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ウィキメディアより
桃花台の地盤沈下と土壌汚染
■地盤沈下■
愛知県が造成し都市再生機構(旧 住宅・都市整備公団)が販売した、ニュータウン南部の城山5丁目地区にある住宅で地盤沈下が発覚し、問題となっている。
問題の発覚は2001年、同地区の2軒の住宅に住む住人から、都市再生機構に対し「家が傾いてきた」との苦情が届いた事に始まる。その後都市再生機構が調査したところ、2軒の住宅とも家が沈下している事が判明。2軒の住宅は都市再生機構が買取り、後に解体された。
2軒の住宅から突然家主が引っ越した事を不審に思った近所の住民が、都市再生機構に問い合わせたところ、地盤沈下の事実を知る。2005年にはこの2軒の住宅周辺の住民からも、都市再生機構に対し「家が傾いてきた」などの苦情が相次いで届くようになる。
その結果都市再生機構がそれらの住宅を調査したところ、数軒で地盤沈下が判明する。2006年2月都市再生機構は、問題となっている地域のボーリング調査を開始する。
すると、さらに十数軒の住宅が沈下している事が判明。この事は、マスメディアによって大きく報じられる事となる。
有害物質の埋設が確認された場所(桃花台ニュータウン)
問題となっている土地は、
1957年に王春工業の会長が購入し、王子製紙春日井工場などから出る産業廃棄物を10年以上にわたって廃棄していた事がわかっている(当時は廃棄物処理に関する法律がなかったため、この件で王春工業の責任を問うことはできない)。
1971年7月、愛知県が小牧市の仲介でこの土地を購入し、造成工事を行っている。この造成工事の際、産業廃棄物と見られる粘土が大量に堆積していた事を、当時の愛知県庁職員が確認している。そのため「これらを撤去した」としているが、「全て撤去できなかった可能性もある」とも証言している。
その後愛知県は、この土地を旧住宅・都市整備公団に売却。
住宅・都市整備公団は住宅を建築し、1988年に販売している。
2006年7月都市再生機構は、地盤沈下の原因を探るべく、解体した2軒の住宅跡地の地下の土壌の調査分析を開始。同年11月に結果を公表している。それによると、「問題となっている土地は産業廃棄物が層となって残っており、その上にさらに土が盛られている状態であった。
この産業廃棄物層の上にある土の層が造成の際十分踏み固められておらず、雨水が浸透。その結果その層が沈下し、さらにその重みに絶えられず、産業廃棄物層が沈下した。」と言うものであった。
■土壌汚染■
土壌汚染が発覚した城山地区の土地は1957年に王春工業の会長が購入し、王子製紙春日井工場などから出る産業廃棄物を10年以上にわたって廃棄していた事がわかっている。
2006年11月に公表された都市再生機構の調査結果では、産業廃棄物が現存している事が確認されている。 また同調査では、環境基準値の170倍の鉛を含む5種類の有害物質や、油分、木片、ガラス片、ビニール袋なども確認されている。
同年8月住民からの要請を受けた小牧市は、市独自の調査を開始する。都市再生機構の調査地点から土壌サンプルを回収し、同年10月に分析結果を公表している。それによると、「土壌には環境基準を上回る有害物質(ヒ素:3.6倍、ジクロロメタン:約1.9倍)が含まれており、通常の土壌ではほとんど検出されない油分も検出された」となっている。この調査結果を受けて小牧市は、愛知県と都市再生機構に対し、適切な対応を求める要望書を提出している。
同年8月住民は愛知県に対し、県独自の調査を要請している。それに対し愛知県は、「都市再生機構側に責任がある」として、要請を断っている。
しかしその一方で、愛知県庁の職員が都市再生機構の調査地点から土壌サンプルを回収。同年10月に小牧市とともに分析結果を公表している 。それによると、小牧市の調査では環境基準を上回る有害物質が見つかっているの対し、愛知県の調査結果は「環境基準を上回る有害物質は見つからなかった」
と言うものであった。
■問題地域の拡大■
新たな問題として同年11月に開かれた住民説明会で、愛知県は、問題となっている地域の土壌がニュータウン内の3つの学校(大城小学校、光ヶ丘小学校、光ヶ丘中学校)のグラウンドに持ち込まれて埋められた事を公表した。そして調査対象地区を学校グラウンドにも拡大し、改めて調査を行った。
その結果、光ヶ丘小学校と大城小学校の敷地内で、環境基準の1.1〜2.2倍の鉛が見つかった。一方住宅地からは、1.3〜6.9倍の鉛と1.2倍の総水銀、そして1.5倍のヒ素が見つかった。さらに黒い土が見つかった全ての地点からは、油分が検出された。
この調査結果に対し愛知県は、環境基準を超えた物質が見つかった場所は全て1.2〜2.5mの土で覆われており、地下水の飲用利用もないため、「人体への影響は無い」としている。また「(環境基準を超えた物質が)検出された原因は判らない」としたうえで、県の責任を否定している。
