2009年12月12日
土壌汚染ISO14015用地及び組織の環境アセスメント
3−1 用地及び組織の環境アセスメント
Environmental assessment of sites and organizations(EASO):ISO14015
環境マネジメント規格である用地及び組織の環境アセスメント(EASO)は、2001年11月に国際規格(IS)され、現在、日本工業規格(JIS)化の準備が進んでいる。
この規格は、1993年国際標準化機構(ISO)の環境マネジメント専門委員会(TC207)、環境監査部会(SC2)において新業務項目が提案され、1997年の開発決定から4年間をかけて国際規格化されたものである。
EASOの規格の構成は、次の内容であり本項では、規格原文の表示番号で順を追って紹介する。
0 序文
1 適用範囲
2 用語及び定義
3 役割及び責任
4 アセスメント手順
5 報告
0 序文
組織は、自らの用地及び活動にかかわる環境事項又は起こり得る取得に伴う環境事項を理解することに一層関心を寄せつつある。これらの事項とそれらに関連する事業への影響は、用地及び組織の環境アセスメント(EASO)によって査定することができる。このようなアセスメントは、操業中でも、また、資産取得又は資産分割時においても実施されるし、しばしばデューディリジェンス(Due Diligence)と言われる、より広範な事業評価プロセスの一部として実施されることもある。
この国際規格は、EASOを実施する方法についての指針を提供する.また、この国際規格は、環境アセスメント実施のために、使用する用語の整合を図り、体系化され首尾一貫した、透明性の高い、かつ、客観的なアプローチの基礎を提供する。さらに、この国際規格は、中小企業を含む世界中のあらゆる場所で活動している組織が使用することができる。この国際規格は、適用の方法に柔軟性があり、第三者を雇用する必要性がある場合とそうでない場合があるが自己アセスメントのためにも、また、外部アセスメントにも使用することができる.この国際規格の利用者は、産業界や、過去、現在そしておそらくは将来における特定用地の使用者や、産業界や用地に財務的利害を有する組織(例えば、銀行、保険会社、投資家、土地所有者〉であると期待される。この国際規格は、責任と義務の移譲が行われるときに利用されるであろう。
EASOにおいて使用される情報は、環境マネジメントシステム監査、遵法監査、環境影響アセスメント、環境パフォーマンス評価又は用地調査を含む情報源から入手される。これらのアセスメント又は調査の一部は、他の関連規格(例えば、lSO14001、lS014011又はlSO14031)を使用して、実行されていたかもしれない。
既存の情報と新たに得られた情報の両方を評価するプロセスを通じて、EASOは、環境側面及び環境事項にかかわる事業への影響について結論を導き出そうとするものである。
EASOの結論は客観的情報に基く必要がある。妥当性確認がなされた情報がない場合には、利用可能な環境情報を評価し結論を導き出す際に、EASO評価者には専門的判断を下すことが求められることがある。
この国際規格は、実地探査又は用地浄化の指針を提供するものではない。しかしながら、依頼者から要求があった場合には、それらは他の規格又は手順に従って実施されることとなろう。
1 適用範囲
この国際規格は、環境側面及び環境事項を明確化し、必要に応じて事業へのそれらの影響を決定する指針を提供する。
この国際規格は、アセスメントに関係する当事者(依頼者、評価者及び被評価側の代表者)の役割と責任、及び評価プロセスの諸段階(計画作成、情報収集及び妥当性確認、評価及び報告作成)を規定する.EASOを実施するプロセスを図(3−1−1)に示す。
この国際規格は、次に示すような環境アセスメントの実施方法についての指針を提供するものではない。
a) 初期環境レビュー
b) 環境監査(環境マネジメントシステム及び遵法監査を含む)
c) 環境影響アセスメント、又は
d) 環境パフォーマンス評価
実地探査又は及び用地浄化は、この国際規格の適用範囲外である。同様に、これらを遂行するか否かを決定することも適用範囲外である。
この国際規格は、認証又は審査登録目的の仕様規格として使用したり、又は環境マネジメントシステム要求事項の確立を意図したものではない。
この国際規格を利用しても、依頼者や被評価側に他の規格や法規が課せられることにはならない。
図(3−1−1)用地及び組織の環境アセスメントを実施するプロセス

備考 括弧内の数字はこの国際規格の章節を参照している。破線はこの国際規格に記述されているよう
に(3.2 備考参照)被評価側はEASOに必ずしもかかわらないことがあることをしめす。
2 用語及び定義
この国際規格では、次に示す定義を適用する。
(本項では、ISO14001等の他の規格に定義があるものは除いている。)
2.1 被評価側
アセスメントを受ける用地又は組織
2.2 評価者
十分な能力を有し、所定のアセスメントを実施するため、又はそれに参画するために指名された者
備考 評価者は.アセスメントを行う組繊の内部又は外部の人間であってもよい.また、すべての関連項目に適切に対処することを確実にするために、例えば、特殊な専門領域を必要とする場合には、複数の評価者を必要とすることがある.
