2010年01月07日
環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
第三次環境基本計画
−環境から拓く 新たなゆたかさへの道−
第4節 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
1 現状と課題
(1)現状
水は、地球上の限りある資源であり、生物の命を育み、我々の生活や産業に
不可欠な基本要素です。
水循環は、一般に、森林、農地等への降雨が土壌に保水されつつ、地表水及び地下水として相互にやり取りしながら徐々に流下し、河川、湖沼及び海域に流入し、また、それぞれの過程で大気中に蒸発して再び降水となる連続した水の流れです。しかも、洪水や渇水のような変動を伴います。
我々は、古来より、水田耕作、水害防止、生活用水等のために、様々な工夫を加えながら、自然の水循環と人為的な水循環とを有機的に結びつけ、現在の水循環を長時間かけて造りあげてきました。
しかし、特に、戦後の高度経済成長期を通じ、都市への急激な人口や産業の集中と都市域の拡大、産業構造の変化、過疎化の進行等の社会経済の変化を背景に、水循環が急激に変化し、人の生活に必要な水量の供給、水質の浄化、多様な生態系の維持、バランスのとれた地下水の流動による地盤の支持、物質循環等様々な機能が損なわれた結果、水質汚濁、生態系への悪影響、湧水の枯渇、河川流量の減少、地盤沈下、都市水害、渇水、親水性の低下、水により育まれてきた文化の喪失等の問題が生じています。
水質、水量、水辺地、水生生物等を含む水環境や地盤環境について見ると、
例えば、以下のような問題が顕在化しています。
水質環境基準の人の健康の保護に係る項目については達成率が次第に高まっていますが、有機汚濁等の生活環境の保全に係る項目については、特に湖沼や内湾等の閉鎖性水域において改善が十分には進んでおらず、水域によっては貧
酸素水塊等が発生し、水利用や水生生物等の生育・生息に障害を生じている状況にあります。
また、有害物質による土壌や地下水の汚染等の問題は、人の健康の保護や生活環境の保全の上で望ましい水質を維持することを困難にします。
人間の生活や社会経済活動による水利用、都市化等に伴う流域の地下浸透・涵養機能の低下等により、河川等の平常時の流量が減少し、その水質や水生生物等の生育・生息環境が改善されていない場合があります。
地下水の過剰揚水による地盤沈下は、全国的には沈静化の傾向にありますが、都市化等に伴う流域の地下浸透・涵養機能の低下等により、地下水位が回復していない地域があるとともに、多くの湧水が枯渇しています。
一方、一部の地域では、地下水位の上昇による地下構造物の浮上等の新たな問題が発生しています。
水辺地については、都市化や護岸整備等によりその環境が損なわれ、水辺地が持つ浄化機能や水生生物等の生育・生息環境としての機能が劣化し、若しくは失われ、また、人と水とのふれあいの場としての活用が困難な地域が見られます。
このような水質、水量、水辺地、水生生物等の問題は相互に深く関連し、互いに影響を与えています。
さらには、今後、地球温暖化による気温の上昇、降水量の変化、降水の強度及び頻度の変化等の影響は、将来にわたり、水環境の保全にとって重大な支障となるおそれがあります。また、21 世紀は水の世紀と言われ、水の問題は、国内のみならず、国際的課題ともなっています。
(2)これまでの取組
このような状況の下、それぞれの地点で水環境や地盤環境の質を判断し、汚染・汚濁負荷の低減等を通じて環境の保全を図ろうとする、いわば「場の視点」からの取組は、今後も基本的な施策として進める必要があります。
しかしながら、上に述べたとおり、水が、土壌で保水・浄化されつつ、地表水及び地下水として相互にやり取りしながら流れていくことにかんがみれば、今日の水環境の悪化の背景には、汚濁負荷の増加等と並んで水循環の変化があ
り、地盤環境の問題にも地下水を通じ水循環が深く関わっています。このように、水循環が上流域から下流域へという面的な広がり及び地表水と地下水を結ぶ立体的広がりを有することを考慮すると、単に問題の生じている地点のみに着目するだけでなく、流域全体を視野に入れていく必要があります。
このため、水循環の全体を通じて、人間社会の営みと環境の保全に果たす水の機能が、適切なバランスの下に共に確保され、水循環の恩恵を享受し、継承できるよう、洪水や渇水等異常時における問題にも留意しつつ、流域全体を捉えて、いわば
「流れの視点」から環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組を推進することが重要な課題との認識が醸成されてきました。
水循環に関する問題の様相は個々の地域によって大きく異なることを踏まえ、流域単位で、環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の策定・実行の重要性が第二次環境基本計画(平成12 年12 月閣議決定)において示されました。
