゼンなどもやっていける。こういった新しい方法も取り入れていきたいと考えてお
ります。

 それから、液状化対策でございますが、砂杭によって締め固める工法、砂杭を土中
に打ち込むことによって地盤の強度を高めて液状化防止を図る。
格子状の固化という方法。これは、格子状に地盤を固化しまして、地盤の横方向の
変形を阻止するといったことで液状化にこたえる。

 地下水の管理システムとして、無線と有線を利用した管理システム。データの集積
末端から中央監視装置までは有線でつなぎますけれども、それまでは無線で飛ばす。
先ほどちょっとご説明したとおりのやり方です。

 それから、右のほうに該当する提案件数ということで、S評価、A・B評価とあり
ます。S評価というのは、この中で選定された工法についてS。類似でありますけれ
ども、選定されるまでに至らなかったもの、それから、今後契約に当たってかなり努
力評価すればS評価になり得るもの、こういったものをA・Bという形でまとめさせ
ていただきました。評価の件数につきましては現在精査中ですので、数字は変わる可
能性があります。

 それから、報告書では別紙をつけて、ある程度提案の名称などもその中で書くこと
によりまして、提案者にはわかるようにしていきたいと考えております。
次に、3−3ページをおめくりください。1から3案を組み合わせた全体の計画の
フロー図でございます。まず、東京ガスの操業時の地盤面(A.P.+4m〜A.P.+2m)、
青い点線で囲んであるところですが、この汚染土壌の10 倍以下のものは埋立用材と
して用いていく。

 それから、10 倍を超えてしまう濃度の濃いものは、先ほどご説明した三つのバー
ジョンに分かれます。一つは掘削の微生物処理、これはベンゼンに限りますが、掘削
して別なところで微生物処理をしていく。洗浄処理は、シアン化合物と重金属。それ
から、原位置で微生物処理をいたしまして、濃度の濃いところでも10 倍以下ぐらい
に前処理をする。その後、先ほどの泡浮遊分離装置だとか、曝気装置を用いてベンゼ
ンも洗えるようになりましたら、洗浄処理施設で処理をしていくという図式になって
います。

 それから、油分につきましては、やはり中温加熱でないとなかなか処理することが
できませんので、この中には中温加熱も入れております。
 それから、東京ガスの操業時の地盤面から深さ2mよりも深いところ、この図でい
きますと赤い点線で囲んであるところでございますが、10 倍以下の比較的薄いとこ
ろは掘削微生物処理、これはベンゼンに限りますが、微生物の処理をやっていきます。
それから洗浄処理。油分を含んでいるところについては中温加熱。

 それから、10 倍を超える比較的濃くなっていくところは掘削の微生物処理、これ
はベンゼンに限りますけれども、全く同じやり方をやっていきます。それから洗浄処
理。原位置の微生物を使ってベンゼンを10 倍以下ぐらいに下げたところで洗浄処理
をしていく。油分を含むところは中温加熱。これは、1から3のすべての対策が入る
ような形で組み合わせております。

 補足して説明をさせていただきたいのですけれども、3−2ページでございます。
技術会議としてどういう形で技術・工法を選定したかということですけれども、やは
り行く行く後段のこと、具体的に今度は工事の発注をします。その中で競争性という
のは非常に大事なことになっています。そういうことを非常に重く考えているのが一
つあります。

二つ目に、いろいろ公募してくれたのですけれども、A評価、あるいはB評価であ
っても、豊洲の汚染対策に合っていても、たまたま経費が高かったんですが、いざ工
事をやるときに頑張っていただいて取る可能性もあると思っています。二つ目は、経
費のことをお話ししました。汚染土壌処理費とか、埋め戻し、あるいは運搬費は、い
ろいろヒアリングをしますと単価に幅があります。それから、運搬についても船を主
体にしていこうと考えていますので、船の大きさとか、船にいろいろ装置がついてい
る。バックボーンがついていたりするので、運賃に非常に幅があります。そういうの
を精査中なので、少し時間をいただいて、1月15 日には最終的なものを出します。

(東京都) 資料?(3-4 頁)に示す経費は、現在精査中でまだ下がる可能性がある。次回に最終
的な経費を提示する。

(委 員) 資料?で選定された技術・工法が技術会議としての案となり、入札の際の仕様書にな
るということでよいか。工種ごとの経費の内訳も公表されるのか。

(東京都) そのように考えている。

(委 員) 街区ごとに分けるのか。

(東京都) 技術会議では、街区ごとに分けないが、実際の発注時にはおそらく3 街区に分けて個
別に発注することになると思う。

(委 員) 資料?(3-2 頁)の汚染地下水処理で、シアン化合物は酸化分解の他に紺青法も選定
したので、併記したほうがよい。また、汚染地下水浄化の「地下水揚水とあわせて土
壌ガスを吸引」は、一種のスパージングとなり、地下水の他に土壌中のベンゼンを浄
化する効果もある。よって、内容の「汚染地下水から」という表現は削除したほうが
よい。

(東京都) 了解した。

(委 員) 全体計画フロー図(資料?,3-3 頁)はこれで問題ないが、油分の影響で微生物処理
がうまくいかない場合、それがわかった段階で即加熱処理を行うなど、ゆとりを持っ
たほうがよいと思う。また、中温加熱処理は、仮設となり焼却能力が限られてくるの
で、原位置微生物処理やスパージングを兼ねたディープウェルで、なるべく処理基準
の10 倍以下とし、中温加熱処理の対象としないようにすべきと思う。

(東京都) 了解した。

(委 員) 液状化対策が2 種類あることについては、液状化層が厚い場合と液状化層が薄い場合
というように条件を明示したほうがよい。また、3-2 頁(資料?)の砂杭締固め工法
の内容は、「地盤の強度を高めて」を「密度を高めて」とするのが正しい。格子状固
化工法も、「地盤の横方向の変形」ではなく、「地震時の地盤の剪断変形」が正しい。

(委 員) 資料?の経費と資料?の案-3 の経費が、同じ額となっているのは、偶然か。

(東京都) 資料?の案-1〜3 を組み合わせた資料?の案は、資料?の案-3 に非常に近い工法にな
っている。違いは、案-3 では処理基準の10 倍を超過するベンゼンを含む汚染土壌を
洗浄処理するとしていたが、前処理をしてベンゼン濃度を処理基準10 倍以下とし、
洗浄処理することに変更したことである。この部分が、案-3 と案-1〜3 の組み合わせ
案では億円単位に丸めると同じ数値となる。

(委 員) 案-3 を基本とし、部分的に案-1,2 を採用しているということになると思うが、そのよ
うな表現をせず、案1〜3 が同じレベルとして評価しているような表現となっている
のには、何か意図があるのか。

(東京都) 結果的に案-3 に近い経費となっているが、組み合わせは、案-1〜3 を網羅した内容と
なっている。

(委 員) 経費は、直接経費の試算額だと思うが、実際は間接経費、金利、保険料なども入って
くるので、その辺りをはっきりさせたほうがよい。

(東京都) 経費率には間接経費も見込んでいる。

(委 員)予定価格ではないと前回説明があったが、この経費を上回って落札するということが、
社会的に見て不自然になる。今回はリスクを見込んでいないので、本当に大丈夫な額
かというところまでは詰めていない。リスクを考えると、この経費を上回る可能性も
あるので、限定がつく額なのであれば、そのことを明確にしたほうがよい。見込んだ
経費率とは、何か。

(東京都) ヒアリングの結果、提案者からの提示があればこれを採用している。回答がない場合
は、東京都の経費率を採用した。

(委 員) 経費率には幅があり、実際の応札でどのようになるかはわからない。よって、経費を
見込んでいるので、問題ないというのは少し不安な面がある。対応として、この経費
を精査し、もっと安くなる要素のほうが多いと判断することもあるし、数値を丸めて
示す方法や注釈をつけて、幅のある数字であることを示す方法などいろいろな方法が
あると思う。あくまでも現状の労賃も含めた単価であるということを言っておく方法
もある。

(東京都) 一番注目されるのは経費だと思う。指摘事項に配慮して表現を工夫するが、1 年ぐら
い前の鋼材や原油が高騰したような、客観的な要素で説明できる状況変化がなければ、
発注のときにこの経費を変えることは難しい。それだけ重い数字になると認識してい
る。

(委 員) 業界も認識しているか。

(東京都) 今回は、技術力を問う公募であるので、提案者も経費に関しては安全率は見込んでいると思う。

(委 員) 資料?の3-2 頁で、遮水壁はソイルセメントのみとなっているが、3-3,3-4 頁では、道
路側に鋼管矢板、護岸側にソイルセメントという2 種類の工法になっている。なぜ3-2
頁は1 種類の記載となっているのか。また、道路側と護岸側で遮水壁を変える理由は
何か。

(東京都) 道路側は、新交通、道路構造物に与える影響が懸念されること、6.5m 程度の自立が
必要なことから剛性の強い鋼管矢板を採用している。一方、護岸のほうはそれほど自
立が必要ないので、経費の安いソイルセメントを採用している。資料?の3-2 頁で、
鋼管矢板を記載していないのは、一般的な工法であるためで、提案のあったソイルセ
メントのみを記載した。記載内容の一貫性が欠けている部分があるので、次回までに
見直す。

(委 員)資料?の3-3 頁で、「原位置微生物処理(前処理)で10 倍以下にする」という表現が
ある。原位置微生物処理は、シアンにもある程度効果があるが、今回はベンゼンを対
象にするので、そのことを明確にしたほうがよい。また、「10 倍以下」と決めつける
と、これが達成されなければ掘削できないと思われるので、「10 倍を目指す」とか、
「目標にする」とかの表現のほうがよいのではないか。

(東京都) 了解した。

(東京都) 資料?の3-2 頁で件数として示しているS,A,B 評価の提案は、別紙として公表する予
定である。評価結果は、個別に通知するが、報告書には件数のみ示せばよいのか。公
募を実施した責任の面で、別紙として、提案企業名、提案者名は出さずに、提案名称
を示してはどうかと考えている。

(委 員) 件数や割合は示してもよいが、名前は示さないほうがよいのではないか。

(委 員) 報告書で具体的な技術を示すと、なぜその技術が選ばれたのか、技術会議が責任を負
うことになる。

(委 員) B 評価の提案は、一般的に使われている技術が多い。

(東京都) S 評価の技術だけを示すのか、A 評価までとするのか、その辺りを議論していただき
たい。

(委 員) バイオレメディエーションとか、技術として評価するのであれば問題ないが、個別の
名称を記載するべきか。示すとしてもS,A 評価程度だと思うが、この場合にはA 評価
とB 評価の基準を明確にしておく必要がある。

(委 員) 個別に提案者に評価結果を示すのであるから、責任は果たしているのではないか。別
紙で示す必要はないと思う。

(委 員) 仮に示すとしても件名だけでなく、簡単にでも内容を記載しなければ、わからないの
ではないか。

(委 員) 公表というのは、閲覧を意味するのか。

(東京都) 東京都のホームページに載せることになると思う。

(委 員) 分類された提案名称と総合評価を示すのか。

(委 員) 提案の概要も示すのか。

(東京都) 概要は、事務局が要約して作成したので示さない。分類された提案名称と総合評価を
示す。

(委 員) その内容を公表するのであれば、報告書に別紙として示す必要はないのではないか。

(委 員) 資料?の3-2 頁にS 評価だけ記載し、内容欄にその概要を示す方法もあるのではない
か。

(東京都) S 評価だけにすると、これが採用されたように誤解されるおそれがあるので、S 評価
に固定したものではないという趣旨で、A,B評価の件数も示している。

(委 員) A 評価までならよいが、B 評価まで入れるのは気になる。

(委 員) 実績のあるB 評価をA 評価とするなど見直しを行いたい。

(東京都) 評価を見直していただいて、S,A 評価の件数を示したいと思う。

(委 員) B 評価の技術でも入札に参加できるのか。

(東京都) 参加できる。

(委 員) 今日審議された案が技術会議での結論であるとして決定する。


(4)技術会議からの提言骨子
(東京都) 技術会議からの提言骨子
○以下の内容を説明した。
1 検討体制
(1)豊洲新市場予定地の安全・安心を確保する対策と、具体的な技術・工法を別組織で検討

(2) 技術・工法を各分野の専門家で検討

2 技術・工法の公募実施
(1) 全国の幅広い業種の事業者から多数の提案
(2) 最先端の技術・工法の提案
(3) 多種多様な内容の提案

3 提言内容
(1)個々の技術・工法を最適に組み合わせた総合的な対策

(2) 最先端の新たな技術・工法の採用
? 最先端の処理技術により複合的な汚染を一掃
? 国内最大規模の新構造遮水壁設置
? 先進的工法による地下水の早期浄化
? 国内初の大規模地下水管理システム

(3) 環境に配慮した対策
? 汚染土壌は都域内で処理
? 処理土壌のリサイクルの促進
? トラック輸送の大幅削減
? 集中豪雨にも地下水の管理水位を維持

(4) 汚染状況の詳細な把握・分析に基づく対策

4 提言の特色
(1) 安全・安心を高いレベルで確保
? 専門家会議の提言を確実に実現
? 地下水を敷地全面にわたって早期に環境基準以下に浄化
? 土壌汚染対策法改正の動向を考慮した対策の採用

(2) 経費の大幅な縮減

(3) 工期の短縮

(4) 確実に施工可能な技術・工法を選定

(5) 契約に当たっての競争性を確保

(委 員) 液状化対策について再確認したい。液状化対策には、液状化により地下水が上がって
きて、上の土をかき乱す、要するに土壌汚染に結びつくので対策が必要という考え方
と、埋立地なので防災上対策が必要という考え方がある。この資料では、防災という
記述がなく、土壌汚染を防ぐための一つの方法だという書き方にしかなっていない。
その場合、緑地には液状化対策を実施しないので、矛盾が生じるのではないか。一般
の方には、土壌汚染プラス防災という意味で液状化対策を検討したというほうが、安
心の面ではよいのではないか。それでも緑地の矛盾は残る。

(東京都) 検討して記述を工夫する。

(委 員) 2 頁(1)に「応募者について見ると、国内有数の大手建設会社」とあるが、土壌の処
理業者が応募していないように読めるので、「土壌処理の専門業者に加え」などとい
う表現が必要と思う。4 頁(3)の?で「単に焼却するのではなく」は、「産廃の処分
場に搬入するのではなく」のような内容になると思う。同じ4 頁の「トラック輸送の
大幅減」は、環境問題と、エネルギー効率の面から省エネ対策にもなる。6 頁の4(1)
の?に「土壌汚染対策のすべて」との記述があるが、その下の?にあるように地下水
を浄化することで、建物下の遮水壁は設置しないので、「すべて」は削除したほうが
よい。その下の?は、重金属の不溶化に関する提案も多くあったので、指定区域解除
の要件も含めた記述がよいのではないか。

(委 員) 地下水を環境基準以下に浄化すると技術会議で決定したことで、液状化による汚染が
なくなった。したがって、防災対策だけでよくなり、全面的に液状化対策を実施する
必要があったものを、駐車場だけとし液状化対策範囲を狭くすることができたという
ようにアピールできるのではないか。

(委 員) 本当に問題ないかという疑問に対して、どのように答えるか。

(委 員) 対策後も地下水の浄化の機構を残しておくということで対応できる
(委 員) 本当は4m の盛土があるので、下で液状化しても実際には上がってこない。裏付けを
とれるデータもある。

(委 員) 7 頁(4)に「さらに、専門的視点から……ヒアリングを行い」とあるが、技術会議と
してヒアリングしてはいないため、技術会議で質問事項を検討して、事務局がヒアリ
ングを実施したということになると思う。

(委 員) 資料の構成は、大変よいので、あとは推敲をすることとする。

(5)技術会議報告書の構成
(東京都) 前回会議で報告書の概要について説明をさせていただきました。今回は報告書という
形にして、その構成について説明をさせていただきます。
本日、選定の結果と、それから、先ほども公表についてご議論がありましたけれど
も、それは一応該当するところが空欄になっておりますが、次回までには内容をすべ
て記載して、案という形でご説明をさせていただきたいと思っております。

それでは、1枚めくっていただいて、目次でございます。内容をすべてにわたって
簡単にご説明させていただきます。目次は大きく1から5、1番が設置目的と検討体
制、2番が新技術・新工法の公募、三つ目が評価・検証の過程、四つ目が技術会議の
提案、5番目が技術会議からの講評というふうにしてございます。
もう1枚おめくりいただいて、1ページでございます。ここは設置目的と検討体制
ということで、二つ目の検討体制につきましては、この会議の構成でございます。非
公表となっておりました委員の皆様の氏名を公表させていただくということでござ
います。

もう1枚目おめくりいただいて、2ページです。ここが開催状況です。会議の開催
日ごとに検討内容を記載して、開催状況を明らかにしてございます。これも最後まで
いきますと、すべてはまるようになっております。一番下に会議の運営についてです
が、会議は非公開としておりまして、その理由と、会議終了後には検討結果等を公表
していきますという運営についての記載をしてございます。
もう1枚おめくりいただいて、3ページでございます。ここは新技術・新工法の公
募です。内容につきましては、公募実施の際に会議で検討をいただきました公募要領
の主な内容を記載してございます。

次に、4ページでございまして、公募の結果の応募状況を明らかにしてございます。
表の上が事業者数ということで、種別は、大手事業者その他120 事業者、提案内容の
分類についても、汚染土壌その他で221 件というふうに表にして記載をしてございま
す。

次に、5ページをおめくりいただきまして、ここから評価・検証の過程でございま
す。まず初めに、評価基準といたしまして、ここで?から?まで記載しております評
価基準は、公募要領に記載された評価基準でございます。
それから、その下の審査項目と判定方法につきましては、先ほどご検討いただきま
した審査項目、判定方法の記載をしてございます。

6ページをお開きいただきたいと思います。評価の視点としてございます。第4回
の会議から第7回の会議まで議論をいただきました評価の視点、あるいは課題という
ことで、これは評価をする際の精度を高めるために何回か議論していただいたものを
整理して記載しております。6ページ、7ページにわたって評価の視点ということで
整理をさせていただきました。

8ページ、検討経過でございます。検討経過は、今まで会議でやっていただいた検
討経過を記載している形になっております。初めに、個別技術の評価でございます。
評価の方法といたしまして、先ほど221 件のうち総合提案の8件を除きました213
件について、各委員の専門分野ごとに評価をしていただきました。その結果を会議で
議論するということで、専門分野を超えて多角的に検討をしていただいたという記述
が評価の方法でございます。

その結果につきましては、次の9ページに記載をしてございます。S、A、B、C
の空欄のところには、個別技術の分類評価ごとに件数が入るようになってございます。
今は空欄でございます。合計は213 件ということで、総合提案を除いた213 件がこ
こに入る形にしてございます。

次に、10 ページをお開きいただきたいと思います。先ほどの個別技術をもとに各
委員から推奨していただいたものを一連の対策として組み上げたわけですけれども、
その前提といたしまして、ここに記載してありますように、技術会議が独自に提案し
た事項ということで、処理土量の低減であるとか、地下水の早期浄化、これは会議が
独自に提案をした事項と捉えてございます。これを前提に一貫した対策をつくり上げ
て、その評価ということで、その下の「一貫した対策の評価・検証」ということにな
ります。これは、今日もご議論いただきました5案のところの評価でございます。
委員から推奨技術として出していただいたものを組み合わせて、それに今の技術会
議の独自に検討された対策事項を反映させて汲み上げたという位置付けでございま
す。この評価につきましては、経費、工期の算定、その他多角的な検討を行って評価
をし、本日、1から3、そして1本にしたという経過がございます。
次のページに1から5案の概要をお示ししてございます。

次に、12 ページでございます。応募のあった総合提案の8件の評価についてでご
ざいます。これにつきましては、委員の専門分野に関する部分を以前評価していただ
き、今日、その結論が出たところでございます。また、先ほども出ました2件につき
ましては、1事業者の提案をもとに二つの案を作成して評価をしたということで、先
ほどの5件と併せまして15 件を本日評価していただいたということでございます。
次の13 ページに、ただいまの総合提案の8件と2件、合計10 件の概要を記載させ
ていただいております。

それから、14 ページは白紙になってございますが、これは今日、あるいは前回か
らそれぞれの一連の対策についての評価を記載するということで、本日の会議を反映
させて、次回までには評価について記載をしたいと思います。
次の15 ページ以降ですけれども、ここからは技術会議からの提案ということで、
取りまとめによる技術会議からの提案の記載となります。内容につきましては、提案
の内容ですとか、その前段となる考え方ですとか、そういうことを次回までに本日の
結論を受けて記載したいと思っております。

次のページですけれども、ここも空欄になってございますが、技術会議からの講評
ということで、まとめ的な内容にしたいと思っております。
また、先ほどアピール・ポイントでご議論いただきましたけれども、そういうとこ
ろも考慮しながら報告書をつくり上げて、次回、15 日には案という形でご説明がで
きるようにしたいと思っております。以上でございます。

(委 員) 11 頁の表中の「一般的な工法」は何か。

(東京都) これまで「一般的な工法」を基準に比較検討したので記載しているが、記載の有無に
検討を要すると考えている。

(委 員) 液状化対策は、一般的な工法と全く変わらないので、何も変わっていないと指摘され
そうである。
新しい工法がなかったので、仕方がない面もある。改良範囲を狭くしたということを
アピールすればよいと思う。

(委 員) 先ほどの議論にも結びつくが、選定された工法をS 評価もしくはA 評価の技術とす
るのであれば、選定されていない分類に例えばA 評価があった場合、矛盾する。

(東京都) 豊洲には適用しにくいが、技術としてはA 評価というものがあってもよいと思う。

(委 員) 報告書には、付属資料がつくのか。

(東京都) 他に公表を予定しているのは、会議録と個別技術の評価結果となる。

(委 員) 公表するというのは、報告書につけるということか。

(東京都) 先ほどの議論から報告書の別紙はつけず、ホームページなどで公表する。


  


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2010年01月31日

「第10 回豊洲土壌汚染対策工事技術会議」BK

「第10 回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の概要

1 日時
 平成21 年1 月15 日(木) 11:00〜13:00

2 場所
 東京都庁第一本庁舎

3 出席委員
 原島文雄座長 ほか5名

4 検討項目
? 耐震対策の考え方
 場内通路、駐車場、緑地の地盤に対する耐震対策の考え方を整理した。

? 全体計画の策定
 前回の技術会議において取りまとめた総合的な土壌汚染対策案について、課題となっていた汚染土壌処理、埋め戻し材料に係る費用の精査結果を事務局から報告し、対策工事全体の流れ、個々の対策内容、経費、工期を確認した。

? 報告書案の検討
 報告書の記載内容について検討した。次回会議では、各委員からの意見を集約することを確認した。



耐震対策の考え方について

第6 回技術会議において示した耐震対策の考え方について、以下の理由により、新たに耐震対策の考え方を整理する。

(第6 回技術会議 参考資料抜粋)

1.豊洲新市場における耐震の考え方
都における市場の位置づけ
中央卸売市場は、「東京都耐震改修促進計画」(平成19 年3 月)において、防災上重要な公
共建築物に位置づけられている。
また、築地市場は、東京都地域防災計画において、陸上輸送基地に指定されており、災害発
生後3日目以降、被災者の炊き出し用生鮮食料品の提供を行うことや他府県等からの緊急物資
の受入れ・一時保管・地域輸送拠点への積み替え・配送等の拠点としての機能が求められてい
る。

豊洲新市場は、築地市場の機能を移転する位置づけにあることから、同様の指定を受けるこ
とが考えられる。

2.豊洲新市場における取扱い
(1)市場施設
○大地震動後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できること及び、人命の安
全確保に加えて機能確保が図られていることを目標水準とする。
これは、都立の病院、学校、防災用設備等、災害応急対応対策活動に必要な施設や地域防
災計画において避難所として位置付けられた施設と同じ目標水準である。

(2)桟橋
○災害時においても積替え・配送等の拠点として、船舶が接岸可能となる耐震性を確保する。

(3)護岸
○東京都港湾局が、通例整備している護岸と同様の耐震性を確保する。

(4)場内通路、駐車場部の地盤
○震災時に、直ちに業務を再開する必要があること及び、災害時に配送等の拠点としての機
能も合わせ持つことから液状化対策を行う。
○耐震性能については、市場内の構造物との整合を考慮して、必要な耐震性を確保する。

(5)緑地部の地盤
○緑地での液状化対策は行わない。

1.豊洲新市場における耐震の考え方
(1)都における市場の位置づけ
中央卸売市場は、「東京都耐震改修促進計画」(平成19 年3 月)において、防災上重要な公
共建築物に位置づけられている。
また、築地市場は、東京都地域防災計画において、陸上輸送基地に指定されており、災害発
生後3日目以降、被災者の炊き出し用生鮮食料品の提供を行うことや他府県等からの緊急物資
の受入れ・一時保管・地域輸送拠点への積み替え・配送等の拠点としての機能が求められてい
る。

豊洲新市場は、築地市場の機能を移転する位置づけにあることから、同様の指定を受けるこ
とが考えられ、震災に際しても、これらの機能が確保できるよう耐震対策を実施する。

(2)食の安全・安心を高いレベルで確保
土壌や地下水の汚染物質を除去、浄化した直後に、敷地全域すべての地下水を環境基準以下
に浄化できるかどうかは不明確であり、仮に環境基準を上回る箇所がある場合には、その後も
対策を行い、環境基準を達成する必要がある。こうした点を考慮し、液状化現象によって地下
水が地上に噴出することを防止するため、耐震対策を実施する。

2.豊洲新市場における取扱い
(1)市場施設
○大地震動後、構造体の大きな補修をすることなく建築物を使用できること及び、人命の安
全確保に加えて機能確保が図られていることを目標水準とする。
これは、都立の病院、学校、防災用設備等、災害応急対応対策活動に必要な施設や地域防
災計画において避難所として位置付けられた施設と同じ目標水準である。

(2)桟橋
○災害時においても積替え・配送等の拠点として、船舶が接岸可能となる耐震性を確保する。

(3)護岸
○東京都港湾局が、通例整備している護岸と同様の耐震性を確保する。

(4)場内通路、駐車場部の地盤
○震災時に、直ちに業務を再開する必要があること及び、災害時に配送等の拠点としての機
能も合わせ持つことから液状化対策を行う。
○耐震性能については、市場内の構造物との整合を考慮して、必要な耐震性を確保する。

(5)緑地部の地盤
○場内通路、駐車場部の地盤と同様に、必要な耐震性を確保する。

http://www.shijou.metro.tokyo.jp/gijutsu/siryo/10-5.pdf


  


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2010年01月31日

「第11回豊洲土壌汚染対策工事技術会議」BK

「第11 回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の概要

1 日時
 平成21 年1 月28 日(水) 10:00〜12:00

2 場所
 東京都庁第一本庁舎

3 出席委員
 原島文雄座長 ほか4名

4 検討項目
(1) ベンゾ(a)ピレンの調査、不透水層の確認及び不透水層の汚染について
ア 一連の報道に関する経緯、調査データ、専門家会議委員の意見などを事務局か
ら説明した。

イ 「ベンゾ(a)ピレン」はタールの中に含まれていることから油分の中温加熱処
理、「不透水層未確認及びその汚染」については底面管理による汚染土壌の掘削、
除去など、いずれも技術会議でとりまとめた対策で対応が可能であることを確認
した。

次回は、調査結果からベンゼンの検出箇所におけるベンゾ(a)ピレンの濃度な
どを確認することとした。

(2) 報告書案の検討
 報告書の記載内容に関する各委員からの意見を集約し、それらの意見をもとに修
正した箇所について確認した。
 各委員が再度内容を精査し、次回会議で決定することとした。

(3) 提案の評価結果通知
 各提案に対する評価結果及び評価コメントについて、次回会議までに再度内容を
確認することとした。

(4) 公表する資料について
 公表する資料の公表方法を確認した。







「第11回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」会議録
1 日時
 平成21 年1 月28 日(水)10:00〜12:00

2 場所
 東京都庁第一本庁舎33 階 特別会議室N6

3 出席委員
 原島座長、矢木委員、長谷川委員、川田委員、根本委員

4 議事
(1)技術会議報告書(案)
(2)個別技術の評価結果の通知について
(3)公表内容について
(4)その他

5 検討内容
(1)技術会議報告書(案)
(東京都) それでは、技術会議の報告書(案)について。前回の第10 回とその後の各委員の先
生方から訂正が参ったものを整理いたしました。報告書自体は、このA4のサイズの
報告書になりますが、これは訂正済みの報告書でございます。それで、ちょっとわか
りやすくA3の新旧対照表をまとめております。ちょっとこれのほうを説明したいと
思います。

まず、前回の10 回目で出したものが旧、右側の今回訂正になっているものが新と
いう形でまとめさせていただいております。それで各委員の先生方からいただいた訂
正文、これをすべて入れたつもりでおりますが、さらにこれを再確認していただきた
い。場合によって持ち帰っていただいてまた確認していただきたいと思います。

例えば、1ページ目のP4と書いてある下のキの第7回の会議のところ、これは第
10 回に委員のほうから、「汚染物質を除去しきれない細粒土壌」と。これを「埋め
戻しに適さない土壌」というのに変更いたしますと。こういう並びでもってすべて書
いてあります。

2ページ目はこの表、重複するところをなくそうということで、全合計221 になる
ように修正しております。それから、第10 回目の会議についても骨子を入れており
ます。

それから次の3ページ、これも先ほどの重複をなくそうという趣旨で書いておりま
す。それから、前回評価がなかったところ、S、A、B、C、それの数を入れており
ます。それから、ちょっと戻りますが、一番上のP10、委員のほうから、費用便益分
析の考え方についてというところを詳しく訂正していただきましたので変えてござ
います。

以下、4ページになりますが、P13、これは委員からの訂正になっております。そ
の下もでございます。

それからP14、これは掘削した土壌を処分する関係部署のほうから、若干言葉の言
い回しを専門的にしてくださいということで、「埋め立て用土壌」という言葉を「埋
め立て用材」というような言葉に変えてございます。

それから、その下も委員から訂正があった文章でございます。

それから、液状化対策、委員のほうから下の3点を指摘されておりますので、変え
てございます。

次のページ、ちょっと細かくなりますが、一番上、これは消すだけでございます。
それからP16、その下もでございます。さらに、この一番下のP17 も委員からの
ご指摘でございます。
次の最後のページになりますが、6ページ、これは、P18、P24、P24 と二つあ
りますが、これもいずれも委員のご指摘で訂正させてもらっております。
一番最後は、「他の事例に比べて高い水準ではない」というところをちょっと詳し
く言い回しを変えてございます。

これを担当の各委員の方々にもう一回見ていただいて、最終的にこういった文章で
いいのかどうなのか、再度チェックをお願いしたいと思います。

(東京都) 報告書案は、前回の第10 回会議とその後の各委員からの指摘をもとに修正したので、
持ち帰っていただき確認していただきたい。

(委 員) 今後、報告書案の内容が変わる可能性はあるか。

(東京都) 基本的に構成が変わることはないが、ベンゾ(a)ピレンの問題については内容を追
加する。

(委 員) 中温加熱処理について、400〜600℃で分解処理するとしているので、例えば、石油系
炭化水素等も分解されるということになると思う。

(2)提案者に通知する評価結果と評価コメント

(東京都) A3版の別紙1という「提案者に通知する評価結果と評価コメント」、これでござい
ます。通知するところ、ちょっと1ページ目をごらんください。黄色く色が塗ってあ
るところ、ここの部分だけは個別の技術の評価結果として提案者に通知をしたいと思
います。
 それで、評価のコメントでございますが、これは各専門の委員からいただいたコメ
ントをここに載せております。申しわけございませんが、時間のないところで非常に
恐縮でございますが、コメントにつきましても再度、先生からのコメントを忠実に再
現したつもりでおりますけども、場合によって抜けている場所があるかないか、その
チェックだけよろしくお願いします。これも2月2日までにできればお願いしたいと
思います。こんな形で出したいと思います。

(委 員) 特に意見なし。

(3)公表内容について
(東京都) それでは、公表内容について私のほうからご説明をさせていただきたいと思います。
本日公表内容としてご協議いただく3点、丸印をつけてございます。1点目ですけれ
ども、以前からお話をさせていただいているように、会議資料、第1回目から最終回
までですけども、会議資料につきましては原則公開となります。ただし、東京都では
情報公開条例というのがございまして、そこに非開示、開示してはならないというよ
うな項目がございまして、それに準じて対応をさせていただきたいということでご了
解をいただきたいと思います。

一つは個別技術、それぞれ提案されてきた内容の個別技術。それから都のこれから
の契約に係る積算等に関する情報が記載されている資料ということを、そういう非開
示情報を除いて今後ホームページ等で公開をしていくというふうにさせていただき
たいと思います。

非公表内容の例ということで、各委員の評価結果、これは何回か先生たちにやって
いただきました概括的評価の一覧表でございます。これは各提案のSからCまで講評
が載っておりますので、企業といいますか、各工法ですけれども、不利益な情報にな
るということで、これは全面非開示・非公表というふうにさせていただきたいと思い
ます。

それから、推奨された新技術・新工法。これも各提案者の技術概要になりますので、
これについても非公表と。

それから、新技術等の調査票。これは応募のときに各事業者から提案された提案書
の一部でございますけれども、これについても以前了解をいただいたとおり、非公表
とさせていただきたいと思います。
それから最後ですけれども、一般的な工法。この工法自体の流れはフロー図として
よろしいんですが、工種ごとの費用ということで積算の内訳等が載っておりますので、
こういったものについては部分的に非公表というふうな取り扱いにしたいと思いま
す。こういうのが今までの資料の中にいろんな場面で出てきますので、それを事務局
のほうで精査をし、非公表というような取り扱いにし、それ以外については報告書と
同時に公表をさせていただきたいというふうに思っております。

それからもう一点、会議録でございます。会議録につきましては、今日も第1回か
ら第10 回までの会議録として机の上に配付をさせていただいておりますけれども、
これにつきましては、先ほどの確認と同じように、各先生たちの発言内容についても
う一度、ちょっとボリュームが多いんですが、ご確認をいただいて、調整をうちのほ
うでさせていただければというふうに思います。先ほどの2日と同じ期日までにご自
分のご発言のところで足りない部分があれば申し出ていただければというふうに思
っております。

 それからもう一つ、3点目といたしまして、対策として定めた技術・工法に該当す
る公募提案ということで、別紙2の「対策として定めた技術・工法に照らして評価の
高かった公募提案」という資料をお配りしてございます。これに関しましては、公募
に際しての公募要領の中で、公募において選定された新技術等の概要は、提案者名を
除き公表するというふうに記載をして公募をかけております。したがいまして、今回
一連の評価の中でSとAの一部について、定めた技術・工法に該当する提案について
は公表をするということで、内容は、提案名とその技術の概要ということで公表をし
てまいりたいというふうに考えております。

(委 員) 別紙1「提案者に通知する評価結果と評価コメント」では、客観的に問題点を指摘し
ているが、解決できないような問題点の書き方がしてあるのに、優秀提案とされてい
る場合、矛盾が生じる。問題点の解決が可能なものを選定しているということが、わ
かるような書き方になっていればよいと思う。

(委 員) この資料は、開示されるのか。

(東京都) 開示請求があったときの判断になるが、提案者の不利益な情報の部分については、非
開示と判断できると思う。

(委 員) 開示請求に対応して開示するということであれば、公表と同じになると思う。

(委 員) 選定されなかった理由を開示しないことは通るかもしれないが、選定した提案につい
て、現在の公表資料では概要しか記載がないので、選定理由が開示の対象になると思
う。選定理由があれば問題ないのではないか。

(委 員) この件については、事務局で検討して次回結論を出していただきたい。
会議開催に先立ち、新聞で報道されたベンゾ(a)ピレン、不透水層が確認されなかったこと及び
不透水層の汚染について、東京都よりデータを示し、専門家会議の見解と合わせて説明を行った。

(1)ベンゾ(a)ピレン・全石油系炭化水素(TPH)について
・基準がないベンゾ(a)ピレンについて、評価をどのようにするのか。豊洲以外でも、4〜5
?/kg であれば他にもあると思う。基準をつくるのであれば、データを解析すべきである。
安全基準でなく、施工中の作業基準、例えば、搬出土壌の油臭のチェツク、大気環境モニタ
リング等の追加で良いと思う。
・ベンゾ(a)ピレンは500℃で揮発するので、600℃の中温加熱処理で処理は十分可能である。
・ベンゼンや油分が多い土壌については、ベンゾ(a)ピレンのためというよりも、ベンゼン等
の揮発や粉じんの飛散防止のために、シート等で覆う必要があり、これにより対応可能と考える。
・具体的に油分を処理する技術は募集していないが、そのような提案は多く出されている。
・ 対策は可能であるが、分布を確認するためのデータの評価が先決である。
・ 現状でどの程度汚染されているのか、ベンゼンとの相関も含め分布、濃度を確認する必要がある。
・ ベンゼンとベンゾ(a)ピレンの対比図をつくるべきである。

(2)不透水層について
・過去の工事で不透水層中に人為的に穴をあけてしまったのかもしれない。調査して穴があれ
ば埋め、さらに液状化対策し、地下水管理を行うことで、予防措置が図られる。

  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 12:38Comments(0)豊洲

2010年01月31日

「第12回豊洲の土壌汚染対策工事技術会議」会議録BK


「第12 回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の概要

1 日時
 平成21 年2 月3 日(火) 10:00〜13:00

2 場所
 東京都庁第一本庁舎

3 出席委員
 原島文雄座長 ほか6名

4 検討項目
(1) ベンゾ(a)ピレン及び不透水層の対策について

ア 調査結果によりベンゼンの検出箇所におけるベンゾ(a)ピレンの濃度などを確認し、技術会議でとりまとめた対策でベンゾ(a)ピレンへの対応が可能であることを改めて確認した。

イ 不透水層の未確認地点及びその汚染については、対策時の底面管理による汚染土壌掘削、除去などにより対応が可能であることを改めて確認した。

(2) 報告書の決定
 報告書の記載内容に関する各委員からの意見を集約し、それらの意見をもとに再度修正した箇所を確認のうえ、報告書を決定した。

(3) 提案の評価結果
ア 各提案に対する最終的な評価結果及び評価コメントについて、その内容を確認した。

イ 提案のうち、技術会議が定めた技術・工法に照らして評価の高かったものについては、その概要に加え、評価コメントを併せて公表することとした。




「第12回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」会議録
1 日時
平成21 年2 月3 日(火)10:00〜13:00

2 場所
東京都庁第一本庁舎42 階 特別会議室B

3 出席委員
原島座長、矢木委員、長谷川委員、小橋委員、安田委員、川田委員、根本委員

4 議事
(1)ベンゾ(a)ピレンについて
(2)不透水層について
(3)技術会議報告書(案)
(4)提案者に通知する評価結果と評価コメント
(5)公表内容について

5 検討内容
(1)ベンゾ(a)ピレンについて
(東京都) それでは、先般、報道等で出ましたベンゾ(a)ピレンの問題でございます。
まず、19 年5月から行われました専門家会議におきまして、土壌汚染状況の調査
の必要性が提起された中にございまして、今回ベンゾ(a)ピレンにつきましては、ター
ルに含まれているということで、調査地点で処理基準を超えまして、油臭・油膜が非
常に顕著にある160 カ所、全体441 カ所の中から160 カ所を選定して、そのコアの
中で油臭・油膜が強い深度の土壌を採取・分析いたしました。

その結果でございますが、160 カ所中150 カ所でベンゾ(a)ピレンが検出されたと
いうことでございます。このうち50mg/kg を超えたのが15 カ所で、最大濃度は
590mg/kg という結果でございます。

こうした分析結果を受けまして、私どもといたしまして、まず安全性の確認という
ことで、専門家会議の先生にご意見を伺うということで、専門家会議で議論されてい
た値よりも大きいこともございまして、安全性を確認するということで専門家会議の
意見を聞いております。その専門家会議の委員の意見につきましては、専門家会議の
中でも地下水中にベンゾ(a)ピレンが溶けていたときに、それが揮発して地上に上って
くるといった場合を想定いたしまして、そこで大気環境等に影響がないかというもの
をリスク評価ということで行っていただきました。

ベンゾ(a)ピレンにつきましては、水に溶けにくいということもございまして、水に
溶ける溶解度になったとしても10−5を超えないという先生たちのご意見で、十分安
全だろうということでございました。ただし、ベンゾ(a)ピレンの土壌を実際に外部に
搬出するときには、拡散を防止する点から適切な配慮が必要ではないかといったご意
見をいただいております。
 こういった意見の中で、ベンゾ(a)ピレンの処理の可能性の検討ということでござい
ます。技術会議で策定いたしました土壌掘削をいたしまして、中温加熱処理ですとか
洗浄処理ですとか、それぞれ処理方法が策定されているわけでございますけれども、
その対策につきまして、高濃度の汚染土壌の多くは油膜が見られるということで、中
温加熱処理の対象としております。我々160 検体を見てみますと、中温加熱処理によ
って50mg/kg を超える15 カ所中14 カ所に汚染土壌が完全に浄化されるというよう
な、この技術会議での対策の結果ではそういうことになっています。
 さらに、洗浄処理とか生物処理も一定程度の浄化が可能でございまして、特に埋め
戻し用に分級した粗粒土はベンゾ(a)ピレンはほとんど含まない可能性があるという
ことでございます。
 さらに、処理基準以下の健全土壌のベンゾ(a)ピレン濃度は低レベルということで、
このうち埋立用として有効に活用していく土壌は油臭をチェックいたしまして、油臭
が強いものは中温加熱に回すことを考えておりまして、こういった土壌を除きますと、
都内の一般環境土壌の最大濃度レベルと同レベルになるだろうということでござい
ます。

最終的に次のことが言えるということでございます。

 豊洲敷地内の土壌でございます。まずA.P.+4m〜A.P.+2mの土壌につきまして
は、外部から健全土を搬入して入れかえます。さらに、A.P.+2mよりも下につきま
しては、埋め戻し用に中温処理された土壌ですとか洗浄処理された粗粒土といったベ
ンゾ(a)ピレンをほとんど含まない土壌を用いることを考えていきますと、ベンゾ(a)
ピレンの濃度は現状よりも大幅に低下する状況になるということでございます。土壌
中にあるベンゾ(a)ピレンでございますが、現状でもリスクはほとんどないといったこ
とで、こういった対策をすることによって安全性はさらに向上するということでござ
います。

 土壌の外部搬出時の配慮ということで、特に埋立用として搬出する土壌につきまし
て、油臭をチェックいたしまして、油臭の強いものは中温加熱に回すといったことで
ございます。洗浄処理による細粒土については、セメントリサイクル等を行いまして
完全に分解されると。さらに、土壌の外部搬出に当たりましては、土壌の飛散防止措
置を講じていくということでございます。
 委員からもいろいろご指導いただきまして、まとめたということでございます。
ベンゾ(a)ピレンとベンゼン、TPH、三つの相関ということで、やはりそれぞれの
ところで値が大きくなっている傾向が、特に濃度が濃いところで顕著にあらわれてい
るのかなと思っております。

 2番目、処理法別ベンゾ(a)ピレン濃度でございます。中温処理の対象となります土
壌が最もベンゾ(a)ピレン濃度が高いという結果になったということでございます。
 そうした結果で、私どもで処理していくに当たって、A.P.+4m〜A.P.+2m、A.P.
+2mから下でそれぞれ処理方法を分けてございます。調査深度別に今回の技術会議
の中でどういった方法でやっているかといいますと、A.P.+4m〜A.P.+2mにつき
ましては、油分を含んでいるものについては中温加熱処理、洗浄または生物処理とい
ったこと、それ以外のものについては、処理基準以下のものについても油分を含んで
いるものがありますけれども、三つに分けますとそのようなことになってございます。
A.P.+2m以深につきましても、それぞれの処理方法で分かれております。さらに、
その中で油臭が強い土壌を除くと、汚染土壌処理法で処理基準以下と非掘削で分けま
す。

そういったことで、A.P.+4m〜A.P.+2mにつきまして、またA.P.+2m以深に
つきまして、濃度範囲が0.008〜7.3、0.005〜18.0 といったことで、東京都内の土壌
中のベンゾ(a)ピレン濃度と比較しますと、ほぼ同程度と考えられるということでござ
います。

ベンゾ(a)ピレンの性状と処理の可能性を整理させていただきました。これについて
は、委員から指導をいただいておりますので、委員から一言いただければと思います。
(委 員) 臭気度4 以上を除く処理基準以下の土壌のベンゾ(a)ピレン濃度はA.P.+4m〜2m で
は0.008〜7.3mg/kg と東京都内の一般環境の土壌の濃度範囲と概ね一致している。
A.P.+2m 以深については最大値が18.0mg/kg となっているが、算術平均と幾何平均の
差が大きいことから分かるようにレアケースと思う。

その他は、事務局が説明したとおり、ベンゾ(a)ピレンは、ベンゼン、TPH、油
臭と高い相関があるため、ベンゾ(a)ピレン濃度が高い土壌は、ほぼ全てが処理対
象土壌になると見込まれること、非汚染で搬出される土壌についても必ず臭気をチェ
ックし、臭気が強いと中温加熱処理に回されることから基本的に問題はないと思う。
今回の調査対象土壌は、処理基準以下の土壌といっても、汚染箇所まで掘削の途中、
油臭がひどい場合には処理対象とすることが考えられるので、カバーできると思う。
なお、今回の調査は、汚染がみられる土壌のうち、油臭・油膜がひどいところを選定
し行ったものであり、その他の場所は、油分による汚染も少ないと思われる。

粉じんとして直接吸収、接触する問題については、市場開場時には上層部が健全土
となることから市場そのものに対する影響はない。また、工事中に搬出する場合も、
事前に臭気度をチェックする他、フレコンパッグ等で包むことから環境影響はないと
思う。

(委 員) 洗浄処理の細粒土についてセメントリサイクルにより分解されるというのは、どういうことか。

(委 員) セメントリサイクルでは、中温加熱処理よりはるかに高い温度で処理することから、完全分解される。

(委 員) ベンゾ(a)ピレンは、生物処理で対応できるか。

(委 員) 対応は困難である。生分解性はあるが、短期間では難しい。ただし、ベンゾ(a)ピ
レンがあったとしても、微生物のベンゼンの分解については阻害はしない。ベンゾ(a)
ピレンを分解する菌はいるが、分解菌を接種するなど特別なことが必要となり、実用
化には至っていないので、ここでは適用が困難である。

(委 員) 洗浄処理については、事務局からメーカーに確認してもらったところ、油分に含まれ
るものについては、界面活性剤で油分を吸着できるので問題なく、粗粒土は摩耗作用
等によりほとんど含まれないだろうということであった。

(委 員) 油臭・油膜が顕著な160 箇所はどのような状況なのか。

(委 員) 事務局からは、ボーリングコアを見て油がしみ出しているところと聞いている。おそ
らく問題となるのは、実際に処理するときにどのように判断して、より分けるのかと
いうことだと思う。

(委 員) 50mg/kg を従来の最大濃度の約10 倍としているが、従来とは何か。

(東京都) 専門家会議で報告した最大濃度5.1mg/kg のことを示す。

(委 員) 5.1mg/kg の約10 倍(50mg/kg)がどのような意味を持つのか、考えたほうがよい。

(委 員) 基本的には環境の濃度と比較することがよいと思う。東京湾の底質のデータが結構あ
るが、比較的濃度は低い。国の調査結果でも0.6〜0.7mg/kg で、最高でも2mg/kg 程度
である。むしろ、都内の幹線道路近傍ではディーゼル排ガスの影響を受けるためか、
結構高い濃度となっている。見た限りのデータでは、東久留米市の下里で6〜7mg/kg
程度あり、10mg/kg であれば一般環境濃度の最大レベルと同程度と思う。A.P.+4m〜
2m では、臭気度4 以上を除くと、濃度が高いもので、ほぼ6〜7mg/kg となる。
 今回の調査では油臭・油膜がひどい160 箇所のボーリングコアを1m ごとに見て油
がしみ出しているところを分析しており、ここで最大6〜7mg/kg 程度でおさまるので
あれば、他の部分はこれよりも低いだろうということは言えると思う。また、A.P.+2m
以深で掘削対象であれば良いが、全深度が非汚染で掘削の対象にならなかった場合に
どうなるかという話が残るが、リスク的には問題ないと思う。
 事務局には、におい(臭気度)とベンゾ(a)ピレンの関係についても整理した方
がよいといってある。

(委 員) 臭気、油膜、ベンゾ(a)ピレンの関係について問われたときに対応できるようにし
ておく必要がある。

(東京都) まずベンゾ(a)ピレンでございますけれども、その対策ということでございますが、濃
度の高い、あるいは地表に近いベンゾ(a)ピレンについては確実に除去していくことを
一つのテーマとして挙げています。豊洲新市場予定地におきましては、A.P.+4m〜
A.P.+2mの土壌についてはすべて入れかえることを行っていきます。
A.P.+4m〜A.P.+2mの油分を含む土壌、またA.P.+2mよりも深いところの油
分を含む汚染土、そういったものは中温加熱処理、または洗浄処理をして無害化を図
っていくということでございます。
 A.P.+2m以深で掘削除去しない土壌に含まれるベンゾ(a)ピレンの濃度は、専門家
会議の議論もございましたし、技術会議、この場の議論もありまして、専門家会議の
議論の中で人の健康や生鮮食料品への影響がなく、問題はないということです。
掘削搬出する際にはテントで覆いまして、掘削をして飛散防止を図っていくといっ
た対策をベンゾ(a)ピレンについては考えております。

(委 員) 濃度の高い、あるいは地表に近いベンゾ(a)ピレンについては、油膜が見られる汚
染土壌の処理を通じて対応するということになると思う。また、油分は測らないので、
油膜が見られるということになる。A.P.+2m 以深で掘削除去しない非汚染土壌に含ま
れるベンゾ(a)ピレンの濃度レベルは比較的低いと思う。掘削運搬について、テン
トで覆い掘削するというのはあくまで作業内容で、掘削搬出の場合、埋立用材につい
ては油臭をチェックする、搬出の際にはフレコンパック等で覆うことが基本になると
考えられる。

(東京都) 了解した。

(委 員) 一番問題となるのは、生物処理で除去できないベンゾ(a)ピレンを確実に処理する
ことで、このためには加熱処理が必要となる。

(委 員) 今回の問題が経費や工期に影響を与えないのか、また、この問題以外のことが生じた
ときに対応できるような提言となっているのかという点の見解を示しておく必要がある。

(東京都) 当初、ベンゾ(a)ピレンについては油分に含まれるものとして計算をしていた。今
回、改めて油臭・油膜との関係を確認したが、その結果、全体の経費を変更しないで
対応できることを確認している。

(委 員) この問題以外のことが生じた場合について、対応できるかという点はどうか。

(委 員) 不確実な事象については、保険や予備費で対応する。今回の場合、これを見込んでい
るのか、また、それを見込んでも効率的な対策といえるのか、技術会議としての判断
が必要になると思う。

(委 員) 通常、経費や工期にこのような変動は見込んでいるのか。どの程度見込んでいるか、
数値として示せるか。

(東京都) 費用の何%であるかということは示しにくいが、今回のように油分に含まれるベンゾ
(a)ピレンであれば、十分に対応可能と考えている。

(委 員) ベンゾ(a)ピレンについては、これに特化した対策を追加するわけではないので、
問題ないと考えている。

(委 員) 資料では、人の健康や生鮮食料品への影響はなく、問題はないと書いてあるが、これ
は、専門家会議の見解である。我々はそれに対してどういう技術があるか検討するの
が役割なので、安全性についてはこの点を前提にしないとちょっと難しい。

(委 員) 人の健康影響については、技術会議ではなく専門家会議委員の意見になるのではないか。

(委 員)その点では、無害化するというのは技術会議としては無害化されるということになる。

(委 員)非掘削土壌は問題はないというのも、何を根拠とするのか明確にしておく必要がある。

(委 員) 基準がないので、都内の通常の場所と相当程度以下としかいえないのではないか。

(委 員) 非掘削土壌は健全土であるので、低濃度であることは間違いない。

(2)不透水層について

(東京都) 不透水層の未確認地点についてでございますが、私ども土壌汚染対策を考える際に、
豊洲新市場予定地の下にあります有楽町層という土の層が不透水層であるというこ
とで、そこから上部についての対策をとっていくということで、不透水層よりも下に
つきましては調査をしていない状況にございます。そうした中におきまして不透水層
が、2地点でございますけれども確認されなかったということがございました。その
未確認地点につきましては、まず周辺の調査を行いまして、実態を把握した上で、対
策時に汚染物質を確実に除去していくことを基本的な考え方としております。そうい
う中にありまして、2カ所が確認されなかったわけですけれども、ここは441 カ所、
不透水層を確認していく中で2カ所だけ確認できなかったと。また、周辺のメッシュ
を見てみますと、みんな不透水層が確認されていることもございまして、特異な点だ
ということで考えておりまして、特異な点ということで実態把握ができないと。

