ナチュログ管理画面 釣り 釣り 近畿 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報

2009年07月20日

重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた

現在、私たち人類の文明の発達などよって自然界に生態系のバランスが崩れ、本来あるはずの食物連鎖のかたちが崩れかけている現状ですっ。

海に親しむ私たち釣り人の身近な問題といえば、赤潮、青潮の大量発やカワウの数が増えた事でせっかく放流した稚魚が食べられちゃう事など…。

現在も未来も豊富な資源に恵まれた美しい地球でありますように。

いつまでもマリンレジャーが楽しめますように。

たくさん魚が釣れるフィッシングパラダイス、ニッポン!を本気で目指すためにも、これから私もみなさまと一緒に海の知識を学んでゆきたいと思いますっ。

まずは魚の生態や保護、増やすための海の知識が今の私たちに必要なのかな?

釣る、という観点を180度変えてみて海洋学の視点から考えてみましょう!

研究者によって解明された事実は意外にも釣果に深い関係があったりしてお役立ち知識も!?

それらを名づけてビバ!フィッシングサイエンス

ではまず、食物連鎖の底辺にあるプランクトンのお勉強のために、底質汚染についてイントロを説明します。


 おおさかATCグリーンエコプラザ ビジネス交流会 水・土壌汚染研究部会 底質汚染分科会は大阪府神崎川の底質ダイオキシン類汚染の公表を契機に発足しました。
 水の底の蓄積された底質汚染は多くの人に理解されている訳ではありませんが、食物連鎖を通しての人の健康リスクや生物多様性への影響など多くの問題が抱えています。

 当分科会は行政や学識経験者を招いて底質汚染に関するセミナーを開催してきました。この間、全国の底質汚染の現状が徐々に明らかになり、底質汚染による底生生物の影響や汚染原因解明手法も分かってきました。
 底質汚染分科会の特別会員である環境カウンセラーの藤原きよみの主張する「三世代先の海いつまでも」に良く表れているように、環境は子孫からの預かりものでございます。この数十年で大変悪くなった底質汚染ですが、汚染濃度が高いところは低下傾向にありますが、底質汚染の拡散とも考えることができるのではないでしょうか。

 ブログ「底質汚染ラーニング」で多くの底質汚染の情報を収集してきました。また、その情報を下記のホームページに掲載しています。
全国の底質汚染
底質汚染の歴史
私たちの時代に、底質環境を保全し、健康リスクを低減させると共に、恵み豊かな海の再生を図ることが現代人の使命ではないでしょうか。



それでは底質汚染について勉強しましょう。重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
はじまり ハジマリ パチハチパチ!
日本の地球化学図や「港湾底泥中の粒子状金属の濃度レベルとその底生生物への影響」から主な資料を引用して説明します。
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた

上図は日本沿岸の海の底と試料採取場所の図です。

水銀と底生生物の説明をします。
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 全国的に見ると佐渡島、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、大阪、瀬戸内海、水俣等が高くなっています。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 仙台も水銀が高くなっています。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 東京湾(東京・千葉・市原・木更津・横須賀・君津・鎌倉・茅ヶ崎・小田原・熱海が高い)


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 伊勢湾も水銀が高いですね


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 大阪湾(大阪湾奥を汚染源とした東半分、阿南から御坊を結んだ線の北側。淡路島の南および西側は水銀が高い。)


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 瀬戸内海(大阪・神戸・堺・岸和田・姫路・和歌山・徳島・淡路島の五色の浜沖・新居浜沖・岩国等が水銀が高い)


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 九州(水俣・鹿児島国分・宿毛沖が水銀高い)
 上図は底質に含まれる水銀を表しています。赤色は0.25〜126mg/kg、黄色は0.14〜0.18mg/kgで、 下の図に示すよう水銀含有量が0.15mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなります。
 佐渡島、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、大阪、瀬戸内海、水俣等が高いです。橙色〜赤色のところは底生生物が水銀により大きく影響を受けていることになります。

重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた


鉛と底生生物の説明をします。
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
東京湾・大阪湾・富山湾・瀬戸内海・新潟が高いですね。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
東京湾の鉛底質汚染は赤色の横浜の奥の東京・市原・木更津ということになります。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
大阪湾東3分の1が特に鉛底質汚染が進んでいます。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
赤 色:45mg/kg  
オレンジ色:45〜40mg/kg
橙 色:40〜35mg/kg  
黄 色:35〜30mg/kg 
 下の図に示すように、鉛含有量が47mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなるとのことですので、鉛により底生生物がほとんどいなくなるっている範囲は赤色で、大阪・神戸・堺・岸和田・姫路・赤穂・倉敷・徳山・尾道・徳島・淡路島の五色の浜沖・新居浜沖・岩国等が、鉛の影響を受けて底生生物がほとんどいないことになります。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
海の底にも有害物質が蓄積されています。



カドミウムと底生生物の説明をします。
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 赤色は1.4〜0.3mg/kgを示します。カドミウム含有量が1.2mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなります。東京湾・伊勢湾・大阪湾・周防灘が高いですね。赤い所のうち濃いところが底生生物がほとんどいないことになります。

