2010年01月31日
「第12回豊洲の土壌汚染対策工事技術会議」会議録BK
「第12 回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の概要
1 日時
平成21 年2 月3 日(火) 10:00〜13:00
2 場所
東京都庁第一本庁舎
3 出席委員
原島文雄座長 ほか6名
4 検討項目
(1) ベンゾ(a)ピレン及び不透水層の対策について
ア 調査結果によりベンゼンの検出箇所におけるベンゾ(a)ピレンの濃度などを確認し、技術会議でとりまとめた対策でベンゾ(a)ピレンへの対応が可能であることを改めて確認した。
イ 不透水層の未確認地点及びその汚染については、対策時の底面管理による汚染土壌掘削、除去などにより対応が可能であることを改めて確認した。
(2) 報告書の決定
報告書の記載内容に関する各委員からの意見を集約し、それらの意見をもとに再度修正した箇所を確認のうえ、報告書を決定した。
(3) 提案の評価結果
ア 各提案に対する最終的な評価結果及び評価コメントについて、その内容を確認した。
イ 提案のうち、技術会議が定めた技術・工法に照らして評価の高かったものについては、その概要に加え、評価コメントを併せて公表することとした。
「第12回豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」会議録
1 日時
平成21 年2 月3 日(火)10:00〜13:00
2 場所
東京都庁第一本庁舎42 階 特別会議室B
3 出席委員
原島座長、矢木委員、長谷川委員、小橋委員、安田委員、川田委員、根本委員
4 議事
(1)ベンゾ(a)ピレンについて
(2)不透水層について
(3)技術会議報告書(案)
(4)提案者に通知する評価結果と評価コメント
(5)公表内容について
5 検討内容
(1)ベンゾ(a)ピレンについて
(東京都) それでは、先般、報道等で出ましたベンゾ(a)ピレンの問題でございます。
まず、19 年5月から行われました専門家会議におきまして、土壌汚染状況の調査
の必要性が提起された中にございまして、今回ベンゾ(a)ピレンにつきましては、ター
ルに含まれているということで、調査地点で処理基準を超えまして、油臭・油膜が非
常に顕著にある160 カ所、全体441 カ所の中から160 カ所を選定して、そのコアの
中で油臭・油膜が強い深度の土壌を採取・分析いたしました。
その結果でございますが、160 カ所中150 カ所でベンゾ(a)ピレンが検出されたと
いうことでございます。このうち50mg/kg を超えたのが15 カ所で、最大濃度は
590mg/kg という結果でございます。
こうした分析結果を受けまして、私どもといたしまして、まず安全性の確認という
ことで、専門家会議の先生にご意見を伺うということで、専門家会議で議論されてい
た値よりも大きいこともございまして、安全性を確認するということで専門家会議の
意見を聞いております。その専門家会議の委員の意見につきましては、専門家会議の
中でも地下水中にベンゾ(a)ピレンが溶けていたときに、それが揮発して地上に上って
くるといった場合を想定いたしまして、そこで大気環境等に影響がないかというもの
をリスク評価ということで行っていただきました。
ベンゾ(a)ピレンにつきましては、水に溶けにくいということもございまして、水に
溶ける溶解度になったとしても10−5を超えないという先生たちのご意見で、十分安
全だろうということでございました。ただし、ベンゾ(a)ピレンの土壌を実際に外部に
搬出するときには、拡散を防止する点から適切な配慮が必要ではないかといったご意
見をいただいております。
こういった意見の中で、ベンゾ(a)ピレンの処理の可能性の検討ということでござい
ます。技術会議で策定いたしました土壌掘削をいたしまして、中温加熱処理ですとか
洗浄処理ですとか、それぞれ処理方法が策定されているわけでございますけれども、
その対策につきまして、高濃度の汚染土壌の多くは油膜が見られるということで、中
温加熱処理の対象としております。我々160 検体を見てみますと、中温加熱処理によ
って50mg/kg を超える15 カ所中14 カ所に汚染土壌が完全に浄化されるというよう
な、この技術会議での対策の結果ではそういうことになっています。
さらに、洗浄処理とか生物処理も一定程度の浄化が可能でございまして、特に埋め
戻し用に分級した粗粒土はベンゾ(a)ピレンはほとんど含まない可能性があるという
ことでございます。