2.3 事業への影響
明確化し、評価された環境事項の現実の又は起こり得る影響(財務的又はそれ以外、好ましい又は好ましくない、定性的又は定量的)
2.4 依頼者
アセスメントを委託する組織
例 依頼者は用地の所有者、被評価側、又はその他の者であってよい。
2.7 用地及び組織の環境アセスメント(EASO)
過去、現在、及び予測可能な将来の活動の結果である用地や組織にかかわる環境側面を客観的に明確にし、環境事項を明確にし、その事業への影響を決定するプロセス
備考 事業への影響を決定することは任意であり、依頼者の裁量による。
2.9 環境事項
環境側面に関する妥当性確認が行われた情報が、選択された基準から外れ、かつ、責任又は便益、被評価側又は依頼者例の社会的イメージに対する影響、若しくはその他の費用をもたらす可能性のある事項
2.11 実地探査
機器を使用し、物理的干渉を必要とする場合もある試料採取及び試験
2.13 被評価側の代表者
被評価側を代表する権限を有する者
2.14 用地
地理学上の境界が定められ、そこにおいて組織の管理下での活動が実行できるとされた立地
備考 地理学上の境界は、地上又は水中にあり、天然又は人工いずれの表面構造物の上又は下を含む。
2.15 妥当性確認
アセスメントの目的に照らして、収集したされた情報が正確であり信頼性が高く、十分かつ適切であることを、評価者が決定するプロセス
3 役割及び責任
3.1 依頼者
依頼者の活動には、次に示す各項を含むとよい。
a) アセスメントの必要性を決定する
b) アセスメントの目的を明確にする
c) もし必要とするなら評価者と協議してアセスメントの範囲と基準を決定する
d) 評価者を選任する
e) 評価者に指示を与える
f) アセスメント(計画作成、情報収集及び妥当性確認、評価及び報告作成)のどの部分が評価者によって実施され、どの部分が依頼者の責任であるのかを決定する:この場合、他の専門家を特定し、組み入れることを要求してもよい
g) もし必要とするなら、優先順位の高いアセスメント分野を特定して決定する
h) もし必要があるなら、被評価側の代表者に接触し、全面的な協力を得てプロセスを開始する
i) アセスメント計画を承認する
j) アセスメントを実行するのにふさわしい権限と資源を提供する
k) アセスメントを実行するのに必要な情報を評価者に提供する
l) 評価者からのアセスメント結果を受領し、配布先を決定する
依頼者は、第三者に対するアセスメント結果を開示する場合、事前に、被評価側の代表者に通知するかどうかを決定することが望ましい。
備考 依頼者、評価者及び被評価側の代表者が、同一組織体であってもよい。
3.2 被評価側の代表者
被評価側の代表者の役割と責任には次の事項を含むとよい。
a)アセスメントの目的に合せて関連区域への立ち入りを認め、情報を提供する
b) アセスメントプロセスについて関連の従業員や他の関係者に通知する
c) 面接調査対象者を用意する、又は、用意するのを支援する
d)要請があれば、アセスメントプロセスを支援する要員を提供する、及び、
e)評価者のために安全な作業環境を提供する
依頼者の裁量によって、被評価側の代表者はアセスメントの範囲とアセスメント計画の決定に参画し、また、当該アセスメントの結果を受領してもよい。
被評価側の代表者への告知なしにアセスメントが行なわれる場合、又は、用地及び/又は組織の責任者を特定できない場合、被評価側の代表者の役割は適用されない。
3.3 評価者
評価者と監査者との役割と責任は見方によっては異なっている。監査者は定めた基準に対して既存の情報を検証するのに対して、評価者は更に新たな情報を収集し、事業への影響を決定するために情報を評価することがしばしば要求される。
用地及び組織の環境アセスメントを実施するに際して、評価者は、類似の状況においてすべての評価者に期待される勤勉さ、知識、技能及び判断を行使する必要がある。評価者は、思慮分別を働かせ、また、法律又は他の規則によって別段の行動が求められる場合を除いて、機密を保持することが望ましい。
評価者又は複数の評価者が関与する場合はそのチームリーダーの責任と活動には、次に示す事項を含むとよい。
a) 要請があれば依頼者を支援して、アセスメントの目的、範囲(優先的アセスメント分野の明確化及び決定を含む)、基準を決定する
b) 報告作成の方法及び書式を依頼者と取り決める
c) アセスメント計画を立案し、依頼者の承認、及び、もし必要とするなら被評価側の代表者の承認を得る
d) チェックリストや手順書のような作業文書を作成し、維持する
e) アセスメントの目的に合致する必要な技能が利用可能であるようにし、また、もし必要とするならアセスメントチームを編成する
f) アセスメントチームについて依頼者の承認を得る
g) 初期情報を得る
h) アセスメントの各部を実行するに当たり、アセスメントチームのメンバーに作業を割り当てる
i) アセスメントの計画に沿って情報を収集し、その妥当性確認をする
j) 環境事項を明確にし、評価する
k) 依頼者からの要請があれば、事業への影響を決定する
l) 依頼者からの要請があれば、依頼者への報告書を作成し、それを依頼者に提供する
この国際規格は評価者の能力及び資格要件に関する指針を提供するものではない。しかしながら、環境アセスメントを実施遂行するには次に示す事項を充足することが要請される。
− 十分な教育
− 十分な訓練
− 十分な関連する業務経験
同様に、次に示す知識及び能力
− 関連法律、規則及び関連の文書
− 環境科学及び技術
− 経済及び関連の事業分野
− (商業的)活動に関する運転の技術的及び環境的側面
− 設備運転
− アセスメント技術
4.アセスメント手順
4.1 一般
アセスメントプロセスには、アセスメントの計画作成、情報の収集及び妥当性確認、情報の評価、並びにアセスメントの報告作成を含む。
このプロセスには、依頼者から特に要請された場合には、事業機会の確認を含めてもよい。
4.2 計画作成
4.2.1 一般
一度、アセスメントを実行することが合意されたら計画を作成するのがよい。計画にはアセスメントの目的、範囲及び基準を定め、合意すること、並びに、アセスメント計画を作成することが含まれる。
