自然環境保全基本方針 自然関係法律

大阪水・土壌研究会員

2009年11月02日 22:54

【 自然環境保全基本方針 】
公布日:昭和48年11月06日
総理府告示30号

第1部 自然環境の保全に関する基本構想
 自然は、人間生活にとつて、広い意味での自然環境を形成し、生命をはぐくむ母胎であり限りない恩恵を与えるものである。すなわち、それは、
 ? 経済活動のための資源としての役割を果たすだけでなく、
 ? それ自体が豊かな人間生活の不可欠な構成要素をなす。

 殊に我が国は、人間と自然と人間の造型作品とが有機的な統一体をなすというユニークな文化的伝統をもつてきた。
 我々の社会生活におけるこの自然の役割を思うとき、なによりも、我々がその価値を高く評価し、保護保全の精神を我々の身についた習性とすることこそが、あらゆる対策の第一歩であるというべきであろう。この立場に立つならば、これを原点として、我々は、自然を構成する諸要素間のバランスに注目する生態学をふまえた幅広い思考方法を尊重し、人間活動も、日光、大気、水、土、生物などによつて構成される微妙な系を乱さないことを基本条件としてこれを営むという考え方のもとに、自然環境保全の問題に対処することが要請される。

 ところが、現実をふりかえると、現に自然環境の破壊は容赦なく進んでおり、その規模において、多様性において、国土のいたるところで深刻な問題を提起していることは否めない。殊に問題なのは、これらの事態がしばしば社会的公正を損なう不均衡な利害を伴いがちで、そのために破壊への適確な対応が一段と複雑化しているという点である。

 以上の観点に立つとき、我々は必要に応じて人間活動を厳しく規制する方向で、社会経済制度全般にわたる総合的な政策を強力に展開する必要にせまられている。すなわち、資源のもつ有限性に留意し、大量生産、大量消費、大量廃棄という型の経済活動に厳しい反省を加え、公害の未然防止に努めるとともに、経済的効率優先の陰で見落とされがちであつた非貨幣的価値を適正に評価し、尊重していかなければならない。更に、自然環境の適正な保全に留意した土地利用計画のもとに適切な規制と誘導を図り、豊かな環境の創造に努めなければならない。

 もとより、自然保護を中心とする自然環境保全政策は、以上のごとき基本的な考え方のもとで展開すべき総合的な政策の重要部分を占めるものであり、それは自然環境保全の見地から地域の特性に応じて人間活動を規制するという面を主として分担するものであるといつてよい。したがつて、その施策は国土や各地方において確保すべき自然の適正な質と量とを科学的に検討し、それを明確にしたものでなければならない。しかし、この施策の確立には人間活動の限界の設定や、限られた資源の利用配分等の極めて困難な課題を伴うこととなり、更に、自然の全貌は、現代の科学的知見によつても、いまだうかがい知ることのできない多くの部分を持つものであることを認識せざるを得ない。

 このような状況のもとでは、自然環境の保全については、将来に禍根を残すことのないよう先取り的なより積極的な姿勢が求められる。いいかえれば、現在破壊から免れている自然を保護するというだけでなく、進んで自然環境を共有的資源として復元し、整備していく方策が必要である。
 そのため、当面の政策としては、国土に存在する貴重な植生、野生動物、地形地質等のかけがえのない自然やすぐれた自然は、近い将来に起こり得べき事態を考慮に入れ、また、十分な面積にわたつての保全を図るとともに、太陽エネルギーの合理的な利用が可能である農林水産業に関しては、それが有する環境保全の役割を高く評価し、健全な育成を図る必要がある。都市地域においては、健康な人間生活を保障するに足る自然環境が巧妙に確保されなければならない。
 更に自然環境保全政策は、国内政策にとどまることなく、国際的な視野に立つて貴重な野生動植物の保護や海洋汚染の防止を図るなど、積極的な協力活動を展開する必要がある。

 以上の前提に立ち、当面の自然環境保全施策の基本的な方向を展望すれば次のとおりである。

1 国土に存在する多様な自然を体系的に保全するため、自然環境保全法をはじめとする各種の関係制度を総合的に運用する。
 
(1) 人為のほとんど加わつていない原生の自然地域、国を代表する傑出した自然景観、更に学術上、文化上特に価値の高い自然物等は、多様な生物種を保存し、あるいは自然の精妙なメカニズムを人類に教えるなど、国の遺産として後代に伝えなければならないものである。いずれもかけがえのないものであり、厳正に保全を図る。
 
(2) 国土の自然のバランスを維持する上で重要な役割を果たす自然地域、すぐれた自然風景、野生動物の生息地、更に野外レクリエーシヨンに適した自然地域等は、いずれも人間と自然との関係において欠くことのできない良好な自然であり、適正に保護を図るとともに必要に応じて復元、整備に努力する。
 
(3) 自然の物質循環に生産力の基礎をおく農林水産業が営まれる地域は食糧・林産物をはじめとする資源の供給面だけでなく、国土の保全、水源のかん養、大気の浄化等、自然のバランスの維持という面においても必要欠くべからざるものであり、その環境保全能力を評価し、健全な育成を図る。
 
(4) 都市地域における樹林地、草地、水辺地などの自然地域は、大気浄化、気象緩和、無秩序な市街地化の防止、公害・災害の防止等に大きな役割を果たし、また地域住民の人間形成にも大きな影響を与えるものであるところから、健全な都市構成上、都市環境上不可欠なものについて積極的に保護し、育成し、あるいは復元を図る。

2 保全すべき自然地域は、その特性に応じて適切に管理されなければならない。このため、管理体制の整備に努めるとともに、必要な民有地の買上げを促進する。

3 自然環境を破壊するおそれのある大規模な各種の開発が行われる場合は、事業主体により必要に応じ、当該事業が自然環境に及ぼす影響の予測、代替案の比較等を含めた事前調査が行われ、それらが計画に反映され、住民の理解を得たうえで行われるよう努める。開発後においても自然環境の保全のための措置が必要に応じ講ぜられるよう十分な注意を払うものとする。

4 自然のメカニズムについては、解明されていない部分が極めて多い。人間活動と自然との関係、物質の循環、生態系の保全技術などについての研究を積極的に進めるため、研究体制の確立、情報システムの整備、研究者及び研究の成果を具体的施策に反映させる技術者の養成等に努める。
  また、我が国の自然環境の現状を適確に把握するため、植生、野生動物、地形地質をはじめ、しばしば軽視されがちな目に見えない自然のメカニズムの側面などの各分野にわたる科学的な調査を実施する。

5 自然環境の保全を十分図るためには、国民一人一人が保護、保全の精神を身につけこれを習性とすることがなによりも肝要である。このため学校や地域社会において環境教育を積極的に推進し、自然のメカニズムや人間と自然との正しい関係について国民の理解を深め、自然に対する愛情とモラルの育成に努める。

6 国民の自然に対する渇望に応えることは、自然環境保全の主要な目的の一つである。自然との交流を図る健全な野外レクリエーシヨンは、今後国民生活においてますます重要性を占め、その需要も増大の傾向にある。しかし、一面それが一定の地域に過度に集中すれば、かけがえのない自然を破壊するおそれもある。したがつて自然環境の適正な保全を図る立場から野外レクリエーシヨン政策の調整を図る。
 以上の自然環境保全施策は、国民の理解と協力のもとに、地方公共団体と連携を図りつつ、強力に展開しなければならない。そのためには開発行為に対する規制、土地のもつ公共的性格の重視等につき、勇断をもつて臨まなければならないが、同時に、国土保全その他の公益との調整に留意するとともに、保全のための負担の公平化、地域住民の生業の安定及び福祉の向上、所有権等の財産権の尊重等のため必要な施策を総合的見地から講じていく必要がある。
 自然の恵沢の享受と保全に関し、受益と負担の両面にわたつて社会的公正が確保されてこそ、自然環境の適正な保全が図られるのである。


第2部 自然環境保全地域等に関する基本的事項
 自然環境保全法に規定する3種の保全地域、すなわち、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域及び都道府県自然環境保全地域は「自然環境の保全に関する基本構想」に基づき国土全域を対象として体系的に選定され、適切に保全されなければならないが、それらについての基本的事項はおおむね次のとおりである。

1 原生自然環境保全地域の指定方針
  我が国においては、国土の開発が非常に進んでいるため、人の活動によつて影響を受けていない地域は、自然環境保全上極めて高い評価がなされるに至つており、そのもつ学術的意義は大きく、重要な科学的情報源である。
  我が国の亜熱帯多雨林帯、暖帯照葉樹林帯、温帯落葉広葉樹林帯、及び亜寒帯針葉樹林帯の各森林帯に残る原生の自然状態を維持している地域につき、次の要件に合致する典型的なものを原生自然環境保全地域として指定するものとする。
 
(1) 極相あるいは、それに近い森林、湿原、草原等の植生及び野生動物等の生物共同体が人の活動によつて影響を受けることなく原生状態を維持していること。
 
(2) 生態系として動的な平衡状態を維持するため、一定の面積と形態が確保されていること。
 
(3) (2)に関連し、当該地域の周辺が自然性の高い地域であること。

2 原生自然環境保全地域の保全施策
  原生自然環境保全地域の指定方針にかんがみ、自然の推移にゆだねることを保全の基本方針とする。
 
(1) 極相の状態や原生の状態を維持するため、原則として地域内において人為による改変を禁止するとともに、地域外からの各種の影響を極力排除するよう努める。
 
(2) 特定の植物若しくは動物で稀有なもの又は当該地域に固有な植物若しくは動物で、人為の影響を著しく受け易いもの等を保存する必要のある場合には、立入制限地区を設け一層の保護を図るものとする。
 