さらに、処理基準以下の健全土壌のベンゾ(a)ピレン濃度は低レベルということで、
このうち埋立用として有効に活用していく土壌は油臭をチェックいたしまして、油臭
が強いものは中温加熱に回すことを考えておりまして、こういった土壌を除きますと、
都内の一般環境土壌の最大濃度レベルと同レベルになるだろうということでござい
ます。
最終的に次のことが言えるということでございます。
豊洲敷地内の土壌でございます。まずA.P.+4m〜A.P.+2mの土壌につきまして
は、外部から健全土を搬入して入れかえます。さらに、A.P.+2mよりも下につきま
しては、埋め戻し用に中温処理された土壌ですとか洗浄処理された粗粒土といったベ
ンゾ(a)ピレンをほとんど含まない土壌を用いることを考えていきますと、ベンゾ(a)
ピレンの濃度は現状よりも大幅に低下する状況になるということでございます。土壌
中にあるベンゾ(a)ピレンでございますが、現状でもリスクはほとんどないといったこ
とで、こういった対策をすることによって安全性はさらに向上するということでござ
います。
土壌の外部搬出時の配慮ということで、特に埋立用として搬出する土壌につきまし
て、油臭をチェックいたしまして、油臭の強いものは中温加熱に回すといったことで
ございます。洗浄処理による細粒土については、セメントリサイクル等を行いまして
完全に分解されると。さらに、土壌の外部搬出に当たりましては、土壌の飛散防止措
置を講じていくということでございます。
委員からもいろいろご指導いただきまして、まとめたということでございます。
ベンゾ(a)ピレンとベンゼン、TPH、三つの相関ということで、やはりそれぞれの
ところで値が大きくなっている傾向が、特に濃度が濃いところで顕著にあらわれてい
るのかなと思っております。
2番目、処理法別ベンゾ(a)ピレン濃度でございます。中温処理の対象となります土
壌が最もベンゾ(a)ピレン濃度が高いという結果になったということでございます。
そうした結果で、私どもで処理していくに当たって、A.P.+4m〜A.P.+2m、A.P.
+2mから下でそれぞれ処理方法を分けてございます。調査深度別に今回の技術会議
の中でどういった方法でやっているかといいますと、A.P.+4m〜A.P.+2mにつき
ましては、油分を含んでいるものについては中温加熱処理、洗浄または生物処理とい
ったこと、それ以外のものについては、処理基準以下のものについても油分を含んで
いるものがありますけれども、三つに分けますとそのようなことになってございます。
A.P.+2m以深につきましても、それぞれの処理方法で分かれております。さらに、
その中で油臭が強い土壌を除くと、汚染土壌処理法で処理基準以下と非掘削で分けま
す。
そういったことで、A.P.+4m〜A.P.+2mにつきまして、またA.P.+2m以深に
つきまして、濃度範囲が0.008〜7.3、0.005〜18.0 といったことで、東京都内の土壌
中のベンゾ(a)ピレン濃度と比較しますと、ほぼ同程度と考えられるということでござ
います。
ベンゾ(a)ピレンの性状と処理の可能性を整理させていただきました。これについて
は、委員から指導をいただいておりますので、委員から一言いただければと思います。
(委 員) 臭気度4 以上を除く処理基準以下の土壌のベンゾ(a)ピレン濃度はA.P.+4m〜2m で
は0.008〜7.3mg/kg と東京都内の一般環境の土壌の濃度範囲と概ね一致している。
A.P.+2m 以深については最大値が18.0mg/kg となっているが、算術平均と幾何平均の
差が大きいことから分かるようにレアケースと思う。
その他は、事務局が説明したとおり、ベンゾ(a)ピレンは、ベンゼン、TPH、油
臭と高い相関があるため、ベンゾ(a)ピレン濃度が高い土壌は、ほぼ全てが処理対
象土壌になると見込まれること、非汚染で搬出される土壌についても必ず臭気をチェ
ックし、臭気が強いと中温加熱処理に回されることから基本的に問題はないと思う。
今回の調査対象土壌は、処理基準以下の土壌といっても、汚染箇所まで掘削の途中、
油臭がひどい場合には処理対象とすることが考えられるので、カバーできると思う。
なお、今回の調査は、汚染がみられる土壌のうち、油臭・油膜がひどいところを選定
し行ったものであり、その他の場所は、油分による汚染も少ないと思われる。
粉じんとして直接吸収、接触する問題については、市場開場時には上層部が健全土
となることから市場そのものに対する影響はない。また、工事中に搬出する場合も、