また2008年4月には、古雅地区に整備される予定の住宅地「エコーガーデン桃花台」の土地の一部の地下からも、環境基準を上回る有害物質(基準約7倍のヒ素、基準をやや上回るフッ素)が見つかっている。これは他地区で土壌汚染が相次いで発覚した事を受けて、整備を行っている愛知県住宅供給公社が2007年10月から行った土壌調査で明らかとなった。
問題が発覚した土地は、1970年代に愛知県が購入。1989年頃まで暫定調整池として利用されていた。1999年3月に、愛知県が県住宅供給公社に売却。その後駐車場などとして利用されていたが、2007年4月から住宅地の整備工事が始められていた。
なお、なぜ有害物質が見つかったかについては、不明としている。
■裁判■
■都市再生機構による損害賠償請求
この問題の責任を巡って、2006年8月都市再生機構は「地盤沈下の原因は愛知県の責任である」として、住民への補償費用やこれまでかかった調査費用などを求める裁判を名古屋地方裁判所に起こした。都市再生機構側は「(愛知県から)大量の廃棄物が持ち込まれた場所だったとは聞いていない。廃棄物があれば購入していない。」と主張。
それに対し愛知県側は「土地売買の際、資料のやりとりはあったはず。旧住宅・都市整備公団には、住宅の売り手として、地盤をよく調べる義務がある。基礎を頑丈にした近隣の住宅では、問題は起きていない。」と主張した。
判決が出たのは2009年3月26日。「地盤調査する責任は都市再生機構にあった」として、都市再生機構側の訴えは棄却された。
■住民による損害賠償請求
2007年10月、問題が起こっている城山地区に住む5人の住民が、住宅の購入費用の返還を求めた裁判を名古屋地方裁判所に起こした。訴えられた側は愛知県と都市再生機構。賠償請求額は総額約9,300万円。
その後2008年11月にも、同地区に住む別の住民12人が、同じく愛知県と都市再生機構を相手取って有害物質の除去や損害賠償を求める裁判を起こしている。賠償請求額は総額約1億2千万円。[16]
■公害調停
住民は県の公害審議会に対し、2008年3月に公害紛争処理法に基づく公害調停を申請。住民側は委員に対し、原因究明や第三者機関による土壌調査を要請した。
これに対し愛知県側は、調停の打ち切りを要請。都市再生機構も自らの責任を否定したうえで、調停には応じない構えを見せた。
その後3回の調停が行われたが、結局3者相容れず。同年8月の3回目の調停で、打ち切りが決定した。
■今後の対策や調査■
■都市再生機構
都市再生機構は、地盤沈下の対策については「これ以上両層とも沈下する可能性は低い」として、一軒ごとに住宅を調べたうえで場合によってはジャッキアップ工法で修復工事を行うとしている。
それに対して住民は、「それでは不十分だ」として産業廃棄物の完全撤去を求める意見を出している。しかし、都市再生機構は産業廃棄物に関して「愛知県の調査結果を待ってから検討する」としている。
■愛知県
愛知県は土壌汚染の範囲を測定するため、「2006年中に調査を開始し、翌2007年3月には結論をまとめる」としている。調査の詳細は、「すでに解体された2軒の住宅を中心に同心円状に1軒1軒ボーリング調査をしていく」と言うものである。また新たな問題として浮上したニュータウン内の3つの学校のグラウンドへの問題となっている土壌の埋設に対応する為に、「これらの学校のグラウンドも調査する」としている。
なお愛知県は、現在も産業廃棄物の存在を認めていない。問題となっている土壌については、「粘土質の土壌」、「黒っぽい土」などとしており、あくまで自然の土であると言う立場である。これに対し住民は、「土壌からは木片やガラス、油分などが見つかっており、明らかに産業廃棄物だ」と愛知県の認識を非難している。
一方地盤沈下に関する対応について愛知県は、2006年11月に行われた住民説明会で、都市再生機構との裁判を理由に曖昧な対応をした。
そのため住民からは、「住民より裁判を重視するのか」と非難が相次いだ。結果、その翌日に行われた県知事の定例記者会見でもこの問題が取り上げられた。その際神田真秋愛知県知事は、あくまで「地盤沈下の責任は、都市再生機構にある」としながらも、土壌調査の際に得られる地盤沈下に関する情報(地耐力データ)の住民への公開を示唆した。
■その他の機関■
■小牧市
小牧市は2007年6月の議会で、問題が起こっている城山地区の一部住民に対し、過去数年間の固定資産税減免措置実施を表明している。
愛知県住宅供給公社
愛知県住宅供給公社は、古雅地区のエコーガーデン桃花台内で見つかった有害物質が含まれる全ての土壌を撤去し、新しい土と入れ替えるとしている。
■亜炭鉱
