平成19 年9 月
高砂西港盛立地のPCB 汚染土に係る
技術検討専門委員会
高砂西港盛立地のPCB 汚染土に係る報告書
はじめに
提 言 P2
【参考】
1 委員会の概要 P10
1.1 委員会設立の経緯
1.2 委員会審議の経緯
2 盛立地の概要 P12
2.1 盛立地の造成
2.2 PCB 関連法規の適用関係
3 盛立地の安全性の検証 P19
3.1 現地調査
3.2 盛立地の環境面の検討結果
3.3 盛立地の構造面の検討結果
4 今後の対策と課題 P27
4.1 擁壁補強
4.2 恒久対策と検討事項
4.3 盛立地の恒久対策と課題
4.3.1 A1 全量撤去+分解処理方式
4.3.2 A2 全量撤去+直接埋め立て処分方式
4.3.3 B 分解処理+現地埋め戻し(又は搬出)方式
4.3.4 C1 上部被覆方式
4.3.5 C2 上部被覆+遮水性地下土留め壁方式
【添付資料】
はじめに
東播磨港高砂地区高砂西岸壁に面する港(以下高砂西港という。)の北側に位
置する(株)カネカ高砂工業所と三菱製紙(株)高砂工場の敷地内に、広さ約5ヘ
クタール高さ約5メートルのアスファルトで覆われた人工の巨大な丘(以下盛
立地という。)がある。
この盛立地は、昭和40 年代後半、高砂西港の底質土砂がPCB で汚染されてい
ることが明らかになった際、これらを浚渫し、固化処理後、このような形に造
成したものである。
平成18 年3月に高砂市から兵庫県に対し、盛立地のあり方を検討するための
専門家委員会の設置について依頼があり、平成18 年5 月に「高砂西港盛立地の
PCB 汚染土に係る技術検討専門委員会」が設立されて以来、7 回にわたり審議を
重ねてきたところである。
この報告書は、今後のまちづくりにおいて、この盛立地をいかに取り扱うか
検討するため、過去の工事工程などの資料やPCB に係る各種調査結果などをも
とに、必要となる事項を環境科学及び土木工学の観点からとりまとめたもので
ある。
とりまとめに当たっては、単に技術上の観点だけからではなく、現実的にど
のように対処すべきかに意を配したところであり、今後関係者間で具体化を図
る際の基礎資料として生かしていただきたい。
高砂西港盛立地のPCB 汚染土に係る技術検討専門委員会
委員長 藤 田 正 憲
提 言
委員会では、次の事項を検証するとともに、これらを踏まえ「恒久対策」
即ち将来にわたって安全性をより確実にするための方策を提言としてとり
まとめた。
(1)検証事項及びその結果
? 環境への漏洩
? 現時点での構造面の安全性
盛立土本体ではないが、最外周部の擁壁の一部に補強を
要する箇所がある。
? 地震等の自然災害に対する安全性
大規模地震により下層地盤が液状化した場合には盛立土の斜面の一部が崩壊する可能性がある。
(2)今後の恒久対策
上記の??により、現状における安全性を確認したが、さらに安全
性を確実にするため、上記?〜?を踏まえて、恒久対策として次の3
つの方策を検討した。
対策 内容
盛立土を全量搬出し、分解処理し、最終処分場に埋め立てる方法
A全量撤去
盛立土を全量搬出し、最終処分場に直接埋め立てる方法
盛立土を全量掘削し、近傍で分解処理した後、現地に埋め戻す方法
B現地分解処理
盛立土を全量掘削し、近傍で分解処理した後、最終処分場に埋め立てる方法
C現地封じ込め
盛立土を現状のまま、安全性をより確実なものとして封じ込める方法
恒久対策の選定に当たっては、次の条件に適合する必要がある。
? 確立された技術であり、かつ盛立地の対策として適用可能であること。
? 周辺への影響が小さいこと。
? 実現性が高いこと。
なお、最外周部の擁壁の一部の補強については、周辺の道路交通
の安全を確保するという観点から、いずれの恒久対策をとる場合で
も必ず実施すべき対策である。
(擁壁の補強)
盛立地の最外周部に設置されているコンクリート製の擁壁の一部
(通常時においては東側擁壁のみ、地震時においては西側擁壁と北側
擁壁も)について、強度不足があることが判明した。破損したとして
も盛立土の安全性に影響を与えることはないが、擁壁内側の盛立土造
成以前の下層土砂などが道路に崩れ出る可能性があることから、道路
交通の安全性を確保するため、補強が必要である。
盛立地イメージ図
2 期工事PCB 含有固化土
1)A全量撤去対策
PCB 含有固化土を全量搬出することにより、現地から盛立土自体を
なくしてしまう方法である。
? A1 全量撤去+分解処理方式
この対策を採用するためには、PCB を含有している大量の盛立土
(覆土量含む、283,000m3)を分解処理することができる実用規模の既
存施設の存在が前提となる。
しかし、現時点で大規模の分解処理施設は稼働していない。(分解
処理施設については、B現地分解処理対策を参照)
なお、100 ?/日程度の受け入れが可能な分解処理施設を建設する
と仮定した場合でも、対策工事期間は、新たな施設の建設を含め概
ね20 年である。
? A2 全量撤去+直接埋め立て処分方式
この対策を採用するためには、分解処理をしないPCB 含有固化土
を大量に受け入れできる最終処分場の確保が課題となる。
この方式は、高濃度のPCB を含有した固化土と処分場の雨水など
が接触することから、PCB を含む排水を処理する施設が必要である。
また、仮に搬入できるとして、200 ?/日程度の受け入れ量を仮定
しても対策工事期間は概ね10 年である。(10 ?トラック20 台/日)
Aの対策を採用するためには、次の環境対策が必要である。
・ 盛立土を掘削するため、PCB 含有固化土由来の粉じんなどの飛散防止対策が重要となる。
・ 掘削作業中は、掘削場所をテントなどで覆蓋し、飛散防止対策
をとることとなるが、長期にわたりPCB 含有固化土由来の粉じん
などの周辺環境への飛散リスクが継続することから、場合によっ
ては、周辺住民の移転などを考慮する必要がある。
以上のことから、この全量撤去対策を採用するには、これらの課題
を解決する必要がある。
2)B現地分解処理対策
現地近傍にPCB 分解処理施設を設置し、盛立土全量を分解処理後現
地に埋め戻す、又は別の場所の最終処分場に埋め立てる方法である。
ア PCB 等の汚染土壌の分解処理技術としては、高温分解法などが開
発されており、小規模ではあるが実用に供されている。
しかし、PCB を含有している大量の盛立土(283,000m3)を処理する
には、さらに処理能力の大きな施設の建設が必要となる。
現在、北九州で建設中のPCB 廃棄物処理施設の能力は、5?/日である。
イ 仮に10 ?/日の処理能力を有する施設を10 基設置し、100 ?/日
の処理能力と仮定すると、対策工事期間は施設の建設も含め概ね20
年である。
ウ 今回対象となるPCB 含有固化土は、通常の汚染土壌とは性状が異
なることから、この対策を採用する場合には、事前に実サンプルを
使った実証実験により処理効果を確認する必要がある。
エ この対策を採用する場合には、分解処理施設建設のための用地確
保が必要である。
オ この対策を採用する場合には、次の環境対策が必要である。
