現在、私たち人類の文明の発達などよって自然界に生態系のバランスが崩れ、本来あるはずの食物連鎖のかたちが崩れかけている現状ですっ。
海に親しむ私たち釣り人の身近な問題といえば、赤潮、青潮の大量発やカワウの数が増えた事でせっかく放流した稚魚が食べられちゃう事など…。
現在も未来も豊富な資源に恵まれた美しい地球でありますように。
いつまでもマリンレジャーが楽しめますように。
たくさん魚が釣れるフィッシングパラダイス、ニッポン!を本気で目指すためにも、これから私もみなさまと一緒に海の知識を学んでゆきたいと思いますっ。
まずは魚の生態や保護、増やすための海の知識が今の私たちに必要なのかな?
釣る、という観点を180度変えてみて海洋学の視点から考えてみましょう!
研究者によって解明された事実は意外にも釣果に深い関係があったりしてお役立ち知識も!?
それらを名づけてビバ!フィッシングサイエンス
ではまず、食物連鎖の底辺にあるプランクトンのお勉強のために、底質汚染についてイントロを説明します。
おおさかATCグリーンエコプラザ ビジネス交流会 水・土壌汚染研究部会 底質汚染分科会は大阪府神崎川の底質ダイオキシン類汚染の公表を契機に発足しました。
水の底の蓄積された底質汚染は多くの人に理解されている訳ではありませんが、食物連鎖を通しての人の健康リスクや生物多様性への影響など多くの問題が抱えています。
当分科会は行政や学識経験者を招いて底質汚染に関するセミナーを開催してきました。この間、全国の底質汚染の現状が徐々に明らかになり、底質汚染による底生生物の影響や汚染原因解明手法も分かってきました。
底質汚染分科会の特別会員である環境カウンセラーの
藤原きよみの主張する「
三世代先の海いつまでも」に良く表れているように、環境は子孫からの預かりものでございます。この数十年で大変悪くなった底質汚染ですが、汚染濃度が高いところは低下傾向にありますが、底質汚染の拡散とも考えることができるのではないでしょうか。
ブログ「
底質汚染ラーニング」で多くの底質汚染の情報を収集してきました。また、その情報を下記のホームページに掲載しています。
全国の底質汚染
底質汚染の歴史
私たちの時代に、底質環境を保全し、健康リスクを低減させると共に、恵み豊かな海の再生を図ることが現代人の使命ではないでしょうか。
それでは底質汚染について勉強しましょう。
はじまり ハジマリ パチハチパチ!
日本の地球化学図や「
港湾底泥中の粒子状金属の濃度レベルとその底生生物への影響」から主な資料を引用して説明します。
上図は日本沿岸の海の底と試料採取場所の図です。
水銀と底生生物の説明をします。
全国的に見ると佐渡島、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、大阪、瀬戸内海、水俣等が高くなっています。
仙台も水銀が高くなっています。
東京湾(東京・千葉・市原・木更津・横須賀・君津・鎌倉・茅ヶ崎・小田原・熱海が高い)
伊勢湾も水銀が高いですね
大阪湾(大阪湾奥を汚染源とした東半分、阿南から御坊を結んだ線の北側。淡路島の南および西側は水銀が高い。)
瀬戸内海(大阪・神戸・堺・岸和田・姫路・和歌山・徳島・淡路島の五色の浜沖・新居浜沖・岩国等が水銀が高い)
九州(水俣・鹿児島国分・宿毛沖が水銀高い)
上図は底質に含まれる水銀を表しています。赤色は0.25〜126mg/kg、黄色は0.14〜0.18mg/kgで、 下の図に示すよう水銀含有量が0.15mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなります。
佐渡島、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、大阪、瀬戸内海、水俣等が高いです。橙色〜赤色のところは底生生物が水銀により大きく影響を受けていることになります。
鉛と底生生物の説明をします。
東京湾・大阪湾・富山湾・瀬戸内海・新潟が高いですね。
東京湾の鉛底質汚染は赤色の横浜の奥の東京・市原・木更津ということになります。
大阪湾東3分の1が特に鉛底質汚染が進んでいます。
赤 色:45mg/kg
オレンジ色:45〜40mg/kg
橙 色:40〜35mg/kg
黄 色:35〜30mg/kg
下の図に示すように、鉛含有量が47mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなるとのことですので、鉛により底生生物がほとんどいなくなるっている範囲は赤色で、大阪・神戸・堺・岸和田・姫路・赤穂・倉敷・徳山・尾道・徳島・淡路島の五色の浜沖・新居浜沖・岩国等が、鉛の影響を受けて底生生物がほとんどいないことになります。
海の底にも有害物質が蓄積されています。
カドミウムと底生生物の説明をします。
赤色は1.4〜0.3mg/kgを示します。カドミウム含有量が1.2mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなります。東京湾・伊勢湾・大阪湾・周防灘が高いですね。赤い所のうち濃いところが底生生物がほとんどいないことになります。
赤色はカドミウムが1.4〜0.3mg/kgの濃度です。カドミウムの含有量が1.2mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなるとのことですので、カドミウムにより底生生物がほとんどいなくなるっている範囲は赤色である東京湾全域と銚子沖ということになります。
赤色:1.4〜0.3mg/kg
カドミウムの含有量が1.2mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなるとのことですので、カドミウムにより底生生物がほとんどいなくなるっている範囲は赤色である大阪湾の東4分の1程度ということになります。