ニュータウンを含めた一帯では、江戸時代から第二次大戦後しばらくにかけて、石炭の一種である「亜炭」と呼ばれる鉱物が掘り出されていた。そのため、一部報道機関では「地盤沈下の原因は、亜炭鉱が崩れたからではないか」と報じられた。
■年 表■
・1957年 - 王春工業が、一帯の土地(当時は山林)を購入。愛知県へと土地を売却するまでの間、王子製紙春日井工場などから出る産業廃棄物を投棄。
・1971年7月 - 小牧市の仲介で、愛知県が土地を購入。
・1983年〜1985年 - 愛知県による造成工事。「造成地に廃棄物と見られる大量の粘土の堆積を確認し、除去した。しかし完全には取り除けなかった可能性もある。」(愛知県庁職員OB談)。
住宅・都市整備公団が、愛知県から土地を購入。
・1988年 - 住宅・都市整備公団が、城山5丁目の住宅販売開始。
・2001年 - 城山5丁目にある2軒の住宅から、住宅・都市整備公団に対し「家が傾いてきた」との苦情。調査の結果、地盤沈下発覚。
・2005年 - 地盤沈下が発覚した住宅の周辺住民からも、都市再生機構(旧住宅・都市整備公団)に苦情相次ぐ。調査の結果、その内の数軒でも地盤沈下発覚。
・2006年2月 - 都市再生機構が、苦情のあった地域のボーリング調査開始。
・2006年3月 - マスメディアが「桃花台ニュータウンで地盤沈下が発生」と報じる。
・2006年4月16日 - 都市再生機構が地盤沈下が起こっている地域の一部住民に対し、説明会開催。ボーリング調査の結果や今後の対応などを公表。「さらに十数軒の住宅でも、地盤沈下が起こっていた事」を公表。
・2006年7月 - 都市再生機構が、最初に地盤沈下が発覚してすでに解体された、2軒の住宅跡地下の土壌調査を開始。
・2006年8月18日 - 住民が愛知県に対し、地盤沈下に関する独自調査を要請。愛知県は、「責任は都市再生機構にある」としてそれを拒否。
・2006年8月23日 - 都市再生機構が、調査地点を住民に公開。小牧市が住民の要請に従い、地盤沈下の調査開始。土壌サンプルを入手。
・2006年8月30日 - 都市再生機構が愛知県に対し、地盤沈下の対応で掛かった費用を請求する裁判を起こす。
・2006年8月31日 - 都市再生機構が、調査地点の埋め戻しを開始。都市再生機構が記者会見で、愛知県への損害賠償請求額が「現状で8億円」である事を公表。また「今後もし住民からの請求が増えたり、調査費用が増えれば、その分また損害賠償請求する」事も示唆。
・2006年9月4日 - 神田真秋愛知県知事が定例記者会見で、都市再生機構の訴訟を批判。「売り主(都市再生機構)が買い主(住民)に対し責任を取るのは、当たり前」と知事が発言。
・2006年9月15日 - 住民が愛知県知事に対し、公開質問状を提出。「県が造成の際、なぜ地盤の問題を放置したか」についての原因究明を求める。
・2006年10月6日 - 愛知県が住民に対し、公開質問状に対する回答を提示。「産業廃棄物処分場跡地という認識がなかった」、「造成工事の時には、軟弱ではなかった。また問題も起きなかった。」と、県の責任を否定。
・2006年10月19日 - 都市再生機構が起こした裁判が始まる。
・2006年10月26日 - 愛知県と小牧市が、それぞれの土壌調査の結果を公表。愛知県側の結果が「環境基準を上回る有害物質は見つからなかった」のに対し、小牧市側は「環境基準を上回る有害物質(ヒ素とジクロロメタン)と、通常見られない油分を検出した」であった。小牧市は県と都市再生機構に対し、要望書を提出。住民側は県に対し、再度調査を要請。
・2006年11月6日 - 愛知県知事が定例記者会見で、県独自による調査を明言。
・2006年11月19日 - 愛知県が城山地区住民を対象とした土壌調査結果の説明会を開催。調査結果と今後の県独自の調査予定を公表。また問題となっている地域の造成時の残土を、ニュータウン内の小中学校グランドに運んだ事も発表。これら学校も、調査範囲に。
・2006年11月20日 - 愛知県知事が定例記者会見で、土壌調査の際に得られる地盤沈下に関する情報の住民への公開を示唆。
・2006年11月26日 - 都市再生機構が住民説明会開催。土壌分析の結果公表。地盤沈下の原因を特定。産業廃棄物が埋設されている科学的証拠を公表。基準値の170倍の鉛を含む5種類の有害物質が土壌に含まれていた事を公表。今後の地盤沈下対策を公表。
・2007年4月12日 - 愛知県が土壌調査の結果を公表。環境基準を上回る鉛や総水銀、ヒ素などが見つかる。
・2007年4月29日 - 愛知県が城山地区住民を対象とした土壌調査結果の説明会を開催。
・2007年6月 - 小牧市が城山地区の一部住民に対し、固定資産税の減免措置実施を発表。
・2007年7月6日 - 住民が愛知県知事に対し、公開質問状を再度提出。