事前に臭気度をチェックする他、フレコンパッグ等で包むことから環境影響はないと
思う。
(委 員) 洗浄処理の細粒土についてセメントリサイクルにより分解されるというのは、どういうことか。
(委 員) セメントリサイクルでは、中温加熱処理よりはるかに高い温度で処理することから、完全分解される。
(委 員) ベンゾ(a)ピレンは、生物処理で対応できるか。
(委 員) 対応は困難である。生分解性はあるが、短期間では難しい。ただし、ベンゾ(a)ピ
レンがあったとしても、微生物のベンゼンの分解については阻害はしない。ベンゾ(a)
ピレンを分解する菌はいるが、分解菌を接種するなど特別なことが必要となり、実用
化には至っていないので、ここでは適用が困難である。
(委 員) 洗浄処理については、事務局からメーカーに確認してもらったところ、油分に含まれ
るものについては、界面活性剤で油分を吸着できるので問題なく、粗粒土は摩耗作用
等によりほとんど含まれないだろうということであった。
(委 員) 油臭・油膜が顕著な160 箇所はどのような状況なのか。
(委 員) 事務局からは、ボーリングコアを見て油がしみ出しているところと聞いている。おそ
らく問題となるのは、実際に処理するときにどのように判断して、より分けるのかと
いうことだと思う。
(委 員) 50mg/kg を従来の最大濃度の約10 倍としているが、従来とは何か。
(東京都) 専門家会議で報告した最大濃度5.1mg/kg のことを示す。
(委 員) 5.1mg/kg の約10 倍(50mg/kg)がどのような意味を持つのか、考えたほうがよい。
(委 員) 基本的には環境の濃度と比較することがよいと思う。東京湾の底質のデータが結構あ
るが、比較的濃度は低い。国の調査結果でも0.6〜0.7mg/kg で、最高でも2mg/kg 程度
である。むしろ、都内の幹線道路近傍ではディーゼル排ガスの影響を受けるためか、
結構高い濃度となっている。見た限りのデータでは、東久留米市の下里で6〜7mg/kg
程度あり、10mg/kg であれば一般環境濃度の最大レベルと同程度と思う。A.P.+4m〜
2m では、臭気度4 以上を除くと、濃度が高いもので、ほぼ6〜7mg/kg となる。
今回の調査では油臭・油膜がひどい160 箇所のボーリングコアを1m ごとに見て油
がしみ出しているところを分析しており、ここで最大6〜7mg/kg 程度でおさまるので
あれば、他の部分はこれよりも低いだろうということは言えると思う。また、A.P.+2m
以深で掘削対象であれば良いが、全深度が非汚染で掘削の対象にならなかった場合に
どうなるかという話が残るが、リスク的には問題ないと思う。
事務局には、におい(臭気度)とベンゾ(a)ピレンの関係についても整理した方
がよいといってある。
(委 員) 臭気、油膜、ベンゾ(a)ピレンの関係について問われたときに対応できるようにし
ておく必要がある。
(東京都) まずベンゾ(a)ピレンでございますけれども、その対策ということでございますが、濃
度の高い、あるいは地表に近いベンゾ(a)ピレンについては確実に除去していくことを
一つのテーマとして挙げています。豊洲新市場予定地におきましては、A.P.+4m〜
A.P.+2mの土壌についてはすべて入れかえることを行っていきます。
A.P.+4m〜A.P.+2mの油分を含む土壌、またA.P.+2mよりも深いところの油
分を含む汚染土、そういったものは中温加熱処理、または洗浄処理をして無害化を図
っていくということでございます。
A.P.+2m以深で掘削除去しない土壌に含まれるベンゾ(a)ピレンの濃度は、専門家
会議の議論もございましたし、技術会議、この場の議論もありまして、専門家会議の
議論の中で人の健康や生鮮食料品への影響がなく、問題はないということです。
掘削搬出する際にはテントで覆いまして、掘削をして飛散防止を図っていくといっ
た対策をベンゾ(a)ピレンについては考えております。
(委 員) 濃度の高い、あるいは地表に近いベンゾ(a)ピレンについては、油膜が見られる汚
染土壌の処理を通じて対応するということになると思う。また、油分は測らないので、
油膜が見られるということになる。A.P.+2m 以深で掘削除去しない非汚染土壌に含ま
れるベンゾ(a)ピレンの濃度レベルは比較的低いと思う。掘削運搬について、テン
トで覆い掘削するというのはあくまで作業内容で、掘削搬出の場合、埋立用材につい
ては油臭をチェックする、搬出の際にはフレコンパック等で覆うことが基本になると
考えられる。
(東京都) 了解した。