4.2.2 アセスメントの目的
アセスメントは、依頼者によって定められた目的を考慮する必要がある。EASOの目的には、次のようなものを含めてもよい。
−用地及び/又は組織に関連する環境側面及び環境事項についての情報を明確にし、収集し、評価すること、並びに、要望がある場合には、
−用地及び/又は組織に関連する環境事項の事業への影響を決定すること
4.2.3 アセスメントの範囲
アセスメントの範囲は、アセスメントの境界と焦点を定めるものである。依頼者の裁量によって、この範囲には事業への影響の決定を含めても、また含めなくともよい。
アセスメントの範囲を決める際には、次の各項を考慮するとよい。
− アセスメントの対象となる環境側面の種類
− 他の用地や組織が被評価側に及ばす可能性のある環境影響
− 被評価側の物理的境界(例えば、用地、用地の一部)
− 該当する場合は、隣接及び近隣の用地
− 請負契約者、供給者、組織(例えは、敷地外の廃棄物処理組織)及び個人並びに前の占有者との関係や、これらにかかわる活動などの組織面の境界
− 対象となる期間(例えば、過去、現在及び/又は将来)
−被評価側及び/又は依頼者の活動(例えば、現行事業の継続、変更・拡張・解体・撤廃・改造の諸計画)に関する期間
−基準(4.2.4参照)の作成に関する期間
− もし、該当する場合は、事業への影響費用の限度額
この範囲は、アセスメントに含まれる関連用地や組織を定め、限定してもよい.依頼者の裁量によって、アセスメントが開始された後でもアセスメントの範囲を修正してもよい.そのような変更は記録し、関係者に連絡することが望ましい。
依頼者は、定められたアセスメントの範囲内で、アセスメント中に優先的に扱われる事項を明確にしてもよい.優先事項は、アセスメントを計画している間に利用可能な情報をもとに確定されることが多い。優先事項の明確化を行っても、評価者がアセスメント中に範囲全体を考慮するという義務を免除するものではない。
4.2.4 アセスメント基準
収集した情報を評価する基準を明確にすることが望ましい。基準には次の事項を含めるとよいが、これに限定されるものではない。
−現在適用されまた、合理的に予見される、法律上の要求事項(例えば、同意、許可、環境法、規則、規制方針)
−その他依頼者が定めた環境関連要求事項(例えば、組織の方針及び手順、特定の環境条件、マネジメント慣習、システム及びパフォーマンスの要求事項、業界並びにその業種に適用される慣習や綱領)
−利害関係のある第三者(例えば、保険会社、金融機関〉の要求事項、要請事項又は潜在的な要請事項
−技術的配慮事項
4.2.5 アセスメント計画
該当する場合、アセスメント計画には、次の事項を含めるとよい。
− アセスメントの目的及び範囲
− 依頼者、被評価側の代表者及び評価者を特定する情報
− アセスメント基準
− 優先的アセスメント領域
− 役割及び責任
− アセスメント及び関連報告書の使用言語
− 日程及び期間を含むアセスメントスケジュール
− 必要な資源(例えば、人員、予算、技術)
− 使用するアセスメント手順の概略
− 使用する備考文書、チェックリスト及び手順書並びに作業文書の要約
− 報告要求事項
− 秘密保持についての要求事項
アセスメントに影響するかもしれない制約事項を、アセスメント計画の中で特定してもよい。想定される制約事項には次のものがある。
− アセスメントに利用可能な時間
− アセスメントに利用可能な資源
− 関連地域への立ち入り
− 利用可能な情報
− 関係者との相互連絡又は関連文書の入手
依頼者は、アセスメント計画を検討し、承認することが望ましい。この計画は、もし必要であるなら、被評価側の代表者に通知することが望ましい。
4.3 情報収集及び妥当性確認
4.3.1 一般
アセスメントは、既存文書や記録の検討(用地視察の前及び用地視察中の両方)、活動や物理的状態の観察、そして、面接調査を通じて収集され妥当性確認がなされた環境側面についての情報をもとに行われる。−以下略−
アセスメントに必要とされ得る情報の種類を実践の手引き?に例示する。
実践の手引き? EASOにおいて考慮対称なり得る情報例
− 立地
− 物理的特性(例えば、水文地質学)
− 評価対象地、隣接地及び近隣地 − 用地利用
− 施設、工程及び操業
− 用地の浸食され易さ
− 原材料、副生成物及び製品(有害物を含む)
− 資材の保管及び取扱い
− 大気、水系、土壌への排出及び放出
− 廃棄物の保管、取扱い、処分
− 防災・消火、漏洩防止及びその他の緊急事態対処計画
− 暴風洪水
− 労働及び公衆の安全衛生
− 法的要求事項、組織内及びその他の要求事項、不遵守及び不適合
− 部外者との関係
これらすべてが、あらゆる用地や組織において考慮されるわけではなく、また、
他の事項が適用される場合もある。
4.3.2 既存文書及び記録の検査
評価者は、これまでの調査活動と不必要に重複することなく、用地及び/又は組織についての充分な理解を得て、文書及び記録を収集し検討することが望ましい。考慮しうる文書及び記録の例を実践の手引き?に示す。−以下略−
実践の手引き? EASOにおいて考慮されうる文書及び情報源
文 書 情 報 源
− 地図、計画書、写真
− 過去の履歴
− 地質学/水文地質学上の記録
− 地質工学に関する記録
− 出荷記録/取扱い記録
− 安全データ・シート(MSDS:物質安全性データシート)
− 作業指示書
− モニタリング手順及び結果
− 工程に関する文書(例えば、物質収支)
− 保全記録
− 在庫目録
外部
− 政府機関(国、地方規制当局、計画部局)
− 保管文書
− 公益団体
− 商業出版物
−業界行動綱領
−緊急サービス− 保険会社
内部
− 環境、保健衛生、安全部門
− 公式登記・記録(例えば、埋立て、汚染地)
− 緊急対処及びその他対応計画
− 保健衛生、安全及び環境に関する訓練記録
− 事故記録
− 許可書/免許証/通知書
− 組織図(業務と責任)
− 監査及びその他報告書
− 不遵守及び不適合記録
− 苦情
− 組織の方針、計画、マネジメントシステム
− 保険上の要求事項
− 供給業者他の部外者との契約
− その他の訓練記録
− 生産技術部門
− 製造部門
− 購買部門