・ 盛立土を掘削し、処理施設まで運搬した後、分解処理を行うた
め、PCB 含有固化土由来の粉じんなどの飛散防止対策が重要となる。
・ 分解処理施設の稼働時には、処理施設から排ガスなどの対策も
行う必要がある。
・ 掘削作業中は、掘削場所をテントなどで覆蓋し、飛散防止対策
をとることとなるが、長期にわたりPCB 含有固化土由来の粉じん
などの周辺環境への飛散リスクが継続することから、場合によっ
ては、周辺住民の移転などを考慮する必要がある。
以上のことから、この現地分解処理対策を採用するには、これら
の課題を解決する必要がある。
3)C現地封じ込め対策
盛立土を現状のまま、安全性をより確実なものとして封じ込める方
法であり、以下の2つが考えられる。
? 遮水シートなどによる上部被覆方式
? 遮水シートなどによる上部被覆+遮水性地下土留め壁方式
??の対策はいずれも最終処分場遮水工事、地下構造物築造工事な
どで多数の実績があり、技術上の問題はない。
また、現地封じ込め対策は盛立土を掘削・運搬しないので、PCB 含
有固化土由来の粉じんなどが飛散するリスクはない。
なお、対策実施後も適切に盛立地を管理し続けていく必要がある。
? C1 上部被覆方式
盛立土上部(周囲の法面を含む。)には、現状でも覆土及びアスフ
ァルト被覆が施されており、その安全性を確認しているが、さらに
遮水シート、不織布などにより盛立土上部を被覆することにより、
雨水などの浸入を防止し盛立土への遮水効果を高め、封じ込め効果
を確実にすることができる。
ただし、大規模地震(震度6強)が発生し、盛立地の下層地盤が液
状化した場合には、この上部被覆方式のみでは盛立土の斜面の一部
が崩壊する可能性がある。
? C2 上部被覆+遮水性地下土留め壁方式
現状でも周辺へのPCB の漏洩はなく、盛立土上面は、遮水のため
に50mm のアスファルト被覆がなされており、さらに、下層はカーバ
イド滓及びアスファルト層により遮水されていることから、安全性
を確認している。
しかし、アスファルトの劣化による地下水の浸透、地震時の対策
として、遮水性地下土留め壁を盛立土の周囲の地下地盤に施工する。
この対策を行うことにより、大規模地震(震度6強)が発生し、盛
立地の下層地盤が液状化した場合でも、盛立土の斜面の崩壊を防止
することが可能となる。
また、盛立土下層地盤にある地下水と周辺地下水の間を遮断し、
PCB の漏洩を更に確実に防止することが可能となる。
本方式は、想定した大規模地震等に対しても安全性を確保できる
対策である。
現地封じ込め対策イメージ図
2 期工事PCB 含有固化土
(3)まとめ
1)検討内容
過去の工事記録、調査結果及び新たに実施した各種の調査結果など
を踏まえ、今後想定される大規模地震等の自然災害に対しても安全性が
確保できる恒久対策を検討した。
検討した対策は、A全量撤去対策(さらにA1、A2に区分)、B現地
分解処理対策、C現地封じ込め対策(さらにC1、C2に区分)である。
各対策技術の現状、工期及び事業費の試算をもとに検討し、総合評価
などを次表のとおり整理した。
2)結論
? A全量撤去対策
受け入れ可能な施設の確保が課題である。また、この対策を採用
した場合には、長期にわたりPCB 含有固化土由来の粉じん等が周辺
環境へ飛散するリスクは避けられない。
? B現地分解処理対策
大規模の分解処理施設の建設が課題である。また、この対策を採
用した場合には、A対策と同様、長期にわたりPCB 含有固化土由来
の粉じん等が周辺環境へ飛散するリスクは避けられない。
? C現地封じ込め対策
この対策は、PCB 含有固化土由来の粉じん等の周辺環境への飛散
リスクがなく、上部被覆と遮水性土留め壁方式を採用すれば、盛立
土の封じ込め効果が高く、大規模地震等に対しても安全性を確保で
き、さらに万が一のPCB 漏洩にも対応できる。
「C現地封じ込め対策」は、周辺への影響が少なく、現状で確立さ
れた技術であることから、盛立地の対策として適用可能な技術である。
中でも今後想定される大規模地震等にも対応できる「C2上部被覆
+遮水性地下土留め壁方式」は、盛立地の安全性をより確実にするも
のである。
【参考】
1 委員会の概要
1.1 委員会設立の経緯
平成17 年7月に兵庫県において、「高砂みなとまちづくり構想」がとり
まとめられ、同年10 月には、構想の実現に向けた検討を行うため、高砂
市において、「高砂みなとまちづくり構想推進協議会」が設立された。こ
の協議会設立を機に、盛立地のあり方を検討するための専門家の立場から
の知見が必要であるとの意見があり、高砂市から兵庫県に対し、専門委員
会の設置について依頼があった。
このため、兵庫県では、「高砂西港盛立地のPCB 汚染土に係る技術検討
専門委員会」を設置し、盛立地の環境面と構造面に関する安全性について
技術的な観点から検討してきたところである。
(1)委員会の構成
委員は、環境工学、環境化学、廃棄物処理及び土木工学の各分野の学識
経験者5名で構成している。
委員長:藤田正憲 大阪大学名誉教授、高知工業高等専門学校長
委 員:金原和秀 岡山大学資源生物科学研究所准教授
〃 :常田賢一 大阪大学大学院工学研究科教授
〃 :野馬幸生 国立環境研究所循環型社会・廃棄物研究センター
物質管理研究室長
〃 :道奥康治 神戸大学大学院工学研究科教授
1.2 委員会審議の経緯
(1)第1回技術検討専門委員会
開催日:平成18 年6月30 日(高砂市内)
審議事項:
・盛立地の概要、現地視察
・関係法令
・審議の基本方針及びスケジュール
(2) 第2回技術検討専門委員会
開催日:平成18 年9月8日(神戸市内)
審議事項:
・既存資料の確認及び補完すべき追加調査
・PCB 汚染土の処理事例・処理技術
(3)第3回技術検討専門委員会
開催日:平成18 年12 月20 日(高砂市内)
審議事項:
・現状での盛立地の安全性
・各種対処方法
(4)第4回技術検討専門委員会
開催日:平成19 年2月7日(神戸市内)
審議事項:
・現状での盛立地の安全性
・各種対処方法
(5)第5回技術検討専門委員会
開催日:平成19 年3月24 日(高砂市内)
審議事項:
・地震、高潮など自然災害に対する安全性の検討
・恒久対策について
・委員会の延長決定
(6)第6回技術検討委員会
開催日:平成19 年6月19 日(神戸市内)
審議事項
・恒久対策について
・提言に当たっての方針
(7)第7回技術検討委員会
開催日:平成19 年9月10 日(神戸市内)
審議事項
・提言の内容
・報告書の取りまとめ
2 盛立地の概要
2.1 盛立地の造成
(1)高砂西港底質調査と浚渫・固化処理工事の実施
兵庫県では、昭和47 年に高砂西港の底質土砂からPCB が検出されたこ
とから、昭和48 年6月「PCB 対策本部」を設置し、対策に着手した。
当時実施された高砂西港の底質土砂の調査結果は、表2.1-1 のとおり
である。
これらの底質土砂は、(株)カネカ高砂工業所及び三菱製紙(株)高砂工
場が事業主体となって、「底質の処理・処分等に関する暫定指針」(昭和