また、参考となる事例や知見として「健全な水循環系構築のための計画づくりに向けて」(平成15 年10 月、健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議)が取りまとめられました。これまでに、流域ごとの計画策定と関連施策の実施が進みつつあります。
この計画は、治水や利水との整合を図りながら、環境保全の観点から、現状の水循環の診断、流域全体及び流域の特性に応じた望ましい水循環像とその実現に向けた施策体系、流域の地域区分に応じた環境保全上健全な水循環の構築やそのための施設整備等に関する具体的な目標の設定とその実現に向けた施策体系等から成ります。その策定に当たっては、関係行政機関のみならず、流域の住民、事業者、民間団体、学識経験者等の関係者の意見を取り入れ、また、施策の展開に当たっては、これら関係者の参加を重視したものとなっています。
(3)課題
環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組をさらに進める上で、流域の一人一人が身近な水環境の魅力やそれが抱えている問題に気づき、主体的に活動に参加することが重要となるため、流域の水循環の現状に対する認識を流域の住民、事業者、民間団体、地方公共団体、国等の関係者が広く共有することが重要です。
そのため、流域の水循環の機構を解明・把握し、流域の自然、社会的条件を踏まえ、環境保全上の健全性の実態を把握し、問題点を抽出し、関連情報を共有することが必要です。その際には、健全性の評価やモニタリングの在り方等について検討が必要です。
そして、目標となる望ましい水循環の姿を関係者の間で十分に議論し、広く共有できるよう、わかりやすい目標を設定し、各主体の取組が、効果的、効率的、継続的に進むような仕組みとする必要があります。さらに、対策の状況等を踏まえ、必要な場合は見直していくことも重要です。
2 中長期的な目標
今後の四半世紀における望ましい社会・経済像を見据え、現在及び将来の社会・経済の状況、技術レベル、生活の質を考慮した上で、治水や利水との整合を図りながら、環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵を最大限享受できる社会の構築を目指します。
その際、流域ごとの特性に応じ、環境保全上健全な水循環の構築の観点から、水循環に関する課題や目指すべき将来像が設定されるとともに、流域の住民、事業者、民間団体、地方公共団体、国等の協働により、人と身近な水とのふれあいを通じた豊かな地域づくりが行われることを目標とします。
環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵とは、流域の特性に応じた水質、水量、水生生物等、水辺地を含む水環境や地盤環境が保全されており、それらの持続可能な利用が図られることを指します。具体的には、洪水や渇水等異常時における問題にも留意しつつ、主として平常時において、流域の特性に応じ、以下に掲げるような状態を維持することが重要です。
水質 −水環境・土壌環境において、人の健康の保護、生活環境の保全、さらには、水生生物等の保全の上で望ましい質が維持されること。
水量 −平常時において、水質、水生生物等、水辺地の保全等を勘案した適切な水量が維持されること。土壌の保水・浸透機能が保たれ、適切な地下水位、豊かな湧水が維持されること。
水生生物−人と豊かで多様な水生生物等との共生がなされること。
水辺地 −人と水とのふれあいの場となり、水質浄化の機能が発揮され、豊かで多様な水生生物等の生育・生息環境として保全されること。
3 施策の基本的方向
以上のような目標の達成に向けて、第2章第1節「3.水環境、土壌環境、地盤環境の保全」に掲げるように、汚染・汚濁負荷の低減等を通じて水環境等の保全を図ることはもとより、次のような方向性をもって施策展開を図ります。
(1)流域に共通する施策
環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵と治水・利水に支えられた人間社会の営みが共に確保されるよう、流域全体を総合的に捉え、効率的かつ持続的な水利用等を今後とも推進していく必要があります。
このため、農業用水の循環利用の促進等による効率的利用、工業用水の循環利用の促進等による水利用の合理化、節水器具の普及や下水処理水の再利用等による生活用水の効率的利用、雨水の生活用水としての利用等を進め、水源への負担を軽減するとともに、必要に応じて、未活用水の有効活用を図り、水質や水生生物の保全等の観点から流量確保のための様々な施策を行います。
河川水を取水、利用した後の排水については、可能な限り、下流での水利用にいかせる水質及び水量で河川に戻すことを基本としつつ、その場において放流することの妥当性、水利用のエネルギー効率性や費用対効果等を勘案し、地域の特性に応じて見直しを含めた取排水系統の検討を行います。
また、流域全体を通じて、貯留浸透・涵養能力の保全・向上を図り、湧水の保全・復活に取り組むほか、地域の特性を踏まえた適切な地下水管理方策の検討を行います。さらに、水辺地の保全・再生に取り組みます。また、流域の源頭部から海岸までの総合的な土砂管理の観点から、土砂移動の調査研究や下流への土砂還元対策を試行します。土壌環境については、水を介した汚染物質の移動による土壌と水の相互の汚染という悪循環を断ち切るため、土壌汚染の調査、対策技術の向上や具体性がある指針の提示等により、土壌汚染対策等の円滑な実施を促進します。