・2007年10月12日 - 住民が愛知県と都市再生機構に対し、購入した住宅に対する損害賠償を求める裁判を起こす。
・2007年11月7日〜11月9日 - 愛知県が城山地区と光ヶ丘・大城両小学校の地下水調査のため観測用の井戸から取水。
・2007年11月29日 - 城山地区と光ヶ丘・大城両小学校の1回目の地下水調査結果を愛知県が公表。有害物質はまったく検出されず。
・2008年2月6日 - 城山地区と光ヶ丘・大城両小学校の2回目の地下水調査の取水。
・2008年3月7日 - 城山地区と光ヶ丘・大城両小学校の2回目の地下水調査の結果公表。最大で環境基準の3.4倍の総水銀が城山地区で検出。
・2008年3月18日 - 第1回公害調停
・2008年4月 - 愛知県住宅供給公社がニュータウン内に整備中の土地(古雅地区)から、環境基準の7倍のヒ素などが検出。
・2008年4月18日 - 城山地区の3回目の地下水調査の取水。
・2008年5月21日 - 城山地区の3回目の地下水調査結果を愛知県が公表。最大で環境基準の3倍の総水銀検出。更に今まで総水銀が検出されなかった地点からも総水銀が検出される。
・2008年6月25日・6月26日 - 城山地区(4回目)と光ヶ丘・大城両小学校(3回目)の地下水取水。
・2008年8月11日 - 城山地区(4回目)と光ヶ丘・大城両小学校(3回目)の地下水調査結果発表。城山地区の3地点で最大で環境基準の6.6倍の総水銀が検出。
・2008年8月22日 - 第3回公害調停。調停打ち切りが決定する。
・2008年9月30日 - 城山地区(5回目)と光ヶ丘・大城両小学校(4回目)の地下水取水。
・2008年11月10日 - 別の住民が愛知県と都市再生機構に対し、購入した住宅に対する損害賠償を求める裁判を起こす。
・2008年11月11日 - 城山地区(5回目)と光ヶ丘・大城両小学校(4回目)の地下水調査結果発表。城山地区の2地点で最大で環境基準の7.6倍の総水銀が検出。
愛知県議会議員「天野まさき」さんのブログより
・2009年3月18日 - 城山地区(6回目)の地下水調査結果発表。1地点で最大で環境基準の7.8倍の総水銀が検出。
・2009年3月26日 - 都市再生機構が愛知県に対し損害賠償を求めていた裁判が決着。機構側の訴えが棄却された。[14]
■参考資料■
・愛知県庁:桃花台城山地区及び小中学校における土壌調査結果について
・中日新聞:小牧・桃花台で基準超すヒ素 分譲予定、県公社が土壌入れ替え:愛知
・団地地盤沈下:都市再生機構の請求棄却 名地裁判決 - 毎日jp(毎日新聞)
・読売新聞 (2007-11-04). "地盤沈下 桃花台住民が提訴". 2008-02-01 閲覧。
・中日新聞:桃花台訴訟、新たに住民12人提訴 愛知県と機構に損賠請求
・桃花台地盤沈下 調停を打ち切り(読売新聞)
・桃花台城山地区及び小学校における地下水調査結果について 平成19年11月29日(木曜日)発表
・桃花台城山地区及び小学校における地下水調査結果について 平成20年3月7日(金曜日)発表
・桃花台城山地区における地下水調査結果について 平成20年5月21日(水曜日)発表
・桃花台城山地区及び小学校における地下水調査結果について | 愛知県
・桃花台城山地区及び小学校における地下水調査結果について | 愛知県
・桃花台城山地区における地下水調査結果について | 愛知県
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%83%E8%8A%B1%E5%8F%B0%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%B3
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桃花台ニュータウンの軟弱地層及び産業廃棄物による沈下問題に関する愛知県知事への公開質問状
掲載日2006年9月17日
平成18年9月15日
愛知県知事
神田真秋殿
小牧市城山●●●●●●●
城山第五区長 木下 博
小牧市城山●●●●●●●
考える会代表 丸山 直希
公 開 質 問 状
8月18日に知事殿に、何点かの要望・疑問点を提起しご回答をいただけるよう要望書を提出しました。ご回答を頂く前に貴下のもとで職務担当者が要望事項に反するような発言をしておりましたので、8月21日知事殿には真実を知っていただくため上申書及び現地に残存しておる産業廃棄物をお届けし、適切な行政判断指導をお願いし回答していただけるよう「考える会」として要望しておりましたところ、8月22日環境課職員、8月23日計画課職員、8月24日環境課(計画課?)職員が現地を訪れるといった慌ただしい動きがみえ、問題早期解決に心を痛め悩み抜いていた我々住民はなにがしかの進展があるものと信じて疑いませんでした。
