2009年07月26日
地表水と地下水の一体的なマネジメント
地表水と地下水の一体的なマネジメント
・地下水は、民法上は土地所有権の範囲として私有財産的な扱い。
・地下水は流動し水循環の一形態として存在するが「公水」として管理する法律はなく
・公害防止の観点(地盤沈下、水質保全)から法律や条例等により規制。
地下水規制(国)《環境基本法》
・地下水の水質汚濁に係わる環境基準の設定
《水質汚濁防止法》
・排水の地下浸透に係わる排水基準
《工業用水法》
・工業用水の地下水利用を10都府県65市区町村が地域指定され規制
《建築物用地下水の採取の規制に関する法律(ビル用水法)》
・建物用井戸について4都府県37市区町村が地域指定され採取を規制
《地盤沈下対策要綱》
・「関東平野北部」、「濃尾平野」、「筑後・佐賀平野」について地下水採取量の抑制対策(採取目標量の設定、代替水源の確保等)を実施
地下水を取りまく課題
・渇水時の地盤沈下
地下水採取の規制により、地盤沈下は沈静化傾向。但し、渇水時には水源の減少に伴い地下水が急激に揚水され、地盤沈下が発生。
・新たな地下水揚水施設が増加
法的規制対象外の地下水揚水施設(企業等の専用水道)が増大の傾向。
・地下水の塩水化
多数の臨海域で塩水化が発生し、現在も継続している地域が多い。
・新たな地下水障害
地下水位の回復に伴い、地下構造物に影響が発生。
・地下水汚染
地下水汚染は汚染原因が不明な場合が多く、浄化対策も遅れている。
・緊急時の水源の確保
防災井戸の適正管理と運用ルールが確立していない。
渇水時の地盤沈下・地下水採取の法的規制等により全国的に地盤沈下は沈静化
・渇水時には、河川水源の減少に伴い地下水の急激な揚水が行われ、短期的な地盤沈下が発生
→ 適切な地下水管理による地盤沈下発生の予防が必要
新たな地下水障害・地下水位の回復に伴う地下構造物へ影響
・大都市圏(東京・大阪)では、地下水位の回復に伴い、地下水位が大幅に低下した時期に計画・建設された地下構造物の浮き上がり、湧水量の増大がみられる。また地震時の液状化の可能性が懸念
→ 管理地下水位(無害水位)を定め、利用可能な範囲内で地下水採取を行うなどの地下水位維持方策が必要
新たな地下水揚水施設が増加・法的規制対象外の地下水揚水施設が増加
・近年、小口径高程ポンプや水質改善膜ろ過技術の開発に伴い、専用水道による地下水利用が増大
(特に、ホテル、病院、ショッピングセンターなどの個別水道施設で導入が増加)
・専用水道は、地盤沈下防止等を目的とした法体系の規制対象外の施設が多く、揚水量の実態が不明
→ 地盤沈下への影響が懸念
★大阪市はH20年度より「水道事業供給条例」を改訂し、地下水等利用専用水道の設置者に対して水質管理を強化。併せて設置届書(給水量記載)の提出を義務化
地下水の塩水化・多数の臨海部では、地下水の過剰採取により帯水層に海水が浸入し、地下水が塩水化。
→ 飲用不適、工業用水水質の悪化、農作物への被害等が発生。
・地下水規制等により対策を実施しているが、現在も被害が認められる地域が多い(全国14地域)。また、いったん塩水化した地下水は自然回復に長い年月を要する。
・今後、気候変動等による海面上昇の影響により塩水化がさらに拡大することが懸念される。
→ モニタリング等の水質管理の徹底や遮水壁などのハード対策も検討が必要
地下水汚染・環境省は、毎年度、都道府県等を対象として、「地下水汚染に関するアンケート調査」を実施。






・地下水汚染は、汚染原因が不明な場合が多く、浄化対策の実施も2割弱。
→ モニタリング等の水質管理の徹底や規制強化が必要
緊急時の水源として、適切な地下水利用の推進
・電力は地震発生から2日後に復旧完了→電気の復旧直後から地下水利用開始
・地震発生当日から給水車到着→飲料水は入手しやすいが、生活用水が不足
・柏崎市の約8割の井戸で地震後も利用が可能(注)→緊急時の水源として有効
今後の取り組み
1.地下水の情報共有化及び調査研究体制の整備
?地下水関連データの収集・整備と情報公開の推進
?流域単位の地下水情報の一元管理と体制整備
?流域単位の総合的な調査観測計画の策定と調査研究体制整備
?官民一体となった地下水動態とメカニズムの解明
2.地下水の適正な利用のための方策
?流域単位の地下水マネジメントのための体制整備
?流域単位の地下水の適正採取量・採取深度の検討方策の検討
?地下水と地表水の一体的なマネジメント方策の検討
3.地下水の適正な管理のための方策
?地下水動態を踏まえた観測・モニタリング体制の整備
?地下水管理水位の設定と緊急時の体制整備
?担当者のための管理マニュアルの作成
?地下水管理者・利用者への迅速な情報伝達方法