− 研究開発部門
− 資産管理部門
− 施設管理部門
− 教育・訓練部門
− 法務部門
− 財務会計部門
− 広報部門
− 人事部門
− 医務部門
これらすべてが、あらゆる用地や組織において考慮されるわけではなく、また他の事項が適用される場合もある
4.3.3 活動及び物理的状態の観察
評価者は、過去の活動及び操業による用地又は組織の物理的状態に関する情報を観察し、記録することが望ましい。観察対象となりうる用地内外の要素についての例を、実践の手引き?に示す。−以下略−
実践の手引き? EASOにおいて観察されうる要素の例
活動
− 廃棄物管理
− 資材及び製品の取扱い
− 工程の管理
− 排水の管理
− 大気排出管理
− 水系への排出
− 用地利用
物理的条件
− 排水処理設備及び下水システム
− 冷暖房システム
− 配管及び通気孔
− 格納容器.排水路、及び排水だめ
− 貯蔵容器/タンク
− 公益事業体からの供給
− 騒音、光、振動又は熱
− 臭気、塵埃、煤煙、微小粒子
− 地表水及び用地の地形
− 用地の周辺及び隣接地並びに組織
− 土壌及び地下水の状態
− 着色した又は変色した表面
− 影響を受けている動植物
− 理立て
− 建物、工場及び装置類
− 資材の保管
− 有害な資材、製品、物質
− 防火設備及び緊急事態対処設備
これらすべてが、あらゆる用地や組織において考慮されるわけではなく、また他の事項が適用される場合もある。
4.3.4 面接調査−省略−
4.4 評価
4.4.1 一般
妥当性がなされた環境側面に関する情報は、評価プロセスにインプットされる資料となる。このプロセスは、図(3−1−2)に示すように、環境事項の明確化と事業への影響の決定という二段階から成る。これら二つの段階は、依頼者の裁量によって、別々の主体が実施してもよく、これは、特に依頼者が事業の影響を決定するために、他の専門技能(例えば、技術的、法律的や財務的)を必要とする場合が該当する。
図(3−1−2)評価プロセス

備考 括弧内の数字はこの国際規格の項目番号を参照している。破線は、この国際規格に記述されているように、事業への影響を決定することがEASOの必須の部分ではないことを示す。
4.4.2 環境事項の明確化
環境事項を明確にするために、環境側面に関する妥当性確認が行われた情報を、選定した基準と比較する.妥当性確認がなされた情報が、選定した基準から外れている場合に環境事項が明確になり、次のような結果を導く場合がある。
− 組繊にとっての責任又は便益
− 被評価側又は依頼者の社会的イメージヘの影響
− その他の費用
事業からみて、関連が肴薄である事項も環境上は関連があるかも知れないし、その逆もあり得る。
この段階を経た結果、依頼者に関連する環境事項が明確にされる。
4.4.3 事業への影響の決定
事業への影響の決定は、これがアセスメントの目的及び範囲に含まれている場合にのみ実施される。
事業への影響は、明確化され評価された環境事項の実際の又は潜在的な影響(財務的とそれ以外、好ましい又は好ましくない、定性的又は定量的)である。
この評価には.一般にEASOの目的にかかわる環境事項の及ぼす影響について判断が含まれる。この段階で、事業への影響に対処するための費用が見積られ被評価側又は依頼者の社会的イメージに対する影響についても明確にされ、評価される。
この判断に当たっては、次の事項が考慮される。
− 緩和措置又は是正、回避又は防止する対策が実際にもたらす若しくはもたらすかもしれない結果
− 環境損害
− 例えば、法律及び他の関連要求事項の現在並びに予想される変更に対する不遵守の結果生ずる現在又は将来の(公法上及び私法上の)責任
− 被評価側及び/又は依頼者の社会的イメージヘの打撃
− 依頼者若しくは被評価側の企業方針又は他の依頼者が定めた要求事項に対する不適合
− 上記の措置又は対策をとる場合の見積り額
− 技術開発
− 諸々の費用支出をしなければならない期間(例えば、執行措置又は新しい法律の制定の可能性に関連した期間)
情報が十分でないため結論が限定される場合は、それを表明する必要があり、また、いかなる見解もそれに応じて性格付けすることが望ましい。
評価プロセスのこの部分の結果として、事業への影響のリストが作成され、適当な場合には定量化される。
5 報告作成
5.2報告内容
評価者は報告書の内容に対して責任を有し、依頼者が認定事実の重要性を理解できるように工夫した方法で情報を提供することが望ましい。これを行うために、評価者は事実と意見を区別し、認定事実の根拠を明確に特定し、また、認定事実に関する相対的不確実性を指摘することが望ましい。
次に示す情報を依頼者に報告することが望ましい。
− 評価した用地及び/又は組織を特定する情報
− 評価者及び報告書作成者の氏名
− アセスメントの目的、範囲及び基準
− アセスメントの日時及び期間
− 利用可能な情報の制約事項及びそれらのアセスメントに対する影響
− 制約事項、除外事項、修正事項及び合意したアセスメントの範囲からの逸脱
− アセスメントの間に収集した情報の要約及びアセスメントの結果
依頼者と評価者の問の合意に従って、次に示す情報も依頼者に報告してもよい。
− 依頼者の氏名
− 被評価側代表者の氏名
− アセスメントチームのメンバーを特定する情報
− アセスメントスケジュール
− 使用したアセスメント手順の要約
− 使用した備考文書、チェックリスト及び手順書並びにその他作業文書の要約
− 評価方法、及び評価の根拠
− 評価者によって実施されたのであれば、その評価の結果
− 想定される次の段階に関する推奨事項
− 秘密保持に関する要求事項
− 結論
EASO報告書の目次の例を実践の手引き?に示す。
アセスメントの範囲で明示されている場合は、報告書に記述された認定事実を補強し、後日又は他の関係者によってアセスメントの再評価ができるように、備考文献や重要な情報を含む十分な文書類を、報告書に入れておくことが望ましい。評価者は、制約が存在する見解について性格付けをすることが望ましい。例えば情報が不十分な場合がそれに該当する。
5.2 報告書様式
依頼者の優先事項についての意向又はその他の取り決めによって、口頭による報告のみが求められることがある。それ以外の場合には、報告は文書によって行うことが望ましい。