 こういったことから、周辺部の調査を行いまして、実態を確認した上で対策を行っ
ていくということでございます。土壌につきましては、深さにかかわらず汚染物質を
すべて除去していく。また、地下水についても汚染状況を確認した上で浄化していく。
そういった土壌・地下水の対策をしっかりととった上で、人工的に不透水層をつくっ
て、さらに地盤面まで埋め戻しを行って、さらに液状化対策を行うといった最善の対
策をとっていくということでございます。
 こういった未確認のところが2カ所、特異なところで出ましたけれども、本地点と
か、将来的に底面管理が必要な地点を除きまして、不透水層も含めてですけれども、
不透水層より下の調査は行わないということで考えております。

 さらに、不透水層に関連いたしまして、不透水層の汚染といったものでございます。
不透水層中に汚染物質が確認されたものについては掘削除去するということでござ
います。東京ガスの調査結果におきまして、不透水層の中で環境基準を超える汚染物
質が確認されている地点につきましては、汚染が存在する範囲を底面管理により確認
いたしまして、汚染土壌は掘削除去することになります。土がある深さまで汚れてい
るということでございますと、不透水層の上端で汚染が見つかっているということで
ございますので、不透水層の中であっても一番下の汚染があるところまで掘りまして、
さらにその汚染が下に行っていないかを確認いたしまして、それが底面管理になりま
すけれども、そういったことをやりながら汚染土壌は掘削除去していくということで
ございます。不透水層自身を掘削することになりますものですから、そういった掘削
部分につきましてはセメントミルクなどで修復いたしまして、地盤面まで埋め戻しを
行っていくことを考えております。

 さらに、対策の際、底面管理におきまして不透水層中に汚染の存在が確認された場
合には、同じように対策をとっていくといったことで、いずれにしてもしっかりと対
策をとって万全なものにしていきたいと考えております。
以上でございます。

(委 員) 地下水の流れがなくても、下の方に地下水の汚染が広がることはあるのか。

(委 員) 物質により異なる。物質ごとに拡散係数があるので、流れがなくても微量ながら拡散
現象で広がっていく。また、吸着平衡もあるので、拡散のスピードは拡散係数とオク
タノール分配係数によりある程度予測ができる。

(委 員) 濃度拡散と移流分散の2 つがあり、濃度拡散はオーダーが4〜5 桁ぐらい移流より遅
いので、地下水がとまっていればほとんど動かない。トリクロロエチレンのように液
状で、比重が重い物質は、鉛直下向きに移動するが、ベンゾ(a)ピレンは比重が水
より重いが、水にほとんど溶けないことから移動することはおそらくない。また、吸
着性遅延係数があるため、油膜状で地下水の上層部に浮いたまま帯水層内を移流して
も、その過程で土壌等にトラップ、吸脱着される効果があるので、問題ないと思う。

(委 員) そういうことであれば、問題は不透水層未確認地点となる。

(委 員) 土壌汚染対策法には調査の考え方が定められており、汚染が確認された場合、ある一
定区間汚染がないところまで確認することという規定がある。法どおりに行うという
ことでよいのではないか。

(委 員) 汚染がとまっているものは底面管理できるわけですけど、不透水層の下に流れてしま
うことはあり得るのか。

(委 員) 豊洲は、2 万年前に隅田川と荒川が150m水面が下がって谷ができ、尾根状になった
ところの上に位置している。今回問題となっている箇所は、尾根の高いあたりで、こ
こだけ粘土が薄く、砂と粘土が混じっているという状況になっている。洪積層内の地
下水の圧力は被圧していることも考えられ、その場合は下に流れにくいことも考えられる。

(委 員) 不透水層未確認地点2 箇所については、底面管理や人工的に不透水層を設けることで
問題ないか。

(委 員) 仮に穴があいていても、地盤中でそう簡単には動かないだろう。

(委 員) 不透水層未確認地点について、汚染状況を確認して浄化するとしているが、もう一度
調査するという意味か。

(東京都) 地下水を確認するという意味である。

(委 員) 深いところも調査するということは、不透水層を破ることもあるのではないか。

(委 員) 土壌汚染対策法の適用になれば、調査せざるを得ないので、調査したほうが良いと思う。

(東京都) 不透水層未確認地点の2 地点については、それぞれに状況が異なる。1 箇所は土壌が
下のほうで汚染されていないものの、もう1 箇所では想定している不透水層の位置よ
りも下で汚染が確認されている。どちらも底面管理で2 深度確認できるまで汚染土壌
処理を行う。また、その中で地下水についても確認しながら浄化を行う。

(委 員) 不透水層未確認地点の周辺部を調査するとあるが、未確認地点については調査しないのか。

(東京都) 周辺部の調査は、汚染状況調査ではなく、不透水層の確認調査を考えている。不透水
層が確認できていないという部分がどの程度あるのか実態を把握することとしている。

(委 員) 周辺部の調査とは何か、明確にしたほうが良いと思う。

(東京都) 周辺部の調査で不透水層を確認するが、目視では判断が難しいところは透水係数も測
ったほうが良いか。

(委 員) 透水係数で議論して良いかという問題があるが、透水係数が10-5cm/s 以下で良いとい
うことであれば、サンプリングして透水試験を行えばよい。その場合に、1 深度だけ
でなく、2〜3 深度を対象にしたほうがよい。

(委 員) 不透水層が確認されている箇所では埋め戻して、その後、液状化対策を行う。未確認
地点では埋め戻しの際にセメントを混ぜて締め固めることで不透水層を形成することとしているが、問題ないか。

(委 員) 問題ないと思う。

(委 員)不透水層を形成し、埋め戻しを行うことでよい。

(委 員) 不透水層中に汚染が確認された箇所には、不透水層未確認地点も含まれるのか。

(東京都)これには不透水層未確認地点2 箇所を含まない。不透水層未確認箇所については対策
を実施することで対応し、専門家会議座長の見解も伺ったが、不透水層以深の調査は行わない。

(委 員) そのことは技術会議で決定すべきか。

(委 員) 今後、土壌汚染対策法の対象となる可能性があるので、法対象と同等の調査をおこな
うこととすれば、他の箇所については確認が終わっているので、やる必要はないので
はないか。

(委 員)不透水層まで汚染があるということと、不透水層以深の調査は行わないということは、矛盾はないか。

(東京都) 不透水層まで汚染があるといわれている箇所の他にも、5 街区のように不透水層が浅
い箇所では、2 深度確認ができていない箇所がある。これらも含めて対策時に確認は
すべて実施することとなる。

(東京都) 底面管理の場合、不透水層下の汚染の可能性がある程度あるのではないかと思われ、
不透水層下の調査をしなくてよいのかという議論もありうる。

(委 員) 2 深度確認を行うことになるので、問題ないのではないか。考え方の大前提として、
汚染面から2 深度確認を行う。その場合に不透水層であっても確認を行うということ
でよいのではないか。

(委 員) 不透水層まで汚染があるといわれている箇所においても、2 深度確認などで粘性土を
掘削した場合には、埋め戻し材にセメントを混ぜて人工的な不透水層を形成する同様
の対策が必要である。

(委 員) 液状化対策は、どのレベルに対応しているのか。

(東京都) レベル1 地震動で設計する。今後、レベル2 でも検証しようと考えている。

(委 員) 例えば締め固めのN 値20 を25 に上げる程度なので、レベル1 でもレベル2 でも大き
くは変わらない。

(東京都) 通常は、液状化層を改良するが、今回は汚染物質のある液状化層をとって新たな土で
締め固めて、さらにその上に液状化対策を行うのでかなりの余裕はあると思う。

(委 員) 建物の強度との関係はどうか。

(委 員) 建物は、レベル2 で設計されており、全く問題ない。問題は、液状化で地下水が上が
ってくるかどうかである。臨海副都心では、一般の土地は液状化対策を行っていない。
これに対して豊洲では緑地を含む全面で液状化対策を行う予定としている。

(3)技術会議報告書(案)
(東京都) それでは、第10 回のときも技術会議報告の新旧表でご説明しましたが、今回もA3
横の新旧表でご説明したいと思います。11 回目の会議が終わってから各委員の先生
方と再度チェックさせていただきました。それによって変更または追加になった部分
についてご説明いたします。
 まず1ページでございますが、第11 回目の会議の概要でございます。開催日時及
び検討の内容について書いたものです。
 (ア)としまして、ベンゾ(a)ピレンの調査、不透水層の確認及び不透水層の汚染に
ついてということで、一つ目といたしまして、一連の報道に関する経緯、各事項の調
査結果や専門家会議委員の意見などを事務局から説明させていただきました。二つ目
といたしまして、いずれの項目についても、技術会議で取りまとめた対策で対応可能
なことを再確認しております。

(イ)としまして、報告書の記述内容に関する各委員からの意見を集約いたしまし
て、それらの意見をもとに修正した箇所について確認、それから各委員が再度内容を
精査し、次回会議で確定することとしております。

(ウ)としまして、各提案に対する評価結果及び評価コメントについて、次回会議
までに再度内容を確認することとしております。
最後の(エ)になりますが、報告書とあわせて公表する資料の公表方法を確認させ
ていただきました。
報告書の11 ページになりますが、再度、総合評価の結果を精査していただきまし
た。

2ページ目ですが、報告書の14 ページ、エの(オ)でございます。汚染土壌の処
理・処分についてですが、「東京都域外への環境負荷を抑制するため、当該域内に汚
染物質処理の仮設プラントを設置する」、ここまでは一緒でございますが、その後に
なお書きといたしまして「設置の検討に当たっては、仮設プラントの設置と環境負荷
が同程度になると見込まれる、当該地域から比較的近い距離にある仮設プラントの活
用も含め、環境負荷の抑制に努める」と。将来、土対法の改正に伴って仮設プラント、
こういったものについて考慮して追加しております。

環境保全措置といたしまして、シを追加させていただきました。(ア)としまして、
「環境保全措置として、工事期間中は周辺の大気モニタリングや下水道放流のための
水質監視を行う」。(イ)としまして、「土壌を外部へ搬出する際には、フレコンパ
ックを使用するなど環境防止措置を講ずる」、先ほどの議論にもありましたようにフ
レコンパックというものを使って、ほかへ負荷をかけないような措置をします。

それに伴いまして、資材の調達と多角的な経費の検討は、一つずつずれまして、ス
とセという番号になっています。内容の変更はございません。

16 ページでありますが、打ち損じがございました。おわび申し上げます。正式な
言葉に変えさせてもらって、「環境基準」と「シアン化合物」を削除しております。
3ページでございます。報告書の17 ページ、掘削微生物処理、洗浄処理、中温加
熱処理について書いたものですが、冒頭の言葉になお書きで追加させていただいてお
ります。「なお、ベンゼンの揮散や油臭の発生のおそれのある汚染土壌は、テント等
を設置して掘削する」を入れております。

同じ場所の中温加熱処理でございますが、洗浄処理では洗浄が困難な油膜が見られ
る土壌は、加熱炉で、前回は「400 度から600 度に熱し」という言葉で表現させても
らいましたけれども、「油分(ベンゼン、ベンゾ(a)ピレンを含む)」にしております。
次のイの汚染土壌・汚染地下水対策、18 ページになりますが、先ほど不透水層の
議論に関したところで、委員からもご指摘がありましたように、三つ目の「・」に「不
透水層及びその下まで汚染土壌を掘削した場合には、セメント等で固化しながら埋め
戻しを行い、不透水層を形成する」といった言葉を入れさせていただいております。
4ページ目、報告書の25 ページですが、前回、ブラウンフィールドという言葉を
書かせていただきましたけれども、委員からのご指摘で、一般の方々にはなじみの薄
い言葉であって、ある程度注釈が必要だろうということで、「ブラウンフィールドと
は」ということで「土壌汚染の存在、あるいはその懸念から、本来、その土地が有す
る潜在的な価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地」という注釈をつ
けさせていただいております。
以上でございます。

(委 員) 市場予定地の土地価格に対する土壌汚染対策費が占める割合が23%で、環境省の報告
書ではブラウンフィールドとなる事例が20〜40%となっているが問題ないか。

(委 員) 環境省の報告は、概ね30%ということでよいと思う。あと、報告書の新旧対応表の1
ページにベンゾ(a)ピレンや不透水層の対応について、技術会議で取りまとめた対
策で対応可能とされているが、これだけだとなぜ可能なのか理由がわからない。包括
的に対策は提案してあるので、想定の範囲内であるといっているように一般的には聞
こえる。予備費的なものを考えていて、判断を変えなかったということであれば、今
後別の事象が発生した場合も救済できることになるが、そのような場合にはまた判断
し直すのか。

(委 員) 別な事象が発生すれば、対応できるかチェックすることになる。対応できない場合で
も、通常であれば施工の段階で対応することになるのではないか。行政として不確定
要素に対する予備費を入れることができるか。

(東京都) 大幅な計画変更となるのであれば、その時点で変える必要がある。

(委 員) 今の段階は技術としての適格性や経済性を検証する段階で、実際の施工は次の段階と
なる。技術会議は1 段階目で、2 段階目の発注の際にも経費を算出することになるこ
とから、今の段階でリスクプレミアムを見込むことはおかしくないと思う。

(東京都) 実際にリスクを見込んだ設計をすることは、東京都の場合難しい。

(委 員) 報告書の25 ページの「(6)汚染状況の詳細な把握・分析に基づく対策」では、詳細
な分析を行ったことで詳細に把握することができたと言い切っているが、別の資料で
は不透水層未確認箇所周辺の再調査を行うと記載されている。この経費は見込まれて
いないが、予備費を考えていなければ、最初からこの作業分が包括的に入っていたと
言わざるを得ない。増額しない理由をどこかに記載しておく必要がある。

(東京都) 予備費的なものを数値として示すことができないのが現状である。不透水層未確認箇
所は想定していなかったが、対策の基本的な考え方は、当初から考えていた底面管理
となる。底面管理による処理土量は、これまでの調査結果をもとにした出現率から算
出しているので、経費はかわらない。周辺部の調査もあるがこれも出現率の中に見込
んでいる。今後、経費に大きく関わる問題があれば、変更が必要となるが、基本的に
一連の対策の流れは変わらないと思う。

(委 員) 報告書の25 ページで、「詳細に把握することができた」とするのは言い過ぎではな
いか。技術会議では、プロトタイプの技術を提示しているのであって、最終決定では
ない。今回は、従前に比べると飛躍的に把握の程度が高まったということでよいので
はないか。最終的な選定段階で、リスクフリーにするようないろいろな手だてを打て
ばよいと思う。

(東京都) 文案を検討する。

(委 員) 今回、複合的な汚染に対する処理という点で、個々の物質を特定しないで、ある程度
柔軟に対応できるようにしている。同様に、不透水層の問題についても、最初から明
確になっているものだけにしか通用しないような技術ではなく、幅広く後発事象にも
対応できる技術を選んだという観点で技術会議は提案しているということを別の表
現で何か入れることはできないか。

(委 員)液状化対策については、通常想定していない万万一があっても対応できるという点で、
同様のことがいえる。

(委 員) 仮の想定をすることが問題ということはないと思うので、その点で批判されることは
ないのではないか。

(委 員) 今回の報道ではTPH についてもデータが示されている。油分、油膜、ベンゾ(a)ピ
レンについては、中温加熱処理で処理すると書かれており問題ないが、TPH について
はどうか。

(委 員) 相関関係の確認の必要はあるが、TPH は油分などと非常に相関があるので、油分を処
理することイコールTPH を処理することになるのではないか。

(委 員) ベンゼンの分布との確認はしているか。

(委 員) ベンゼンの分布とほぼ重なると思う。

(委 員) 重なるが、油臭のしない部分でも確認されている。そのような点で、ベンゾ(a)ピ
レンと同じ問題となるのではないか。

(委 員) 問題が出てくれば、施工段階で対応は可能か。

(委 員) 施工段階での対応は可能だと思う。

(委 員) そうであれば、発注の段階で対応できる。

(委 員) 施工の際に、搬出する場合には油臭で確認する。汚染土壌についても、現場判断で油
分が多ければ中温加熱処理、少なければ洗浄処理することになると思う。

(委 員) 報告書案20 ページで、中温加熱処理の対象とする油膜が見られる土壌、これに変更はないか。

(東京都) 油臭が見られる土壌は、今後の施工段階で出てくることから、中温加熱処理の土量は
変わる。ただし、中温加熱処理と洗浄処理を組み合わせることによって全体の経費は
相殺できるものと考えている。

(委 員) おそらく汚染土壌の中で洗浄処理するものと中温加熱処理するものの入れ替えがあ
るのだと思う。よって、油分の確認、処理の仕方を実際の工事の仕様書にどのように
記載するかにつきると思う。

(委 員) 報告書案の18 ページの「?土壌掘削・運搬・汚染物質処理」で、最初の「・」は冒
頭に「底面管理を行いながら」を加えたほうがよい。また、「掘削底面より2m の深
さまで汚染されていないことを確認する」と追記したほうがよい。
 また、「?埋め戻し」の「不透水層及びその下」は、「不透水層まで汚染土壌を掘
削した場合及び不透水層が確認されない場合」としたほうがよい。

(委 員) 今日確認したことをもって技術会議の報告書を決定する。

(4)提案者に通知する評価結果と評価コメント
(東京都) 前回、別紙1ということで提案者に通知する評価結果と評価コメント、こういった通
知をお配りさせていただきました。さらに各委員に再度精査していただきました。

(委 員)特に意見なし。

(5)公表内容について
(東京都) 公表する資料についてご説明申し上げます。A3判の資料を用意しております。前回
と同じような資料で、1枚おめくりいただきまして、提案の概要までを公表するとい
うことで前回ご協議いただきましたが、評価のコメントを入れて、できるだけわかり
やすいようにということで協議いたしまして、今回評価のコメントを記載し、処理を
させていただきました。
加えて、このほかに公表する資料につきまして、会議資料あるいは会議録がございま
すけれども、報告書の公表後速やかに公表するということでご了解をいただきたいと
思います。

(委 員)特に意見なし。

http://www.shijou.metro.tokyo.jp/gijutsu/siryo/12kaigiroku.pdf
  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 12:27Comments(0)豊洲

2010年01月31日

廃棄物処理法の疑義(昭和57 年6 月14 日)環産21号

【環産21号】廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について(昭和57 年6 月14 日)

本則

(各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長あて厚生省環境衛生局水道環境部産業 廃棄物対策室長通知)

 標記については、昭和五六年一〇月三〇日付け環産第四七号をもって通知したところで
あるが、この程同通知の訂正通知を別紙のようにとりまとめたので、参考とされたい。
 なお、別紙において使用する法令の略称は次のとおりである。

法:廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)
令:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三〇〇号)
規則:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四六年厚生省令第三五号)
共同命令:一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令(昭和五二年総理府・厚生省令第一号)

1 第二条関係(廃棄物の定義及び種類)

(レストラン等の汚水処理施設の沈でん物)
問1 レストラン、給食センター及び旅館に設けられたし尿以外の汚水を処理する施設に
堆積する沈でん物は何か。

答 沈でん物の性状がでい状であれば産業廃棄物である汚でいである。

(クリーニング汚でい)
問2 クリーニング業の洗濯工程から排出されるクリーニング汚でい(パークレンと繊毛
かすの混合したもの)は何か。

答 性状により廃油又は汚でいである。

(と畜場)
問3 と畜場から排出される次の廃棄物の種類は何か。
(1) 汚水処理施設に堆積するでい状物
(2) 動物ふん尿

答 (1)は産業廃棄物である汚でい、(2)は一般廃棄物である。

(補修工事のレンガくず)
問4 炉の補修工事に伴って生じた不要なレンガくずは何か。

答 建設廃材である。

(病院の廃ホルマリン)
問5 病院において解剖用のホルマリンの交換に伴い排出される酸性を呈する廃ホルマリンは何か。

答 廃酸である。

(地盤改良剤かす)
問6 地盤改良工事で排出されるアルカリ性を呈する地盤改良剤かすは何か。

答 汚でいと廃アルカリの混合物である。

(砥石かす等)
問7 事業活動に伴って排出される次の産業廃棄物の種類は何か。
(1) 砥石かす
(2) 廃接着剤
(3) 泡沫消火剤かす
(4) コンクリート固型化物

答 (1)はガラスくず、(2)は固形状であれば廃プラスチック類であり液状であれば廃油と
廃プラスチック類の混合物、(3)は廃酸又は廃アルカリ、(4)は他の一八種類の産業廃棄物
のいずれにも該当しなければ令第一条第一三号に掲げる産業廃棄物である。

(畜産類似業の動物ふん尿)
問8 産業廃棄物である動物ふん尿は「畜産農業」から排出されるものに限定されている
が、「畜産類似業」から排出される動物ふん尿も産業廃棄物である動物ふん尿として取り扱
ってよいか。

答 お見込みのとおり。

(石炭灰)
問9 石炭火力発電所から排出される石炭灰は何か。

答 集じん装置により捕捉されたものはダスト類、その他のものは燃えがらである。

(閉鎖された最終処分場の掘削物)
問10 最終処分場が閉鎖された後に当該土地で掘削工事が行われる場合、当該工事に伴っ
て生ずる廃棄物の排出者は当該工事を行う者であると解してよいか。

答 お見込みのとおり。

(地下工作物の埋め殺し)
問11 地下工作物が老朽化したのでこれを埋め殺すという計画を有している事業者がい
る。この計画のままでは生活環境の保全上の支障が想定されるが、いつの時点から法を適
用していけばよいか。

答 地下工作物を埋め殺そうとする時点から当該工作物は廃棄物となり法の適用を受ける。

(墓の廃棄)
問12 古い墓を除去して廃棄しようとする場合、廃棄物として取り扱ってよいか。
答 墓は祖先の霊を埋葬・供養等してきた宗教的感情の対象であるので、宗教行為の一部
として墓を除去し廃棄する場合、廃棄物として取り扱うことは適当でない。

(業種の判断)
問13 令第一条に掲げる産業廃棄物には業種の限定されているものがあるが、この業種を
判断するに際しては、一の事業場が主たる事業活動A の一環として把握することが困難な
異質の事業活動を行っている場合、B の工程から排出される廃棄物の該当業種はA の属す
る業種ではなく、B の属する業種であると判断して良いか。

答 お見込みのとおり。

(清掃後の産業廃棄物)
問14 清掃業者が事業場の清掃を行った後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清
掃業者であると解してよいか。

答 当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。清掃業者は清掃する前
から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清
掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。

(建設工事の現場から搬出される産業廃棄物)
問15 事業者A が発生させていた産業廃棄物X 及び建設業者B が建設工事に伴って生じさ
せた産業廃棄物Y がいずれも建設工事の現場からB により搬出される場合、いずれの産業
廃棄物も排出者はB であると解してよいか。

答 X の排出者はA でありY の排出者はB である。建設工事に伴って生ずる廃棄物には建
設工事を行う以前から発生していた産業廃棄物は含まれないことに留意されたい。

(輸出契約の見本)
問16 産業廃棄物を加工した物を有価物として輸出しようとする者A がいる。当該物は国
内でも有価物として取引きされている。A は輸出契約を成立させるため当該物の見本をA
が輸出する場合、当該見本は有価物として取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおり。

(有価物の輸出)
問17 貴金属を含む廃液を外国に有償で輸出しようとする者がいる。この場合、当該廃液
は有価物として取り扱ってよいか。

答 当該廃液が有償売却されることが確認されれば有価物と判断される。

(熱利用)
問18 他人の不要とした物を引き取り燃焼させて発生する熱を利用する場合、どのように
法が適用されるか。

答 他人の不要とした物を無償又は金銭を受領して引き取るときは当該物は廃棄物である
ので、廃棄物を燃焼させる行為に対しては法が適用される。また、焼却残渣等を処分しな
ければならないときは焼却残渣等は廃棄物であるので、これを処分する行為に対しては法
が適用される。

(土地造成)
問19 他人に有償売却できない物により土地造成を行う者があり、この者は「自ら利用」
するのであるから法が適用されないと主張するが、廃棄物の埋立処分であり法が適用され
ると解してよいか。

答  お見込みのとおり。なお、次の点に留意されたい。「自ら利用」とは他人に有償売却で
きる性状の物を占有者が使用することをいい、排出者が自己の生産工程へ投入して原材料
として使用する場合を除き、他人に有償売却できない物を排出者が使用することは「自ら
利用」には該当しない。
 また、土地造成は廃棄物・有価物たるとを問わず固形状、でい状
であれば可能であるが、廃棄物による土地造成は埋立処分に該当する。

2 第一二条関係(排出事業者の処理)

(肥料としての施用)
問20 汚でい等を肥料として施用する場合、法第一二条第一項の処理基準が適用されるか。

答 汚でい等が有価物であれば処理基準は適用されない。汚でい等が有価物になりえず産
業廃棄物であれば施肥効果を有する埋立処分であり処理基準が適用されるが、施肥効果に
ついては肥料取締法の特殊肥料等の規格等も参考にする必要があろう。

(地盤かさ上げ)
問21 排出事業者が事業場内の地盤の低い土地に産業廃棄物を投入している。排出事業者
は地盤かさ上げと称して埋立処分ではないと主張するが、埋立処分と解して法第一二条第
一項の処理基準を適用してよいか。

答 お見込みのとおり。

(収集運搬と海洋投入処分)
問22 産業廃棄物の海洋投入処分を自ら行う排出事業者に法第一二条第一項の処理基準
を適用する場合、収集運搬と海洋投入処分の範囲をどのように区分して適用すればよいか。

答 当該事例においては、収集運搬とは産業廃棄物が排出事業者の事業場より搬出されて
から廃棄物排出船へ積み込まれるまでをいい、海洋投入処分とは産業廃棄物が廃棄物排出
船へ積み込まれてから海域へ排出されるまでをいう。

(公共の水域)
問23 令第六条第一号ロに規定する「公共の水域」の範囲はどのように解すればよいか。

答 公共の水域とは私的な用に供される水域以外の水域という意味であり、河川・運河・
湖沼・農業用排水路・公共溝渠・地先海面等が含まれるが、下水道及び地下水脈は含まれ
ない。

(浸出液汚染防止措置)
問24 令第六条第一号ハにおいて準用する令第三条第四号ロにおいて規定する「浸出液に
よる汚染を防止する措置」とは、どの程度の措置をいうのか。

答 一般的には、浸出液の水質が共同命令第一条第一項第五号ハに規定する排水基準に適
合することとなる程度の措置をいう。

(油分の測定方法)
問25 油分の分析値は測定方法により異なる結果となるが、油分の測定はどのような方法
により行えばよいか。

答 法に特に定めのある場合を除き、一般的にはノルマルヘキサンで抽出する方法(「排水
基準を定める総理府令の規定に基づく環境庁長官が定める排水基準に係る検定方法」第一
三号に掲げる方法)により行う。

(緊急避難)
問26 台風・火災等の災害により生じた不要物を施設の安全を確保し又は人命を救助する
ため取り片付ける場合、法第一二条第一項の処理基準が順守されなくても差し支えないか。

答 お見込みのとおり。

(有価物の保管)
問27 木くずを粉砕して他人に有償売却している事業者がいるが、粉砕した木くずの保管
に伴い悪臭・汚水等が発生して周辺住民より苦情が出ている場合、法第一二条第二項の保
管基準を適用できるか。

答 粉砕した木くずは有価物であり保管基準を適用することはできない。

問28〜30 削除
3 第一四条関係(産業廃棄物処理業者の処理)

問31〜60 削除
4 第一五条関係(産業廃棄物処理施設)

(車両による破砕)
問61 廃プラスチック類の破砕を埋立地においてコンパクター(ブルドーザのキャタピラ
に刃をつけて破砕を行う車両)により行う場合、そのコンパクターは令第七条第七号に掲げ
る施設に該当するか。

答 お見込みのとおり。

(薬剤による脱水・乾燥)
問62 汚でいに薬剤を投入して発熱反応により水分を除去する施設は令第七条第一号又
は第二号に掲げる施設に該当するか。

答 お見込みのとおり。

(処理能力)
問63 令第七条第一号から第八号までに掲げる産業廃棄物処理施設について規定されて
いる「一日当たりの処理能力」とは、当該施設に投入される前の時点における一日当たり
の産業廃棄物の量と解してよいか。

答 お見込みのとおり。

(合計した処理能力)
問64 令第七条各号に区分する産業廃棄物処理施設の種類(令第七条第一四号に掲げる施
設についてはイ、ロ、ハの区分を含む。)が同一である施設二基を設置していた者が、二基
の施設の処理能力を合計した処理能力を有する施設一基に変更する場合、法第一五条第一
項の変更届出が必要か。

答 お見込みのとおり。

(一体としての機能)
問65 令第七条第一号から第八号までに規定する産業廃棄物処理施設のうち種類が同一
である機械が複数設置される場合、これらの機械が一体として機能していればこれらの機
械の処理能力を合計したもので法第一五条第一項の設置届出の必要性を判断してよいか。

答 お見込みのとおり。

(一体として機能する埋立地)
問66 同一の地域に令第七条第一四号ハに掲げる産業廃棄物の埋立地A・B 及び令第七条
第一四号ロに掲げる産業廃棄物の埋立地C を設置している者がいる。この者はA とB の間
にC が存在するという位置関係があればA とB は各々独立した令第七条第一四号ハに掲げ
る施設であると主張する。
 しかしA とB が搬入路・浸出液処理設備を共用する等一体として機能すると認められる場合、
A とB を合わせたものを一つの令第七条第一四号ハに掲げる施設として取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおり。

(埋立地の増設)
問67 最終処分場A の設置者がA の外部に新たに埋立地B を設ける場合、法適用関係はど
うなるか。

答 A とB が一体として機能するものであれば法第一五条第一項の変更届出が必要である
が、そうでないときはB は独立した一つの最終処分場となりB について法第一五条第一項
の設置届出が必要となる。

(浸出液処理方式の変更)
問68 令第七条第一四号ハに掲げる施設において浸出液処理設備の処理方式を変更する
場合、法第一五条第一項の変更届出が必要か。

答 お見込みのとおり。当該施設においては浸出液処理設備は主要な設備であり、規則第
一〇条の五で準用する規則第二条の五に該当しない。

(譲渡)
問69 産業廃棄物処理施設が譲渡される場合はどのような手続きとなるか。

答 譲渡に伴い産業廃棄物処理施設の設置者が法律上別個の人格となるので、譲渡された
者は法第一五条第一項の設置届出が必要である。この場合、構造及び規模が同一であれば
法第一五条第五項で準用する法第八条第三項に規定する期間を短縮して当該内容が相当で
あると認める旨の通知をすることができる。
 なお譲渡した者に廃止の届出を行わせる旨の規則を都道府県・保健所設置市で設けて差支えない。

(法人の合併)
問70 法第一五条第一項の届出をしている法人A が届出をしていない法人B と合併して法
人C になる場合はどのような手続きとなるか。


(1) A 及びB が消滅し、C が新設されるのであればC は法第一五条第一項の設置届出が必要である。
(2) B がA を吸収合併するのであればC は法第一五条第一項の設置届出が必要である。
(3) A がB を吸収合併するのであればC は法第一五条第一項の設置届出は必要でない。
 なお(1)及び(2)の場合におけるA の廃止届出並びに(3)の場合におけるC の変更届出に
ついて都道府県・保健所設置市の規則を設けて差し支えない。

(金属等を含むことの程度)
問71 令第七条第九号に規定する「含む」とは、「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基
準を定める総理府令」(昭和四八年総理府令第五号)に規定する基準を超えることと解して
よいか。

答 お見込みのとおり。

(借地・雇用して行う者)
問72 土地を地主から借地し人員を雇用して埋立処分を行う者は最終処分場の設置者に
該当するか。

答 お見込みのとおり。

(試験)
問73 産業廃棄物の処理に関する試験を行うため産業廃棄物処理施設を設置する場合、法
第一五条第一項の届出を必要としないか。

答 お見込みのとおり。ただし、産業廃棄物の処理に関する試験を行うためのものである
ことを確かめる必要がある。そのため事前に試験に関する計画を提出させ、必要に応じて
立入検査を行い、試験が生活環境の保全上支障を生じさせる内容のものである場合は中止
させる等の措置をとる必要がある。

(閉鎖区画の再埋立処分)
問74 埋立地の一区画において埋立処分が終了し、当該区画を閉鎖するという法第一五条
第一項の変更届出をした者がいる。この者が当該区画の沈下に対処するため再び産業廃棄
物で埋立処分を行おうとする場合、どのような手続きとなるか。

答 法第一五条第一項の変更届出が必要である。なお埋立地の閉鎖及び最終処分場の閉鎖
に際しては次の点に留意しなければならない。

(1) 埋立地の閉鎖は、その場所が埋立処分の終了した埋立地であることを明らかにする
ことをいうが、令第七条第一四号イに掲げる産業廃棄物の埋立地については共同命令第二
条第二項第一号ハの規定に適合し、また令第七条第一四号ハに掲げる産業廃棄物の埋立地
については共同命令第二条第二項第三号で準用する共同命令第一条第二項第一四号の規定
に適合する状態でなければならない。

(2) 最終処分場の閉鎖は、その場所が最終処分場ではないことを明らかにすることをい
うが、共同命令第二条第二項柱書で準用する共同命令第一条第二項第一六号の規定に適合
する状態でなければならない。これらの規定に適合しない場合は埋立地の閉鎖又は最終処
分場の閉鎖を行うことができない。

(埋立処分が終了した場所の囲い)
問75 共同命令第二条第一項柱書で準用する共同命令第一条第一項第一号に規定する囲
いは、共同命令第一条第二項第一四号に規定する措置を講じた埋立地には設けなくてよい
か。

答 お見込みのとおり。

(安定型処分場の放流水)
問76 令第七条第一四号ロに掲げる施設の放流水により水域汚染が生じた場合、どのよう
に対処すればよいか。

答 令第六条第一号ハにより対処する。

(公の施設)
問77 地方公共団体の設置する産業廃棄物処理施設は、地方自治法第二四四条の「公の施
設」に該当するか。

答 地方公共団体の設置する産業廃棄物処理施設は、地方自治法第二三八条第三項の行政
財産であるが、さらに地方自治法第二四四条の「公の施設」に該当するか否かは当該施設
の設置目的、利用形態等によって一概にいえないが、通常、直接に一般住民をその利用の
対象としているものではないので、多くの場合「公の施設」には該当しないと考えられる。

(保管用地の売買)
問78 産業廃棄物を保管している者が保管用地の売買に際して、産業廃棄物が保管されて
いること及び産業廃棄物の保管の責任が買主に移転することを明らかにし、保管用地の売
買価格を産業廃棄物の保管の費用を見込んで通常の売買価格より低い価格とした場合、産
業廃棄物の保管の責任は買主に移転すると解してよいか。

答 お見込みのとおり。

5 第一六条関係(不法投棄)

(重罰産業廃棄物)
問79 法第一六条第一項に規定する産業廃棄物には該当しないが、有害物質を「金属等を
含む産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令」(昭和四八年総理府令第五号)に規定す
る基準を超えて含む産業廃棄物が不法投棄された場合、法第一六条第一項違反になるか。

答 法第一六条第一項違反とはならない。

(廃油)
問80 廃油(タールピッチ類を除く。)が不法投棄された場合、当該廃油の油分の程度を問
わず令第七条の四第五号に規定する産業廃棄物に該当すると解してよいか。

答 お見込みのとおり。

(河川・運河・湖沼その他の公共の水域)
問81 法第一六条第二項第二号に規定する「河川・運河・湖沼その他の公共の水域」には、
地先海面が入らないと解してよいか。

答 お見込みのとおり。

6 第一九条の二関係(措置命令)

(重大支障の生じない不法投棄)
問82 生活環境の保全上重大な支障の生ずるおそれのない産業廃棄物の不法投棄に対し
て、法第一九条の二が適用できるか。

答 法第一九条の二を適用することはできない。

(不法投棄の黙認)
問83 道路沿いの遊休低湿地の地主A は、不法投棄がなされているにも拘らず地盤がかさ
上げされるので、不法投棄を黙認している。こうした状況の結果、生活環境の保全上重大
な支障が生ずれば、A に対して法第一九条の二を適用することができるか。

答 A が自分の土地に廃棄物が搬入されるのを認めている場合、A は埋立処分業を行ってい
るとみなして、法第一四条又は法第一九条の二を適用できる場合がある。

問84 削除

7 第二〇条関係(環境衛生指導員)

(水産学)
問85 大学が水産学の課程を修めて卒業した者は、法第二〇条第二項に規定する環境衛生
指導員の資格を有するか。

答 お見込みのとおり。当該者は、規則第一六条第二号に規定する大学において理学又は
農学の課程を修めて卒業した者に該当する。

8 第二一条関係(技術管理者)

(行政経験)
問86 規則第一七条第一項に規定する「ごみ処理に関する技術上の実務に従事した経験」
を規則第一七条第五項で読み替えて準用する「産業廃棄物処理に関する技術上の実務に従
事した経験」には、行政庁の職員が従事した産業廃棄物に関する技術上の実務に従事した
経験が入ると解してよいか。

答 お見込みのとおり。

9 その他関係

(海洋発生物の陸上処理)
問87 海洋で発生した不要物を陸上で処理する場合、法が適用されると解してよいか。

答 お見込みのとおり。

(洋上焼却)
問88 洋上焼却に関する次の場合に対する法適用関係はどうなるか。
(1) 陸上で発生した廃棄物を洋上焼却する場合
(2) 海洋で発生した不要物を洋上焼却する場合
(3) 陸上で発生した廃棄物の洋上焼却後の残渣物を陸上処理する場合
(4) 陸上で発生した廃棄物の洋上焼却後の残渣物を海洋投入処分する場合
(5) 海洋で発生した不要物の洋上焼却後の残渣物を陸上処理する場合
(6) 海洋で発生した廃棄物の洋上焼却後の残渣物を海洋投入処分する場合

答 (1)、(3)、(4)及び(5)の場合は法の適用がある。ただし、(4)の場合、海洋投入処分の
場所及び方法に関する基準は、海上汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和四五年法律
第一三六号)による。(2)及び(6)の場合は法の適用がない。

  http://www.f-sanpai.com/kyuchikyou/pdf/c_law.pdf  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 09:29Comments(0)循環社会研究

2010年01月21日

築地市場移転 参考人招致  「都の落ち度」平田健正先生

築地市場移転 参考人招致 地層欠落 汚染の可能性 都議会委


 東京都議会経済・港湾委員会は19日、築地市場移転問題で初めての参考人招致を行いました。参考人招致は日本共産党が一貫して求めていたものです。

 移転賛成の市場業者でつくる「新市場建設推進協議会」の伊藤裕康会長、移転予定地(江東区豊洲)の土壌汚染を追及している日本環境学会の坂巻幸雄元副会長、移転前提の報告書をまとめた都専門家会議で座長を務めた平田健正和歌山大学理事が意見を述べました。

 日本共産党の清水ひで子都議は、土壌汚染について、都が「地下水を通さないので汚染は深くに広がらない」としていた予定地の地層(有楽町層)が欠落していることをただしました。坂巻氏は「地層が連続している証拠がない段階で、『汚染が広がってない』との結論で対策を取るのは間違い」と指摘。都の汚染処理策を「不透水層との先入観にもとづく調査で結論を出した」と批判しました。

 平田氏も地層欠落を「部分的に消えている所はあるかもしれない」と認め、地下深くへの汚染浸透について「全くないかといえば分からない」と述べました。発がん性物質ベンゾ(a)ピレンの検出を「公表しなかったのは都の落ち度」と語りました。

 伊藤氏は土壌汚染について「十分に調べて安全を期していただきたい」とのべました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-01-20/2010012014_01_1.html


築地で市場再整備は無理 移転賛成派が都議会で訴え
 東京・築地市場の移転予定地の土壌汚染問題で、都議会経済・港湾委員会は19日、市場関係者や環境の専門家を参考人招致して意見を聞いた。移転問題を巡り、都議会が関係者を参考人招致したのは初めて。

 移転に賛成する新市場建設推進協議会の伊藤裕康会長は民主党が検討している築地での再整備案について「我々が長年かけて検討したが、できなかった。無理だということを分かってほしい」と訴えた。

 これに対し、移転予定の豊洲地区(江東区)の土壌汚染対策を提言した専門家会議の調査結果や対策を疑問視する地質学者の坂巻幸雄氏は「食品を扱う場として非常に不安」と表明した。26日には移転反対の市場関係者の意見を聞く。(19日 21:01)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20100120ATDG1905019012010.html  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 05:49Comments(0)豊洲

2010年01月07日

環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組

第三次環境基本計画
−環境から拓く 新たなゆたかさへの道−


第4節 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
1 現状と課題
(1)現状
 水は、地球上の限りある資源であり、生物の命を育み、我々の生活や産業に
不可欠な基本要素です。
 水循環は、一般に、森林、農地等への降雨が土壌に保水されつつ、地表水及び地下水として相互にやり取りしながら徐々に流下し、河川、湖沼及び海域に流入し、また、それぞれの過程で大気中に蒸発して再び降水となる連続した水の流れです。しかも、洪水や渇水のような変動を伴います。
 我々は、古来より、水田耕作、水害防止、生活用水等のために、様々な工夫を加えながら、自然の水循環と人為的な水循環とを有機的に結びつけ、現在の水循環を長時間かけて造りあげてきました。

 しかし、特に、戦後の高度経済成長期を通じ、都市への急激な人口や産業の集中と都市域の拡大、産業構造の変化、過疎化の進行等の社会経済の変化を背景に、水循環が急激に変化し、人の生活に必要な水量の供給、水質の浄化、多様な生態系の維持、バランスのとれた地下水の流動による地盤の支持、物質循環等様々な機能が損なわれた結果、水質汚濁、生態系への悪影響、湧水の枯渇、河川流量の減少、地盤沈下、都市水害、渇水、親水性の低下、水により育まれてきた文化の喪失等の問題が生じています。
 水質、水量、水辺地、水生生物等を含む水環境や地盤環境について見ると、

例えば、以下のような問題が顕在化しています。

 水質環境基準の人の健康の保護に係る項目については達成率が次第に高まっていますが、有機汚濁等の生活環境の保全に係る項目については、特に湖沼や内湾等の閉鎖性水域において改善が十分には進んでおらず、水域によっては貧
酸素水塊等が発生し、水利用や水生生物等の生育・生息に障害を生じている状況にあります。

 また、有害物質による土壌や地下水の汚染等の問題は、人の健康の保護や生活環境の保全の上で望ましい水質を維持することを困難にします。

 人間の生活や社会経済活動による水利用、都市化等に伴う流域の地下浸透・涵養機能の低下等により、河川等の平常時の流量が減少し、その水質や水生生物等の生育・生息環境が改善されていない場合があります。

 地下水の過剰揚水による地盤沈下は、全国的には沈静化の傾向にありますが、都市化等に伴う流域の地下浸透・涵養機能の低下等により、地下水位が回復していない地域があるとともに、多くの湧水が枯渇しています。
 一方、一部の地域では、地下水位の上昇による地下構造物の浮上等の新たな問題が発生しています。

 水辺地については、都市化や護岸整備等によりその環境が損なわれ、水辺地が持つ浄化機能や水生生物等の生育・生息環境としての機能が劣化し、若しくは失われ、また、人と水とのふれあいの場としての活用が困難な地域が見られます。

 このような水質、水量、水辺地、水生生物等の問題は相互に深く関連し、互いに影響を与えています。
 さらには、今後、地球温暖化による気温の上昇、降水量の変化、降水の強度及び頻度の変化等の影響は、将来にわたり、水環境の保全にとって重大な支障となるおそれがあります。また、21 世紀は水の世紀と言われ、水の問題は、国内のみならず、国際的課題ともなっています。

(2)これまでの取組
 このような状況の下、それぞれの地点で水環境や地盤環境の質を判断し、汚染・汚濁負荷の低減等を通じて環境の保全を図ろうとする、いわば「場の視点」からの取組は、今後も基本的な施策として進める必要があります。
 しかしながら、上に述べたとおり、水が、土壌で保水・浄化されつつ、地表水及び地下水として相互にやり取りしながら流れていくことにかんがみれば、今日の水環境の悪化の背景には、汚濁負荷の増加等と並んで水循環の変化があ
り、地盤環境の問題にも地下水を通じ水循環が深く関わっています。このように、水循環が上流域から下流域へという面的な広がり及び地表水と地下水を結ぶ立体的広がりを有することを考慮すると、単に問題の生じている地点のみに着目するだけでなく、流域全体を視野に入れていく必要があります。
 このため、水循環の全体を通じて、人間社会の営みと環境の保全に果たす水の機能が、適切なバランスの下に共に確保され、水循環の恩恵を享受し、継承できるよう、洪水や渇水等異常時における問題にも留意しつつ、流域全体を捉えて、いわば
「流れの視点」から環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組を推進することが重要な課題との認識が醸成されてきました。
 水循環に関する問題の様相は個々の地域によって大きく異なることを踏まえ、流域単位で、環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の策定・実行の重要性が第二次環境基本計画(平成12 年12 月閣議決定)において示されました。

 また、参考となる事例や知見として「健全な水循環系構築のための計画づくりに向けて」(平成15 年10 月、健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議)が取りまとめられました。これまでに、流域ごとの計画策定と関連施策の実施が進みつつあります。

 この計画は、治水や利水との整合を図りながら、環境保全の観点から、現状の水循環の診断、流域全体及び流域の特性に応じた望ましい水循環像とその実現に向けた施策体系、流域の地域区分に応じた環境保全上健全な水循環の構築やそのための施設整備等に関する具体的な目標の設定とその実現に向けた施策体系等から成ります。その策定に当たっては、関係行政機関のみならず、流域の住民、事業者、民間団体、学識経験者等の関係者の意見を取り入れ、また、施策の展開に当たっては、これら関係者の参加を重視したものとなっています。

(3)課題
 環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組をさらに進める上で、流域の一人一人が身近な水環境の魅力やそれが抱えている問題に気づき、主体的に活動に参加することが重要となるため、流域の水循環の現状に対する認識を流域の住民、事業者、民間団体、地方公共団体、国等の関係者が広く共有することが重要です。
 そのため、流域の水循環の機構を解明・把握し、流域の自然、社会的条件を踏まえ、環境保全上の健全性の実態を把握し、問題点を抽出し、関連情報を共有することが必要です。その際には、健全性の評価やモニタリングの在り方等について検討が必要です。

 そして、目標となる望ましい水循環の姿を関係者の間で十分に議論し、広く共有できるよう、わかりやすい目標を設定し、各主体の取組が、効果的、効率的、継続的に進むような仕組みとする必要があります。さらに、対策の状況等を踏まえ、必要な場合は見直していくことも重要です。

2 中長期的な目標
 今後の四半世紀における望ましい社会・経済像を見据え、現在及び将来の社会・経済の状況、技術レベル、生活の質を考慮した上で、治水や利水との整合を図りながら、環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵を最大限享受できる社会の構築を目指します。

 その際、流域ごとの特性に応じ、環境保全上健全な水循環の構築の観点から、水循環に関する課題や目指すべき将来像が設定されるとともに、流域の住民、事業者、民間団体、地方公共団体、国等の協働により、人と身近な水とのふれあいを通じた豊かな地域づくりが行われることを目標とします。
 環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵とは、流域の特性に応じた水質、水量、水生生物等、水辺地を含む水環境や地盤環境が保全されており、それらの持続可能な利用が図られることを指します。具体的には、洪水や渇水等異常時における問題にも留意しつつ、主として平常時において、流域の特性に応じ、以下に掲げるような状態を維持することが重要です。

水質 −水環境・土壌環境において、人の健康の保護、生活環境の保全、さらには、水生生物等の保全の上で望ましい質が維持されること。

水量 −平常時において、水質、水生生物等、水辺地の保全等を勘案した適切な水量が維持されること。土壌の保水・浸透機能が保たれ、適切な地下水位、豊かな湧水が維持されること。

水生生物−人と豊かで多様な水生生物等との共生がなされること。

水辺地 −人と水とのふれあいの場となり、水質浄化の機能が発揮され、豊かで多様な水生生物等の生育・生息環境として保全されること。

3 施策の基本的方向
 以上のような目標の達成に向けて、第2章第1節「3.水環境、土壌環境、地盤環境の保全」に掲げるように、汚染・汚濁負荷の低減等を通じて水環境等の保全を図ることはもとより、次のような方向性をもって施策展開を図ります。

(1)流域に共通する施策
 環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵と治水・利水に支えられた人間社会の営みが共に確保されるよう、流域全体を総合的に捉え、効率的かつ持続的な水利用等を今後とも推進していく必要があります。
 このため、農業用水の循環利用の促進等による効率的利用、工業用水の循環利用の促進等による水利用の合理化、節水器具の普及や下水処理水の再利用等による生活用水の効率的利用、雨水の生活用水としての利用等を進め、水源への負担を軽減するとともに、必要に応じて、未活用水の有効活用を図り、水質や水生生物の保全等の観点から流量確保のための様々な施策を行います。

 河川水を取水、利用した後の排水については、可能な限り、下流での水利用にいかせる水質及び水量で河川に戻すことを基本としつつ、その場において放流することの妥当性、水利用のエネルギー効率性や費用対効果等を勘案し、地域の特性に応じて見直しを含めた取排水系統の検討を行います。

 また、流域全体を通じて、貯留浸透・涵養能力の保全・向上を図り、湧水の保全・復活に取り組むほか、地域の特性を踏まえた適切な地下水管理方策の検討を行います。さらに、水辺地の保全・再生に取り組みます。また、流域の源頭部から海岸までの総合的な土砂管理の観点から、土砂移動の調査研究や下流への土砂還元対策を試行します。土壌環境については、水を介した汚染物質の移動による土壌と水の相互の汚染という悪循環を断ち切るため、土壌汚染の調査、対策技術の向上や具体性がある指針の提示等により、土壌汚染対策等の円滑な実施を促進します。

(2)山間部
 森林の公益的な機能の一つである水源涵養機能を今後とも維持、向上させるよう、森林の公益的な機能を評価して、その保全、育成や適切な管理を図る必要があります。このため、水源地対策を進めながら、水源かん養保安林等の計画的な指定及び保安林における転用規制や伐採規制の適正な運用を図るなど法制度の活用や治山施設の整備により森林を保全します。また、流域全体を通じて森林の適正な整備を推進するとともに、水源涵養機能等の発揮に対する要請が高く適正な整備が必要なものについては、治山事業など公的主体による森林の整備の推進を図ります。
 さらに、森林の公益的機能に着目した基金を地域の特性を踏まえて活用することやボランティア活動など流域の住民や事業者が参加した森林の保全・整備の取組を推進します。なお、森林整備に当たっては、地域の特性に応じ、伐採年齢の長期化、複層状態の森林の整備等の適正な森林
整備を通じて保水能力の高い森林の育成に努めます。

(3)農村・都市郊外部
 農村・都市郊外部においては、川の流れの保全や回復と、流域の貯留浸透・涵養能力の保全・向上を今後とも図る必要があります。このため、居住地周辺の里山林の整備・保全、都市計画制度の活用や地方公共団体の条例等による緑地の保全を推進します。
 また、公共施設の緑化を積極的に推進するとともに、民有地の緑化の推進を図ります。水源涵養機能等の農業の多面的機能は、農業の持続的発展により発揮されることから、水田や畑地の保全を推進し、耕作放棄地の発生を防止します。発生した耕作放棄地については、都市住民のボランティアによる復旧活動、市民農園の開設等の活動による解消を促進します。

 さらに、良好な景観の形成や生態系の保全、親水空間の形成等の環境との調和に配慮しつつ農業水利施設を計画的に整備・管理することや、生活排水処理を進めるに当たって、農村部においては、地域の実情に応じて、小規模分散型の下水道、農業集落排水施設・浄化槽を活用することなどにより、水資源の循環利用を促進します。
 併せて、地盤沈下などが発生するおそれのある地域では、継続して監視を行うとともに、地下水利用の適正化や表流水への転換を含めた代替水対策を進めます。

(4)都市部
 都市部においては、水循環の変化による問題が現れやすく、河川流量の減少、親水性の低下、ヒートアイランド現象等が依然として問題となっており、貯留浸透・涵養機能の回復など、可能な限り自然の水循環の恩恵を増加させる方向で関連施策の展開を図る必要があります。このため、都市計画における整備、開発及び保全の方針等の都市計画制度の活用により、地下水涵養機能の増進や都市における貴重な貯留・涵養能力を持つ空間である公園緑地の保全と創出を推進するとともに、都市内の水路等の創出・保全を図ります。
 また、公共施設においては緑化を推進するとともに、民有地についても特別緑地保全地区や緑化地域の指定、緑地協定等の締結の促進等により、良好な自然的環境を形成している民有緑地の確実な保全や新たな緑地空間の創出、住民参加による緑化活動等を推進します。また、住民参加による都市内の水路の保全を支援します。