(3) 自然災害により損傷が生じた場合には、原則として人為を加えず、可能な限り、自然条件での遷移によつて復元を図るものとする。
 
(4) 当該地域の自然を観察し、調査し、研究するとともに、必要最小限の保全事業を執行し、厳正な管理を図るものとする。

3 自然環境保全地域の指定方針
  すぐれた天然林が相当部分を占める森林、その区域内に生存する動植物を含む自然環境がすぐれた状態を維持している海岸、湖沼、湿原又は河川、植物の自生地、野生動物の生息地等でその自然環境がすぐれた状態を維持しているもの等で一定の広がりをもつた地域について、農林漁業等地域住民の生業の安定、福祉の向上、資源の長期的確保等自然的社会的諸条件を配慮しながら、指定を図るものであるが、特に次に掲げるものについては、速やかに指定を図るものとする。
 
(1) 人の活動による影響を受けやすい弱い自然で破壊されると復元困難な地域
 
(2) 自然環境の特徴が特異性、固有性又は稀少性を有するもの
 
(3) 当該地域の周辺において開発が進んでおり、又は急激に進行するおそれがあるために、その影響を受け、すぐれた自然状態が損なわれるおそれのあるもの

4 自然環境保全地域の保全施策
  自然環境保全地域の保全対象である特定の自然環境を維持するため、自然環境の状況に対応した適正な保全を図るものとする。
 
(1) 当該地域の生態系構造上重要な地区及び生態系の育成を特に図ることを必要とする地区、あるいは特定の自然環境を維持するため特に必要がある地区等で、保全対象を保全するために必要不可欠な核となるものについては、その必要な限度において、特別地区又は海中特別地区に指定し、保護を図るものとする。
 
(2) 当該特別地区における特定の野生動植物で稀有なもの、又は固有なものを保存する必要がある地区については、野生動植物保護地区を指定するものとする。
 
(3) 普通地区については、それが有する緩衝地帯としての役割が十分維持されるよう保全を図るものとする。
 
(4) 当該地域内において自然災害等により損傷が生じた場合は防災上の観点とともに生態学的調査結果をふまえ復元等を図るものとする。
 
(5) 当該地域においては、適正な管理を図り、必要な保全事業を実施するものとする。
 
(6) 国土の保全その他公益との調整、住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮するものとする。

5 都道府県自然環境保全地域の指定の基準
  都道府県自然環境保全地域は、自然環境が自然環境保全地域に準ずる土地の区域を対象とするものであり、次により指定を行うものとする。
 
(1) 自然環境保全地域の指定方針に準ずるものとするが、区域の設定は保護対象を保全するのに必要な限度において行うものとする。
 
(2) 都市地域において、すぐれた自然環境が残されている地域については、都市計画との調整を図りつつ、指定するものとする。
 
(3) 地域の指定は、私権の制約等を伴うものであるから、当該地域に係る住民及び利害関係人の意見を聴くなど、自然環境保全地域の指定手続に準じて行うものとする。

6 都道府県自然環境保全地域の保全施策の基準
  都道府県自然環境保全地域の保全対象である特定の自然環境を維持するため、自然の状況に対応した適正な保全を図り、必要に応じて積極的な復元を図るものとする。
 
(1) 特別地区、野生動植物保護地区及び普通地区の指定等については、自然環境保全地域に準じて行うものとする。
 
(2) 当該地域内において自然環境に損傷が生じた場合には、当該自然環境の特性と損傷の状況に応じ、速やかに復元又は緑化を図るものとする。
 
(3) 当該地域が小面積である場合には、地域外と接する部分の取扱いに特に注意を払い、必要に応じて樹林帯等を造成し、保護を図るものとする。
 
(4) 当該地域については、適正な管理を図り、必要な保全事業を実施する。
 
(5) 国土の保全その他の公益との調整、住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮するものとする。

7 自然環境保全地域等と自然公園法その他の自然環境保全を目的とする法律に基づく地域との調整の方針
  自然環境の適正な保全を総合的に推進するためには、自然環境保全法に基づく3種の地域のみならず、自然公園その他の自然環境保全を目的とする法律に基づく各種の地域の指定が促進され、それらの保全が積極的に図られなければならないが、その際の自然環境保全地域等と他の地域との調整は、おおむね次のとおり行うものとする。
 
(1) 原生自然環境保全地域は、それが保有する自然環境の重要性にかんがみ、現に自然公園、その他自然環境保全を目的とする法律に基づく地域に含まれているものであつても、自然公園としての利用等からも十分検討し、厳正に保全を図るべきものにつき指定するものとする。
 
(2) 自然環境保全地域及び都道府県自然環境保全地域は、自然公園の区域外において指定するものとする。ただし、現に都道府県立自然公園の区域に含まれているすぐれた自然の地域にあつては、当該地域の自然の特質、周辺の自然的社会的条件を検討し、場合により、関係都道府県と十分協議のうえ自然環境保全地域へ移行させるものとする。
 
(3) 都市計画区域においては、自然環境保全地域と都道府県自然環境保全地域の指定は、原則として市街化区域については行わないものとし、その他の区域については良好な都市環境の形成を目的とする緑地保全地区と重複しないようにする等の調整を図りつつ行うものとする。

http://www.env.go.jp/hourei/syousai.php?id=18000125





自然環境保全法
(昭和四十七年六月二十二日法律第八十五号)最終改正:平成二一年六月三日法律第四七号

 第一章 総則(第一条―第十一条)
 第二章 自然環境保全基本方針(第十二条・第十三条)
 第三章 原生自然環境保全地域
  第一節 指定等(第十四条―第十六条)
  第二節 保全(第十七条―第二十一条)
 第四章 自然環境保全地域
  第一節 指定等(第二十二条―第二十四条)
  第二節 保全(第二十五条―第三十条)
  第三節 雑則(第三十一条―第三十五条)
 第五章 雑則(第三十六条―第四十四条)
 第六章 都道府県自然環境保全地域及び都道府県における自然環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関(第四十五条―第五十一条)
 第七章 補則(第五十二条)
 第八章 罰則(第五十三条―第五十八条)
 附則

   第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、自然公園法 (昭和三十二年法律第百六十一号)その他の自然環境の保全を目的とする法律と相まつて、自然環境を保全することが特に必要な区域等の自然環境の適正な保全を総合的に推進することにより、広く国民が自然環境の恵沢を享受するとともに、将来の国民にこれを継承できるようにし、もつて現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(国等の責務)
第二条  国、地方公共団体、事業者及び国民は、環境基本法 (平成五年法律第九十一号)第三条 から第五条 までに定める環境の保全についての基本理念にのつとり、自然環境の適正な保全が図られるように、それぞれの立場において努めなければならない。

(財産権の尊重及び他の公益との調整)
第三条  自然環境の保全に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、国土の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。

(基礎調査の実施)
第四条  国は、おおむね五年ごとに地形、地質、植生及び野生動物に関する調査その他自然環境の保全のために講ずべき施策の策定に必要な基礎調査を行うよう努めるものとする。

(地域開発施策等における配慮)
第五条  国は、地域の開発及び整備その他の自然環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及びその実施に当たつては、自然環境の適正な保全について配慮しなければならない。

第六条  削除  第七条  削除  第八条  削除  第九条  削除  第十条  削除  第十一条  削除

   第二章 自然環境保全基本方針

(自然環境保全基本方針)
第十二条  国は、自然環境の保全を図るための基本方針(以下「自然環境保全基本方針」という。)を定めなければならない。

2  自然環境保全基本方針には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。

一  自然環境の保全に関する基本構想

二  原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域の指定その他これらの地域に係る自然環境の保全に関する施策に関する基本的な事項

三  都道府県自然環境保全地域の指定の基準その他その地域に係る自然環境の保全に関する施策の基準に関する基本的な事項

四  前三号に掲げるもののほか、前二号に掲げる地域と自然公園法 その他の自然環境の保全を目的とする法律に基づく地域との調整に関する基本方針その他自然環境の保全に関する重要事項

3  環境大臣は、自然環境保全基本方針の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。

4  環境大臣は、自然環境保全基本方針の案を作成する場合には、あらかじめ、中央環境審議会の意見をきかなければならない。

5  環境大臣は、第三項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、自然環境保全基本方針を公表しなければならない。

6  前三項の規定は、自然環境保全基本方針の変更について準用する。

第十三条  削除

   第三章 原生自然環境保全地域
    第一節 指定等
(指定)
第十四条  環境大臣は、その区域における自然環境が人の活動によつて影響を受けることなく原生の状態を維持しており、かつ、政令で定める面積以上の面積を有する土地の区域であつて、国又は地方公共団体が所有するもの(森林法 (昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項 又は第二十五条の二第一項 若しくは第二項 の規定により指定された保安林(同条第一項 後段又は第二項 後段において準用する同法第二十五条第二項 の規定により指定された保安林を除く。)の区域を除く。)のうち、当該自然環境を保全することが特に必要なものを原生自然環境保全地域として指定することができる。

2  環境大臣は、原生自然環境保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係都道府県知事及び中央環境審議会の意見をきかなければならない。

3  環境大臣は、原生自然環境保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該区域内の土地を、国が所有する場合にあつては当該土地を所管する行政機関の長の、地方公共団体が所有する場合にあつては当該地方公共団体の同意を得なければならない。

4  環境大臣は、原生自然環境保全地域を指定する場合には、その旨及びその区域を官報で公示しなければならない。

5  原生自然環境保全地域の指定は、前項の規定による公示によつてその効力を生ずる。

6  第二項、第四項及び前項の規定は原生自然環境保全地域の指定の解除及びその区域の変更について、第三項の規定は原生自然環境保全地域の区域の拡張について、それぞれ準用する。