49 年環水管第113 号環境庁水質保全局長通知)に基づいて、兵庫県及び高
砂市の監視のもとに、昭和49 年9月から昭和51 年8月までに浚渫・固
化工事が実施され、現地に盛り立てられた。(盛立地位置及び断面の構造
を図2.1-1、図2.1-2 に示す。)
工事は、表2.1-2 のとおり第1期工事(昭和49 年9月〜昭和50 年3
月)及び第2期工事(昭和50 年8月〜昭和51 年8月)に分けて実施さ
れた。(図2.1-2)
第1期工事は、ガット船により浚渫し、陸揚、トラック搬送、貯泥・
固化処理後、ダンプにて搬出し、造成が行われた。
第2期工事は、ウーザーポンプ浚渫船により浚渫し、固化処理プラン
トにより混練固化後、送泥管にて搬送し、造成が行われた。
盛立土は表面を成形後、アスファルトで被覆し、法面には良質な覆土に
芝生を植栽した。
表 2.1−1 高砂西港底質土砂調査結果
調査期間 昭和47 年6月20 日〜昭和48 年4月6日
調査地点数 24 地点
PCB 濃度
(単位:mg/kg)
4〜3,300
− 1 3 −
表 2.1−2 工事期間と浚渫土量
図2.1-1 高砂西港盛立地位置図
出典:国土地理院 空中写真サービス(撮影1999 年)を元に作成
項目 第1期工事 第2期工事 合計
浚渫工事開始年月 昭和49 年9 月27 日昭和50 年8 月13 日 −
浚渫工事完了年月 昭和50 年2 月5 日昭和50 年12 月27 日 −
全工事完了年月 昭和50 年3 月19 日昭和51 年8 月23 日 −
浚渫面積 m3 45,000 194,000 239,000
浚渫計画土量 m3 110,000 170,000 280,000
浚渫土量(有姿)m3 112,000 189,000 301,000
盛立土量 m3 − − 224,000
盛立土量(覆土含む) m3 − − 283,000
図2.1-2 高砂西港盛立地の断面構造
図2.1-3 盛立工事の工程
(2)浚渫・固化処理後の底質調査
浚渫・固化処理工事後の調査結果は以下のとおりであった。
1)高砂西港のPCB 底質調査など
? 第2期工事浚渫終了直後の底質調査
第2期工事浚渫終了直後の昭和51 年1月に高砂西港内で底質の含
有試験を実施した。その結果は、40 地点において定量下限値(0.01
mg/kg)未満〜12mg/kg であり、4交点平均値で判定すると0.02〜
4.53mg/kg となり、底質の暫定除去基準(昭和50 年環水管第119 号
環境庁水質管理局長通知)10mg/kg 以下であった。
結果(mg/kg) 測定箇所数(全40 地点)
ND 8 地点
0.01〜0.1 11 地点
0.11〜1.0 14 地点
1.1〜2.0 4 地点
2.1〜3.0 2 地点
〜12 1 地点
注)ND:PCB 含有量定量下限値(0.01mg/kg)未満
? 高砂市のPCB 底質調査
高砂市は昭和56 年度以降、現在に至るまで高砂西港内の1地点で
年1回底質含有試験を実施している。その結果は、定量下限値(0.01
mg/kg)未満〜9mg/kg の範囲内であった。
? 兵庫県の水質及び底質調査
兵庫県は、平成16 年9月13 日に水質及び底質の調査を実施した。
水質については、2地点とも定量下限値(0.0005mg/L)未満であ
った。
底質については、高砂西港内の底質6地点で含有試験を実施して
おり、その結果は、0.036〜7.5mg/kg 、平均2.13mg/kg であった。
2.2 PCB 関連法規の適用関係
盛立地の工事は「底質の処理・処分等に関する暫定指針」に適合した工
法で実施されている。
しかしながら、当時から30 年以上が経過して、関係法令が整備されて
きていることから、再度、現行の関係法令の適用について整理を行った。
盛立地の対策の検討に当たっては、たとえ関係法令の直接の適用はなく
ても、現行法令の基準に適合した対策をとるべきであるという考え方に立
つものである。
検討対象の法令は、「環境基本法」、「土壌汚染対策法」、「廃棄物の処理
及び清掃に関する法律」、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進
に関する特別措置法」及び「ポリ塩化ビフェニル等の取扱いの規制に関す
る条例」である。
(1)環境基本法(平成5年法律第91 号)
第16 条に基づく「土壌の汚染に係る環境基準について」(平成3年
環境庁告示第46 号)では、「PCB の環境基準は、溶出量で検出されな
いこと(0.0005mg/L 未満)」とされている。しかしながら、同告示に
おいて、「環境基準は、汚染がもっぱら自然的原因によることが明らか
であると認められる場所及び原材料の堆積場、廃棄物の埋め立て地そ
の他の環境基準に掲げる項目に係る物質の利用又は処分を目的として
現にこれらを集積している施設に係る土壌については、適用しない。」
とされている。
さらに「土壌の汚染に係る環境基準について」(平成3年環水土第
116 号環境庁水質保全局長通知)では、「「底質の処理・処分等に関す
る暫定指針」により除去底質を埋め立てる場所、「海洋汚染及び海上災
害の防止に関する法律」に基づいて行われる水底土砂の埋め立て場所
など対象物質の利用又は処分を目的として現にこれらを集積している
ものと認められる施設に係る土壌には環境基準を適用しないこととす
る。」とされている。
このため、高砂西港盛立地に環境基準は適用されないが、周辺環境
には適用される。
(2)土壌汚染対策法(平成14 年法律第53 号)
この法律では、土壌の汚染状態が指定基準に適合しない場合は、「指
定区域」として指定(法第5条)するとともに、汚染土壌の撤去などの
措置を講じることなどを定めているが、「土壌汚染対策法の施行につい
て」(平成15 年環水土第20 号環境省環境管理局水環境部長通知)では、
土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがある土地の調査に関し、「土
壌環境基準が適用されないこととなっている土壌については、それが
適切に管理されている限りにおいて、特定有害物質を含んでいたとし
ても人が摂取する可能性はないと考えられることから、調査の命令な
どの対象とはならない。」とされている。
このため、高砂西港盛立地は土壌汚染対策法の対象外であるが、分
解処理する場合の評価のための基準値として、指定基準で判断するこ
ととした。
また、PCB の溶出試験方法として、土壌汚染対策法に基づく測定方
法(平成15 年環境省告示第18 号)を採用した。
(3)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45 年法律第137 号)「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について」(昭和46 年
10 月環整第43 号厚生省環境衛生局長通知)では、「港湾、河川のしゅ
んせつに伴って生ずる土砂その他これに類するものは、廃棄物処理法