 さらに、地下水涵養を促進するため、雨水浸透施設の整備、流出抑制型下水道の整備、透水性舗装の促進等を進めます。また、雨水や下水処理水等の生活用水としての利用等を進めるとともに、貯水池の弾力的な運用や下水の高度処理水等の河川還元等による流量の確保等の取組を進めます。河川護岸の整備に際しては、表流水と地下水のつながりを確保するとともに、多自然型川づくり等自然に配慮した河川整備を進めること等により水辺の自然環境を改善し、生物の良好な生息・生育の場となる水の流れを確保します。さらに、親水性の向上、ヒートアイランド対策等への有効活用が必要な地域では、都市内河川や地下湧水、下水の高度処理水等の利用を環境影響に配慮しつつ進めます。
 また、地下水使用の抑制が必要な地域においては、表流水への転換を含めた代替水対策や地下水採取規制が行われていない地域での地下水使用の合理化、新規の井戸の設置規制、既存の井戸の利用者に対する節水指導等を進めます。

(5)閉鎖性水域における取組
 湖沼、内湾等の閉鎖性水域においては、流域からの負荷が流入・滞留しやすく、内部生産や底質からの溶出と相まって、水質の改善がなかなか見られず、水域によっては水生生物等の生育・生息に障害を生じていることから、流域全体を視野に入れて、山間部、農村・都市郊外部、都市部における上記施策の総合的、重点的な推進を図ります。また、浄化の機能及び生物多様性の保全及び回復の観点から、湖沼においては、湖辺の植生や水生生物の保全等湖辺環境の保全を図ります。
 閉鎖性海域においては、失われつつある自然海岸、干潟、藻場等浅海域について、適切な保全を図り、干潟・海浜、藻場等の再生、底質環境の改善に向けた取組を推進します。

4 重点的取組事項
(1)各主体に期待される取組
ア 流域の住民、事業者、民間団体等に求められる取組
 流域の住民、事業者、民間団体等は、流域の水循環の現状について、その問題点を自ら認識して、それぞれの立場による意見の相違を克服し、目標となる望ましい水循環の姿を共有しようとする取組に主体的に関わることが期待されます。
 そして、環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の策定等の取組に参加し、節水意識、汚濁負荷の排出の抑制、水の循環利用等に対する意識を向上させ、具体的な行動を実践することが重要です。

イ 地方公共団体に求められる取組
 地方公共団体は、豊かな地域づくりの一環として、流域での環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画策定等において積極的な役割を果たすことが期待されます。
 計画の策定等取組の実施に当たっては、流域の住民等と共有できるよう、流域ごとの水循環の現状を把握し、目標を設定して、わかりやすく提示することが重要になります。その前提として、現状の水循環の診断のため、水質、水量、水生生物等の水環境の状態をきめ細かくモニタリングし、把握していく必要があります。

 そして、計画の作成に当たって設置された流域協議会等を通じて、国の地方組織等とも連携し、国のみならず、流域の住民、利水者、事業者、民間団体等関係者の意見を取り入れ、その取組への参加を促す必要があります。継続的な取組を促すという観点からは、これら関係者とのパートナーシップによる連携体制の構築に加え、対策の費用対効果の検討等による合意形成の仕組みづくりが必要となります。
 また、実効的な取組とするためには、水の利用や管理に関する個別計画の基本的方向等をその内容に含み、また、流域における土地利用、まちづくり、環境保全、森林、農地等関連分野の各種計画との整合性にも配慮することが重要です。さらに、対策の効率性、実施状況等を踏まえ、必要な場合は見直していくことも重要です。

 また、都道府県については、流域の関係市町村による共同の取組を促進させる役割や、国の地方組織との調整・連携の役割も果たすことが必要です。

(2)国の取組
 国は、流域の地方公共団体等による環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の作成・実行を促進・支援します。
国の地方組織は、流域協議会等を通じ、地方公共団体や関係者との調整・連携を進めるとともに、引き続き、直轄管理区間等における国の直轄事業において環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組を積極的に推進します。
 また、国は、流域の住民が、流域ごとの特性に応じ、環境保全上健全な水循環の構築の観点から、水循環の課題点を共有し、目指すべき将来像を設定することを支援するため、住民等が参加しながら、水質のみならず、水量、水辺地、水生生物を含めた水環境を総合的に評価する手法や効率的・効果的なモニタリング体制等、環境保全上の観点から水循環の健全性を診断していく上で効果的な手法等の検討を行います。

 さらに、関係省庁の連携を一層強化するとともに、事例や関連施策等の情報の収集・整理・提供により、進捗状況の把握、課題の整理・抽出等を行い、必要な場合は、関連施策の調整及び地方公共団体等の関係者間の調整を行います。
 また、水循環の機構の解明等水循環の健全化に資する調査研究・技術開発を推進します。加えて、流域住民等の関係主体による連携・ネットワーク形成等の支援に取り組みます。また、各種施策の費用対効果等の研究を行い、その成果の関係主体間における共有化を推進します。
 さらに、我が国における環境保全上健全な水循環に関する取組を国際的に発信し、世界の水環境問題の解決に貢献します。また、節水意識、汚濁負荷の排出の抑制、水の循環利用等に対する国民の意識を向上させるための取組を推進します。

5 取組推進に向けた指標
 流域ごとの取組において、平常時の河川流量、地下水涵養量等水循環の健全性に関連するデータを、流域の特性に応じて指標として用い、取組の進行管理を図ることが重要です。
 水質のみならず、水量、水辺地、水生生物を含めた水環境を総合的に評価する指標や効率的・効果的なモニタリング体制等、環境保全上の観点から水循環の健全性を診断していく上で効果的な指標の確立を目指して検討を行う必要があります。

 水質は、水循環の健全性の重要な側面であり、その目標については、公共用水域及び地下水について水質汚濁に係る環境基準が設定されていることから、基本的に、その維持・達成を目標とするとともに、その維持・達成状況を指標の一つとして関連施策の進行管理を図ります。

 また、環境保全上健全な水循環の構築に関する計画の流域ごとにおける作成・改定数を把握し、これを一つの指標として取組状況の進行管理を図ります。加えて、我が国全体での把握が可能であり、環境保全上健全な水循環と深く関連するデータとして、例えば、次の事項を参考として、取組の状況を把握します。
・水質等のモニタリング地点数
・雑用水の利用量
・湧水の把握件数
・水環境の保全の観点から設定された水辺地の保全地区等の面積
・主要な閉鎖性海域の干潟面積
・全国水生生物調査の参加人数

http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/kakugi_honbun20060407.pdf
  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 22:35Comments(0)土壌汚染と土地取引分科会

2009年12月30日

海洋・沿岸域政策大綱 洋産業振興

急がれるわが国の海洋政策と海洋産業振興
―海洋産業を支える海洋情報インフラとは―

国土交通省海洋・沿岸域政策大綱  平成18年6月

目次
?.海洋・沿岸域政策に関する基本認識

?.我が国の海洋・沿岸域を巡る現状と課題
 1.国際的な動向と課題
 2.海洋及び沿岸域の現状と課題

?.海洋・沿岸域に関する施策とその推進
 1.海上における安全を確保する
 2.国土の保全と防災対策を推進する
 3.海洋・沿岸域環境の保護及び保全を推進する
 4.海洋・沿岸域の自然環境や美しい景観を取り戻す
 5.海洋・沿岸域の利用を推進する
 6.海洋・沿岸域への親しみ、理解を増進する
 7.海洋・沿岸域の総合的管理を推進する
 8.国際社会との協調及び協力関係を確立する
 9.施策を推進するに当たっての基本的考え方

?.施策の推進体制


?.海洋・沿岸域政策に関する基本認識
 我が国は、四方を海に囲まれた「海洋国家」であるとともに、典型的な「島嶼国」EEZ でもある。領海及び排他的経済水域( )の面積は国土面積の約12 倍にあたる約447万km2(うち領海は43 万km2)、海岸線の延長は約35,000km にも達する。日本人は、はるか昔から人や文化の往来、物の輸送、産業、生活等の分野において、海と深く関わってきた。
 毎年7月の第3月曜日は、海の恩恵に感謝するとともに海洋国家、日本の繁栄を願う国民の祝日「海の日」と定められているが、そのことは、我が国が海洋とのつながりが特に深い国であることを示すものである。

 一方、我が国の海洋・沿岸域を巡っては、海上交通の安全の確保、不審船、密輸・密航等の保安対策の強化、海上災害の防止、海洋汚染の防止、海岸等における防災対策の強化、海洋資源の開発の推進、海上輸送の安定化・活性化といった課題や、沿岸域や閉鎖性水域を中心とした、海岸侵食や砂浜等の消失、埋立等による藻場や干潟の減少、漂流・漂着ゴミの増大や減らない放置艇、赤潮や青潮の発生といった問題が山積している。

 他方、国連海洋法条約(1994 年発効)及びリオ地球サミット(1992 年)以来、アジアを含む世界の各国では、「海洋・沿岸域の総合管理」、「持続可能な開発」といった考え方を背景に、海洋・沿岸域に関する様々な施策を総合的に実施するための制度的枠組みを整えて、海洋政策に積極的に取り組むとともに、そうした制度体系を有する国々が連携、協働する流れが強まっている。

 このような状況を踏まえ、近年、海洋・沿岸域に関する法制の強化が図られており、「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律」の制定や、「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」の改正等とともに、「国土形成計画法」において、国土の形成を推進するための総合的かつ基本的な計画である国土形成計画の計画事項として「海域の利用及び保全」が明記され、海洋を貴重な国土空間として位置付けることとしたところである。

 海洋・沿岸域を巡る様々な問題や課題は、それぞれが独立で存在するのではなく、相互に関係がある場合が多いことから、こうした問題や課題に取り組むためには、関連する施策を総合的に進めていくことが必要である。

 このような観点から、海洋・沿岸域に関する行政分野の多くを所管する国土交通省としては、海洋・沿岸域に関する施策を総合的に推進していくべく、2004 年9 月に、省内に関係部局の長を構成員とする「国土交通省海洋・沿岸域政策連絡会議」を設置し、海洋・沿岸域政策のあり方について検討を重ね、今回、「国土交通省海洋・沿岸域政策大綱」をまとめた。

 国土交通省としては、今後、この大綱に基づき諸般の施策の総合的な推進を図る。

?.我が国の海洋・沿岸域を巡る現状と課題
 海洋とは一般には広々とした海を意味するが、この大綱においては、我が国の主権が及ぶ領海(内水を含む)並びに。主権的権利及び管轄権を有する排他的経済水域(EEZ)及び大陸棚を海洋としている。
 我が国は、太平洋の最北西部に位置し、オホーツク海、日本海及び東シナ海という3 つの半閉鎖海と太平洋に囲まれた弧状列島によって構成され、我が国の主権並びに主権的権利及び管轄権が及ぶ水域の面積は447 万km2(領海の43 万km2を含む。)と世界で第6位ともいわれる広さとなっている。また、離島が北方から南方まで広範囲にわたって6,847 島も分布しており、我が国の領土、領海、排他的経済水域等の保全、自然環境の保全等に重要な役割を担っている。

 また、この大綱では、海岸線を挟む陸域及び海域(主に内水及び領海を念頭。)の総体を沿岸域としている(なお、この大綱では、海洋と沿岸域を総称して「海洋・沿岸域」としている。)。沿岸域は、水圏、地圏及び気圏の交わる空間であり、洪水、高潮、津波等の自然の脅威にさらされるとともに、自然の微妙なバランスの下、優れた景観や多様で豊かな生態系が形成される等貴重な資源と言える一方、産業、交通、物流、観光、レクリエーション等の様々な利用の要請が輻輳していると言える。
 海洋・沿岸域については、未知の分野も多く、基礎となるデータや知見等が十分ではないと言われていることから、今後、更に調査や研究を継続的に進め、それを施策に反映させていくことが重要である。

1.国際的な動向と課題
(1) 各国の取組
 1992 年の地球サミット(ブラジル、リオデジャネイロ)でのアジェンダ21 の採択と1994 年の国連海洋法条約の発効以降、アジアを含む世界各国では、海洋の持続可能な開発の推進の動きが進む一方、排他的経済水域や大陸棚等の海洋における自国の権益の確保のため、「海洋の囲い込み」という考え方が広まっており、これらが相まって、総合的な海洋政策の策定等の取組が積極的に進められている。
 米国においては、2000 年に海洋法2000 を制定し、同法に基づき海洋政策審議会を設立している。2004 年には、同審議会において報告書「21 世紀の海洋の青写真」を策定し、議会及び大統領に提出した。同報告書は、持続可能性や生態系に基づく管理等を原則とし、政府の海洋管理体制の改善や、研究、観測及び教育の強化等広範にわたり、212 項目の具体的な勧告を行うものである。
 これを受け、同年、具体的に実行するための行動計画として、「米国海洋行動計画」を策定した。

 一方、沿岸域においては、沿岸域管理法(1972 年)に基づき、沿岸域に接する州が沿岸域管理計画を作成した場合、連邦政府がその推進を支援することとしている。

 アジアにおいても中国、韓国が総合的な海洋政策の策定及び実施に力を入れている。中国では「中国海洋アジェンダ、21」(1996 年)を制定し、海洋資源の合理的かつ持続的な利用、海洋経済の一層の発展を促進すること目指している。
 2002年には海域使用管理法を制定し、海域の国有を前提として、ゾーニング制度の導入、海域使用権の創設と競争入札制の導入、海域使用料の徴収等について規定し、持続可能な開発と海域管理を推進している。韓国では、先進海洋大国の実現を目指し、沿岸域管理、海洋環境保護、水産等を所掌する海洋水産部を設置し、海洋基本戦略「海洋コリア21」(2000 年)を策定しているほか、海洋水産発展基本法(2002 年)や沿岸域管理法(1999 年)を制定し、海洋管理に関する諸施策を進めている。

 以上のほか、東アジア諸国においては、タイが「タイ国家海洋政策」を2003年に策定したほか、インドネシアが沿岸域管理法を、また、マレーシアが国の沿岸域管理政策を、それぞれ策定中である。また、他の地域でも、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ロシア、南アフリカ等多くの国が同様の取組みを行っている。(表参照)

(2) 海洋秩序の維持
 2001 年の同時多発テロを受け、2003 年5 月、米国からPSI(大量破壊兵器、ミサイル及びその関連物質の拡散に対する安全保障構想) が提案された。現在、日1)本をはじめ60 カ国以上がPSI 活動を支持しており、参加国が共同して取り得るこれらの移転及び輸送の阻止のための海上訓練を合同で行う等多国間連携が行われている。
 2005 年10 月にはSUA 条約(海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約) が改正され、犯罪に関与している疑いのある他国籍船舶への公海上2)での乗船や捜索が可能になるなど、ますます国際機関によるテロ防止対策も進んでいる。

 また、東南アジア周辺海域における海賊等の多国間にまたがる海上犯罪等については、現在、各国が連携、協力し、これに取り組んでいるが、全ての沿岸国海上法執行機関が、組織、勢力、技術等の面で充分な状況にあるとは言えないため、我が
国からの支援が強く求められている。

 一方、近隣諸国の海洋政策上の戦略が我が国周辺海域で競合し、日本海、東シナ海等多くの海域で排他的経済水域の境界が未だ画定していない。
 その他にも東シナ海における日中地理的中間線付近における資源開発問題や中国人活動家による尖閣諸島における領有権主張活動、日本海においては竹島問題など我が国の海洋権益を脅かす問題が山積しており、これらに対する厳正かつ適切な対応が求められている。

2.海洋及び沿岸域の現状と課題
(1) 海上交通
? 貨物輸送
 エネルギーの93 %(2004 年)及び食料の60 %(2004 年)を海外に依存する我が国においては、輸出入取扱貨物量の99 %以上(2004 年、重量ベース)を海上輸送に依存し、工業製品の輸出や食料及び資源の輸入等の貿易が我が国の経済及び国民生活を支えており、海上輸送は我が国の共通利益となる「物流生命線」であると言える。
 全国の津々浦々に1,070 の港湾が配置され、港湾で取扱われている貨物量は、外貿は12 億トン強で、内貿は19 億トン強(2004 年、フレートトン)となっている。

 外航海運についてみると、我が国の海上貿易量の世界に占めるシェアは15.7 %(2003 年)であり、中国、アメリカ合衆国に次いで世界第3 位となっている。
 外航海運は、各国の経済情勢、さらにはテロや紛争等による影響を受けやすく、安定的な輸送の確保が課題となっている。

 また、内航海運は、国内貨物輸送のうち約39 %(2003 年度、トンキロベース)を担っており、我が国の経済や国民生活を支える鉄鋼、石油等の産業物資については、その約8 割を輸送している。営業用トラックと比較してエネルギー効率のよい輸送であり、環境面で優れている一方で、供給面での機動性を欠くため、市況変動による輸送需要の変動に対応しにくく、船腹需給ギャップが生じやすい構造となっている。

? 旅客輸送
 旅客輸送は、外航定期航路が15 航路で約45 万6 千人(2004 年、日本人のみ、対前年35.9 %増)、内航旅客が1574 航路で約1 億90 万人(2004 年、対前年6.0 %減)となっている。内航旅客のうち離島航路については、島外との連絡について私的交通の利用が容易でない離島住民の足として必要不可欠であるため、約3 割を公営及び第三セクターが運営しているが、経営状況は厳しく、航路の維持及び改善が課題となっている。

(2) 海上の安全及び海洋汚染
? 海難事故
 我が国周辺海域において、救助を必要とする海難に遭遇した船舶(要救助船舶)の隻数は、2001 年から2005 年までの年平均で2,086 隻(死者及び行方不明者167 人)であり、それ以前の5 年間の年平均1,877 隻(同170 人)と比べ11 %増加しているものの、死者及び行方不明者数は約2 %減少している。
 また、死者及び行方不明者のうち、約54 %が漁船、約18 %がプレジャーボート及び遊漁船によるものである。これら国民の人命、財産にかかる海難事故への対応として、海難防止のための諸施策を推進するとともに、沿岸海域におけるより迅速かつ的確な人命救助体制の充実強化を進めていくことが重要である。

 特に、近年、40 ノット程度の高速で運航する超高速船(ジェットフォイル等)が航行中に障害物と衝突したとみられる事故が多発しており、多数の負傷者を出すケースもあることから、超高速船の安全運航の確保に係る方策の検討が喫緊の課題となっている。

? 海洋汚染及び海上災害
 2005 年、海上保安庁は、海上における油、廃棄物、赤潮、青潮等の海洋汚染の発生を360 件確認している。また同庁が防除措置を実施した油排出事故は116 件あり、そのうち影響の大きいタンカーは8 件であった。また船舶火災が118 件発生したが、そのうち約66 %が漁船である。
 また、港湾局では、海域環境を整備する日常の業務として、清掃兼油回収船により、日々、漂流3)油、流木、漂流ゴミ等を回収しており、その量は年間約8,000m3(2003 年から2005 年の平均)にのぼる。このような海洋汚染や海上災害の未然防止及び対処能力をより向上させることが必要である。

? 海上テロ及び海賊対策
 2001 年9 月に発生した米国同時多発テロ事件発生以後、2002 年10 月には、イエメン沖においてフランス籍タンカー爆破事件が発生する等海上においてもテロが続発している。幸いにして我が国では発生していないものの、依然として我が国を巡るテロ情勢は予断を許さない状況である。
 今後とも海上におけるテロの未然防止及び海上における公共の安全と治安維持に万全を期すため、国内外の関係機関と連携し、水際での間隙のない体制を構築、強化することが必要である。

 また、2005 年の全世界における海賊事件の発生件数は276 件、そのうち東南アジアにおける発生件数は122 件となっている。これらは減少傾向にあるものの、2005 年3 月に発生した日本籍船舶「韋駄天(いだてん)」が襲撃された事件など、依然として誘拐等の凶悪な海賊事案が発生していることから、引き続き国内外の関係機関との連携や協力関係の強化が必要である。

? 海上犯罪
 2005 年の海上保安庁による海上犯罪の送致件数は、6,256 件であり、2004年と比べ、1,395 件の増加となっている。その中でも、暴力団や悪質業者が関与する等組織的かつ広域的な海上環境事犯、我が国の水産資源を枯渇させ、地域経済にも大きな打撃を与えかねない組織的な密漁事犯や外国漁船による不法操業事犯の件数が増加している。
 また、我が国周辺海域では、麻薬、覚せい剤等の密輸事犯や不法入国事犯等の国際的な組織犯罪も依然として後を絶たず、ますます悪質かつ巧妙化している。
 これら海上犯罪を阻止するために、監視取締り体制の強化を図るとともに、国内外の関係機関との連携強化や各種対策に取り組むなど、海上犯罪対策の徹底を図る必要がある。

(3) 港湾及び航路
 周囲を海に囲まれ、臨海部に人口、資産等が集積する我が国において、港湾及び航路は、物流や人流を支え、国民生活の向上や産業活動の発展に大きな役割を果たしている。国際社会と我が国の緊密な関わりの中で、我が国の経済安全保障を実現するためには、より一層の海上輸送の機能強化、安全確保を図ることが極めて重要である。

 我が国港湾においては、引き続き物流改革を推進していくとともに、国際海上コンテナ輸送量の増大や船舶の大型化等に適切に対応しつつ、現在進めているスーパー中枢港湾プロジェクトにおいて、アジアの主要港を凌ぐコスト・サービス水準の実現に向けた港湾整備を図ることや、関係機関と連携、協力した水際対策等危機管理体制の強化を行うこと等が喫緊の課題となっている。
 国際海上輸送及び国内海上輸送を担う一連の航路において、特に東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、関門海峡等では、航路や船舶航行が輻輳した湾口部や海峡部等が存在し、海上輸送の要衝、隘路となっている。このような場所で海難事故が発生すれば、長期にわたり航路が閉鎖する可能性が高く、その影響は我が国全体の国民生活や経済産業活動に重大なものとなる。
 このため、我が国の経済安全保障を実現するため、船舶の航行水域管理のあり方や国と地方の役割分担について検討
を進める必要がある。

(4) 海洋に関するレクリエーション
 海洋に関するレクリエーションには、プレジャーボート(モーターボート、水上オートバイ、ヨット等)、サーフィン、ダイビング、釣り等の「スポーツ型」、海水浴、潮干狩り、水族館等の「リゾート型」のほか、客船等によるクルーズ等がある。
 これらの参加人口は、2003 年で海水浴1,890 万人(1995 年:3,000 万人)、釣り1,470 万人(同1,850 万人)、潮干狩り224 万人(同461 万人)、モーターボート及びヨット100 万人(同110 万人)であり、いずれも減少傾向にある。

 また、プレジャーボートの保有隻数は、1995 年度の39.8 万隻(モーターボート30.0 万隻、水上オートバイ8.5 万隻、ヨット1.3 万隻)から増加し、1999 年度には43.8 万隻(同32.2 万、10.3 万、1.3 万隻)となったが、これをピークに減少し、2004年度は36.5 万隻(同26.8 万、8.5 万、1.2 万隻)となっている。また、小型船舶操縦士免許保有者数は、2005 年度末で303 万(1995 年度:226 万人)と年々増加している。
 一方で、放置艇及び沈廃船の隻数は年で万隻( 年: 8万隻、河川区域含む。)にものぼっており、船舶航行や漁業活動への支障、流水の阻害、津波及び高潮時における艇の流出による被害、景観悪化等の問題が顕在化している。

(5) 鉱物及びエネルギー資源
 我が国の領海、排他的経済水域及び大陸棚の海底や海底下には、鉱物資源や、石油、天然ガス、メタンハイドレートといったエネルギー資源の多量の埋蔵が確認されている。また、風力発電や海洋温度差発電といった新エネルギーの可能性も広が
っており、これらの開発及び利用の推進が、将来の我が国の経済活動にとって重要になっているとの指摘がなされている。

(6) 海岸
? 海岸の概要
 島国であり、入り組んだ海岸地形をもつ我が国は、約35,000km もの海岸線を有しており、海岸の重要性は特に大きいものがある。
 海岸は、自然海岸、半自然海岸及び人工海岸に分類されるが、1960 年当時、8割を占めた自然海岸が、現在は53 %にまで減少しており、半自然海岸が13 %、人工海岸が34 %となっている。

? 海岸侵食
 海岸の砂浜は、河川における砂利採取、河川横断工作物の設置等による土砂供給量の減少及び各種構造物の設置等による沿岸方向土砂の流れの変化など、様々な要因により、全国各地で侵食が生じている。また、海砂利採取による侵食も懸念されている。近年は海岸侵食が早いペースで進行(1908 〜 1978 年:72ha/年→ 1978 〜 1992 年:160ha/年)しており、砂浜の減少が、利用空間の減少とともに海岸の景観や生態系を大きく変化させている。

? 災害と防災対策
 我が国は、台風の常襲地帯にあり高潮が頻発し(2004 年:27 回)、地震多発地帯で津波の来襲も多い(2004 年:4 回)など、厳しい地理的、自然条件下にある。
 また、海岸侵食も全国的に顕在化してきており、放置すれば貴重な国土が失われることから、その保全は極めて重要である。この他、地球温暖化により、今後100年間で海面が9 〜 88cm 上昇するとの予測もある(IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による。)。
 一方、防災対策としての海岸保全施設は、2004 年度末時点で要保全海岸延長の62 %に設置されているが、このうち約18 %が想定津波高より低く、また、約30 %が想定津波高との比較調査が行われていないほか、施設の老朽化も進んでいる。

? 海岸漂着ゴミ
 海岸漂着ゴミは恒常的に発生しているため、景観の悪化や生態系への影響等が生じている。発生起源としては、海域から漂着したもの、河川から流出したもの及び陸域から持ち込まれたもの等であり、近年では海外からと思われる漂着ゴミも日本海側の海岸を中心に確認されている。今後、海岸漂着ゴミへの対応を強化するとともに、関係諸国とも協調、連携した取組を推進することが課題となっている。

(7) 沿岸域の利用状況
 現在、国土面積の約3割を占める沿岸に位置する市町村には、総人口の約5割が集中しており、特に東京湾、伊勢湾、大阪湾の沿岸は、全国平均の約10倍もの人口密度となっている。
 これらの三大湾と瀬戸内海は、海上交通、工業、物流、エネルギー、港湾、商業、水産業、レクリエーション、観光等で稠密に利用されている。産業の面でも沿岸に位置する市町村の工業製品出荷額は全国の約5割、商業年間販売額は全国の約6割を占める状況となっている。
 近年まで、臨海部に集積する重厚長大型産業の移転、縮小等により産業の空洞化が進んでいたが、景気の回復、海外進出企業の国内回帰、物流の高度化等により、臨海部への企業進出が進み出しつつある。

(8) 沿岸域の環境
? 沿岸域に関する水質
 我が国では、陸域からの汚濁負荷削減、海域における自然環境の再生や創出等を行い、海域の水質の改善に取り組んできた結果、COD の環境基準の達成率が2004 年で75.5%となっている。
 しかし、内湾、内海等の閉鎖性水域では依然として達成率が低くなっており(東京湾63.2 %、伊勢湾50.0 %、瀬戸内海67.3 %)、赤潮や青潮の発生等も見られる(2003 年で東京湾59 件、伊勢湾60 件、瀬戸内海106 件の赤潮が発生)。

? 沿岸域に関する生態系
 日本の海洋・沿岸域は、海流の特徴や南北に長い列島の影響により、多様な環境が形成され、同緯度の地中海や北米西岸に比べ豊富な生物相が形成されている(例:海産魚類約3,100 種、藻類約5,500 種)。しかしながら、浅海域では埋立等により藻場や干潟が減少(例:1945 〜 1994 年に4 割の干潟が減少)しているほか、琉球諸島等で海水温の上昇等によるサンゴ礁への影響が懸念されている。
 河川及び海洋・沿岸域は、多くの生態系が重なり合って形成されており、特に川と海の接点である汽水域は、沿岸域の中でもすぐれた貴重な生態的価値を有している。

 このため、アサリの稚貝やサンゴの幼生の移動等を踏まえた広域的な取組が必要であること、東京湾等の閉鎖性海域を一体として保全することが必要であること、関係者が情報を共有するとともに、科学的な解明を着実に推進し、実現可能な改善策を漸進的に実行する必要があること等が指摘されている。

(9) 沿岸域の総合的な管理
 沿岸域に関する課題を解決するためには、沿岸域を自然の系として適切にとらえ、沿岸域の総合的な管理計画を策定し、各種事業、施策、利用等を総合的、計画的に推進することが重要であるとの考え方から、2000年に関係17省庁が「沿岸域圏総合管理計画策定のための指針」を策定し、これに基づきケーススタディ等を行ってきたが、全国的には進んでいないのが現実となっており、このような沿岸域の総合管理の推進をいかに図るかが課題となっている。

?.海洋・沿岸域に関する施策とその推進
 以上のような我が国の海洋・沿岸域を巡る現状及び課題を踏まえると、我が国として海洋・沿岸域に関する施策を総合的かつ戦略的に実施する必要がある。
 このような中で、海洋・沿岸域に関する行政分野の多くを所管する国土交通省としては、以下に掲げる施策を推進していくこととする。

1.海上における安全を確保する
? 海上交通の安全を確保する
 海上輸送量の増大や船舶の大型化に対応した安全に航行できる船舶航行水域の確保、航行支援システムの構築、航路標識等の整備、海難事故の分析等を推進するとともに、安全上問題のある条約不適合船(サブスタンダード船)を排除するための措置を行い、海上交通の安全を確保する。
 また、ヒューマンエラーによる事故の防止等を推進するため、事後チェック機能の強化等を図る。

○ 船舶の安全な航行を支援するため、航海用海図の作成や更新、電子海図の整備と普及、航路標識の高機能化、沿岸域情報提供システムの拡充、地震や津波に関する情報の迅速な提供等を推進するとともに、(船舶自動識別装置) AIS を活用した次世代型航行支援システムの構築、航空レーザー等を用いた浅海域の情報の整備、海洋短波レーダー網、(全地球測位システム)波浪計等も活用したGPS的確な漂流予測、航行ルートの選定等を推進。また、衝突回避に必要な他船舶の動向等を的確に表示するINT-NAV(先進安全航行支援システム) の調査研究を推進。

○ 船舶が安全に航行できる環境を確保するため、大型船舶に対応した航路水深の確保、障害物の除去、防波堤の配置等を図るとともに、開発保全航路の指定範囲の拡大や開発保全航路と港湾の間の水域の措置等を行い、これを促進。また、荒天
時に船舶が避難できる避難港の整備を図るとともに、無害通航の外国船舶が我が国の領海内において安全に航行できるよう可航水域を確保。

○ サブスタンダード船の排除等を推進するため、IMO(国際海事機関)加盟国監査を促進するとともにPSC ポートステートコントロールを的確に実施

○ ヒューマンエラーによる事故の防止等を推進するため、運航労務監理官による監査等の事後チェックの強化を図るとともに、ILO(国際労働機関)海事労働条約の批准に取り組む。

○ 船舶の大型化等が進展する中、海上交通の一層の安全を確保するため、水先人に係る等級別免許制の導入や免許更新要件の見直し等の水先制度改革を実施。

○ 海難事故の再発防止を図るため、海難の調査及び分析に基づく、積極的な勧告や提言を実施。

? 海上及び港湾におけるテロ対策等を推進する
 テロ関連情報の調査、分析体制の整備、海上及び港湾における警備体制を強化するとともに、我が国の港に入港する船舶に対する規制を適切に実施し海上及び港湾におけるテロ対策等を推進する。

○ 海賊及び海上テロを含む海上における不法行為対策について、アジア海上セキュリティ・イニシアティブ( ) 等に基2004 AMARSECTIVE2004 づき、関係国海上保安機関に対し海上犯罪取締り能力向上のための支援を実施。

○ 国際航海船舶及び国際埠頭施設の保安措置が適確に行われるよう、実施状況の確認や人材育成等を図り、我が国の港に入港する船舶に対する規制を適切に実施するとともに、船舶接岸情報の活用、港湾施設への出入管理の高度化、内航も含めた旅客ターミナルの保安施設整備等を進め、船舶及び港湾の保安対策を強化。

○ 国が港湾施設管理者や税関等の関係機関と協働体制をとり、港湾の利用船舶に関する情報を収集して分析し、問題船等が明らかになった場合、警察機関への通報や港湾施設管理者に警戒指示を行う体制を整備。

○ 臨海部の原子力発電所、石油備蓄基地、米軍施設等の重要施設に対する警備やテロ情報調査体制を強化。

? 事故及び災害等対応の体制を強化する
 船舶の衝突や乗揚事故による油の排出、有害液体物質や危険物の流出、火災等の船舶の事故による災害、原子力発電所等のエネルギー施設の事故による災害、台風や津波等の自然現象による災害等の多様な事故及び災害に迅速かつ的確に対応するとともに、地震等に伴う経済的損失の低減を図るため海上からの輸送を確保する体制を強化する。

○ ヘリコプターの機動性、高速性等を活用した機動救難体制の充実強化に努めるほか、特殊な海難への対応体制の強化、救急救命士の養成、洋上救急体制の充実等により救急救命体制を強化。

○ 大規模な油や有害危険物質の排出事故等への対応体制や臨海部の施設の安全監督体制を一層強化するとともに、OPRC-HNS 議定書(2000 年の危険物質及び有害物による汚染事件に対する準備、対応及び協力に関する議定書) に対応した体20)制を確立。

○ 大規模災害対応として、物流と人流の両面における海上−港湾−陸上を結ぶ輸送を確保する広域的な連携、協働体制を確立。

? 海上保安業務体制の充実を図る
 海上における総合的な安全及び法秩序を確保するため、海上においてその実態を把握、監視し、直接施策を実施する海上保安業務体制の充実を図る。

○ 巡視船艇、航空機の老朽化や旧式化による業務上の支障の早期解消を図るとともに、海洋権益の保全、沿岸水域の警戒監視体制の構築、大規模災害等に対する救助体制の強化等の新たな業務課題に対応するため、老朽巡視船艇、航空機等の
緊急かつ計画的な代替整備を推進。

○ 携帯電話からの118 番通報による位置情報、コスパス・サーサット捜索救助衛星システムによる遭難警報、船舶に搭載された等から得られる我が国周  ?AIS辺海域の船舶動静情報等を、海上保安庁が保有する各種の情報と横断的に照合で
きるシステムを構築し、救難即応体制、海難防止対策等を向上。

2.国土の保全と防災対策を推進する

? 国民の生命や財産を保護する
 安全性の確保が不十分な地域において引き続き防災や減災に取り組む。その際には、施設の耐震化、津波や高潮の予測をより正確かつ迅速に分かりやすく伝達する仕組みや、土地利用施策等の多様な対策を含めた総合的な取組を行う。

○ 海岸保全施設の重点緊急点検結果を受けた、壊滅的な被害が生じるおそれがある海岸における被害防止対策をはじめ、水門の自動化や遠隔操作化、堤防護岸の破堤防止、ハザードマップ作成支援等ハードとソフトが一体となった総合的な津波、高潮(ゼロメートル地帯)対策を推進。

○ 東海・東南海・南海地震及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による津波被害が想定される沿岸域やゼロメートル地帯における耐震性が十分でない海岸保全施設(堤防、護岸等)の耐震対策を推進。

○ 海岸ごとに潮位、波高、打ち上げ高等を的確かつきめ細かに予測する高潮情報システムの構築、津波警報の一層の迅速化及び精度向上、津波、高潮、高波に関する情報提供の充実や共有化を推進し、防災機関等での情報共有の高度化を推進。

○ 地震発生の予知に寄与する海底地殻変動観測や活断層の調査を実施するとともに、大規模地震に伴う津波の挙動を明らかにするため、津波シミュレーションを実施。また、海域火山活動の監視を行い、船舶航行や漁業活動等に関する災害の防止
を推進。

○ 津波時の放置プレジャーボートの陸への乗り上げ等の防止として、一般海域を含めた係留施設の台帳管理の徹底、係留施設の指定等を実施。

○ 大規模地震発生時の避難者や緊急物資の円滑な輸送の確保に資する港湾施設の耐震化とともに、海岸保全施設の耐震性を短時間かつ低コストで判定可能な「チャート式耐震診断システム」の開発を推進。

○ 地震や津波等の災害時における、海上からの住民の避難や物資輸送等を支援するため、沿岸域における防災情報図の整備を推進。

○ 東京湾及び大阪湾臨海部等において、基幹的広域防災拠点を整備するとともに「道の駅」の防災拠点化を推進。

○ 減災対策として、道路利用者への情報提供、避難路の整備及び救援活動や物資輸送を行う上で重要な役割を果たす緊急輸送道路の確保のため、道路橋の耐震補強や高規格幹線道路ネットワークを整備。さらに、被災を受けた道路について、障害物の除去や応急復旧等の迅速な啓開を実施。

○ 津波被害リスクのある地域において、生命や財産を守るため、津波防護機能を持ち合わせた防波堤の整備を推進。

○ 災害体験の継承、防災知識の蓄積や普及に必要な分かりやすい教材の作成、これらを多くの住民に分かりやすく伝えられる人材の育成、緊急時に備えた体制の構築と防災訓練を推進。

○ 海岸侵食や津波、高潮に対する沿岸域の安全性の低下を防止、軽減するため、関係者間の連携等の仕組みを構築。

? 国土を保全し、領海及び排他的経済水域等の海洋権益を確保する
 海岸侵食等の対策を行うことや、外洋域における離島の交通、情報通信やエネルギー供給等に係る基盤の確保等に関する取組により、国境離島をはじめ、領海並びに排他的経済水域及び大陸棚の基線となる国土の保全を図るとともに、日本周辺海域についての適正な海図の作成のための調査や大陸棚の限界画定のための調査、的確な監視警戒等を行い、領海並びに排他的経済水域及び大陸棚の海洋権益の確保を図る。

○ 離島、奄美群島及び小笠原諸島において、交通基盤、産業基盤、生活環境、防災及び国土保全に係る施設等の整備や離島航路の維持及び改善に対する助成、産業や観光の振興、国内外との交流の促進、人材育成の支援等ソフトとハードを一体的に実施する総合的な施策を推進。

○ 我が国の領海及び排他的経済水域等を確保する上で、重要な拠点である国境離島に対して、万全な国土保全を推進するとともに、海象観測の実施等その活用を推進。

○ 大陸棚の限界画定のための調査等の推進や、国境離島の位置情報基盤の整備を推進。また、侵食対策等の海岸の適切な維持及び管理に資する低潮線の調査を実施。

○ 排他的経済水域が画定していない日本海、東シナ海等における海底地形や地質等の情報基盤を整備し、適正な海図の作成を推進。

○ 東シナ海等において顕在化している我が国の海洋権益に関する問題への対応として、機動力や監視能力等に優れた巡視船、航空機等を整備し、厳正かつ的確な監視警戒を実施。

○ 外国漁船による不法操業に対して、特に外国漁船が多数操業している日本海、東シナ海への巡視船艇や航空機の配備等により、効果的かつ厳正な取締りを実施。

3.海洋・沿岸域環境の保護及び保全を推進する

? 海洋・沿岸域のモニター体制を強化する
 継続的に海流、海水中の汚染物質、海底地盤の状況、気象、漂流・漂着ゴミ等に関する基礎データの整理、提供体制の強化等を実施し、海洋・沿岸域環境のモニター体制を強化する。

○ 国土交通省における海洋や沿岸域に関する各種情報の収集、整理、提供体制の強化を図るとともに、海域環境の順応的管理に資する波浪、潮位、水深、水質、底質等の効率的なモニタリングを行うことで、海洋や沿岸域のモニター体制を強化。

○ 地球環境に関連した海洋現象を総合的に診断し、「海洋の健康診断表」として提供。

○ 海岸を活動の場としている市民、NPO との協働により、海岸環境に関する情報の広範かつ継続的なモニタリング体制を構築。

○ 排他的経済水域や大陸棚から沿岸域までの海岸線、低潮線、海底地形、地質等の情報基盤を整備。

? 海洋汚染等に対する的確な対応を推進する
 大規模油流出、漂流ゴミ、放置座礁船、流出流木及び大型構造物の漂流等が、環境や安全上の支障をきたす等の問題に対し、未然防止対策の推進及び漂着前後それぞれにおける積極的な防除の仕組みの構築等を図る。

○ 油や有害危険物質の流出、放置座礁船等による海洋・沿岸域の汚染に適切に対処するため、領海を越え、場合によっては公海上であっても大型油回収船、巡視船等を迅速に派遣する等国境を越境する海洋汚染について、積極的な防除の取組を推進するための体制等の強化や、保険や基金による被害者保護への的確な取組を実施。

○ 油流出事故が発生した際に迅速かつ的確な油防除措置等の実施に資するため、適切な漂流予測を実施するとともに、沿岸海域の自然的、社会的情報等をデータベース化した沿岸海域環境保全情報の整備を推進。

○ 漂流・漂着ゴミについて、関係省庁と連携して、その処理(回収、処分)、発生源対策を推進。

○ 海洋環境保全講習会や訪船指導等により、漁業者、海事関係者に対して海洋汚染の防止のための指導及び啓発を実施。


? 脆弱な海域の保護及び保全を推進する
 船舶からの汚染を防止する必要性が高い海域を、海上輸送を確保しつつ、保護及び保全する。

○ 生態学的又は科学的理由により船舶からの汚染を防止する必要性の高い海域に対し、海上輸送を確保しつつ、これを未然に防止するための措置を導入。

4.海洋・沿岸域の自然環境や美しい景観を取り戻す
? 海洋・沿岸域の自然環境を回復させる
 埋め立て、沿岸構造物の設置、海岸の消失等により失われた自然環境の回復を図るため、干潟や藻場、サンゴ礁、湿地等の保全と再生、修復を図る。また、ヘドロ、ごみ、ダイオキシン等の有害物質等の堆積、埋立用材及び骨材の採取による深掘等により、元の生態系が失われた海底環境について底質環境を改善する。

○ 流砂系及び漂砂系の連続性を確保し、流入土砂による航路埋没、海岸侵食等の課題に対処するため、関係機関が協働して流砂系及び漂砂系における総合土砂管理を推進する体制を構築。

○ 埋立造成地、工場等からの土地利用転換地、廃棄物の埋立処分地等における緑地、湿地、干潟等の自然空間の再生や創出、砂浜、藻場、サンゴ礁等の回復、底質環境の改善等による自然環境の再生を推進。

○ 珊瑚付着型のブロックや干潟の再生に関する技術開発を推進し、港湾整備等への反映を推進。

○ ダイオキシン類等の有害化学物質による底質汚染の対策を推進。

○ 青潮等の原因とされる深掘跡の効率的な埋め戻し等を実施するため、浚渫土砂等の需給や品質を調整するシステムを構築。


? 海洋・沿岸域の自然環境及び景観の維持及び保全を図る
 自然海岸や砂浜、干潟等の生態系への影響を最小化するため、十分な事前環境調査等を行い、沿岸域構造物と環境及び景観との調和を図る。また、多くの海岸で見られる漂着ゴミや放置されている船舶等を処理することや、船舶からの排出ガスの削減等により、自然環境及び景観の維持、保全を図る。

○ 人工海岸の整備、構造物の設置等に際して、環境との調和を一層重視し、石積堤や緩傾斜護岸等自然と共生する取組を実施。

○ 沿岸域にゴミが異常に漂流、漂着し、これを放置することにより船舶航行への支障、海岸保全施設の機能阻害、海岸環境の悪化等が生じているため、実効的な対策を推進。

○ 廃船(繊維強化プラスティック製廃船)の環境に優FRP しい処理と、FRP 廃27)船の不法投棄、放置艇の沈廃船化等の問題に対処するため、FRP 廃船のリサイクルシステムの普及を推進。

○ 海域への廃棄物不法投棄、汚水の不法排出等の海上環境事犯に対し、関係機関と悪質事業者等に係る情報共有体制を構築し、監視取締体制を効率化するとともに強化。

○ 船舶に石油類等を積み出す際に放出されるVOC(揮発性有機化合物質) 対策を実行していくため、放出規制港湾の指定や港湾における排出ガス処理施設の整備を促進。

○ 港湾に係留中の船舶に陸上側施設から電力を供給することで、船舶のアイドリングストップを推進。

○ 沿岸部における魅力ある空間の整備を推進、支援するため、海岸景観形成ガイドラインを踏まえた防災や利用と調和した良好な海岸景観形成を推進するとともに、景観計画の策定等景観法の制度活用について地方公共団体への助言を実施。

? 水質の保全及び回復を図る
 下水道の整備及び河川の直接浄化による陸域からの汚濁負荷の削減並びに水質浄化能力を有する干潟や藻場の保全、再生等を行うことにより、依然として閉鎖性水域において、赤潮や青潮が発生している状況を改善する等水質の保全及び回復を図る。

○ 水質改善が進まない三大湾等の閉鎖性海域を中心に、「全国海の再生プロジェクト」として「海の再生」に向けた各種施策、海底の汚泥除去や覆砂による溶出抑制等の海洋・沿岸域の水質改善対策、合流式下水道の改善や高度処理の推進、河川浄
化対策、環境モニタリングを、一層、総合的かつ効果的に推進。

○ 東京湾、大阪湾以外の閉鎖性海域についても、順次再生行動計画の策定に向けた取組を推進。

5.海洋・沿岸域の利用を推進する
? 海上輸送の安定化・活性化を図る
 外航海運について、適切な競争環境の確保等により、高質かつ効率的な輸送サービスを安定的に提供できる体制を整える。また、内航海運の経営基盤の強化等により、新造船舶への適切な代替を推進し、内航海運の活性化を図る。

○ 我が国商船隊による安定輸送を確保するための方策の充実・強化。

○ 経済効率、環境、安全等の課題を解決する新技術の開発と実用化を支援する枠組みを創設するとともに、環境問題への対応等社会的要請に応えることのできるスーパーエコシップの普及を促進。

○ 中小零細の多い内航海運事業者のグループ化、協業化を促進し、経営基盤を強化。

? 海洋・沿岸域の経済活動を活性化させる
 貿易構造や荷役形態の変化に伴う陳腐化した施設や水際線を有する付加価値の高い低未利用地について、物流拠点や国際競争産業等の立地を推進する等有効利用すること等により、沿岸域の経済活動の活性化を図る。

○ 沿岸域の低未利用地に物流や国際競争産業等新しい機能立地を促し、それに併せて拠点的な港湾から高規格幹線道路等へのアクセス道路の重点的な整備や、高度成長期時代の老朽化した運河や水路、護岸、防災・減災施設等のリニューアルを推進。

○ 「みなとオアシス」のような交流の場の形成を支援し、多目的拠点としての活用を推進。

○ 沿岸域における公共水域や港湾施設等既存ストックの適正かつ安全な活用促進に資する地域の取組に対し、フィージビリティの調査や規制等との調整等を実施し、これを支援。

? 海洋・沿岸域の新たな利用を推進する
 新規航路の開拓、メガフロート等を活用した洋上発電や大陸棚海洋資源開発基地及び中小ガス田の活用を可能とする新たな輸送システムの構築等海洋の新たな利用を、技術の開発動向を踏まえ推進する。

○ 「リサイクルポート」の形成により、海上輸送による効率的な静脈物流ネットワークを構築し、循環資源の広域的な流動を促進。

○ 環境負荷の少ない内航海運による輸送への転換を促進するとともに、沿岸域ネットワーク、島や海の魅力を気軽に楽しむことができる国内旅客航路を活性化。

○ 拠点的な港湾から高規格幹線道路等へのアクセス道路を重点的に整備。

○ 中小ガス田の活用が可能となるよう、NGH(天然ガスハイドレート)輸送船を活用した新たな輸送システムを構築。

○ 海洋における風力、海洋温度差等による発電といった新エネルギーの活用に向けた洋上発電プラットフォームや大陸棚海洋資源開発基地として、メガフロートの活用を推進。


? 海洋・沿岸域の利用に関する技術の開発等を推進する
 環境修復や侵食防護、高潮や津波への対策、耐震性診断、低環境負荷の船舶等の技術の開発、実用化及び普及を推進するとともに、気象、海象、水路状況等の海洋情報の活用を推進し、海上輸送の高度化等を図る。

○ 経済的で環境にやさしい船舶であるスーパーエコシップ等新技術を活用した船舶、船舶からの排出ガスに含まれる硫黄酸化物を大幅に低減するACF(活性炭素繊維) を活用した舶用高機能排煙処理システム、窒素酸化物及び二酸化炭素の排出を同時に削減する超臨界水を活用した舶用ディーゼル燃焼機関等の研究開発、実用化及び普及を推進。

○ 海上におけるインターネットやTV 電話、電子メール等の通信利用環境を改善する高速大容量の船陸間双方向通信を実現するため、海上ブロードバンドの有望な活用方策の検討、実現に向けて必要な取組の提案を実施。

○ GPS 波浪計、陸上GPS 基準局、船舶AIS 及び海洋短波レーダー等の情報のマッチングにより、船舶に対する各種航行支援情報のリアルタイムの発信を推進。

○ 環境モニタリング結果を活用しつつ、珊瑚付着型のブロックや干潟の再生等に関する技術の向上のための研究開発を持続的に実施。

○ 日本海洋データセンターが収集、管理し提供している各種海洋データを関係機関との連携により充実させ、海洋・沿岸域の基盤情報の整備を推進。

? 海洋・沿岸域の利用を支える船舶や船員を確保する

 海上輸送の高度化に対応した船舶や船員を確保するため、造船技能者や優良な船員の育成を行う。

○ 海洋・沿岸域の安全確保、環境保全に資する船舶の供給を支える造船業を振興。また、造船業における技能者の世代交代に対応する造船に関する「匠」の技の円滑な伝承を推進。

○ 船員教育機関における船員養成やBRM 研修を始めとする実践的な技能の教授並びに各種の船員雇用施策により、優良な船員の確保及び育成を促進。

? 海洋・沿岸域の多様な利用を調和させる
 沿岸域の利用の輻輳等を解消するため、一般と産業関連等との利用調整、国土保全と経済活動との利用調整を行い、相互に調和がとれるようにする。

○ 沿岸域の環境と産業、観光、レクリエーション等の利用との調整を図り、持続的な沿岸域の利用と保全を図るため、沿岸域の利用と保全に関する施策を国と地方及び利用者、NPO 等の適切な役割分担、相互の連携、協力、協働により、より一層
着実に実施。

○ 沿岸の大都市から排出される廃棄物最終残渣や災害時に発生する廃棄物の適切処分について、最終処分場の広域融通を推進。

6.海洋・沿岸域への親しみ、理解を増進する

? 人と海のふれあいを取り戻し、海辺のにぎわいを創出する
 臨海部における親水空間の確保やアクセスの改善、プレジャーボート等による海洋スポーツやクルーズの活性化等ハード、ソフト両面において人と海のふれあいを取り戻すことにより、海辺のにぎわいを創出し、地域の活性化等に寄与する。

○ 臨海部の水辺空間が市民の親水空間、人と海の触れ合う場となるよう、臨海部の都市公園、港湾緑地、海岸等の整備を推進。

○ 水域を活用したプロムナードやビジター桟橋、水域にアクセスできる斜路や階段護岸等施設の一部として水域を効果的に取り込んだ港湾緑地の整備を行い、海辺のにぎわいを創出。

○ 港湾の資産を地域の視点から再評価するとともに、地域の産業、海に開かれた特性等港湾の資産を最大限に活用し、地元等の市民団体、地NPO 元市町村、港湾管理者、地元企業等の連携による港湾のにぎわいの創出を推進。

○ マリーナ及びフィッシャリーナ等を活用し、プレジャーボート等によるクルーズ、海洋スポーツ等のマリンレジャーの拠点や地域観光情報等の提供を行う「海の駅」の設置を地域と連携して支援し、ネットワーク化を推進。

○ 海洋におけるレクリエーションが安全かつ安心に楽しめる環境を整備するため、沿岸域の流況情報等の整備及び提供を推進。

? 海洋・沿岸域に関する知識の普及及び理解の向上を図る
 海との共生について積極的な関心や協力を喚起するため、海洋・沿岸域に関する知識の普及及び理解の向上を図る。

○ 海洋・沿岸域教育に係る普及啓発活動や指導者育成、NPO 等活動団体のネットワーク化、ホームページの作成等の取組を更に拡充し、利用者からのアクセスしやすさの向上や団体同士の連携と協働をより一層促進。また、関連する基礎知識の体
系化や普及啓発の取組を推進。