(委 員) 一番問題となるのは、生物処理で除去できないベンゾ(a)ピレンを確実に処理する
ことで、このためには加熱処理が必要となる。
(委 員) 今回の問題が経費や工期に影響を与えないのか、また、この問題以外のことが生じた
ときに対応できるような提言となっているのかという点の見解を示しておく必要がある。
(東京都) 当初、ベンゾ(a)ピレンについては油分に含まれるものとして計算をしていた。今
回、改めて油臭・油膜との関係を確認したが、その結果、全体の経費を変更しないで
対応できることを確認している。
(委 員) この問題以外のことが生じた場合について、対応できるかという点はどうか。
(委 員) 不確実な事象については、保険や予備費で対応する。今回の場合、これを見込んでい
るのか、また、それを見込んでも効率的な対策といえるのか、技術会議としての判断
が必要になると思う。
(委 員) 通常、経費や工期にこのような変動は見込んでいるのか。どの程度見込んでいるか、
数値として示せるか。
(東京都) 費用の何%であるかということは示しにくいが、今回のように油分に含まれるベンゾ
(a)ピレンであれば、十分に対応可能と考えている。
(委 員) ベンゾ(a)ピレンについては、これに特化した対策を追加するわけではないので、
問題ないと考えている。
(委 員) 資料では、人の健康や生鮮食料品への影響はなく、問題はないと書いてあるが、これ
は、専門家会議の見解である。我々はそれに対してどういう技術があるか検討するの
が役割なので、安全性についてはこの点を前提にしないとちょっと難しい。
(委 員) 人の健康影響については、技術会議ではなく専門家会議委員の意見になるのではないか。
(委 員)その点では、無害化するというのは技術会議としては無害化されるということになる。
(委 員)非掘削土壌は問題はないというのも、何を根拠とするのか明確にしておく必要がある。
(委 員) 基準がないので、都内の通常の場所と相当程度以下としかいえないのではないか。
(委 員) 非掘削土壌は健全土であるので、低濃度であることは間違いない。
(2)不透水層について
(東京都) 不透水層の未確認地点についてでございますが、私ども土壌汚染対策を考える際に、
豊洲新市場予定地の下にあります有楽町層という土の層が不透水層であるというこ
とで、そこから上部についての対策をとっていくということで、不透水層よりも下に
つきましては調査をしていない状況にございます。そうした中におきまして不透水層
が、2地点でございますけれども確認されなかったということがございました。その
未確認地点につきましては、まず周辺の調査を行いまして、実態を把握した上で、対
策時に汚染物質を確実に除去していくことを基本的な考え方としております。そうい
う中にありまして、2カ所が確認されなかったわけですけれども、ここは441 カ所、
不透水層を確認していく中で2カ所だけ確認できなかったと。また、周辺のメッシュ
を見てみますと、みんな不透水層が確認されていることもございまして、特異な点だ
ということで考えておりまして、特異な点ということで実態把握ができないと。
こういったことから、周辺部の調査を行いまして、実態を確認した上で対策を行っ
ていくということでございます。土壌につきましては、深さにかかわらず汚染物質を
すべて除去していく。また、地下水についても汚染状況を確認した上で浄化していく。
そういった土壌・地下水の対策をしっかりととった上で、人工的に不透水層をつくっ
て、さらに地盤面まで埋め戻しを行って、さらに液状化対策を行うといった最善の対
策をとっていくということでございます。
こういった未確認のところが2カ所、特異なところで出ましたけれども、本地点と
か、将来的に底面管理が必要な地点を除きまして、不透水層も含めてですけれども、
不透水層より下の調査は行わないということで考えております。
さらに、不透水層に関連いたしまして、不透水層の汚染といったものでございます。
不透水層中に汚染物質が確認されたものについては掘削除去するということでござ
います。東京ガスの調査結果におきまして、不透水層の中で環境基準を超える汚染物
質が確認されている地点につきましては、汚染が存在する範囲を底面管理により確認
いたしまして、汚染土壌は掘削除去することになります。土がある深さまで汚れてい
るということでございますと、不透水層の上端で汚染が見つかっているということで
ございますので、不透水層の中であっても一番下の汚染があるところまで掘りまして、
さらにその汚染が下に行っていないかを確認いたしまして、それが底面管理になりま