(原生自然環境保全地域に関する保全計画の決定)
第十五条  原生自然環境保全地域に関する保全計画(原生自然環境保全地域における自然環境の保全のための規制又は施設に関する計画をいう。以下同じ。)は、環境大臣が関係都道府県知事及び中央環境審議会の意見をきいて決定する。

2  環境大臣は、原生自然環境保全地域に関する保全計画を決定したときは、その概要を公示しなければならない。

3  前二項の規定は、原生自然環境保全地域に関する保全計画の廃止及び変更について準用する。

(原生自然環境保全地域に関する保全事業の執行)
第十六条  原生自然環境保全地域に関する保全事業(原生自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて執行する事業であつて、当該地域における自然環境の保全のための施設で政令で定めるものに関するものをいう。以下同じ。)は、国が執行する。

2  地方公共団体は、環境大臣に協議し、その同意を得て、原生自然環境保全地域に関する保全事業の一部を執行することができる。

    第二節 保全
(行為の制限)
第十七条  原生自然環境保全地域内においては、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、環境大臣が学術研究その他公益上の事由により特に必要と認めて許可した場合又は非常災害のために必要な応急措置として行う場合は、この限りでない。

一  建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。

二  宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。

三  鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。

四  水面を埋め立て、又は干拓すること。

五  河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。

六  木竹を伐採し、又は損傷すること。

七  木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。

八  木竹を植栽すること。

九  動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。

十  家畜を放牧すること。

十一  火入れ又はたき火をすること。

十二  屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。

十三  車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。

十四  前各号に掲げるもののほか、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

2  前項ただし書の許可には、当該原生自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要な限度において、条件を附することができる。

3  原生自然環境保全地域内において非常災害のために必要な応急措置として第一項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境大臣にその旨を届け出なければならない。

4  原生自然環境保全地域が指定され、又はその区域が拡張された際当該原生自然環境保全地域内において第一項各号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して三月間(その期間内に同項ただし書の許可を申請したときは、許可又は不許可の処分があるまでの間)は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。

5  次の各号に掲げる行為については、第一項及び第三項の規定は、適用しない。

一  原生自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為

二  通常の管理行為又は軽易な行為のうち、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの

(中止命令等)
第十八条  環境大臣は、原生自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、前条第一項の規定に違反し、又は同条第二項の規定により許可に附せられた条件に違反した者に対して、その行為の中止を命じ、又は相当の期限を定めて、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

2  環境大臣は、政令で定めるところにより、その職員のうちから自然保護取締官を命じ、前項に規定する権限の一部を行なわせることができる。

3  前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

(立入制限地区)
第十九条  環境大臣は、原生自然環境保全地域における自然環境の保全のために特に必要があると認めるときは、原生自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、立入制限地区を指定することができる。

2  第十四条第三項の規定は立入制限地区の指定及びその区域の拡張について、同条第四項及び第五項の規定は立入制限地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について、それぞれ準用する。

3  何人も、立入制限地区に立ち入つてはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。

一  第十七条第一項ただし書の許可を受けた行為(第二十一条第一項後段の規定による協議に係る行為を含む。)を行なうために立ち入る場合

二  非常災害のために必要な応急措置を行なうために立ち入る場合

三  原生自然環境保全地域に関する保全事業を執行するために立ち入る場合

四  通常の管理行為又は軽易な行為のうち、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるものを行なうために立ち入る場合

五  前各号に掲げるもののほか、環境大臣がやむを得ない事由があると認めて許可した場合

(報告)
第二十条  環境大臣は、原生自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、第十七条第一項ただし書の許可を受けた者に対して、当該許可を受けた行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

(国等に関する特例)
第二十一条  国の機関又は地方公共団体が行う行為については、第十七条第一項ただし書又は第十九条第三項第五号の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関又は地方公共団体は、その行為をしようとするときは、あらかじめ、国の機関にあつては環境大臣に協議し、地方公共団体にあつては環境大臣に協議しその同意を得なければならない。

2  国の機関又は地方公共団体は、第十七条第三項の規定により届出を要する行為をしたときは、同項の規定による届出の例により、環境大臣にその旨を通知しなければならない。

   第四章 自然環境保全地域
    第一節 指定等
(指定)
第二十二条  環境大臣は、原生自然環境保全地域以外の区域で次の各号のいずれかに該当するもののうち、自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境を保全することが特に必要なものを自然環境保全地域として指定することができる。

一  高山性植生又は亜高山性植生が相当部分を占める森林又は草原の区域(これと一体となつて自然環境を形成している土地の区域を含む。)でその面積が政令で定める面積以上のもの(政令で定める地域にあつては、政令で定める標高以上の標高の土地の区域に限る。)

二  すぐれた天然林が相当部分を占める森林の区域(これと一体となつて自然環境を形成している土地の区域を含む。)でその面積が政令で定める面積以上のもの

三  地形若しくは地質が特異であり、又は特異な自然の現象が生じている土地の区域及びこれと一体となつて自然環境を形成している土地の区域でその面積が政令で定める面積以上のもの

四  その区域内に生存する動植物を含む自然環境がすぐれた状態を維持している海岸、湖沼、湿原又は河川の区域でその面積が政令で定める面積以上のもの

五  その海域内に生存する熱帯魚、さんご、海そうその他これらに類する動植物を含む自然環境がすぐれた状態を維持している海域でその面積が政令で定める面積以上のもの

六  植物の自生地、野生動物の生息地その他の政令で定める土地の区域でその区域における自然環境が前各号に掲げる区域における自然環境に相当する程度を維持しているもののうち、その面積が政令で定める面積以上のもの

2  自然公園法第二条第一号 に規定する自然公園の区域は、自然環境保全地域の区域に含まれないものとする。

3  環境大臣は、自然環境保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長及び中央環境審議会の意見をきかなければならない。この場合においては、次条第一項に規定する自然環境保全地域に関する保全計画の案についても、あわせて、その意見をきかなければならない。

4  環境大臣は、自然環境保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。

5  前項の規定による公告があつたときは、当該区域に係る住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、環境大臣に意見書を提出することができる。

6  環境大臣は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があつたとき、又は当該自然環境保全地域の指定に関し広く意見をきく必要があると認めたときは、公聴会を開催するものとする。

7  第十四条第四項及び第五項の規定は自然環境保全地域の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について、第三項前段の規定は自然環境保全地域の指定の解除及びその区域の変更について、同項後段及び前三項の規定は自然環境保全地域の区域の拡張について、それぞれ準用する。

(自然環境保全地域に関する保全計画の決定)
第二十三条  自然環境保全地域に関する保全計画(自然環境保全地域における自然環境の保全のための規制又は施設に関する計画をいう。以下同じ。)は、環境大臣が決定する。

2  自然環境保全地域に関する保全計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。

一  保全すべき自然環境の特質その他当該地域における自然環境の保全に関する基本的な事項

二  当該地域における自然環境の特質に即して、特に保全を図るべき土地の区域(以下「特別地区」という。)又は特に保全を図るべき海域(以下「海中特別地区」という。)の指定に関する事項

三  当該地域における自然環境の保全のための規制に関する事項

四  当該地域における自然環境の保全のための施設に関する事項

3  第十五条第二項の規定は自然環境保全地域に関する保全計画の決定、廃止及び変更について、前条第三項前段の規定は自然環境保全地域に関する保全計画の廃止及び変更について、同条第四項から第六項までの規定は自然環境保全地域に関する保全計画の決定及び変更(前項第二号又は第三号に掲げる事項に係る変更に限る。)について、それぞれ準用する。

(自然環境保全地域に関する保全事業の執行)
第二十四条  自然環境保全地域に関する保全事業(自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて執行する事業であつて、当該地域における自然環境の保全のための施設で政令で定めるものに関するものをいう。以下同じ。)は、国が執行する。

2  地方公共団体は、環境大臣に協議し、その同意を得て、自然環境保全地域に関する保全事業の一部を執行することができる。

    第二節 保全
(特別地区)
第二十五条  環境大臣は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、特別地区を指定することができる。

2  第十四条第四項及び第五項の規定は、特別地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。

3  環境大臣は、特別地区を指定し、又はその区域を拡張するときは、あわせて、当該自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内において次項の許可を受けないで行なうことができる木竹の伐採(第十項に規定する行為に該当するものを除く。)の方法及びその限度を農林水産大臣と協議して指定するものとする。自然環境保全地域に関する保全計画で当該特別地区に係るものの変更(第二十三条第二項第三号に掲げる事項に係る変更以外の変更を除く。)をするときも、同様とする。

4   特別地区内においては、次に掲げる行為は、環境大臣の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為、第一号若しくは第三号に掲げる行為で森林法第二十五条第一項 若しくは第二項 若しくは第二十五条の二第一項 若しくは第二項 の規定により指定された保安林の区域若しくは同法第四十一条 の規定により指定された保安施設地区(第二十八条第一項において「保安林等の区域」という。)内において同法第三十四条第二項 (同法第四十四条 において準用する場合を含む。)の許可を受けた者が行う当該許可に係るもの又は第二号 に掲げる行為で前項の規定により環境大臣が指定する方法により当該限度内において行うものについては、この限りでない。

一  第十七条第一項第一号から第五号までに掲げる行為

二  木竹を伐採すること。

三  環境大臣が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。

四  道路、広場、田、畑、牧場及び宅地以外の地域のうち環境大臣が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
5  第十七条第二項の規定は、前項の許可について準用する。

6  環境大臣は、第四項各号に掲げる行為で環境省令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

7  特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第四項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境大臣にその旨を届け出なければならない。

8  特別地区が指定され、若しくはその区域が拡張された際当該特別地区内において第四項第一号若しくは第二号に掲げる行為に着手し、又は同項第三号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際同号に規定する区域内において同号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して六月間は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。