7.海洋・沿岸域の総合的管理を推進する
 海洋・沿岸域に関する施策を総合的、戦略的に実施するため、国家戦略的な視点を踏まえつつ、海洋・沿岸域の総合的管理について、国の施策の基本方向を定立するとともに、各地域において、関係者の共通認識の醸成を図り、各地域の自主性の下、多様な主体の参画と連携、協働による計画策定等の取組を着実に推進する。

○ 国の各種基本的な政策等との整合を図りつつ、沿岸域の安全の確保、多面的な利用、良好な環境の形成及び魅力ある自立的な地域の形成を図るため、関係者の共通認識の醸成を図りつつ、各地域の自主性の下、多様な主体の参画と連携、協働により、各地域の特性に応じて沿岸域圏の総合的な管理計画を策定するなど、各種事業、施策、利用等を総合的、戦略的に推進する。

8.国際社会との協調及び協力関係を確立する
 海洋・沿岸域の安全確保や環境保全等を図るため、IMO等の国際機関の枠組みや、PSIをはじめ各種会合や訓練等海の安全や環境保全に係る国際的な取組に積極的に参画するとともに、SUA条約の改正等に伴う国内の体制の整備や、国土の水没問題等に苦慮している島嶼国への支援、国際的な沿岸防災対策への支援、日ASEAN交通連携プロジェクトの推進、ODAの活用等により、国際社会との協調及び協力関係を確立する。また、東南アジア諸国に対する海上保安機関の設立支援、海上犯罪取締能力や捜索救助技術等高度な技術や知識の移転等により、マラッカ・シンガポール海峡等を含む東南アジア海域の海上保安能力の全体的な向上を図る。

○ マラッカ・シンガポール海峡等日ASEAN 地域における海の安全や環境保全等のため、日ASEAN 海事セキュリティプログラムやOSPAR 計画等を推進。

○ 東南アジア周辺海域の海上の秩序を確保し、これを通じて我が国の海上交通の安全を確保すべく、フィリピン、インドネシア、マレーシア等へ専門家を派遣し、海上保安機関の設立支援や、東南アジア諸国への技術や知識の移転等を実施。

○ 海上阻止訓練に海上保安庁巡視船を参加させるなど、PSI の活動に積極的に参画。

○ 平成17 年10 月に採択されたSUA 条約の改正について、関係省庁の一員として批准に向けた国内体制の整備を推進。

○ PEMSEA(東アジア海域環境管理パートナーシップ) やNOWPAP(北西太平洋地域海行動計画) 等の取組に積極的に参画し、我が国の取組を東アジアに発信するとともに、日本海、黄海等の海洋環境の保全に積極的に取り組む。また、海洋汚染防止に関する取組について日仏協力会議を開催し、技術的、組織的な協力等を推進。

○ 大規模な油や有害危険物質の排出事故等への対応体制を一層強化するとともに、OPRC − HNS 議定書に対応した体制を確立。

○ シップリサイクル(船舶の解撤)や目標指向の新造船構造基準、次世代航海システム等に関するにおける検討を積極的にリード。

○ IMO やMAIIF(国際海難調査官会議) における、国際的海難についての調査協力体制推進の議論に積極的に参加。

○ ODA を通じた海洋・沿岸域に関する国際協力を推進。

○ 国土の水没問題等に苦慮している島嶼国に対し、国土保全の手法等について情報提供等の支援を実施。

○ 北西太平洋域の各国に津波情報の提供を実施するとともに、インド洋の沿岸国に対しインド洋における津波警戒システムの構築支援及び暫定的な津波監視情報の提供を実施。

○ 船舶、ブイ、フロート等の海洋観測データを準リアルタイムで国際的に収集し、地球環境に関連する海洋の情報を作成して国内外の行政機関や研究機関へ提供。

9.施策を推進するに当たっての基本的考え方
 海洋・沿岸域に関する施策については、国土交通省として以下の基本的考え方を十分踏まえ、推進していくこととする。

? 総合的、戦略的な取組
 海洋・沿岸域に関する問題は、それぞれ個別に存在するのではなく、相互に関係するものが多く、また、例えば海岸侵食対策のように山地や河川から海岸に土砂を適正に供給する総合的な土砂管理が必要であるなど、陸域、河川等との関係で生じているものもある。
 さらに、安全の確保や国土の保全のように中長期的な視点に立って施策を組み合わせて実施することが効果的なものもあることから、関係機関が連携し、関係する施策を総合的、戦略的に実施する。

? 国際的な視野に立った取組
 我が国はすべての国境を海域で画し、海上における安全、離島管理、資源やエネルギーの利用及び開発、地球規模の環境問題等海洋に関する課題の中には、国際的な性格を帯び、その解決に当たって国際的な協力が不可欠であるものもあるため、国際的な視野に立った取組を進める。
 また、海洋・沿岸域政策に関する幅広い分野に精通し、かつ、国際的枠組みに参加し、我が国の意見を発信していくことができるような人材の育成を図る。

? 国と地方の役割分担、連携及び協働
 海洋・沿岸域に関する問題は多岐にわたり、地域的な問題として単独の市町村が取り組むべき問題から、複数の都府県にわたる広域の連携が必要な問題、排他的経済水域及び大陸棚における問題や国際競争力の根幹を担う海上輸送の確保のように国が取り組むことが必要な問題があることから、今後は、国際動向に応じた国の立場を踏まえ、国と地方、また、地域間の役割分担を明確にするとともに、重層的な取組が必要な分野について、連携、協働して取り組んでいく。

? コンセンサスの状況に応じた取組
 海洋・沿岸域に関する問題については、多様な価値観が存在し、また、利害関係が複雑であることが多いことから、地方公共団体、漁業者、産業界、海運事業者、海洋レジャー関係者、各公物管理者、地域住民、環境保護団体その他のNPO等多くの関係者の間の情報共有や共通認識の醸成を図り、そのコンセンサスの形成状況に応じて、取組を進める。また、取組に当たっては、関係者の連携、協働の下、試行的に良好な環境を形成することによって理解と協力を得る等の方策も進める。

? 持続的な取組
 海洋・沿岸域に関する問題の多く、例えば、干潟や藻場の回復といったことは、長期にわたる取組が必要であるとともに科学的、技術的に解明されていないものもあることから、持続的な取組を着実に推進していく。

? 先行的な取組
 良好な環境はいったん損なわれると回復が困難となる場合が多いことから、海洋・沿岸域の海洋環境や自然環境を守るために、損なわれる前に環境のモニタリングや科学的、技術的な分析評価を十分に実施する等の先行的措置を講じる。

? 多様な主体の参画促進
 沿岸域における問題については、現在でも地域住民やNPO が参画し、取組を行っているところであるが、特に環境の保全や、海を活用した地域づくり等を中心として、引き続き地域住民、NPO の力に期待するところは大きく、一層の参画を促す。

? 効率的、効果的な施策の実施
 国及び地方公共団体とも要員や財源の確保が厳しい中、不断の組織体制の見直し等と併せて、事前の施策効果を見極め、担当部局間の連携、メリハリのある施策の展開、重点施策への要員の集中、民間やNPO との協働等により、効率的かつ効果的に施策を実施する。
 本大綱にまとめた施策のうち、法制の整備が必要なものについては、海洋政策を巡る諸状況を踏まえつつ、その整備に向けて検討を進めることとする。
 また、本大綱にまとめた施策のうち国土計画上重要な事項については、国土形成計画(全国計画及び広域地方計画)の案において、関係府省とも調整の上、位置付けを図るものとする。


http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/01/010621_2/02.pdf  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 15:48Comments(0)底質汚染分科会

2009年12月29日

第18回瀬戸内海広域漁業調整委員会

第18回瀬戸内海広域漁業調整委員会


1.日時
平成21年3月3日(月)14時00分

2.場所
神戸市中央区下山手通5−1−16パレス神戸2階「大会議室」
3.出席者指名
?出席委員
糠善次/ 川本信義/ 山本正直/ 小田英一
福池昌広/ 高橋昭/ 前田健二/ 宮本憲二
藤本昭夫/ 坂井淳/ 原一郎/ 荒井修亮
以上12名

臨席者
水産庁資源管理部管理課課長木實谷浩史
課長補佐渡邉顕太郎
九州漁業調整事務所次長佐藤愁一
独立行政法人水産総合研究センター
瀬戸内海区水産研究所部長岩本明雄
資源管理研究室長永井達樹
研究員片町太輔
中央水産研究所主任研究員石田実
和歌山海区漁業調整委員会事務局長田上伸治
大阪海区漁業調整委員会課長補佐狭間文雄
専門委員小菅弘夫
大阪府環境農林水産部水産課課長補佐亀井誠
兵庫県農政環境部農林水産局水産課資源管理係主査峰浩司
兵庫県農政環境部農林水産局水産課漁政係主査森本利晃
岡山海区漁業調整委員会次長佐藤二郎
広島海区漁業調整委員会専門員山根康幸
山口県農林水産部水産振興課主任岡田浩司
徳島県農林水産部水産課技師西岡智哉
香川海区漁業調整委員会副主幹宮川昌志
香川県農林水産部水産課課長補佐井口政紀
技師益井敏光
愛媛県農林水産部水産局水産課資源管理担当係長加藤利弘
愛媛県農林水産研究所主任研究員河本泉
主任研究員関信一郎
福岡県豊前海区漁業調整委員会事務主査竹馬悦子
大分海区漁業調整委員会事務局長日隈邦夫
大分県農林水産部水産振興課副主幹大塚猛
愛媛新聞社大阪支社編集部長芝充
瀬戸内海漁業調整事務所所長佐藤力生
調整課長馬場幸男
資源課長森春雄
指導課長小林一弘
資源管理計画官平松大介
資源保護管理指導官中奥美津子
調整課許可係長酒井仁
調整課調整係玉城哲平
資源課資源管理係長松本貴弘
資源課資源増殖係長萩原邦夫
資源課漁場整備係正岡克洋

4.議題
1.サワラ瀬戸内海系群資源回復計画について
2.周防灘小型機船底びき網漁業対象種資源回復計画について
3.カタクチイワシ瀬戸内海系群(燧灘)資源回復計画について
4.トラフグ資源管理の検討状況について
5.その他























5.議事の内容

(開会)
(馬場調整課長)
ただいまから第18回瀬戸内海広域漁業調整委員会を
開催いたします。
それでは前田会長、議事進行をお願いいたします。

(挨拶)
(前田会長)
さて、本日の委員会ではサワラ瀬戸内海系群資源回復計画、周防灘小型機船底びき網漁
業対象種資源回復計画、燧灘カタクチイワシ資源回復計画について平成20年度取組の実
施状況と資源状況についての報告をしていただきまして、また平成21年度の取組などに
ついてご審議いただくことといたしております。
更にはトラフグ資源管理の検討状況、平成21年度予算についてもご報告いただくなど
盛りだくさんの内容となっております。
また、ご案内のとおり委員の皆様におかれましては現在の委員の任期が平成17年10
月1日から4年間、今年の9月末日までが任期となっております。緊急の予定がなければ
本日が最後の委員会になろうかと思います。委員の皆様におかれましては最後まで活発な
ご議論をお願い申し上げます。

(木實谷管理課長)
ご承知のとおり広域漁業調整委員会でございますけれども、都道府県の区域を越えて分
布回遊する資源の適切な管理を目的として設置されまして、国が作成する広域の資源回復
計画を中心としてご審議をいただいているところでございます。
現在、全国で18の広域計画そして46の地先計画が実施されておりまして資源回復の
ための取組が全国的に展開されてきているところでございます。瀬戸内海を管轄いただい
ております本委員会の関係では現在までに3つの広域計画が作成実施されているところで
ございますけれども、皆様方の不断のご努力により資源の回復が更に図られることを期待
しているところでございます。

改めて申し上げるまでもなく水産庁といたしましても、この資源回復計画につきまして
は主要施策の1つでございまして今後とも一層推進していくということにしているところ
でございます。現在取り組んでおります資源回復計画につきましては、徐々に回復が見ら
れ始めている計画もございまして、このような資源については将来的には漁業者がみずか
らの力で管理していくような方向にもっていくというのがこれからの課題ではないかとい
うふうに考えているところでございます。

一方で、漁業経営を取り巻く情勢につきましてはご承知のとおりいまだ予断を許さない
状況にございますけれども、適切な資源管理に取り組み水産資源の維持回復を行っていく
ことは、将来的に活力ある漁業構造の確立にもつながっていくものと考えておりまして、
資源管理を目的として設置されました広域漁業調整委員会の役割は一層期待されるものと
考えているところでございます。

なお、広域漁業調整委員会につきましては委員の皆様の任期が一期4年となっておりま
して、現在第2期目の最終年を迎えているということでございます。平成13年に漁業法
が改正され広域漁業調整委員会制度が設けられ、その中で資源回復計画を中心とした課題
に鋭意ご尽力を賜りました皆様のおかげで、資源回復計画も今や全国的な展開になってい
るところでございます。これまで各委員の皆様方が払ってこられましたご努力に対して重
ねて御礼申し上げますとともに、残されました半年の期間におきましても資源管理、漁業
調整といった課題に対しまして引きつづきご支援、ご協力をお願いする次第でございます。
本日はさわらの資源回復計画を始め、盛りだくさんの議題となっているというふうに承
知しております。皆様の有意義なご審議が行われまして、今後さらに瀬戸内海における資
源管理が推進されますよう祈念いたしまして、簡単ですけれども開会のあいさつとさせて
いただきます。

(資料確認)
(前田会長)
それでは、本日使用いたします資料の確認を行いたいと思います。事務局よろしくお願
いします。

(馬場調整課長)
それでは、お手元にお配りしております資料でございますが、まず議事次第、委員名簿、
出席者名簿それから本日の会議での資料としまして資料1−1から1−3までサワラの資
源回復計画関係の資料。資料2−1から資料2−3まで周防灘小型機船底びき網資源回復
計画の資料。資料3−1から3−3までがカタクチイワシ資源回復計画の資料。資料4ト
ラフグ資源管理に関する主な取組。資料5平成21年度予算関連資料がございます。それ
から参考資料といたしまして瀬戸内海で行っている広域種の資源回復計画等に関します資
料をホッチキスどめで配付しております。ざいます。


(議題1 サワラ瀬戸内海系群資源回復計画について)
(前田会長)
それでは早速、議題1「サワラ瀬戸内海系群資源回復計画の一部変更について」に入り
ます。
まず始めに20年度の実施状況について事務局より報告していただき、次に瀬戸内海区
水産研究所からサワラの資源状況などについて説明をしていただきます。その後、21年
度の取組につきましてご審議いただきたいと思います。
それでは本年度の実施状況について事務局から報告をお願いいたします。

(平松資源管理計画官)
瀬戸内海漁業調整事務所資源管理計画官をしております平松でございます。
まず資料1−1を用いまして、ご説明をさせていただきたいと思います。座って説明を
させていただきます。

サワラ資源回復計画の平成20年度の実施状況につきまして、資料1−1の表紙をめく
っていただきますと漁獲努力量削減措置実施状況図1ページがございます。こちらの実施
状況図から資料の5ページまで、種苗放流それから漁場整備等の実施状況につきましては
前回の委員会での報告内容と重複いたしますのでここではご説明を割愛させていただきま
す。

資料の6ページをご覧いただきたいと思います。こちらに平成20年の漁獲量の速報値
を載せてございます。6ページの1番の漁獲量の表の欄外、右側に速報値として括弧書き
で各年の数量を書いているところでございます。こちらの数値につきましては、農林水産
省の統計部が半年ごとに速報値として集計しております数値の平成20年の上半期、下半
期の合計の数字を掲載させていただいております。平成20年につきましては、瀬戸内海
の漁獲量が752トンということで集計をされてございます。これと同じ速報値の平成1
9年の数字を見ていただきますと803トンということで速報値の対前年比が94%、マ
イナス6%ということになってございます。私どもの事務所の方で各府県の担当の方から
漁獲状況を聞き取っております情報を整理いたしますと、やはり同様に数%前年を下回る
というような情報をお聞きしてございます。こちらにつきましては、確定値はもう少し時
間が経ってから出るということでございますが、平成20年は平成19年の漁獲量の確定
値1,081トンを若干下回るのではないかと想像をしているところでございます。

平成20年の漁獲量の統計の数字につきましては以上でございますが、6ページの2番、
下の方ですがこちらの方には当広域漁業調整委員会指示で漁獲量の上限が定められており
ます。はなつぎ網、さわら船曳網、サゴシ巾着網、こちらの漁獲量の報告が各県からござ
いましたので、その数値を掲載させていただいてございます。それぞれ表にございます制
限値以内での操業が実施されたというところでございます。

漁獲量については以上でございますが、次に資料の7ページに岡山県が今年度実施いた
しました試験操業調査の結果、それから8ページから9ページには同じく香川県で実施さ
れました試験操業調査の結果を載せてございます。

まず、7ページの岡山県の調査結果でございますが今年度、昨年の10月に試験操業が
3回実施されてございます。真ん中の2番の試験操業結果のところの平成20年の欄をご
覧ください。3回の試験操業によりましてサゴシが197尾漁獲されております。その下、
1隻あたりのCPUEも65.7ということで、それぞれ平成19年の結果を上回る結果
となってございます。197尾の漁獲されたサゴシのうち、放流魚がどれだけ含まれてい
たかというものにつきまして7ページ一番下の表3に漁獲サゴシのデータと右側に放流さ
れたサワラのデータの結果を載せております。平成20年につきましては、197尾のう
ち放流されたものが1尾ということで混獲率は0.5%という結果になってございます。

昨年、一昨年と比べて混獲率が非常に低い結果というのが今年の特徴でございます。

同様に8ページから9ページの香川県の調査結果も傾向といたしましては、ただいまの
岡山県と同様の傾向となってございまして、まず8ページの2番の漁獲状況の1番下の右
端、平成20年の結果といたしまして3回の試験操業で107尾のサゴシが漁獲され、1
隻あたりの漁獲実数も17.8尾ということでそれぞれ前年を上回っているという結果で
ございます。また9ページに漁獲されたもののうち放流されたサワラがどれだけ含まれて
いたかということで表になってございますが、こちらの平成20年のところをご覧いただ
くと、左側の漁獲サゴシ107に対して放流サワラの尾数が1尾ということで混入率が約
1%という形になってございます。それぞれ傾向といたしましては、先ほどの岡山県と同
様な傾向になっているというところでございます。

このように両県とも試験操業での漁獲は昨年よりも多いということ、それから全体の漁
獲の中に占める放流されたサワラの割合が少ないということ、相対的に見ると全体の天然
のサワラ加入が多いということを示す結果となってございます。ただ、近年では加入が卓
越いたしました平成14年ほどの結果にはなっていないというところがございます。若干
漁獲がいいのではないかというような推定もしておりますが、これらの加入状況につきま
してはまた後ほど瀬戸内海区水産研究所の方からの報告にも触れられますのでそちらに譲
りたいと思います。

岡山県、香川県の両県で実施されております試験操業こちらにつきましては、播磨灘の
休漁期間に実施されるものということで、本委員会指示との関係により事前に委員会へ調
査計画の報告、また結果の報告を行うということにされております。平成21年度につき
ましても今年度と同様に調査が計画されておりまして、資料の10ページ、11ページに
それぞれ来年度の調査計画が提出をされていることをご報告いたします。

それから平成20年度の実施状況、最後になりますが資料の12ページ一番後ろでござ
いますが、TAE管理の実施状況を取りまとめてございます。府県別に数字が書かれてお
ります表の一番右端に全体の合計値といたしまして、設定された努力量が12万3,67
4隻日に対しまして平成20年度のTAE管理期間での操業隻日数が2段目の1万5,9
13隻日となってございます。設定値に対する割合といたしましては13%となっており
まして、こちらの出漁隻日数につきましては平成15年度にこのTAE管理を開始して以
降、最も少ない値ということになってございます。

簡単ではございますが平成20年度、本年度のサワラ計画の実施状況についての説明は
以上でございます。

(前田会長)
ただいまの報告につきまして何かご質問はございませんでしょうか。
それではご質問もないようですので、つづきましてサワラの資源状況につきまして瀬戸
内海区水産研究所の永井室長さんより説明をお願いいたします。

(永井室長)
図は漁獲量の経年推移です。横軸が年、縦軸が千トン単位で示した漁獲量です。青が瀬
戸内海の東部、紀伊水道から備讃瀬戸まで、赤が燧灘から伊予灘、あるいは周防灘までの
西部を示します。漁獲量は一番多いときで6千トンを超えましたが、1986年をピーク
に減ってきました。1998年に香川県、岡山県、兵庫県が自主規制を始めてから、徐々
に漁獲量は回復してきて、2000年からは資源回復計画が行われているところです。

2007年の漁獲量は図では1,108トンと記入しておりますが、先ほどの平松さん
の説明で新しい推定値は1,081トンとなっています。漁獲物の年齢を見ますと昔は3
歳、4歳をとっていたのですが、1980年代に入ってから2歳、3歳、1990年代に
入ると1歳、2歳が中心となり、漁獲物の低年齢化が進んいます。とり方としては悪くな
ってきています。

次に資源量の推移ですが、縦軸に漁獲物の年齢組成を基に資源計算して求めた資源量の
経年推移を示しました。一番多いとき1987年で1万6千トンくらいあったものがずっ
と減ってきて、2007年には2,282トンと1987年の14%に減っています。そ
の後、資源量は少し回復してきましたが、ここ4年ほどやや減少ぎみで推移しています。

一時の悪いときは脱したけれど、やや減りぎみで推移しています。

それから資源量に対してどのくらい漁獲しているかという漁獲割合を赤で示しておりま
すが、一時に比べてその割合が高くなってきており、漁獲圧力が増してきています。

次に親魚量(トン)と加入尾数の関係です。横軸に親の資源量をとりまして、縦軸にそ
の年に生まれて秋に加入したサゴシの資源尾数をとっています。図を見ると、親が多いほ
ど子供も多く加入していることがうかがわれます。両者に直線の関係を当てはめると青い
ラインになります。最近年の1998年以降を切り出してみると右の図ですが、同じブル
ーの直線で示していますが、これは2つの図で同じものです。要するに親が多いと子供も
多い、ただ2002年というのは親がそれほど多くなかった割には加入がよかった、強い
年級が生まれてきた。これに対し2004年は親が多かったけれど、期待したほど子供が
生まれてこなかったわけです。いずれにしても最近はこの直線より少し上に点がくるいい
傾向があるのですが、それが親の増加につながっていない。というのは0歳秋から1歳の
間の魚がまだ小さいうちに漁獲されて、親の増加につながっていないと言えると思います。

先ほど2004年は親が多かった割に子供の生き残りが悪かったということを言いまし
たが、その理由として1つ考えられるのはこの年には御承知のように6月から10月に台
風が10個来襲して史上最高ということがありました。この年サワラの卵が多かったとい
うことがネット調査でわかっておりますが、仔魚が少なかった。小さいうちに海が時化て
魚の生き残りが悪かったのかなと思っています。

それから2006年については、2005年の12月から40年ぶりの低温という厳し
い冬でして、表面の水温がこれは大阪湾の例ですけど例年に比べて5度くらい低かった。

その影響がずっとサワラの産卵期まで持ち越してきまして、サワラの産卵時期は開始が遅
れましたが、逆に低温のため産卵の終わりが細く長く続いたという特徴があります。漁獲
の経過や年齢別の漁獲の状況から見て、2006年は非常に低温で、産卵に影響は受けた
が、結果として細く長くつづいた産卵で2006年の加入はそれほど悪くなかったと理解
しています。

いろいろと環境が不安定な例を示します。図の横軸が1月から12月の平年の水温の平
均値ですが、それに対して2006年とか2007年がどうかと比べました。香川県の1
0メートル水温の平年偏差ですが、海域は幾つかあります。3つほどまとめて言いますと、
特徴として2006年は先ほど言ったように平年を下回る水温がずっと続き、3月に平年
値を少し超える時がありますが、低温の年でした。2007年は逆に平年より非常に暑く
て、一番高い時は平年偏差より2度くらい高い場合も見られました。魚の場合1度水温が
高いと人間で言えば5度とか10度に相当すると言われています。水温がかなり高いとい
うことがサワラの仔稚魚の生産率を低下させていないか、つまり2007年生まれの生き
残りがどうだったかということを考える上で、水温が高かった影響を考えていかないとい
けないと思います。

資源評価のまとめとして、2007年の資源量は2,282トンで1987年に比べて
14%と低位です。それから2007年の資源水準は低位で過去5年の動向は減少、生物
学的に望ましい漁獲の係数であるF30%は、現状の漁獲の係数に比べて41%、つまり
現状の漁獲圧力が望ましい状態に比べて非常に高い。望ましいというのは生物学的にサワ
ラにとって優しいという意味なんです。現状はちょっと漁獲圧力が高いと評価しています。

それから2007年の加入は生き残りが悪かったかもしれないということで少ない恐れが
あると考えています。このように特徴的な年の状況を言いましたが、環境が不安定に推移
することが多いので、加入が環境の影響を受けやすいということが最近続いていると考え
ています。

次は漁獲量の動向を図にしたものですが、2008年の東西別漁獲量、左側の柱が春漁、
右側が秋漁、高さが漁獲量、それから赤が全年を下回っている場合、青が前年を上回って
いる場合を示しています。ですから東部の場合春漁は前年を上回って1.1倍、秋漁は0.
6倍でした。西部の場合は1.0の赤ですから前年をやや下回ったもののほとんど1に近
い、秋は1.8倍と秋が良かったことを示します。

図は春漁、秋漁を府県別に示したものです。瀬戸内海の内の方で春も秋も青のところが
見られますが、外側では秋が青だけれども、なかには例えば徳島県のように前年比秋が0.
6倍というところもあります。兵庫県は春も秋も0.6倍、大阪府は0.2倍、0.4倍
で、大阪湾あるいは播磨灘のあたりはよくなかったことが分かります。

次は4月から7月を春漁と定義しまして、その東西別の割合を示しています。今度は左
側がサワラ銘柄、右側がサゴシ銘柄の漁獲量です。東部では春にサワラは1.1倍、サゴ
シは1.0倍、合計163トンでした。西部ではサワラが1.1倍、サゴシが0.5倍で、
春サゴシが西部で悪かった。次の図は府県別に示したものですが、サワラでは香川、広島
で前年を上回って、大阪、兵庫などで下回った。サゴシでは香川、岡山、広島で前年を上
回り、兵庫、愛媛で下回った。

次に8月から12月を秋漁として示しています。8月から12月には東部のサワラで前
年を下回り0.4倍でした。サゴシは前年を上回り3.0倍でした。西部についてはサワ
ラもサゴシも前年を上回って1.1倍と6.7倍です。この2008年はサゴシの銘柄が
東部で3.0倍、西部で6.7倍と前年比で高い値が得られているのが特徴です。それを
府県別に示したものが次の図ですが、サゴシでは大阪と大分で前年を下回ったほかは大体
前年を上回るところが多かった。

それでは次に2008年の秋の漁獲の動向について説明します。

これは大阪府の資料ですが、南部の標本組合の機船船びき網漁業の漁獲量を示していま
す。一番上はシラスの漁獲量、縦軸がトンで横軸が1月から12月まで。ヒストグラムが
平年で赤が2008年、青が2007年、黒が2006年の直近3年ですが、平年と比べ
て2008年は10月にシラスが割と多かったというのが特徴的です。

カタクチイワシについては8月、9月がピークですが、前2年に比べて2008年はち
ょっと悪かった。

サワラについては2006年、7年に比べてピークが余りはっきりしない。10月が一
応低いピークなんですが、余りよくなかったということになります。カタクチが余りよく
なかったということでサワラもよくなかったのかと思われます。ただ10月にシラスがと
れたというところが目新しいと思います。

サワラの尾叉長組成の方ですが、これも大阪府の資料ですが、流網の尾叉長組成が主で
す。9月から12月まです。一番上は曳網でして、9月に曳網でとれたものは46センチ
程度で例年に比べて魚体がやや小さかった。小さかったので、これが流網にかかってこな
かった。50センチより小さかったということであまり流網にはかかってこず、9月は1
歳魚、同じく10月、11月も大阪では1歳魚主体の漁獲であり、0歳魚、その年生まれ
のサゴシがとれたのは12月に入ってからだった。

2008年生まれのサゴシは多いんだとか、それほどでもないという情報がいろいろあ
るわけですが、これについてちょっと御説明しますと、2008年の秋のサゴシの漁獲は
香川県の資料では東部の引田で、これが2008年の秋のサゴシですが、加入が非常によ
かった2002年、それからそれ以降比較的よかった2005年に比べて、2008年は
2002年ほどではないけれども2005年並みであるという数字となっています。それ
から西の方の香川県の伊吹の資料では2005年に比べてもやや小さい半分以下の数字に
なっております。それから高松中央卸売市場での9月から12月の香川県産のサゴシの入
荷量、取扱量は2005年あるいは2002年並みの数字になっております。先ほど御紹
介があったように試験漁獲では2002年の0.4倍、2005年の0.8倍ですから、
2002年に比べるとやはりそれほど多くないが、その次に比較的よかった2005年と
同じかやや下回る程度じゃないかという数字になっています。

愛媛県のサワラとサゴシの資料を分析しますと、2008年秋のサゴシの豊度、1隻1
日あたりの漁獲尾数あるいはキログラム数、川之江と埴生ではキログラム、西条と河原津
では尾数です。2002年から2008年について色別に示しておりますが、2008年
のCPUEで見ると川之江と埴生では2002年並み、2002年というのは図で黒です。

西条と河原津では2002年を下回る。このように、2008年が2002年ほどではな
いということで、良いという情報と悪いという情報が半ばとなっています。

それから、同じ愛媛県でも伊予灘では、月別の漁獲量で図はないのですが、サゴシにつ
いて数字を整理したものを県からいただいたのですが、2005年の漁獲量を1としまし
て、2006、2007、2008年の漁獲量はそれぞれ1.5倍、2.2倍、1.9倍
となりまして、2005年に比べて2008年のサゴシは2倍近い漁獲量で、サゴシが比
較的とれています。

管理方策への提言として、毎年70万尾の加入がないと資源は持続しない。親の資源は
2歳魚主体で若齢化しておりまして、年齢構成も単純化している。そのために環境が悪く、
再生産において仔稚魚の生残が悪い年があると、資源が大きな打撃を受ける恐れがあると
考えています。ですから、サゴシの漁獲を抑えて親を残して、加入動向を見守ることが重
要です。そして、環境や加入、再生産の不安定さを考慮しますと資源回復計画での取り組
みの強化が望まれると考えております。

それから、次は補足なんですが平成20年度第1回サワラブロック漁業者協議会、9月
24日の会議で各県の漁業者の方々から研究サイドへいろいろ要望が出ました。大きなも
のとしては3つほど出たんですが、それに対して私の方でできる範囲で資料を整理して回
答したので、簡単にご紹介したいと思います。

1番目は地域別の放流効果、放流しているが、地域別に漁獲量への反映がどうなってい
るのか示してほしいということです。2番目はサワラがどうして播磨灘に入ってこないか
説明してほしいということです。これに対して非常に説明は難しい、なかなかいい説明が
できないのですが、後でお見せする図の2や小路・益田両先生の講演要旨を見てください
と説明しました。それから、3番目に海の変化、瀬戸内海の海の変化とか温暖化に関する
情報を提供してほしいということで、これについては後で表1をお見せしますが、東シナ
海とか日本海、瀬戸内海に関しての状況を私の方でまとめさせてもらいました。参考資料
として委員の先生のところには「海洋と生物について瀬戸内海の魚類生産に変化はあった
か」というテーマで私が書いたものをお配りしております。これはブロック漁業者協議会
でもお配りしたものです。

サワラの放流魚については、ご承知のように内部標識として小さい卵とか仔魚の段階で
赤い標識を入れております。ですから成魚あるいはサゴシでも、漁獲して頭の中の耳石を
調べたら放流物か天然物かがわかります。その天然物に対して放流物の割合が何%かを海
域別、それから年齢別、それから年別に放流魚の混入率としてまとめました。御覧になっ
てわかるように0歳のところでは混入率が非常に高いです。ただ年齢が高くなるほど値は
低くなっています。図には播磨灘の兵庫県、播磨灘の岡山県、播磨灘の香川県などでの混
入率の数字がありまして、これに漁獲物の年齢組成を別に持っておりますので、両者をか
けてどのくらい放流魚が漁獲されているかというのを直近の3年について推定して図中に
数字としてあげています。

ここでちょっと分かりにくいんですが、赤い色は瀬戸内海、兵庫県の播磨灘で再捕され
たものですが、西部放流分を示しています。図では厚みをもっていませんので1尾とか2
尾なんですが、西から東に来たものが再捕されています。それから瀬戸内海西部なんです
が、燧灘、香川県沖、愛媛沖、安芸灘、伊予灘での特徴として、安芸灘、伊予灘では混入
率が低い、放流物の再捕がない。それからもう1つの特徴は香川沖でも愛媛沖でも燧灘に
ついては、この緑色は厚みをもっていますので、瀬戸内海東部で放したものが備讃瀬戸を
通って西部の方にかなりきていることを示します。ただ、東に比べると西では混入率はそ
れほど高くはないということが特徴です。いずれにしても地域別、年別、年齢別にこのよ
うな混入率となっており、それが漁獲量にどう反映しているかをブロック漁業者協議会で
お示ししました。

それから、後で読んでもらえばいいんですが広島大学小路先生、京都大学益田先生、こ
ういった先生方の指摘として、瀬戸内海のサワラを増やすにはやはりカタクチイワシをは
じめとするサワラの餌となりうる資源の管理をきちんとしないと本格的な回復はないんじ
ゃないかという指摘がなされています。

それについて同じようなことなんですが、灘別にカタクチシラスの漁獲量とかシラスと
カタクチイワシの漁獲量の比、そういったものを灘別に私の方で整理しています。言いた
いことは、シラスの漁獲量が瀬戸内海東部の方で多いものですから、資源としては安定し
ていてもカタクチイワシの影を見ることがどうしても少なくなる。カタクチイワシがいれ
ば、2004年の春に五色で見られたように、カタクチイワシにサワラがつくというふう
なことがありますので、やはりシラスで先取りしてカタクチイワシの影が薄いと、サワラ
が滞留する機会というのは少なくなってくるのだろうと考えています。ただ、シラスとい
うのは非常に大きな漁業を支え、商業的にも価値が高いですから、そっちの方が重要だと
考える行政の方もいるし、漁業者の方もいるわけで、なかなかその辺が難しいところだと
思います。

あと東シナ海、日本海についてはどういった異常現象が見られるかということで1つだ
け言いますと、サワラの東シナ海系群に見られる漁獲量の北への偏りは1999年以降に
日本海の北区で始まりまして、2000年以降太平洋北区、要するに青森の三沢の方や福
島の方で漁獲がかなりあがってきているという情報があります。もう1つ言えば例えば従
来沖縄の魚であるグルクン、これが沖縄での漁獲量が減って、2005年から長崎とか宮
崎で漁獲量が増えていたのが、2008年には福岡で増えているというふうに魚の分布が
更に北へ上がってきているような傾向があります。以上こういったことを瀬戸内海ブロッ
ク漁業者協議会で報告させていただきました。
以上です。

(前田会長)
どうもありがとうございました。
ただいまの説明によりますと、サワラの資源状況につきましては平成19年の資源水準
は低位で動向は減少傾向にあるとのことです。また親魚資源は2歳魚が主体で若齢化し年
齢構成が単純化しているため、再生産や稚魚の生産が悪いと資源に大きな影響を与える恐
れがあるとのことでございます。このため環境や加入の不安定さを考慮すると資源回復計
画での取組強化が望まれるとのご報告でございました。

何かこのご報告に対して質問等がございませんでしょうか。

それではないようですので次に移ります。平成21年度の取組の審議に移ります。
昨年10月の委員会におきまして、休漁期間の変更に関する検討状況の報告がありまし
た。それによりますと伊予灘関係県で休漁期間変更に関する検討を進め、ブロック漁業者
協議会において意見集約を図り、本日の委員会で計画変更について審議したいとのことで
した。

まず事務局より伊予灘の休漁期間の取り扱いを含めた平成21年度の取組について説明
していただきまして、その後、配付資料には含まれておりませんけれども新たな資源管理
体制の構築に向けた検討を行っているということでございますので、その検討条件につい
て報告していただきます。それでは事務局、よろしくお願いします。

(平松計画官)
では、資料につきましてはサワラ資料の1−3でございます。
まず始めに、先ほど会長の方からもございましたとおり伊予灘の休漁期間の変更に関す
る検討状況、検討結果でございますが、前回の委員会では試験操業ですとか既存の研究デ
ータを基にした行政研究担当者会議の検討結果といたしまして、休漁期間を変更しても現
状より漁獲量が増加する可能性が低いということが考えられる等の報告を行い、またこれ
らの結果を踏まえまして伊予灘の関係県におきまして休漁期間の変更案に対する検討を進
めるとご報告いたしました。それらを2月に開催されますブロック漁業者協議会で持ち寄
り、検討を加えて意見の集約を行うということでその後の取組の方針を説明させていただ
きました。

これにつきまして昨年の10月以降、伊予灘関係県の方で検討が行われてきたわけでご
ざいます。2月にブロック漁業者協議会が開催されましたが、その場で伊予灘の関係県と
いたしまして山口県それから大分県、こちらの漁業者協議会の代表委員の方から県内の協
議状況についてご報告がございました。両県ともこの休漁の期間変更については了解する
ということでございました。これらを受けまして2月10日に開催されましたブロック漁
業者協議会におきましては、この伊予灘の休漁期間を15日間後ろの方へずらすという変
更案について了解が得られたというところでございます。これらを踏まえまして本日、来
年度のサワラ計画の取組案ということでまとめさせていただいてございます。

それでは、資料1−3表紙をめくっていただきまして、1ページの漁獲努力量削減措置
(平成21年度案)という地図のページをご覧ください。

内容につきましては、ただいま申し上げましたとおり伊予灘海域での休漁期間につきま
してサワラ流し網漁業(山口・愛媛・大分)としているところですが、こちらの休漁期間
5月16日から6月15日ということにさせていただいております。これが、本年度5月
1日から5月31日までとしていたところからの変更箇所でございます。

その他の海域につきましては、本年度と全く同様の休漁期間として実施したいと考えて
ございます。また、瀬戸内海全域での流し網の目合い規制10.6センチにつきましても
今年度と同様の内容となってございます。来年度の漁獲努力量削減措置につきましては伊
予灘を変更した形でこのような取組で進めたいと考えてございます。

つづきまして、2ページめくっていただきまして種苗生産・中間育成・受精卵放流の取
組、来年度の実施予定を載せてございます。

同様に3ページには広域漁場整備及び漁場環境保全の来年度の事業の実施予定を取りま
とめてございます。放流それから漁場整備、両方につきましておおむね今年度と同じ内容
の実施予定をしてございます。来年度の漁獲努力量削減措置、種苗放流、漁場整備につき
ましてはただいまご説明申し上げました内容で実施したいと考えてございます。

このうち、休漁期間に係ります漁獲努力量の削減措置につきましては休漁期間変更とい
うことでございますので、資源回復計画本文の変更が必要になってまいります。こちらに
つきまして資料の4ページから8ページにかけまして、サワラ瀬戸内海系群資源回復計画
一部変更案という形で新旧対照表のスタイルで載せております。表の右側が現在の回復計
画の文章、左側が変更案になってございます。資料の4ページ、新旧対照表になる部分で
すが、こちらの一番下のところ、漁獲努力量の削減措置の表にあります伊予灘の部分でご
ざいますが、こちらにつきまして現行の5月1日から5月31日という期間を表の左側の
5月16日から6月15日というふうに変更をさせていただきたいと考えてございます。

また、規制措置の内容の変更はこの点のみですが今回の一部変更に併せまして7ページ
にございます海域の定義の中の灯台名につきまして通称名から正式名称に改めさせていた
だくという措置を1ヶ所させていただきたいと考えてございます。変更箇所はその2ヶ所
でございます。

それから資源回復計画におけます休漁等の措置につきましては、これらの措置を担保す
るための瀬戸内海広域漁業調整委員会指示につきましては資料の9ページから11ページ
に案を載せてございます。

こちらの内容につきましては、11ページをご覧いただきたいんですが先ほどご説明い
たしました伊予灘の休漁期間、こちらにつきまして変更後の休漁期間に対応した内容での
設定を考えてございます。

以上が平成21年度のサワラ資源回復計画の措置案でございます。

それから、これから資料はございませんので口頭での説明をさせていただきたいと思い
ますが、このほかに現在資源管理体制の構築に向けた検討といたしまして2つ行ってござ
います。

1つは資源回復計画の取組の強化に関すること、それから2つ目が平成23年度以降の
放流体制の検討に関してでございます。

まず1つ目の回復計画の取組強化に関しましては、サワラ資源の回復に必要な産卵親魚
の確保につきまして、現在の資源水準から考えますと一律に漁獲量を減らすような取組と
いうものは、少ない漁獲量を更に減らすということになるため実現性が困難と考えてござ
います。従いまして、卓越年級群の発生など例年以上の漁獲が見込まれる場合を想定いた
しまして、あらかじめ未成魚の保護による親魚量のかさ上げについて、これらの方法につ
きまして検討しておくことが重要と考えているところでございます。

また、平成20年級群につきましてはある程度の加入量が期待できるということもござ
いまして、早急にそれらの検討を進める必要があると考えているところでございます。こ
のような考え方によりまして、1つの例といたしまして好漁日、漁獲のいい日が2日連続
すれば3日目を臨時休漁にするという取組を想定いたしまして、それらの取組よってどの
ような効果が発現するか、また実際の漁獲の減少がどの程度かというようなことについて
これらの漁獲増加の取り控え効果というものについて検討をしてございます。現在、各地
域の実情に見合った方法というものにつきまして、各府県、地域での検討を行っていただ
くよう行政研究担当者会議、またブロック漁業者協議会において各府県に要請していると
いう状況でございます。これが1つ目の取組強化に関する検討の状況のご報告でございま
す。

つづきまして2つ目のサワラ種苗放流体制の検討状況という部分でございますが、サワ
ラ資源回復計画におきまして種苗放流は漁獲努力量の抑制との一体的な推進が必要とされ
ているところでございます。現在の種苗放流の体制に当たりましては、水研センターの関
与が大きいところでございますが、その水研センターの取組の根拠となります水研センタ
ーの中期計画というものが平成22年度で終了するということ。また、サワラのような広
域回遊種についての国の関与、栽培、放流に対する国の関与を定めております栽培に関す
る基本方針につきましても、平成21年度で終了するということになってございます。

このような状況から、これらの次の基本方針、次期の水研センターの中期計画に瀬戸内海と
しての要望内容等が反映されるよう今年度1月26日の行政研究担当者会議からこの種苗
放流体制、23年度以降の種苗放流体制のあり方について検討を始めたというところでご
ざいます。まだ、検討を始めたばかりでございますので、その具体的内容について、現時
点でご報告できるまでには至っておりませんが、今後、水産庁の本庁また水研センターの
これらの関係する動きを注視しつつ検討の進捗状況に応じまして、適宜ご報告できればと
考えているところでございます。

以上2点口頭でのご報告になりますが、資源管理体制の構築に向けた検討状況について
ご報告しました。これらを含めました来年度、平成21年度の資源回復措置、サワラ回復
計画の取組案と考えてございます。来年度の取組案につきまして、ご審議よろしくお願い
いたします。

(前田会長)
平成21年度の取組の案につきましては、伊予灘の休漁期間についてこれまでの検討を
踏まえ5月1日から5月31日の休漁期間を5月16日から6月15日までに変更したい
とのことでございました。これに伴いまして、資源回復計画を一部変更し本委員会指示に
つきましても変更後の休漁期間に対応した内容により設定するとともに種苗放流等の取組
については本年度と同様の内容で実施したいとのことでございます。

また、後半の新たな資源管理体制の構築に向けた検討につきましては、資源回復計画の
取組の強化及び種苗放流体制の検討に関して行政研究担当者会議等での検討状況及び今後
の検討の進め方について報告がございました。

なお、紀伊水道外域につきましては、2月24日に開催されました「和歌山・徳島連合
海区漁業調整委員会」におきまして、本委員会指示の案が決議されれば本年度と同様の連
合海区委員会指示に従うことが決議されております。

また、宇和海につきましても3月12日に開催予定の愛媛海区漁業調整委員会において
本年度と同様の海区委員会指示を決議する予定となっております。

これから質疑に入りますけれども、まず始めに平成21年度の取組の案につきまして何
かご質問等がございましたらお願いいたします。

ご意見もございませんようですので、それでは「サワラ瀬戸内海系群資源回復計画の平
成21年度取組(案、本計画の一部変更(案)及びこれに係る本委員) 会指示(案)につ
いて」承認したいと考えますがよろしいでしょうか。

それでは委員会として「サワラ瀬戸内海系群資源回復計画の平成、21年度取組(案)、
本計画の一部変更(案)及びこれに係る本委員会指示(案)について」承認をいたします。
引きつづきまして、第2点目の新たな資源管理体制の構築に向けた検討が行われている
資源回復計画の取組強化及び種苗放流体制の検討状況についての報告がございましたけれ
ども、これにつきましてご質問等がございませんでしょうか。

(高橋委員)
この問題につきましては、この委員会で擁護するというのがいいのかどうかよくわから
ないままに申し上げたいと思います。

行政の方でも将来的な取組というのを検討なさるというようなことでありましたけれど
も、この資源管理についての取組というのは漁業者自身、我々もある意味ではそうだとは
思うんですけれども、今の取組がやっとこさよちよち歩きの状態なんです。これで計画期
間が終わったからおしまいよというのでは、せっかく取り組んだのがほっぽり出されると
いうような気がしてならない。そういう意味では、やはり行政からも当然そういうご意見
が出るんだと思うんですけれども、これは続けてやっていただかないと、せっかく今まで
取り組んできたのが終わってしまうというような気がしますので、国におかれてもこの問
題についてはどうぞ息の長い取組をお願いしたい。

(前田会長)
今後とも水産庁と言いますか、行政サイドでの取組も今までと同様の指導してほしいと
の要望でございます。
何か事務局の方でございますか。

(平松計画官)
今おっしゃられたのは平成23年度まで今の計画期間、5年延長した第2期の計画期間
がございまして、先ほど放流につきましてはそれ以降の体制についていろいろ関係の長期
計画等の進捗に合わせて検討を進めたいという報告をさせていただいております。

後ほど予算の説明の中で本庁から今後の制度的な話も予定しておりますが、サワラにつ
きましても放流だけでなく全体の取組を今後どうしていくかというのは、当然現在の取組
期間の終わりに向けてしかるべきときに具体的な検討を進めていかないといけないとは認
識してございます。その中で一番いいやり方、どのようにやっていくかということを十分
関係の機関とも検討しながら進めていきたいと考えます。
以上でございます。

(前田会長)
どうもありがとうございました。よろしいですか。
ほかにございませんか。
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(荒井委員)
回復計画の取組を強化するということで、今1つのアイデアをご提示されましたけれど
も、2日続けていい漁があれば1日休むと、それも1つのアイデアだと思うんですけれど
も、他の魚種あるいは他の海区でこういった取組をやってうまくいってると、あるいはう
まくいくんじゃないかどうかという事例があればちょっとご紹介していただければと思う
んですけれども。
(前田会長)
ございますか、事務局の方で。
(佐藤所長)
実は私ども資源回復計画を最初に立ち上げたときに、これは白書にも載ってますけれども
太平洋のマサバである程度成果が出たんですけれども、要するに魚を増やすということは
獲り控えをするということです。獲り控えをすると何が起こるかというと、ぎりぎりの経
営をやっているというところで更に取るなと、これを要求していかざるを得ない。ところ
が、うまいことに自然の中でたまにボーナスが出ると言ったら変ですが、実は経営に負担
を与えないで資源を回復する道が時々あるんです。それが実は卓越年級群が出たときに、
そのボーナスをできるだけ手をつけないで貯金しておくと。普通の生活費でぎりぎりして
いる人に魚を取るなというのはこれは非常に難しいんです。特に今年さっきの報告にもあ
りましたように、地域によっては相当漁獲量が減っております。平均ですると前年度より
ちょっとかもしれません。だけど播磨灘のように過去に比べて非常に減ってるところ、さ
らに、中間育成までやっている漁業者にとっては、とてもじゃないですけれども受け入れ
られない。そう見ると資源を回復するには、誰に獲る量を減らしてもらうのか。やっぱり
ある程度取れて生活が維持できる人にそこの負担をしてもらおうじゃないかと。それと、
先ほど言いましたように、もしかすると本年度とか20年度に卓越年級群が発生している
可能性がある。そうすれば過去と同じ獲り方をすればたくさん残せるため、昨年と同程度
に我慢をしようと。そういう発想で実は太平洋のマサバのときも経営の維持をすると同時
に、もう一方のボーナスが出たときに欲というものをいかに抑えるか。そこである一定以
上取れた翌日は確実に休むと、それを連続してやったわけです。その成果として漁獲量は
減らないけれど大きな魚が残って翌年から、収益が上がってきたという1つの事例があり
ます。だから、そういう経営と資源の回復をうまくマッチングするタイミングが今回出て
きたんではないかということで、それに期待しているということになりますので、以上で
ございます。
(前田会長)
ありがとうございます。ほかにございませんか。
それでは、サワラ資源回復計画は種苗放流と資源管理の取組を大きな柱としております。
サワラ資源が減少傾向にある中で今後この取組をどうすべきかは、重要なテーマであると
考えますので事務局におかれましては引きつづき検討を進めるようお願いを申し上げたい
と思います。

なお、本計画の一部変更につきましては今後、国において本委員会等の意見を踏まえ正
式な計画としてまとめ上げることになるわけでございますが、これに伴う本計画に係る部
分的な修正、文言の訂正等につきましては事務局に一任ということでご了承お願い申し上
げます。

(議題2 周防灘小型機船底びき網漁業対象種資源回復計画について)
(前田会長)
それでは、再開いたしたいと思います。

つづきまして、議題2の「周防灘小型機船底びき網漁業対象種資源回復計画の一部変更
について」に入らせていただきます。

本計画につきましては、前回の委員会で計画延長の骨子について承認しておりますので、
今回は計画延長を内容とした資源回復計画の一部変更について審議を行うこととなってお
ります。

まず、始めに事務局より平成20年の漁獲状況及び本計画の延長について説明していた
だいたあと、計画の一部変更の案についてご審議いただきたいと思います。それでは事務
局から説明をお願いいたします。

(平松計画官)
それでは、周防灘小型機船底びき網漁業対象種資源回復計画に関しまして、資料は資料
番号の2−1から2−3までが関連の資料でございます。
まず始めに資料2−1に基づきまして漁獲状況のご報告、それから資料2−2と2−3
を用いまして延長計画の内容について続けてご説明をさせていただきます。
資料2−1をご覧ください。平成20年の漁獲状況につきまして、先ほどサワラの漁獲
量でもご報告申し上げました平成20年下半期の速報値が2月に公表されましたので、上
半期の数字と合わせまして平成20年の速報値ということでまとめさせていただいており
ます。

こちらによりますと、平成20年は1,751トンということで19年の速報値1,8
70トンに比べまして約6%減少という結果になってございます。それぞれ周防灘計画の
対象魚種ごとの内訳が資料の2−1の下の魚種別の表に載せているとおりでございます。
この中で前年よりも漁獲量が増えておりますのがクルマエビとガザミでございます。一方、
漁獲量が特に減少が大きいのがシャコでございまして320トンが207トンに減少して
いるということでございます。周防灘につきましては漁法別の漁獲量の集計がちょっと時
間を要するということで、確定値は平成18年までということでございまして表に数字を
記載しているとおりでございます。20年の漁獲状況につきましては簡単でございますが、
以上でございます。

つづきまして、計画延長につきまして考え方のご説明をさせていただいて、計画変更案
についてご審議いただきたいと思っております。
まず計画延長の内容につきまして取組の基本的な方針、内容につきまして資料2−2「周
防灘資源回復計画の延長について」という資料にまとめてございます。こちらの資料1ペ
ージをご覧ください。1番といたしまして資源回復措置の継続の必要性ということで、こ
れまでの骨子等でまとめさせていただいた内容を簡単に整理をさせていただいてございま
す。回復計画に取り組んできておりますが、効果も上がっている部分もございますが、引
きつづき取組の継続というものが重要なポイントになっていると考えてございます。この
ような考え方のもと、計画を延長して進めたいということでございますが、まず1ページ
の2番のところに資源回復の目標といたしまして、実施期間と計画の目標を載せてござい
ます。