実践の手引き? EASO報告書の目次例
a)要約
b) 序文
一 依頼者の氏名
一 被評価用地又は組織
一 被評価側の代表者の氏名
一 評価者の氏名
− アセスメントの日時及び期間
c)目的及び範囲
一 依頼者の指示事項
一 用地及び組織の境界
d)アセスメント基準
e)アセスメントプロセス
f) 情報
一 情報源
一 制約事項及びその予想される影響
一 要約
g) 結論
一 環境事項
一 事業への影響
付録
5.3 報告書の配布
報告書は依頼者の専有財産である。したがって、評価者及び報告書受領者は秘密保持を尊重し、適切な防護措置を取ることが望ましい。報告書の配布は、依頼者の裁量によるものであり、その中には、被評価側に報告書の写しを提供することを含めてもよい。
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/004/attached/attach_4328_7.pdf
Environmental assessment of sites and organizations(EASO):ISO14015
環境マネジメント規格である用地及び組織の環境アセスメント(EASO)は、2001年11月に国際規格(IS)され、現在、日本工業規格(JIS)化の準備が進んでいる。
この規格は、1993年国際標準化機構(ISO)の環境マネジメント専門委員会(TC207)、環境監査部会(SC2)において新業務項目が提案され、1997年の開発決定から4年間をかけて国際規格化されたものである。
EASOの規格の構成は、次の内容であり本項では、規格原文の表示番号で順を追って紹介する。
0 序文
1 適用範囲
2 用語及び定義
3 役割及び責任
4 アセスメント手順
5 報告
0 序文
組織は、自らの用地及び活動にかかわる環境事項又は起こり得る取得に伴う環境事項を理解することに一層関心を寄せつつある。これらの事項とそれらに関連する事業への影響は、用地及び組織の環境アセスメント(EASO)によって査定することができる。このようなアセスメントは、操業中でも、また、資産取得又は資産分割時においても実施されるし、しばしばデューディリジェンス(Due Diligence)と言われる、より広範な事業評価プロセスの一部として実施されることもある。
この国際規格は、EASOを実施する方法についての指針を提供する.また、この国際規格は、環境アセスメント実施のために、使用する用語の整合を図り、体系化され首尾一貫した、透明性の高い、かつ、客観的なアプローチの基礎を提供する。さらに、この国際規格は、中小企業を含む世界中のあらゆる場所で活動している組織が使用することができる。この国際規格は、適用の方法に柔軟性があり、第三者を雇用する必要性がある場合とそうでない場合があるが自己アセスメントのためにも、また、外部アセスメントにも使用することができる.この国際規格の利用者は、産業界や、過去、現在そしておそらくは将来における特定用地の使用者や、産業界や用地に財務的利害を有する組織(例えば、銀行、保険会社、投資家、土地所有者〉であると期待される。この国際規格は、責任と義務の移譲が行われるときに利用されるであろう。
EASOにおいて使用される情報は、環境マネジメントシステム監査、遵法監査、環境影響アセスメント、環境パフォーマンス評価又は用地調査を含む情報源から入手される。これらのアセスメント又は調査の一部は、他の関連規格(例えば、lSO14001、lS014011又はlSO14031)を使用して、実行されていたかもしれない。
既存の情報と新たに得られた情報の両方を評価するプロセスを通じて、EASOは、環境側面及び環境事項にかかわる事業への影響について結論を導き出そうとするものである。
EASOの結論は客観的情報に基く必要がある。妥当性確認がなされた情報がない場合には、利用可能な環境情報を評価し結論を導き出す際に、EASO評価者には専門的判断を下すことが求められることがある。
この国際規格は、実地探査又は用地浄化の指針を提供するものではない。しかしながら、依頼者から要求があった場合には、それらは他の規格又は手順に従って実施されることとなろう。
1 適用範囲
この国際規格は、環境側面及び環境事項を明確化し、必要に応じて事業へのそれらの影響を決定する指針を提供する。
この国際規格は、アセスメントに関係する当事者(依頼者、評価者及び被評価側の代表者)の役割と責任、及び評価プロセスの諸段階(計画作成、情報収集及び妥当性確認、評価及び報告作成)を規定する.EASOを実施するプロセスを図(3−1−1)に示す。
この国際規格は、次に示すような環境アセスメントの実施方法についての指針を提供するものではない。
a) 初期環境レビュー
b) 環境監査(環境マネジメントシステム及び遵法監査を含む)
c) 環境影響アセスメント、又は
d) 環境パフォーマンス評価
実地探査又は及び用地浄化は、この国際規格の適用範囲外である。同様に、これらを遂行するか否かを決定することも適用範囲外である。
この国際規格は、認証又は審査登録目的の仕様規格として使用したり、又は環境マネジメントシステム要求事項の確立を意図したものではない。
この国際規格を利用しても、依頼者や被評価側に他の規格や法規が課せられることにはならない。
図(3−1−1)用地及び組織の環境アセスメントを実施するプロセス

備考 括弧内の数字はこの国際規格の章節を参照している。破線はこの国際規格に記述されているよう
に(3.2 備考参照)被評価側はEASOに必ずしもかかわらないことがあることをしめす。
2 用語及び定義
この国際規格では、次に示す定義を適用する。
(本項では、ISO14001等の他の規格に定義があるものは除いている。)
2.1 被評価側
アセスメントを受ける用地又は組織
2.2 評価者
十分な能力を有し、所定のアセスメントを実施するため、又はそれに参画するために指名された者
備考 評価者は.アセスメントを行う組繊の内部又は外部の人間であってもよい.また、すべての関連項目に適切に対処することを確実にするために、例えば、特殊な専門領域を必要とする場合には、複数の評価者を必要とすることがある.