9  前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について環境大臣に届け出たときは、第四項の許可を受けたものとみなす。

10  次の各号に掲げる行為については、第四項及び第七項の規定は、適用しない。

一  自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為

二  法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの

三  通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの

(野生動植物保護地区)
第二十六条  環境大臣は、特別地区内における特定の野生動植物の保護のために特に必要があると認めるときは、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、当該保護すべき野生動植物の種類ごとに、野生動植物保護地区を指定することができる。

2  第十四条第四項及び第五項の規定は、野生動植物保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。

3   何人も、野生動植物保護地区内においては、当該野生動植物保護地区に係る野生動植物(動物の卵を含む。)を捕獲し、若しくは殺傷し、又は採取し、若しくは損傷してはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。

一  前条第四項の許可を受けた行為(第三十条において準用する第二十一条第一項後段の規定による協議に係る行為を含む。)を行うためにする場合

二  非常災害のために必要な応急措置を行うためにする場合

三  自然環境保全地域に関する保全事業を執行するためにする場合

四  法令に基づいて国又は地方公共団体が行う行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるものを行うためにする場合

五  通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるものを行うためにする場合

六  前各号に掲げるもののほか、環境大臣が特に必要があると認めて許可した場合

4  第十七条第二項の規定は、前項第六号の許可について準用する。

(海中特別地区)
第二十七条  環境大臣は、自然環境保全地域に関する保全計画に基づいて、その区域内に、海中特別地区を指定することができる。

2  第十四条第四項及び第五項の規定は、海中特別地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。

3  海中特別地区内においては、次の各号に掲げる行為は、環境大臣の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行う行為又は第一号から第三号まで及び第六号に掲げる行為で漁具の設置その他漁業を行うために必要とされるものについては、この限りでない。

一  工作物を新築し、改築し、又は増築すること。

二  海底の形質を変更すること。

三  鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。

四  海面を埋め立て、又は干拓すること。

五  熱帯魚、さんご、海そうその他これらに類する動植物で、海中特別地区ごとに環境大臣が農林水産大臣の同意を得て指定するものを捕獲し、若しくは殺傷し、又は採取し、若しくは損傷すること。

六  物を係留すること。

4  第十七条第二項の規定は、前項の許可について準用する。

5  環境大臣は、第三項各号に掲げる行為で環境省令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

6  海中特別地区内において非常災害のために必要な応急措置として第三項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、環境大臣にその旨を届け出なければならない。

7  海中特別地区が指定され、又はその区域が拡張された際当該海中特別地区内において第三項各号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して六月間は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該行為をすることができる。

8  前項に規定する者が同項の期間内に当該行為について環境大臣に届け出たときは、第三項の許可を受けたものとみなす。

9  次の各号に掲げる行為については、第三項及び第六項の規定は、適用しない。

一  自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為

二  法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの

三  通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの

(普通地区)
第二十八条  自然環境保全地域の区域のうち特別地区及び海中特別地区に含まれない区域(以下「普通地区」という。)内において次の各号に掲げる行為をしようとする者は、環境大臣に対し、環境省令で定めるところにより、行為の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を届け出なければならない。ただし、第一号から第三号までに掲げる行為で森林法第三十四条第二項 本文の規定に該当するものを保安林等の区域内においてしようとする者及び第一号 から第三号 までに掲げる行為で海面内において漁具の設置その他漁業を行なうために必要とされるものをしようとする者は、この限りでない。

一  その規模が環境省令で定める基準をこえる建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること(改築又は増築後において、その規模が環境省令で定める基準をこえるものとなる場合における改築又は増築を含む。)。

二  宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(海底を含む。)の形質を変更すること。

三  鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。

四  水面を埋め立て、又は干拓すること。

五  特別地区内の河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。

2  環境大臣は、前項の規定による届出があつた場合において、自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要があると認めるときは、その届出をした者に対して、その届出があつた日から起算して三十日以内に限り、当該自然環境の保全のために必要な限度において、その届出に係る行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

3  環境大臣は、第一項の規定による届出があつた場合において、実地の調査をする必要があるとき、その他前項の期間内に同項の処分をすることができない合理的な理由があるときは、その理由が存続する間、同項の期間を延長することができる。この場合においては、同項の期間内に、第一項の規定による届出をした者に対して、その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。

4  第一項の規定による届出をした者は、その届出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ、当該届出に係る行為に着手してはならない。

5  環境大臣は、当該自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項の期間を短縮することができる。

6  次の各号に掲げる行為については、第一項から第三項までの規定は、適用しない。
一  非常災害のために必要な応急措置として行なう行為

二  自然環境保全地域に関する保全事業の執行として行なう行為

三  法令に基づいて国又は地方公共団体が行なう行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの

四  通常の管理行為又は軽易な行為のうち、自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの

五  自然環境保全地域が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為

(報告及び検査等)
第二十九条  環境大臣は、自然環境保全地域における自然環境の保全のために必要な限度において、第二十五条第四項、第二十六条第三項第六号若しくは第二十七条第三項の許可を受けた者若しくは前条第二項の規定により行為を制限され、若しくは必要な措置をとるべき旨を命ぜられた者に対し、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め、又はその職員に、自然環境保全地域の区域内の土地若しくは建物内に立ち入り、第二十五条第四項各号、第二十六条第三項本文、第二十七条第三項各号若しくは前条第一項各号に掲げる行為の実施状況を検査させ、若しくはこれらの行為の自然環境に及ぼす影響を調査させることができる。

2  前項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3  第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(準用)
第三十条  第十八条の規定は自然環境保全地域の区域内における行為に対する命令について、第二十一条の規定は当該区域内において国の機関又は地方公共団体が行なう行為について、それぞれ準用する。この場合において、第十八条第一項中「前条第一項の規定に違反し、又は同条第二項の規定により許可に附せられた条件」とあるのは「第二十五条第四項、第二十六条第三項若しくは第二十七条第三項の規定に違反し、若しくは第二十五条第五項、第二十六条第四項若しくは第二十七条第四項において準用する第十七条第二項の規定により許可に附せられた条件に違反した者、第二十八条第一項の規定による届出をせず、同項各号に掲げる行為をした者又は同条第二項の規定による処分」と、第二十一条第一項中「第十七条第一項ただし書又は第十九条第三項第五号」とあるのは「第二十五条第四項、第二十六条第三項第六号又は第二十七条第三項」と、同条第二項中「第十七条第三項」とあるのは「第二十五条第七項、第二十七条第六項又は第二十八条第一項」と、「したとき」とあるのは「したとき、又はしようとするとき」と、「同項」とあるのは「これら」と読み替えるものとする。

    第三節 雑則
(実地調査)
第三十一条  環境大臣は自然環境保全地域の指定若しくはその区域の拡張、自然環境保全地域に関する保全計画の決定若しくは変更又は自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、環境大臣以外の国の機関又は地方公共団体の長は自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、実地調査のため必要があるときは、それぞれその職員に、他人の土地に立ち入り、標識を設置させ、測量させ、又は実地調査の障害となる木竹若しくはかき、さく等を伐採させ、若しくは除去させることができる。ただし、他の法律に実地調査に関する規定があるときは、当該規定の定めるところによる。

2  国の機関又は地方公共団体の長は、その職員に前項の規定による行為をさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者(所有者の住所が明らかでないときは、その占有者。以下この条において同じ。)及び占有者並びに木竹又はかき、さく等の所有者にその旨を通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。

3  第一項の職員は、日出前及び日没後においては、宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入つてはならない。

4  第一項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

5  土地の所有者若しくは占有者又は木竹若しくはかき、さく等の所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りその他の行為を拒み、又は妨げてはならない。

(公害等調整委員会の裁定)
第三十二条  第二十五条第四項、第二十七条第三項又は第二十八条第二項の規定による環境大臣の処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に裁定を申請することができる。この場合には、行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。

2  行政不服審査法第十八条 の規定は、前項の処分につき、処分庁が誤つて審査請求又は異議申立てをすることができる旨を教示した場合に準用する。

(損失の補償)
第三十三条  国は、第二十五条第四項、第二十六条第三項第六号若しくは第二十七条第三項の許可を得ることができないため、第二十五条第五項、第二十六条第四項若しくは第二十七条第四項において準用する第十七条第二項の規定により許可に条件を附せられたため、又は第二十八条第二項の規定による処分を受けたため損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

2  前項の補償を受けようとする者は、環境大臣にこれを請求しなければならない。

3  環境大臣は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。

4  国は自然環境保全地域の指定若しくはその区域の拡張、自然環境保全地域に関する保全計画の決定若しくは変更又は国が行なう自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、地方公共団体は当該地方公共団体が行なう自然環境保全地域に関する保全事業の執行に関し、第三十一条第一項の規定による当該職員の行為によつて損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

5  第二項及び第三項の規定は、前項の規定による損失の補償について準用する。この場合において、第二項及び第三項中「環境大臣」とあるのは、「第三十一条第一項に規定する実地調査に関する事務を所掌する大臣又は地方公共団体の長」と読み替えるものとする。

(訴えの提起)
第三十四条  前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による決定に不服がある者は、その通知を受けた日から六月以内に訴えをもつて補償すべき金額の増額を請求することができる。

2  前項の訴えにおいては、国又は地方公共団体を被告とする。

(配慮)
第三十五条  自然環境保全地域に関する規定の適用に当たつては、当該地域に係る住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮しなければならない。

   第五章 雑則
(保全事業の執行に要する費用)
第三十六条  保全事業(原生自然環境保全地域に関する保全事業及び自然環境保全地域に関する保全事業をいう。以下同じ。)の執行に要する費用は、その保全事業を執行する者の負担とする。