まず実施期間につきましては(1)にございますように本計画の実施期間は平成25年
度までとするということで、現在の計画が16年11月に作成されて5年間ということで
すので、21年の11月に5年間期間が満了するということでございますが、これを更に
延長するという考えでございます。前回の委員会で骨子の了解をいただいたときにはここ
は平成23年度までとさせていただいておりましたが、回復計画の実施期間が25年度ま
でこの制度としての実施期間が延びるということで、それにあわせて25年度までの延長
としたいと考えてございます。従いまして来年度、21年度からちょうど5年間の取組に
つきまして第2期の取組というような位置づけで今後2ページ以降に記載してございます
内容を中心に進めてまいりたいと考えてございます。

それから、資源回復の目標につきましては現在の計画の目標でございます平成16年の
漁獲量の水準、数字で言いますと2,123トンということになりますがこちらの維持と
いう目標を引きつづき掲げて取り組んでいきたいと考えているところでございます。
それでは、ページをめくっていただきまして2ページ目以降に実際にどのような取組を
行っていくかということで3番の資源回復のために講じる措置というところ以降に取りま
とめてございます。

まず(1)の漁獲努力量の削減措置につきましては、まず?の小型魚の水揚げ制限、こ
れは現在取り組んでおります制限サイズを引きつづき継続実施すると考えてございます。
2つ目の取組といたしまして、シャワー設備の導入がございますがこちらのところで資
料の中にアンダーラインを引いている部分、こちらがこれまでの取組にプラスした部分、
検討の方向性も含めまして今回の計画延長に当たりましてこのような観点の取組を進めて
いくという部分の追加部分をアンダーラインをしております。シャワー設備の導入でいき
ますと、これまでの再放流魚の生残率の向上というものに加えて、持ち帰り出荷する漁獲
物の鮮度維持というもの、これをシャワー設備の導入の目的の中に位置づけとして追加す
るということで取り組んでいきたいと考えております。

現在、山口県、福岡県、大分県の3県のうち大分、福岡が導入済みということで山口県の方で今、順次導入しているという
ところでございますので、未導入船につきまして先ほど言いました再放流魚の生産率の向
上に加えた、漁獲物の鮮度保持というものを目的に加えまして導入促進を推進していきた
いと考えているところでございます。また鮮度維持ということに関しまして現在、夏場に
機能を発揮します簡易冷却装置の現場での応用試験というものも進められておりますの
で、これらの取組も推進していきたいと考えております。それらを含めて効果的なシャワ
ーの活用方法というものも考えつつ、効果的なシャワーの利用というふうなものを推進し
たいと思っているところでございます。

それから、産卵親魚の保護といたしまして実施しております抱卵ガザミの再放流につき
ましては、現在取り組んでいるとおり継続していくということ、また休漁期間の設定につ
きましてはこちらは海底清掃等の漁場環境改善の取組とあわせて実施するという考えを今
後も継続するということで考えてございます。

?といたしまして、漁具の改良がございます。これはこれまでの取組の中でも進めてま
いりましたが、それら試験研究をより推進することを考えておりまして現在幼稚魚の混獲
防止漁具の性能試験も実施されておりますので、このような取組について実用化に向けた
推進を行ってまいりたいと考えているところでございます。

以上が漁獲努力量の削減措置でございますが、回復計画の2つ目の柱でございます資源
の積極的培養措置ということで、これは主に種苗の放流というものになりますがこちらに
つきまして2ページから3ページに記載しております。この回復計画を進めるに当たって
今年度から事業として立ち上がりました資源管理アドバイザー制度等を活用しつつ、この
3県の連携、協力というものによる放流体制の構築というものを推進していきたいと考え
てございます。特にクルマエビにつきましては、山口、福岡、大分の3県で共同した事業
も実施してございますので、これらの事業の推進というものを図っていきたいと考えてご
ざいます。

3つ目の柱として漁場環境の保全措置ということでございますが、こちらは水産基盤整
備事業等の漁場環境改善の事業について取組を引きつづき行いたいと考えております。
資源回復のための措置といたしましては、以上3本柱の内容でございます。次に資料の
3ページの4番にございます漁業経営安定の取組ということでこちらは今後この資源回復
計画によりまして、資源の回復、漁獲の増大というものを進めていく取組にあわせまして
経営的な観点での検討を並行して実施していく。これは今回新たに盛り込んだ内容でござ
います。

大きな柱としましては2つございまして1つがコストの削減ということでございます。
燃油につきましては昨年度非常に高騰いたしまして、こういうコスト削減、特に燃油の使
用の抑制等の取組というものの重要性が出てきておるわけでございますが、このような観
点での操業コストの低減策ということについて検討するというのが1 つでございます。

2つ目といたしまして先ほどのシャワー設備のところでも申し上げましたが、漁獲物の付
加価値向上、単価アップ等に向けた取組ということについて、各種検討をあわせて実施し
ていきたいと考えているところでございます。これら、資源回復措置の取組プラス漁業経
営安定の取組という観点で来年度以降の取組を進めたいと考えているところでございます。

その他、3ページの中段以降にございます5番の公的担保措置、6番の支援策等につき
ましては従前どおりの体制で進めていきたいと考えているところでございます。

最後、資料は4ページになりますがその他といたしまして、これは今までの回復計画の
中でも取組として進めてきたところでございますが、他漁業への取組の拡大というような
部分につきましては現在、カニ籠漁業のカニ籠目合いの適正化試験というものも実施され
て小さなカニ、ガザミですがこれを漁獲しないようにするための検討ということが進めら
れてございますので、そのような取組をこの関連漁業へのアプローチというようなことで
進めていきたいと、このような取組を推進していきたいと考えてございます。このような
考え方のもと、来年度以降の5ヵ年間の取組を第2期の取組として進めていきたいと考え
てございます。

回復計画につきましては今申し上げましたとおり実施期間の延長ということになります
ので、計画変更が必要になります。そちらにつきましては資料2−3、1 枚資料、裏表印
刷しているものでございます。こちらも新旧対照表によります変更案ということで、表の
右側が現行の計画、左側が変更案ということで整理をしてございます。変更箇所としまし
ては、資料2−3の1ページのちょうど中ほどの行に当たりますが、資源回復目標の中で
実施機関に係る部分、現行では当面の5年間としている部分を平成25年度までの間とい
うふうに改めたいと思っております。また、平成16年の漁獲量が統計の数値が公表され
ておりますので2,123トンという具体的な数字を盛り込むということにしてございます。

変更内容は以上の2点ですが、実施期間につきましては1ページ目の一番下の2行にご
ざいますように、もう1ヶ所実施機関が当面の5年間が平成25年度までの間というふう
に記載されている部分がございます。

変更箇所は以上でございますが、2ページ目にございます海域の定義の基点のところに
つきましても市町村合併に伴う市町村名の修正と、灯台等の名称を正式名称に改めるとい
うことで一部記載内容が変わってございますが、実際の基点そのものにつきましては変更
ございません。表現方法の変更をこの計画変更にあわせて行いたいと考えてございます。
周防灘計画の延長の取組内容・方針、それから資源回復計画の一部変更案につきまして
は、以上でございます。

(前田会長)
計画の延長につきましては実施機関を平成25年度までとし、現在実施している漁獲努
力量の削減措置を継続しつつ漁獲物の鮮度維持等の漁業経営安定の取組に検討を進めてい
るとのことでございました。

それでは、ただいまの説明につきましてご質問がございませんでしょうか。

それでは、ないようですので「周防灘小型機船底びき網漁業対象種資源回復計画の一部
変更(案)について」承認したいと思いますがよろしいでしょうか。

ありがとうございました。それでは、委員会といたしまして「周防灘小型機船底びき網
漁業対象種資源回復計画の一部変更(案)について」承認をいたします。

なお、本計画の一部変更につきましては今後、国において本委員会等の意見を踏まえ正
式な計画としてまとめ上げることになるわけでございますが、これに伴う本計画に係る部
分的な修正、文言の訂正等につきましては事務局に一任ということでご了承をお願い申し
上げます。各関係、各委員におかれましては本計画の適切な実施について、よろしくご指
導お願い申し上げます。

(議題3 カタクチイワシ瀬戸内海系群(燧灘)資源回復計画について)
(前田会長)
「つづきまして議題3のカタクチイワシ瀬戸内海系群(燧灘)資源回復計画について」
に入ります。

まず、20年度の実施状況と資源状況などについて事務局より報告していただきまして、
引きつづいて21年度の取組につきましてご審議いただきたいと思います。

また、計画作成後4年が経過し、来年3月で計画期間満了を迎える本計画の評価という
ことで事務局より報告していただきます。それでは、本年度の実施状況などにつきまして
事務局から報告お願いいたします。

(中奥資源保護管理指導官)
瀬戸内海漁業調整事務所、中奥です。よろしくお願いいたします。
それでは着席させていただきましてご説明させていただきます。
では、20年度の取組について資料3−1をご覧ください。対象漁業の許可期間は1ペ
ージの(1)に示すとおりでございます。これに対しまして資源回復措置としましては(2)
にあります休漁期間と(3)にあります定期休漁日を設定し取り組まれました。本年度定
期休漁日につきましては広島県が燃油高騰の要因もあり、従来の木曜日に加えて日曜日も
追加実施されました。20年度の操業実績といたしまして(4)にありますとおり瀬戸内
海機船船びき網につきましては広島県は6月13日から10月10日まで、香川県は6月
10日から9月10日まで、愛媛県は6月10日から9月10まで、愛媛県のいわし機船
船びき網では6月10日から8月17日までとなっております。

次に燧灘のカタクチイワシの資源状況です、2ページをご覧ください。資源状況につき
ましては関係3県の広島県、香川県、愛媛県の水産試験研究担当者の方々により資源解析
が行われた結果です。

(1)は漁獲量の動向です。平成18年までは農林水産統計から、平成19年、20年
は共販量からの推定量をグラフにしました。平成20年の漁獲量はカタクチイワシとシラ
スを合わせて1万4,540トンと前年の108%となっております。

(2)は初期資源尾数の動向です。本計画の目標は回復計画開始当初の資源尾数水準、
これは平成12年から16年の平均で346億尾です。この水準と計画期間終了後に同程
度維持することとしております。その基準である資源尾数は、春季発生群の初期資源尾数
を用いることとしています。グラフはその動向について示しております。平成20年につ
いては水準より若干低い値、340億尾で目標の98%となっております。

(3)は初期資源尾数の漁獲率の動向を示しております。グラフのとおり資源量に対す
る漁獲率は(2)の資源尾数をベースに出しているため、このように高い値となります。
それを踏まえて見てみますと、例年86%前後で推移し平成20年も平年並みの値となっ
ております。

(4)は資源状況の考察です。3県の水産試験研究担当者の資源解析、燧灘のカタクチ
イワシ漁獲量及び瀬戸内海系群カタクチイワシの資源評価結果から判断して、資源水準は
中位、動向は横ばいとの評価が出ております。

次に、脂イワシ調査結果について3ページに取りまとめております。本調査は19年度
から関係3県と瀬戸内水研が協力して調査を開始したものです。19年度の結果報告から
脂質含有量と製品単価の急低下との関連から脂質含有量が2%以上のものを脂イワシと仮
定義したことから、今年度も引きつづき調査を行い図1のように脂質含有量と肥満度の間
に正の相関が見られたことから、脂イワシの判定指標として肥満度が利用できると判定し
ました。図1の脂質含有量2%のときの肥満度は約10であり、肥満度10を脂イワシの
発生警戒値とする結果を得ました。
20年度の取組状況については以上です。

(前田会長)
ただいまの説明によりますと、本年度は広島県の定期休漁日について従来の木曜日に加
えて日曜日も追加して実施されたとのことでございました。また、燧灘のカタクチイワシ
の資源水準は中位、動向は横ばいとのことでございます。ただいまの報告について、何か
ご質問等がございませんでしょうか。

ないようですので、つづきまして平成21年度の取組について事務局から説明をお願い
いたします。

(中奥資源保護管理指導官)
21年度の取組案につきましては、資料3−2をご覧ください。
1ページ目、平成21年度の資源回復措置の取組としまして2と3にあります漁期始め
及び漁期終期の休漁、定期休漁日の設定につきまして従来と同様に継続することとしてお
ります。また、漁期始め及び漁期終期の休漁期間の担保措置としまして本委員会指示を平
成20年度と同様の内容で設定したいと考えております。本委員会指示の対象海域は2ペ
ージの図に示しております。3ページには本委員会指示の案を添付しております。なお、
2月12日に開催されましたカタクチイワシブロック漁業者協議会において21年度取組
案及び本委員会指示案につきましては了解が得られております。また、20年度取組でご
紹介しました脂イワシに関する調査につきましても引きつづき瀬戸内水研と関係3県が協
力して続けることにしております。

21年度の取組案につきましては以上です。よろしくご審議お願いいたします。

(前田会長)
平成21年度は引きつづきまして従来と同様の資源回復措置を実施し、本委員会指示に
つきましても本年度と同様の内容で行いたいとのことでございます。また、脂イワシに関
する調査についても引きつづき行われるとのことでございました。

ただいまの説明に対してご質問等ございませんでしょうか。
、「( それではないようですので平成21年度取組案)及びこれに係る本委員会指示(案)
について」承認したいと考えますがよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声)

(前田会長)
委員会として「平成21年度取組(案)及びこれに係る本委員会指示(案)について」
承認をいたします。

それでは、次に本計画も計画作成から4年が経過し、来年度が最終年度となっておりま
す。こうした状況を踏まえまして、事務局から本計画のこれまでの取組に対する評価につ
いて報告していただきたいと思います。では、事務局よろしくお願いいたします。

(中奥資源保護管理指導官)
4年間の取組状況を評価にまとめておりますので資料3−3をご覧ください。
まず、計画の概要といたしましては1ページの2にあるとおり瀬戸内海海域におけるカ
タクチイワシに対する漁獲圧力は経年的に高い傾向であり、現在の比較的安定した加入状
況が悪化すれば資源悪化や漁獲量減少を招く恐れがあるため、現状の水準を下回らないよ
うに資源量を維持する必要があります。そのために、資源回復の目標としまして5年間の
計画期間後に燧灘のカタクチイワシの資源尾数水準を計画開始前の平成12年から16年
の平均と同程度に維持することを目標にしました。講じている措置は休漁期間の設定と、
定期休漁日の設定となっております。

次の3の計画実施状況ですが、6ページ以降に添付しております図表をご覧いただきな
がらお聞きください。まず、漁獲努力量削減措置の実施状況を6ページの表1と表2にま
とめております。

表1では本計画で定められた休漁期間に加えて自主休漁が取り組まれておりますので、
その内容を整理しております。まず、広島県の瀬戸内海機船船びき網漁業の17年度を例
に説明しますと、表にあります操業開始日とは計画上6月10日から操業できるところを
実際に操業を開始された日が6月13日であり、定められた休漁期間に加えて6月10、
11、12と3日間の自主休漁を実施されたことから(A)の自主、休漁日数3という整
理をしています。同様に操業終漁日では11月30日まで操業できるところを実際は10
月31日で終漁されたということなので、定められた休漁期間に加えて30日の自主休漁
を実施され(B)の自主休漁日数30で、17年度の広島県の合計自主休漁日数は33日
となります。そのほか、表にまとめた以外にも天候や魚の状態で臨時休漁も適宜実施され
ております。

表2では定期休漁日について取りまとめました。平成20年度の広島県は先ほども報告
しましたとおり、燃油高騰の要因もあり木曜日のほか暫定的に日曜日が追加されました。
なお、本計画に定められました休漁期間に対しては本委員会指示が毎年設定されておりま
す。また、平成19年度に愛媛県宮窪町漁協所属のいわし機船船びき網漁業1ヵ統の本計
画参加により、対象海域拡大の一部変更を行いました。5ページの図1が拡大しました対
象海域になっております。

次に、支援事業について7ページ表3にまとめたとおり愛媛県で平成18年度から延べ
54隻日、494万6千円の休漁漁船活用支援事業で漁場監視が実施されております。以
上が漁獲努力量削減措置に関する実施状況です。
次に関連調査としまして、資源評価については関係3県と瀬戸内海区水産研究所が協力
して行っており、8ページの表4にあるとおり卵稚仔調査や表5の脂イワシに関する調査
が実施されております。餌料環境調査、脂質含有量調査、発生要因分析などを行い、基礎
データの収集や肥満度を利用した脂イワシの判定指標の検討など研究が行われておりま
す。

次に資源動向と漁獲量の推移ですが、9ページの図2をご覧ください。燧灘のカタクチ
イワシの資源動向は春季発生群の初期資源尾数について平成5年以降のデータをもとに推
定されております。グラフに示すとおり平成5年以降は減少傾向で、平成8年に138億
尾と最低の水準になりましたが、その後、回復傾向で平成12年以降は300億から40
0億尾の水準を維持しております。

次に漁獲量ですが、10ページの左上の図3をご覧ください。燧灘での近年のシラスを
含む漁獲量は1万1千トンから1万7千トンで推移しており、平成12年から20年の平
均漁獲量は1万4千トン程度となっています。

次に県別に見ますと、図4の広島県では平成15年に3千トンを超えましたが、その後
は1千トン前後で推移し、図5の香川県では平成17年に1万トンを超えましたが、その
後はおおむね7千トンで推移しております。図6の愛媛県では3千トンから5千トンで推
移しております。

また、各県の銘柄別共販量とその割合から漁獲の主体を見てみますと、瀬戸内海機船船
びき網漁業では11ページの図7からご覧ください。上段のグラフが銘柄別の漁獲量、下
段が銘柄別の構成割合になっております。図7の広島県ではチリメンを主体に漁獲してお
り、図8の香川県では中羽を主体に小羽から大羽を漁獲、12ページの図9の愛媛県では
中小羽を主体に小羽から大羽を漁獲、図10のいわし機船船びき漁業ではカエリを主体に
チリメンを漁獲しています。このことから、漁獲対象が広島県はチリメン主体、香川県及
び愛媛県は煮干加工向けのサイズを主体に、いわし機船船びき網漁業においてはカエリ、
小羽を主体にそれぞれ漁獲しているようです。

次に目標達成状況ですが、戻りますが9ページの図2をご覧ください。本計画の資源回
復目標は、5年間の計画期間後に燧灘のカタクチイワシの資源尾数水準を計画開始前の5
年間、平成12年から16年の平均と同程度に維持することとしております。この指標と
して用いる資源尾数は、燧灘の資源評価で算定された初期資源尾数です。図2に引いてお
ります破線は回復目標の指標であります平成12年から16年の平均値である346億尾
を示し、計画開始後の平成17年から折れ線を太線で表しております。達成状況について
はご覧いただいているとおり、平成20年の資源尾数は340億尾で目標である346億
尾の98%であり目標水準で安定しております。

最後に評価と今後の課題としてまとめておりますので、本文4ページをご覧ください。
本計画を4年間実施してきた評価として、現時点でカタクチイワシは産卵親魚量と加入量
の間に明瞭な関係が認められていないため、資源管理措置の効果を定量的に判断すること
はできませんが、初期資源尾数が安定的に確保され漁獲量が一時期の低水準より回復し安
定していることから措置はおおむね妥当であると考えます。また、瀬戸内海区水産研究所
の指導のもと、関係3県の協力で資源評価体制が確立され、またその体制により脂イワシ
の判別法で化学分析を必要としない簡易な肥満度を活用できることが明らかにされたとこ
ろであり、操業方法の改善に寄与することも期待できます。

次に今後の課題ですが、漁獲努力量削減措置は評価で述べましたとおり一定の効果があ
ったと考えますが、今後の資源量の維持、安定を考えますと資源予測の精度を高め資源動
向に即した措置について検討が必要であります。また漁獲動向や脂イワシの発生により製
品価格の年変動が大きいため脂イワシ発生のメカニズム解明に期待されていますが、その
研究成果をいかに現場で活用していくかが重要であります。更に、脂イワシの発生による
価格低下から漁獲金額の向上の取組として、漁獲物の付加価値向上や操業及び加工コスト
の削減などについて検討を行い漁業経営の安定に向けた取組を推進することが重要である
と考えます。以上が本計画の評価ということで、4年間の取組状況を取りまとめ最後に評
価と今後の課題としてまとめました。

本計画の計画期間は来年度末までとなっておりますが、今後の課題にありますように、
燧灘のカタクチイワシに関する資源管理については引きつづき検討していきたいと考えて
おりますので、関係県や漁業者の方々と今後話し合いを深めていく予定としております。

(前田会長)
説明していただきましたけれども、現行の計画の評価を簡単にまとめますと、初期資源
尾数が安定的に確保されたこと及び漁獲量が一時期の低水準より回復し安定しているこ
と、また本計画によりいわし機船船びき網漁業者を加えた体制が整えられたなどの評価を
行うとともに、今後の課題としては資源量の維持、安定に加えて漁業経営の安定に向けた
取組の推進が重要であると以上のような内容であったかと思います。

ただいまの説明につきましてご質問がございましたら。
ご意見等もございませんか。それでは事務局におかれましては今後、関係県、漁業者等
と十分協議をしていただきまして22年度以降の燧灘におけるカタクチイワシの資源管理
について、よろしく検討をお願いいたしたいと思います。

(議題4 トラフグ資源管理の検討状況について(報告))
(前田会長)
つづきまして、議題4「トラフグ資源管理の検討状況について(報告)」につきまして、
事務局より報告していただきたいと思います。

(森資源課長)
瀬戸内海漁業調整事務所で資源課長を担当しております森と申します。
資料4を用いましてトラフグ資源管理の検討状況についてご報告いたします。座ってご
報告させていただきます。
「トラフグ資源管理に関する主な取組」としまして、まず「瀬戸内海関係府県との会議
等」でございます。この中の「関係県との意見交換会」についてでございますが、瀬戸内
海のトラフグ資源管理の検討は、トラフグ資源量が多く重要度が高い愛媛県、山口県、大
分県、広島県の瀬戸内海西部4 県から進めてはどうかとの瀬戸内海区水産研究所担当者
からの助言を受けまして、瀬戸内海西部4 県と意見交換会を開催することにしております。

なお、意見交換を終えた大分県、愛媛県、山口県3県においては今後トラフグの資源管
理につき何らかの対応をしていかざるを得ないとの認識であり、引き続き関係漁業者の意
見等を聞くため浜回りを行う方向で検討中です。

その下、「瀬戸内海区水産研究所との打合せ」につきましては、昨年11月と12月に
2回実施しております。瀬戸内海区水産研究所担当者からは情報提供や助言をいただいて
おります。主なところをご紹介しますと、1つ目はトラフグの資源水準は極めて悪いとい
うこと、2つ目は九州・山口北西海域では既に資源回復計画に取組んでおり、同じ系群を
漁獲している瀬戸内海においても資源管理を進めることが重要であること、3つ目は九州、
山口関係県からは瀬戸内海における資源管理の取組への要望が大きいこと、最後に特に漁
獲量の多い愛媛県、山口県、大分県、広島県の資源管理の取組が重要であることなどです。
次に「九州・山口北西海域関係機関との会議等」でございますが、まず「九州漁業調整
事務所との情報交換」についてですが、昨年の12月、九州漁業調整事務所で実施いたし
ました。九州漁業調整事務所担当者から、九州・山口北西海域のトラフグ資源回復計画の
取組状況等について説明を受けるとともに、今後は更に一層、両事務所が情報交換を密に
していくことを確認しております。

最後に「トラフグWG会議関連」と、一番下の「九州・山口北西海域トラフグ資源回復
計画に係る行政担当者会議」についてですが、九州・山口北西海域においては研究者の会
議であるトラフグWG会議と行政担当者会議が開催されておりますが、九州・山口北西海
域におけるトラフグ資源の状況や資源回復計画の取組状況等を把握するため、これらの会
議には瀬戸内海漁業調整事務所から担当者が出席しております。

平成20年10月21日開催の第17回瀬戸内海広域漁業調整委員会以降の主な取組は
以上のとおりでございます。

引きつづき、他海域の状況も把握しつつ、また関係県のご協力を得つつ、更には関係漁
業者のご意見を踏まえつつ検討を進めてまいりたいと考えております。また検討状況につ
きましては適宜本委員会に報告を行いたいと考えております。

(前田会長)
ただいまの報告につきまして何かご意見、ご質問はございませんか。
それでは、トラフグの資源水準は低位横ばいとの資源評価がなされております。トラフ
グの資源管理につきましては、こうした資源評価を踏まえまして引きつづき検討を進めて
いただくようお願いを申し上げます。

(議題5 平成21年度予算について)
(前田会長)
それではつづきまして、議題5の「平成21年度予算について」に入ります。水産庁管
理課さんより説明がございます、よろしくお願いいたします。

(渡邉管理課課長補佐)
水産庁管理課の渡辺と申します。
私から平成21年度予算につきましてご説明申し上げます。資料の5の1ページをご覧
ください。
21年度予算に関しましては、その前提となる資源回復計画につきまして新たな方向性
が確定をいたしました。先ほど高橋委員からもご発言がありましたけれども、今回この2
1年度予算に関しましては、この資源回復計画の今後の展開についてということを中心に
ご説明を申し上げます。
まずこの1ページ目の一番左側をご覧いただきたいんですが、現行の資源回復計画、今
平成14年から取組の開始をいたしまして現在64計画で実施中、5計画で作成中という
ことでございまして、資源の回復が必要な魚種等を対象に漁獲努力量の削減等を実施して
いくということで取り組んできております。計画開始から時間が大分たってきておりまし
て、中には資源の回復の兆しが見られつつある計画も出てきているところでございまして、
そうしたものについてはこの資料の一番右側にございますけれども、最終的には経営支援
を行わない形で自立的に、漁業者、あと行政、研究者がともに資源管理を行っていくとい
うものが最終的な理想になるわけでございます。とは言っても、いきなり自立といっても
さまざまな課題があります。そうした課題も踏まえまして、水産庁としてはどのような形
で取り組んでいけば最終的に自立というようなものが有効に、効果的に達成できるのかと
いうものを当然考えていかなければならないという課題があると考えております。そうし
たことを踏まえて今回、新たに一番右側の右から1つ戻っていただいたところにポスト資
源回復計画というものがございますけれども、最終的に自立に向けた準備期間ということ
でより効果的な取組というのもどのようなものがあるのかというものを考えながら、これ
までと同様の取組、そしてこれまでと同様の形で支援を行う準備期間として、ポスト資源
回復計画というものを新たに位置づけて推進をしていきたいと考えてございます。

中にポスト資源回復計画のところにも書いてありますけれども、基本的に実施機関は原
則5年間取り組んでいきたいと考えておりまして、繰り返しますけれどもポスト資源回復
計画の下の部分に矢印が出ておりますが、これまでと同様に漁獲努力量の削減措置である
とか種苗放流の積極的な推進、漁場環境の保全措置等に対する支援を引きつづきやってい
きたいと考えております。

また、こうしたことに加えまして、これまで既存の資源回復計画につきましても現在の
ところ平成18年度に着手したものに作成を限るということにしておったわけでございま
すけれども、これまでさまざまな作成に対する要望等もございましたので、そうしたこと
も踏まえまして今後また新たに資源回復計画の作成についても可能にしていくことといた
しましたのであわせてご報告をいたします。
資源回復計画につきましても、努力量の削減措置等に対する支援というものを当然なが
らこれまでと同じように行っていきたいと考えております。

なお、ポスト資源回復計画に移行するに当たってこれまでにやってきた取り組みがどう
だったのか、また今後最終的な自立に向けてどのような取組が有効でかつ取り組み可能な
のかというようなものを当然評価検討していかなければいけませんので、そうしたことを
するために左側の2つ目のところにポスト資源回復計画移行調査というものがございます
けれども、そのための予算というものも今回新たに確保をいたしましたのであわせてご報
告をいたします。

このほか平成21年度予算につきましては、繰り返しますがこれまでと同様に漁業者協
議会の開催であるとか、資源回復計画の普及・啓発の取組、また漁獲努力量の削減、種苗
放流、漁場環境保全といったものに対す支援措置というものも引きつづき確保をいたしま
したので、引きつづきご活用をいただければと思っております。

また、2ページ以降にはそうした各事業のPR判を添付しておりますのでご参照いただ
ければと思います。
以上、簡単ではございますけれども平成21年度予算につきましてご説明を終わります。
以上でございます。

(前田会長)
どうもありがとうございました。
何かご質問といいますか、ございませんでしょうか。

(議題6 その他)
(前田会長)
ございませんか、それでは議題5の「その他」に入りますけれども、せっかくの委員会
でございますので何か取り上げる事項等はございませんでしょうか。
よろしいですか。それでは事務局の方から委員の任期及び次回の委員会の開催予定など
についてご説明お願いいたします。

(馬場調整課長)
瀬戸内海広域漁業調整委員会の現在の委員の任期は平成17年10月1日から4年間、
今年の9月末日までが任期となっており、次回の委員会につきましては緊急開催の必要が
なければ例年どおり10月ごろに開催したいと考えております。
委員につきましては、海区委員の代表については改めて選定していただき、また大臣選
任委員につきましても改めて選任し直した上で開催させていただく予定です。
委員の皆さまには大変お世話になり、まことにありがとうございました。
なお次回の委員会の日時、場所等につきましては改めて事務局より新委員さんに連絡さ
せていただきます。以上でございます。

(閉会)
(前田会長)
ありがとうございました。
馬場課長さんからお話がございましたとおり、今日、出席していただいておりますメン
バーでの委員会はこれで最後になろうかと思います。委員の皆様方、4年間大変ご苦労さ
までございました。この4年間に当委員会で取り上げられましたいろいろな課題に取り組
んでまいりました。そして、その課題に対しましてそれぞれ一定の成果を上げることがで
きました。これ、一重に委員皆様方のご尽力の賜であると感謝を申し上げる次第でござい
ます。

今後とも委員皆様方にはご健勝で、そしてまたそれぞれのお立場、またそれぞれの分野
でご活躍していただくことを心からご祈念申し上げるものでございます。
それでは、これで本日の会を閉じたいと思いますが、各委員さん、また、ご臨席の皆様
には本委員会の開催へのご協力ありがとうございました。
また、議事録署名人の山本委員さん、原委員さんにおかれましては後日議事録が送付さ
れると思いますのでよろしくお願いを申し上げます。

それではこれをもちまして、第18回瀬戸内海広域漁業調整委員会を閉会いたしたいと
思います。どうもありがとうございました。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_kouiki/setouti/pdf/s_18.pdf  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 18:29Comments(0)底質汚染分科会

2009年12月29日

小鳥が丘団地土壌汚染「現地報告と裁判経過」


2009年12月18日おおさかATCグリーンエコプラザで「土壌汚染の社会的問題」と題するセミナーが開催されました。

そのセミナー資料に一部加筆してを公開します。
なお、裁判内容は一次訴訟(3世帯)について記しています。二次訴訟(約18世帯)についてはあまり触れ居いません。


 
ATCグリーンエコプラザのセミナールームにおける桃花台及び小鳥が丘等のの住民たち



大阪市立大学特任教授の畑明郎先生と環境カウンセラーの藤原きよみさん

小鳥が丘団地土壌汚染「現地報告と裁判経過」

小鳥が丘団地救済協議会
 http://www.geocities.jp/kotorigaoka/

1. 小鳥が丘団地土壌汚染の概要
1.1 はじめに 
 小鳥が丘団地は岡山市の東部にあり、すぐそばには小鳥の森公園という農林センターのある自然に恵まれた戸数35戸の小さな住宅団地です。
 「土壌汚染問題」が発覚して5年以上になりますがその間、宅地販売業者はもちろん岡山県、岡山市、議員、等に何度となく解決を要望してきましたが今もそのままの状態です。
 発覚当初は不安・心配ばかりでしたが、関係者の信じられない対応ぶりに段々憤りを覚え、そのエネルギーを支えに、ここまでやってきましたが、最近ではあまりの道理のなさに怒りを通り過ぎて、茶番劇を見ている様な錯覚さえ感じます。


 大阪市立大学大学院 畑明郎先生と環境カウンセラーの藤原きよみさん

1.2 汚染発覚
 2004年7月(H16)に岡山市水道局から鉛製水道管解消事業の為、団地の水道管を取り替えるとの連絡があり、取り替え工事中に土壌汚染が発覚しました
 刺激臭のある油のような液体がポンプで排水しなければならない程、大量に湧き出しました。
 「小鳥が丘団地」が開発された1987年(S62)には、鉛の水道管は鉛公害で国会でも取り上げられ、昭和56年当時使用を止めていたものを何故この団地で使用していたのか、岡山市水道局に公開質問状を出しましたが、水道局からは、団地造成の時に水道工事業者が、小鳥が丘団地の土質が悪いので鉛管を使用したいと要請があり、使用を認めたと回答がありました。
 それと、水道管入れ替えで排出した土壌は、持ち出しても処理できないので埋め戻すしかないと言われました。
 
 団地造成当時から土壌汚染は認識されていたのです。

 しかし、その土壌が悪いため、あえて腐食に強い鉛水道管を使用したにもかかわらず、鉛管に腐食による穴が明いていました。風呂の配水管が溶けていた住宅もあります。

1.3 汚染の原因
 汚染源は直ぐ分かりました。20年ぐらい前までこの土地で操業していた旭油化工業という化学工場の跡地で、操業中は悪臭公害で行政より十数回に渡り行政指導を行ったが改善されませんでした。
 当時の関係者に聞くと、主に京阪神地方の工場廃油の処分を引き受け、ドラム缶で集め、この土地に垂れ流ししていたようです。それを十数年に渡り廃棄し続けました。しかも香川県豊島産業廃棄物不法投棄事件と関連がありました。豊島の廃棄物搬入ルートに旭油化工業の名前が資料に載っていました。

 悪臭公害の解決策として1982年(S57)に、行政も関与し両備バス?(現両備ホールディングス?)が買い取るという事で操業を停止し、旭油化工業と両備バス?の間で売買契約が成立しました。この工場跡地を両備バス?が宅地開発販売したのが、「小鳥が丘団地」です。

 20数年前の事ですから周辺に住んでいて当時の様子を知る人も多く、話を聞くと相当ひどいものだった様です。住宅団地になると聞いて本当に大丈夫なのかと疑問に思った人も居たようです。

 旭油化工業は近郊の赤磐郡吉井町(現あかいわ市)に名前を瑞穂産業と変え工場を設置し、当地と同様に廃油を垂れ流して土壌汚染を引き起こした為、吉井町ではこの公害工場を1983年1月に操業わずか3か月で撤退させ跡地を調査し土壌汚染が深刻と判断し土壌入替えを行っています。



1.4 汚染発覚以降の推移
 汚染発覚当初、両備バス?は3箇所のボーリング調査や全戸数の庭の表層土調査他の土壌調査を実施し、環境基準値を超える有害物質が検出されましたが、岡山大学の先生を中心とする両備バス設立の委員会(南古都?環境対策検討委員会)の意見書により、住民の健康への影響が直ちに懸念されるものではない、と回答し、その後の調査も住民との話し合いも打ち切り、長く放置された状態が続きました

両備バス?の対応
・宅地開発当時、土壌汚染の認識はなかったと主張。
・両備バス?が住民に示した話し合いに応じる前提。
  ?両備バスに法的責任が無い事を認めること。
  ?両備バスは、これ以上調査はしない。
  ?住民の意見を統一すること。
  ?地層のガス抜き工事等改良案は提示したが、費用については両備バスがすべて負担するものではない。
      (住民側の負担が基本)
・ガス中毒
 2006年6月に住民が倉庫工事のため自宅庭を掘削したところ地下15cm〜40cm部分から黒い刺激臭のする土壌が出てきました。現地確認を両備バス?に連絡をしましたが拒否され、現地はそのままの状態でした。

 2006年10月、住民は掘削した自宅庭をそのままにも出来ず、掘削跡の埋め戻しや堆積した土壌を移動中に倒れ、救急車で病院に搬送され治療を受けました。診断書はガス中毒(亜硫酸ガス中毒疑い)です。原因は庭の掘削跡に水が常時溜まっていて、移動中の堆積した黒い土壌と反応して発生したガスを吸い込んだ様です。

・行政開発許可
 小鳥が丘団地の開発は3期に分かれていて、最初の第1期は岡山県が宅地開発許可を与え、その後の権限移譲により第2期3期の宅地開発許可は岡山市が与えています
 住民が健康被害を受けたにもかかわらず両備バス?が調査をしないので、開発を許可した行政に土壌調査要望書を提出しましたが、岡山県は現在の担当行政は岡山市だからそちらの方へと言われ、岡山市に行けば最初に土地調査をして開発許可を出したのは岡山県であり岡山市は土地に関与していないし、調査を適用するような法律がないので出来ないとの(たらい回しの)回答でした。


岡山県の開発許可証



岡山市の開発許可証




・汚染土壌処分方法
 このままでは心配なので、住民が自費で自宅庭の表層土を入れ替えようと思い土壌の廃棄場所を指定してもらう為、2006年9月に岡山市を訪ねたところ、「小鳥が丘団地の土壌は汚染指定区域外の土地ではあるが汚染指定地と同等の処分をして下さい」と言われました。
 つまり、汚染土壌なので指定機関で調査をし、指定機関が指示する場所でないと捨ててはならないと言うのです。もちろん検査費用や廃棄費用は住民の負担です。

・刑事告訴
 この様な健康被害に合う事態になった為、住民2名で、2006年11月に重要事項説明違反で宅地開発販売業者を刑事告訴しましたが、土地購入日(平成5年)からの時効で受理して貰えませんでした。
 この件の時効は最大でも3年で、私たちの案件は売買契約から3年と言われましたが、そもそも土壌汚染のような土中に原因のある瑕疵は建物と違って1年や3年で購入者が発見できる方が稀で長期間経った後、何かのきっかけで発覚するのが普通だと思い法律の不備を感じます。

・国土交通省、環境省、法務省
 国土交通省、環境省、法務省にも質問状を送りましたが、地元の地方自治体に言ってくださいとしか回答してもらえません。

・寄付依頼
 銀行からは、土地建物の担保価値なし、と言われ担保融資も受けられないため、住民による土壌調査を実行出来ずにいましたが、このままでは実態が分からぬまま放置されてしまいます。そこで寄付をお願いし、足らないところは住民で資金を工面し、民間の調査分析会社にガス中毒で倒れた自宅内の表層土壌の調査分析を委託しました。

・住民土壌汚染調査
 この分析結果報告書を、大阪市立大学大学院 畑 明郎 先生に見て頂き、ご意見を伺いました。畑 先生から頂いたメールです。 

“サンプル数は少ないものの、土壌ガスから発がん性のベンゼンが、土壌溶出量基準を超えるベンゼン、猛毒のシアン、発がん性のある鉛やヒ素が検出されており、危険で有害な土壌であることが証明されたと思います。ベンゼンや鉛は、廃油や廃溶剤などからと考えられますが、シアンやヒ素の原因は不明です。応急対策として、敷地土壌のアスファルトやセメントによる被覆が早急に必要と考えます。恒久対策としては、建物移転・撤去→土壌入れ替え→再建築しかないと思います。”



 汚染発覚当初、両備バス?が行った全戸数の表層土調査の時、この家の庭も表層土調査を行っていますが異状なしでした。なぜこれほど違うのか疑問です。
 この分析結果報告書は当然、岡山県や岡山市の担当窓口に提出し、猛毒のシアンが検出されましたと相談しましたが、自治体では詳しい調査は出来ないとの事でした。
 自治体が公正な調査をして汚染実態を明らかにしなければ、その後の対策は前に進まないと思うのですが、自治体にいくら要望しても民間の問題なので調査する法律がない、と言います。

? 放置された状態でした。

1.5 私たちの懸念する事
 小鳥が丘団地土壌汚染で最も深刻な事は住宅地である事です。1日で一番長い時間を過ごすマイホームで安全に生活出来ないのです。
 ・住民にはアトピー性皮膚炎、鼻炎、頭痛、死亡者にガンが多い等、懸念する事が多い。
 ・団地内から可燃性ガスが出ていて、地元消防署も確認し、充満すれば爆発の危険性も指摘された。
 ・夏になると夜中に家庭用ガス漏れ警報器が鳴る家もある。
 ・一戸建て住宅なのに、庭で家庭菜園しても食べない方がいいと言われた。
 ・小さな子供が砂遊びすると、注意しても口に入れる事があるので、庭で土いじりさせない様に言われた。
 ・団地に接する川に油が染み出している
 ・解決出来なければ、当事者一代でなく、子や孫の何代にも渡って被害を出し続ける。
 ・周辺への汚染拡大の危険がある。周辺地域に地下水汚染を疑われる現象があり、心配しています。

 私たちは安全安心に生活したいだけなのですが今の状況はそれを許してくれません。

1.6 民事裁判に発展
 汚染発覚後、被害者住民35世帯で「小鳥が丘環境対策委員会」を設立し対応してきましたが、両備バスはこれ以上調査しない態度を鮮明にし、公的支援もほとんどないに等しく、こう着状態が続きました。

 その中で、機動的に活動して証拠を集めなければ進展が無い、と考える住民が、「小鳥が丘環境対策委員会」を一時脱退、別働隊として2名で証拠集め活動(後に「小鳥が丘団地有志の会」を経て「小鳥が丘団地救済協議会」を立上げ)を始めました。

 こうして先行した「小鳥が丘団地救済協議会」3世帯(住民訴訟第一次)と後から続いた「小鳥が丘環境対策委員会」18世帯(住民訴訟第二次)が民事裁判で闘っています。



2.土壌汚染発覚から民事提訴までの過程

 2004年7月、岡山市水道局が鉛管解消工事による水道管取替工事を町内会へ連絡。団地開発時期から考えると鉛管が埋没している事に疑問を持った住民岩野氏が岡山市に質問したがあいまいで疑問が残る。
 同月29日、水道工事による土壌掘削で土壌汚染が発覚。その時調査した岡山市の分析結果では、土壌から水抽出法で硫酸イオンが1?あたり4000?検出。

 2004年8月、小鳥が丘団地35世帯住民で「小鳥が丘環境対策委員会」を設立、住民代表委員7名を選抜し実質的に動いてきた岩野氏が会長になる。岩野氏の知人の羽原弁護士にもアドバイス頂くため協力していただく。

 2004年9月、岡山市保険所が健康相談を実施。住民の不安解消を目的に実施したもので、土壌汚染との因果関係を問うものではない。相談に応じた65人の住民うち42人に皮膚炎や鼻炎、頭痛などの気になる症状

 2004年9月、両備バス?が団地内道路3か所のボーリング調査を実施。3本目のボーリングの4〜5m近辺で悪臭のする油のような液体が噴水のように噴き上げ、金属片やボロ切れなどが発見。立ち会いしていた両備バス?不動産部課長が直ぐ連絡し不動産部のトップの方が後から駆け付けた。同月28日、住民集会にて概況調査分析結果報告があり、環境基準値の約27倍のトリクロロエチレン、約26倍のベンゼン、6倍のシスー1,2−ジクロロエチレンが検出されたと報告。

 2004年10月4日、住民は土壌汚染問題だけに付きっきりになる時間はないので住民代表委員7名の任を解き、羽原弁護士を含む2名の弁護士に両備との示談交渉を依頼。今後の窓口は岩野氏と会計担当(藤原)を決める。

 2004年10月、両備バス?がボーリング調査で汚染が判明した特定有害物質、ベンゼン・トリクロロエチレン・シスー1,2−ジクロロエチレン・ひ素含有量・ひ素溶出量・及び特定有害物質ではないが油分について、各戸の表層土壌調査34か所を実施。同月23日、調査結果報告があり、指定基準を超えたのは34か所中、ベンゼンが11倍など8か所・トリクロロエチレン1か所・シスー1,2−ジクロロエチレン2か所・ひ素溶出量5か所。住民の多くは両備バス?に無償移転を要請

 2004年10月、両備バス?が岡山大学の先生を中心とした「環境対策検討委員会」(南古都?環境対策検討委員会)(以下、岡大委員会と略す)を同月16日設立。最初住民は公平な第3者機関を設立してくれたと錯覚した。住民が請求しても住民代表者の参加も傍聴も認められない、議事録の開示もなし。

 2004年11月、岡山市が油状物質調査。沼川(側)護岸の切れ目から油が流れていると住民が連絡。岡山市からの検査結果報告は、護岸付着物の主な構成物質は植物プランクトン。信じ難いもので、2回もサンプル採取に来るなど違和感。

 2004年11月頃、汚染原因者の旭油化工業が立ち退き後に近郊の赤磐郡吉井町(現あかいわ市)に工場を設置し同様に違法操業した為、1983年1月に操業わずか3か月で撤退させた吉井町の公害資料を入手。

 2004年12月、両備バス?が隣接地に仮設事務所設置、当分の間毎週土曜日駐在、コミュニケーションを図る為としたが両備バス?不動産部課長が、「調査しないで買うのは住民の責任」と発言

 2004年12月、両備バス?が電気探査を実施。同月27日、調査結果報告で全体に低比抵抗であり1%以上の油分による、又、タンク跡に位置する箇所は油の漏洩を示している。同日、岡大委員会の意見書が提出され「異臭による不快感はあるものの住民の健康への影響がただちに懸念されるものではない」との記述。住民を除外した状態での方針決定は納得できないし、汚染原因となった化学工場の操業実態に対する調査は汚染物質の特定のため極めて重要なのに、この点についての調査はほとんど行われてない。

 2005年1月頃、両備バス?が住民宅を戸別訪問。

 2005年1月、住民依頼にて江本 匡 氏が意見書。

 2005年1月、香川県豊島公害調停選定代表人の一人として活躍された石井とおる県議来訪、「豊島産廃不法投棄事件や土壌汚染問題」を住民に講演。

 2005年2月、住民依頼にて中地重晴 氏が意見書。

 2005年2月、町内会会長名で岡山市役所に陳情書提出

 2005年3月、市役所上道支所へ要望書提出両備バス?及び岡大委員会へも要望書提出

 2005年3月、住民代表7名で豊島視察調査。搬入ルートに岡山市旭油化工業の名前あり。

 2005年3月、第20回小鳥が丘環境対策委員会(第1回大会)を近くの公民館で開催。関係者に参加要請したが岡山大学委員会は出席せず、岡山大学委員会の「最終意見書・対策提案書」を両備バス?が代読。小鳥が丘環境対策委員会の顧問を引受けて頂いた石井とおる県議が住民の参加を拒否するのは岡大委員会なのか、それとも両備バス?なのかと追及。

 2005年4月、住民2名で岡山大学委員会に質問書を提出するため訪問したが、2005年3月で解散したと回答。住民が直接質問する機会も与えられないまま、わずか6カ月で3回の意見書を出し一方的に解散。住民の不信感が一気に高まった。両備バス?はこの意見書をもとに追加調査も住民との話し合いも拒否

 2005年5月、町内会住民による土壌調査(ボーリング調査)

 2005年5月、多数の住民が固定資産評価審査委員会に評価審査申出書提出。同7月に固定資産評価審査委員会は申出を却下。

<進展しない状態が長く続きました>

 2005年7月、現状のこう着状態を打開するには、機動的に活動して証拠を集めなければ進展が無い、と考える住民2名(岩野・藤原)が、「小鳥が丘環境対策委員会」を一時脱退、別働隊として2名で証拠集め活動。

 2005年7月、岡山市と両備バス?の2者会談で両備が住民との話し合いに応ずる前提条件として、両備に法的責任が無いことを認めること等の条件を提示。同月の岡山市と住民の2者会談で岡山市が伝達。住民は承諾せず。

 2005年8月、両備バスが責任を認めようとしない姿勢では話し合いをいくら続けても解決できないと考える別働隊の住民2名が、情報収集・証拠集め・広報・第3者への協力依頼・多くの町内住民に希望を持って立ち上がってもらう基盤を作る事を目的に、「小鳥が丘団地有志の会」結成9名(近隣住民含む)。

(「小鳥が丘団地有志の会」の活動)
 2005年9月4日、署名活動、小鳥の森フェスタ、岡山市上道公民館一帯。
 2005年9月18日、署名活動、JR東岡山駅、東岡山駅表口・裏口一帯。
 
 2005年9月23日、ジャーナリスト井部正之氏が週刊金曜日で「旭油化の汚染を売った両備バス」と題して土壌汚染と被害の実態を報道。

 2005年9月25日、署名活動、JR東岡山駅、東岡山駅表口・裏口一帯。
 2005年10月2日、署名活動、平島学区体育大会、昼食時間に各町内会テントを巡回。

 2005年10月4日、岡山県河川課に砂川廃川敷地の交換について質問したが現在は岡山市が管轄と回答。10月18日に岡山市河川港湾課を訪ねたが1〜3期開発認可は岡山県で行っているため資料なしと回答したので同日再び岡山県河川課を訪問し後から文書による説明書提出を要望。

 2005年10月、岡山市(開発指導課・環境規制課)を訪問面談。

 2005年10月〜12月、岡山県(環境政策課・産業廃棄物対策課・建築指導課・河川課)を何度も訪問面談。

 2005年10月5日、岡山市長選挙にあたり候補者に質問書提出(高谷、熊代、高井、各候補)。

 2005年10月12日、新岡山市長の高谷茂男氏に面談申し込み。直接面談拒否。環境規制課へ回される。
 
 2005年10月19日、小鳥が丘団地近くの中国銀行平島支店に不動産担保ローン相談に行く。後日、担保価値なしと融資を断られる

 2005年10月20日、岡山県産業廃棄物対策課に、1983年(S58年)当時の県の実例集記載の旭油化跡地撤去完了確認の内容開示を要求。

 2005年10月22日、署名活動、スーパーマルナカ平島店及びJR東岡山駅、マルナカ入口一帯及び東岡山駅表口・裏口一帯。

 2005年10月28日、岡山県産業廃棄物対策課、「旭油化撤退後1983年に県が廃棄物撤去確認調査で有害物質の撤去を確認と新聞報道にあるが事実か」の質問に「目視にて現状を確認、搬出物内容は確認してない」と回答。また10月20日に開示要求した1983年当時の県の実例集は書類保管期限切れのため無いと回答

 2005年10月29日、署名活動、スーパーマルナカ平島店及びJR東岡山駅、マルナカ入口一帯及び東岡山駅表口・裏口一帯。

 2005年11月2日、岡山県河川課、砂川廃川敷地の交換について簡単なメモ受領、汚染が激しいと想定される国有河川敷地を懸念なく両備に交換譲渡したのか?河川敷地の公用廃止資料開示請求を行う。

 2005年11月5日、署名活動、JR東岡山駅、東岡山駅表口・裏口一帯。
 2005年11月12日、署名活動、JR東岡山駅、東岡山駅表口・裏口一帯。
 2005年11月20日、署名活動、沢田の柿祭り、岡山市沢田の百間川一帯。

 2005年11月頃、小鳥が丘団地内の玄関ポーチと道路の境のコンクリートの割れ目から雨水のアワを伴ってガスが蒸発するのが目視されたので連絡し、西大寺消防署が「可燃性ガスが出ている」ことを確認



 2006年1月16日、岡山県へ(土壌調査等)要望書、提出(1度目)。集まった署名3382名分を添えて。

 2006年1月16日、署名活動を住民全体で行おうと呼びかけに対する「小鳥が丘環境対策委員会」(以下、自治会委員会と略す)役員の返事は、法的資格のある人(弁護士等)以外の外部の人間は入れない、環境対策委員会を脱退した者の進め方に妥協する事はない、完全浄化対策工事で無くても徐々に環境改善出来れば良い、風評被害が解消されなくても仕方が無い。このため統一活動は断念しました。

 2006年1月23日、岡山県会議員55名に土壌汚染問題請願書提出

 2006年1月24日〜2月、県会議員4名に面談し事情説明と請願。国会議員1名の事務所訪問し事務局長に面談し請願書提出。

 2006年2月3日、岡山市水道局へ「小鳥が丘の鉛管使用について」公開質問状提出、「小鳥が丘団地」が開発された昭和62年当時岡山市はすでに鉛管の使用を止めていたのに何故当団地で使用したのか。同月14日、回答書受領、開発当時の給水協議に際し廃油工場跡地を造成するとの申し出であったことから樹脂系のポリエチレン管は変質する恐れがあり鉛管の使用を承認。




 2006年2月13日、岡山県への1月16日提出、要望書に対する各課合同の口頭回答。

(産業廃棄物対策課)
 岡山市内における環境問題は岡山市が行政権を持っており、県は動くべきでない、

(建築指導課)
Q1,公害企業として何度も行政指導をしても廃油の垂れ流しを改善されなかった旭油化工場跡地を、昭和62年当時、宅地として許可した理由は?
A1,都市計画法に沿い技術基準(住宅に耐える土壌の強度があるか)に合っていれば良く、他の問題(有害物質等)は対象外であり、宅地開発許可は合法である、