2.3 事業への影響
明確化し、評価された環境事項の現実の又は起こり得る影響(財務的又はそれ以外、好ましい又は好ましくない、定性的又は定量的)
2.4 依頼者
アセスメントを委託する組織
例 依頼者は用地の所有者、被評価側、又はその他の者であってよい。
2.7 用地及び組織の環境アセスメント(EASO)
過去、現在、及び予測可能な将来の活動の結果である用地や組織にかかわる環境側面を客観的に明確にし、環境事項を明確にし、その事業への影響を決定するプロセス
備考 事業への影響を決定することは任意であり、依頼者の裁量による。
2.9 環境事項
環境側面に関する妥当性確認が行われた情報が、選択された基準から外れ、かつ、責任又は便益、被評価側又は依頼者例の社会的イメージに対する影響、若しくはその他の費用をもたらす可能性のある事項
2.11 実地探査
機器を使用し、物理的干渉を必要とする場合もある試料採取及び試験
2.13 被評価側の代表者
被評価側を代表する権限を有する者
2.14 用地
地理学上の境界が定められ、そこにおいて組織の管理下での活動が実行できるとされた立地
備考 地理学上の境界は、地上又は水中にあり、天然又は人工いずれの表面構造物の上又は下を含む。
2.15 妥当性確認
アセスメントの目的に照らして、収集したされた情報が正確であり信頼性が高く、十分かつ適切であることを、評価者が決定するプロセス
3 役割及び責任
3.1 依頼者
依頼者の活動には、次に示す各項を含むとよい。
a) アセスメントの必要性を決定する
b) アセスメントの目的を明確にする
c) もし必要とするなら評価者と協議してアセスメントの範囲と基準を決定する
d) 評価者を選任する
e) 評価者に指示を与える
f) アセスメント(計画作成、情報収集及び妥当性確認、評価及び報告作成)のどの部分が評価者によって実施され、どの部分が依頼者の責任であるのかを決定する:この場合、他の専門家を特定し、組み入れることを要求してもよい
g) もし必要とするなら、優先順位の高いアセスメント分野を特定して決定する
h) もし必要があるなら、被評価側の代表者に接触し、全面的な協力を得てプロセスを開始する
i) アセスメント計画を承認する
j) アセスメントを実行するのにふさわしい権限と資源を提供する
k) アセスメントを実行するのに必要な情報を評価者に提供する
l) 評価者からのアセスメント結果を受領し、配布先を決定する
依頼者は、第三者に対するアセスメント結果を開示する場合、事前に、被評価側の代表者に通知するかどうかを決定することが望ましい。
備考 依頼者、評価者及び被評価側の代表者が、同一組織体であってもよい。
3.2 被評価側の代表者
被評価側の代表者の役割と責任には次の事項を含むとよい。
a)アセスメントの目的に合せて関連区域への立ち入りを認め、情報を提供する
b) アセスメントプロセスについて関連の従業員や他の関係者に通知する
c) 面接調査対象者を用意する、又は、用意するのを支援する
d)要請があれば、アセスメントプロセスを支援する要員を提供する、及び、
e)評価者のために安全な作業環境を提供する
依頼者の裁量によって、被評価側の代表者はアセスメントの範囲とアセスメント計画の決定に参画し、また、当該アセスメントの結果を受領してもよい。
被評価側の代表者への告知なしにアセスメントが行なわれる場合、又は、用地及び/又は組織の責任者を特定できない場合、被評価側の代表者の役割は適用されない。
3.3 評価者
評価者と監査者との役割と責任は見方によっては異なっている。監査者は定めた基準に対して既存の情報を検証するのに対して、評価者は更に新たな情報を収集し、事業への影響を決定するために情報を評価することがしばしば要求される。
用地及び組織の環境アセスメントを実施するに際して、評価者は、類似の状況においてすべての評価者に期待される勤勉さ、知識、技能及び判断を行使する必要がある。評価者は、思慮分別を働かせ、また、法律又は他の規則によって別段の行動が求められる場合を除いて、機密を保持することが望ましい。
評価者又は複数の評価者が関与する場合はそのチームリーダーの責任と活動には、次に示す事項を含むとよい。
a) 要請があれば依頼者を支援して、アセスメントの目的、範囲(優先的アセスメント分野の明確化及び決定を含む)、基準を決定する
b) 報告作成の方法及び書式を依頼者と取り決める
c) アセスメント計画を立案し、依頼者の承認、及び、もし必要とするなら被評価側の代表者の承認を得る
d) チェックリストや手順書のような作業文書を作成し、維持する
e) アセスメントの目的に合致する必要な技能が利用可能であるようにし、また、もし必要とするならアセスメントチームを編成する
f) アセスメントチームについて依頼者の承認を得る
g) 初期情報を得る
h) アセスメントの各部を実行するに当たり、アセスメントチームのメンバーに作業を割り当てる
i) アセスメントの計画に沿って情報を収集し、その妥当性確認をする
j) 環境事項を明確にし、評価する
k) 依頼者からの要請があれば、事業への影響を決定する
l) 依頼者からの要請があれば、依頼者への報告書を作成し、それを依頼者に提供する
この国際規格は評価者の能力及び資格要件に関する指針を提供するものではない。しかしながら、環境アセスメントを実施遂行するには次に示す事項を充足することが要請される。
− 十分な教育
− 十分な訓練
− 十分な関連する業務経験
同様に、次に示す知識及び能力
− 関連法律、規則及び関連の文書
− 環境科学及び技術
− 経済及び関連の事業分野
− (商業的)活動に関する運転の技術的及び環境的側面
− 設備運転
− アセスメント技術
4.アセスメント手順
4.1 一般
アセスメントプロセスには、アセスメントの計画作成、情報の収集及び妥当性確認、情報の評価、並びにアセスメントの報告作成を含む。
このプロセスには、依頼者から特に要請された場合には、事業機会の確認を含めてもよい。
4.2 計画作成
4.2.1 一般
一度、アセスメントを実行することが合意されたら計画を作成するのがよい。計画にはアセスメントの目的、範囲及び基準を定め、合意すること、並びに、アセスメント計画を作成することが含まれる。
4.2.2 アセスメントの目的
アセスメントは、依頼者によって定められた目的を考慮する必要がある。EASOの目的には、次のようなものを含めてもよい。
−用地及び/又は組織に関連する環境側面及び環境事項についての情報を明確にし、収集し、評価すること、並びに、要望がある場合には、
−用地及び/又は組織に関連する環境事項の事業への影響を決定すること