(2)山間部
森林の公益的な機能の一つである水源涵養機能を今後とも維持、向上させるよう、森林の公益的な機能を評価して、その保全、育成や適切な管理を図る必要があります。このため、水源地対策を進めながら、水源かん養保安林等の計画的な指定及び保安林における転用規制や伐採規制の適正な運用を図るなど法制度の活用や治山施設の整備により森林を保全します。また、流域全体を通じて森林の適正な整備を推進するとともに、水源涵養機能等の発揮に対する要請が高く適正な整備が必要なものについては、治山事業など公的主体による森林の整備の推進を図ります。
さらに、森林の公益的機能に着目した基金を地域の特性を踏まえて活用することやボランティア活動など流域の住民や事業者が参加した森林の保全・整備の取組を推進します。なお、森林整備に当たっては、地域の特性に応じ、伐採年齢の長期化、複層状態の森林の整備等の適正な森林
整備を通じて保水能力の高い森林の育成に努めます。
(3)農村・都市郊外部
農村・都市郊外部においては、川の流れの保全や回復と、流域の貯留浸透・涵養能力の保全・向上を今後とも図る必要があります。このため、居住地周辺の里山林の整備・保全、都市計画制度の活用や地方公共団体の条例等による緑地の保全を推進します。
また、公共施設の緑化を積極的に推進するとともに、民有地の緑化の推進を図ります。水源涵養機能等の農業の多面的機能は、農業の持続的発展により発揮されることから、水田や畑地の保全を推進し、耕作放棄地の発生を防止します。発生した耕作放棄地については、都市住民のボランティアによる復旧活動、市民農園の開設等の活動による解消を促進します。
さらに、良好な景観の形成や生態系の保全、親水空間の形成等の環境との調和に配慮しつつ農業水利施設を計画的に整備・管理することや、生活排水処理を進めるに当たって、農村部においては、地域の実情に応じて、小規模分散型の下水道、農業集落排水施設・浄化槽を活用することなどにより、水資源の循環利用を促進します。
併せて、地盤沈下などが発生するおそれのある地域では、継続して監視を行うとともに、地下水利用の適正化や表流水への転換を含めた代替水対策を進めます。
(4)都市部
都市部においては、水循環の変化による問題が現れやすく、河川流量の減少、親水性の低下、ヒートアイランド現象等が依然として問題となっており、貯留浸透・涵養機能の回復など、可能な限り自然の水循環の恩恵を増加させる方向で関連施策の展開を図る必要があります。このため、都市計画における整備、開発及び保全の方針等の都市計画制度の活用により、地下水涵養機能の増進や都市における貴重な貯留・涵養能力を持つ空間である公園緑地の保全と創出を推進するとともに、都市内の水路等の創出・保全を図ります。
また、公共施設においては緑化を推進するとともに、民有地についても特別緑地保全地区や緑化地域の指定、緑地協定等の締結の促進等により、良好な自然的環境を形成している民有緑地の確実な保全や新たな緑地空間の創出、住民参加による緑化活動等を推進します。また、住民参加による都市内の水路の保全を支援します。
さらに、地下水涵養を促進するため、雨水浸透施設の整備、流出抑制型下水道の整備、透水性舗装の促進等を進めます。また、雨水や下水処理水等の生活用水としての利用等を進めるとともに、貯水池の弾力的な運用や下水の高度処理水等の河川還元等による流量の確保等の取組を進めます。河川護岸の整備に際しては、表流水と地下水のつながりを確保するとともに、多自然型川づくり等自然に配慮した河川整備を進めること等により水辺の自然環境を改善し、生物の良好な生息・生育の場となる水の流れを確保します。さらに、親水性の向上、ヒートアイランド対策等への有効活用が必要な地域では、都市内河川や地下湧水、下水の高度処理水等の利用を環境影響に配慮しつつ進めます。
また、地下水使用の抑制が必要な地域においては、表流水への転換を含めた代替水対策や地下水採取規制が行われていない地域での地下水使用の合理化、新規の井戸の設置規制、既存の井戸の利用者に対する節水指導等を進めます。
(5)閉鎖性水域における取組
湖沼、内湾等の閉鎖性水域においては、流域からの負荷が流入・滞留しやすく、内部生産や底質からの溶出と相まって、水質の改善がなかなか見られず、水域によっては水生生物等の生育・生息に障害を生じていることから、流域全体を視野に入れて、山間部、農村・都市郊外部、都市部における上記施策の総合的、重点的な推進を図ります。また、浄化の機能及び生物多様性の保全及び回復の観点から、湖沼においては、湖辺の植生や水生生物の保全等湖辺環境の保全を図ります。
閉鎖性海域においては、失われつつある自然海岸、干潟、藻場等浅海域について、適切な保全を図り、干潟・海浜、藻場等の再生、底質環境の改善に向けた取組を推進します。
4 重点的取組事項
(1)各主体に期待される取組
ア 流域の住民、事業者、民間団体等に求められる取組