赤は1.3〜0.3mg/kgですので、赤色の中心部分の 大阪や周防灘・姫路・岡山・岩国・自衛隊築城基地・苅田が高く、カドミウムにより底生生物が棲めなくなっているようです。
クロムと底生生物の説明をします。
クロムは北海道、宮城、千葉、東京、静岡、富山等で高くなっています。
赤色は334〜100mg/kg、黄は77〜66mg/kgクロムが含まれています。クロム含有量が81mg/kgを超えると底生生物はあまりいなくなりますので、橙色〜赤色のところの横浜・東京・船橋・千葉・市原などがクロムの影響で底生生物が少なくなっているようです。
赤色:334〜100mg/kg
橙色:99〜78mg/kg
黄色:77〜66mg/kg
橙色〜赤色のところの横浜・東京・船橋・千葉・市原などがクロムの影響で底生生物が少なくなっているようです。
赤:334〜100mg/kg
黄:77〜66mg/kg
クロム含有量81mg/kgを超えると底生生物はあまりいなくなります。赤色や橙色のところの大阪湾奥を汚染源とする大阪湾東半分や、徳島・小松島付近が汚染源と思われる淡路島西南部や高松から阿南の間の沖ではクロムの影響で底生生物が少なくなっているようです。淡路島西側はクロムが高いですね。
赤:334〜100mg/kg黄:77〜66mg/kg
橙色のところの大阪・淡路島南西部・徳島・新浜沖・高知・須崎がクロムの影響で底生生物が少なくなっているようです。
クロム含有量が81mg/kgを超えると底生生物はあまりいなくなることが分かりますね。
亜鉛と底生生物の説明をします。
亜鉛含有量が150mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなります。
秋田、宮城、千葉、東京、富山、愛知、三重、福井、鹿児島などが高いです。赤い所は底生生物がほとんどいないことになります。
赤:422〜138mg/kg
赤くなっている東京湾や横須賀・茅ヶ崎・銚子などは亜鉛の影響で底生生物が少なくなっています。
赤いところは422〜138mg/kgです。 亜鉛含有量が150mg/kgを超えると底生生物はほとんどいなくなります。
赤くなっている大阪湾や和歌山・徳島・香川・播州・岡山は底生生物が少なくなっています。
赤くなっている伊勢湾や、海南市から阿南市を結んだ線の北側や姫路・高松付近も底生生物が少なくなっています。
赤:422〜138mg/kg
大阪・多奈川・神戸・姫路・岡山・小豆島・豊島・和歌山・海南・福良・高松・観音寺・水島・福山・尾道・広島・岩国・四国中央・新浜・西条・大分・中津・宇部・小野田など瀬戸内海全体の亜鉛が高く底生生物の棲息が妨げられている。
むつかしくなってきました。
次はダイオキシン類や環境ホルモンです。
ホルモン焼きではありません。
下の表は港湾における底質汚染の濃度と量です。(国土交通省提供)
千葉港がもっとも汚れていて、たくさんのダイオキシン類汚染底質があります。2位は大阪港です。
下の図は千葉市原港の底質ダイオキシン類汚染の図面です。
見にくいのでリンク元(
市原市地先海域におけるダイオキシン類の調査結果)をご覧ください。
下図は「
内分泌かく乱物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理プロジェクト」内分泌かく乱化学物質のリスク評価と管理のための統合情報システムについては、GIS上の高詳細環境モデル(G-CIEMS)を完成させ、ダイオキシン類の河川水中濃度、ベンゼン・ダイオキシンの大気中濃度を推定し、実測値と比較した(図5)。
図5 G-CIEMSモデルによる河川水中濃度の推定結果の例
鳥羽港のあたりが一番高く京浜地域や高知も高い ですね。
鳥羽では、PCB類、 HCB(ヘキサクロロベンゼン)、アルドリン、ディルドリン等の環境ホルモンが高くなっています。エンドリン日本一高濃度です。伊勢の海女さんはご存知だったかも知れません。
「化学物質と環境2005年度調査」より底質における環境ホルモンの高いところ」で分かりやすく書いています。
下図は底質に含まれるダイオキシン類と底生生物の種類や重量の関係を示した図です。
ダイオキシン類濃度と底生生物の関係には、 「米国NOAA から示されている底質ガイドラインでは,PEL 値(底生生物が少なくなる値)として,21.5pg-TEQ/g を与えており,環境基準値以下であっても,何らかの生物への影響を排除することはできないと考えられる。本調査の結果からは,底生生物湿重量,底生生物種類数ともに,ダイオキシン類濃度が高い場合には,生物棲息環境が貧弱になる傾向があった。特に,ダイオキシン類濃度が20 pg-TEQ/g を超過した場合,存在した底生生物は,二枚貝網,多毛類網,花虫網などであり,種類数が少なかった。」と記載されています。
ダイオシン類の底質環境基準は150pg−TEQ/gですが、底生生物を保全し豊かな海を守るには20pg-TEQ/gを基準に考えるべきだということになります。
大人には健康被害が無くても、胎児や小さな生物には影響があります。また、海の生物には環境ホルモンが蓄積されていることと
有害化学物質の生物への蓄積
でまとめています。
三世代先の海、いつまでも。 / 藤原きよみ
島育ちの父は私が幼少の頃からよく海につれていってくれました。夏休みは家族8人で必ず海でキャンプです。幼すぎて場所はわからないけど磯場が多く海の生き物がたくさんいて楽しかった。
おてんばな私はフジツボで手足を切ったりなんてあたりまえ^^。急な突風、天候の変化、高波、雷雨。。。「自然は楽しい反面怖い」 子供だったけど無茶はしちゃいけないって感じました。
楽しかった子供のころの海の想い出。
私くらいの年齢の夫婦の子供達が大人になってまた子供を産んで。。。その三世代先の海がいつまでも健康であってほしい。
未来の海を大切に思うから、未来をつくる今の子供達の命の大切さを。
三世代先には私はもちろん生きてはないけどその時の子供達が豊かな自然恵みを受ける事ができたらいいなって。。。そのために今私達、大人が出来る事ってなんだろう。