すけれども、そういったことをやりながら汚染土壌は掘削除去していくということで
ございます。不透水層自身を掘削することになりますものですから、そういった掘削
部分につきましてはセメントミルクなどで修復いたしまして、地盤面まで埋め戻しを
行っていくことを考えております。
さらに、対策の際、底面管理におきまして不透水層中に汚染の存在が確認された場
合には、同じように対策をとっていくといったことで、いずれにしてもしっかりと対
策をとって万全なものにしていきたいと考えております。
以上でございます。
(委 員) 地下水の流れがなくても、下の方に地下水の汚染が広がることはあるのか。
(委 員) 物質により異なる。物質ごとに拡散係数があるので、流れがなくても微量ながら拡散
現象で広がっていく。また、吸着平衡もあるので、拡散のスピードは拡散係数とオク
タノール分配係数によりある程度予測ができる。
(委 員) 濃度拡散と移流分散の2 つがあり、濃度拡散はオーダーが4〜5 桁ぐらい移流より遅
いので、地下水がとまっていればほとんど動かない。トリクロロエチレンのように液
状で、比重が重い物質は、鉛直下向きに移動するが、ベンゾ(a)ピレンは比重が水
より重いが、水にほとんど溶けないことから移動することはおそらくない。また、吸
着性遅延係数があるため、油膜状で地下水の上層部に浮いたまま帯水層内を移流して
も、その過程で土壌等にトラップ、吸脱着される効果があるので、問題ないと思う。
(委 員) そういうことであれば、問題は不透水層未確認地点となる。
(委 員) 土壌汚染対策法には調査の考え方が定められており、汚染が確認された場合、ある一
定区間汚染がないところまで確認することという規定がある。法どおりに行うという
ことでよいのではないか。
(委 員) 汚染がとまっているものは底面管理できるわけですけど、不透水層の下に流れてしま
うことはあり得るのか。
(委 員) 豊洲は、2 万年前に隅田川と荒川が150m水面が下がって谷ができ、尾根状になった
ところの上に位置している。今回問題となっている箇所は、尾根の高いあたりで、こ
こだけ粘土が薄く、砂と粘土が混じっているという状況になっている。洪積層内の地
下水の圧力は被圧していることも考えられ、その場合は下に流れにくいことも考えられる。
(委 員) 不透水層未確認地点2 箇所については、底面管理や人工的に不透水層を設けることで
問題ないか。
(委 員) 仮に穴があいていても、地盤中でそう簡単には動かないだろう。
(委 員) 不透水層未確認地点について、汚染状況を確認して浄化するとしているが、もう一度
調査するという意味か。
(東京都) 地下水を確認するという意味である。
(委 員) 深いところも調査するということは、不透水層を破ることもあるのではないか。
(委 員) 土壌汚染対策法の適用になれば、調査せざるを得ないので、調査したほうが良いと思う。
(東京都) 不透水層未確認地点の2 地点については、それぞれに状況が異なる。1 箇所は土壌が
下のほうで汚染されていないものの、もう1 箇所では想定している不透水層の位置よ
りも下で汚染が確認されている。どちらも底面管理で2 深度確認できるまで汚染土壌
処理を行う。また、その中で地下水についても確認しながら浄化を行う。
(委 員) 不透水層未確認地点の周辺部を調査するとあるが、未確認地点については調査しないのか。
(東京都) 周辺部の調査は、汚染状況調査ではなく、不透水層の確認調査を考えている。不透水
層が確認できていないという部分がどの程度あるのか実態を把握することとしている。
(委 員) 周辺部の調査とは何か、明確にしたほうが良いと思う。
(東京都) 周辺部の調査で不透水層を確認するが、目視では判断が難しいところは透水係数も測
ったほうが良いか。
(委 員) 透水係数で議論して良いかという問題があるが、透水係数が10-5cm/s 以下で良いとい
うことであれば、サンプリングして透水試験を行えばよい。その場合に、1 深度だけ
でなく、2〜3 深度を対象にしたほうがよい。
(委 員) 不透水層が確認されている箇所では埋め戻して、その後、液状化対策を行う。未確認
地点では埋め戻しの際にセメントを混ぜて締め固めることで不透水層を形成することとしているが、問題ないか。
(委 員) 問題ないと思う。
(委 員)不透水層を形成し、埋め戻しを行うことでよい。
(委 員) 不透水層中に汚染が確認された箇所には、不透水層未確認地点も含まれるのか。