流域の住民、事業者、民間団体等は、流域の水循環の現状について、その問題点を自ら認識して、それぞれの立場による意見の相違を克服し、目標となる望ましい水循環の姿を共有しようとする取組に主体的に関わることが期待されます。
そして、環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の策定等の取組に参加し、節水意識、汚濁負荷の排出の抑制、水の循環利用等に対する意識を向上させ、具体的な行動を実践することが重要です。
イ 地方公共団体に求められる取組
地方公共団体は、豊かな地域づくりの一環として、流域での環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画策定等において積極的な役割を果たすことが期待されます。
計画の策定等取組の実施に当たっては、流域の住民等と共有できるよう、流域ごとの水循環の現状を把握し、目標を設定して、わかりやすく提示することが重要になります。その前提として、現状の水循環の診断のため、水質、水量、水生生物等の水環境の状態をきめ細かくモニタリングし、把握していく必要があります。
そして、計画の作成に当たって設置された流域協議会等を通じて、国の地方組織等とも連携し、国のみならず、流域の住民、利水者、事業者、民間団体等関係者の意見を取り入れ、その取組への参加を促す必要があります。継続的な取組を促すという観点からは、これら関係者とのパートナーシップによる連携体制の構築に加え、対策の費用対効果の検討等による合意形成の仕組みづくりが必要となります。
また、実効的な取組とするためには、水の利用や管理に関する個別計画の基本的方向等をその内容に含み、また、流域における土地利用、まちづくり、環境保全、森林、農地等関連分野の各種計画との整合性にも配慮することが重要です。さらに、対策の効率性、実施状況等を踏まえ、必要な場合は見直していくことも重要です。
また、都道府県については、流域の関係市町村による共同の取組を促進させる役割や、国の地方組織との調整・連携の役割も果たすことが必要です。
(2)国の取組
国は、流域の地方公共団体等による環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の作成・実行を促進・支援します。
国の地方組織は、流域協議会等を通じ、地方公共団体や関係者との調整・連携を進めるとともに、引き続き、直轄管理区間等における国の直轄事業において環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組を積極的に推進します。
また、国は、流域の住民が、流域ごとの特性に応じ、環境保全上健全な水循環の構築の観点から、水循環の課題点を共有し、目指すべき将来像を設定することを支援するため、住民等が参加しながら、水質のみならず、水量、水辺地、水生生物を含めた水環境を総合的に評価する手法や効率的・効果的なモニタリング体制等、環境保全上の観点から水循環の健全性を診断していく上で効果的な手法等の検討を行います。
さらに、関係省庁の連携を一層強化するとともに、事例や関連施策等の情報の収集・整理・提供により、進捗状況の把握、課題の整理・抽出等を行い、必要な場合は、関連施策の調整及び地方公共団体等の関係者間の調整を行います。
また、水循環の機構の解明等水循環の健全化に資する調査研究・技術開発を推進します。加えて、流域住民等の関係主体による連携・ネットワーク形成等の支援に取り組みます。また、各種施策の費用対効果等の研究を行い、その成果の関係主体間における共有化を推進します。
さらに、我が国における環境保全上健全な水循環に関する取組を国際的に発信し、世界の水環境問題の解決に貢献します。また、節水意識、汚濁負荷の排出の抑制、水の循環利用等に対する国民の意識を向上させるための取組を推進します。
5 取組推進に向けた指標
流域ごとの取組において、平常時の河川流量、地下水涵養量等水循環の健全性に関連するデータを、流域の特性に応じて指標として用い、取組の進行管理を図ることが重要です。
水質のみならず、水量、水辺地、水生生物を含めた水環境を総合的に評価する指標や効率的・効果的なモニタリング体制等、環境保全上の観点から水循環の健全性を診断していく上で効果的な指標の確立を目指して検討を行う必要があります。
水質は、水循環の健全性の重要な側面であり、その目標については、公共用水域及び地下水について水質汚濁に係る環境基準が設定されていることから、基本的に、その維持・達成を目標とするとともに、その維持・達成状況を指標の一つとして関連施策の進行管理を図ります。
また、環境保全上健全な水循環の構築に関する計画の流域ごとにおける作成・改定数を把握し、これを一つの指標として取組状況の進行管理を図ります。加えて、我が国全体での把握が可能であり、環境保全上健全な水循環と深く関連するデータとして、例えば、次の事項を参考として、取組の状況を把握します。
・水質等のモニタリング地点数
・雑用水の利用量
・湧水の把握件数
・水環境の保全の観点から設定された水辺地の保全地区等の面積
・主要な閉鎖性海域の干潟面積
・全国水生生物調査の参加人数