(原因者負担)
第三十七条  国又は地方公共団体は、他の工事又は他の行為により保全事業の執行が必要となつた場合においては、その原因となつた工事又は行為について費用を負担する者に、その保全事業の執行が必要となつた限度において、その費用の全部又は一部を負担させることができる。

(受益者負担)
第三十八条  国又は地方公共団体は、保全事業の執行により著しく利益を受ける者がある場合においては、その者に、その受益の限度において、その保全事業の執行に要する費用の一部を負担させることができる。

(負担金の徴収方法等)
第三十九条  前二条の規定による負担金の徴収方法その他負担金に関して必要な事項は、政令又は条例で定める。

(負担金の強制徴収)
第四十条  第三十七条又は第三十八条の規定による負担金を納付しない者があるときは、環境大臣又は当該地方公共団体の長は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。

2  前項の場合においては、環境大臣は環境省令で定めるところにより、当該地方公共団体の長は条例で定めるところにより、延滞金を徴収することができる。ただし、延滞金は、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額をこえない範囲内で定めなければならない。

3  環境大臣又は地方公共団体の長は、第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該負担金が国の収入となる場合にあつては国税の、地方公共団体の収入となる場合にあつては地方税の滞納処分の例により、前二項に規定する負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

4  延滞金は、負担金に先だつものとする。

(国の補助)
第四十一条  国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、保全事業を執行する都道府県に対して、その保全事業の執行に要する費用の一部を補助することができる。

(適用除外)
第四十二条  第三十六条から前条までの規定は、保全事業のうち他の法律にその執行に要する費用に関して別段の規定がある事業については、適用しない。

(協議)
第四十三条  環境大臣は、原生自然環境保全地域、自然環境保全地域、立入制限地区、特別地区、野生動植物保護地区若しくは海中特別地区の指定若しくはその区域の拡張をしようとするとき、原生自然環境保全地域に関する保全計画若しくは自然環境保全地域に関する保全計画の決定若しくは変更をしようとするとき、又は第二十五条第六項若しくは第二十七条第五項の環境省令を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

2  環境大臣以外の国の機関は、保全事業を執行しようとするときは、環境大臣に協議しなければならない。

(権限の委任)
第四十四条  この法律に規定する環境大臣の権限は、環境省令で定めるところにより、地方環境事務所長に委任することができる。

   第六章 都道府県自然環境保全地域及び都道府県における自然環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関
(都道府県自然環境保全地域の指定)
第四十五条  都道府県は、条例で定めるところにより、その区域における自然環境が自然環境保全地域に準ずる土地の区域で、その区域の周辺の自然的社会的諸条件からみて当該自然環境を保全することが特に必要なものを都道府県自然環境保全地域として指定することができる。

2  自然公園法第二条第一号 に規定する自然公園の区域は、都道府県自然環境保全地域の区域に含まれないものとする。

(保全)
第四十六条  都道府県は、都道府県自然環境保全地域における自然環境を保全するため、条例で定めるところにより、その区域内に特別地区(野生動植物保護地区を含む。)を指定し、かつ、特別地区(野生動植物保護地区を含む。)内及び都道府県自然環境保全地域の区域のうち特別地区に含まれない区域内における行為につき、それぞれ自然環境保全地域の特別地区(野生動植物保護地区を含む。)又は普通地区における行為に関する第四章第二節の規定による規制の範囲内において必要な規制を定めることができる。この場合においては、当該地域に係る住民の農林漁業等の生業の安定及び福祉の向上に配慮しなければならない。

2  都道府県は、前項の規定に基づく条例で第十八条第一項の権限に相当する都道府県知事の権限を定めた場合においては、当該条例で、都道府県知事が同条第二項及び第三項の規定の例によりその職員にその権限の一部を行なわせることができる旨を定めることができる。

3  第三十二条の規定は、第一項の規定に基づく条例の規定による処分に対する不服について準用する。

(実地調査)
第四十七条  都道府県は、条例で、都道府県自然環境保全地域に関し実地調査のため必要がある場合に、都道府県知事が第三十一条の規定の例によりその職員に他人の土地に立ち入り、同条第一項に規定する標識の設置その他の行為をさせることができる旨を定めることができる。

(損失の補償)
第四十八条  都道府県は、第四十六条第一項の規定に基づく条例の規定による処分又は前条の規定に基づく条例の規定による当該職員の行為によつて損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

(協議等)
第四十九条  都道府県は、都道府県自然環境保全地域の特別地区(野生動植物保護地区を含む。)の指定又はその区域の拡張をしようとするときは、その区域に係る自然環境の保全に関する計画を添えて、環境大臣に協議しなければならない。

2  環境大臣は、前項の規定による協議を受けたときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

3  都道府県が第四十六条第一項の規定に基づく条例で都道府県自然環境保全地域の区域内における行為につき規制を定めた場合における国の機関又は地方公共団体が行なう行為に関する特例については、第三十条において準用する第二十一条の規定の例による。

(報告、助言又は勧告)
第五十条  環境大臣は、都道府県に対し、都道府県自然環境保全地域に関し、必要な報告を求めることができる。
2  環境大臣は、都道府県に対し、都道府県自然環境保全地域の行政又は技術に関し、必要な助言又は勧告をすることができる。

(都道府県における自然環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関)
第五十一条  都道府県に、都道府県における自然環境の保全に関する審議会その他の合議制の機関を置く。

2  前項の審議会その他の合議制の機関は、温泉法 (昭和二十三年法律第百二十五号)及び鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、都道府県知事の諮問に応じ、当該都道府県における自然環境の保全に関する重要事項を調査審議する。

3  第一項の審議会その他の合議制の機関の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。

   第七章 補則
(地方債についての配慮)
第五十二条  都道府県が自然環境の保全を図るために行なう事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該都道府県の財政状況が許す限り、適切な配慮をするものとする。

   第八章 罰則
第五十三条  次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一  第十七条第一項の規定に違反した者

二  第十八条第一項又は第二項(これらの規定を第三十条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

第五十四条  次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一  第十七条第二項(第二十五条第五項、第二十六条第四項及び第二十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定により許可に付せられた条件に違反した者

二  第十九条第三項、第二十五条第四項、第二十六条第三項又は第二十七条第三項の規定に違反した者

第五十五条  第二十八条第二項の規定による処分に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第五十六条  次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

一  第二十条又は第二十九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

二  第二十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

三  第二十八条第四項の規定に違反した者

四  第二十九条第一項の規定による立入検査又は立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者

五  第三十一条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入りその他の行為を拒み、又は妨げた者

第五十七条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第五十三条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。

第五十八条  第四十六条第一項又は第四十七条の規定に基づく条例には、その条例に違反した者に対して、その違反行為の態様に応じ、それぞれ、第五十三条から前条までに定める処罰の程度をこえない限度において、刑を科する旨の規定を設けることができる。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47HO085.html







自然公園法
(昭和三十二年六月一日法律第百六十一号)最終改正:平成二一年六月三日法律第四七号

 第一章 総則(第一条―第四条)
 第二章 国立公園及び国定公園
  第一節 指定(第五条・第六条)
  第二節 公園計画及び公園事業(第七条―第十二条)
  第三節 保護及び利用(第十三条―第三十条)
  第四節 風景地保護協定(第三十一条―第三十六条)
  第五節 公園管理団体(第三十七条―第四十二条)
  第六節 費用(第四十三条―第四十九条)
  第七節 雑則(第五十条―第五十八条)
 第三章 都道府県立自然公園(第五十九条―第六十八条)
 第四章 罰則(第六十九条―第七十六条)
 附則

   第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、もつて国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  自然公園 国立公園、国定公園及び都道府県立自然公園をいう。

二  国立公園 我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地(海中の景観地を含む。第二章第四節及び第六十一条を除き、以下同じ。)であつて、環境大臣が第五条第一項の規定により指定するものをいう。

三  国定公園 国立公園に準ずる優れた自然の風景地であつて、環境大臣が第五条第二項の規定により指定するものをいう。

四  都道府県立自然公園 優れた自然の風景地であつて、都道府県が第五十九条の規定により指定するものをいう。

五  公園計画 国立公園又は国定公園の保護又は利用のための規制又は施設に関する計画をいう。

六  公園事業 公園計画に基づいて執行する事業であつて、国立公園又は国定公園の保護又は利用のための施設で政令で定めるものに関するものをいう。

(国等の責務)
第三条  国、地方公共団体、事業者及び自然公園の利用者は、環境基本法 (平成五年法律第九十一号)第三条 から第五条 までに定める環境の保全についての基本理念にのつとり、優れた自然の風景地の保護とその適正な利用が図られるように、それぞれの立場において努めなければならない。

2  国及び地方公共団体は、自然公園に生息し、又は生育する動植物の保護が自然公園の風景の保護に重要であることにかんがみ、自然公園における生態系の多様性の確保その他の生物の多様性の確保を旨として、自然公園の風景の保護に関する施策を講ずるものとする。

(財産権の尊重及び他の公益との調整)
第四条  この法律の適用に当たつては、自然環境保全法 (昭和四十七年法律第八十五号)第三条 で定めるところによるほか、関係者の所有権、鉱業権その他の財産権を尊重するとともに、国土の開発その他の公益との調整に留意しなければならない。

   第二章 国立公園及び国定公園
    第一節 指定
(指定)
第五条  国立公園は、環境大臣が、関係都道府県及び中央環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴き、区域を定めて指定する。

2  国定公園は、環境大臣が、関係都道府県の申出により、審議会の意見を聴き、区域を定めて指定する。

3  環境大臣は、国立公園又は国定公園を指定する場合には、その旨及びその区域を官報で公示しなければならない。

4  国立公園又は国定公園の指定は、前項の公示によつてその効力を生ずる。

(指定の解除及び区域の変更)
第六条  環境大臣は、国立公園の指定を解除し、又はその区域を変更しようとするときは、関係都道府県及び審議会の意見を聴かなければならない。