ところが回答を頂く前に、都市再生機構より提訴をされたと聞き、非常に残念に思っております。提訴当日8月30日早朝、時間外にも拘らず(早朝8:00)計画課職員数名と都市再生機構社員数名が現地にて打ち合わせを行っていた事により、問題解決に向けての進展がより早くなるものと思った矢先の提訴でした。これにより、我々住民の愛知県及び都市再生機構への不信感・疑いはより強くなったものです。
都市再生機構の記者会見発表では「機構の請求権を保存する必要から提訴した」とありました。この請求権保存の言葉から推察すると平成17年に2宅地の買取りに対する賠償請求権保存それに調査費用がプラスされた金額とも受け取れ、我々住民無視の提訴といった内容かと思われます。都市再生機構は我々住民との間で対策・賠償について何らの合意もされていないことにより上記事項を伺い知ることが出来ます。
以上のようなことから、早急に下記質問事項にお答え願います。
(新住宅市街地開発法に関連した質問事項)
(1)桃花台ニュータウンは「健全な住宅市街地の開発及び住宅に困窮する国民のための居住環境の良好な住宅地の大規模な供給を図り、もつて国民生活の安定に寄与することを目的とする」と規定された国の「新住宅市街地開発法」にもとづきつくられた住宅であり、県としても住民の被害と不安にたいし、誠実に対応することが必要不可欠です。今回の問題についての対応を是非お答え下さい。
(2)「新住宅市街地開発法」第24条 処分計画においては、造成宅地等の処分価額は、……当該造成宅地等の位置、品位及び用途を勘案して決定するように定めなければならない。 とされております。 油分が含まれた状態の廃棄物の品位をどのように捉え造成され、処分されたのでしょうか。
(3)「新住宅市街地開発法」第40条 ……国土交通大臣に対して、新住宅市街地開発事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。とされております。愛知県においては技術的援助を求められたのでしょうか。
(4)「都市計画法」第9条に 第1種低層住居専用地域は、低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。とあります。油分が含まれた状態の土地が、良好な住居の環境と言えるのでしょうか。
(5)「都市計画法」第12条の5
地区計画を都市計画に定める際、当該地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない。とされています。
産業廃棄物処分場跡地を地区整備計画に含めたことは、どんな見解をもってされたのでしょうか。
(6)「都市計画法」第33条の7
開発区域内の土地が、地盤の軟弱な土地、がけ崩れ又は出水のおそれがおおい土地その他これらに類する土地であるときは、地盤の改良、擁壁の設置等安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められている。今回の沈下場所は、軟弱な土地であり、また産業廃棄物が含まれていました。設計に定められた必要な措置はどのように講じられたのでしょうか。
(土壌汚染対策法に関連した質問事項)
(1)「土壌汚染対策法」第1条、第2条
この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的とする。この法律において「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。
今回、UR都市機構開示の「土壌調査結果報告書」に鉛、砒素、トリクロロエチレンその他有害物質が検出されております。鉛は基準値をオーバーしており、その他有害物質は基準値以下とされておりますが、自然界に存在しない成分が多数検出されております。自然界に存在しない物質、即ち産業活動により排出された物質、これが産業廃棄物ではないのでしょうか。
「土壌汚染」 「産業廃棄物」でない根拠、見解をお答え下さい。また愛知県環境部では「土壌調査結果報告書」をチェックできる職員は不在なのでしょうか。
(2)「土壌汚染対策法」第4条の2
都道府県知事は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の調査及びその結果の報
告を命じようとする場合において、過失がなくて当該調査を命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、当該調査を自ら行うことができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該調査等をすべき旨及びその期限までに当該調査をしないときは、当該調査を自らおこなう旨を、あらかじめ、広告しなければならない。