http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/kakugi_honbun20060407.pdf
−環境から拓く 新たなゆたかさへの道−
第4節 環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
1 現状と課題
(1)現状
水は、地球上の限りある資源であり、生物の命を育み、我々の生活や産業に
不可欠な基本要素です。
水循環は、一般に、森林、農地等への降雨が土壌に保水されつつ、地表水及び地下水として相互にやり取りしながら徐々に流下し、河川、湖沼及び海域に流入し、また、それぞれの過程で大気中に蒸発して再び降水となる連続した水の流れです。しかも、洪水や渇水のような変動を伴います。
我々は、古来より、水田耕作、水害防止、生活用水等のために、様々な工夫を加えながら、自然の水循環と人為的な水循環とを有機的に結びつけ、現在の水循環を長時間かけて造りあげてきました。
しかし、特に、戦後の高度経済成長期を通じ、都市への急激な人口や産業の集中と都市域の拡大、産業構造の変化、過疎化の進行等の社会経済の変化を背景に、水循環が急激に変化し、人の生活に必要な水量の供給、水質の浄化、多様な生態系の維持、バランスのとれた地下水の流動による地盤の支持、物質循環等様々な機能が損なわれた結果、水質汚濁、生態系への悪影響、湧水の枯渇、河川流量の減少、地盤沈下、都市水害、渇水、親水性の低下、水により育まれてきた文化の喪失等の問題が生じています。
水質、水量、水辺地、水生生物等を含む水環境や地盤環境について見ると、
例えば、以下のような問題が顕在化しています。
水質環境基準の人の健康の保護に係る項目については達成率が次第に高まっていますが、有機汚濁等の生活環境の保全に係る項目については、特に湖沼や内湾等の閉鎖性水域において改善が十分には進んでおらず、水域によっては貧
酸素水塊等が発生し、水利用や水生生物等の生育・生息に障害を生じている状況にあります。
また、有害物質による土壌や地下水の汚染等の問題は、人の健康の保護や生活環境の保全の上で望ましい水質を維持することを困難にします。
人間の生活や社会経済活動による水利用、都市化等に伴う流域の地下浸透・涵養機能の低下等により、河川等の平常時の流量が減少し、その水質や水生生物等の生育・生息環境が改善されていない場合があります。
地下水の過剰揚水による地盤沈下は、全国的には沈静化の傾向にありますが、都市化等に伴う流域の地下浸透・涵養機能の低下等により、地下水位が回復していない地域があるとともに、多くの湧水が枯渇しています。
一方、一部の地域では、地下水位の上昇による地下構造物の浮上等の新たな問題が発生しています。
水辺地については、都市化や護岸整備等によりその環境が損なわれ、水辺地が持つ浄化機能や水生生物等の生育・生息環境としての機能が劣化し、若しくは失われ、また、人と水とのふれあいの場としての活用が困難な地域が見られます。
このような水質、水量、水辺地、水生生物等の問題は相互に深く関連し、互いに影響を与えています。
さらには、今後、地球温暖化による気温の上昇、降水量の変化、降水の強度及び頻度の変化等の影響は、将来にわたり、水環境の保全にとって重大な支障となるおそれがあります。また、21 世紀は水の世紀と言われ、水の問題は、国内のみならず、国際的課題ともなっています。
(2)これまでの取組
このような状況の下、それぞれの地点で水環境や地盤環境の質を判断し、汚染・汚濁負荷の低減等を通じて環境の保全を図ろうとする、いわば「場の視点」からの取組は、今後も基本的な施策として進める必要があります。
しかしながら、上に述べたとおり、水が、土壌で保水・浄化されつつ、地表水及び地下水として相互にやり取りしながら流れていくことにかんがみれば、今日の水環境の悪化の背景には、汚濁負荷の増加等と並んで水循環の変化があ
り、地盤環境の問題にも地下水を通じ水循環が深く関わっています。このように、水循環が上流域から下流域へという面的な広がり及び地表水と地下水を結ぶ立体的広がりを有することを考慮すると、単に問題の生じている地点のみに着目するだけでなく、流域全体を視野に入れていく必要があります。
このため、水循環の全体を通じて、人間社会の営みと環境の保全に果たす水の機能が、適切なバランスの下に共に確保され、水循環の恩恵を享受し、継承できるよう、洪水や渇水等異常時における問題にも留意しつつ、流域全体を捉えて、いわば
「流れの視点」から環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組を推進することが重要な課題との認識が醸成されてきました。
水循環に関する問題の様相は個々の地域によって大きく異なることを踏まえ、流域単位で、環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の策定・実行の重要性が第二次環境基本計画(平成12 年12 月閣議決定)において示されました。
また、参考となる事例や知見として「健全な水循環系構築のための計画づくりに向けて」(平成15 年10 月、健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議)が取りまとめられました。これまでに、流域ごとの計画策定と関連施策の実施が進みつつあります。