2  環境大臣は、国定公園の指定を解除し、又はその区域を変更しようとするときは、関係都道府県及び審議会の意見を聴かなければならない。ただし、その区域を拡張するには、関係都道府県の申出によらなければならない。

3  前条第三項及び第四項の規定は、国立公園又は国定公園の指定の解除及びその区域の変更について準用する。

    第二節 公園計画及び公園事業

(公園計画及び公園事業の決定)
第七条  国立公園に関する公園計画は、環境大臣が、関係都道府県及び審議会の意見を聴いて決定する。

2  国立公園に関する公園事業は、環境大臣が、審議会の意見を聴いて決定する。

3  国定公園に関する公園計画は、環境大臣が、関係都道府県の申出により、審議会の意見を聴いて決定する。

4  国定公園に関する公園事業は、都道府県知事が決定する。

5  環境大臣は、公園計画又は公園事業を決定したときは、その概要を公示しなければならない。

6  都道府県知事は、公園事業を決定したときは、その概要を公示しなければならない。

(公園計画及び公園事業の廃止及び変更)
第八条  環境大臣は、国立公園に関する公園計画を廃止し、又は変更しようとするときは、関係都道府県及び審議会の意見を聴かなければならない。

2  環境大臣は、国立公園に関する公園事業を廃止し、又は変更しようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。

3  環境大臣は、国定公園に関する公園計画を廃止し、又は変更しようとするときは、関係都道府県及び審議会の意見を聴かなければならない。ただし、その公園計画を追加するには、関係都道府県の申出によらなければならない。

4  前条第五項の規定は環境大臣が公園計画又は公園事業を廃止し、又は変更したときについて、同条第六項の規定は都道府県知事が公園事業を廃止し、又は変更したときについて準用する。

(国立公園の公園事業の執行)
第九条  国立公園に関する公園事業は、国が執行する。

2  地方公共団体及び政令で定めるその他の公共団体(以下「公共団体」という。)は、環境大臣に協議し、その同意を得て、国立公園に関する公園事業の一部を執行することができる。

3  国及び公共団体以外の者は、環境大臣の認可を受けて、国立公園に関する公園事業の一部を執行することができる。

(国定公園の公園事業の執行)
第十条  国定公園に関する公園事業は、都道府県が執行する。ただし、道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)その他他の法律の定めるところにより、国が道路に係る事業その他の事業を執行することを妨げない。

2  都道府県以外の公共団体は、都道府県知事に協議し、その同意を得て、国定公園に関する公園事業の一部を執行することができる。

3  国及び公共団体以外の者は、都道府県知事の認可を受けて、国定公園に関する公園事業の一部を執行することができる。

(協議の手続等)
第十一条  第九条第二項及び前条第二項の規定による協議並びに第九条第三項及び前条第三項の認可の手続並びに第九条第二項及び前条第二項の同意を得て又は当該認可を受けて行う公園事業の執行に関して必要な事項は、政令で定める。

(清潔の保持)
第十二条  国又は地方公共団体は、国立公園又は国定公園内の道路、広場、キャンプ場、スキー場、水泳場その他の公共の場所について、必要があると認めるときは、当該公共の場所の管理者と協力して、その清潔を保持するものとする。

    第三節 保護及び利用
(特別地域)
第十三条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風致を維持するため、公園計画に基づいて、その区域(海面を除く。)内に、特別地域を指定することができる。

2  第五条第三項及び第四項の規定は、特別地域の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。この場合において、同条第三項中「環境大臣」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事」と、「官報」とあるのは「それぞれ官報又は都道府県の公報」と読み替えるものとする。

3   特別地域(特別保護地区を除く。以下この条において同じ。)内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、当該特別地域が指定され、若しくはその区域が拡張された際既に着手していた行為(第五号に掲げる行為を除く。)若しくは同号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際既に着手していた同号に掲げる行為若しくは第七号に規定する物が指定された際既に着手していた同号に掲げる行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。

一  工作物を新築し、改築し、又は増築すること。

二  木竹を伐採すること。

三  鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。

四  河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。

五  環境大臣が指定する湖沼又は湿原及びこれらの周辺一キロメートルの区域内において当該湖沼若しくは湿原又はこれらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。

六  広告物その他これに類する物を掲出し、若しくは設置し、又は広告その他これに類するものを工作物等に表示すること。

七  屋外において土石その他の環境大臣が指定する物を集積し、又は貯蔵すること。

八  水面を埋め立て、又は干拓すること。

九  土地を開墾しその他土地の形状を変更すること。

十  高山植物その他の植物で環境大臣が指定するものを採取し、又は損傷すること。

十一  山岳に生息する動物その他の動物で環境大臣が指定するもの(以下この号において「指定動物」という。)を捕獲し、若しくは殺傷し、又は指定動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。

十二  屋根、壁面、塀、橋、鉄塔、送水管その他これらに類するものの色彩を変更すること。

十三  湿原その他これに類する地域のうち環境大臣が指定する区域内へ当該区域ごとに指定する期間内に立ち入ること。

十四  道路、広場、田、畑、牧場及び宅地以外の地域のうち環境大臣が指定する区域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。

十五  前各号に掲げるもののほか、特別地域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

4  環境大臣又は都道府県知事は、前項各号に掲げる行為で環境省令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

5  都道府県知事は、国定公園について第三項の許可をしようとする場合において、当該許可に係る行為が当該国定公園の風致に及ぼす影響その他の事情を考慮して環境省令で定める行為に該当するときは、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

6  特別地域が指定され、若しくはその区域が拡張された際当該特別地域内において第三項各号に掲げる行為(同項第五号に掲げる行為を除く。)又は同項第五号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際同号に規定する区域内において同号に掲げる行為若しくは同項第七号に規定する物が指定された際同号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して三月以内に、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

7  特別地域内において非常災害のために必要な応急措置として第三項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

8  特別地域内において木竹を植栽し、又は家畜を放牧しようとする者は、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

9  次に掲げる行為については、第三項及び前三項の規定は、適用しない。

一  公園事業の執行として行う行為

二  第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの

三  通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの

(特別保護地区)
第十四条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の景観を維持するため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に特別保護地区を指定することができる。

2  第五条第三項及び第四項の規定は、特別保護地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。この場合において、同条第三項中「環境大臣」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事」と、「官報」とあるのは「それぞれ官報又は都道府県の公報」と読み替えるものとする。

3  特別保護地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、当該特別保護地区が指定され、若しくはその区域が拡張された際既に着手していた行為(前条第三項第五号に掲げる行為を除く。)若しくは同号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際既に着手していた同号に掲げる行為又は非常災害のために必要な応急措置として行う行為は、この限りでない。

一  前条第三項第一号から第六号まで、第八号、第九号、第十二号及び第十三号に掲げる行為
二  木竹を損傷すること。
三  木竹を植栽すること。
四  家畜を放牧すること。
五  屋外において物を集積し、又は貯蔵すること。
六  火入れ又はたき火をすること。
七  木竹以外の植物を採取し、若しくは損傷し、又は落葉若しくは落枝を採取すること。
八  動物を捕獲し、若しくは殺傷し、又は動物の卵を採取し、若しくは損傷すること。
九  道路及び広場以外の地域内において車馬若しくは動力船を使用し、又は航空機を着陸させること。
十  前各号に掲げるもののほか、特別保護地区における景観の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの

4  環境大臣又は都道府県知事は、前項各号に掲げる行為で環境省令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

5  都道府県知事は、国定公園について第三項の許可をしようとする場合において、当該許可に係る行為が当該国定公園の景観に及ぼす影響その他の事情を考慮して環境省令で定める行為に該当するときは、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

6  特別保護地区が指定され、若しくはその区域が拡張された際当該特別保護地区内において第三項各号に掲げる行為(前条第三項第五号に掲げる行為を除く。)又は同条第三項第五号に規定する湖沼若しくは湿原が指定された際同号に規定する区域内において同号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して三月以内に、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

7  特別保護地区内において非常災害のために必要な応急措置として第三項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

8  次に掲げる行為については、第三項及び前二項の規定は、適用しない。
一  公園事業の執行として行う行為
二  第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの
三  通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの

(利用調整地区)
第十五条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風致又は景観の維持とその適正な利用を図るため、特に必要があるときは、公園計画に基づいて、特別地域内に利用調整地区を指定することができる。

2  第五条第三項及び第四項の規定は、利用調整地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。この場合において、同条第三項中「環境大臣」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事」と、「官報」とあるのは「それぞれ官報又は都道府県の公報」と読み替えるものとする。

3  何人も、環境大臣が定める期間内は、次条第一項の認定を受けてする立入りに該当する場合を除き、利用調整地区の区域内に立ち入つてはならない。ただし、次の各号に掲げる場合は、この限りでない。

一  第十三条第三項若しくは前条第三項の許可を受けた行為(第五十六条第一項後段の規定による協議に係る行為を含む。)又は第十三条第六項若しくは第八項若しくは前条第六項の届出をした行為(第五十六条第三項の規定による通知に係る行為を含む。)を行うために立ち入る場合
二  非常災害のために必要な応急措置を行うために立ち入る場合
三  公園事業を執行するために立ち入る場合
四  第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うものを行うために立ち入る場合
五  通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるものを行うために立ち入る場合
六  前各号に掲げるもののほか、環境大臣又は都道府県知事がやむを得ない事由があると認めて許可した場合

(立入りの認定)
第十六条  国立公園又は国定公園の利用者は、利用調整地区の区域内へ前条第三項に規定する期間内に立ち入ろうとするときは、次の各号のいずれにも適合していることについて、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の認定を受けなければならない。
一  国立公園又は国定公園を利用する目的で立ち入るものであること。
二  風致又は景観の維持とその適正な利用に支障を及ぼすおそれがないものとして、環境省令で定める基準に適合するものであること。