現在、UR都市機構のUR都市機構の調査方法・説明は信頼できるものではありません。このことは「土壌汚染対策法」第4条の2による、これを放置することが著しく公益に反すると認められるに該当するのではないでしょうか。
(3)「土壌汚染対策法」第7条
都道府県知事は、土壌の特定有害物質による汚染により、…………当該土地の所有者以外の者の行為によって当該土地の土壌の特定有害物質による汚染が生じたことが明らかな場合であって、その行為をした者に汚染の除去等の措置を講じさせることができる。
今回の城山地区の汚染は、当該土地の所有者以外の者の行為によって汚染が生じたことは明らかであります。当然、汚染の除去等の措置を講じることが法に沿った解決方法ではないでしょうか。
(4)「土壌汚染対策法」第8条の2
当該土地の土壌の特定有害物質による汚染が当該土地の所有者以外の者の行為によるものであるときは、その行為をした者に対し、当該命令に係る汚染の除去等の措置に要した費用を請求する請求権は、当該汚染の除去等の措置を講じ、かつ、その行為をした者を知ったときから三年間行わないときは、時効によって消滅する。当該汚染の除去等の措置を講じたときから二十年を経過したときも、同様とする。
この法律を盾にし、実際には除去していない(除去していない事は明白です)にもかかわらず、愛知県は責任回避のため当時除去したと説明をしたうえで、時効(二十年)を迎えようとしたのでしょうか。
(5)「土壌汚染対策法」第9条
土壌の採取その他の土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の十四日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施工方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
テストピット調査掘削土を、産業廃棄物処理場(浄化施設)に運搬し、埋め戻し土を客土にてするようにしております。これは形質の変更ではないのでしょうか。届け出された環境省令で定める事項を示してください。
このことは愛知県の指導によるものと聞いております。この状態では、客土が更に汚染され、汚染土壌の増加だけの結果となってしまいます。どの様な見解を持って、指導されたのでしょうか。「汚染土壌」 「産業廃棄物」なのでしょうか。
(6)「土壌汚染対策法」第29条
都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、…………職員に、当該土地に立ち入り、当該土地の状況若しくは当該汚染の除去等の措置若しくは土地の形質の変更の実施状況を検査させることができる。愛知県においては、この法律は無縁のものなのでしょうか。
(7)「土壌汚染対策法施行規則」環境省告示第20号
第二溶出基準に適合しない汚染状態にある土壌は、「産業廃棄物遮断型処分場」に 搬入すること。第二溶出基準に適合する汚染状態にある土壌は、「産業廃棄物管理型処分場」に搬出すること。とされております。当初UR都市機構は、汚染土壌の浄化施設に搬出する予定でおりました。搬出する汚染土壌が第二溶出基準に適合する土壌であったのか、適合しない土壌であったのか、愛知県の判断の基となった資料及び説明を求めます。
(8)「土壌汚染対策法施行規則」環境省告示第21号
搬出する汚染土壌の処分に係る確認方法について、「搬出汚染土壌管理票」を作成、搬出汚染土壌確認報告書の提出が義務づけられております。報告書の提出が済み次第、報告書の開示を求めます。
(9)「土壌汚染対策法施行規則」の概要
揮発性有機化合物は、土壌ガス調査及び土壌溶出量調査とする。開示されたUR都市機構実施調査では、土壌ガス調査が行われていません。サンプリング地点の数は、100?に1点とし、土壌汚染の可能性が低い場所は900?に1点とする。
UR都市機構実施調査では、土壌汚染の可能性が高い場所において約400?に1点、可能性の低い場所においては全く調査をしておりません。
愛知県の見解では、「土壌汚染対策法施行規則」を無視した調査方法が妥当なも
のであると認識されておるのでしょうか。
(油汚染対策ガイドラインに関連した質問事項)
(1)ガイドラインで油臭や油膜の報告例は鉱油類によるものがほとんどであるとされているが、UR都市機構の説明は、自然界に存在しない成分、鉱油、香油と2転3転している。
現物を見られた知事及び担当部署職員の見解では、どちらなのでしょうか。
(2)UR都市機構が設定した、影響範囲外の宅地において油臭があり、雨後に洗濯物を干すと臭いが付着するため、室内に洗濯物を干す家があります。UR都市機構に調査依頼をしても、これ以上の調査は行いませんとの返答だったため、住民で掘削調査を行った結果、油膜が生じました。その結果をUR都市機構に説明、再度調査依頼をするも同じ返答でした。