4.2.3 アセスメントの範囲
アセスメントの範囲は、アセスメントの境界と焦点を定めるものである。依頼者の裁量によって、この範囲には事業への影響の決定を含めても、また含めなくともよい。
アセスメントの範囲を決める際には、次の各項を考慮するとよい。
− アセスメントの対象となる環境側面の種類
− 他の用地や組織が被評価側に及ばす可能性のある環境影響
− 被評価側の物理的境界(例えば、用地、用地の一部)
− 該当する場合は、隣接及び近隣の用地
− 請負契約者、供給者、組織(例えは、敷地外の廃棄物処理組織)及び個人並びに前の占有者との関係や、これらにかかわる活動などの組織面の境界
− 対象となる期間(例えば、過去、現在及び/又は将来)
−被評価側及び/又は依頼者の活動(例えば、現行事業の継続、変更・拡張・解体・撤廃・改造の諸計画)に関する期間
−基準(4.2.4参照)の作成に関する期間
− もし、該当する場合は、事業への影響費用の限度額
この範囲は、アセスメントに含まれる関連用地や組織を定め、限定してもよい.依頼者の裁量によって、アセスメントが開始された後でもアセスメントの範囲を修正してもよい.そのような変更は記録し、関係者に連絡することが望ましい。
依頼者は、定められたアセスメントの範囲内で、アセスメント中に優先的に扱われる事項を明確にしてもよい.優先事項は、アセスメントを計画している間に利用可能な情報をもとに確定されることが多い。優先事項の明確化を行っても、評価者がアセスメント中に範囲全体を考慮するという義務を免除するものではない。
4.2.4 アセスメント基準
収集した情報を評価する基準を明確にすることが望ましい。基準には次の事項を含めるとよいが、これに限定されるものではない。
−現在適用されまた、合理的に予見される、法律上の要求事項(例えば、同意、許可、環境法、規則、規制方針)
−その他依頼者が定めた環境関連要求事項(例えば、組織の方針及び手順、特定の環境条件、マネジメント慣習、システム及びパフォーマンスの要求事項、業界並びにその業種に適用される慣習や綱領)
−利害関係のある第三者(例えば、保険会社、金融機関〉の要求事項、要請事項又は潜在的な要請事項
−技術的配慮事項
4.2.5 アセスメント計画
該当する場合、アセスメント計画には、次の事項を含めるとよい。
− アセスメントの目的及び範囲
− 依頼者、被評価側の代表者及び評価者を特定する情報
− アセスメント基準
− 優先的アセスメント領域
− 役割及び責任
− アセスメント及び関連報告書の使用言語
− 日程及び期間を含むアセスメントスケジュール
− 必要な資源(例えば、人員、予算、技術)
− 使用するアセスメント手順の概略
− 使用する備考文書、チェックリスト及び手順書並びに作業文書の要約
− 報告要求事項
− 秘密保持についての要求事項
アセスメントに影響するかもしれない制約事項を、アセスメント計画の中で特定してもよい。想定される制約事項には次のものがある。
− アセスメントに利用可能な時間
− アセスメントに利用可能な資源
− 関連地域への立ち入り
− 利用可能な情報
− 関係者との相互連絡又は関連文書の入手
依頼者は、アセスメント計画を検討し、承認することが望ましい。この計画は、もし必要であるなら、被評価側の代表者に通知することが望ましい。
4.3 情報収集及び妥当性確認
4.3.1 一般
アセスメントは、既存文書や記録の検討(用地視察の前及び用地視察中の両方)、活動や物理的状態の観察、そして、面接調査を通じて収集され妥当性確認がなされた環境側面についての情報をもとに行われる。−以下略−
アセスメントに必要とされ得る情報の種類を実践の手引き?に例示する。
実践の手引き? EASOにおいて考慮対称なり得る情報例
− 立地
− 物理的特性(例えば、水文地質学)
− 評価対象地、隣接地及び近隣地 − 用地利用
− 施設、工程及び操業
− 用地の浸食され易さ
− 原材料、副生成物及び製品(有害物を含む)
− 資材の保管及び取扱い
− 大気、水系、土壌への排出及び放出
− 廃棄物の保管、取扱い、処分
− 防災・消火、漏洩防止及びその他の緊急事態対処計画
− 暴風洪水
− 労働及び公衆の安全衛生
− 法的要求事項、組織内及びその他の要求事項、不遵守及び不適合
− 部外者との関係
これらすべてが、あらゆる用地や組織において考慮されるわけではなく、また、
他の事項が適用される場合もある。
4.3.2 既存文書及び記録の検査
評価者は、これまでの調査活動と不必要に重複することなく、用地及び/又は組織についての充分な理解を得て、文書及び記録を収集し検討することが望ましい。考慮しうる文書及び記録の例を実践の手引き?に示す。−以下略−
実践の手引き? EASOにおいて考慮されうる文書及び情報源
文 書 情 報 源
− 地図、計画書、写真
− 過去の履歴
− 地質学/水文地質学上の記録
− 地質工学に関する記録
− 出荷記録/取扱い記録
− 安全データ・シート(MSDS:物質安全性データシート)
− 作業指示書
− モニタリング手順及び結果
− 工程に関する文書(例えば、物質収支)
− 保全記録
− 在庫目録
外部
− 政府機関(国、地方規制当局、計画部局)
− 保管文書
− 公益団体
− 商業出版物
−業界行動綱領
−緊急サービス− 保険会社
内部
− 環境、保健衛生、安全部門
− 公式登記・記録(例えば、埋立て、汚染地)
− 緊急対処及びその他対応計画
− 保健衛生、安全及び環境に関する訓練記録
− 事故記録
− 許可書/免許証/通知書
− 組織図(業務と責任)
− 監査及びその他報告書
− 不遵守及び不適合記録
− 苦情
− 組織の方針、計画、マネジメントシステム
− 保険上の要求事項
− 供給業者他の部外者との契約
− その他の訓練記録
− 生産技術部門
− 製造部門
− 購買部門
− 研究開発部門
− 資産管理部門
− 施設管理部門
− 教育・訓練部門
− 法務部門
− 財務会計部門
− 広報部門
− 人事部門
− 医務部門
これらすべてが、あらゆる用地や組織において考慮されるわけではなく、また他の事項が適用される場合もある
4.3.3 活動及び物理的状態の観察
評価者は、過去の活動及び操業による用地又は組織の物理的状態に関する情報を観察し、記録することが望ましい。観察対象となりうる用地内外の要素についての例を、実践の手引き?に示す。−以下略−
実践の手引き? EASOにおいて観察されうる要素の例
活動
− 廃棄物管理
− 資材及び製品の取扱い
− 工程の管理
− 排水の管理
− 大気排出管理
− 水系への排出
− 用地利用