2  前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に認定の申請をしなければならない。

3  環境大臣又は都道府県知事は、第一項の認定の申請に係る立入りが同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。

4  環境大臣又は都道府県知事は、第一項の認定をしたときは、環境省令で定めるところにより、立入認定証を交付しなければならない。

5  第一項の認定を受けた者は、前項の立入認定証を亡失し、又はその立入認定証が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に申請をして、その立入認定証の再交付を受けることができる。

6  第一項の認定を受けた者は、当該利用調整地区の区域内に立ち入るときは、第四項の立入認定証を携帯しなければならない。

(指定認定機関)
第十七条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、その指定する者(以下「指定認定機関」という。)に、前条に規定する環境大臣又は都道府県知事の事務(以下「認定関係事務」という。)の全部又は一部を行わせることができる。

2  指定認定機関の指定(以下第二十一条までにおいて単に「指定」という。)は、認定関係事務を行おうとする者の申請により行う。

3  次の各号のいずれかに該当する者は、指定を受けることができない。
一  未成年者、成年被後見人又は被保佐人
二  破産者で復権を得ないもの
三  禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくは自然環境保全法 の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
四  第二十一条第二項又は第三項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
五  法人であつて、その役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの

4  環境大臣又は都道府県知事は、指定をしたときは、指定に係る利用調整地区に関する認定関係事務を行わないものとする。

5  環境大臣又は都道府県知事は、指定をしたときは、その旨をそれぞれ官報又は都道府県の公報で公示しなければならない。

6  指定認定機関がその認定関係事務を行う場合における前条の規定の適用については、同条第一項中「国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事」とあり、同条第二項及び第五項中「国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事」とあり、並びに同条第三項及び第四項中「環境大臣又は都道府県知事」とあるのは、「指定認定機関」とする。

(指定の基準)
第十八条  環境大臣又は都道府県知事は、前条第二項の申請に係る利用調整地区につき他に指定認定機関の指定を受けた者がなく、かつ、当該申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、指定をしてはならない。

一  職員、認定関係事務の実施の方法その他の事項についての認定関係事務の実施に関する計画が、認定関係事務の適確な実施のために適切なものであること。

二  前号の認定関係事務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有するものであること。

三  認定関係事務以外の業務を行つている場合には、その業務を行うことによつて認定関係事務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。

四  前三号に定めるもののほか、認定関係事務を公正かつ適確に行うことができるものであること。

(指定認定機関の遵守事項)
第十九条  指定認定機関は、その認定関係事務の開始前に、環境省令で定めるところにより、その認定関係事務の実施に関する規程を定め、環境大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2  指定認定機関は、毎事業年度の事業計画及び収支予算を作成し、その事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあつては、指定を受けた後遅滞なく)環境大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

3  指定認定機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、環境大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。

4  指定認定機関は、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けなければ、その認定関係事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

5  環境大臣又は都道府県知事は、指定認定機関が前項の許可を受けてその認定関係事務の全部若しくは一部を休止したとき、又は指定認定機関が天災その他の事由によりその認定関係事務の全部若しくは一部を実施することが困難となつた場合において必要があると認めるときは、その認定関係事務の全部又は一部を自ら行うものとする。

6  環境大臣若しくは都道府県知事が前項の規定により認定関係事務の全部若しくは一部を自ら行う場合、指定認定機関が第四項の許可を受けてその認定関係事務の全部若しくは一部を廃止する場合又は環境大臣若しくは都道府県知事が第二十一条第二項若しくは第三項の規定により指定を取り消した場合における認定関係事務の引継ぎその他の必要な事項は、環境省令で定める。

(秘密保持義務等)
第二十条  指定認定機関(その者が法人である場合にあつては、その役員。次項において同じ。)及びその職員並びにこれらの者であつた者は、認定関係事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用してはならない。

2  指定認定機関及びその職員で認定関係事務に従事する者は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

(指定認定機関に対する監督命令等)
第二十一条  環境大臣又は都道府県知事は、第十六条から第二十三条までの規定の施行に必要な限度において、指定認定機関に対し、認定関係事務に関し監督上必要な命令をすることができる。

2  環境大臣又は都道府県知事は、指定認定機関が第十七条第三項各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、指定を取り消さなければならない。

3  環境大臣又は都道府県知事は、指定認定機関が第十九条の規定に違反したとき、同条第一項の規程によらないでその認定関係事務を実施したとき、第一項の規定による命令に違反したとき、その他その認定関係事務を適正かつ確実に実施することができないと認めるときは、指定を取り消すことができる。

4  第十七条第五項の規定は、前二項の規定による指定の取消しについて準用する。

(報告徴収及び立入検査)
第二十二条  環境大臣又は都道府県知事は、第十六条から第二十三条までの規定の施行に必要な限度において、指定認定機関に対し、その認定関係事務に関し報告を求め、又はその職員に、指定認定機関の事務所に立ち入り、指定認定機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2  前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3  第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(手数料)
第二十三条  国立公園について第十六条第一項の認定又は同条第五項の立入認定証の再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(指定認定機関が認定関係事務を行う場合にあつては、指定認定機関)に納めなければならない。

2  都道府県は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百二十七条 の規定に基づき第十六条第一項 の認定又は同条第五項 の立入認定証の再交付に係る手数料を徴収する場合においては、第十七条の規定により指定認定機関が行う認定又は立入認定証の再交付を受けようとする者に、条例で定めるところにより、当該手数料を当該指定認定機関に納めさせることができる。

3  前二項の規定により指定認定機関に納められた手数料は、当該指定認定機関の収入とする。

(海中公園地区)
第二十四条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の海中の景観を維持するため、公園計画に基づいて、その区域の海面内に、海中公園地区を指定することができる。

2  第五条第三項及び第四項の規定は、海中公園地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。この場合において、同条第三項中「環境大臣」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事」と、「官報」とあるのは「それぞれ官報又は都道府県の公報」と読み替えるものとする。

3  海中公園地区内においては、次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、当該海中公園地区が指定され、若しくはその区域が拡張された際既に着手していた行為、非常災害のために必要な応急措置として行う行為又は第一号、第四号及び第五号に掲げる行為で漁具の設置その他漁業を行うために必要とされるものは、この限りでない。
一  第十三条第三項第一号、第三号及び第六号に掲げる行為
二  熱帯魚、さんご、海藻その他これらに類する動植物で、国立公園又は国定公園ごとに環境大臣が農林水産大臣の同意を得て指定するものを捕獲し、若しくは殺傷し、又は採取し、若しくは損傷すること。
三  海面を埋め立て、又は干拓すること。
四  海底の形状を変更すること。
五  物を係留すること。
六  汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。

4  環境大臣又は都道府県知事は、前項各号に掲げる行為で環境省令で定める基準に適合しないものについては、同項の許可をしてはならない。

5  都道府県知事は、国定公園について第三項の許可をしようとする場合において、当該許可に係る行為が当該国定公園の海中の景観に及ぼす影響その他の事情を考慮して環境省令で定める行為に該当するときは、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

6  海中公園地区が指定され、又はその区域が拡張された際当該海中公園地区内において第三項各号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して三月以内に、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

7  海中公園地区内において非常災害のために必要な応急措置として第三項各号に掲げる行為をした者は、その行為をした日から起算して十四日以内に、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

8  次に掲げる行為については、第三項及び前二項の規定は、適用しない。
一  公園事業の執行として行う行為
二  通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの

(条件)
第二十五条  第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項第六号及び前条第三項の許可には、国立公園又は国定公園の風致又は景観を保護するために必要な限度において、条件を付することができる。

(普通地域)
第二十六条  国立公園又は国定公園の区域のうち特別地域及び海中公園地区に含まれない区域(以下「普通地域」という。)内において、次に掲げる行為をしようとする者は、国立公園にあつては環境大臣に対し、国定公園にあつては都道府県知事に対し、環境省令で定めるところにより、行為の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を届け出なければならない。ただし、第一号、第三号、第五号及び第七号に掲げる行為で海面内において漁具の設置その他漁業を行うために必要とされるものをしようとする者は、この限りでない。

一  その規模が環境省令で定める基準を超える工作物を新築し、改築し、又は増築すること(改築又は増築後において、その規模が環境省令で定める基準を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)。
二  特別地域内の河川、湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること。
三  広告物その他これに類する物を掲出し、若しくは設置し、又は広告その他これに類するものを工作物等に表示すること。
四  水面を埋め立て、又は干拓すること。
五  鉱物を掘採し、又は土石を採取すること(海面内においては、海中公園地区の周辺一キロメートルの当該海中公園地区に接続する海面内においてする場合に限る。)。
六  土地の形状を変更すること。
七  海底の形状を変更すること(海中公園地区の周辺一キロメートルの当該海中公園地区に接続する海面内においてする場合に限る。)。

2  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風景を保護するために必要があると認めるときは、普通地域内において前項の規定により届出を要する行為をしようとする者又はした者に対して、その風景を保護するために必要な限度において、当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

3  前項の処分は、第一項の届出をした者に対しては、その届出があつた日から起算して三十日以内に限り、することができる。

4  環境大臣又は都道府県知事は、第一項の届出があつた場合において、実地の調査をする必要があるとき、その他前項の期間内に第二項の処分をすることができない合理的な理由があるときは、その理由が存続する間、前項の期間を延長することができる。この場合においては、同項の期間内に、第一項の届出をした者に対し、その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。

5  第一項の届出をした者は、その届出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ、当該届出に係る行為に着手してはならない。

6  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の風景の保護に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項の期間を短縮することができる。