の対象となる廃棄物でない。」としていることから、高砂西港盛立土は、
同法で定める廃棄物には該当しない。
(4)ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13 年法律第65 号)
第2条では、「この法律において、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物」
とは、ポリ塩化ビフェニル、ポリ塩化ビフェニルを含む油又はポリ塩
化ビフェニルが塗布され、染み込み、付着し、若しくは封入されたも
のが廃棄物(廃棄物処理法第2 条第1 項に規定する廃棄物をいう。)
となったものをいう。」としている。
高砂西港盛立土は、廃棄物処理法で定める廃棄物でないことから、
この法律で規定するPCB 廃棄物に該当しない。
(5)ポリ塩化ビフェニール等の取扱いの規制に関する条例(昭和48 年条例第54 号)
この条例では、PCB を含有する廃棄物その他の物で知事が指定す
るものについて適切な管理などを 義務付けている。
知事が指定するものの一つに、排水施設その他の施設の堆積物で
PCB を含有するものがある。
盛立土については、高砂西港内に堆積していたPCB 含有底質土砂
を浚渫し、PCB が溶出しないよう固化処理を行ったものであることか
ら、知事が指定するPCB 又はPCB 製品には該当しない。
3 盛立地の安全性の検証
本委員会では、現時点での盛立地の安全性を検証するとともに、さらに今
後起こりうる地震などの自然災害を想定し、専門的な見地から安全性を検証
した。
安全性を検証するにあたり、地震時の液状化などに関する検討を行うため
に、測量、ボーリングなどの現地調査を実施した。
3.1 現地調査
調査は、平成18 年11 月21 日〜12 月20 日に実施した。
(1)測量及びボーリング調査(添付資料2参照)
盛立地及びその周辺に工事基準点を6箇所設け、平面測量(99,000
?)及び横断測量(5,000 ?)を行うとともに、盛立土本体2地点及び
外周部6地点でボーリング調査を実施した。
図3.1-1 ボーリング位置図
(2)盛立土の土質及びPCB 分析調査
盛立土法面の2地点においてボーリングを実施し、1期工事部分、2
期工事部分及び覆土の土質調査(土質定数など)を行うとともに、採
取した覆土及びPCB 含有固化土のPCB 分析を実施した。
土質調査については、盛立土の原位置での試験及び室内試験により、
安定解析に必要な土質定数を設定した。
(3)盛立地外周部の調査
盛立地外周部6 地点について15〜20m の深さまでボーリングを行い、
土質柱状図を作成し、土質定数の設定を行った。さらに採取した土壌
のPCB 分析を行った。
また、盛立土下部のカーバイド滓層、沖積粘性土層などの土質構成
を確認し、東西2ヶ所及び南北2ヶ所の地層横断面図を作成した。
3.2 盛立地の環境面の検討結果
PCB は、化学的に安定した物質であり、難水溶性かつ脂溶性である。
PCB は、難水溶性であることから地下水などを通じて外部に漏洩する可
能性は小さいが、安全性を高めるためには、盛立土と外部の水を遮断する
ことが重要である。そこで、周辺への漏洩を防ぐため、以下のように盛立
土の遮水状況を評価した。
(1)盛立土の遮水状況
? 盛立土上面及び法面の状況
盛立土上面は、遮水のために50mm のアスファルト被覆がなされてお
り、さらに、関係企業が継続して補修工事を行ってきていることから、
現時点で盛立土上部の遮水性については問題ない。
また、法面の覆土の下にアスファルト被覆があることを現地調査に
て確認している。
? 盛立土の下の状況
盛立土の下は、難透水性の厚さ1.8m のカーバイド滓層(透水係数
8.57×10-7cm /秒)であり、さらにその下に厚さ1.3〜3m の沖積粘性
土層(透水係数3.86×10-7cm /秒)が確認された。これらは土壌汚染
対策法に基づく封じ込め対策として遮水性があると認められる基準
(透水係数1×10-5cm /秒:厚さ5m)を元に換算すると、カーバイド
滓層は21m 及び沖積粘性土層は34m〜78m に相当する。
従って、盛立土の下の遮水性は非常に高いと判断できる。
(2)盛立地と地下水位
盛立地は地上部にあり、盛立地周辺の地下水位は、盛立土より1.5m
以上低いことが判明した。従って、地下水が盛立土と直接接触すること
はなく、周辺地下水と盛立土の間の物質移動はほとんどないと判断でき
る。
(3)PCB 分析結果
1)過去からの調査結果(添付資料1参照)
? 高砂市による調査
高砂市は、昭和51 年1月から現在に至るまで、盛立地周辺について、
年2回環境調査を実施している。(調査地点は図3.2-1)
調査内容は 盛立地周辺の水路1地点、雨水2地点、地下水7地点、
大気3地点、高砂西港内の水質3地点であり、その結果は、すべて定
量下限値(水質:0.0005mg/L、大気:0.05μg/m3)未満であった。
? 関係企業によるPCB 調査
(株)カネカ及び三菱製紙(株)は「高砂西港盛立地の管理に関する確
約書」に基づき、昭和52 年度から現在に至るまで、年2回盛立地周辺
の雨水2地点、地下水3地点、大気2地点で周辺環境調査を実施して
いる。(調査地点は図3.2-1)
その結果は、すべて定量下限値(水質:0.0005mg/L、大気:0.05μg/
m3)未満であった。
2)今回の調査結果
? PCB 含有固化土及び覆土のPCB 分析結果
現在の盛立土中のPCB 濃度を確認するため、今回実施したボーリン
グにより採取したPCB 固化土及び覆土中のPCB を分析した。
第1期工事部分の、PCB 溶出量(※1)は0.0006〜0.0024mg/L、PCB
含有量(※2)は280〜470mg/kg であった。
同様に第2期工事部分のPCB 溶出量は定量下限値未満、PCB 含有量
は22〜31mg/kg であった。
なお、覆土については、溶出量、含有量とも定量下限値未満であっ
た。
表3.2-1 PCB 含有固化土及び覆土のPCB 分析結果
ボーリングポイント 分析個所 溶出量
(mg/L)
含有量
(mg/kg)
覆土 ND ND
南西側法面部 第2期工事部分PCB 含有固化土 ND 22
第1期工事部分PCB 含有固化土 0.0006 280
覆土 ND ND
南東側法面部 第2期工事部分PCB 含有固化土 ND 31
第1期工事部分PCB 含有固化土 0.0024 470
注)ND:PCB 溶出量定量下限値(0.0005mg/L)未満、PCB 含有量定量下限値(0.05mg/kg)未満
※1 PCB 溶出量分析:平成15 年環境省告示第18 号による。
溶出試験 :水と対象土壌を混ぜ、6 時間振とうし、溶け出したPCB を測定する試
験をいう。
※2 PCB 含有量分析:底質調査方法(昭和63 年環水管第127 号環境庁水質保全局長通知)に
よる。
含有試験:対象土壌をアルカリにて1 時間分解した後、溶媒と混合し、PCB の全
量を測定する試験をいう。
? 盛立地周辺のPCB 分析結果
周辺土壌へのPCB の漏洩の有無を確認するため、盛立地周辺で今回実