Q2,当時、県の環境課でも相当問題になった公害工場の案件に対し土壌汚染の検討もしてない事はおかしいと思うが、情報交換はして無かったのか?
A2,他の課との情報交換連絡はしていない。他法令を参考にする事は位置づけられていない、

Q3,1983年(S58年)当時の「岡山県実例集」に記載している「旭油化跡地撤去完了確認調査資料」を開示請求したい、
A3,当時の経緯調査資料は書類保管期限切れのため処分したので資料は無い、

(河川課)
Q1,汚染が激しいと想定される国有河川敷地を懸念なく民間の両備に交換譲渡したのか?また公文書開示請求により2005年(H17年)11月8日に開示された「一級河川旭川水系砂川の河川敷地の公用廃止(昭和63年12月9日付け岡山県告示第973号)の起案文書」に掲載されている両備の行った「河川法20条の河川工事」とは何の工事か?
A1,「河川法20条の工事」の別紙内訳書は書類保管期限切れのため処分したので内容は分からない、この程度の案件では調査するつもりは無い。

 2006年2月24日、近隣町内会長及び学区連合町内会会長に面談。協力依頼。

 2006年3月5日、ビラ配布・街頭演説・署名活動、表町商店街、岡山市表町(天満屋)百貨店前通行路一帯。
 2006年3月10日、ビラ配布・街頭演説・署名活動、岡山県庁前、岡山県庁前道路一帯。
 2006年3月17日、ビラ配布・街頭演説・署名活動、岡山県庁前、岡山県庁前道路一帯。
 2006年3月23日、ビラ配布・街頭演説・署名活動、岡山県庁前、岡山県庁前道路一帯。
 2006年3月26日、ビラ配布・街頭演説・署名活動、表町商店街、岡山市表町(天満屋)百貨店前通行路一帯。小笠原賢二氏が参加し応援演説。

 2006年5月頃、(両備バスと朝油化との)和解調書入手。(両備バス?が1982年に旭油化工業跡地を取得するに当たり有害物質の除去を条件とし、違反したときの損害賠償金額を明記して買収した裁判記録)。

 2006年6月5日、岩野邸の倉庫工事で庭を掘削中地下20cmぐらいから黒い土と刺激臭のするガスが出てきたので施工業者は工事を中断し警察と管理会社へ連絡。住民が関係者に連絡し、岡山市・西大寺警察署2名(生活安全課、土壌サンプル持ち帰り)が駆け付ける。なお両備バスと岡山県は連絡するも来ず瀬戸内海放送テレビ取材あり。

 2006年6月7日、読売新聞取材あり。取材中記者は蒸発するガスでむせかえる。

 2006年6月8日、販売会社の両備バス?が現地確認に来ないので復旧作業ができず、掘削跡地にビニールシートで覆いをし、杭を打って立入禁止の表示をする。

 2006年6月7日〜12日、西大寺警察署・岡山検察庁・岡山市(環境規制課・総務課)・岡山県庁(産業廃棄物対策課・秘書課)・岡山県警に相談

 2006年6月9日、西大寺警察署生活安全課が土壌サンプル追加持ち帰り。最初持ち帰ったサンプルでは足らないとの事。

 2006年6月15日、西大寺警察署(相談課・生活安全課)・岡山県警(生活安全課)に被害届(廃棄物不法投棄)について相談。

 2006年6月20日、岡山市(秘書課・環境規制課)が現地訪問。

 2006年6月24日、大橋光雄氏(廃棄物処分場問題全国ネットワーク事務局長)が来訪。これほどのものが出ながら行政が動かない事には憤慨され、「住民がもっと言わないと」と少し叱りつつも励ましてくれた。

 2006年6月、有志の会を解消し、関係機関への要請・陳情等、公害調停・民事裁判に向け「小鳥が丘団地救済協議会」結成。

(「小鳥が丘団地救済協議会」の活動)

 2006年7月、「小鳥が丘団地救済協議会」でホームページ開設。

 2006年7月13日、環境省中四国地方環境事務所を訪問。説明と相談。

 2006年7月26日、岡山大学と両備グループの包括連携協力への協定締結について報道

 2006年8月17日〜9月11日、「ホームページ開設のお知らせ」チラシ配布、(県会議員会館・岡山県庁・岡山市・和気町・備前市・赤磐市・瀬戸内市・倉敷市・倉敷議員会館・総社市・総社議員会館・岡山大学宿舎・岡山振興局・岡山東及び西社会保険事務所・瀬戸町・岡山県北方面の各市及び町及び振興局・岡山南方面の各町)、約2900枚

 2006年8月29日、両備グループ代表に両備バス?が開発した小鳥が丘団地住民の庭から黒い土とガスが出て担当者に連絡したが現地確認の対応もない事の改善要請文を期限付きで配達証明郵便で郵送

 2006年8月31日、環境省中四国地方環境事務所より電話にて回答。検討したが難しい、土壌汚染対策法で相手方と話し合うしかないと回答。

 2006年9月6日、要請していた土壌調査分析結果について西大寺警察署(生活安全課)より電話回答。犯罪になるようなものは何も出てない。

 2006年9月6日、西大寺警察署(生活安全課)を訪問し土壌調査分析結果の資料閲覧を要請。処理法違反を含めて犯罪性はない、犯罪捜査に関する資料は公開できない、土壌の入れ替えは通常の処理をしても警察としてはかまわない(持ち出しOK)、何故住民全体で問題にしないのか、(周辺住民の20年のしがらみがあるんでしょうねと担当者が感想を述べる)。

 2006年9月15日、西大寺保険所へ土壌検査依頼に行く、出来ないと言われ、指示された岡山市保険福祉会館2F環境衛生課に行くが、土壌検査は出来ない、他の相談窓口は無いと回答

 2006年9月15日、岡山市(環境保全課)訪問。庭の土を自費で入替えると申出ると、小鳥が丘団地に土壌汚染は有ると初めて発言した。土壌を自由に搬出出来ない旨を文書で指示するよう要請。

 2006年9月26日、岡山裁判所で裁判について説明を聞く。

 2006年10月5日、汚染土壌の処分方法について岡山市環境保全課から文書を受領。小鳥が丘団地の土壌については、指定区域外の土地ではあるが、指定区域と同等の方法で適正に処分してください。

 2006年10月9日、ジャーナリスト井部氏が再度取材に来訪、それに伴い愛知小牧市から丸山氏、木下氏、が現地視察。

 2006年10月11日、岡山市水道局を訪問。開発当時の水道鉛管埋没工事状況の詳しい回答書要求。

 2006年10月13日、自宅庭掘削跡を埋め戻し中に住民(岩野氏)がガス中毒で倒れ入院

 2006年10月17日、両備バス?代表取締役社長へ申し入れ書を内容証明郵便で出す。

 2006年10月27日、岡山弁護士会に無料相談

 2006年10月27日、岡山市(環境保全課)訪問相談。個人所有地は行政では検査できない。岡山大学委員会は委員会意見書でなく、両備意見書だから、両備が代読したものと考える、と回答。

 2006年10月30日、両備バス?顧問弁護士6名連盟により、ご連絡と題して返書。団地住民全員を代理するものでないので個人の意見として承る、自宅庭の硫酸ピッチ騒動については土壌の分析結果でそのような事実が判明して無いのであれば即刻止めてください。

 2006年11月1日、岡山県警本部へ宅建取引業法違反で両備バス?を告訴。時効のため不受理。



 2006年11月2日、岡山県警本部生活環境課を訪問。時効に抵触しない別の項目違反について相談。

 2006年11月10日、国土交通大臣へ質問状



 2006年11月10日、河田英正法律事務所を訪問し相談。

 2006年11月14日、岡山市(環境保全課)に愛知県小牧市土壌汚染問題で小牧市が土壌調査した事例を研究するよう要請

 2006年11月15日、国交省より電話回答。岡山県に連絡しておくから相談してください。書類を見る限りでは、有害物質の除去を含めて、権利・義務の全てを、両備バスが引き継いだ事になります。汚染原因者と同じ立場になります

 2006年11月16日、国交省の電話回答で岡山県建築指導課訪問し相談。

 2006年11月13日〜11月20日、岡山県警本部(生活環境課)・岡山市(環境保全課・秘書課)・岡山県(循環型社会推進課)等を何度も訪問面談

 2006年11月17日、環境大臣へ質問状

 2006年11月24日、法務大臣へ質問状

 2006年11月24日、岡山県建築指導課に、11月16日教示された、申立書(宅地建物取引業免許の適性について(両備バスの行政指導について))を提出。(住宅地図を添えて)

 2006年12月1日、環境省から回答書。地域の土壌環境行政を所管する岡山市が対応していると認識、岡山市とよく相談して頂きたい、本件に係る土地の売買に関する両備バスの責任については、民事的に解決されるべき事案と考えております。

 2006年12月4日、チラシ配布500枚

 2006年12月7日、法務省から回答書。本件については、個別の具体的事件に関することであり、当省では対応いたしかねる旨。

 2006年12月9日、週刊金曜日に小鳥が丘団地土壌汚染問題第2弾が掲載(井部正之氏報道)。

 2006年12月22日、TBSテレビ朝ズバ!番組担当者取材来訪。

 2006年12月27日、岡山市(秘書広報室)訪問。愛知県小牧市土壌汚染問題で環境保全課が1月中下旬視察で小牧市と折衝中との確認がとれた。

 2006年12月28日、岡山市環境保全課審議官他1名が岩野邸で事情聴取



2007年1月19日、岡山市(環境保全課)小牧市視察実施。

 2007年1月24日、岡山県知事へ要望書(2度目)

 2007年1月30日、岡山市長へ要望書

 2007年2月1日〜2日、テレビ朝日報道ステーション担当ディレクターが取材下見に来訪。

 2007年2月5日、岡山県庁で(循環型社会推進課)から、1月24日に提出した岡山県知事宛て要望書、の回答を口頭で受ける(1度目と同じですと回答)、文書回答を要望する。

 2007年2月5日、岡山県備前県民局を訪問。沼川に油が流れている件を相談。

 2007年2月6日、岡山県備前県民局2名現地確認。沼川護岸が原因でなく宅地土壌の問題と思われるので住民から岡山市に相談するよう回答。

 2007年2月6日、住民が岡山市に道路地下から水の流れる音がする件を連絡。

 2007年2月7日、岡山市西大寺支所建設課が道路地下から水の流れる音がする件で視察。普通の道路保全だけでは無いので事情を確認してから連絡する。(土壌汚染の関係もあるので)。

 2007年2月7日、岡山市長より回答書。両備バス?が設立した環境対策検討委員会での審議の結果、健康への影響が直ちに懸念されるものではないと判断されていることから、現時点では、市が主導して土壌調査等を実施することは考えておりません。

 2007年2月8日、羽原弁護士事務所を訪問し河田弁護士を含め救済協議会住民で協議。時効中断するので公害調停を、まず行なう。自治会委員会からも公害調停の相談を受けていて23日の住民総会で説明依頼を受けているが救済協議会からの相談が先なので一緒にやるのであれば受けるとの羽原弁護士の意向。目的が同じである事、住民不利になる情報を両備に漏らさない事、が合意できれば一緒にやれると伝えた。

 2007年2月9日〜12日、テレビ朝日報道ステーション取材。地質学者の楡井久先生やニュースキャスター長野智子氏が訪れ庭先から汚染物質が出た岩野邸庭の地質調査、住民の聞き取り取材、旭油化元関係者や当時の様子を知る周辺住民に聞き取り取材。救済協議会住民はもちろん自治会委員会住民も全面的に協力。

 2007年2月13日、岡山県生活環境部(環境管理課・循環型社会推進課)より、2月5日に要望した回答書受領。 岡山県知事あてに提出した要望については岡山市と十分に協議するように。

 2007年2月13日、岡山県建築指導課より、2006年11月24日申請の申立書、の回答書受領。違反行為等が行われてから長期間を経過した後の行政処分は行政の裁量の範囲を超え、裁量権濫用にあたるおそれがあることなどの観点から行政処分を行うことが困難。

 2007年2月19日、当初から相談している羽原弁護士から、テレビ朝日報道ステーション取材ディレクター2名が、経緯と今後の予定、につき取材があるので同席を依頼される。ディレクターから、平等を期すため来週は相手方の両備バス?の取材をすると知らされる。

 2007年2月21日、テレビ朝日報道ステーション取材放映中止。ディレクターから突然の言葉。地質調査の分析結果報告だけでもと要請するが上司と相談してみると保留していたがその後連絡が取れなくなり、羽原弁護士から問い合わせすると開示できない旨回答。

 2007年2月26日、岡山市に公文書開示請求、1月18日環境保全課小牧市視察に関する一切の文書。2007年3月9日、開示。

 2007年3月4日、小笠原賢二氏の市会議員選挙事務所開き参加。小鳥が丘団地土壌汚染問題についてスピーチ。

 2007年3月6日、自治労岡山県本部で委員長と面談。協力要請。

 2007年3月10日、環瀬戸内海会議事務局長、松本宣嵩氏現地視察。

 2007年3月13日、岡山地方法務局内人権相談事務所を訪問相談。
質問:土壌汚染の分譲住宅地を知らずに購入して、健康被害に遭い宅地建物の価値も無くなったのに、連絡しても放置されたことは人権侵害だと思う。回答:司法手続きの検討しかないと思う。岡山市には相談があった事は連絡しておきます。

 2007年3月13日、岩野邸庭の土壌調査を依頼していた倉敷市水島の民間土壌分析会社が3月26日実施で土壌調査を受託。

 2007年3月15日、倉敷市水島の民間土壌分析会社が土壌調査を辞退

 2007年3月20日、小鳥が丘団地救済協議会の郵便振替口座開設申し込み。

 2007年4月、小鳥が丘環境対策委員会(自治会委員会)に連携を申入れたが方針が違う事を理由に断られる。 (自治会委員会の方針)― この地に永遠に住み続けるために、安全かつ安心して住める町にしたい、そのため10年〜20年かけても地道に活動する。 (救済協議会の方針)― 健康を犠牲にしてまで住み続ける事にこだわるべきでない、まず先に住民移転を要請し実現した後で土壌改良を目指す方が解決しやすい。

 2007年4月4日、兵庫県姫路市?ニッテクリサーチに土壌調査を発注。倉敷市水島の民間土壌分析会社が辞退した教訓に学び調査目的を変更した。

 2007年4月7日、河田英正弁護士が「小鳥が丘団地」現地視察。ガスの蒸発臭や油の滲み出し等を確認。河田弁護士の弁「弁護士は現地に行って困っている状態を見ないと力が湧いてこないのですよ!」。

 2007年4月9日、兵庫県姫路市?ニッテクリサーチが岩野邸土壌調査実施。

 2007年4月15日、大阪市立大学の畑 明郎 教授が現地視察

 2007年4月15日、自治会委員会の役員会に合同公害調停を申入れたが不承知なので一緒に出来ない旨、羽原弁護士に連絡。

 2007年4月15日、河田弁護士に救済協議会だけで公害調停申請依頼。河田弁護士は団地住民全体でやらないと有志での公害調停は意味が無い、民事裁判しか無いと回答。民事裁判は救済協議会メンバーで協議してないので依頼を保留する。

 2007年4月20日、地元岡山県の片山虎之助議員へ公開質問状送付。回答なし。

 2007年4月27日、?ニッテクリサーチが岩野邸土壌調査結果報告書を持参。

 2007年4月28日、岩野邸土壌調査結果報告書を畑 明郎 教授に郵送。意見を伺う。

 2007年4月30日、岩野邸土壌調査結果報告書についての畑 明郎教授の意見がメールで来る。(内容は、前掲 「1. 土壌汚染の概要 住民土壌汚染調査」に掲載)。

 2007年5月12日、岡山シティーホテル桑田町で記者会見し畑明郎教授が「住民による土壌調査結果」を報告

 2007年5月14日、岡山県循環型社会推進課及び岡山市環境保全課に岩野邸土壌調査結果報告を提出し相談する。

 2007年5月、複数の有識者から、私たちが集めた資料があれば十分裁判になるとアドバイスがある。

 2007年5月21日、「小鳥が丘団地救済協議会」メンバーに民事裁判提訴の最終確認。

 2007年5月26日、読売新聞大阪本社記者から電話取材。

 2007年6月、小鳥が丘団地救済協議会のうち3世帯が民事訴訟を決意。

(「小鳥が丘団地町内会」の動き)
 2006年6月25日、小鳥が丘団地町内会臨時総会で1班〜3班と4班〜5班に分割を承認(4班〜5班は別の会社が開発し完成後に小鳥が丘団地町内会に18世帯が加入、宅地の履歴が違う事から町内会全体の共通問題でない事が理由)。翌年4月の新年度から小鳥が丘団地町内会は35世帯となる。

(「小鳥が丘環境対策委員会(自治会委員会)」の活動)
 2007年7月10日、小鳥が丘住民23人、岡山県公害審査会に公害調停を申請(相手方は旧両備バスと岡山市)。

3.裁判経過及びその時期の特記事項

 2007年6月11日、河田弁護士に救済協議会3名で民事訴訟を依頼

 2007年6月11日、岩野邸で22時頃、家庭用ガス漏れ警報器が鳴る。プロパンガスの漏れではない。

 2007年6月13日、西大寺消防署上道出張所、岩野邸ガス警報器作動した件で調査。

 2007年6月16日〜17日、環瀬戸内海会議第18回総会(会場は瀬戸内市牛窓町前島)に参加し、小鳥が丘団地土壌汚染公害問題を報告。

 2007年6月22日、岩野邸で21時頃、再び家庭用ガス漏れ警報器が鳴り西大寺消防署上道出張所に通報。消防車が駆け付ける。

2007年6月23日、両備グループ監査室 設立
設置場所 旧両備バス本社:岡山市錦町7-23
組織および就任者
監査室長   佐藤允彦 ?中国バス専務取締役 兼務   監査室主任監査役 窪田新治、 
監査室主任監査役   桑原彰一郎   監査室分析統括監査役   福間和興 

 2007年7月3日、岩野邸で18時40分頃、今夏3度目の家庭用ガス漏れ警報器が鳴り西大寺消防署上道出張所に通報。消防車で駆け付けるが、消防署では危険な時に駆け付けるしか出来ないと説明。

 2007年7月7日、週刊プレイボーイのルポライターが現地取材。

 2007年7月11日、岩野邸で20時頃、今夏4度目の家庭用ガス漏れ警報器が鳴る。窓を開け扇風機を回して換気し自己防衛する。通報せず。

 2007年7月13日、河田弁護士が住民3名の代理人として両備ホールディングス株式会社(旧両備バス?)へ通知・催告書を郵送(提訴までの準備期間がいるので時効を6か月間延長)。

 2007年7月19日、午前に不動産取引会社代表が現地視察。午後は鬼木のぞみ市会議員現地視察。

 2007年7月28日、両備ホールディングス株式会社より回答書。法廷で全面的に争う。

 2007年7月28日、技術士(建設)の方が現地視察。

 2007年7月31日、週刊プレイボーイに「産廃に沈む住宅地」と題して小鳥が丘団地土壌汚染問題が掲載される。

 2007年8月23日、おおさかATCグリーンエコプラザビジネス交流会、水・土壌汚染対策研究部会第22回セミナーに参加。小鳥が丘団地に来られた、畑 教授、楡井教授が講演。

 2007年8月31日、小鳥が丘団地救済協議会メンバーのうち3世帯が岡山地方裁判所へ民事提訴(住民訴訟第一次)

 2007年10月5日、みずしま財団塩飽氏・東京経済大学の磯野教授が現地視察。

 2007年10月5日、技術士(環境)の方が現地視察。



 2007年8月23日 おおさかATCグリーンエコプラザでOAP等の土壌汚染問題等についてのセミナーに住民が参加し、小鳥が丘土壌汚染の状況を説明する。



 2007年10月28日、(住民訴訟第一次)住民と支援者でフォーラムを上道公民館で開催
 畑 教授が基調講演、現地報告として愛知県小牧市の丸山氏と小鳥が丘団地救済協議会が汚染問題を報告、総合司会に石井とおる氏で進行。小鳥が丘住民や関係者に参加を呼びかけ、民事訴訟の経緯と被害当事者住民が積極的に立ち上がるよう呼びかけ。



 おおさかATCグリーンエコプラザ水・土壌汚染会員(技術士 環境カウンセラー 土壌環境監理士等)が小鳥が丘団地の土壌汚染現場を確認すると共にフォーラムに参加する。



 2007年10月、自治会委員会の小鳥が丘住民23人、公害調停打ち切り。

 2007年10月 おおさかATCグリーンエコプラザ水・土壌汚染研究部会で取り上げられる。

 2007年11月13日、岡山地方裁判所、初回口頭弁論(住民訴訟第一次)。

 2007年11月、自治会委員会の小鳥が丘住民23人から依頼された弁護士から証拠資料の提供要請あり。了解する。

 2007年12月11日、住民訴訟第一次(3世帯)、第2回口頭弁論

 2007年12月27日、自治会委員会の小鳥が丘住民23人で住民訴訟第二次(18世帯)、民事提訴

2008年1月13日、毎日新聞記者2名が現地視察。

 2008年1月23日、財団法人PHD協会及びその研修生が現地視察。

 2008年1月29日、住民訴訟第一次(3世帯)、第3回口頭弁論。 
(裁判長)
 住民訴訟第二次(18世帯)の初回口頭弁論が3月4日にあるので次回口頭弁論は其の後にしたい、被告の資料は同じものは資料番号を同じにしてもらいたい。被告答弁は同じでしょう?裁判は個々に並行して行う。 
(被告弁護士)
 違う個所もあるのでその答弁は別にして同じ答弁の箇所は番号を揃える。

 2008年1月、岩野氏転居。

 2008年2月12日、?環境新聞社・?エイチテック が現地視察。

 2008年3月4日、住民訴訟第二次(18世帯)、初回口頭弁論。裁判所は第一次訴訟と並行して個々に行う日程を組んだため以降の第二次訴訟の口頭弁論期日は不確実につき省略。

 2008年3月6日、若井たつこ市会議員が岡山市議会で小鳥が丘団地土壌汚染問題を質問。(土壌汚染地域の税減免措置について)

 2008年3月11日、住民訴訟第一次(3世帯)、第4回口頭弁論。
 (裁判長)
 訴訟第二次(18世帯)で現地視察することになっているので一緒に立ち会いませんか 
(河田弁護士)
 土壌掘削調査等を実施しながら現地立ち会いでないと効果的でないのでは?。

 2008年4月4日、住民訴訟第一次(3世帯)、第5回口頭弁論準備手続き(進行協議)。
 (裁判長)
 調査不足ではないかと思う。

 2008年5月19日、住民訴訟第一次(3世帯)、第6回口頭弁論準備手続き(進行協議)。 
(裁判長)
 5月30日に行う現地視察で訴訟第二次(18世帯)は学者の中地氏が立ち会うことになっている。
(河田弁護士)
 こちらも 畑 教授の立ち会いを予定している、機械で2か所掘削し、より効果的になるよう予定している。



 2008年5月30日、岡山地方裁判所が、小鳥が丘団地現地視察(13:30〜15:30)。 
 裁判官、原告住民および弁護士や学者、被告弁護士が、多くのマスコミや関係者の見守るなか、小鳥が丘団地内を見て回る。住民訴訟第一次(3世帯)は庭と駐車場をユンボで2箇所掘削、住民訴訟第二次(18世帯)は庭を住民が削岩機で3箇所と地盤沈下で下がった塀や、油や石灰と思われる液体が滲み出ている擁癖や、玄関前側溝から可燃性ガスの泡が吹き出している箇所を住民が説明した。




 (写真は「土壌汚染問題裁判・公開調査 投稿者: 竹永みつえ」から拝借しました。謹んでお礼申し上げます。)
   http://okjcp.jp/t/?p=1837

 2008年7月9日、住民訴訟第一次(3世帯)、第7回口頭弁論準備手続き(進行協議) 。
 5月30日の現地視察DVD添付の準備書面提出。 
(裁判長)
 岡大検討委員会の会議録原本の提出を要求中、被告側は拒否。

 2008年8月12日、ジャーナリスト山本節子氏が現地視察。

 2008年8月30日、滋賀大学学生が研修で現地視察。

 2008年9月22日、東京経済大学の磯野弥生教授・一橋大学の山下英俊 準教授が現地視察。

 2008年9月29日、住民訴訟第一次(3世帯)、第8回口頭弁論準備手続き(進行協議)。
 (裁判長)
 被告はこれ以上調査はしないとのことなので、原告側で調査といっても費用負担は難しいと思うので裁判所から的を絞った調査提案をしようと思う。 
(河田弁護士)
 原告側は畑教授の意見書を提出する方向で検討する無論原告費用負担で。 
(裁判長)
 それは助かります。

 2008年10月24日、(3世帯)住民、代理人弁護士と供に大阪市立大学研究室に畑 明郎教授を訪問して原告・被告の調査資料を提出、検討を約束。

 2008年11月10日、(3世帯)住民、畑 明郎教授より「岡山市小鳥が丘団地土壌汚染裁判資料コメント」と題して意見書受領。

 2008年11月17日、住民訴訟第一次(3世帯)、第9回口頭弁論準備手続き(進行協議)。畑 明郎教授の意見書を提出。  住民訴訟第二次(18世帯)は学者の調査方法意見書を提出する方向で準備していると説明あり。土壌改良の為の土壌調査は詳細な調査が必要なので費用は高額になると思われ実現できるのか推移を待つ事になりました。

2009年1月14日、雑誌エコロジーの依頼で井部氏現地取材。





 2009年1月30日、住民訴訟第一次(3世帯)、第10回口頭弁論準備手続き予定延期。 これは住民訴訟第二次(18世帯)が現地調査の概要を提示することになっていましたが、その費用が高額になり、とうていその費用負担ができないことが判明してそのやり方を再提示することになったようです。さらに調査を簡略化して効果的な結果が得られる方法(調査箇所を減らすなど)を検討し、これについて被告側の対応をみることになったとのことです。

 2009年4月4日、近畿弁護士会連合会及び大阪弁護士会の弁護士6名で現地視察

 2009年4月6日、住民訴訟第一次(3世帯)、第10回口頭弁論準備手続き(進行協議)。 
 大掛かりな調査は費用の面で出来ないが、訴訟第一次(3世帯)で出来る団地内の土壌調査を原告負担で実施し損害立証していくと答弁した。
 訴訟第二次(18世帯)の土壌調査は、住民が費用負担に耐えられるか又被告両備に折半負担を提案予定だが両備が責任を認めていない現状や全面的に争う姿勢から、この方法では展望が開けない(期待が持てない)と判断し、訴訟第一次(3世帯)単独でまず損害賠償で勝利する方向に方針転換しました。

 2009年6月10日、住民訴訟第一次(3世帯)、第11回口頭弁論準備手続き(進行協議)。
 訴訟第一次(3世帯)で出来る団地内の土壌調査を近く実施予定なので調査結果は次回口頭弁論までに提出したい。

 2009年6月13日、訴訟第一次(3世帯)は環境総合研究所に現地地質調査分析を依頼し職員を現地に派遣してもらい住民による調査サンプル採取を行う。(モニター井戸水質3か所、原告敷地駐車場土壌1か所、沼川護岸擁護壁付着物1か所、合計5か所)。

 2009年7月9日、環境総合研究所から調査分析報告書が送られてくる。護岸の付着物もはっきりと油分が検出されていた。いずれも汚染の程度は著しいものとなっていたので早速、調査報告書は証拠として裁判所に提出。

 2009年7月9日、ジン・ネット(日本テレビ系)取材のため現地視察。

 2009年9月1日、住民訴訟第一次(3世帯)、第12回口頭弁論準備手続き(進行協議)。 損害賠償結審に向け最終答弁書を提出する旨申し入れした。

 2009年9月5日、(3世帯)訴訟の住人藤原氏転居。

 2009年10月20日、住民訴訟第一次(3世帯)、第13回口頭弁論準備手続き(進行協議)。 
 原告住民3名の陳述書は提出済み。裁判長から結審に向け確認があり次回は原告本人尋問および被告反対尋問が予定された。

 2009年12月8日、住民訴訟第一次(3世帯)、第14回口頭弁論。 原告本人尋問実施。3名合計で実質尋問時間が3時間。
 次回は被告が住宅の価値はあると主張する根拠として小鳥が丘団地内の競売物件の資料を提出する事になり2010年1月19日に進行協議を設定。




 2009年12月18日、おおさかATCグリーンエコプラザビジネス交流会、水・土壌汚染対策研究部会第35回セミナーで、小鳥が丘団地救済協議会が「小鳥が丘団地土壌汚染現地報告と裁判経過」と題して講演。






(写真はATCで質疑応答の司会をする畑明郎先生と土壌汚染タレントの藤原きよみさん、後ろは新名康幸事務局長です。)



2009年12月  100周年記念9トンの餅つき大会 両備グループ  代表 小嶋光信






●岡山市の土壌・地下水汚染対策について

 岡山県環境への負荷の低減に関する条例について

 平成14年4月1日に『岡山県環境への負荷の低減に関する条例』が施行されました。(一部の規定は平成14年10月1日から施行)有害物質取扱事業場の設置者は、当該事業場の敷地内で土壌又は地下水汚染を自主な調査により発見したときは、速やかな届出が義務づけられました。

〒700-8544 岡山市北区大供一丁目1-1
岡山市環境局環境保全課 水質係
TEL 086-803-1281
FAX 086-803-1737
E-mail kankyouhozen@city.okayama.jp
http://www.city.okayama.jp/kankyou/kankyoukisei/dojou-tikasuiosen/dojyou-tikasuiosen.html

●参考リンク
国会と藤原きよみ(環境カウンセラー)岡山市の小鳥が丘団地Vs両備の土壌汚染事件の議論
 http://blogs.yahoo.co.jp/atcmdk/49372319.html

藤原きよみの海が好き!釣りが好き!地球が大好き!ブログ
 ATCグリーンエコプラザです☆
  http://kiyomi.blog.eonet.jp/kiyomi/2009/12/post-9295.html

岡山で両備が販売した小鳥が丘団地の土地・地下水汚染事件の経緯
 http://beauty.geocities.jp/oecacasa/kotorigaokanorekisi.htm




 写真はおおさかATCグリーンエコプラザ ビジネス交流会 水・土壌汚染研究部会の土壌汚染相談窓口の土壌汚染タレントの藤原きよみさん(環境省登録:環境カウンセラー)です。

 この資料は岡山市両備小鳥が丘団地土壌汚染事件一次訴訟原告団の資料に基づいており、事実内容を保障するものではありません。また、損害等について一切の責任を負うものではありません。

 事実と異なる表現等のご意見がありましたら、下のコメント欄にご記入願います。
  
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Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 09:23Comments(1)小鳥が丘

2009年12月27日

第171回国会 環境委員会 畑明郎先生の発言

第171回国会 環境委員会 第5号
平成二十一年四月十四日(火曜日)

       大阪市立大学大学院特任教授日本環境学会会長        畑  明郎君

  本日の会議に付した案件
○土壌汚染対策法の一部を改正する法律案(内閣 提出、衆議院送付)

○委員長(有村治子君)
 ただいまから環境委員会を開会いたします。
 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を議題といたします。

○参考人(畑明郎君)
 大阪市立大学の畑と申します。
 資料としましては、昨年十一月に日弁連の機関誌の「自由と正義」という雑誌があるんですけれども、それに土壌汚染対策法の特集がありまして、それの巻頭論文を付けております。二番目には大塚先生も書かれていますので、また参考にしていただければと思います。

 元々、私は七年前にここに、法律できるときの、制定のときの参考人で、大野参考人と私とあと二人の方だったんですけれども。そのときに、ちょうど五月だったんですけれども、四月ですから今、似た時期ですけれども、非常に問題はいっぱいあるということで、当時は一応民主党の福山議員の紹介でこれ参加したわけですけれども、十五項目ぐらい問題あるということで、中でも大きな問題点は、二番目の、この法律はやっぱり土壌汚染の事後対策法である、未然防止法ではないということです。

 それから、地下水の汚染の防止の観点がほとんどないと。土は人間が動かさないと動かないんですけれども、地下水は勝手に動きますので、そこの防止の対策がこの法律では非常に問題があると。

 それから、五番目の三条の調査対象ですね、これが一番問題なんですけれども、いわゆる水質汚濁防止法の有害物質使用特定施設の廃止時、それも法律施行後の廃止時、さらに宅地等への転用する場合だけ、そういう形で非常に法対象を狭くしていると。それから、それ以外にも金属鉱山・製錬所、廃棄物処分場の跡地周辺、軍事基地等を対象外にしていることです。

 それから七番目が、調査、対策を原則として汚染原因者でなく土地所有者等に義務付けている点です。

 それから十番目が、対策は原則として覆土、つまり五十センチ以上の盛土でよしとする、土壌の浄化は特別な場合だと。これは保育園とか幼稚園とかそういう場合だけだという感じになっておりまして、この法律制定時から非常に問題があったと思っております。

 とても土壌汚染問題の根本的解決につながる法律とは言えませんし、そればかりか、土壌汚染を覆土で隠ぺいし、言わば臭い物にふたをする、後世に負の遺産を残すことを合法化するざる法ではないかということで批判したわけです。
 やはり法施行後五年、今六年ですけれども、たった現在、そのざる法性はますます明らかになったのではないかと思っております。

 二番目のは、もう御存じのように、先ほど言われましたように、法対象が非常に、二%しかないとか、廃止工場の八割は調査を逃げている、つまり宅地等に用途を転用しないということで、ブラウンフィールド化している。
 それから対策も二%しかないと。それから、四条の調査命令も、発動したのは五件。これは、環境省は課長会議の何か通達出していまして、一キロ以内ぐらいに直接水道の飲み水に使用している場合だけ発令しろ、それ以外発令するなというそういう通達を出しておりまして、結果的に五件しかないと。しかも、それは岩手県とか鳥取県とか、皆さん御存じの特定の知事がおられたときしか、県しか命令を出しておりません。そういうことで、非常に実効性の乏しいざる法となっていると思います。

 それで、いわゆるこの法律自身は盛土、舗装等で摂取経路を遮断する対策で十分であると言っているんですけど、リスク管理といっておりますけど、汚染土壌が残っている限り半永久的に管理する必要があるわけですね。

 特に問題なのは地下水の問題です。土壌が汚染されていますと、必ずそれに接触している地下水は汚染されます。その地下水は勝手に動きます。ということで、確かに直接都市部では飲み水にしていないんですけど、地下水によって汚染が拡散するという点で、その地下水のくみ上げ処理とか遮水壁で囲むとか幾つかの方法があるんですけど、一〇〇%水をカットすることは技術的には困難です。
 幾らお金を掛けても困難です。ということで、こういうリスク管理には非常に問題があるということで、やはりリスクゼロ型の掘削除去の方が結果的には多く採用されているし、その方が私はいいと思っております。

 当然それを掘削除去した汚染土壌については適正に処理することは当たり前のことでして、これは技術的に、最近、秋田とか川崎とか幾つかにその汚染土壌をきれいにするプラントもできておりますし、問題はコストですね、お金が掛かりますから。その負担をだれがするかという問題だと思っております。

 それから三番目の、大野さんのおられる土環センターの調査によれば、いわゆる製造業だけじゃなくてサービス業も含めて九十三万か所ぐらい汚染地があるんではないかと推定されています。
 これの調査費用が二兆円で、浄化費用が十一兆円で、合計十三兆円の土壌浄化ビジネスです。既に二〇〇七年でほぼ二千億円近い、年間二千億円の土壌浄化ビジネスになっております。二〇〇八年はちょっと景気の悪化で初めて落ち込むようですけど、それまではずっと右肩上がりで土壌浄化ビジネスの業界は成長しております。

 それと、あと汚染地ですけど、基本的には東京、関東、近畿、中部の三大都市圏のいわゆるオールドエコノミーというか、そういう重化学工業の工場地帯のところに多いということです。

 それから四番目は、私自身いろんな事件にかかわっているんですけど、基本的には市民、住民の依頼によってやってきたものが二十件以上あります。その中で法対象になったものは、この二十件のうちわずか三件です。
 大阪のカネボウの中研の跡地、神戸の日本テルペン化学、川西の中央北地区、これは皮なめし工場です。ということで、大半が法施行前に廃止された工場、事業場や廃棄物処分場周辺の跡地です。ということで、法施行前に廃止された工場跡地、特に有害物質を取り扱っていた事業場をやっぱり法対象にする必要があるし、ドイツなんかでは廃棄物処分場の跡地周辺も法対象にしております。

 あと、先ほど出ましたように、私はこの二番目の、?の大阪アメニティパークの、OAPの事件にかなり三年間ぐらいずっと住民に頼まれてかかわったんですけど、このときには土壌汚染対策法は全く役に立たなかったです。宅建業法でやっと三菱は対策とか調査をやったということになったわけですね。

 それからあと、七番目以降、そこに滋賀県の例がありまして、私、滋賀県に住んでおりまして、有村委員長も滋賀県出身だそうなんですけど、守山、野洲とか信楽では、これは水道の飲み水の汚染が起こりました。
 それから、住友大阪セメント、セメント工場もいろいろ問題あるんですけど、それから、今、滋賀県の知事が栗東の新幹線の駅止めましたけど、この産廃処分場の問題がもう一つありまして、そういう周辺で地下水汚染、土壌汚染が起こっております。

 それから、このテルペン化学で、神戸の、非常に印象的だったんですけど、法対象になっているんですけど、法施行時に稼働していた施設では使っていた薬品だけの元素を、有害な元素を対象にしていまして、過去にあった施設の有害物質についてはこれは法対象にならないんだという解釈を神戸市、環境省がしておりまして、それは何かの間違いじゃないかと思ったんですけど、あくまで自主的調査だと。非常に法律自身を狭く運用していると。
 いわゆるこういう土壌汚染というのは、一回汚染されますと十年、二十年、三十年、数十年間は蓄積します。そういう意味で、過去の汚染も考慮して調査、対策しないと意味がないと思うんですけど、非常に法律の運用が狭くなっている問題があると思っております。

 それから、ここには書いていませんけど、武田薬品の神奈川の湘南工場の最近例知ったんですけど、これは工場の廃止は最近なんですけど、施設が法施行前に廃止されていた、だから法対象にならないと。神奈川県の条例でやっと対象になったという事例がございます。
 あと、四日市の例のフェロシルト事件とか産廃処分場の問題とか、あと岐阜とかです。僕自身は、ずっとイタイイタイ病を起こした三井金属の神岡鉱山の排水・土壌汚染対策を四十年近くやっておりますけど、ここは一応今成功しましたけど、工場の下に汚染土壌が残っていまして、約九十トンぐらいカドミウムが残っているんですけど、完全に地下水くむまでに処理するには百年掛かると言われています。

 そういう意味で、汚染土壌を残しますと非常に半永久的に処理コストが掛かるということです。結果的には取ってしまった方が安く上がる。これは産廃処分場でも一緒なんですけど、豊島とか青森、岩手のように全量撤去した方が後々ランニングコストというか排水処理とかいろんなリスク管理の費用が結果的には安く上がると思っております。

 それから、皆さん御存じの築地市場の問題です。この問題につきまして、一応最近かかわっておりまして、もう御存じなので飛ばしますけど、これは面積的には日本最大の土壌汚染地になりますということで、一千億じゃなくて六百数十億円対策費が掛かる。
 それも、二メートル土取って、汚染土壌は下に残ります。汚染地下水は半永久的にくみ上げて処理する、このコストがまた掛かります。そういう対策を東京都がやろうとしています。

 今回の法律の件ですけど、僕は基本的にはやっぱりリスクゼロ型の掘削除去の土壌浄化対策の方がいいと思っていますし、盛土、封じ込め等は、こういう安易な対策は問題があると思っています。特に今回の法律はそういう点を、何か掘削除去を排して安易な対策、安上がりな対策を推進、推奨しようとしているということで問題があると思っています。

 そういう意味で、東京都の条例とか滋賀県の条例のいわゆる一定規模以上の土地の改変、これは今回の法律には適用されているんですけど、問題はあとは、東京都、あと神奈川県横浜市、川崎市、大阪府等が採用しているんですけど、過去に有害物質を取り扱っていた工場、事業場については条例の対象にするということはやっぱり法律についてもやっていく必要があるんじゃないかと思っています。
 それと、滋賀県の条例は、今回、環境省の委員会では全く取り上げられなかったんです。私は滋賀県に今住んでいるんですけど、一応、二〇〇七年に滋賀県の公害防止条例、一部を改正しまして、地下水汚染の未然防止、それから地下水汚染の早期発見と改善、法施行前に廃止された跡地を土壌調査の対象とするというこういう条例を定めて、もう施行しております。
 こういうことをやっぱり全国の法律でもやってほしいなということです。やはり条例、要綱の方が進んでいると思いますし、進んだ条例、要綱を参考とした根本的な法改正をやっていただきたいと思っております。

 終わりの部分はもう繰り返しになるんですけど、特に強調しますと、やはり法施行前、実際に僕が土壌汚染の問題にかかわっていると、ほとんどは法施行前の工場、事業場の跡地なんです。それも製造業だけじゃなくて、もちろんガソリンスタンドとかそういうサービス業なんかもあります。
 そういう法施行前に有害物質を扱っていた工場跡地とか廃棄物処分場の跡地を法対象にする必要があるんじゃないかと思っております。これは日弁連の意見書でも提案されていますし、地方自治体、神奈川県とか先ほどの滋賀県とか東京都とか、条例ではそういうことを定めているところもあります。

 それから、やっぱり土壌汚染の未然防止です。こういうことも今回全く入っていませんが、やはり長期的にはこれをやっておかないと、いったん汚染された土は、先ほど大野さん言われましたように、一〇〇%きれいにすることは技術的にはできません、多分幾らお金を掛けても。
 そういう意味で、やっぱり汚染しないということが一番大事ですので、未然防止をやっていく必要がある。そのために、やっぱり操業中の工場、事業場についても滋賀県のように井戸を掘って調べる、常時監視するとかそういうことが大事ではないかと思っております。
 そういう意味で、確かに今回の法改正は法対象を一定拡大するプラス面あるんですけれども、マイナス面もありまして、特に掘削除去を排するということは問題があるんじゃないかと思っています。

 それと、築地市場の移転問題に関連しまして民主党が修正案を出しまして、衆議院で修正案が通ったようですけれども、いわゆる土壌汚染対策法施行以前の廃止工場、事業場であっても、公園、学校、市場等の、これは築地市場を完全に意識しているんですけれども、そういう公共施設等に利用する場合は法対象とするということが通ったことはそれなりに画期的だと思うんですけれども、私としてはやっぱりすべての施行前の有害物質を扱っていた廃止工場、事業場も法対象にすべきではないかと思っています。

 そういう意味で、東京都環境条例とか滋賀県の条例とか、あと川崎市、横浜市、大阪府等の進んだ条例、要綱を参考にした抜本的な法改正を今後やっていただきたいと思っております。

 あと、新聞記事を幾つか、朝日新聞とか、それから公明党さんの聖教新聞も頼まれまして、最近、三月に。これ百万か所ぐらい汚染用地がある、築地市場のことも書いてくれよということで少し写真とちょっとコメントが入っております。
 それと、社民党の社会新報とか、赤旗とか東京新聞とか、あと毎日新聞とか朝日新聞等にも書いておりますし、あと、最後にちょっとありますように、中国の土壌汚染問題、最近中国は恐らく空気も水も土も食べ物も汚染されていまして、非常に問題がありまして、最近中国の土壌汚染のこともやっておりますので、また参考にしていただければと思っております。

○参考人(畑明郎君) 
 まず、附則三条につきましては、これはもう築地市場の移転問題で衆議院の川内議員なんかと私一緒にやっているんですけど、やはり法施行前の廃止工場、事業場をその法対象にしないという附則三条は取っ払うべきだと私は思っております。

 それから、二番目の一定規模の問題ですけど、これはこれでそれなりに評価できるんですけど、ただ、規模だけでやっていいのかという問題があると思います。例えば、水質汚濁防止法の排水基準の適用の仕方なんですけど、有害物質を扱っている場合は排水量に関係ありません。
 普通は排水量一日五十トン以上という場合に排水基準を掛けるんですけど、僕は以前京都市の公害の局におりましたけど、そのときには、有害物質を扱っている、それが出る、排水に出るところは排水量に関係なしに排水基準の規制を掛けております。
 そういう意味で、やっぱり有害物質を扱っている工場、事業場については、規模についてはむしろ取っ払うべきだと私は思っております。

 それから、民主党案の今回の、公共施設等に転用する場合に調査を義務付ける、これはこれでそれなりの意義は、築地市場の移転問題を法対象にするという意味で意義はあると思うんですけど、ただ、これだけではまだ問題があると思っています。

 やはりさっき、何度も言うんですけど、過去に有害物質を扱っていた工場、事業場は基本的には汚染している可能性が強いですので、僕もいろいろ、大阪のUSJも住金の跡地なんですけど、あの場合なんかはほとんど工場の敷地内に産廃を埋めていたんです、それも大量に七十万トンという。それが今ジュラシック・パークという恐竜のパークになっているんですけど。

 それで、過去に工場、事業場が工場敷地内に産廃を埋めたりとか、それから別に故意でなくても非意図的に液が漏れてしまった、それで床から、それから排水、例えばあとは排水溝です。必ず排水パイプというのは、時間がたちますと穴が空きます。だから、穴が空いて、そこから廃液が漏れてしまって汚染してしまう。
 これは大学なんかでもそういう例はありますし、先ほどのカネボウの中央研究所なんかはほとんどその下水管の途中で液が漏れてしまって土壌汚染してしまったという例がありますので、そういう意味で、やっぱりその有害物質を扱っていた工場、事業場については汚染の危険が強いということで調査を義務付けるべきだと思っております。

○参考人(畑明郎君)
 
 掘削除去の問題ですけど、いわゆる環境基準の設定の根拠なんですけど、よく行政とか企業は直ちに影響はないとかいう言い方するんですけど、元々環境基準等はどういう形で設定されたかといいますと、やはりイタイイタイ病とか水俣病のように非常に低濃度の有害物質を長期間暴露することによって被害が起こるわけです。そういう意味で、じわじわと来るものですから、目に見えてすぐ人が倒れるとかそういう急性中毒ではないんです。
 そこを逆手に取って、影響はすぐないとか、出ていないとか、直ちに健康に影響はないという形ですぐ行政は逃げる場合が多いんですけど、やはり長期的な影響を考える必要があるということで、土壌の汚染とか地下水の汚染を残すということはやっぱり将来いろいろな問題が起こる可能性があるということで、掘削除去の方がいいと思いますし、それから費用対効果ですけど、これは時間スケールを考慮しないと駄目だと思うんですね。

 例えば岩手県の例ですけど、旧松尾鉱山という硫黄鉱山があるんですけど、これ岩手県の方は御存じなんですけど、日本で一番大きい鉱山がありまして、いまだに酸性の水が出てくるんです。北上川を汚染するということで、非常にでっかい排水処理設備が造られています。これ半永久的に稼働しています。それを国とか岩手県は税金でやっているわけです。
 そういうコストは莫大なコストになります。そういう意味で、青森・岩手県境の不法投棄のときに、当時の増田知事が、やはり長期的に見ると全量撤去した方が安上がりであると、この松尾鉱山の例を考慮して岩手県はそういう判断を取ったと聞いております。

 そういう意味で、本当に、当面はそれは掘削除去はコストは掛かりますけど、長期的に見ると、そういう維持管理コストを考えるとそんなに高いものではないという場合もあるということです。

 それから、覆土の問題ですけど、これは用途を非常に限定されます。例えば、通常、ビルなんかを建てる場合は基礎工事をやるわけです、くいを打ったりとかですね。下をかき混ぜますから、そういう工事をしたら、下に汚染土壌が残っているとその汚染土壌の対策も要りますし、五十センチぐらい覆土しても、これは豊洲の例ですけど、あそこは地下水位がほとんどゼロメートルのときがあるんですけど、土を多少上へ入れても、地下水が上昇してきて雨水と地下水が混ざり合ってまたその入れたきれいな土が再汚染される危険性が高いんです。

 OAPでもこれは実際に起こったんですけれども、五年ぐらいでもう起こっちゃったんです。ということで、その五十センチぐらいの覆土では将来的には安全な対策にならないし、地下は触れなくなると、地下の倉庫とか地下の構造物を造れなくなる、造りにくくなるという問題はあります。
 OAPにつきましてはどうするかといいますと、五十年後建て替えるときにやりますということで三菱は説明している。当面は、二メートル土入れ替えて、地下水はくみ上げて今延々と処理しているんです、コストを掛けて。取りあえずそういう、これは暫定的な対策だと私は思っております。恒久対策はやはりきれいにするということが大事じゃないかと思います。

○参考人(畑明郎君)
 
 今、大塚先生言われましたように、これは廃棄物の問題と一緒でして、廃棄物処理法上いろんなマニフェストとかやっておりますけど、やはり不法投棄はなくなっておりませんし、僕自身も滋賀県の栗東とか四日市の日本最大の不法投棄の大矢知の問題にもかかわっているんですけど、これ同じことが起こり得ると思います。法律で幾ら汚染土壌のマニフェストを定めてフォローしたとしても、やはり限界はあると思います。
 そういう意味で、やはりもう少し排出者責任をどう担保していくかという、これは廃棄物も一緒ですけど、取っていく必要あると思います。

 これは残土についても一緒でして、残土も結構怪しいものがありまして、僕は汚染土壌も残土も廃棄物扱いというか、廃棄物処理法の対象にすべきだと思います。そういう意味で、もちろん廃棄物処理法ももっと強化しないと駄目なんですけど、強化した上で汚染土壌と残土等を管理していく。

 最近でも残土に関連して、石原産業のフェロシルト事件というのがありましたけど、こういうことはついこの間も起こったばかりですよね。あれ、フェロシルトの回収に五百億円掛かるんですよ、これ石原産業が負担して、三年間赤字決算なんです。やっぱりいったんそういう不法投棄しますと非常にコストが掛かるという問題はありますので、この辺は、せっかく法律作ったんですから、きちっとそれは運用というか施行していってほしいなと思っております。

○参考人(畑明郎君)
 
 これは日経新聞等でも拝見しましたけど、この環境債務ということをこういう企業の会計の中に入れていくことについては大賛成ですし、ストック型汚染と僕らは言っているんですけど、土壌汚染と産業廃棄物の問題というのがやっぱり現在はかなり先送りされていると。
 言わば臭いものにふたをしてわざと調査しないとか、調査してもできるだけ安価な対策で終わらせて、将来世代にやっぱり負の遺産を送っているところがあると思いますので、やっぱり早めにそういう資産計上していくことはいいことだと思っていますし、非常に面白いのは、上場企業で一番環境債務たくさん計上しているのはOAP事件を起こした三菱マテリアルです。

 それと、僕はイタイイタイ病のことをずっとやっているんですけど、結局、イタイイタイ病の場合、公害を出せば結果的に高く付いた例なんですけど、ほぼ掛かった費用が六百億円以上掛かっております。もちろん、死んだ人は、補償を出していますけど、帰ってこないということで、そういう絶対的な損失があるんですけど、経済的な損失という意味で六百億円以上掛かっています。やっとその汚染された農地の復元が来年ぐらいに終わります。

 結局ほぼ四十年ぐらい掛かって、最近、三井金属の神岡の社長は朝日新聞に「私の視点」で書いていましたけど、結局四十年掛かって解決したと。そして、住民と企業が信頼関係ができたということで、結局、百億円の公害防止投資を事件が起こる前にやっておけば六百億円の被害は起こらなかったわけです。
 結局、公害を出せば、後で非常に社会的コストも企業も負担が重くなるということで、やはり事前にそういう環境債務を計上して対処していくことが今後大事になるんじゃないかと思っております。


○市田忠義君
 日本共産党の市田です。
 畑参考人にお聞きいたします。
 陳述の中でもお述べになりましたが、畑参考人は、リスクゼロ型の掘削除去等の土壌浄化対策、これを排して盛土や封じ込めなどの安易な対策の推奨に今度の法改正がなりかねないと、そう指摘をされています。

 私も、今回の改正案で掘削除去の偏重ということが強調されて、現行の指定区域を要措置区域と要届出区域に分類をして、知事が技術的基準に基づいて指示する制度を新たに盛り込んでいると、これが掘削除去の抑制につながるのではないかという懸念をしております。

 私事ですが、私は築地に四年前に住んでいまして、今、豊洲に住むという皮肉な、豊洲への移転には私は反対でありますけれども。
 畑参考人は、東京ガスの豊洲工場跡地問題あるいは大阪アメニティパークなど多くの土壌・地下水汚染事例にかかわってこられたわけですが、先ほどもお述べになりましたけれども、このリスクゼロ型の掘削除去を抑制して覆土や封じ込めなどのリスク管理型を普及するということについて改めてもう少し詳しくお伺いしたいのと、若干他の参考人の方からも出されたことなんですが、掘削除去というのはかえって汚染地域が広がって汚染の拡大につながるのではないかという考え方についてどうお考えかと。
 コスト問題はよく分かりました。中長期的に見れば、中途半端な処理はかえってお金が掛かるというのはよく分かりましたが、今の点について御意見をお伺いしたいと思います。