重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた

赤色はカドミウムが1.4〜0.3mg/kgの濃度です。カドミウムの含有量が1.2mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなるとのことですので、カドミウムにより底生生物がほとんどいなくなるっている範囲は赤色である東京湾全域と銚子沖ということになります。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
 赤色:1.4〜0.3mg/kg 
カドミウムの含有量が1.2mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなるとのことですので、カドミウムにより底生生物がほとんどいなくなるっている範囲は赤色である大阪湾の東4分の1程度ということになります。



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
赤は1.3〜0.3mg/kgですので、赤色の中心部分の 大阪や周防灘・姫路・岡山・岩国・自衛隊築城基地・苅田が高く、カドミウムにより底生生物が棲めなくなっているようです。

重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた



クロムと底生生物の説明をします。

重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
クロムは北海道、宮城、千葉、東京、静岡、富山等で高くなっています。



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた

赤色は334〜100mg/kg、黄は77〜66mg/kgクロムが含まれています。クロム含有量が81mg/kgを超えると底生生物はあまりいなくなりますので、橙色〜赤色のところの横浜・東京・船橋・千葉・市原などがクロムの影響で底生生物が少なくなっているようです。



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
赤色:334〜100mg/kg
橙色:99〜78mg/kg
黄色:77〜66mg/kg
橙色〜赤色のところの横浜・東京・船橋・千葉・市原などがクロムの影響で底生生物が少なくなっているようです。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
赤:334〜100mg/kg
黄:77〜66mg/kg
 クロム含有量81mg/kgを超えると底生生物はあまりいなくなります。赤色や橙色のところの大阪湾奥を汚染源とする大阪湾東半分や、徳島・小松島付近が汚染源と思われる淡路島西南部や高松から阿南の間の沖ではクロムの影響で底生生物が少なくなっているようです。淡路島西側はクロムが高いですね。



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
赤:334〜100mg/kg黄:77〜66mg/kg
橙色のところの大阪・淡路島南西部・徳島・新浜沖・高知・須崎がクロムの影響で底生生物が少なくなっているようです。



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
クロム含有量が81mg/kgを超えると底生生物はあまりいなくなることが分かりますね。




亜鉛と底生生物の説明をします。

重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた

亜鉛含有量が150mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなります。
秋田、宮城、千葉、東京、富山、愛知、三重、福井、鹿児島などが高いです。赤い所は底生生物がほとんどいないことになります。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた




重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
赤:422〜138mg/kg
赤くなっている東京湾や横須賀・茅ヶ崎・銚子などは亜鉛の影響で底生生物が少なくなっています。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
赤いところは422〜138mg/kgです。 亜鉛含有量が150mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなります。
赤くなっている大阪湾や和歌山・徳島・香川・播州・岡山は底生生物が少なくなっています。
赤くなっている伊勢湾や、海南市から阿南市を結んだ線の北側や姫路・高松付近も底生生物が少なくなっています。


重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた

赤:422〜138mg/kg
大阪・多奈川・神戸・姫路・岡山・小豆島・豊島・和歌山・海南・福良・高松・観音寺・水島・福山・尾道・広島・岩国・四国中央・新浜・西条・大分・中津・宇部・小野田など瀬戸内海全体の亜鉛が高く底生生物の棲息が妨げられている。

重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた


むつかしくなってきました。
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
次はダイオキシン類や環境ホルモンです。

ホルモン焼きではありません。








下の表は港湾における底質汚染の濃度と量です。(国土交通省提供)
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
千葉港がもっとも汚れていて、たくさんのダイオキシン類汚染底質があります。2位は大阪港です。

下の図は千葉市原港の底質ダイオキシン類汚染の図面です。
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
見にくいのでリンク元(市原市地先海域におけるダイオキシン類の調査結果)をご覧ください。








下図は「内分泌かく乱物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理プロジェクト」内分泌かく乱化学物質のリスク評価と管理のための統合情報システムについては、GIS上の高詳細環境モデル(G-CIEMS)を完成させ、ダイオキシン類の河川水中濃度、ベンゼン・ダイオキシンの大気中濃度を推定し、実測値と比較した(図5)。

重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
図5 G-CIEMSモデルによる河川水中濃度の推定結果の例


鳥羽港のあたりが一番高く京浜地域や高知も高い ですね。


鳥羽では、PCB類、 HCB(ヘキサクロロベンゼン)、アルドリン、ディルドリン等の環境ホルモンが高くなっています。エンドリン日本一高濃度です。伊勢の海女さんはご存知だったかも知れません。
「化学物質と環境2005年度調査」より底質における環境ホルモンの高いところ」で分かりやすく書いています。




下図は底質に含まれるダイオキシン類と底生生物の種類や重量の関係を示した図です。
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた

ダイオキシン類濃度と底生生物の関係には、 「米国NOAA から示されている底質ガイドラインでは,PEL 値(底生生物が少なくなる値)として,21.5pg-TEQ/g を与えており,環境基準値以下であっても,何らかの生物への影響を排除することはできないと考えられる。本調査の結果からは,底生生物湿重量,底生生物種類数ともに,ダイオキシン類濃度が高い場合には,生物棲息環境が貧弱になる傾向があった。特に,ダイオキシン類濃度が20 pg-TEQ/g を超過した場合,存在した底生生物は,二枚貝網,多毛類網,花虫網などであり,種類数が少なかった。」と記載されています。
 
 ダイオシン類の底質環境基準は150pg−TEQ/gですが、底生生物を保全し豊かな海を守るには20pg-TEQ/gを基準に考えるべきだということになります。


大人には健康被害が無くても、胎児や小さな生物には影響があります。また、海の生物には環境ホルモンが蓄積されていることと有害化学物質の生物への蓄積
でまとめています。



重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた


三世代先の海、いつまでも。 / 藤原きよみ
 島育ちの父は私が幼少の頃からよく海につれていってくれました。夏休みは家族8人で必ず海でキャンプです。幼すぎて場所はわからないけど磯場が多く海の生き物がたくさんいて楽しかった。
 おてんばな私はフジツボで手足を切ったりなんてあたりまえ^^。急な突風、天候の変化、高波、雷雨。。。「自然は楽しい反面怖い」 子供だったけど無茶はしちゃいけないって感じました。

 楽しかった子供のころの海の想い出。

 私くらいの年齢の夫婦の子供達が大人になってまた子供を産んで。。。その三世代先の海がいつまでも健康であってほしい。
未来の海を大切に思うから、未来をつくる今の子供達の命の大切さを。
 三世代先には私はもちろん生きてはないけどその時の子供達が豊かな自然恵みを受ける事ができたらいいなって。。。そのために今私達、大人が出来る事ってなんだろう。



同じカテゴリー(底質汚染分科会)の記事画像
第18回瀬戸内海広域漁業調整委員会
同じカテゴリー(底質汚染分科会)の記事
 海洋・沿岸域政策大綱 洋産業振興 (2009-12-30 15:48)
 第18回瀬戸内海広域漁業調整委員会 (2009-12-29 18:29)
 平成21 年2月20 日大阪市底質対策等技術検討会 (2009-12-27 12:00)
 日本弁護士連合会水俣病被害実態調査 結果報告書 (2009-12-06 17:01)
 由良・生石宣言 (2009-11-11 21:32)
 日本周辺海域における海洋汚染の現状 (2009-11-10 22:51)

Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 15:35│Comments(7)底質汚染分科会
この記事へのコメント

底質の重金属環境基準はこの考えかたで制定すれば良いと思います。
Posted by 環境科学者 at 2009年07月24日 20:47

すごく専門的ですね!
魚が釣れない理由が少し分かってきました
Posted by 釣りキチ豚ペイ焼 at 2009年08月05日 21:33

近頃、アサリを中国や朝鮮から輸入し、国産と表示して売った会社が捕まっていますが、これだけ底質汚染していたら、アサリなどの底質水産漁業は難しいのでしょう。
http://blogs.yahoo.co.jp/teisitu/48872659.html
Posted by アサリの不正輸入は底質汚染のせいでは at 2009年08月12日 23:57

排水による底質汚染や海洋投棄による底質汚染が明確になってきました。

今、対策をしないと未来に環境を引き継げないと思います。
Posted by ATCグリーンエコプラザ水・土壌研 at 2009年09月22日 08:32

2010年3月6日(土)に大阪湾のイベントを開催します。

100名を超える方の参加を予定します。

ATCグリーンエコプラザのビオトーププラザは予約OKです。

懇親会はATC ピア6の予約もOKです。
Posted by ATCグリーンエコプラザ水・土壌研 at 2009年10月15日 20:50

大阪の神崎川や千葉の市原港で底質をきれいにしながら魚釣りができれば良いですね。

神崎川 魚釣り大会 構想中!
 水都大阪2009では神崎川におけるイベントはあまり行われませんでした。日本一ダイオキシン類で底質が汚染されている神埼川で、魚釣りをしながら底質にダイオキシン類が蓄積している現実を考えましょう。
http://blogs.yahoo.co.jp/atcmdk/51195553.html
Posted by ATCグリーンエコプラザ水・土壌研 at 2009年11月14日 22:21
大阪市は5日、岩手県の震災がれき約100トンを試験焼却した焼却灰の放射性物質の濃度が大阪府の基準を大幅に下回り、安全性が確認できたとして、此花区の人工島「夢洲」の最終処分場で埋め立てを始めた。

 がれきは夢洲に隣接する人工島「舞洲」の施設で11月29、30日に焼却。府の測定で、一般ごみの焼却灰とほぼ同じ放射性物質濃度だった。

 市は2013年2月から本格的にがれきを受け入れ、14年3月までに最大3万6千トンを処理する計画。
Posted by 大阪水土壌汚染けんきゅうかい at 2012年12月06日 07:13
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。


削除
重金属による底質汚染と重金属底質環境基準のありかた
    コメント(7)