施したボーリングにより採取した深度別の土壌についてPCB 分析(溶出
試験及び含有試験)を行った。
その結果(表3.2-2)は、いずれの深度でも定量下限値未満であった。
第2期工事終了後実施されてきた周辺地下水のモニタリング調査で
もPCB は検出しておらず、地下水を通じての周辺環境への漏洩がないこ
とを再確認した。
(4)まとめ
盛立土の上面、法面ともにアスファルトで被覆されている。
また、盛立土は、地面よりさらに上部に盛り立てられていることから、地下水と接触することはない。
さらにこれまでの周辺環境調査、今回の盛立土法面覆土調査及び周辺ボ
ーリング土壌調査においてPCB は検出されていない。
このように、盛立土から周辺へのPCB の漏洩が認められないこと、PCB
含有固化土の上面、法面及び下面が遮水されていることから、現時点にお
いてPCB の漏洩の可能性はない。
3.3 盛立地の構造面の検討結果(添付資料3参照)
盛立地は、現在まで安定を保っており、問題は生じていないが、今回、
「港湾の施設の技術上の基準・同解説」((社)日本港湾協会)などに基づき、
地震、液状化、高潮、大雨などの自然災害が発生した場合を想定して盛立
地の安定性を検討した。
(1)盛立土のすべり
地震時においても液状化が起こらなければ、盛立土にすべりは生
じないことが判明した。
一方、液状化判定の結果、内陸直下型やプレート型の大規模地震(兵
庫県地域防災計画で震度6強が想定されている山崎断層地震など)が起こ
った場合は、盛立土下部及び周辺地盤は液状化の可能性が高いことが判明
した。
この場合、盛立土法面肩部から法先部にかけてすべりが生じる可能性が
あることが判明した。ただし、水際線から離れていること及び液状化しや
すい厚さ5m 以上の地層が連続していないため、液状化によって起こる地
盤流動により盛立地が受ける影響は小さいと判断した。
(2)盛立地の沈下
現在、盛立土の施工後30 年が経過していること、及び今回実施した測
量結果などから、盛立地の圧密沈下は既にほぼ完了していると判断できる。
このために、残留沈下はほとんどなく、将来の不等沈下を考慮する必要は
ないと考えられる。
(3)津波時の盛立地の安全性
盛立地は、播磨灘に面しており、外洋で発生した津波の影響は小さい。
兵庫県沿岸域における津波被害想定調査報告書(平成13 年3月)による
と当該地区の津波高さはTP(東京湾平均海面)+1.8m が想定されているの
に対し、盛立地周辺地盤高さは概ねTP+4〜5m である。津波時の予想津
波高さと盛立地の地盤高さを比較検討し、安全であることを確認した。
(4)高潮時の盛立地の安全性
高潮ハザードマップ(平成18 年3月兵庫県)によると当該地区の高潮潮
位はTP+4.2m が想定されているのに対し、盛立地周辺地盤高さがTP+4.2m
より低いところは、西側道路沿いの法尻部のみであった。西側道路沿いの
最も低い地点でTP+4.03mであるので、最大浸水深さは17cm、流速は0.2
〜0.5m/秒と推定されることから、法面覆土が大きく浸食される心配もな
く、安全と考えられる。
(5)大雨時の盛立地の安全性
盛立地は、雨水を早期に排除できる構造となっており、形状や排水勾配
を考慮すると当該地区の100 年確率降雨強度の降雨(66.2mm/時)によっ
て法面覆土が浸食される可能性はないことが判明した。
一方、高潮と大雨が同時に起こった場合は、盛立地内の排水路が水没す
るため、盛立土周辺の法面の一部が冠水することが想定されるが、盛立土
覆土が冠水することはないことが判明した。
これらのことから大雨時についても、安全と考えられる。
(6)擁壁の安定性
当時の設計資料を現在の「道路土工擁壁工指針」((社)日本道路協会)
に基づき検討したところ、通常時は、敷地西側・北側の擁壁は問題ない
ことが確認されたが、東側擁壁については、鉄筋が不足していることが
判明した。
また、地震時は、敷地西側・北側擁壁について地盤の支持力が不足し
ていることが判明した。
なお、南側擁壁については、通常時、地震時においても問題がないこ
とを確認した。
なお、擁壁が破損した場合の土砂崩壊範囲は、擁壁の背後6m までで
あり、擁壁から盛立土までは16m 以上離れていることから、擁壁が破壊
しても直接盛立土に影響はない。ただし、土砂崩壊の拡大を防ぐための
応急処置として、崩壊土砂を除去し、斜面を土嚢及び遮水性シートで保
護するなどの対策を速やかに講じることが必要であり、そのための、擁
壁の変化の状態を早期に検知し、応急措置をとるための体制を整えてお
く必要がある。
(7)まとめ
検討の結果、盛立土は、地震(液状化が起こらない場合)、津波、高潮、
大雨に対して安全であることを確認した。しかし、大規模な地震により
液状化が起こった場合には、盛立土の一部が崩壊することが判明した。
また、盛立地最外周部の一部擁壁については、破損する可能性がある
ことが判明したが、擁壁の破損は小規模で影響範囲が限定的であること
から、盛立土本体の安全性に影響を与えるものではない。
4 今後の対策と課題
これまでの継続的な周辺環境のモニタリング及び今回の追加調査により、
周辺環境へのPCB の漏洩がないこと、地震(液状化が起こらない場合)、津波、
高潮、大雨に対して安全であることを確認した。
委員会では、将来にわたって盛立地の安全性をより確実にするための方策
を検討した。
恒久対策として、「全量撤去対策」、「現地分解処理対策」及び「現地封じ込
め対策」について、次の3つの視点から整理した。
? 確立された技術であり、盛立地の対策として適用可能であること。
? 周辺への影響が小さいこと。
? 実現性が高いこと。
なお、最外周部の擁壁の補強については、周辺の道路交通の安全を守る
という観点から、いずれの恒久対策をとる場合でも必ず実施すべき対策で
ある。
4.1 擁壁補強
盛立地最外周部の一部擁壁については、安定性を確保できていないこ
とが判明したが、破損しても盛立土の安全性に影響を与えることはない。
ただし、隣接する道路の安全性を確保する観点から、補強を行う必要
がある。
この補強工事は、どのような恒久対策をとる場合も実施されるべきである。
(1)工事内容
当時の設計資料及び土質調査結果を用いて最外周の擁壁の安定性に
ついて、「道路土工擁壁工指針」に基づき検討した。
この結果、東側擁壁は、鉄筋が不足していることが判明した。
さらに地震時には、敷地西側・北側擁壁について地盤の支持力が不足
していることが判明した。
このため、隣接道路の安全を確保するため、補強を行う必要がある。
西側、北側擁壁の補強例としては、a)擁壁背後の土砂を除去する、b)
底版を延長するなどが考えられる。
東側擁壁の補強例としては、a)擁壁背後の土砂を除去する、c) 水路
の蓋を固定して梁機能をもたせる、d)コンクリートを増し打ちするな
どが考えられる。
なお、対策の実施のために、さらに詳細な調査が必要である。
<西側・北側擁壁の例> ネットフェンス
<東側擁壁の例> ネットフェンス
(2)検討課題