この計画は、治水や利水との整合を図りながら、環境保全の観点から、現状の水循環の診断、流域全体及び流域の特性に応じた望ましい水循環像とその実現に向けた施策体系、流域の地域区分に応じた環境保全上健全な水循環の構築やそのための施設整備等に関する具体的な目標の設定とその実現に向けた施策体系等から成ります。その策定に当たっては、関係行政機関のみならず、流域の住民、事業者、民間団体、学識経験者等の関係者の意見を取り入れ、また、施策の展開に当たっては、これら関係者の参加を重視したものとなっています。
(3)課題
環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組をさらに進める上で、流域の一人一人が身近な水環境の魅力やそれが抱えている問題に気づき、主体的に活動に参加することが重要となるため、流域の水循環の現状に対する認識を流域の住民、事業者、民間団体、地方公共団体、国等の関係者が広く共有することが重要です。
そのため、流域の水循環の機構を解明・把握し、流域の自然、社会的条件を踏まえ、環境保全上の健全性の実態を把握し、問題点を抽出し、関連情報を共有することが必要です。その際には、健全性の評価やモニタリングの在り方等について検討が必要です。
そして、目標となる望ましい水循環の姿を関係者の間で十分に議論し、広く共有できるよう、わかりやすい目標を設定し、各主体の取組が、効果的、効率的、継続的に進むような仕組みとする必要があります。さらに、対策の状況等を踏まえ、必要な場合は見直していくことも重要です。
2 中長期的な目標
今後の四半世紀における望ましい社会・経済像を見据え、現在及び将来の社会・経済の状況、技術レベル、生活の質を考慮した上で、治水や利水との整合を図りながら、環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵を最大限享受できる社会の構築を目指します。
その際、流域ごとの特性に応じ、環境保全上健全な水循環の構築の観点から、水循環に関する課題や目指すべき将来像が設定されるとともに、流域の住民、事業者、民間団体、地方公共団体、国等の協働により、人と身近な水とのふれあいを通じた豊かな地域づくりが行われることを目標とします。
環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵とは、流域の特性に応じた水質、水量、水生生物等、水辺地を含む水環境や地盤環境が保全されており、それらの持続可能な利用が図られることを指します。具体的には、洪水や渇水等異常時における問題にも留意しつつ、主として平常時において、流域の特性に応じ、以下に掲げるような状態を維持することが重要です。
水質 −水環境・土壌環境において、人の健康の保護、生活環境の保全、さらには、水生生物等の保全の上で望ましい質が維持されること。
水量 −平常時において、水質、水生生物等、水辺地の保全等を勘案した適切な水量が維持されること。土壌の保水・浸透機能が保たれ、適切な地下水位、豊かな湧水が維持されること。
水生生物−人と豊かで多様な水生生物等との共生がなされること。
水辺地 −人と水とのふれあいの場となり、水質浄化の機能が発揮され、豊かで多様な水生生物等の生育・生息環境として保全されること。
3 施策の基本的方向
以上のような目標の達成に向けて、第2章第1節「3.水環境、土壌環境、地盤環境の保全」に掲げるように、汚染・汚濁負荷の低減等を通じて水環境等の保全を図ることはもとより、次のような方向性をもって施策展開を図ります。
(1)流域に共通する施策
環境保全上健全な水循環がもたらす恩恵と治水・利水に支えられた人間社会の営みが共に確保されるよう、流域全体を総合的に捉え、効率的かつ持続的な水利用等を今後とも推進していく必要があります。
このため、農業用水の循環利用の促進等による効率的利用、工業用水の循環利用の促進等による水利用の合理化、節水器具の普及や下水処理水の再利用等による生活用水の効率的利用、雨水の生活用水としての利用等を進め、水源への負担を軽減するとともに、必要に応じて、未活用水の有効活用を図り、水質や水生生物の保全等の観点から流量確保のための様々な施策を行います。
河川水を取水、利用した後の排水については、可能な限り、下流での水利用にいかせる水質及び水量で河川に戻すことを基本としつつ、その場において放流することの妥当性、水利用のエネルギー効率性や費用対効果等を勘案し、地域の特性に応じて見直しを含めた取排水系統の検討を行います。
また、流域全体を通じて、貯留浸透・涵養能力の保全・向上を図り、湧水の保全・復活に取り組むほか、地域の特性を踏まえた適切な地下水管理方策の検討を行います。さらに、水辺地の保全・再生に取り組みます。また、流域の源頭部から海岸までの総合的な土砂管理の観点から、土砂移動の調査研究や下流への土砂還元対策を試行します。土壌環境については、水を介した汚染物質の移動による土壌と水の相互の汚染という悪循環を断ち切るため、土壌汚染の調査、対策技術の向上や具体性がある指針の提示等により、土壌汚染対策等の円滑な実施を促進します。