(東京都)これには不透水層未確認地点2 箇所を含まない。不透水層未確認箇所については対策
を実施することで対応し、専門家会議座長の見解も伺ったが、不透水層以深の調査は行わない。
(委 員) そのことは技術会議で決定すべきか。
(委 員) 今後、土壌汚染対策法の対象となる可能性があるので、法対象と同等の調査をおこな
うこととすれば、他の箇所については確認が終わっているので、やる必要はないので
はないか。
(委 員)不透水層まで汚染があるということと、不透水層以深の調査は行わないということは、矛盾はないか。
(東京都) 不透水層まで汚染があるといわれている箇所の他にも、5 街区のように不透水層が浅
い箇所では、2 深度確認ができていない箇所がある。これらも含めて対策時に確認は
すべて実施することとなる。
(東京都) 底面管理の場合、不透水層下の汚染の可能性がある程度あるのではないかと思われ、
不透水層下の調査をしなくてよいのかという議論もありうる。
(委 員) 2 深度確認を行うことになるので、問題ないのではないか。考え方の大前提として、
汚染面から2 深度確認を行う。その場合に不透水層であっても確認を行うということ
でよいのではないか。
(委 員) 不透水層まで汚染があるといわれている箇所においても、2 深度確認などで粘性土を
掘削した場合には、埋め戻し材にセメントを混ぜて人工的な不透水層を形成する同様
の対策が必要である。
(委 員) 液状化対策は、どのレベルに対応しているのか。
(東京都) レベル1 地震動で設計する。今後、レベル2 でも検証しようと考えている。
(委 員) 例えば締め固めのN 値20 を25 に上げる程度なので、レベル1 でもレベル2 でも大き
くは変わらない。
(東京都) 通常は、液状化層を改良するが、今回は汚染物質のある液状化層をとって新たな土で
締め固めて、さらにその上に液状化対策を行うのでかなりの余裕はあると思う。
(委 員) 建物の強度との関係はどうか。
(委 員) 建物は、レベル2 で設計されており、全く問題ない。問題は、液状化で地下水が上が
ってくるかどうかである。臨海副都心では、一般の土地は液状化対策を行っていない。
これに対して豊洲では緑地を含む全面で液状化対策を行う予定としている。
(3)技術会議報告書(案)
(東京都) それでは、第10 回のときも技術会議報告の新旧表でご説明しましたが、今回もA3
横の新旧表でご説明したいと思います。11 回目の会議が終わってから各委員の先生
方と再度チェックさせていただきました。それによって変更または追加になった部分
についてご説明いたします。
まず1ページでございますが、第11 回目の会議の概要でございます。開催日時及
び検討の内容について書いたものです。
(ア)としまして、ベンゾ(a)ピレンの調査、不透水層の確認及び不透水層の汚染に
ついてということで、一つ目といたしまして、一連の報道に関する経緯、各事項の調
査結果や専門家会議委員の意見などを事務局から説明させていただきました。二つ目
といたしまして、いずれの項目についても、技術会議で取りまとめた対策で対応可能
なことを再確認しております。
(イ)としまして、報告書の記述内容に関する各委員からの意見を集約いたしまし
て、それらの意見をもとに修正した箇所について確認、それから各委員が再度内容を
精査し、次回会議で確定することとしております。
(ウ)としまして、各提案に対する評価結果及び評価コメントについて、次回会議
までに再度内容を確認することとしております。
最後の(エ)になりますが、報告書とあわせて公表する資料の公表方法を確認させ
ていただきました。
報告書の11 ページになりますが、再度、総合評価の結果を精査していただきまし
た。
2ページ目ですが、報告書の14 ページ、エの(オ)でございます。汚染土壌の処
理・処分についてですが、「東京都域外への環境負荷を抑制するため、当該域内に汚
染物質処理の仮設プラントを設置する」、ここまでは一緒でございますが、その後に
なお書きといたしまして「設置の検討に当たっては、仮設プラントの設置と環境負荷
が同程度になると見込まれる、当該地域から比較的近い距離にある仮設プラントの活
用も含め、環境負荷の抑制に努める」と。将来、土対法の改正に伴って仮設プラント、
こういったものについて考慮して追加しております。
環境保全措置といたしまして、シを追加させていただきました。(ア)としまして、
「環境保全措置として、工事期間中は周辺の大気モニタリングや下水道放流のための
水質監視を行う」。(イ)としまして、「土壌を外部へ搬出する際には、フレコンパ