擁壁補強は通常技術で対応できるが、工事に際してはPCB 盛立土に
影響を与えないよう慎重に行う必要がある。また、補強が施されるま
での間、擁壁の変化の状態を早期に検知し、応急措置をとるための体
制を整えておく必要がある。
水路
(3)工期及び概算事業費
工期及び概算事業費は次のとおりである
? 工期
1年
内訳
・準備工事 :5ヶ月
・擁壁補修工事 :7ヶ月
? 概算事業費
2億円
表4.1-1 擁壁補強の概算事業費
工事内容 概算見積条件 概算事業費
擁壁補強工事 擁壁補強: 仮設フェンス、北側・東側・西
側擁壁の底版コンクリート増し打
ち工事など
2億円
4.2 恒久対策と検討事項
考えられる各恒久対策(表4.2-1)について、工法の実用化レベルや実
績、工事中のPCB 漏洩に対する安全性の確保などについて検討するととも
に、参考として工期及び事業費を試算した。(表4.2-2)
4.3 盛立地の恒久対策と課題
4.3.1 A1 全量撤去+分解処理方式
盛立土全量を現地から撤去し、大量のPCB 含有固化土を分解処理でき
る受け入れ先へ搬出し、分解処理する方法である。
(1)工事内容
盛立土の掘削場所を覆蓋し、全量を掘削して場外へ搬出し、分解処
理できる施設を保有する事業場に持ち込んで土壌汚染対策法の指定基
準値以下まで分解処理する。
(2)検討課題
? 受入先分解処理施設の確保
この対策を採用するためには、PCB を含有している大量の盛立土
(283,000m3)を分解処理することができる実用規模の既存施設の存
在が前提となる。
しかし、現時点で大規模の分解処理施設は稼働していない。
(分解処理施設については、B分解処理+現地埋め戻し(又は搬
出)方式を参照)
? 工事期間中の環境対策
盛立土を掘削し、分解処理施設へ運搬する際に、掘削した盛立土
の表面が乾燥し、粉じんが周辺へ飛散することが考えられる。
また、台風や降雨の対策として、盛立土掘削作業場所を強固なテ
ントなどにより覆蓋し、高性能の大容量集じん機を設置する必要が
ある。
図4.3.1-1 掘削場所覆蓋イメージ図
? 盛立土の運搬
掘削した盛立土は、有蓋ダンプ車など密閉構造の車両にて輸送を
行う必要がある。
図4.3.1-2 有蓋ダンプ車10 ?車
(3)工期及び概算事業費
工期及び概算事業費は次のとおり。
? 工期
20 年
内訳:
・飛散防止工事など 1年
・搬出(搬出量283,000m3 ) 17 年
(搬出先300km 圏、受け入れ能力100 ?/日として、有
蓋10 ?トラックで250 日/年稼動で搬出した場合を想定した。)
・施設建設 2年
? 概算事業費
1,570 億円
表4.3.1-1 A1(全量撤去+分解処理方式)の概算事業費
工事内容 概算見積条件 概算事業費
1掘削、搬出 移動式テント40m×40m×2 基、集じん
機(1,200m3/分)×2 基、アスファル
ト撤去、掘削・場内運搬、事前土壌分
析、10 ?ダンプトラック×10 台=100
?/日場外搬出
350 億円
2分解処理 分解処理施設600 億円、分解処理費600
億円。(環境対策、環境監視、分析費を含む。)
1,200 億円
3分解処理土の埋め立て
分解処理土搬出費、埋め立て処分費 20 億円
概算事業費総額 1,570 億円
(4)対策後のモニタリング
盛立土を全量撤去するので、現地でのモニタリングは不要となる。
4.3.2 A2 全量撤去+直接埋め立て処分方式
盛立土全量を現地から撤去し、直接最終処分場へ搬入する方法である。
(1)対策工事内容
盛立土の掘削場所を覆蓋し、全量を掘削して場外へ搬出し、最終処
分場へ持ち込んで埋め立て処分する。
(2)検討課題
? 受け入れ先の確保
この対策を採用するためには、分解処理をしないPCB 含有固化土
を大量に受け入れできる最終処分場の確保が課題となる。
また、埋め立て処分先として検討した「大阪湾広域臨海環境整備
センター」の最終処分場は、高濃度のPCB を含有する土壌の搬入を
想定しておらず、高濃度のPCB を含有した固化土を受け入れできる
設備を有していない。
? 工事期間中の環境対策
A1(全量撤去+分解処理方式)と同じ対策が必要。
(3)工期及び概算事業費
工期及び概算事業は次のとおり。
? 工期
10 年
内訳:
・飛散防止工事など 1年
・搬出(搬出量283,000m3) 9年
(受け入れ能力200 ?/日として、有蓋10 ?トラック20
台/日×250 日/年で搬出した場合を想定した。)
? 概算事業費
400 億円
表4.3.2-1 A2(全量撤去+直接埋め立て処分方式)の概算事業費
工事内容 概算見積条件 概算事業費
1掘削、搬出 A1対策と同じ 350 億円
2埋め立て 「大阪湾広域臨海環境整備センター」
と仮定した場合
50 億円
概算事業費総額 400 億円
(4)対策後のモニタリング
盛立土を全量撤去するので、現地でのモニタリングは不要となる。
図4.3.2-1 大阪湾広域臨海環境整備センター
神戸沖埋め立て処分場
出典:大阪湾広域臨海環境整備センターホームページ
4.3.3 B 分解処理+現地埋め戻し(又は搬出)方式
現在の盛立地近傍において、盛立土を土壌汚染対策法の指定基準値以
下まで分解処理し、現地へ埋め戻し又は場外に搬出し、最終処分場で埋
め立て処分を行う。
そこで、現在の分解処理技術の開発状況や実績のほか、掘削、分解処
理中の環境を検討するとともに工期及び事業費について試算した。
(1)工事内容
現地近傍に分解処理施設を設置し、掘削場所を覆蓋する。
盛立土を掘削して分解処理施設まで運搬し、盛立土を土壌汚染対策法
の指定基準値以下まで分解処理する。分解処理された盛立土は、再度現
地に埋め戻すか、又は最終処分場へ搬出する。
? 分解処理施設の建設
PCB 含有固化土を土壌汚染対策法の指定基準値以下に分解処理す
る方法を選定し、施設を建設する。
現在開発されている分解処理方法を表4.3.3-1 に示す。
表4.3.3-1 PCB 汚染土壌等処理技術の開発
分解処理方法 概要
還元加熱分離法+金
属ナトリウム分散体法
汚染土壌を窒素雰囲気下で間接加熱(500〜600℃)し、ガス
化によりPCB を分解・分離する。さらに金属ナトリウム分
散体により脱塩素化する。
間接熱脱着+水蒸気分解法
汚染土壌を間接加熱(400〜700℃)し、ガス化によりPCB を
分解・分離する。さらに水蒸気雰囲気下で間接加熱(1100℃
以上)により加熱分解する。
高温分解・焼成処理法
汚染土壌を高温乾燥処理(800〜900℃)し、ガス化により
PCB を分解・分離する。
さらにガスを2次燃焼(1100℃以上)にて加熱分解する。
減圧還元加熱処理法 汚染土壌を還元熱処理(600℃)し、還元脱塩素分解及びガ
ス化によりPCB を分解・分離する。さらにガスを2次燃焼
(1100 度以上)にて加熱分解する。
間接加熱酸化分解法 汚染土壌を間接加熱(450〜600℃)し、PCB を脱塩素化・分
解する。
水洗分解処理法 汚染土壌に水と空気を加え洗浄することによりPCB を分
離・濃縮する。さらに高温分解法で溶融分解する。