(2)山間部
森林の公益的な機能の一つである水源涵養機能を今後とも維持、向上させるよう、森林の公益的な機能を評価して、その保全、育成や適切な管理を図る必要があります。このため、水源地対策を進めながら、水源かん養保安林等の計画的な指定及び保安林における転用規制や伐採規制の適正な運用を図るなど法制度の活用や治山施設の整備により森林を保全します。また、流域全体を通じて森林の適正な整備を推進するとともに、水源涵養機能等の発揮に対する要請が高く適正な整備が必要なものについては、治山事業など公的主体による森林の整備の推進を図ります。
さらに、森林の公益的機能に着目した基金を地域の特性を踏まえて活用することやボランティア活動など流域の住民や事業者が参加した森林の保全・整備の取組を推進します。なお、森林整備に当たっては、地域の特性に応じ、伐採年齢の長期化、複層状態の森林の整備等の適正な森林
整備を通じて保水能力の高い森林の育成に努めます。
(3)農村・都市郊外部
農村・都市郊外部においては、川の流れの保全や回復と、流域の貯留浸透・涵養能力の保全・向上を今後とも図る必要があります。このため、居住地周辺の里山林の整備・保全、都市計画制度の活用や地方公共団体の条例等による緑地の保全を推進します。
また、公共施設の緑化を積極的に推進するとともに、民有地の緑化の推進を図ります。水源涵養機能等の農業の多面的機能は、農業の持続的発展により発揮されることから、水田や畑地の保全を推進し、耕作放棄地の発生を防止します。発生した耕作放棄地については、都市住民のボランティアによる復旧活動、市民農園の開設等の活動による解消を促進します。
さらに、良好な景観の形成や生態系の保全、親水空間の形成等の環境との調和に配慮しつつ農業水利施設を計画的に整備・管理することや、生活排水処理を進めるに当たって、農村部においては、地域の実情に応じて、小規模分散型の下水道、農業集落排水施設・浄化槽を活用することなどにより、水資源の循環利用を促進します。
併せて、地盤沈下などが発生するおそれのある地域では、継続して監視を行うとともに、地下水利用の適正化や表流水への転換を含めた代替水対策を進めます。
(4)都市部
都市部においては、水循環の変化による問題が現れやすく、河川流量の減少、親水性の低下、ヒートアイランド現象等が依然として問題となっており、貯留浸透・涵養機能の回復など、可能な限り自然の水循環の恩恵を増加させる方向で関連施策の展開を図る必要があります。このため、都市計画における整備、開発及び保全の方針等の都市計画制度の活用により、地下水涵養機能の増進や都市における貴重な貯留・涵養能力を持つ空間である公園緑地の保全と創出を推進するとともに、都市内の水路等の創出・保全を図ります。
また、公共施設においては緑化を推進するとともに、民有地についても特別緑地保全地区や緑化地域の指定、緑地協定等の締結の促進等により、良好な自然的環境を形成している民有緑地の確実な保全や新たな緑地空間の創出、住民参加による緑化活動等を推進します。また、住民参加による都市内の水路の保全を支援します。
さらに、地下水涵養を促進するため、雨水浸透施設の整備、流出抑制型下水道の整備、透水性舗装の促進等を進めます。また、雨水や下水処理水等の生活用水としての利用等を進めるとともに、貯水池の弾力的な運用や下水の高度処理水等の河川還元等による流量の確保等の取組を進めます。河川護岸の整備に際しては、表流水と地下水のつながりを確保するとともに、多自然型川づくり等自然に配慮した河川整備を進めること等により水辺の自然環境を改善し、生物の良好な生息・生育の場となる水の流れを確保します。さらに、親水性の向上、ヒートアイランド対策等への有効活用が必要な地域では、都市内河川や地下湧水、下水の高度処理水等の利用を環境影響に配慮しつつ進めます。
また、地下水使用の抑制が必要な地域においては、表流水への転換を含めた代替水対策や地下水採取規制が行われていない地域での地下水使用の合理化、新規の井戸の設置規制、既存の井戸の利用者に対する節水指導等を進めます。
(5)閉鎖性水域における取組
湖沼、内湾等の閉鎖性水域においては、流域からの負荷が流入・滞留しやすく、内部生産や底質からの溶出と相まって、水質の改善がなかなか見られず、水域によっては水生生物等の生育・生息に障害を生じていることから、流域全体を視野に入れて、山間部、農村・都市郊外部、都市部における上記施策の総合的、重点的な推進を図ります。また、浄化の機能及び生物多様性の保全及び回復の観点から、湖沼においては、湖辺の植生や水生生物の保全等湖辺環境の保全を図ります。
閉鎖性海域においては、失われつつある自然海岸、干潟、藻場等浅海域について、適切な保全を図り、干潟・海浜、藻場等の再生、底質環境の改善に向けた取組を推進します。
4 重点的取組事項
(1)各主体に期待される取組
ア 流域の住民、事業者、民間団体等に求められる取組
流域の住民、事業者、民間団体等は、流域の水循環の現状について、その問題点を自ら認識して、それぞれの立場による意見の相違を克服し、目標となる望ましい水循環の姿を共有しようとする取組に主体的に関わることが期待されます。