?地下水収支や利用を踏まえた地下水涵養対策の実施
?地震災害時等の緊急時に使用する防災井戸のガイドライン作成
4.地下水質の監視と保全
?地下水汚染に対して、監視体制の強化、情報共有対応体制の確立
?地球温暖化に向けた塩水化防止対策の検討
http://www.mlit.go.jp/common/000017998.pdf
・地下水は、民法上は土地所有権の範囲として私有財産的な扱い。
・地下水は流動し水循環の一形態として存在するが「公水」として管理する法律はなく
・公害防止の観点(地盤沈下、水質保全)から法律や条例等により規制。
地下水規制(国)《環境基本法》
・地下水の水質汚濁に係わる環境基準の設定
《水質汚濁防止法》
・排水の地下浸透に係わる排水基準
《工業用水法》
・工業用水の地下水利用を10都府県65市区町村が地域指定され規制
《建築物用地下水の採取の規制に関する法律(ビル用水法)》
・建物用井戸について4都府県37市区町村が地域指定され採取を規制
《地盤沈下対策要綱》
・「関東平野北部」、「濃尾平野」、「筑後・佐賀平野」について地下水採取量の抑制対策(採取目標量の設定、代替水源の確保等)を実施
地下水を取りまく課題
・渇水時の地盤沈下
地下水採取の規制により、地盤沈下は沈静化傾向。但し、渇水時には水源の減少に伴い地下水が急激に揚水され、地盤沈下が発生。
・新たな地下水揚水施設が増加
法的規制対象外の地下水揚水施設(企業等の専用水道)が増大の傾向。
・地下水の塩水化
多数の臨海域で塩水化が発生し、現在も継続している地域が多い。
・新たな地下水障害
地下水位の回復に伴い、地下構造物に影響が発生。
・地下水汚染
地下水汚染は汚染原因が不明な場合が多く、浄化対策も遅れている。
・緊急時の水源の確保
防災井戸の適正管理と運用ルールが確立していない。
渇水時の地盤沈下・地下水採取の法的規制等により全国的に地盤沈下は沈静化
・渇水時には、河川水源の減少に伴い地下水の急激な揚水が行われ、短期的な地盤沈下が発生
→ 適切な地下水管理による地盤沈下発生の予防が必要
新たな地下水障害・地下水位の回復に伴う地下構造物へ影響
・大都市圏(東京・大阪)では、地下水位の回復に伴い、地下水位が大幅に低下した時期に計画・建設された地下構造物の浮き上がり、湧水量の増大がみられる。また地震時の液状化の可能性が懸念
→ 管理地下水位(無害水位)を定め、利用可能な範囲内で地下水採取を行うなどの地下水位維持方策が必要
新たな地下水揚水施設が増加・法的規制対象外の地下水揚水施設が増加
・近年、小口径高程ポンプや水質改善膜ろ過技術の開発に伴い、専用水道による地下水利用が増大
(特に、ホテル、病院、ショッピングセンターなどの個別水道施設で導入が増加)
・専用水道は、地盤沈下防止等を目的とした法体系の規制対象外の施設が多く、揚水量の実態が不明
→ 地盤沈下への影響が懸念
★大阪市はH20年度より「水道事業供給条例」を改訂し、地下水等利用専用水道の設置者に対して水質管理を強化。併せて設置届書(給水量記載)の提出を義務化
地下水の塩水化・多数の臨海部では、地下水の過剰採取により帯水層に海水が浸入し、地下水が塩水化。
→ 飲用不適、工業用水水質の悪化、農作物への被害等が発生。
・地下水規制等により対策を実施しているが、現在も被害が認められる地域が多い(全国14地域)。また、いったん塩水化した地下水は自然回復に長い年月を要する。
・今後、気候変動等による海面上昇の影響により塩水化がさらに拡大することが懸念される。
→ モニタリング等の水質管理の徹底や遮水壁などのハード対策も検討が必要
地下水汚染・環境省は、毎年度、都道府県等を対象として、「地下水汚染に関するアンケート調査」を実施。






・地下水汚染は、汚染原因が不明な場合が多く、浄化対策の実施も2割弱。
→ モニタリング等の水質管理の徹底や規制強化が必要
緊急時の水源として、適切な地下水利用の推進
・電力は地震発生から2日後に復旧完了→電気の復旧直後から地下水利用開始
・地震発生当日から給水車到着→飲料水は入手しやすいが、生活用水が不足
・柏崎市の約8割の井戸で地震後も利用が可能(注)→緊急時の水源として有効
今後の取り組み
1.地下水の情報共有化及び調査研究体制の整備
?地下水関連データの収集・整備と情報公開の推進
?流域単位の地下水情報の一元管理と体制整備
?流域単位の総合的な調査観測計画の策定と調査研究体制整備
?官民一体となった地下水動態とメカニズムの解明
2.地下水の適正な利用のための方策
?流域単位の地下水マネジメントのための体制整備
?流域単位の地下水の適正採取量・採取深度の検討方策の検討
?地下水と地表水の一体的なマネジメント方策の検討