湿式酸化ラジカル法 汚染土壌を低酸素雰囲気下で間接加熱(600℃)し、PCB を分
解・除去する。さらに金属ナトリウム分散体にて脱塩素化
する。
溶剤抽出法 汚染土壌スラリーを加温加圧下(150〜200℃、1〜2MPa)で
水に溶出させ、OH ラジカルにて酸化分解する。
高温分解法 PCB に汚染された土壌等に電気を流すことによって高温溶
融(1,600℃以上)し、有害物を分解・無害化する。
(2)検討課題
? PCB 汚染土壌の分解処理の実績
全国の汚染土壌処理事例を調査したところ、現時点では、小規模
な分解処理施設の事例(10m3/日未満)はあるが、今回のような大
量のPCB 含有固化処理土を処理した事例はない。
表4.3.3-2 汚染土壌分解処理事例
処理場所 対象土壌 処理量
(トン)
完了年月 分解方法
和歌山県橋本市 ダイオキシン 汚染土壌 3,900 H16.9 高温分解
東京都大田区大森 ダイオキシン 汚染土壌 1,500 H18.3 溶剤抽出
大阪府能勢町 ダイオキシン 汚染土壌 9,000 H18.12 間接熱脱着+高温分解
? 工事期間中の環境対策
盛立土を掘削し、分解処理施設へ運搬する際に、掘削した盛立土
の表面が乾燥し、粉じんが周辺へ飛散することが考えられる。
また、台風や降雨の対策として、盛立土掘削作業場所を強固なテ
ントなどにより覆蓋し、高性能の大容量集じん機を設置する必要がある。
また、分解処理施設から排出される排ガスなどについては、活性
炭などによる高効率の処理装置が必要となる。
? PCB などの分析
工事期間中は、排ガスや周辺環境のモニタリングを適切に実施す
る必要がある。
分解処理施設を適正に運転するため、処理前処理後のPCB 含有量
を適切な頻度で把握する必要がある。
(3)工期及び概算事業費
工期及び概算事業費は次のとおり。
? 工期
20 年
内訳:
・実証試験と技術の選定 1年
・施設建設(10 ?/日×10 基) 2年
・分解処理(処理量283,000m3) 17 年
? 概算事業費
1,500 億円
表4.3.3-3 B(分解処理+現地埋め戻し(又は搬出)方式)の概算事業費
工事内容 概算見積条件 概算事業費
1掘削・埋め戻し(又は搬出)
移動式テント40m×40m×2 基、集じん機
(1,200m3/分)×2 基、アスファルト撤去、
掘削、場内運搬、事前土壌分析、埋め戻し工
事(又は搬出)
300 億円
2分解処理 分解処理施設600 億円、分解処理費600 億円。
(環境対策、環境監視、分析費を含む。)
1,200 億円
概算事業費総額 1,500 億円
(4)対策後のモニタリング
盛立土は全量分解処理されているので、対策後のモニタリングは不要
である。
4.3.4 C1 上部被覆方式
盛立土上部(周囲の法面を含む。)には、現状でも覆土及びアスファル
ト被覆が施されており、その安全性を確認しているが、さらに盛立土の
遮水効果を高め、封じ込め効果を確実にすることができる。
(1)工事内容
盛立土と外部との遮断を将来にわたって確実なものとするために、図
4.3.4-1 に示すとおり、現在のアスファルト被覆上を保護土で覆い、そ
の上を不織布と遮水シートで覆い、さらに1m 程度覆土する方法などがある。
図4.3.4-1 被覆構造と被覆工事の事例
(2)検討課題
? 保守点検
不織布及び遮水性シートの選定など上部被覆の構造設計に当たっ
ては、日常点検の方法や、災害、劣化などにより破損が生じた場合の
補修方法に配慮する必要がある。
? 地震などについて
上部被覆対策のみを実施する場合は、盛立地の下層地盤が液状化
するような大規模地震(震度6強)が発生した時には、盛立土の地斜
面の一部が崩落する可能性がある。
(3)工期及び概算事業費
工期及び概算事業費は次のとおりである。
? 工期
2年
内訳
・準備工事 :5ヶ月
・上部被覆工事その他関連工事 :17 ヶ月
・片付工事 :2ヶ月
? 概算事業費
40 億円
表4.3.4-1 C1(上部被覆方式)の概算事業費
工事内容 概算見積条件 概算事業費
上部被覆工事 覆土、シート設置、排水工事ほか 40 億円
(4)対策後のモニタリングなど
対策後は、現状よりさらに安全性が高められるが、適切な頻度でモ
ニタリングを継続する必要がある。
また、新たに設置する上部被覆シートなどを含め、適切に管理してい
く必要がある。
4.3.5 C2 上部被覆+遮水性地下土留め壁方式
盛立地の安全性の検証により、現状の盛立地の構造では大規模な地震
時に液状化が起こった場合には課題があることが判明した。
そのため、ここでは、現状の盛立地の液状化に対する対策と地下地盤
の遮水性を確保する対策を同時に検討した。
(1)対策工事内容
上部被覆については、4.3.4 と同様の内容とする。
さらに遮水性地下土留め壁を盛立土の周囲に施工することにより、液
状化対策及び盛立土の遮水性を高める対策となる。
大規模な地震により液状化が起こった場合、盛立土肩部から盛立土法
面にかけてすべり現象が発生する可能性が高いため、これを防止する対
策として、遮水性地下土留め壁を盛立土周囲の地下地盤に施工すること
が有効と考えられる。遮水性地下土留め壁の構造は、例えば、SMW 工法
(ソイルセメント壁工法)では、下図のように地中にセメントミルクを
注入しながら掘削した穴にH鋼を挿入して連続壁を形成するものであ
る。
図4.3.5-1 遮水性地下土留め壁工事のイメージ図
(2)検討課題
? 上部被覆工事
C1と同じ。
? 遮水性地下土留め壁工事
遮水性地下土留め壁を設計施工するに当たっては、土質定数の
ために振動三軸試験を実施し、液状化時の対策のために地震応答
解析やすべり変形解析を実施するなどさらに詳しく調査する必要
がある。
(3)工期及び概算事業費
工期及び概算事業費は次のとおりである。
? 工期
2年
内訳
・準備工事 :5ヶ月
・遮水性地下土留め壁工事及び
上部被覆工事その他関連工事 :17 ヶ月
・片付工事 :2ヶ月
? 概算事業費
75 億円
表4.3.5-1 C2(上部被覆+遮水性地下土留め壁方式)の概算事業費
工事内容 概算見積条件 概算事業費
1上部被覆工事 覆土、シート設置、排水工事ほか 40 億円
2遮水性地下土留め壁工事
遮水性地下土留め壁工事 35 億円
概算事業費総額 75 億円
(4)対策後のモニタリングなど
対策後は、現状よりさらに安全性が高められるが、適切な頻度でモ
ニタリングを継続する必要がある。
また、新たに設置する上部被覆シートなどを含め、適切に管理してい
く必要がある。
B 現地分解処理対策擁壁補強
A1 全量撤去+分解処理方式A2 全量撤去+直接埋め立て処分方式B 分解処理→現地埋め戻し(又は搬出)方式C1 上部被覆方式C2 上部被覆+遮水性地下土留め壁方式いずれの対策にも必要
・盛立土を全量搬出し、別の場所で分解処理する。・盛立土を全量搬出し、別の最終処分場に直接埋め立てる。
・現地近傍に分解処理施設を設置し、盛立土を全量掘
削し、分解処理施設で環境基準値以下のレベルまで分解処理する。
・処理後物は、再び現地に埋め戻す。(又は搬出)