ックを使用するなど環境防止措置を講ずる」、先ほどの議論にもありましたようにフ
レコンパックというものを使って、ほかへ負荷をかけないような措置をします。
それに伴いまして、資材の調達と多角的な経費の検討は、一つずつずれまして、ス
とセという番号になっています。内容の変更はございません。
16 ページでありますが、打ち損じがございました。おわび申し上げます。正式な
言葉に変えさせてもらって、「環境基準」と「シアン化合物」を削除しております。
3ページでございます。報告書の17 ページ、掘削微生物処理、洗浄処理、中温加
熱処理について書いたものですが、冒頭の言葉になお書きで追加させていただいてお
ります。「なお、ベンゼンの揮散や油臭の発生のおそれのある汚染土壌は、テント等
を設置して掘削する」を入れております。
同じ場所の中温加熱処理でございますが、洗浄処理では洗浄が困難な油膜が見られ
る土壌は、加熱炉で、前回は「400 度から600 度に熱し」という言葉で表現させても
らいましたけれども、「油分(ベンゼン、ベンゾ(a)ピレンを含む)」にしております。
次のイの汚染土壌・汚染地下水対策、18 ページになりますが、先ほど不透水層の
議論に関したところで、委員からもご指摘がありましたように、三つ目の「・」に「不
透水層及びその下まで汚染土壌を掘削した場合には、セメント等で固化しながら埋め
戻しを行い、不透水層を形成する」といった言葉を入れさせていただいております。
4ページ目、報告書の25 ページですが、前回、ブラウンフィールドという言葉を
書かせていただきましたけれども、委員からのご指摘で、一般の方々にはなじみの薄
い言葉であって、ある程度注釈が必要だろうということで、「ブラウンフィールドと
は」ということで「土壌汚染の存在、あるいはその懸念から、本来、その土地が有す
る潜在的な価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地」という注釈をつ
けさせていただいております。
以上でございます。
(委 員) 市場予定地の土地価格に対する土壌汚染対策費が占める割合が23%で、環境省の報告
書ではブラウンフィールドとなる事例が20〜40%となっているが問題ないか。
(委 員) 環境省の報告は、概ね30%ということでよいと思う。あと、報告書の新旧対応表の1
ページにベンゾ(a)ピレンや不透水層の対応について、技術会議で取りまとめた対
策で対応可能とされているが、これだけだとなぜ可能なのか理由がわからない。包括
的に対策は提案してあるので、想定の範囲内であるといっているように一般的には聞
こえる。予備費的なものを考えていて、判断を変えなかったということであれば、今
後別の事象が発生した場合も救済できることになるが、そのような場合にはまた判断
し直すのか。
(委 員) 別な事象が発生すれば、対応できるかチェックすることになる。対応できない場合で
も、通常であれば施工の段階で対応することになるのではないか。行政として不確定
要素に対する予備費を入れることができるか。
(東京都) 大幅な計画変更となるのであれば、その時点で変える必要がある。
(委 員) 今の段階は技術としての適格性や経済性を検証する段階で、実際の施工は次の段階と
なる。技術会議は1 段階目で、2 段階目の発注の際にも経費を算出することになるこ
とから、今の段階でリスクプレミアムを見込むことはおかしくないと思う。
(東京都) 実際にリスクを見込んだ設計をすることは、東京都の場合難しい。
(委 員) 報告書の25 ページの「(6)汚染状況の詳細な把握・分析に基づく対策」では、詳細
な分析を行ったことで詳細に把握することができたと言い切っているが、別の資料で
は不透水層未確認箇所周辺の再調査を行うと記載されている。この経費は見込まれて
いないが、予備費を考えていなければ、最初からこの作業分が包括的に入っていたと
言わざるを得ない。増額しない理由をどこかに記載しておく必要がある。
(東京都) 予備費的なものを数値として示すことができないのが現状である。不透水層未確認箇
所は想定していなかったが、対策の基本的な考え方は、当初から考えていた底面管理
となる。底面管理による処理土量は、これまでの調査結果をもとにした出現率から算
出しているので、経費はかわらない。周辺部の調査もあるがこれも出現率の中に見込
んでいる。今後、経費に大きく関わる問題があれば、変更が必要となるが、基本的に
一連の対策の流れは変わらないと思う。
(委 員) 報告書の25 ページで、「詳細に把握することができた」とするのは言い過ぎではな