物理的条件
− 排水処理設備及び下水システム
− 冷暖房システム
− 配管及び通気孔
− 格納容器.排水路、及び排水だめ
− 貯蔵容器/タンク
− 公益事業体からの供給
− 騒音、光、振動又は熱
− 臭気、塵埃、煤煙、微小粒子
− 地表水及び用地の地形
− 用地の周辺及び隣接地並びに組織
− 土壌及び地下水の状態
− 着色した又は変色した表面
− 影響を受けている動植物
− 理立て
− 建物、工場及び装置類
− 資材の保管
− 有害な資材、製品、物質
− 防火設備及び緊急事態対処設備
これらすべてが、あらゆる用地や組織において考慮されるわけではなく、また他の事項が適用される場合もある。
4.3.4 面接調査−省略−
4.4 評価
4.4.1 一般
妥当性がなされた環境側面に関する情報は、評価プロセスにインプットされる資料となる。このプロセスは、図(3−1−2)に示すように、環境事項の明確化と事業への影響の決定という二段階から成る。これら二つの段階は、依頼者の裁量によって、別々の主体が実施してもよく、これは、特に依頼者が事業の影響を決定するために、他の専門技能(例えば、技術的、法律的や財務的)を必要とする場合が該当する。
図(3−1−2)評価プロセス

備考 括弧内の数字はこの国際規格の項目番号を参照している。破線は、この国際規格に記述されているように、事業への影響を決定することがEASOの必須の部分ではないことを示す。
4.4.2 環境事項の明確化
環境事項を明確にするために、環境側面に関する妥当性確認が行われた情報を、選定した基準と比較する.妥当性確認がなされた情報が、選定した基準から外れている場合に環境事項が明確になり、次のような結果を導く場合がある。
− 組繊にとっての責任又は便益
− 被評価側又は依頼者の社会的イメージヘの影響
− その他の費用
事業からみて、関連が肴薄である事項も環境上は関連があるかも知れないし、その逆もあり得る。
この段階を経た結果、依頼者に関連する環境事項が明確にされる。
4.4.3 事業への影響の決定
事業への影響の決定は、これがアセスメントの目的及び範囲に含まれている場合にのみ実施される。
事業への影響は、明確化され評価された環境事項の実際の又は潜在的な影響(財務的とそれ以外、好ましい又は好ましくない、定性的又は定量的)である。
この評価には.一般にEASOの目的にかかわる環境事項の及ぼす影響について判断が含まれる。この段階で、事業への影響に対処するための費用が見積られ被評価側又は依頼者の社会的イメージに対する影響についても明確にされ、評価される。
この判断に当たっては、次の事項が考慮される。
− 緩和措置又は是正、回避又は防止する対策が実際にもたらす若しくはもたらすかもしれない結果
− 環境損害
− 例えば、法律及び他の関連要求事項の現在並びに予想される変更に対する不遵守の結果生ずる現在又は将来の(公法上及び私法上の)責任
− 被評価側及び/又は依頼者の社会的イメージヘの打撃
− 依頼者若しくは被評価側の企業方針又は他の依頼者が定めた要求事項に対する不適合
− 上記の措置又は対策をとる場合の見積り額
− 技術開発
− 諸々の費用支出をしなければならない期間(例えば、執行措置又は新しい法律の制定の可能性に関連した期間)
情報が十分でないため結論が限定される場合は、それを表明する必要があり、また、いかなる見解もそれに応じて性格付けすることが望ましい。
評価プロセスのこの部分の結果として、事業への影響のリストが作成され、適当な場合には定量化される。
5 報告作成
5.2報告内容
評価者は報告書の内容に対して責任を有し、依頼者が認定事実の重要性を理解できるように工夫した方法で情報を提供することが望ましい。これを行うために、評価者は事実と意見を区別し、認定事実の根拠を明確に特定し、また、認定事実に関する相対的不確実性を指摘することが望ましい。
次に示す情報を依頼者に報告することが望ましい。
− 評価した用地及び/又は組織を特定する情報
− 評価者及び報告書作成者の氏名
− アセスメントの目的、範囲及び基準
− アセスメントの日時及び期間
− 利用可能な情報の制約事項及びそれらのアセスメントに対する影響
− 制約事項、除外事項、修正事項及び合意したアセスメントの範囲からの逸脱
− アセスメントの間に収集した情報の要約及びアセスメントの結果
依頼者と評価者の問の合意に従って、次に示す情報も依頼者に報告してもよい。
− 依頼者の氏名
− 被評価側代表者の氏名
− アセスメントチームのメンバーを特定する情報
− アセスメントスケジュール
− 使用したアセスメント手順の要約
− 使用した備考文書、チェックリスト及び手順書並びにその他作業文書の要約
− 評価方法、及び評価の根拠
− 評価者によって実施されたのであれば、その評価の結果
− 想定される次の段階に関する推奨事項
− 秘密保持に関する要求事項
− 結論
EASO報告書の目次の例を実践の手引き?に示す。
アセスメントの範囲で明示されている場合は、報告書に記述された認定事実を補強し、後日又は他の関係者によってアセスメントの再評価ができるように、備考文献や重要な情報を含む十分な文書類を、報告書に入れておくことが望ましい。評価者は、制約が存在する見解について性格付けをすることが望ましい。例えば情報が不十分な場合がそれに該当する。
5.2 報告書様式
依頼者の優先事項についての意向又はその他の取り決めによって、口頭による報告のみが求められることがある。それ以外の場合には、報告は文書によって行うことが望ましい。
実践の手引き? EASO報告書の目次例
a)要約
b) 序文
一 依頼者の氏名
一 被評価用地又は組織
一 被評価側の代表者の氏名
一 評価者の氏名
− アセスメントの日時及び期間
c)目的及び範囲
一 依頼者の指示事項
一 用地及び組織の境界
d)アセスメント基準
e)アセスメントプロセス
f) 情報
一 情報源
一 制約事項及びその予想される影響
一 要約
g) 結論
一 環境事項
一 事業への影響
付録
5.3 報告書の配布
報告書は依頼者の専有財産である。したがって、評価者及び報告書受領者は秘密保持を尊重し、適切な防護措置を取ることが望ましい。報告書の配布は、依頼者の裁量によるものであり、その中には、被評価側に報告書の写しを提供することを含めてもよい。
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/004/attached/attach_4328_7.pdf
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