そして、環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の策定等の取組に参加し、節水意識、汚濁負荷の排出の抑制、水の循環利用等に対する意識を向上させ、具体的な行動を実践することが重要です。
イ 地方公共団体に求められる取組
地方公共団体は、豊かな地域づくりの一環として、流域での環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画策定等において積極的な役割を果たすことが期待されます。
計画の策定等取組の実施に当たっては、流域の住民等と共有できるよう、流域ごとの水循環の現状を把握し、目標を設定して、わかりやすく提示することが重要になります。その前提として、現状の水循環の診断のため、水質、水量、水生生物等の水環境の状態をきめ細かくモニタリングし、把握していく必要があります。
そして、計画の作成に当たって設置された流域協議会等を通じて、国の地方組織等とも連携し、国のみならず、流域の住民、利水者、事業者、民間団体等関係者の意見を取り入れ、その取組への参加を促す必要があります。継続的な取組を促すという観点からは、これら関係者とのパートナーシップによる連携体制の構築に加え、対策の費用対効果の検討等による合意形成の仕組みづくりが必要となります。
また、実効的な取組とするためには、水の利用や管理に関する個別計画の基本的方向等をその内容に含み、また、流域における土地利用、まちづくり、環境保全、森林、農地等関連分野の各種計画との整合性にも配慮することが重要です。さらに、対策の効率性、実施状況等を踏まえ、必要な場合は見直していくことも重要です。
また、都道府県については、流域の関係市町村による共同の取組を促進させる役割や、国の地方組織との調整・連携の役割も果たすことが必要です。
(2)国の取組
国は、流域の地方公共団体等による環境保全上健全な水循環の構築に向けた計画の作成・実行を促進・支援します。
国の地方組織は、流域協議会等を通じ、地方公共団体や関係者との調整・連携を進めるとともに、引き続き、直轄管理区間等における国の直轄事業において環境保全上健全な水循環の構築に向けた取組を積極的に推進します。
また、国は、流域の住民が、流域ごとの特性に応じ、環境保全上健全な水循環の構築の観点から、水循環の課題点を共有し、目指すべき将来像を設定することを支援するため、住民等が参加しながら、水質のみならず、水量、水辺地、水生生物を含めた水環境を総合的に評価する手法や効率的・効果的なモニタリング体制等、環境保全上の観点から水循環の健全性を診断していく上で効果的な手法等の検討を行います。
さらに、関係省庁の連携を一層強化するとともに、事例や関連施策等の情報の収集・整理・提供により、進捗状況の把握、課題の整理・抽出等を行い、必要な場合は、関連施策の調整及び地方公共団体等の関係者間の調整を行います。
また、水循環の機構の解明等水循環の健全化に資する調査研究・技術開発を推進します。加えて、流域住民等の関係主体による連携・ネットワーク形成等の支援に取り組みます。また、各種施策の費用対効果等の研究を行い、その成果の関係主体間における共有化を推進します。
さらに、我が国における環境保全上健全な水循環に関する取組を国際的に発信し、世界の水環境問題の解決に貢献します。また、節水意識、汚濁負荷の排出の抑制、水の循環利用等に対する国民の意識を向上させるための取組を推進します。
5 取組推進に向けた指標
流域ごとの取組において、平常時の河川流量、地下水涵養量等水循環の健全性に関連するデータを、流域の特性に応じて指標として用い、取組の進行管理を図ることが重要です。
水質のみならず、水量、水辺地、水生生物を含めた水環境を総合的に評価する指標や効率的・効果的なモニタリング体制等、環境保全上の観点から水循環の健全性を診断していく上で効果的な指標の確立を目指して検討を行う必要があります。
水質は、水循環の健全性の重要な側面であり、その目標については、公共用水域及び地下水について水質汚濁に係る環境基準が設定されていることから、基本的に、その維持・達成を目標とするとともに、その維持・達成状況を指標の一つとして関連施策の進行管理を図ります。
また、環境保全上健全な水循環の構築に関する計画の流域ごとにおける作成・改定数を把握し、これを一つの指標として取組状況の進行管理を図ります。加えて、我が国全体での把握が可能であり、環境保全上健全な水循環と深く関連するデータとして、例えば、次の事項を参考として、取組の状況を把握します。
・水質等のモニタリング地点数
・雑用水の利用量
・湧水の把握件数
・水環境の保全の観点から設定された水辺地の保全地区等の面積
・主要な閉鎖性海域の干潟面積
・全国水生生物調査の参加人数
http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/kakugi_honbun20060407.pdf
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│土壌汚染と土地取引分科会