いか。技術会議では、プロトタイプの技術を提示しているのであって、最終決定では
ない。今回は、従前に比べると飛躍的に把握の程度が高まったということでよいので
はないか。最終的な選定段階で、リスクフリーにするようないろいろな手だてを打て
ばよいと思う。
(東京都) 文案を検討する。
(委 員) 今回、複合的な汚染に対する処理という点で、個々の物質を特定しないで、ある程度
柔軟に対応できるようにしている。同様に、不透水層の問題についても、最初から明
確になっているものだけにしか通用しないような技術ではなく、幅広く後発事象にも
対応できる技術を選んだという観点で技術会議は提案しているということを別の表
現で何か入れることはできないか。
(委 員)液状化対策については、通常想定していない万万一があっても対応できるという点で、
同様のことがいえる。
(委 員) 仮の想定をすることが問題ということはないと思うので、その点で批判されることは
ないのではないか。
(委 員) 今回の報道ではTPH についてもデータが示されている。油分、油膜、ベンゾ(a)ピ
レンについては、中温加熱処理で処理すると書かれており問題ないが、TPH について
はどうか。
(委 員) 相関関係の確認の必要はあるが、TPH は油分などと非常に相関があるので、油分を処
理することイコールTPH を処理することになるのではないか。
(委 員) ベンゼンの分布との確認はしているか。
(委 員) ベンゼンの分布とほぼ重なると思う。
(委 員) 重なるが、油臭のしない部分でも確認されている。そのような点で、ベンゾ(a)ピ
レンと同じ問題となるのではないか。
(委 員) 問題が出てくれば、施工段階で対応は可能か。
(委 員) 施工段階での対応は可能だと思う。
(委 員) そうであれば、発注の段階で対応できる。
(委 員) 施工の際に、搬出する場合には油臭で確認する。汚染土壌についても、現場判断で油
分が多ければ中温加熱処理、少なければ洗浄処理することになると思う。
(委 員) 報告書案20 ページで、中温加熱処理の対象とする油膜が見られる土壌、これに変更はないか。
(東京都) 油臭が見られる土壌は、今後の施工段階で出てくることから、中温加熱処理の土量は
変わる。ただし、中温加熱処理と洗浄処理を組み合わせることによって全体の経費は
相殺できるものと考えている。
(委 員) おそらく汚染土壌の中で洗浄処理するものと中温加熱処理するものの入れ替えがあ
るのだと思う。よって、油分の確認、処理の仕方を実際の工事の仕様書にどのように
記載するかにつきると思う。
(委 員) 報告書案の18 ページの「?土壌掘削・運搬・汚染物質処理」で、最初の「・」は冒
頭に「底面管理を行いながら」を加えたほうがよい。また、「掘削底面より2m の深
さまで汚染されていないことを確認する」と追記したほうがよい。
また、「?埋め戻し」の「不透水層及びその下」は、「不透水層まで汚染土壌を掘
削した場合及び不透水層が確認されない場合」としたほうがよい。
(委 員) 今日確認したことをもって技術会議の報告書を決定する。
(4)提案者に通知する評価結果と評価コメント
(東京都) 前回、別紙1ということで提案者に通知する評価結果と評価コメント、こういった通
知をお配りさせていただきました。さらに各委員に再度精査していただきました。
(委 員)特に意見なし。
(5)公表内容について
(東京都) 公表する資料についてご説明申し上げます。A3判の資料を用意しております。前回
と同じような資料で、1枚おめくりいただきまして、提案の概要までを公表するとい
うことで前回ご協議いただきましたが、評価のコメントを入れて、できるだけわかり
やすいようにということで協議いたしまして、今回評価のコメントを記載し、処理を
させていただきました。
加えて、このほかに公表する資料につきまして、会議資料あるいは会議録がございま
すけれども、報告書の公表後速やかに公表するということでご了解をいただきたいと
思います。
(委 員)特に意見なし。
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/gijutsu/siryo/12kaigiroku.pdf
Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 12:27│Comments(0)
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