○参考人(畑明郎君)
 
 確かに、今回の形質変更届管理区域、それから要措置区域ということで、従来の指定区域を二種類に分けて、結局対策を緩める。そして、掘削除去をできるだけやらさないという方向になるおそれは十分あると思っております。

 それで、リスク管理という、これは言葉はいいんですけれども、元々この環境リスク論というのはどこから来たかといいますと、アメリカから来たものでして、これBSE問題が一番典型なんですけれども、いわゆる全頭検査なんか要らない、百万人に一人しかBSEにならないんだ、全頭検査のコストは無駄だと。
 要は、アメリカの場合はリスクとベネフィットを比較してベネフィットの方が大きければリスクはある程度我慢すると。みんな飛行機とか自動車は交通事故の可能性があるけれども乗るでしょう、ベネフィットがあるから乗るでしょう、環境も一緒ですという形で、こういうことを中西準子なんかは言っているんですけれども、経産省もそういうスタンスなんですけれども、これは僕は全く間違っていると思います。

 基本的には、僕はやっぱりEUが取っている予防原則、これは朝日新聞の知恵蔵に環境リスク論とEUの予防原則を比較して書いたことがあるんですけれども、やはり、今EUが進めているRoHS規制とかREACH規制という化学物質の規制は、言わばカドミウムとか水銀とか危ないものはもう製品に入れていかない、工業製品に入らなければできた廃棄物、廃製品も危ないものが入っていないということです。
 鉛とか先ほどのカドミウム、水銀など、基本的には六物質に対してはもうやれている。日本のメーカーもEUに輸出はそれができている。自動車とか電気製品を輸出していますから、対応できるんです。

 更にもっと、三万種類というすべての工業製品、化学物質に対して規制を掛けようとすると、従来は医薬品と同じように、医薬品だけが安全を証明しなければ販売できなかったんですけれども、すべての工業製品についてメーカーが安全を証明する義務を持たせるという、そういうREACH規制は今もうヨーロッパで始まっています。順次強化されていきますけれども。そういう動きがあります。

 それから、やっぱりリスク管理というのは問題ありますし、本当にリスク管理できないんですよね。土壌は確かに人が動かさなければ動かないんですけれども、地下水は勝手に動きますから、これはどこへ行くか分からないということで、何か法案にもちょっとありましたように、海辺の埋立地はいいんだと、汚染されていても。これはもう論外でして、やっぱり廃棄物処分場は山の中に造るか海に埋めているかどっちかなんですけれども、山の場合はもちろん排水は河川の上流に入ってきますし、海の場合もやはり、大阪湾のフェニックスとかありますけれども、東京湾の埋め立てていますけれども、やはり海の汚染を起こします。
 完全にその汚染水を海に流さないことはできません。今、遮水していますけれども、あれは堤防だけ遮水していまして底は抜けていますので、必ず汚染が海に広がります。それで魚の汚染も起こりますし、そういう意味で問題があるということです。

 それと、確かに掘削除去した土地をどう処理するかというのはもちろん問題なんですけれども、僕のかかわった京都府の日本最大のクレー射撃場、これは麻生首相が好きらしいんですけれども、要するに鉛の散弾、これを撃つんですよ。それで皿を割るらしいんですけれども。当然鉛の散弾がそこへ散らばって、クレー射撃場の中が鉛で土が全部汚染されちゃったんです。
 その土、今京都府立の施設なんですけれども、京都府は十億円以上掛けて全部、秋田県の小坂にあるんですけれども、土壌処理施設で土をきれいにしてまた戻す、そういうことをちゃんとやっているんです。

 そういう意味で、それは搬出土壌の処理の仕方、適正な処理をやっぱりどう担保するかという問題でして、これは産廃と一緒でして、ただ今の現状からいくともちろん産廃と同じように汚染土壌がどこへ行っているか分からぬという問題は起こり得ると思いますので、それは十分注意しながらやっていくしかないと思っております。ただ、技術的にはできると思います。


○参考人(畑明郎君)
 
 だから、今回のもちろん一定規模以上の、多分三千平米ぐらいになると聞いておりますけれども、それはもちろん改善、今の法律の、ざる法のざるを少し目を埋める、目を小さくするということにはなると思いますけれども、完全にざるは目が埋まった状態ではないと思っております。

 やはり法施行前の有害物質を扱っていた工場、事業場、これは水質汚濁防止法の特定施設以外にもいっぱい出ていますので、やっぱり有害物質を例えば運搬とか保管したところでも汚染は起こっていますので、それから交通機関とかそういうところなんかでも起こっていますので、やっぱり過去のこれは負の遺産だと。製造業の当初負の遺産という言葉が言われたんですけれども、土壌汚染は。過去の負の遺産をいつかの時点で一掃するためには、きちっとまずはやっぱり調査をすべきであると。

 もちろん一〇〇%の工場が全部汚染されているとは僕は言いませんし、多分半分ぐらいだろうという土環センターの推定なんかもありますけれども、やっぱりやってみないと分かりませんから、調査はまずちゃんとすべきである。
 これはカドミウム汚染米と一緒でして、ついちょっと前、一九九八年ぐらいに、五十ヘクタール単位にワンポイントでじゅうたん的に米を全部調査したら、またいっぱい準汚染米が出てきたという問題がありました。そういう意味で、やっぱり危ない可能性のある工場、事業場については調査を法的に義務付けてしていくべきであると。
 あと、対策はどうするかというのは、やっぱりケース・バイ・ケースになると思いますけれども。

○参考人(畑明郎君)
 
 私は元々の出身が京大の工学部の金属でして、それでずっと金属にこだわってやっているんですけど、金属というのは、確かに人間生活とかいろんな経済に役立っているんですけど、プラス面とマイナス面があって、金なんかは全く毒性がないんですけど、金以外の金属はほとんど何らかの毒性はあります。鉄なんかもたくさん取ったらやっぱり問題なんですけど。

 確かに、それで必須金属で見ましても、多過ぎても少な過ぎても駄目なんですね。これは、生物は人間も含めて海から生まれた関係で海の中のやっぱり金属の濃度というのが影響しているんですけど、そういう意味で、例えばカドミウムとか水銀とか鉛とかは元々生物とか人間が利用しなかったんです。カルシウムとか鉄とか銅とか、こういうものは生物が利用したのでこれは必須金属になっているんですけど、全く利用しない不要な金属というのがあるんです。

 そういうものの典型的なものが水銀であり、カドミウムであり、鉛とか六価クロムとか、そういう非常に有害な重金属なんです。そういうものはやっぱり基本的に、水銀は水俣病を起こしましたし、カドミウムはイタイイタイ病を起こしたと。鉛はもう古来からある毒物なんですけどね。これはもうギリシャ・ローマ時代からいろいろ毒ありますし、砒素なんかもそうですけど。

 そういう明らかに人体に有害と分かっている金属についてはできるだけ使っていかないようにしようと、特に工業製品に使っていかないと。例えば、水銀なんかかて、昔はいろいろ、おしろいとかそれから不老長寿の薬とか、多分早く死んだと思うんですけど、そういうものに使われていたぐらいなんですけど。
 それらは、明らかにやっぱり有害なものはできるだけ減らしていこうという意味で、僕の書いた本にはいろいろ書いてあるんですけど、やっぱりEUは、ヨーロッパが進めているこういう、元々これは北欧とかスウェーデンの方から始まったんですけど、有害な金属をやっぱり規制していく、工業製品には使っていかないと。そうすると、やっぱり安全な工業製品なので、後、環境汚染も少ないし、廃棄物についても処理、リサイクルしやすくなる。根本的にはそれやらないと。

 それで、金属というのは基本的にはなくならない、地球上からなくならないんです。量は常に一定なんです。全部地下資源にあった分ですから、鉄はさびて酸化鉄になりますけど、鉄そのものの量は、地球上の存在量は変わらないです。隕鉄が降ってきて、その分は鉄が増えたかも分からないですけど。そういう意味で、絶対、金属はどこに行っても形変えるだけで、なくならないんですよ。

 だから、有害な金属というのは、一回使うとどこかに行っちゃうんです。例えば、水銀でも今、石炭火力発電、石炭の中、少し水銀入っているんですけど、豊洲も石炭からガス造っていましたので水銀汚染あるんですけどね。そういうのは、火力発電は飛んでいるんですよ。アメリカなんかでは一番多いんですよ。中国からも今、水銀が飛んでいるという話もありますし。

 そういう意味で、やっぱり危ないものが入っているものはできるだけ削減しよう、減らしていこうと。一遍にゼロにはできませんから。そういう動きというのはヨーロッパを中心に今始まっていますので、やっぱり日本も余りアメリカに追従するんじゃなくて、さっきのリスク論ですね、リスクとベネフィットを比較して、少々のリスクは我慢しろというんじゃなくて、やっぱり予防原則というか、安全なものにしていく、すべての消費するものとか物を、物資をですね。これは食べ物も含めてだと思いますけどね。

 例えば農薬なんかも、結構昔は米にも水銀の農薬とか、それから今でも果樹、リンゴとかああいうものは砒素、鉛系の農薬なんかも使われていましたし、シロアリの駆除剤はあの和歌山のカレー事件で砒素が、亜砒酸が使われていましたし、そういうのがまだ使われているんですよね。そういうものをやっぱりどんどん減らしていくか代替のものに替えていく。

 例えばカドミウムについては、昔はニッカド電池、まあ今も使われているんですけど、カドミウムはやっぱり問題があるということでだんだんリチウムイオン電池に切り替わっていっていますし、そういう代替のものがあるものについては替えていく。

 ただ、自動車の鉛バッテリーは今代替はないんですよね。だから、リチウムイオン電池で自動車搭載型というのはまだ十分実用化されていませんので、そうなれば鉛バッテリーも使わなくて済むというようなことになると思います。
 以上です。

○参考人(畑明郎君)
 
 一番いい例はイタイイタイ病だと思うんですけど、先ほども少し紹介しましたけど。
 僕は、だから、三井金属については評価しているんですけど。結局、カドミウムの排出量をほぼ四十年間で十分の一以下にしまして、神通川のカドミウムの水質は鉱山の上流も下流もほぼ一緒になったと。
 もちろん、ゼロエミッション、ゼロ排出にはならないですね。ゼロにはできないんですけど、少しは出るんですけど。それで、ほぼ無視できるぐらいの濃度になって、自然界レベルになって神通川は清流に戻って、下流の農地も復元田ということで、千ヘクタールぐらい復元して、数百億円の費用が掛かったんですけど、来年終わると。また汚染物質流したらまた再汚染されますから、これも一種の未然防止だと思うんですけど。

 それで、三井金属つぶれたかといいますと、決してつぶれていませんね。今、三井金属は先ほど言いました鉛の、自動車のバッテリーの日本最大のリサイクル工場になっているんです、神岡鉱山が。今、神岡鉱山は、鉱石は掘っていませんけど、自動車のバッテリーを回収して、それをまた鉛にして、自動車のバッテリーは非常にシンプルな製品でして、プラスチックの箱に鉛の電極が入っているだけです。
 あと硫酸が入っていまして、まあ硫酸は処理したらいいので、プラスチックと鉛はまた再利用できるんです。あとそれ以外にも三井金属は、皆さん持っている携帯電話の中の銅の薄い箔というんですけれども、回路に使うんですけれども、これの世界トップシェアなんですよ。最近ちょっと何か経営苦しいようですけれども、それでも倒産はしていないし、神岡鉱山も操業を続けながらちゃんとそれなりの利益を出して、経済と環境の両立というのができたわけですね。
 それで、この前、朝日新聞にも神岡の、まあ三井の取締役ですけれども、神岡の社長は「私の視点」に、今四十年たって成功したと、対策は。

 これは、参議院の議員やられた近藤忠孝イタイイタイ病の弁護団長がNHKの「その時歴史が動いた」にも出ておられましたけれども、弁護団も被害者も企業を評価しているんですね、今。一応企業、経済活動と、上流の神岡鉱山は操業を続けています、工場。鉛、亜鉛造っているんですけれども。しかし、それで下流の農業も両立するということで、やっぱり経済と環境の両立はやればできるんだと。

 アジアの問題ですけれども、一応このアジアの土壌汚染で私、最近、韓国とか台湾とか中国の調査やっているんですけれども、特に中国は皆さん御存じのようにひどい状況でして、僕は主に南の方の広東省とか湖南省の鉱山を見に行ったんですけれども、ほとんど排水は垂れ流し状態です。
 もう鉄分を、真っ赤な水がそのまま垂れ流されて、谷間は全部泥の海になっていると。下流にがんの村が幾つかできていると。がんの原因もよく分からないんですよね、砒素なのか。多分、砒素でがんになっていると僕は思うんですけれども。あと、カドミウムによってイタイイタイ病みたいな患者も出ていまして。

 そこの省の研究所の人がいろいろ調べていまして、その人に調査、案内してもらって、うちの中国の留学生がガイドしてくれたんですけれどもね。それで、日本にも一応中国の研究者を呼びまして、それで日本の富山とかイタイイタイ病の視察もやってもらいまして、これはテレビとか毎日新聞なんかに紹介されたんですけれども。
 それで、復元の現場なんかも見せたんですけれども、それをそのまま中国に持っていくのは無理ですね。中国にそんなお金がないとか。やはり、日本の経験を生かしてほしいんですけれども、このままいくと中国は環境よりも経済成長優先でいっていますから、何か行くところまで行かないと反省しないのかなという気はあります。

 だから、日本としては、やっぱりできるだけ日本の経験を知らせて、こういう解決の仕方をしたんだということでそれを紹介して、それを中国側がどうやって自分でやっていくかという、そのときに技術援助とか経済援助できることはやっぱり日本がやっていくべきだと思っております。
 以上です。
○荒井広幸君 ありがとうございました。
○川田龍平君 川田龍平です。
 土壌汚染対策法を始め環境関係法は市町村の役割が重要だと考えていますが、現実に地域で土壌汚染の問題が生じた場合に市区町村が住民への汚染状況の説明や緊急的な対応を行うことになると思いますが、環境省と都道府県、それから市区町村の相互に補完的な体制を整える必要があるかどうか、その点でこの法律が十分かどうかということ、あるいは課題があると考えているかどうかを参考人にお聞きしたいと思います。各参考人、お願いします。

○参考人(畑明郎君)
 
 難しい問題なんですけれども、一応二つの事例で紹介したいと思いますけれども。
 一つは、滋賀県の栗東の産廃問題ですけれども。栗東市は住民も含めて、僕はほとんど行政からは委員に呼ばれないんですけれども、珍しく栗東市の調査委員には住民推薦で入っていまして、それで栗東市としていろんな対策案の意見を出しているんですけれども。
 それに対して滋賀県は、今、嘉田知事なんですけれども、嘉田知事は有名なんですけれども、新幹線の駅は止めたんですけれども、それからダムもある程度止めようとしているんですけれども、この産廃問題についてはからっきし駄目でして、今、栗東市とか周辺の住民の反発を食らっていまして、要は住民はやっぱり全量撤去を要求しているんですよね。確かに僕らも全量撤去が一番望ましいんですけれども、コスト的に二百数十億掛かるので無理なので。

 ただ、県が考えている案は、要するに遮水壁で、ソイルセメントの遮水壁で囲って水をくみ上げて処理して産廃を残そうという、そういう案で四十五億円なんですけれどもね。僕らはそれよりも安い方法で効果的な対策ができますということで、底の粘土層が破壊されているんですけれども、その粘土層の修復と、明らかにドラム缶が三千本以上入っているのが分かっているので、そういう明らかに有害なものはやっぱり全部掘削して掘り起こす。
 そういう対策は二十億円ぐらいで済むんですよね。そういう提案を栗東市として、その委員会として提案しているんですけれども、県の方はそれをつぶしに来ていまして、県の対策案を強引にやろうとしたんですけれども、結局は、周辺の住民の同意が得られない、自治会の同意は得られないし、七つの自治会のうち一つしか同意が得られなかったし、議会でも、多分これは自民党と共産党が反対してちょっと通らない可能性が強いので、結局、県案についてはちょっと棚上げになっているんですけれども。
 そのときに環境省が果たした役割は非常に悪い役割をやっていまして、要は、環境省がどうも全量撤去をやるなと、現地封じ込めやれと。これは土壌汚染対策法と同じスタンスでして、土壌汚染対策法も掘削除去をやめろと、できるだけ現地封じ込めとか土かぶせて終わりにしろと、それと同じことがやられていますね。

 これは、四日市の日本最大の不法投棄、百六十万、百七十万立方メートルが不法で、全部足すと三百万立方メートル、巨大なごみの山ができているんですけれども。そのときも、当初、県は不法投棄の部分については全量撤去をしますという案を出したんですけれども、それに対して環境省は、聞くところによると、環境省が圧力を掛けて、結局むちゃくちゃひどい対策なんですけれども、土かぶせて雨水だけ処理する、それで終わりにしようという。

 岐阜の、あと椿洞の産廃の不法投棄事件でも、これは市長が当初、全量撤去をやりますということの方針を打ち出していたんですけれども、環境省がいろいろ圧力を掛けて一部撤去で百億円という形で決着ということで、そういう意味でやっぱり今、県とか環境省が市町村に対して果たしている役割というのは決して余り好ましくないという状況だと思っております。

○川田龍平君
 ありがとうございます。
 岡山市の小鳥が丘団地では、平成十六年に岡山市の水道局による水道管入替えの工事のときに土壌汚染が発見されて、これまで揮発性の有機化合物であるトリクロロエチレンが最大で環境基準の二十七倍、ベンゼンが二十六倍検出されるほどの状況にあると。
 このため、窓を閉めていても異臭によって眠れない人であったりとか、頭痛や鼻炎などに悩まされる人であったり、中には住宅ローンが残っているにもかかわらず引っ越しを余儀なくされた人もいると聞いているんですが。

 この土壌からの揮発経由による摂取、また住宅地における土壌汚染の場合というのがどうなのかという、長期的に濃度が高くない水準の暴露環境の中での暮らし、健康被害を受ける場合も考えられますが、こうした低濃度の長期暴露による健康被害について、参考人の意見を、答えられる方に答えていただきたいと思うんですが。

○参考人(畑明郎君)
 
 これは私の資料にも書いていますように、私も三回ほど現地に行きまして、住民にも頼まれまして、それで今裁判にもなっております。
 それで、この団地ってちっちゃい四十戸足らずの団地なんですけれども、団地の入口というか、道に入ると、川田議員も行かれたんですかね、もうぷうんと変な油臭いにおいがするんですよ。それで、二十四時間それを吸っていまして、多分外出した方が気分がいい、家にいると気分が悪くなると。実際に何かいろいろ発疹とかできものができたりとか。
 台所の下に物入れがあるんですけれども、その床がコンクリートを張っていないところが何か噴火口みたいになっていまして、ガスが噴き出してきているんですね、メタンガスとかいろんなガスが。それから、庭の土がぶわぶわになっているんです。非常に軟らかくなっているんです。下から噴き出してきて、一部黒っぽい油そのものが出てきて、十センチ掘りますともう真っ黒けの油まみれの土なんですよ。これは元々何か廃油のリサイクル業者でして、そのかすをまた豊島に持っていったというんです。豊島の産廃業者と何かセットだったらしいんですけれども。

 そういうところで健康被害がある、実際に健康被害が起こって裁判を起こしているんですけれども、全く行政の方は、もう岡山市も県も取り合おうとしないと。基準もないと。土壌汚染の大気の基準はないんですよね。土壌の溶出量とか含有量しかない、地下水の基準しかありませんからね。そういう意味でやっぱり裁判に訴えられない、裁判やってもこれは勝てるかどうか分からないと。

 もう日常的にずっと、それで、外へ引っ越したいけれども、その家はもう銀行の担保価値ゼロなんですよ。全然お金も貸してくれない、売れない、その家ももういろいろマスコミに出ていますから。そういう悲惨な状況になっているところがあります。だから、実際に人が住んでいるところで日常的にVOC揮発していきますから、そういう大変なところの問題が起こったところがあるんですけれども、それに今の土壌汚染対策法は全く役に立たないという意味で、大気の基準なんかも設定要ると思います。

 ただ、さっきの豊洲の問題でも、これ、ベンゼン、シアン、水銀は蒸発するんですよね、常温でも。それの基準はないという、やっぱりそういう問題はあると思います。大気汚染防止法で少し大気の環境基準はあるものはあるんですけれどもね。土壌汚染についてはないということで、問題あると思っています。
 以上です。
○川田龍平君 ありがとうございます。
 それから、今、汚染原因者の分社化を内容とする、水俣病についてなんですけれども、分社化を内容とするこの与党法案というのは今国会に提出されているんですが、汚染者負担の原則が今度薄くなる傾向にあるという印象を持っていますが、この土壌汚染法とこの汚染者負担の原則についての参考人の御意見を伺いたいと思います。これも答えられる方で結構です。


○参考人(畑明郎君)
 
 だから、この汚染者負担原則ですね、基本的には従来の公害法はそれで貫かれているんですけれども、特に土壌汚染については、農用地の土壌汚染防止法はイタイイタイ病を契機として制定されたんですけど、これは基本的には汚染原因者負担です。だから、神岡鉱山、三井金属が土壌復元費用を、これは国の法律があって少し減額されていますけど、基本的には企業負担、人体被害の補償に農業被害の補償すべて、だから五百億円近い金額を企業は支払っているんです。
 それが水俣病の場合、僕はチッソは非常にけしからぬと思うんですけど、三井金属はやっぱり、財閥系企業とそうでない企業の違いか、世間体があるのか知らないですけど、やっぱりきちっと三井金属は、三井財閥の一員だったし、対応を取って原因者負担を貫いているし。

 この土壌汚染対策法が元々できたときに、やっぱりその汚染者負担原則は全く貫かれない、土地所有者責任主義と言われていましたけどね。それで、汚染原因者がオーケーしたら所有者が請求できますよと言っていますけど、普通はオーケーしないです。汚染原因者イコール土地所有者だったら問題ないんですけど、汚染原因者は必ず逃げますから。
 それをまた証明しようとするとやっぱり裁判しかないとか、そういういっぱい、カネボウでもこれ裁判起こっているんですよ、企業同士が裁判やっているという。

 やっぱりそういう意味で、土壌汚染対策法はPPPは貫かれていないということで問題はあると思っています。

 本日はこれにて散会いたします。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/171/0065/17104140065005a.html  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 18:55Comments(0)改正土壌汚染対策法

2009年12月27日

平成21 年2月20 日大阪市底質対策等技術検討会

大阪市底質対策等技術検討会会議要旨


1 日 時 平成21 年2月20 日(金) 午後1時30 分〜午後2時50 分
2 場 所 環境局第11〜13 会議室(WTCコスモタワービル36 階)

3 出席者
(委 員)
大阪大学名誉教授 村岡 浩爾
大阪人間科学大学人間科学部教授 福永 勲
摂南大学薬学部准教授 上野 仁
京都大学原子炉実験所准教授 藤川 陽子
(事務局)
大阪市環境局・港湾局・建設局
(オブザーバ)
大阪府都市整備部河川室、大阪府環境農林水産部環境管理室、
大阪府環境農林水産総合研究所、大阪市立環境科学研究所水環境担当

4 議 題
(1) 委員長の選出
(2) 報告案件
 ? 平成19 年度ダイオキシン類環境調査結果について
 ? 大阪港湾区域(木津川運河等)における底質浄化対策について
 ? 大阪市管理河川(道頓堀川等)における底質浄化対策について

5 議事要旨
(1) 委員長の選出について
 要綱の規定に基づき、委員の互選により村岡委員が委員長として選出された。また、村岡委員長の指名により、福永委員が委員長の職務代行を行うこととなった。

(2) 平成19 年度ダイオキシン類環境調査結果について
 事務局(環境局)から、大阪市域における平成15〜19 年度までの5年間の水質・底質に係るダイオキシン類濃度測定結果及び水質に係る代表的な汚濁指標であるBOD やCOD の汚濁状況について報告を行った。

(3) 大阪港湾区域(木津川運河等)における底質浄化対策について
 事務局(港湾局)から、平成18 年度から着手している大阪港湾区域(木津川運河等)における底質浄化対策に伴う環境対策の概要(浚渫場所周辺における事前・日常的な水質環境監視や処分地(夢洲)及びその周辺おける水質環境調査結果など)の報告を行うとともに、平成19 年度に着手した港区尻無川(水門上流)堤防工事における環境対策の概要(工事場所周辺における事前・日常的な水質環境監視や固化処理による封じ込め効果を確認するための水質調査の実施結果など)について報告を行った。

(4) 大阪市管理河川(道頓堀川等)における底質浄化対策について
 事務局(建設局)から、道頓堀川水辺整備事業のうち、湊町右岸工区における遊歩道の設置に係る工事概要、浚渫土の処理、工事中の環境監視結果などについて報告を行った。

【結果】
(2)〜(4)について、事務局からの報告内容について、各委員からご理解をいただいたが、底質ダイオキシン類溶出量の測定値の評価に関して、「底質ダイオキシン類に関する分析手法を含めた統一的な取り扱いの確立に向け、今後、府市等関係機関が連携すること」などが要望として出された。

6 会議資料:
(1)資料1 :平成19 年度ダイオキシン類環境調査結果について
(2)資料2 :大阪港湾区域(木津川運河等)における底質浄化対策及び港区尻無川(水門上流)堤防工事における環境対策について
(3)資料3 :大阪市管理河川(道頓堀川)における底質浄化対策について
(4)参考資料:大阪市底質対策等技術検討会開催要綱



7 問い合わせ先
大阪市環境局環境保全部土壌水質担当
Tel:06-6615-7984、FAX:06-6615-7949、E-mail:ja0040@city.osaka.lg.jp

大阪市底質対策等技術検討会会議録

発言者(事務局及びオブザーバ)
・環境局環境保全部長 西山健一郎
・環境局環境保全部土壌水質担当課長 大石 一裕
・環境局環境保全部土壌水質担当課長代理 前田 和男
・環境局環境保全部環境情報担当課長代理 黒木 隆司
・環境局環境保全部担当係長 宮本 敏之(司会者)
・港湾局計画整備部環境保全担当課長代理 有門 貴
・建設局下水道河川部河川担当課長代理 三村 経雄
・大阪市立環境科学研究所水環境担当研究主任 先山 孝則

議事内容:次のとおり

西山環境保全部長
 
 さて、大阪市では、これまで「大阪市底質対策技術検討会」におきまして、市内の河川並びに海域における底質汚染などに関しまして、その汚染要因や浄化対策につきまして検討するとともに、市域内における土壌汚染、また、地下水汚染に係ります調査・対策に関しましては、別途「大阪市土壌汚染対策専門委員会」を設置させていただき、学識者の先生方より検討をいただいたところでございます。

 今般、大阪市では、これらの2つの委員会をより総合的に運用いたしまして、大阪市域内の公共用水域に係ります有害な底質、また、市域内の土壌汚染・地下水汚染など、水環境分野と地盤環境の分野の対策を一体的に推進いたしますため、平成20 年7月に底質の委員会に土壌の委員会を整理・統合させていただいたところでございます。
 本日は、これまで「底質対策技術検討会」でご検討いただきました大阪港湾区域並びに本市の管理河川におけます底質浄化対策の進捗の状況、また、環境監視の結果などにつきまして、ご検討いただきたいと考えてございます。
 本市といたしましては、今後とも、良好な都市環境を確保するとともに、水環境、また、地盤環境をはじめ、各種の環境施策をより一層、推進していく所存でございますので、委員の先生方におかれましては、引き続き、お力添えを賜りますようお願い申しあげまして、簡単ではございますが、あいさつとさせていただきます。



 大阪市では、これまで「大阪市底質対策技術検討会」におきまして、底質汚染問題について、また、「大阪市土壌汚染対策専門委員会」では、土壌汚染や地下水汚染問題について、それぞれ検討を行ってまいりましたが、今後の環境施策を円滑に推進していくために、この2つの委員会を統合いたしまして、参考資料に示しますとおり、要綱改訂を行ってきたところです。
 本検討会の委員につきましては、村岡先生、福永先生には再任させていただきますとともに、新たに上野先生、藤川先生には委員にご就任いただき、検討を進めていくこととなりました。

村岡委員長
 委員の先生方から、ご賛同を得ましたので、この検討会の委員長を務めさせていただきます。
 この検討会は、先ほど西山部長からも、ご説明ありましたように、これまでの2つの委員会を統合した新たな委員会となっています。これまで扱ってきました内容は、底質汚染、土壌汚染、地下水汚染であります。これらの内容については、相互に関係する場合もあり、独立して考えなければならない場合もあります。
 この3つの汚染は、対策という面から扱っていく拠り所となる法律は3つとも別であります。ということで、これを行政サイドから扱われるにしても、環境局、港湾局、建設局と3つに分かれているわけです。

今回、統合的に検討するということになりまして、ある意味では、行政の縦割りを除いた総合的な検討ができる場であるということで、好ましい形になってきたのではないかと思います。
 委員の先生方にも、それぞれご専門があるわけですが、この際、ご自分の専門以外に関連することが多いでしょうから、そういったところから広く総合的にご議論いただくことが望ましいと思いますので、その点、ご協力の方よろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入りますが、本日の議題は、報告案件だけ3つあるようでございます。

 まず、第1の議案ですけれども、「平成19 年度 ダイオキシン類環境調査結果」についてでございます。

事務局(環境局前田課長代理)
 お手元の資料1に基づきまして、「平成19 年度ダイオキシン類調査結果」について、ご説明させていただきます。平成19 年度のダイオキシン類の水質・底質調査地点及び環境基準の適合状況を表しております。大阪市の地図上に、水質・底質のダイオキシン類の調査地点と環境基準の適合・不適合を示しております。各地点ごとに円がありますが、円の上半分が赤い場合は水質の環境基準不適合を、下半分が赤い場合は、底質の環境基準が不適合を、全体が赤い場合は、水質・底質両方とも環境基準不適合であることを表しております。
 平成19 年度、水質につきましては、古川の徳栄橋、神崎川の小松橋、東横堀川の本町橋の3箇所で環境基準不適合となっております。

事務局(環境局前田課長代理)
 また、底質につきましては、古川の徳栄橋、六軒家川の春日出橋、住吉川の住之江大橋下流1,100mの地点で環境基準不適合となっております。

 こちらの表−1でございますが、水質のダイオキシン類濃度の経年変化を示しております。経年変化としましては、平成15 年度から19年度までのデータで示しております。
 環境基準を超える又は高めのデータが出ている地点につきましては、調査回数を多く設定するというように、年度・地点により、調査回数が異なっております。複数回、測定を行う地点につきましては、データを範囲で示しております。

 青色の網掛けをしており、下線を引いておりますのは、環境基準値1pg-TEQ/L を超えたところです。道頓堀川の大黒橋、古川の徳栄橋、東横堀川の本町橋、寝屋川の今津橋、京橋、神崎川の小松橋において、環境基準不適合となる傾向にあります。

 資料の3枚目をご覧いただきたいのですが、こちらの方は、底質のダイオキシン類濃度の経年変化を示したものでございます。水質と同様に、平成15 年度から19 年度までのデータでお示ししております。
 水質と同様、網をかけて下線を引いておりますところが、環境基準値150pg-TEQ/g を超えたところであります。道頓堀川の大黒橋、古川の徳栄橋の他、木津川、神崎川の河口部において、環境基準が不適合となる傾向が続いております。

 ダイオキシン類の汚染要因でありますが、大阪府、大阪市で設置しております「河川及び港湾の底質浄化対策検討委員会」において検討されておりまして、大阪府及び大阪市の河川及び港湾におけるダイオキシン類の汚染は、主にPCB 製剤、並びに農薬、燃焼由来の要因が複合したものであり、個々の発生源の影響を特定することは困難であると結論づけられております。
 底質浄化対策についてですが、まず、本市管理河川についてご説明させていただきますと、道頓堀川、東横堀川につきましては、既存の測定結果におきまして、すでに底質ダイオキシン類の環境基準の超過が判明しておりますので、大阪市建設局が詳細調査を行い、ダイオキシン類による底質汚染を確認しております。底質浄化対策につきましては、平成19 年度に同局が両河川の一部の区間で浚渫による浄化対策を実施しております。

 港湾区域につきましては、同じく既存の測定結果におきまして、既に底質ダイオキシン類の環境基準の超過が判明しておりますので、大阪市港湾局が平成15 年度から17 年度にかけまして、正蓮寺川、尻無川、木津川、木津川運河等の大阪港湾区域の河川、港湾重複7区域におきまして、底質ダイオキシン類の汚染範囲等の調査を行っております。

事務局
(環境局前田課長代理)
 底質浄化対策につきましては、平成18 年度から、木津川運河の一部区域、大正内港の一部区域で、同局が浚渫による浄化対策に着手しているところでございます。

 さらに、大阪市以外の管理河川につきましては、神崎川、古川におきまして検討がなされているところでありますが、神崎川につきましては、大阪府におきまして、本川で平成18 年度以降、浚渫と覆砂による底質対策が行われているところでございます。

 また、神崎川上流の水路で高濃度の底質ダイオキシン類が検出されているということで、大阪府の方で汚染底質の除去及び底質除去後の環境モニタリングが実施されております。

 特に、古川につきましては、大阪府と大阪市が連携いたしまして、ダイオキシン類による底質汚染原因究明のための追跡調査を行い、上流に環境基準を超える底質があることが判明いたしました。その後、古川の河川管理者である大阪府の方で、詳細調査が行われ、上流域の水路に高濃度の底質があることが判明いたしました。そのため、大阪府では優先順位を上げて、古川の浄化対策に取り組むこととし、平成20 年度中にも、一部の区間で浚渫による浄化対策に着手されるものと聞いております。

最後に、水質の汚濁状況についてですが、資料3枚目のペーパーをめくっていただきまして、裏面をご覧ください。

 こちらは、平成19 年度の大阪市内の水質調査地点と河川のBOD 及び海域のCOD の汚濁状況を示しております。先ほどのダイオキシン類の調査結果と同様、大阪市の地図に水質の調査地点とBOD,COD の測定結果を示しています。
 円の横に数字がございますが、上段が年平均値、下段が環境基準の評価を行うための75%値であります。円の大きさが、地点により異なっておりますが、大きさは年平均値の数値に比例しておりまして、円内にメッシュがあるところは、環境基準を超過していることを示しています。

 平成19 年度の調査結果では、寝屋川の今津橋、古川の徳栄橋、平野川の安泰橋等寝屋川水系の6地点で環境基準を超過しております。
 最後の資料の4枚目でございますが、河川BOD 及び海域COD の環境基準の評価を行うための75%値につきまして、平成15 年度から19年度までの経年変化を示しております。表中の1から38 番までが河川域でありBOD の測定値を示しています。39 から50 番までが海域ということでCOD の測定値となっています。

 神崎川、大和川におきましても、環境基準の不適合はみられますけでれども、改善傾向にあることがうかがわれます。これに対しまして、寝屋川、平野川等の寝屋川水域の各地点では、引き続き、環境基準不適合の状況が続いていることがうかがわれます。

 寝屋川、平野川等の河川の水質につきましては、上流域の影響を受けやすいことから、流域の自治体や河川管理者等との連携した取組が重要であると考えまして、生活排水対策や底質対策等につきまして、大阪府や寝屋川流域の市等で構成いたします「寝屋川流域協議会」等の関係機関と連携を図っていく所存であります。
以上で、ご説明を終わらせていただきます。

村岡委員長
 ただいまのご説明に関しまして、何かご質問やご意見等はありますでしょうか?

福永委員
 全体の評価として、特に、この数字をどうみるかということですが、底質においては変動幅が大きく、サンプリングのばらつきが考えられるのですが、サンプルのばらつきの範囲内で、特に例年と異なるような異常な値は見られなかったと評価していいでしょうか?

事務局(環境局前田課長代理)
 先生のおっしゃるとおり、例年の変動の範囲内で収まっているものと考えております。地点によりましては、環境基準近傍のところもありますので、環境基準を超えたり、下回ったりということもございますが、概ね、例年の変動の範囲内で、データが推移しているものと考えております。

村岡委員長
他に、何かありますでしょうか?

藤川委員
 底質ダイオキシンと水質ダイオキシンの濃度を比較していたのですが、16、18、20 番の3地点ですが、底質の濃度と水質の濃度の比率が著しく他の地点と異なりまして、底質濃度が低いにもかかわらず、水質中の濃度が高く出ていますが、これは何か理由があるのでしょうか?
 もしかすると、水質と底質の採取ポイントが異なっているのでしょうか?

事務局(環境局黒木課長代理)
 サンプリング地点において、底質が実際に採れない地点については、場所を移動して採取している関係がございます。16 番の本町橋でございますが、底質は平野橋で、20 番の小松橋では、底質は江口橋でサンプリングしております。
 ということで、水質とは調査地点が異なっております。

藤川委員
 18 番については、どうでしょうか?

事務局(環境局黒木課長代理)
 18 番につきましては、水質も底質も今津橋でサンプリングしております。

藤川委員
 普通、底質の場合は、ダイオキシンを濃縮すると思うのですが、通常の河川の状況であれば、底質からの微量の脱着か巻き上げで水質に反映されると思いますので、例えば他の地点は、底質と水質の比率ですが、水が1なら底質が200 くらいになっていますが、この3地点中2地点は同じ場所で採られているのに、水質濃度と底質濃度の状況が異なるということは、どこか異なるところに汚染源があるのか又は底質の採取状況に問題があるのか、又は分析上、何かがあるのかなと思います。
 これについては、安全がどうこうというよりは、やはり、そういう傾向があるのであれば把握しておかれた方が、今後の対策のためにもいいのではないかと思います。

村岡委員長
 今の問題は、要するに同じ地点における水質と底質の濃度の関係で、それが関連する現象として起こっているのか或いは、そうではないのかということですよね。
 水の場合は、おそらく一過性で流れていってしまうと思いますので、必ずしも、そこの底質が溶出してきて、ダイオキシンの水質が悪くなるということは、ちょっと考えにくいケースもあると思います。
 しかしながら、これだけ地点で差があるということは、何か他に原因があるのではないかということだと思うので、その点に注目されておく必要があるのではないかと思われます。
 もう1つは、何年も汚染が長引いている地点があるわけですが、そうしますと、こういったことについては、当然、その汚染源がどこかという汚染源の特定についても、これまで調査されてきたはずだと思いますが、…
 その汚染源を特定する作業の結果としては、原因不明ということですか?

事務局(環境局大石課長)
 大阪市としましては、原因不明と考えております。

村岡委員長
 水質についてもですか?

事務局(環境局大石課長)
 そうです。

村岡委員長
 BODについてもですか?

事務局(環境局大石課長)
 BODにつきましては、本日、大阪府さんも来られているわけですが、大阪府さんと連携協力しながら、いろいろ調査もしておりますし、また、対策についても、上流域の自治体の方にも、ご要望させていただいております。
 市内河川は、長期的には改善傾向にあると思っておりますが、まだ、6箇所ほど寝屋川流域で環境基準を超えているところがございますので、今後とも、連携を密にしながら、対策に努めてまいりたいと考えております。

村岡委員長
 水質の方は、流れていってしまいますのでともかく、底質の問題が長引いているということは、そこの底質を除去する以外に、対策はないと断言していいのですか?

事務局(環境局大石課長)
 私どもとしましては、特に寝屋川のところで、水質なり底質が市域内で環境基準を超えているということで、先ほど前田の方から説明しましたように、大阪府さんと連携しながら追跡調査を実施してきて、結果として、ご案内のとおり門真の第8水路で、高濃度のダイオキシン類を含む底質が溜まっていることがわかってまいりました。
 それで、門真第八水路につきましては、門真市の方で、今年度、詳細調査をやられて、対策をどうしていくかを決められるというふうに聞いております。
 古川本川の方では、大阪府河川室さんの方で、今年度、一部浚渫されると聞いております。
 我々としては、その結果を期待しているところですが、今後ともモニタリング等を適宜行いまして、対策の効果を把握してまいりたいと考えております。

村岡委員長
他にございませんか?

福永委員
 藤川先生の意見に対する私なりの考えなのですが、16、17、18 番の数値が低いのは、川でwet な底質が採れずに砂質的な底質が採れた場合は、数値としては小さなものとなるのではないか?だから、サンプリング場所の橋のたもとに泥がたまらず、砂混じりのサンプリングでは、このような結果になるのではないかと私は思っております。

村岡委員長
 ただいまの福永先生の意見につきまして、何かございますか?他にご意見がないようですので、市の方でも、これらの貴重なご意見を参考にして、今後の検討の中に採り入れていただきたいと思います。

それでは、次の議題に移ります。
 次も報告事項ですが、「大阪港湾区域(木津川運河等)における底質浄化対策」について、ご説明をお願いします。

事務局(港湾局有門課長代理)
 資料2を用いまして、大阪港湾区域におけます底質浄化対策及び港区尻無川堤防工事におけます環境対策につきまして、ご説明させていただきます。

事務局(港湾局有門課長代理)
 資料2の表紙をめくっていただきますと地図がございますが、今回説明させていただきます右下の方の赤い丸印2つが、平成18 年度から行っております大阪港湾区域の底質ダイオキシン類浄化対策の工事箇所でございます。その右上の方に青い丸印がありますが、これが19 年度から20 年度にかけて対策を行いました尻無川の工事箇所でございます。
 図面をめくっていただきますと、1頁から12 頁までが、大阪港湾区域における底質ダイオキシン類浄化対策に伴う環境対策についてということで、平成18 年度から行っているものでございます。
 また、この対策は、平成18 年3月に策定いたしました「大阪港湾区域におけます底質ダイオキシン類浄化対策方針」に基づいて実施しておりますもので、対策方針自体を参考資料として10 頁から12 頁に添付しております。
 平成18 年度の浄化対策の概要ですが、実施場所は、木津川運河の一部区域及び大正内港の一部区域です。

 対策土量は、それぞれ100m3、50m3 となっております。   ????
 対象としました底質は、1000pg-TEQ/g から3000pg-TEQ/g の範囲で、いわゆる中濃度レベルでございます。浚渫除去しました底質を近傍の管理型処分地であります夢洲1区まで運搬しまして、そこで袋詰脱水処理を行いまして、同じく夢洲1区に処分したというものです。
 環境対策でございますが、大阪府・市の河川及び港湾の底質ダイオキシン類対策検討委員会の「河川・港湾工事に係る環境対策マニュアル(案)」等に準拠いたしまして、次の3項目の対策を行っております。

1.浚渫場所における防止枠及び防止膜による汚濁防止対策

2.工事施工へのフィードバック等を実施するため、浚渫場所周辺における事前調査及び日常的な水質環境監視の実施

3.浚渫土砂処分地であります夢洲における水質環境調査の実施でございます。浚渫場所に関わります水質環境監視調査でございますが、調査地点としましては、工事箇所の上流側、下流側それぞれに放流箇所に近い順に補助監視点、基準監視点を、一番遠いところにバックグランド点を設置してございます。

 調査地点は、次頁の図2に示すとおりです。それぞれの調査地点を設定し、浚渫工事の実施にあたりましては、水質環境監視調査を実施いたしました。
 調査内容は、4頁の表2に示すとおりでありまして、日々の工事の監視に用います濁度は、基本監視点におきまして、深度方向に水深50cm から1m間隔の各層で測定いたしました。最下層は底面から1mの深さのところでございます。ダイオキシン類や生活環境項目などの採水測定は、それぞれの基本監視点で水深約2割程度の深さで行いました。
 また、バックグランド点の濁りの測定も、同じく水深の2割程度の深さで行いました。

事務局(港湾局有門課長代理)
 工事前に、現地で実施いたしました事前調査結果を基に、濁度等の日々の工事の環境監視基準を設定いたしました。その内容が、4頁にございます表2に示すとおりでございます。
 濁度等の環境監視基準の設定は、事前調査データが少なかったこと等、精度的なことを勘案いたしまして、事前の水質調査結果のダイオキシン類濃度と濁度の平均値を利用いたしまして、比例的に監視基準を設定したということでございます。
 工事中の水質環境監視調査結果につきましては、5頁の表3のとおりでございます。表3-1 は、木津川運河の濁度の監視結果で週平均値を記載しております。
 次の頁の表3-2 が、大正内港の濁度の監視結果で、同じく週平均値を記載しております。その下の表3-3 がダイオキシン類等の採水分析結果です。採水は、水深の約2割程度の深さで行っております。

 結果といたしましては、異常なにごりや油膜の発生もなく、全ての地点で、水質環境監視基準(週平均値)において適合している状況でございました。ただ、濁度につきましては、補助監視点で超過した地点もございますが、同時期の基準監視点では適合しておりますので、問題はないものと考えております。

 資料の7頁でございます。浚渫した底質は、夢洲1区で袋詰脱水した後、夢洲1区の管理型処分場において処分いたしました。処分先の夢洲及びその周辺の水質環境調査を行っておりますが、脱水した排出水については水質調査を実施し、ダイオキシン類に係る排水監視基準に適合していることを確認したうえで、夢洲1区のとなりにあります夢洲3区へ放流いたしました。
 写真等につきましては、12頁以降に掲載しております。夢洲3区への放流水の調査結果につきま
しては、表4のとおり基準に適合しております。
 この排出水は、夢洲3区からその南側にございます2区を経由いたしまして、2区の余水吐から海域に放流してございます。その際の水質調査結果は、7頁の表5のとおり排水基準に適合している状況でございます。

 以上が、平成18 年度に行いました内容でございまして、平成19年度は夢洲1区側における作業を行ってございまして、平成20 年度は、現在、浄化対策工事を実施しておりまして、同様の環境対策を行っているところでございます。実際の実施場所は2箇所ありまして、18 年度と同様に、木津川運河に引き続き大正内港においても実施しておりますが、大正内港につきましては、18 年度の地点とは異なる場所で行っております。
 対象としておりますダイオキシン類の濃度は、150〜1000 pg-TEQ/gといういわゆる低濃度及び1000〜3000pg-TEQ/g までのいわゆる中濃度を対象としております。
 以上が、大阪港湾区域における底質浄化対策の実施結果でございます。

事務局(港湾局有門課長代理)
 資料の13 頁でございますが、尻無川右岸の堤防工事における環境対策について説明させていただきます。この工事は、堤防におけます耐震補強工事を行っているものですが、本工事区域内に、ダイオキシン類及びPCB の環境基準を超過した底質が確認されましたことから、工事に際しての環境対策を行ったものです。
 平成19 年度から20 年度にかけて実施いたしました。次の頁ですが、対策土量としましては、約1700m3 でございます。ダイオキシン類の濃度は、160〜970pg-TEQ/g ということで、いわゆる低濃度といわれるものです。

 PCB につきましては17〜37mg/kg ということでございます。対策方法といたしましては、底質を現地でセメントを加えることに
より固化処理を行い、原位置で矢板内に封じ込めを行うというものでございます。

 環境対策につきましては、先ほど説明いたしました水質の浄化対策のものとほぼ同様でございます。調査内容につきましては、15 頁の表1のとおりでございます。
 また、水質環境監視調査地点等につきましても、16 頁にございます図2のとおりでございます。
現地で事前に行いました環境調査結果を用いまして、濁度とダイオキシン類濃度との相関から17 頁の表2に示しております濁度等の水質環境監視基準を設定してございます。相関図を下につけているところです。
 工事中の水質環境監視結果につきましては、18 頁の表3に示すとおりでございます。表3-1 は、濁度の監視結果でございます。本文にも記載させていただいておりますが、5月から6月の梅雨の時期には河川上流からの濁水の流入による影響から濃度が高くなる傾向が見られ、一部の個別測定値が超過いたしましたが、週平均値を超過することはありませんでした。
 また、採水分析結果といたしましては、SS が1回基準値を超過してございますが、工事施工箇所からみて、流れの上流側でございまして、下流側におきましては基準値以下でございましたので、工事以外の影響によるものと考えてございます。また、DO につきましても、1回基準値を下回っておりますが、一般的に夏場に低くなる傾向がございますので、一時的に数値が低下したのではないかと考えております。
 同日において、工事施行箇所の上流側、下流側ともに基準値を下回っていることから、工事の影響ではないものと考えております。
 また、表3-2 は採水分析結果を示しておりまして、採水箇所は水深の約2割程度の深さで行っております。20 頁ですが、この工事の場合、原位置で底質にセメントを加えて固化処理を行うということでございますので、この固化処理効果の確認というものを実施しております。事前に配合試験を行いました。
 その結果が表4でございます。この結果を基に、固化剤でありますセメントをどれだけ加えるかという混入量を決定いたしました。

事務局(港湾局有門課長代理)
 また、実際に、現地で固化処理を行いました底質につきましても、溶出試験を行っております。その結果が表5及び表6でございます。
 表5は、六価クロムについて、表4の結果を受け、決めました添加量を底質に加えまして、大丈夫かどうかをみるために行ったものであります。実際の現地における固化物の溶出試験結果は、表5及び表6のとおり基準値以下の内容となってございます。
 合わせまして、当委員会の前身でございます委員会におけるご指摘を踏まえまして、溶出試験につきましては、水銀、六価クロムについても行っているところでございます。
 表7につきましては、事後の水質調査の概要を記載しておりますが、工事完了が1月ということもございまして、採水は2月に実施しておりますので、現在、分析中でございます。3月中旬には結果が判明するものと思われます。
 最後に、尻無川右岸の堤防工事に関する写真を最後の頁に掲載しております。以上が、港湾局からの報告でございます。

村岡委員長
 先ほど同様に、何かご質問等はありませんでしょうか?

村岡委員長
 17 頁の相関図ですが、いつ頃、どの場所のデータでしょうか?