3.地下水の適正な管理のための方策
?地下水動態を踏まえた観測・モニタリング体制の整備
?地下水管理水位の設定と緊急時の体制整備
?担当者のための管理マニュアルの作成
?地下水管理者・利用者への迅速な情報伝達方法
?地下水収支や利用を踏まえた地下水涵養対策の実施
?地震災害時等の緊急時に使用する防災井戸のガイドライン作成
4.地下水質の監視と保全
?地下水汚染に対して、監視体制の強化、情報共有対応体制の確立
?地球温暖化に向けた塩水化防止対策の検討
http://www.mlit.go.jp/common/000017998.pdf
Posted by 大阪水・土壌研究会員 at 10:08│Comments(1)
│地下水汚染
この記事へのコメント
大阪平野の水資源を考える
−大阪周辺の水環境とその有効利用−
大阪平野は優良な地下水腑存地帯です。しかし,被圧地下水の取水量増加に伴う減水圧の伝播による地盤沈下再発の可能性が指摘される一方で,利用が進んでいない不圧地下水では,過去の汚染が残留している上に,水圧上昇による地震時の液状化などの地盤災害が懸念されています。
今回発表いたします研究では,大阪平野の地下水盆全体を包括する地下水流動モデルを作成し,地下水による災害を予防するために,地下水の適正利用量を見積もりました。
また,汚染地下水の浄化法を検討し、適正な利用法を提案します。さらに,湧水などの水環境に関する野外調査やビオトープを用いた水質浄化実験を,市民団体と協力して行うというものです。
地下水は、水の形態の中でも非常に私たちの生活と密接な関係にあり、今回のフィールドである大阪平野ばかりでなく、全国各地での「地下水問題」を解決するために、市民と一体になって同様の活動を展開していくための、第一歩となる研究発表といえます。
日 時: 平成22年1月9日(土)13:00〜17:30
場 所: 大阪産業創造館 4階イベントホール
(大阪府大阪市中央区本町1丁目4番5号)
主 催: (財)日本生命財団
共 催: 大阪市立大学複合先端研究機構
後 援: 環境省、国土交通省、大阪市、大阪府環境農林水産総合研究所
プログラム13:00
開会あいさつ
ニッセイ財団 理事長 石橋 三洋
大阪市立大学複合先端研究機構プロジェクトリーダー 橋本 秀樹
趣旨説明 大阪市立大学大学院 教授 益田 晴恵
13:25〜14:25
報告1 −大阪平野の地下水環境−
「大阪平野の帯水槽と流動性」
大阪市立大学大学院 准教授 三田村 宗樹
「水質から推定した大阪平野の地下水流動系」
大阪市立大学大学院 教授 益田 晴恵
「地盤災害とその予防」
大阪市立大学大学院 准教授 大島 昭彦
14:35〜15:35
報告2 −地下水利用と環境教育−
「汚染とその除去」
大阪市立大学大学院 教授 貫上 佳則
「生物汚染の現状」
大阪市立大学大学院 教授 西川 禎一
「ビオトープとその利用」
大阪市立自然史博物館 学芸員 中条 武司
「冷却装置としての地下水」
大阪市立大学大学院 准教授 鍋島 美奈子
16:00〜17:30
総合討論 −地下水利用の理念−
「環境保全と政策」
進 行
大阪市立大学 特任教授 畑 明郎
コメンテーター
岡山大学 教授 西垣 誠
総合地球環境学研究所 教授 谷口 真人
和歌山大学 理事 平田 健正
近畿大学 准教授 中口 譲
大阪府担当者 守口市立下島小学校教員
17:30〜
閉会の挨拶
大阪市立大学 副学長 唐沢 力
http://www.nihonseimei-zaidan.or.jp/kankyo/06_program.html
○定員 300名(申込締切 12月10日メ切)
○参加料 無料(お申込者には12月中旬以降に参加証をお送りいたします。)
○申し込み方法
こちらの参加申し込み場面に必要事項を入力し、メール送信ください。
または、市販のはがきに(1)住所(2)氏名(3)団体名・役職名(4)電話番号を記入の上、下記住所にお送りください。
○ お申込、お問い合わせ先
〒541-0042 大阪市中央区今橋3-1-7
ニッセイ財団環境問題ワークショップ事務局
TEL(06)6204-4012
e-mail:kankyou@nihonseimei-zaidan.or.jp @は小文字に直してくださいね
http://www.nihonseimei-zaidan.or.jp/kankyo/06_work.html
参考リンク
大阪府水質測定計画に基づく測定結果(地下水)
http://www.epcc.pref.osaka.jp/center_etc/water/keikaku/index5.html
Posted by ATCグリーンエコプラザ水・土壌研 at 2009年11月29日 21:23