庭で子供が遊び、地表の土に触れます。UR都市機構の判断は正しいものと、愛知県も思っておられるのでしょうか。
(3)対策として、戸建て住宅や公園など、土地を裸地のまま利用することが普通である土地利用については、油臭や油膜の原因となる油含有土壌の掘削除去や浄化が必要となる。あるいは裸地ではない土地利用方法への変更も考えられる。
愛知県としては、どう考えられているのでしょうか。
(4)地下水の汚染を確認するため、周辺地下水・井戸水のモニタリング、観測井戸等の措置が全くなされておりません。
愛知県としても、必要ないと考えられるのでしょうか。
(その他質問事項)
(1)知事及び愛知県担当部署職員の方々は、残存している産業廃棄物を見られたにもかかわらず、都市再生機構より提訴されたこの時点に至っても、まだ「黒っぽい粘土」と捉えておられるのでしょうか。明確かつ簡潔にお答え願います。
(2)県職員は「産業廃棄物ではなく粘土」・「機構とは情報交換するつもりだが、同じ調査を繰り返しても意味がない」と発言されておりました。情報交換をするつもりだったはずが、提訴された今後どう対応されるのかお聞かせ願いたい。
(3)都市再生機構が調査費用の請求をしましたが、環境調査においては愛知県が土壌汚染対策法に基づいて指導する立場にあり、都市再生機構より適正な調査方法・判断を下すことが出来るものと我々住民は思っております。
愛知県においては、今でも都市再生機構の調査方法が適正なものであると信じ、今後も都市再生機構に調査を委ねたままとするのでしょうか。
(4)ある新聞紙面に県側のコメントとして「提訴は想定の範囲内。訴状を見て対応を検討したい」とありました。想定の範囲内とはどう云うことですか。
この言葉は前回コメント「周辺住民が燃料として使っていた。」 「造成時には無くなっていた」「黒っぽい粘土があっただけ」と大きく矛盾した言葉となっています。産業廃棄物は存在しない姿勢を取りながら提訴を想定していたとの発言。どこに整合性があるのでしょうか。
(5)周辺住民が燃料として使っていた物とは何であるのか、当然燃料として使われていた物ですから目視でどのような廃棄物だったのか容易に想像できたと思います。当時存在していた状態、固形物か・液体物か・固形物に液体が含まれた物か詳細かつ明確に何であったのかお答えいただきたい。そのうえで、その物が産業廃棄物でなかった理由も併せて明確にお答えいただきたい。
(6)当時周辺には住宅が存在しませんでした。愛知県担当部署の方が判断される周辺地域とはどこまでの範囲なのか、また周辺地域の方とは何方を示されておるのか、明快かつ端的にお知らせ下さい。
(7)産業廃棄物処理は許可事業です。許可は当然ご存じのように県が許可を与えるものです。その愛知県が許可の範囲・許可事業内容を一番良くご存じのはずです。なぜ範囲特定の作業に着手していただけないのか理由をお聞かせ下さい。
(8)日本国内において管理産業廃棄物処分場跡地(造成時に稼働していたらしいことから跡地とは呼べない?)に土地情報の告知もせず、分譲住宅を売り出した自治体が愛知県以外にあったのかどうか、また知らせる必要がなかったとされる根拠について教えていただきたい。
(9)産業廃棄物処分場を復旧することは廃棄物事業者に責任があります。跡地を造成名目で愛知県が処理されたとするならば、どの様な見解に基づいて処理されたのでしょうか。また売買契約は処理費用を含んだ金額で適正に行われたのでしょうか。
(10)UR都市機構の提訴金額は8億円とのことでした。2宅地補償金(対策費用と説明)と調査費用のみで8億円の賠償請求が生じるのでしょうか。今後の調査如何で最終金額は不明とのことでした。裁判費用・損害賠償費用他全て県民の税金です。県民の納得出来る状態で損害賠償請求に応じるべきではないでしょうか。
(11)UR都市機構の検討委員会には、環境の専門家、不動産評価の専門家がおりません。地質及び建築の専門家のみで構成されております。愛知県としては、指導していただけたのでしょうか。愛知県の見解をお答え
下さい。
(12)知事は9月4日、定例記者会見で、「一義的には分譲した売主(都市再生機構)が買い主の住人にきちんと対応するのが当たり前」と発言されております。きちんと対応していない都市再生機構に、どのような指導をおこなっているのでしょうか。また分譲した都市再生機構に、土地を造成、売却したのは愛知県です。この重大責任事項に言及しないことは非常に不自然なことに思えますが、愛知県は土地を造成、売却した責任をどう考えておられるのでしょうか。
(13)知事は9月4日、定例記者会見で、8月下旬に土壌のサンプルを採取し、調査していることを挙げ「土壌が産廃なのではという住民の声もあり、不安が解消されるようにしたい」と発言されておりました。サンプルを採取したのは8月22日でしたが、8月25日県職員が現地に来た際「再調査はしない」と言っておりました。未だに知事と担当部署職員との間で、意志疎通がはかられていないのでしょうか。