・盛立土へ雨水の浸入を防止するため、遮水シート、
不織布等により、盛立土の上部(周囲の法面含む)に
遮水工事を行う。
・C1の上部被覆に加えて、盛立土周囲の地下地盤に
遮水性地下土留め壁工事を行う。
・盛立地の周辺に設置されている擁壁の一部で、通常
時でも強度が不足している箇所の補強を行う。
?背面土砂の除去による土圧低減
?コンクリート増打ちあるいは底版の延長
?上記??の組み合わせ
1
対策技術
の現状
・盛立土を掘削搬出する技術については土壌汚染対策
工事等多くの実績があり技術的な課題はない。
・分解処理技術については、汚染土壌の小規模な処理
設備はあるが、大規模な処理施設は稼働していない。
・盛立土を掘削搬出する技術については、A1と同じ。
・受入先の有無を事前に調査する必要がある。
・汚染土壌の小規模な処理設備はあるが、大規模な処
理施設は稼働していない。
また、固化処理土では、実証実験の実施例がない。
・遮水工事は、最終処分場の遮水対策など多数の実
績がある。
・遮水性地下土留め壁は、護岸工事、地下構造物築
造工事、最終処分場遮水工事など、日本全国で多数
の実績があり、技術的な問題はない。
・遮水性地下土留め壁を施工するに当たっては、さら
に詳細に解析等を行う必要がある。
・多数の実績があり、技術上の問題はない。
2 工期
20年
1.飛散防止工事等:1年
2.掘削・搬出:17年(100トン/日で想定)
3.施設建設:2年
10年
1.飛散防止工事等:1年
2.掘削・搬出:9年(200トン/日で想定)
20年
1.実証試験と技術の選定:1年
2.施設建設:2年
3.分解処理:17年
2年
1.上部被覆工事:2年
2年
1.遮水性地下土留め壁工事:2年
(上部被覆工事も同時施工可能)
1年
1.準備工事:5ヶ月
2.補強工事:7ヶ月
3
事業費の
試算
(概算)
1,570億円
(内訳)
1.掘削・運搬費:350億円
2.処理施設償却費:600億円
3.分解処理費:600億円
4.埋立て処分費:20億円
400億円
(内訳)
1.掘削・運搬費:350億円
2.埋立て処分費:50億円
1,500億円
(内訳)
1.掘削盛立て費等:300億円
2.処理施設建設費:600億円
3.分解処理費:600億円
《参考》
北九州PCB廃棄物処理施設の建設費
約300億円(5t/日) 60億円/t
40億円
(内訳)
1.上部被覆工事費:40億円
75億円
(内訳)
1.上部被覆工事費:約40億円
2.遮水性地下土留め壁工事費:35億円
2億円
(内訳)
1.擁壁補強工事費:2億円
恒久対策一覧
総合評価
・上部被覆の面積、構造等はC1と同じ
・遮水性地下土留め壁の全延長は1,250mとする。
・遮水性地下土留め壁の構造は、φ850、L=18mの
ソイルセメント壁とする。
積算の
前提条件
・外周道路に対する安全対策
・補強が施されるまでの間、擁壁の点検や応急措置を
とるための体制が必要。
・盛立土の掘削を行うため、掘削中に長期にわたり
PCB含有固化土由来の粉じん等の周辺環境への飛散
リスクが継続する。
・場合によっては、近隣住民の移転等が必要である。
・受け入れ可能な最終処分場の確保が課題である。
・盛立土の掘削を行うため、掘削中に長期にわたり
PCB含有固化土由来の粉じん等の周辺環境への飛散
リスクが継続する。
・場合によっては、近隣住民の移転等が必要である。
・受け入れ可能な施設の確保が課題である。
・工期が長期にわたるため、別途対策が必要である。
(大規模地震時の液状化対策工事などを事前に実施
しておく必要がある。)
・盛立土の掘削を行うため、掘削中及び処理施設での
処理中に長期にわたりPCB含有固化土由来の粉じん
等の周辺環境への飛散リスクが継続する。
・場合によっては、近隣住民の移転等が必要である。
・大規模処理施設の建設が必要。
・処理施設の設置場所の用地確保が必要。
・PCB含有固化土の処理実績はない。
・盛立土の掘削がないため、PCB含有固化土由来の
粉じん等が飛散するリスクはない。
・工事終了後、モニタリングと適切な管理が必要であ
る。
・盛立地の地下地盤が液状化した場合でも、盛立土
の滑りを防止し、盛立土の封じ込め効果が高く、万が
一のPCB漏洩にも対応できる。
・盛立土の掘削がないため、PCB含有固化土由来の
粉じん等が飛散するリスクはない。
・工事終了後、モニタリングと適切な管理が必要であ
る。
・震度6強の大規模地震時には、地盤が液状化して
盛立地斜面に滑りが生じる可能性がある。
事業概要
・擁壁解体時の掘削残土は一般残土として処分できる
ものとする。
・盛立地東側、北側及び西側の擁壁の底版にコンク
リート増打ち等を実施する。
A 全量撤去対策
・盛立土の数量はA1と同じ。
・搬出は、10トンダンプトラック20台/日。
・搬出日数は、250日/年(土日祝除く)
・盛立土は管理型処分場で埋立処分できるものとす
る。
・盛立土の数量は283,000m3とする。
・盛立土はH17環境省公募PCB処理法等で分解処理で
きるものとする。
・処理能力は、10t/日規模の施設を10台設置し、365日
24時間連続運転で稼働効率を7割として想定。
・処理費はダイオキシン汚染土壌処理実績およびH17
環境省公募処理法公開資料から試算。
・盛立土掘削箇所に粉じん飛散防止のための仮設テン
トを設置できるものとする。
・分解処理前の土壌分析は、PCB溶出・含有を100t当
り1検体とする。
・分解処理後の土壌分析は、土壌汚染対策法の指定
基準項目すべての溶出とPCB含有を100t当り1検体と
する。
・盛立土の単位体積重量は1.5t/m3とする。
・搬出は、10トンダンプトラック10台/日。
・搬出日数は、250日/年(土日祝除く)
・盛立土の数量は283,000m3とする。
・盛立土はH17環境省公募PCB処理法等で分解処理で
きるものとする。
・処理費はダイオキシン汚染土壌処理実績およびH17
環境省公募処理法公開資料から試算。
・盛立土掘削箇所に粉じん飛散防止のための仮設テン
トを設置できるものとする。
・盛立土の単位体積重量は1.5t/m3とする。掘削、分解
処理についてはBに同じ。
C 現地封じ込め対策
・上部被覆の面積は55,436m2とする。
・上部被覆の構造は、盛立土上の既設アスファルトの
上に、下から順番に保護土(粘性土)0.75m、不織布、
遮水シート、不織布、良質土とする。
・盛立地天端面の覆土はTP+14mまでとする。
【添付資料】
1 盛立地の周辺環境調査結果
2 土質調査資料
(1)盛立地平面図(1/1,500)
(2)盛立地土層断面図(1/1,500)
3 安定性検討資料
(1)安定性検討の概要
(2)盛立土(固化処理土、覆土)のすべり検討
(3)擁壁の検討
(4)擁壁の検討結果
(5)液状化の検討
(6)液状化時の現象
(7)沈下の検討
(8)津波に関する検討
(9)大雨に関する検討(排水能力、流域図)
http://www.city.takasago.hyogo.jp/index.cfm/8,3862,c,html/3862/20080108-100507.pdf