事務局(港湾局有門課長代理)
 実際の対策工事は、春から行っているわけですが、事前調査につきましては、前の年の秋(9月〜10 月頃)のデータでございます。

村岡委員長
 現実に、濁度との相関において、監視するということも必要になってくるでしょうから、相関をとるものについては、今後もデータを蓄積される方がいいのでは…と思います。
 他に何かございませんか?よろしいでしょうか?ありがとうございました。それでは、この件についても、ご理解いただいたということで、次の3つめですが、大阪市管理河川(道頓堀川)における底質浄化対策について、ご説明いただきたいと思います。

事務局(建設局三村課長代理)
 資料3の大阪市管理河川(道頓堀川)における底質浄化対策についてでございますが、工事名としましては、「道頓堀川水辺整備その他工事(湊町右岸工区)」に関わります浄化対策ということでございます。本件につきましては、本会議の前回に開かれました平成19 年9月に、ご報告させていただいた状況を審議していただいたという工事でございます。

 1頁は、工事概要ですが、道頓堀川の水辺整備ということで、ミナミを東西に流れます道頓堀川に遊歩道を設置していくという事業でございます。1-1 の構造ですが、位置的には下の図にありますように四ツ橋筋のすぐ西側の北沿いです。住所でいいますと、西区南堀江というところでございます。
 延長としましては約130mほどあり、遊歩道を建設するのですが、河川の中に新しい護岸を作って、河川の中を埋め立てる形式となっております。
 遊歩道の幅は、大体9〜13mとなっておりまして、河川内に鋼矢板又は鋼管矢板を打設してまいります。
今回の対象となります土量は、約4000m3 となっております。これにつきましては、ヘドロ層を除去した後に、底質の入れ替えを行っていきます。

 下に、図-1 として地図が出ております。1頁めくっていただきまして、2頁でございます。若干小さくて見づらくて申し訳ありませんが、左側が施行する前の現況図でございまして、護岸即ち大きなコンクリートの壁でございますが、その前に鋼矢板の護岸があります。右側の方は計画となっておりますが、大きな護岸であるコンクリート上部を撤去いたしまして、川の中に鋼矢板
を立てますが、幅は狭いところでは9mから13mほどございます。
 次の3頁のところには、非常に見づらいですが、平面図が載っておりますが、図のように矢板、鋼矢板を打っている状況でございます。

 次の4頁に出ておりますのが、前回の平成19 年9月のときに、ご報告させていただきましたこの工事現場における底質の状況でございます。

?の概略調査ということで、含有量と溶出量それぞれ2地点で測定した結果を示しております。含有量につきましては、220、230pg-TEQ/gということで環境基準を超えています。また、溶出量につきましても、いわゆる海洋汚染防止法の基準をオーバーしております。この概略調査といいますのは、工事現場内の概ね真ん中に位置する2地点を選んで、その表層の土をとりましたが、次の?の詳細調査では、平面的に8地点を選びまして、それぞれについて鉛直方向についても、ヘドロ層50cm おきに砂層のところまで、溶出及び含有量について、再度詳細に調査いたしました。

 その結果でございますが、ダイオキシン類の含有につきましては、概略調査とさほど変わらない数字であり、最高で470 という数字が出ております。

事務局(建設局三村課長代理)
 それから、ダイオキシン類の溶出ですが、概略調査の時には、44や21 pg-TEQ/L でございましたが、全て10 未満となっている状況でございます。
 その他に、一部の箇所では溶出ですが、総水銀や鉛について、若干基準を超えるものが出ております。6頁ですが、図が小さくて恐縮ですが、真ん中に赤い点が2つございます。これは、一番最初に行いました概略調査の地点でございます。
それから、黒い点が8地点ありますが、これが概略調査の土を採った箇所でございます。

 我々といたしましては、概略調査の時に出てまいりました溶出量が、通常時の数値よりも若干大きいということもございまして、前回の会議の時に、おはかりさせていただきましたが、一番最初の概略調査の地図周辺の4スミを囲むように、再度調査をしたということで、7頁に平面的な位置が出ております。
 概略調査の赤い点のまわり4スミを、再度調査させていただくということと、念のために、その他に3点の合計11 地点、検体数としては16 検体となると思いますが、鉛直方向にも調査させていただきました。その結果が8頁にございます。

 8頁には、ダイオキシンの含有あるいは溶出について記載しておりますが、含有量といたしましては、前回または前々回に調査いたしましたような数値でございまして、今回の場合には最高で330 pg-TEQ/gというような数字が出ております。溶出量につきましては、海洋汚染防止法基準、これは埋立が可能かどうかの基準ですが、10 未満の数字ばかりでございまして、最高で6.5 というような数字となっております。

 これによりまして、北港に埋立処分する土は約2,800m3、溶出量を再チェックした形で、鉛、水銀というものが混ざっているということで、海洋投棄できないという土量はセメント原料として、セメント工場に運搬しましたのが、1,200m3 というような形で確定させていただきました。
 9頁でございますが、工事中の環境監視ということで、前回の会議の時に、事前の水質調査の結果を報告させていただいております。10頁には水質環境基準ということで、その下側に出てまいりますが、pH,BOD,SS,DO、濁度が記載されております。この中で、濁度でございますが、濁度の週平均値は10.0 度、個別測定値は22.3 度で、事前の水質調査結果から設定されております。週平均値の10.0 度でございますが、事前の水質調査結果の段階でダイオキシン類の水質が3.6pg-TEQ/L ということでございまして、この10.0 度という数値につきましては、事前の水質調査結果に関して、現状より悪化させないという形の監視基準としております。

 11 頁については、監視状況の結果を掲載しております。11 頁は、濁度の測定結果でございます。これは、週平均値の数字
を載せさせていただいておりまして、その下に個々の数字の最大・最小値を記載しております。

事務局(建設局三村課長代理)
 個々の数値及び週平均値につきましても、環境監視基準値を上回るところはございませんでした。pH,BOD,SS,DO等の生活環境項目の測定でございますが、DO とBOD につきましては、一部の期間で監視基準を上回るあるいは下回るようなところが出てまいりまして、その期間につきましては、DO の場合は、矢板の打設や鋼管矢板の打設という時期でありまして、若干、矢板の打設速度を遅らせるというかゆっくりさせるというようなことで対応しました。
 BOD の場合は、埋め立ての時、土を締切内に入れる時の状況でございますが、この時につきましても、若干、土砂の掘削あるいは投入に係るスピードを落とさせていただいたということでございます。
 今回の工事につきましては、以上のような結果となっています。


村岡委員長
 ご質問やご意見がありましたら、お願いします。

上野委員
 ダイオキシン類の溶出量ですが、2回目の測定時点でも、若干、まだ数値が高いような気がするのですが、浚渫土中の特徴としては何かあるのでしょうか?あるいは溶出液が、若干濁っているとかはあるのでしょうか?

オブザーバ
(大阪市立環境科学研究所先山主任)
 私は、本データを事前に見せていただきましたので、その印象からご説明させていただきます。先生がおっしゃるように、底質の2回目の測定データにつきましても、若干高いかなという気がしますが、まず、1回目の方が非常に高いということで、溶出量が多くなるような状況にあった泥なのかどうかということをみる指標がないかというご相談で、事前に見せていただきました。
 しかし、その時点では、そのことを判断するようなデータの採取がなされていないということで、すでに、この時の泥が存在しない段階では、その判断はできませんでした。
 2回目のデータにつきましては、平均の粒子径などは若干、データとしてとられていましたので、それを見せていただきまた。そうすると、この底質は、ダイオキシンも高いですけれども、かなりヘドロ化しているということで、平均粒子径が0.05mm を下回るようなものもたくさんありまして、非常に微粒子の底質が多いという状況がうかがえると思います。
 ですから、ろ過操作等のバラツキというものが、結構、大きく効いてくるのではないかという判断を私はいたしました。

村岡委員長
 このろ過操作というのは、現在のところ、どのような基準でやっておられるのですか?

オブザーバ
(大阪市立環境科学研究所先山主任)
 ろ過操作につきましては、海洋汚染防止法で、ご存知のように孔径という表現がなされているわけですが、前回の委員会でも若干、説明させていただいたのですが、私が調べたところによりますと、市販品ではガラス繊維ろ紙で、仕様上、そのような表現がなされているものは存在しません。
 現実には、様々なメーカーにより表現方法が異なるということで、その孔径に値するそれぞれの表現が、どの程度かとい
うことは、メーカーによってばらついております。
 それを使用するときに、孔径と置き換えて読むのか、それよりも孔径の方が小さいということで、1μmよりも小さなものを使用するかということで、かなりろ過操作にバラツキが出る可能性があります。
 しかし、公式には孔径という表現がされておりますので、孔径をどのように分析する側が解釈するかということで、結果に大きな違いが出ているのではないかと思います。具体的には、孔径と同じような意味で使われているメーカーさんのものでしたら、粒子保持能という表現があり、ろ過の初期段階でその粒子径以上のものが98%以上止められるという表現をされているところもあります。
 もう一方では、保留粒子径ということで、「1μmのものを止めようとしますと、さらにその半分くらいの0.4〜0.6μmのものを使わないとダメですよ。」ということがカタログ上では示されていますので、その辺、混同して使用している可能性があるのかなと思います。
 ですので、どのようなものを使うかということは、いずれ公式の委員会の場で承認を得て、標準的な操作の仕方というのを用いないと、なかなか説明がつかないデータが出てくる可能性があると考えられます。

村岡委員長
 何か関連して、ご意見ありませんでしょうか?

福永委員
 後で、この件に関して、お願いしようかなと思っていたのですが、前回の委員会でも、かなり問題になって、結局ばらついたデータが出てきて、議論に困るというようなことが多いと思うのですけれども、環境科学研究所さんの方で、大阪府さんとも調整していただきながら、誰が行っても同じ答えが出るというふうなフロー、いわば、今法令的には定められているんですけれども、必ずしも十分ではないので、人によって異なった答えが出るということですから、この委員会にデータとして出すという時には必ずこの方法で行えば、間違いない安定した数値が出るというフローを考えていただければ、この委員会としてはありがたいのではないかと思いますので、お願いしたいと思います。

事務局(環境局大石課長)
 福永先生のご指摘の点ですが、先般、環境省の方から底質の調査方法に関わりまして、アンケート調査がまいりました。その時に、私どもの回答の中に、分析に用いるろ紙の規格をはっきりと明記してほしいということをお返ししております。いずれにいたしましても、前回以降、村岡先生にもご指摘をいただきながら、府市で、きちんと統一的な取り扱いを決めるようにというご指摘もありましたので、今後、大阪府の底質委員会の事務局とも調整をしながら、また、本市環境科学研究所、大阪府環境農林水産総合研究所とも、ご相談しながら、統一的な取り扱いができるかどうかも含めまして検討を進めてまいりたいと考えております。

村岡委員長
 その点につきましては、ぜひスタンダードな測定値をもとに議論ができるように進めてほしいと思います。

藤川委員
 濁度とダイオキシンの関係を0.1pg-TEQ/L だというのが、先ほどの回帰分析の結果ですけれども、今回の方では、濁度との関係を3.6pg-TEQ/L というふうにおっしゃっていただいたのですが、濁度1が0.1 なのか0.36 なのかというので、そういうデータは蓄積していただくのは、妥当だと思うのですが、ただ、この時の濁度10 で3.6pg-TEQ/L とおっしゃった時のろ過方法は、どのようなものだったのかを教えていただきたいのが第1点です。

 もう1つは、ダイオキシン類については溶出量と含有量を両方測ると思いますが、普通、ダイオキシン類は溶出量は低いでしょうから、例えば、この溶出量と含有量の比が含有量5に対して溶出量が1というデータが出た時点で、直ちに環境科学研究所さんから、現場の方にご相談いただくなり、再分析に回すなりの対応をしていただくと早いと思うのです。
 だから、そういうことを現場で徹底していただいたらどうかなというのが第2点です。
 不自然なデータが出れば、すぐに追加のサンプリングはもちろんですけれども、再分析ということも考えられると思います。

事務局(建設局三村課長代理)
 事前の水質調査を行った時には、2回目の詳細調査と同じ方法で行っております。一番最初の概略調査あるいは次の詳細調査、それから事前の水質調査という段階を経まして、事前の水質調査と詳細調査はほぼ同じような時期になっておりますが、一番最初の概略調査と次の詳細調査と次の詳細調査あるいは事前水質調査とは若干、違うような形であると聞いております。
 私どもは、工事を発注してから、水質調査あるいは底質調査を行っておりますので、これからはちょっと考え直さなくてはいけないのですが、当時の工事期間中にそういうふうな状況が出てまいりますので、結果が出るまで少なくとも1カ月、2カ月ほどかかりますので、若干、その辺のところが、我々としては考え直さなくてはならないところではあると思います。

事務局(環境局大石課長)
 2点目のご指摘でございますが、我々といたしましては、これからもデータの蓄積につきましては、統一的に、今後も進めていきたいと考えております。
 また、検討会の事務局を、大阪市的にも港湾局、環境局、建設局、オブザーバとして環境科学研究所さんにも入っていただいておりますので、うまく機能させていきながら連絡体制をとっていきたいと考えております。

村岡委員長
 今の問題は、すぐに解決できるものとは思えないですし、その時、その時に判断しないといけない大変難しい問題ですが、是非ともいい値が出るように、「正しい値が出て、正しい判断ができるように」努力をしてくださいということですから、その辺のところをよろしくお願いいたします。

 他にございますか?
 それでは、ご意見がないようでございますので、本日の議題である3つの報告について、委員の先生方、いろいろご指摘いただきましたので、これで全て終わったというわけではありませんが、ともかく、この報告の中身について、十分確認できたということにさせていただきます。
 合わせまして、これに基づいて、また、作業が進められると思いますので、ぜひ、それが円滑に、いい効果が上げられますようにお願いしたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、議事を終わりたいと思います。後、進行を事務局にお願いします。


大阪市底質対策等技術検討会
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Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 12:00Comments(0)底質汚染分科会

2009年12月22日

岡山の環境裁判例

処分取消請求控訴事件(岡山県岡山市)

○ 土地の埋立てに使用された係争物が産業廃棄物ではないとして市がなした事業停止処分等が取り消された事例

広島高裁 平成16年7月22日判決
事件番号 平成14年(行コ)第16号
事件名   処分取消請求控訴事件
結果    原判決変更
原審   岡山地裁平成12年(行ウ)第24号
出典   最高裁判所ホームページ

【判示要旨】
 土地の埋め立てに使用された本件係争物が,産業廃棄物であるか否かが争点となった事案について,本件係争物が産業廃棄物であるとは認められないとして,被控訴人の控訴人らに対する本件行政処分の取消しを命じた事例

【判決文】(抜粋)

第1 主文
1 原判決主文第2項を次のとおり変更する。
(1) 控訴人らの下記(2)及び(3)の各処分無効確認請求をいずれも棄却する。

(2) 被控訴人が,控訴人エヌエス日進株式会社に対して,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成12年法律第105号による改正前のもの)14条の3第1号及び14条の6に基づき平成12年12月19日付け岡山市指令産廃第544号により行った平成13年1月10日から同月19日までの事業停止処分は,これを取り消す。

(3) 被控訴人が,控訴人有限会社津下建材に対して,同法12条1項及び19条の3に基づき平成12年12月19日付け岡山市指令産廃第545号により行った岡山市ab番c地内及びその周辺への汚泥の搬入中止及びその撤去を命じる処分は,これを取り消す。

2 控訴人エヌエス日進株式会社のその余の控訴を棄却する。

3 訴訟費用は,1,2審を通じて,控訴人エヌエス日進株式会社と被控訴人との間ではこれを2分し,その1を控訴人エヌエス日進株式会社の負担とし,その余を被控訴人の負担とし,控訴人有限会社津下建材と被控訴人との間では全部被控訴人の負担とする。

第2 事案の概要

1 本件は,本件係争物が産業廃棄物に該当するとして被控訴人が控訴人らに対してした各処分(以下「本件各処分」という。)等について,本件係争物は改良土であって産業廃棄物ではない等と主張する控訴人らが,主位的に本件各処分等の無効確認を,予備的にその取消を求めた事案である。

2 争いのない事実及び証拠上容易に認定できる事実

(1) 当事者等

ア エヌエス日進は,昭和52年2月12日に設立され,産業廃棄物収集運搬業(被控訴人平成9年5月28日付け更新許可。乙4の1),産業廃棄物処分業(被控訴人平成9年5月28日付け更新許可。乙4の2)及び特別管理産業廃棄物収集運搬業(被控訴人平成11年3月2日付け更新許可。乙4の3)の各許可を受け,産業廃棄物処理を主な業務とする株式会社である。

イ 津下建材は,産業廃棄物収集運搬業(被控訴人平成10年12月20日付け更新許可)の許可を受け,これを業として行っている有限会社であり,収集運搬車両として,登録番号岡山11こ3145及び岡山11こ3148を含め合計7台のダンプを利用することを被控訴人に届けている(乙8,11,12)。

ウ 訴外株式会社未来(以下「訴外未来」という。)は,重機数台を所有し,土木工事を業として行っている株式会社であり,その代表者は訴外A(以下「訴外A」という。)であるが,同人は,津下建材代表者の夫である(乙11)。

エ 岡山市環境事業局業務部産業廃棄物対策課(平成13年4月1日付け機構改革により現在は岡山市環境局保全部産業廃棄物対策課である。以下「産廃課」という。)は,廃棄物処理法2条4項に定める産業廃棄物の処理等に関する事務を地方自治法2条10項に定める法定受託業務として執行するために設置された被控訴人の組織である。

(2) 本件各処分等に至る経緯

ア 産廃課職員は,平成12年8月24日,エヌエス日進のd事業場に対する立入調査を行った。d事業場には,汚泥の天日乾燥・混練固化施設(以下「ピット」という。),破砕施設などの産業廃棄物中間処理施設に加え,ピットで乾燥固化されたものを原材料として改良土を製造するための施設(以下「改良土プラント」という。)があった。

イ 同年9月11日及び同月14日,灰色の有体物(以下「本件係争物」という。)が,訴外未来所有の10トンダンプにより,d事業場から岡山市a地内の土地(以下「本件土地」という。)に運搬され,本件土地に本件係争物が降ろされた。

ウ 産廃課職員は,同月14日午後5時30分ころ,本件土地への立入調査を実施し,本件係争物を採取して持ち帰った。

エ B(以下「B」という。)は,同月21日午後1時31分ころ,訴外未来所有の10トンダンプに本件係争物を積載してd事業場を出発し,同日午後1時50分ころ,本件土地に到着し,本件土地に本件係争物を降ろした。そこで,産廃課職員が,Bに事情聴取したところ,Bは以下のとおり答えた。また,産廃課職員は,同日,本件係争物を採取して持ち帰った。

(ア) 訴外未来の代表者である訴外Aの指示により,平成12年5月若しくは同年6月ころから,エヌエス日進より改良土として購入したものをd事業場からダンプで本件土地へ搬入し,埋立に使用していた。

(イ) 搬入量は,10トンダンプで1日あたり少ないときは7車分,多いときは50車分である。

オ 産廃課職員は,同日,訴外Aに事情聴取を行い,その際,同人は以下のとおり答えた。そして,被控訴人は,同月22日,訴外Aから,関係書類の提出を受けた。

(ア) 平成12年6月,本件土地のうち,岡山市ae番f及び同所b番cの各土地を重機置場にする目的で,エヌエス日進の代表者であるC(以下「C」という。)から購入した。

(イ) 埋立に利用していた材料は,エヌエス日進から改良土として購入したものである。その価格は,10トンあたり,当初2000円であったが,平成12年5月からは3500円に値上がりした。

カ 産廃課職員は,同日,Cにも来庁するよう求めたが,Cは出張中のため,エヌエス日進の営業課長であるD(以下「D」という。)が訪れ,事情聴取に応じた。

キ 被控訴人は,同月22日付け書面をもって,Cの来庁を求めたところ,同月26日,同人はDとともに訪れ,以下のとおり述べた。

(ア) エヌエス日進が,平成12年4月から7月までの間に受け入れた汚泥の大半は,大本・アイサワ・蜂谷共同企業体(以下「訴外共同企業体」という。)がシールド工事を請け負っている岡山市g町作業所から排出されたものである。

(イ) 訴外共同企業体からの受託開始は,平成10年12月ころであるが,本格的な受入は,平成12年5月以降で,同年4月から8月末までの処分委託実績は,10トンダンプで576車分である。

ク 被控訴人は,同年10月17日付けで,エヌエス日進に対し,以下のとおり,予定している不利益処分,不利益処分の事実となる原因等を記載した弁明の機会付与通知書を送付した(甲23)。

(ア) 予定している不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項

(予定している不利益処分の内容)
? 産業廃棄物収集運搬業及び産業廃棄物処分業の事業の全部停止10日間

? 特別管理産業廃棄物収集運搬業の事業の全部停止10日間

(根拠となる法令の条項)
? 廃棄物処理法14条の3第1号
? 廃棄物処理法14条の6

(イ) 不利益処分の原因となる事実
 平成12年6月上旬から同年9月21日までの間,産業廃棄物中間処理業務に伴って生じた産業廃棄物である汚泥(セメント等により固化したもの)の収集運搬を訴外未来こと津下建材に委託する際,書面による委託契約を行わなかった。

(ウ) 弁明の機会の付与の方式 弁明書の提出

(エ) 弁明書の提出期限    平成12年10月30日

ケ  被控訴人は,同年10月17日付けで,津下建材及び訴外未来に対し,以下のとおり予定している不利益処分,不利益処分の原因となる事実(本件係争物が産業廃棄物であること)等を記載した弁明の機会付与通知書を送付した。

(ア) 予定している不利益処分の内容

? 岡山市ab番c地内及びその周辺への汚泥(セメント等により固化したものを含む)の搬入を中止すること。

? 岡山市ab番c地内及びその周辺に放棄している汚泥(セメント等により固化したもの)を平成13年4月10日までに適正な処分を行うことができる場所へ撤去すること。

(イ) 弁明の機会の付与の方式 弁明書の提出

(ウ) 弁明書の提出期限    平成12年10月30日

コ エヌエス日進,津下建材及び訴外未来ら代理人であった菊池捷男弁護士(以下「菊池弁護士」という。)らは,同月26日,被控訴人に,弁明書と題する書面を提出し,本件係争物は有価物(第3種,第4種改良土建設資材)であるから産業廃棄物ではないと主張し,被控訴人が本件係争物を産業廃棄物であると断定した根拠についてその争点の明確化を求めた(乙27)。

サ これを受けて,被控訴人は,同年11月27日付けで,菊池弁護士に対し,以下の内容を記載した弁明の機会の付与通知書(補充)を送付し,菊池弁護士の元に同月28日到着した(甲24の(1),(2))。

(ア) 不利益処分の原因となる事実の補充部分(産業廃棄物である汚泥と認定した理由)
 以下の事実等を総合的に勘案した結果,本件係争物は「廃棄物」すなわち「不要物」に該当する。   

? 本件係争物は,造成地への搬入直後も泥状を呈し,天日乾燥しなければ,埋め立てることができないことなどから中間処理が不完全である。

? 本件係争物は,中間処理過程においてセメント等を添加している上,中間処理後の粒状も均一でなく,岡山県や岡山市における「改良土」の基準にも該当しない。

? 排出者(工事請負業者)は,汚泥をセメント固化等したのち「建設汚泥(産業廃棄物)」として排出し,エヌエス日進に処理委託している。

? セメント固化後に排出の建設汚泥については,通常,同業者は「改良土として製造できない。」等との理由から,全量管理型最終処分場に処理委託している。

? セメント固化後に排出の建設汚泥を「改良土」に製造・販売している業者は,岡山市内においては他に見当たらない。

? リサイクルを推進している岡山市でさえ,セメント添加による「改良土」は,業者から一切購入していない。

? 同業者に比べ,本件係争物の売買価格がかなり安価である。

? エヌエス日進における「改良土」の販売先は,本年5月以降訴外未来こと津下建材のみである。

(イ) 補充部分についての弁明の機会の付与の方式  弁明書の提出

(ウ) 弁明書の提出期限              平成12年12月11日

シ これに対し,菊池弁護士らは,同年12月1日までに,被控訴人に,弁明書(補充)を提出し,反論した(乙54)。

ス そして,菊池弁護士らは,同月5日付けの証拠開示請求書と題する書面を被控訴人に提出し,上記サ(ア)の根拠となった証拠の開示を求めた(甲25)。

セ さらに,菊池弁護士らは,同月13日付けの弁明の機会の付与と証拠開示の請求と題する書面を送付し,被控訴人に同月14日に到着した(甲26の(1),(2))。

ソ しかし,被控訴人は,エヌエス日進らからの上記ス及びセの求めに応ずることなく,同月19日,エヌエス日進及び津下建材に対し,以下の内容の本件各処分をした。

(ア) エヌエス日進に対するもの(乙29。岡山市指令産廃第544号。以下「本件事業停止処分」という。)
 産業廃棄物収集運搬業,産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可に係る事業全部の平成13年1月10日から同月19日までの10日間の事業停止

(イ) 津下建材に対するもの(乙30。岡山市指令産廃第545号。以下「本件中止撤去命令処分」という。)

? 岡山市ab番c地内及びその周辺への汚泥(セメント等により固化したものを含む)の搬入を中止すること。

? 岡山市ab番c地内及びその周辺に放棄している汚泥(セメント等により固化したもの)を平成13年4月10日までに適正な処分を行うことができる場所へ撤去すること。

タ また,被控訴人は,エヌエス日進に対し,平成12年12月19日,産業廃棄物処理業に係る許可証の返納を求める通知をした(乙67。岡山市指令産廃第546号。以下「本件許可証返納通知」といい,本件各処分と併せて述べる場合には「本件各処分等」という。)

3 争点
(1) 本件事業停止処分に係るエヌエス日進の訴えの適法性
(略)
(2) 本件許可証返納通知に係るエヌエス日進の訴えの適法性
(略)
(3) 本件係争物の特定性等
(略)
(4) 本件係争物の産業廃棄物該当性
(略)
(5) 本件各処分等に係る行政手続の違法性
(略)

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(本件事業停止処分に係るエヌエス日進の訴えの適法性)について
(1) 被控訴人は,本件事業停止処分に係るエヌエス日進の訴えは,本件事業停止期間の経過により,訴えの利益が既に消滅していると主張する。

(2) 行政処分についての取消訴訟あるいは無効確認訴訟は,当該処分の効果が期間の経過等により消滅した場合においても,なお処分の取消しあるいは無効確認をしなければ回復できないような法律上の利益を有する者に限りこれを提起することができる(行政事件訴訟法9条,36条)。したがって,事業停止処分のように,行政処分が一定の期間内に限り,国民の権利利益を制約するものである場合,すわなち,処分に期間が付されている場合,期間経過後においては,処分がされたことを理由として法律上の不利益を受けるおそれがあるのでなければ,その取消し等を求める訴えの利益は消滅する。

(3) 本件の場合に本件事業停止期間が経過していることは明らかであるから,なお,エヌエス日進において,法律上の不利益を受けるおそれがあると認められるかが問題となる。

ア 廃棄物処理法14条2項,5項及び同法14条の4第2項は,産業廃棄物収集運搬業,産業廃棄物処分業及び特別管理産業廃棄物収集運搬業について,5年を下らない政令で定める期間ごとに更新を受けなければ,その期間の経過によって,その効力を失う旨規定しており,その更新許可にあっては,許可に準じる審査基準が適用されるが,同法14条3項等により適用される同法7条3項4号ホは「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」には許可をしてはならない旨規定している。

イ この規定について,被控訴人は,申請者の資質及び社会的信用の面から適切な業務運営が初めから期待できないことが明らかな者をいい,エヌエス日進のように比較的短期間の事業停止処分を受けた者は,上記規定に該当するとされることはあり得ないと主張する。しかし,上記規定には被控訴人主張のような限定は付されておらず,エヌエス日進が,将来産業廃棄物収集運搬業等の許可の更新を申請した場合,本件事業停止処分の存在がエヌエス日進にとって不利益な事由として考慮されるおそれがあるといわざるを得ない。

(4) 以上によれば,本件事業停止処分に係るエヌエス日進の訴えには訴えの利益があると認められるから,当該訴えは適法である。被控訴人の上記主張は採用できない。

2 争点(2)(本件許可証返納通知に係るエヌエス日進の訴えの適法性)について

(1) 被控訴人は,本件許可証返納通知は,これによってエヌエス日進に法律上の作為義務が発生するものではなく,また,これに従わなかったとしても,そのこと自体で不利益を受ける訳ではないから,取消訴訟等の対象となる処分には該当せず,本件許可証返納通知に係るエヌエス日進の訴えは不適法であると主張する。

(2) 取消訴訟等の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは,公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁)。

(3) そこで,本件許可証返納通知について検討するに,本件細則(乙34)は,許可証を返納しなければならない場合として業務停止処分が為された場合を規定しているのみであって,本件細則に基づく本件許可証返納通知には,これを強制する手続等に関する規定はない。したがって,本件許可証返納通知は,取消訴訟等の対象となる処分には該当しないというべきである。これに対し,エヌエス日進は,許可証を返納した結果,廃棄物の処理委託契約を一切締結できなくなるという極めて重大な影響を受けると主張するが,これは事業停止処分の結果であって,許可証の返納によるものではないから,エヌエス日進の上記主張は採用できない。

(4) 以上によれば,被控訴人の上記主張は理由がある。したがって,本件許可証返納通知に係るエヌエス日進の訴えは不適法である。

3 争点(3)(本件係争物の特定性)について
(1) 控訴人らは,本件各処分の対象となる本件係争物の特定が不十分又は対象物が不存在もしくは誤認の瑕疵があると主張する。

(2) 本件事業停止処分における不利益処分の原因となる事実は「平成12年6月上旬から同年9月21日までの間,産業廃棄物中間処理業務に伴って生じた産業廃棄物である汚泥(セメント等により固化したもの)の収集運搬を訴外未来こと津下建材に委託する際,書面による委託契約を行わなかった。」というものであり,本件中止撤去命令処分の内容は「岡山市ab番c地内及びその周辺への汚泥(セメント等により固化したものを含む)の搬入を中止すること。岡山市ab番c地内及びその周辺に放棄している汚泥(セメント等により固化したもの)を平成13年4月10日までに適正な処分を行うことができる場所へ撤去すること。」である。

 本件各処分に至る経緯は,前記第2の2(2)で認定したとおりであり,平成12年9月の事情聴取の時点から,本件係争物について,被控訴人は産業廃棄物である汚泥であると主張し,控訴人らは,改良土であって,産業廃棄物ではないと主張し,控訴人らは,被控訴人が本件係争物を産業廃棄物であると断定した根拠についてその争点の明確化等を求めていたことが認められる。控訴人らは,対象の特定性(その性状,搬入期間,搬入量)において不十分であるばかりでなく,エヌエス日進が製造した改良土を本件土地に搬入を開始したのは,平成12年8月中旬以降であると主張する。

 しかし,本件においては,上記のとおり,本件係争物の産業廃棄物該当性については争いがあるところ,本件各処分の対象となる本件係争物が何を意味するのかということについては控訴人らと被控訴人との間に事実上争いはないと認められる上,本件の場合には,搬入期間及び搬入量が本件係争物の特定に不可欠なものであるとまではいうことはできないから,本件係争物の特定性を欠くものとは認められない。

(3) 以上によれば,控訴人らの上記主張は採用できない。
4  争点(4)(本件係争物の産業廃棄物性)について
(1) 産業廃棄物の定義

ア 廃棄物処理法は,2条1項において,「『廃棄物』とは,ごみ,粗大ごみ,燃え殻,汚泥,ふん尿,廃油,廃酸,廃アルカリ,動物の死体その他の汚物又は不要物であって,固形状又は液状のものをいう。」と定義しているが,この規定は,一般に廃棄物として取り扱われる蓋然性の高いものを代表的に例示したものであり,廃棄物とは,占有者が自ら利用し,又は他人に有償で売却することができないために不要となったものをいい,これらに該当するか否かは占有者の意思,その性状等を総合的に勘案して定めるべきものと解される。
 したがって,当該物について,占有者が主観的に他人に有償で売却することができると判断しただけであって,客観的には他人に有償で売却することができないものは,廃棄物に該当するといわざるを得ない。

イ また,廃棄物処理法は,同条4項1号において,「『産業廃棄物』とは,事業活動に伴って生じた廃棄物のうち,燃え殻,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ,廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物をいう。」と定義している。そして,同法施行令2条は,上記政令で定める廃棄物について,紙くず等12種類のものを規定するほか,13号において「燃え殻,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ,廃プラスチック類又は前各号に掲げる産業廃棄物を処分するために処理したものであって,これらの産業廃棄物に該当しないもの」と規定している。

ウ 以上によれば,ある産業廃棄物を再利用のために処理をし,他人に有償で売却することができる状態となった場合には,当該産業廃棄物は,その産業廃棄物該当性を失うものと解される。したがって,ある産業廃棄物に何らかの処理がなされても,未だ他人に有償で売却することができる状態に至っていない場合には,その産業廃棄物該当性は失われないものと解される。

(2) 産業廃棄物該当性についての主張立証責任

ア 国民の自由を制限し,国民に義務を課する行政処分の取消しを求める訴訟においては,行政庁がその適法であることの主張立証責任を負担すると解すべきであるところ,エヌエス日進のd事業場に搬入された時点では産業廃棄物である汚泥であったことについては当事者間に争いがない本件の場合,本件係争物が産業廃棄物である汚泥に再利用のための処理をし,他人に有償で売却することができる状態となったことについて,控訴人らが主張立証責任を負担するのか,本件係争物がその産業廃棄物該当性を失っていないことについて被控訴人が主張立証責任を負担するのかが問題となる。

イ そこで検討するに,上記(1)で述べたところによれば,確かに,本件係争物が汚泥の状態にないということだけでは,その産業廃棄物該当性は否定されないものの,被控訴人は,本件事業停止処分にあたっては,エヌエス日進が平成12年6月上旬から同年9月21日までの間,産業廃棄物である本件係争物の収集運搬を津下建材に委託する際,書面による委託契約を行わなかったことを不利益処分の原因となる事実としている以上,上記の期間において,本件係争物が汚泥であったということ又は本件係争物はこれを他人に有償で売却することができないものであったということについて,被控訴人がその主張立証をする責任を負うといわなければならない。また,被控訴人は,本件中止撤去命令処分にあたっては,津下建材が同命令時に産業廃棄物である本件係争物を本件土地に放棄していたことを不利益処分の原因となる事実としたものであるから,同様に,同命令時において,本件係争物が汚泥であったということ又は本件係争物はこれを他人に有償で売却することができないものであったということについて,被控訴人がその主張立証をする責任を負うといわなければならない。

(3) 本件係争物の産業廃棄物該当性の有無

ア まず,被控訴人は,本件係争物は産業廃棄物である汚泥であると主張するので,この点について検討する。

(ア) 汚泥とは,工場排水等の処理後に残るでい状のもの及び各種製造業の製造工程において生ずるでい状のものであって,有機性及び無機性のものをすべて含むとされているところ,旧厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室作成の建設廃棄物処理指針(平成11年3月。甲30,乙33。以下「本件指針」という。)によれば,「建設汚泥の取扱い」として,以下のとおり記載されていた。

 ? 地下鉄工事等の建設工事に係る掘削工事に伴って排出されるもののうち,含水率が高く粒子が微細な泥状のものは,無機性汚泥として取り扱う。また,粒子が直径74ミクロンを超える粒子をおおむね95%以上含む掘削物にあっては,容易に水分を除去できるので,ずり分離等を行って泥状の状態ではなく流動性を呈さなくなったものであって,かつ,生活環境の保全上支障のないものは土砂として扱うことができる。

? 泥状の状態とは,標準仕様ダンプトラックに山積みができず,また,その上を人が歩けない状態をいい,この状態を土の強度を示す指標でいえば,コーン指数がおおむね200kN/?以下又は一軸圧縮強度がおおむね50kN/?以下である。

? しかし,掘削物を標準仕様ダンプトラック等に積み込んだ時には泥状を呈していない掘削物であっても,運搬中の練り返しにより泥状を呈するものもあるので,これらの掘削物は「汚泥」として取り扱う必要がある。なお,地山の掘削により生じる掘削物は土砂であり,土砂は廃棄物処理法の対象外である。

? この土砂か汚泥かの判断は,掘削工事に伴って排出される時点で行うものとする。掘削工事から排出されるとは,水を利用し,地山を掘削する工法においては,発生した掘削物を元の土砂と水に分離する工程までを,掘削工事としてとらえ,この一体となるシステムから排出される時点で判断することとなる。

(イ) 本件の場合,本件係争物がエヌエス日進のd事業場に搬入された時点で,産業廃棄物である汚泥であったことについては,当事者間に争いがない。しかし,本件各処分においてその産業廃棄物該当性が問題とされる時点は,本件事業停止処分については平成12年6月上旬から同年9月21日までの間であり,本件中止撤去命令処分についてはその処分時である同年12月19日の時点であるから,その各時点で本件係争物が産業廃棄物である汚泥と認められるかを検討しなければならない。

(ウ) この点について,被控訴人は,本件土地へのダンプアウトされた直後の本件係争物について目視,歩行実験した結果及び関係者からの事情聴取(乙11,13,14,49,51,52,証人F,同〔いずれも原審〕)から,本件係争物は,本件土地への搬入時点で泥状を呈しており,本件土地に人工的に掘った穴で天日乾燥して固めた後でなければ埋め立てることができないほどの流動性を有しており,平成12年9月21日に歩行実験を行ったところ,同実験を実施した産廃課職員F(以下「F」という。)は,くるぶしのあたりまで埋まり,歩行困難な状態であったと報告していること等から,本件係争物は産業廃棄物である汚泥であると主張している。

(エ) 証拠(乙11及び13添付の各写真,甲32〜35,39,154,155,証人B)によれば,平成12年9月21日に本件土地へダンプアウトされた直後の本件係争物は,エヌエス日進のd事業場でB運転のダンプに積載され,山道を約20分程度要して運搬されたにもかかわらず,約45度の安息角をもって堆積しており,ダンプの荷台にも粘土状あるいは液状の物体の付着は認められないこと,同月14日の本件係争物もほぼ同様な状態であったことが認められる。
 これらの事実及び前記(ア)の本件指針からすると,本件係争物は産業廃棄物である汚泥であるとは認められないというべきである。なお,本件指針によれば,土質を示すコーン指数も汚泥かどうかを判断する基準の一つとされているところ,産廃課職員は,同月14日及び21日の立入検査の際,本件係争物を採取したが,これらについて,コーン指数についての検査が行われていない(当事者間に争いがない)ため,本件の場合,コーン指数の点から本件係争物の性状を判断することはできない。
 さらに,被控訴人は,泥状物堆積実験を行い,その報告書等(乙81〜83)を提出するが,上記実験に用いられた建設発生土は,その性状,そのダンプアウト中の状態等からして,本件係争物とはその性状を著しく異にするものといわざるを得ないから,上記実験結果によっても,上記結論は左右されない。

(オ) したがって,被控訴人の本件係争物が産業廃棄物である汚泥である旨の上記主張は採用できない。

イ 次に,被控訴人は,本件係争物は建設汚泥として排出された後他人に有償で売却できるものとして再生されたものではない旨主張し,その根拠をあげるので,この点について検討する。

(ア) 被控訴人は,本件の場合,エヌエス日進は,訴外未来に10トンあたり3500円で売却した本件係争物を10トンあたり4750円の運搬賃等を支払って納品しており,控訴人らは,有償での売却を仮装している旨主張し,この点について,弁明書(乙27)添付の訴外未来作成の請求書等から明らかとなったその取引関係から認められるものであって,Cから訴外Aに売却されて所有権移転登記もなされた土地についてCを債務者とする根抵当権設定登記が抹消されないでいたこと(乙44の(3),(4)),埋め立てられた本件土地の全部が訴外Aの土地ではないこと(乙43の(2),44の(5)),本件土地の排水施設をCが管理していること(乙45)などは,これを裏付けるものであると主張する。
 しかし,上記根抵当権設定登記は旧岡山市民信用金庫を根抵当権者とするものであるが,同信用金庫が破綻したことは当裁判所に顕著であり,また,平成14年2月には同登記は抹消されている(甲118,119)のであるから,平成12年の時点において,控訴人らが主張するとおり,同根抵当権は被担保債権も存在しない実体のないものであった可能性は十分にあるものということができる。そして,被控訴人が主張するその他の点を考慮しても,Cと訴外Aが通常のビジネス上の交際を超えて本件係争物の有償譲渡を共謀して仮装するような関係にあったとは認められない。そもそも,被控訴人が主張する上記仮装の根拠は,控訴人ら代理人が被控訴人に提出した弁明書(乙27)に添付された資料であるところ,そこに有償譲渡仮装の証拠資料を誤って混入させてしまうというような事態は想定し難い。これに対して,控訴人らは,上記請求書中の「土工 上高田 8H−3人」(乙27の73頁)等は,本件土地の100メートル南に所在するエヌエス日進の分別場所の工事代金であり,「11t常用 d 8H−2台」(乙27の74頁)等は,dでダンプをチャーターした代金であり,本件係争物のdから本件土地への運搬賃ではないと主張し,Cも,原審において,この主張に沿う供述をしている。そして,控訴人らが主張する分別場所が存在し,その土地の所有者がCであることは,証拠(乙38の(3),43の(2))上これを認めることができ,また,上記請求書中には,「k」という記載もなされており,これはエヌエス日進における営業所の一つであると認められる(Cの原審供述)。
 被控訴人は,エヌエス日進が訴外未来に対し,10トンあたり3500円という極めて安価であるいは原価割れで本件係争物を販売しているとも主張するが,証拠(乙25,甲94)によれば,エヌエス日進は,訴外共同企業体から汚泥の処理を委託され,その委託代金として,ダンプ1台あたり1万8000円を受領しており,石灰代,人件費等の製造費用を差し引いても,10トンあたり3500円で販売すると,1立米あたり約1000円程度の利益を得ることができることが認められる。
 これらの点を総合考慮すると,本件の場合,上記請求書中のエヌエス日進の訴外未来に対する支払が本件係争物の本件土地への運搬賃等であると断定することまではできないといわざるを得ない。

(イ) さらに,被控訴人は,
?改良土は,通常茶色で粒状が均一で小さくさらさらしているはずなのに,本件係争物は,灰色で粒径が40?以上の粒土が混在している,

?本件係争物はpH値が12で,植物の生育に適さない,

?本件係争物のようにセメント添加により粘土状の状態で排出された汚泥は,改良土として加工できない,

?本件係争物が建設汚泥リサイクル指針に定める第3種又は第4種改良土に該当するとしても,岡山県や岡山市の基準には適合しない等公共団体への売却はできず,民間は改良土を利用しないのが通常であるから,その商品価値はなく,商品価値があったとしても,その市場性も極めて狭いものであるから,当然に有価物にはならない,

?平成12年8月24日のエヌエス日進のd事業場への立入検査の際,原料となるべき建設発生土等は全く保管されていなかったし,その際,E工場長は委託処理について述べたが,訴外事業団に対する調査の結果,その発言が虚偽であったことが判明した,

?控訴人らの主張によっても,行方不明の改良土が多く存在する,

?エヌエス日進は,訴外共同企業体には,改良土として道路中央分離帯の工事に使用すると説明していた,などと主張する。

 しかしながら,このうち,?ないし?については,証拠(甲154〜158)によれば,京都大学大学院地球環境学堂のH教授は,根拠として十分でない,あるいは誤った見解であるとの意見を述べていること等が認められ,被控訴人の主張は一つの見解にしか過ぎないといわざるを得ないし,pH値については,当初産廃課職員において,問題とされていなかったことが認められる(原審証人Iの供述)。

 ?については,建設汚泥を材料としてセメント系固化剤を使用して改良土を製造する方法は,一般に行われているものであり(甲65,101),また,?のうち,建設発生土等の保管の点については,控訴人らは,これを否認しているところ,原審証人の供述によれば,同日の立入検査時に直接確認した調査員はおらず,帰りの車の中で話が出たものに過ぎないというのであるから,これを直ちに採用することはできない。?の点については,控訴人らは被控訴人とは異なる計算をしており,これが全く根拠のないものとは認められない。?のE工場長の発言については,控訴人らはこれを否認し,これに沿ったE工場長の陳述書(甲37)を提出しており,また,?については,産廃課職員作成の報告書(乙25)においても「道路の中央分離帯等に使用する」と記載されており,道路の中央分離帯工事のみに使用するとはされていないことからして,これらを直ちに採用することはできない。

(ウ) 一方,証拠(甲161)によれば,本件係争物には,控訴人らが主張するとおり,石灰が添加されていたことが認められるのであって,このことは本件係争物がエヌエス日進d事業場に設置されている改良土プラントで処理されたことを裏付けるものである上,本件係争物によって埋立られた本件土地が3年以上経った時点においても,当初の形状を保持していること(争いがない)は,本件係争物が控訴人ら主張の締め固めの効果を持つことを裏付けるものである。さらに,エヌエス日進は,建設汚泥を材料とした改良土について,他にも販売実績を有している(甲21,67ないし70等。枝番を含む。)

(エ) 以上検討した結果によれば,本件の場合,被控訴人が,本件係争物の売買が仮装ではないかと疑念を持つに至ったことにその根拠が全くなかったとまではいえないものの,本件係争物が有価物ではなく,訴外未来を含む控訴人らの間で売買が仮装されたと断定することはできないといわざるを得ない。したがって,本件係争物については,有価物として再生されていない産業廃棄物であるとも認めることはできない。被控訴人のその他の主張,立証によっても,以上の認定,判断を覆すには足りない。

5 争点(5)(本件各処分に係る行政手続の違法性)について
 上記4によれば,本件各処分は,産業廃棄物とは認められない本件係争物を産業廃棄物として行われたものであるから,違法なものであるといわざるを得ないが,その瑕疵の程度は,前記第2の2(2)で認定した本件各処分に至る経緯及び上記4によれば,明白なものであるとは認め難いというべきであるから,本件各処分の取消事由となるに止まり,無効事由とはならないといわざるを得ない。
 控訴人らは,本件各処分の無効確認を主位的請求とし,前記第2の3(5)のアにおいて,本件各処分に係る行政手続の違法性についての主張をしている。しかし,仮に,本件各処分に係る行政手続に控訴人ら主張の違法性があると認められるとしても,その違法は本件各処分の取消事由とはなるものの,無効事由とはならないと解されるから,上記のとおり既に取消事由があることが認められる本件の場合には,争点(5)についてさらに判断を加える必要はないといわざるを得ない。

6 以上によれば,控訴人らの本件各請求は,本件各処分の無効確認を求める主位的請求は理由がないからこれを棄却すべきであるが,本件各処分の取消を求める予備的請求は理由があるからこれを認容し,エヌエス日進の本件許可証返納通知の無効確認等を求める訴えは不適法であるから却下すべきである。

第4 結論
 よって,結論を異にする原判決を変更し,仮執行宣言については相当でないからこれを付さないこととし,主文のとおり判決する。

http://houmu.h-chosonkai.gr.jp/hanrei/jirei61.htm  


Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 20:20Comments(1)小鳥が丘団地土壌汚染

2009年12月19日

ATC「わが国の土壌汚染リスク評価の在り方」セミナー



■ATCグリーンエコプラザ「わが国の土壌汚染リスク評価の在り方」セミナー■
   〜地圏環境リスク評価システム〜

 改正土壌汚染対策法の施行を控え、土壌・地下水汚染のリスクを適切に評価することがますます重要になってきています。
 そこで、今回は、土壌・地下水汚染におけるリスク評価について、産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門地圏環境評価研究グループ長 駒井武氏に、土壌汚染の健康リスクを個々の現場ごとに定量化できる地圏環境リスク評価システム(GERAS)についてご紹介していただいただきます。
 さらに、和歌山大学准教授の江種伸之氏に「我が国のリスク評価のあり方について」ご講演いただきます。
 土壌・地下水汚染に関わるリスク評価について考える良い機会になるかと思いますので、奮ってお申し込みください。

■開催日時■
2010年1月21日(木) 14:00〜17:00

■プログラム■
講演1:リスク評価ソフト「GERAS」について
講 師:(独)産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 地圏環境評価研究グループ長 駒井 武 氏
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090930/
pr20090930.html

講演2:我が国のリスク評価について(仮題)
講 師:和歌山大学 システム工学部 環境システム学科 教授 江種 伸之 氏
  http://blogs.yahoo.co.jp/atcmdk/51094124.html

■主   催■
 おおさかATCグリーンエコプラザビジネス交流会 水・土壌汚染研究部会
  http://atcwsr.earthblog.jp/
 大阪環境産業振興センター(おおさかATCグリーンエコプラザ)実行委員会・ビジネス交流会
  http://www.ecoplaza.gr.jp/business/index.html

■受講料■
 1,000円 (但し、行政担当者、おおさかATCグリーンエコプラザ出展企業、水・土壌研究部会会員は無料)

■会   場■
 おおさかATCグリーンエコプラザ内 ビオトープ・プラザ
  http://www.ecoplaza.gr.jp/access.html

■定  員■
 100名

■申し込み■
 〒559-0034  大阪市住之江区南港北2丁目1-10 ATCビル ITM棟11F
  おおさかATCグリーンエコプラザビジネス交流会 水・土壌汚染研究部会 水・土壌セミナー係 
  TEL06−6615−5887 FAX06−6614−1801  E-mail:md@e-being.jp      
  http://www.e-being.jp/work/concierge.htm
■交 流 会■
セミナー終了後、会場ビル6 階の「ピア6」で交流会を会費制で開催いたします。(2000 円/人)   http://blogs.yahoo.co.jp/atcmdk/13867067.html

詳しくはブログで
 http://blogs.yahoo.co.jp/atcmdk/51081857.html

  


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2009年12月15日

ATCセミナー地域環境と福祉とエコビジネスへの展開

おおさかATCグリーンエコプラザ 環境ビジネスセミナー

地域における環境と福祉の統合モデルの実践とエコビジネスへの展開

 社会の高齢化、障害者への対応、雇用問題等の社会問題が増える現在、高福祉化社会の構築・実現が望まれてい
ます。
また、一方では急激に進む気候変動・地球温暖化や自然環境破壊・生物多様性の減少等の環境問題が大きくクロ
ーズアップされています。
 これからの持続可能な豊かな暮らし社会をつくるためには、環境保全と福祉の充実を統合した考え方に基づいて、地域社会の街づくりや教育・啓発活動を実践することが重要です。
 言い換えればこれからの21世紀は「福祉と環境との融合」を目指す時代と捉える必要があります。
 そこで今回のセミナーでは、前環境省事務次官で環境福祉学会副会長の炭谷茂様に環境福祉学の理論と実践について基調講演をして頂き、その後に、地域社会で具体的に環境と福祉の統合事業の実践活動をしている徳島市のNPO法人太陽と緑の会様と米子市のNPO法人エコパートナーとっとり様から、先導的な活動内容とその成果・課題等の学習を行います。


開催日時
 平成22年1月29日(金)13:30〜17:00

内容
 基調講演「環境福祉学とは何か〜まちづくり、企業活動等への活用〜」
 講師:環境福祉学会副会長、恩賜財団済生会理事長
(元環境省事務次官) 炭谷茂氏


講演1 「環境保全と障害者福祉を融合した社会貢献事業」
講師:NPO法人太陽と緑の会代表理事杉浦良氏

講演2 「障害者施設と連携した環境改善活動」
講師:NPO法人エコパートナーとっとり理事長大野木昭夫氏
 (サンイン技術コンサルタント株式会社代表取締役社長)

主催おおさかATCグリーンエコプラザ実行委員会(大阪市、ATC、日本経済新聞社)
協力ATCエイジレスセンター

受講料
 無料

会場
 アジア太平洋トレードセンター(ATC)ITM棟、おおさかATCグリーンエコプラザ゙内「ビオトーププラザ」

定員
 100 名(先着順※受付確認はセミナー開催約10 日前までFAX またはE-mail でお送りします。)

お申し込み
 おおさかATCグリーンエコプラザ事務局まで
  〈事務局〉〒559-0034 大阪市住之江区南港北2丁目1-10 ATCビルITM棟11F
   おおさかATCグリーンエコプラザ「環境と福祉の統合モデル」セミナー(1 月29 日)係TEL:06-6615-5688
   お申し込みはE−mailで、もしくは下記にご記入後FAXで、お送りください
     http://www.ecoplaza.gr.jp/img/pdf/seminar100129.pdf
       E−mail:office@ecoplaza.gr.jp FAX送付先06−6615−5890

         http://www.ecoplaza.gr.jp/img/pdf/seminar100129.pdf  


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2009年12月15日

ATC「自然環境復元と生物多様性」セミナー




おおさかATCグリーンエコプラザ循環型社会形成推進セミナー

 2010年10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けて自然環境復元と
生物多様性保全への関心が高まっている。
 生物多様性減少の要因は、人間のさまざまな活動によってもたらされるものであり、人口増加、森林破壊、さまざまな汚染、および地球温暖化による顕著な気候変動等があるが、これらが累積しながら生物多様性維持に大きな打撃を与えている。そこで今回のセミナーでは「関西における自然環境復元と生物多様性保全」に焦点を当て、20年前からこの問題に取り組み、活動を展開しているNPO法人自然環境復元協会と再生医の会・関西の協力を得て本セミナーを開催しますのでご案内いたします。

開催日時
 平成22年1月26日(火) 13:30〜17:00


基調講演
「自然環境復元と生物多様性について」
講師:富士常葉大学教授、静岡大学名誉教授、自然環境復元協会理事長 杉山恵一氏

講演1 「滋賀県の山門(やまかど)水源の森における生物多様性の維持と復元の取り組みの成果と課題
       〜湿地を含む里山管理の手探りの挑戦10年間、やっと明かりが見えてきた〜」
講師:山門水源の森連絡協議会会長、山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会理事
      環境再生医の会・関西会長 村上宣雄氏

講演2 「国営明石海峡公園神戸地区の生物多様性と市民参画による復元・保全活動
      〜市民の手でどこまでできる森・棚田・農耕地・草地の再生と管理〜」
講師:あいな里山公園ビオパーク代表グローバル環境文化研究所 代表 赤尾整志氏


講演3 「外来生物が身近な自然環境を侵している
      〜大川(旧淀川)での調査漁を通して気づかされたこと〜」
講師:NPO法人関西ナショナル・トラスト協会常任理事、グローバル環境文化研究所会員、
       日本環境教育学会 関西支部世話人 岡村悦治氏

主催
 おおさかATCグリーンエコプラザ実行委員会(大阪市、ATC、日本経済新聞社)

協力
 自然環境復元協会、環境再生医の会・関西

受講料
 無料

会場
 アジア太平洋トレードセンターー(ATC)ITM棟、
   おおさかATCグリーンエコプラザ゙内「ビオトーププラザ」

定員
 100 名(先着順※受付確認はセミナー開催約10 日前までFAX またはE-mail でお送りします。)

お申し込み
 おおさかATCグリーンエコプラザ事務局まで
  〈事務局〉〒559-0034 大阪市住之江区南港北2丁目1-10 ATCビルITM棟11F
   おおさかATCグリーンエコプラザ「自然環境保全」セミナー(1 月26 日)係TEL:06-6615-5688
    お申し込みはE−mailで、もしくは下記にご記入後FAXで、お送りください
      E−mail:office@ecoplaza.gr.jp FAX送付先06−6615−5890

          http://www.ecoplaza.gr.jp/img/pdf/seminar100126.pdf  


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