(14)上記発言は、一番問題となっている「何故産廃があるのか」、「地歴調査をして範囲の特定をするのか」、「調査方法は公正で正しいのか」といった問題から、記者の注目を遠ざける目的で発せられた言葉なのでしょうか。現物を見られた知事及び造成当時の職員ならなら、その物が何であるか十分わかっておられるはずです。
以上 新住宅市街地開発法に関連した質問事項6項目
土壌汚染対策法に関連した質問事項9項目
油汚染対策ガイドラインに関連した質問事項4項目
その他質問事項14項目
※ 上記33項目及び要望書・上申書事項について書面回答して下さい。
※ 回答期日: 9月22日
http://eritokyo.jp/independent/komaki-col0001.html
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愛知県庁:知事の記者会見:2006年11月20日 桃花台ニュータウンの地盤沈下問題について
桃花台ニュータウンの地盤沈下問題について
【記者】
小牧市の桃花台ニュータウンの地盤沈下の件ですけれども、昨日、県の説明会がありまして、調査の方法を説明しておりました。その中で、土壌汚染だけではなく、地耐力をボーリングをする中でもデータはとれるだろうと言っていたのですが、そのデータを住民に公表するといった姿勢が見られませんでした。要するに、裁判の材料のために、そのデータを使うのだというようにしか聞こえないものの言い方でした。
知事は、先だって環境汚染に関しては、住民の安心、安全、不安を取り除くためにやるのだとおっしゃいました。県の説明会の住民への回答の中では、そこのところの言及が全然ないのです。裁判を気にして、そういうことに取り組まないというものの言い方をする行政とはいかがなものか、お考えがありましたらお願いします。
【知事】
職員がどういう言い方をしたのか、詳細までは私はわかりませんけれども、誤解の無いようにしていただきたいのは、裁判の材料にするためなどとは、毛頭考えておりません。
今回の地盤沈下は地盤のいわゆる耐力の問題ですね。それから、土壌の中に黒っぽい粘土質のものがあって、その成分が環境基準を一部オーバーするものがあったということです。これは環境汚染の問題で、厳密に言えば、ちょっと別の問題になろうかと思います。地盤沈下との問題も全く無関係ではありませんけれども、今回、たまたま都市再生機構側が調査したときのサンプルを、県と小牧市も取得し、小牧市の調査分析の中で若干そういうものが出てきたので、その状況を地元の皆様方にご説明するだけではなく、当然、不安をお持ちでありますので、これからあの地域の各住宅ごとに調査をしたいということで、その依頼も含めて説明会をしたものでございます。
したがって、あくまでも土壌汚染、環境汚染を主眼に置いており、耐力を測るための目的のものではないということが一つございます。
しかし、そういうことも、いろいろな材料がこれから結果として出てくるのかもわかりませんが、それは私どもなりに、また分析をしなければならないと思っておりますけれども、裁判は向こうから起こされてきた問題ですし、地盤沈下の問題は売り主としての責任は当然機構側にあるわけでありますので、その耐力の問題も含め、機構側がどのようなデータで、これからどのような調査を進めていかれるのか、これは県としても見極めていかなければならない問題であります。
くどくなって恐縮ですが、裁判のためにというようなことは、目的としては持っていません。裁判の中でも、もちろん県の正当性などを主張しながら進めていくわけで、そこへ活用することは当然あると思います。それは、もう少しいろいろなものが出てきて分析したり、調査してみないとわからないと思っております。
【記者】
住民の不安を取り除くためには、住民にそのデータの公表は考えられないのですか。
【知事】
どんなものが出てくるのか、まだちょっとわかりませんけれども、先ほど申し上げたとおり、住民の不安を解消するということも、もちろん重要なことだと思っておりますので、必要なものについて開示することは、やぶさかではございません。
ただ、ご承知のとおり、現に裁判を起こされておりまして、裁判というのは、主張、立証責任というのは、お互いに分配し合いながら、やっていることでありますので、本来、そのことは機構がきちんとやることでもありますので、今ここで、その材料をどうするかということは、断言的に申し上げことはできないと思っております。努力はいたします。
http://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2006/11.20.html#7