7  次の各号に掲げる行為については、第一項及び第二項の規定は、適用しない。
一  公園事業の執行として行う行為
二  第三十一条第一項の規定により締結された風景地保護協定に基づいて同項第一号の風景地保護協定区域内で行う行為であつて、同項第二号又は第三号に掲げる事項に従つて行うもの
三  通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、環境省令で定めるもの
四  国立公園、国定公園若しくは海中公園地区が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手していた行為
五  非常災害のために必要な応急措置として行う行為

(中止命令等)
第二十七条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の保護のために必要があると認めるときは、第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項若しくは第二十四条第三項の規定、第二十五条の規定により許可に付せられた条件又は前条第二項の規定による処分に違反した者に対して、その保護のために必要な限度において、その行為の中止を命じ、又はこれらの者若しくはこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物若しくは物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

2  前項の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置(以下「原状回復等」という。)を命じようとする場合において、過失がなくて当該原状回復等を命ずべき者を確知することができないときは、環境大臣又は都道府県知事は、その者の負担において、当該原状回復等を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該原状回復等を行うべき旨及びその期限までに当該原状回復等を行わないときは、環境大臣若しくは都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が当該原状回復等を行う旨をあらかじめ公告しなければならない。

3  前項の規定により原状回復等を行おうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

(報告の徴収及び立入検査)
第二十八条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の保護のために必要があると認めるときは、第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項第六号若しくは第二十四条第三項の規定による許可を受けた者又は第二十六条第二項の規定により行為を制限され、若しくは必要な措置を執るべき旨を命ぜられた者に対して、当該行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

2  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項第六号、第二十四条第三項、第二十六条第二項又は前条の規定による処分をするために必要があると認めるときは、その必要な限度において、当該職員をして、当該公園の区域内の土地若しくは建物内に立ち入らせ、又は第十三条第三項各号、第十四条第三項各号、第十五条第三項第六号、第二十四条第三項各号若しくは第二十六条第一項各号に掲げる行為の実施状況を検査させ、又はこれらの行為の風景に及ぼす影響を調査させることができる。

3  前項に規定する職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

4  第一項及び第二項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(集団施設地区)
第二十九条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、当該公園の利用のための施設を集団的に整備するため、公園計画に基づいて、その区域内に集団施設地区を指定するものとする。

2  第五条第三項及び第四項の規定は、集団施設地区の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について準用する。この場合において、同条第三項中「環境大臣」とあるのは「環境大臣又は都道府県知事」と、「官報」とあるのは「それぞれ官報又は都道府県の公報」と読み替えるものとする。

(利用のための規制)
第三十条  国立公園又は国定公園の特別地域、海中公園地区又は集団施設地区内においては、何人も、みだりに次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一  当該国立公園又は国定公園の利用者に著しく不快の念を起こさせるような方法で、ごみその他の汚物又は廃物を捨て、又は放置すること。
二  著しく悪臭を発散させ、拡声機、ラジオ等により著しく騒音を発し、展望所、休憩所等をほしいままに占拠し、嫌悪の情を催させるような仕方で客引きをし、その他当該国立公園又は国定公園の利用者に著しく迷惑をかけること。

2  国又は都道府県の当該職員は、特別地域、海中公園地区又は集団施設地区内において前項第二号に掲げる行為をしている者があるときは、その行為をやめるべきことを指示することができる。

3  前項に規定する職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

    第四節 風景地保護協定

(風景地保護協定の締結等)
第三十一条  環境大臣若しくは地方公共団体又は第三十七条第一項の規定により指定された公園管理団体で第三十八条第一号に掲げる業務のうち風景地保護協定に基づく自然の風景地の管理に関するものを行うものは、国立公園又は国定公園内の自然の風景地の保護のため必要があると認めるときは、当該公園の区域(海面を除く。)内の土地又は木竹の所有者又は使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者(以下「土地の所有者等」と総称する。)と次に掲げる事項を定めた協定(以下「風景地保護協定」という。)を締結して、当該土地の区域内の自然の風景地の管理を行うことができる。

一  風景地保護協定の目的となる土地の区域(以下「風景地保護協定区域」という。)
二  風景地保護協定区域内の自然の風景地の管理の方法に関する事項
三  風景地保護協定区域内の自然の風景地の保護に関連して必要とされる施設の整備が必要な場合にあつては、当該施設の整備に関する事項
四  風景地保護協定の有効期間
五  風景地保護協定に違反した場合の措置

2  風景地保護協定については、風景地保護協定区域内の土地の所有者等の全員の合意がなければならない。

3  風景地保護協定の内容は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
一  自然の風景地の保護を図るために有効かつ適切なものであること。
二  土地及び木竹の利用を不当に制限するものでないこと。
三  第一項各号に掲げる事項について環境省令で定める基準に適合するものであること。

4  地方公共団体が風景地保護協定を締結しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に協議し、同意を得なければならない。ただし、国定公園について都道府県が当該都道府県の区域内の土地について風景地保護協定を締結する場合は、この限りでない。

5  第一項の公園管理団体が風景地保護協定を締結しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。

(風景地保護協定の縦覧等)
第三十二条  環境大臣、地方公共団体又は都道府県知事は、風景地保護協定を締結しようとするとき、又は前条第五項の規定による風景地保護協定の認可の申請があつたときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該風景地保護協定を当該公告の日から二週間関係者の縦覧に供さなければならない。

2  前項の規定による公告があつたときは、関係者は、同項の縦覧期間満了の日までに、当該風景地保護協定について、環境大臣、地方公共団体又は都道府県知事に意見書を提出することができる。

(風景地保護協定の認可)
第三十三条  環境大臣又は都道府県知事は、第三十一条第五項の規定による風景地保護協定の認可の申請が、次の各号のいずれにも該当するときは、当該風景地保護協定を認可しなければならない。
一  申請手続が法令に違反しないこと。
二  風景地保護協定の内容が、第三十一条第三項各号に掲げる基準に適合するものであること。

(風景地保護協定の公告等)
第三十四条  環境大臣、地方公共団体又は都道府県知事は、風景地保護協定を締結し、又は前条の認可をしたときは、環境省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、当該風景地保護協定の写しを公衆の縦覧に供するとともに、風景地保護協定区域である旨を当該区域内に明示しなければならない。

(風景地保護協定の変更)
第三十五条  第三十一条第二項から第五項まで及び前三条の規定は、風景地保護協定において定めた事項の変更について準用する。

(風景地保護協定の効力)
第三十六条  第三十四条(前条において準用する場合を含む。)の規定による公告のあつた風景地保護協定は、その公告のあつた後において当該風景地保護協定区域内の土地の所有者等となつた者に対しても、その効力があるものとする。

    第五節 公園管理団体
(指定)
第三十七条  環境大臣は国立公園について、都道府県知事は国定公園について、国立公園又は国定公園内の自然の風景地の保護とその適正な利用を図ることを目的とする一般社団法人又は一般財団法人、特定非営利活動促進法 (平成十年法律第七号)第二条第二項 の特定非営利活動法人その他環境省令で定める法人であつて、次条各号に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、公園管理団体として指定することができる。

2  環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定による指定をしたときは、当該公園管理団体の名称、住所及び事務所の所在地をそれぞれ官報又は都道府県の公報で公示しなければならない。

3  公園管理団体は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

4  環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項をそれぞれ官報又は都道府県の公報で公示しなければならない。

(業務)
第三十八条  公園管理団体は、次に掲げる業務を行うものとする。
一  風景地保護協定に基づく自然の風景地の管理その他の自然の風景地の保護に資する活動を行うこと。
二  国立公園又は国定公園内の施設の補修その他の維持管理を行うこと。
三  国立公園又は国定公園の保護とその適正な利用の推進に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
四  国立公園又は国定公園の保護とその適正な利用の推進に関し必要な助言及び指導を行うこと。
五  国立公園又は国定公園の保護とその適正な利用の推進に関する調査及び研究を行うこと。
六  前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

(連携)
第三十九条  公園管理団体は、環境大臣及び地方公共団体との密接な連携の下に前条第一号に掲げる業務を行わなければならない。

(改善命令)
第四十条  環境大臣又は都道府県知事は、公園管理団体の業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、公園管理団体に対し、その改善に必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

(指定の取消し等)
第四十一条  環境大臣又は都道府県知事は、公園管理団体が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。

2  環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨をそれぞれ官報又は都道府県の公報で公示しなければならない。

(情報の提供等)
第四十二条  国及び地方公共団体は、公園管理団体に対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供又は指導及び助言を行うものとする。

    第六節 費用
(公園事業の執行に要する費用)
第四十三条  公園事業の執行に要する費用は、その公園事業を執行する者の負担とする。

(国の補助)
第四十四条  国は、予算の範囲内において、政令の定めるところにより、公園事業を執行する都道府県に対して、その公園事業の執行に要する費用の一部を補助することができる。

(地方公共団体の負担)
第四十五条  国が国立公園に関する公園事業を執行する場合において、当該公園事業の執行が特に地方公共団体を利するものであるときは、当該地方公共団体に、その受益の限度において、その執行に要する費用の一部を負担させることができる。

2  前項の規定により公園事業の執行に要する費用の一部を地方公共団体に負担させようとする場合においては、国は、当該地方公共団体の意見を聴かなければならない。

(受益者負担)
第四十六条  国又は地方公共団体は、公園事業の執行により著しく利益を受ける者がある場合においては、その者に、その受益の限度において、その公園事業の執行に要する費用の一部を負担させることができる。

(原因者負担)
第四十七条  国又は地方公共団体は、他の工事又は他の行為により公園事業の執行が必要となつた場合においては、その原因となつた工事又は行為について費用を負担する者に、その公園事業の執行が必要となつた限度において、その費用の全部又は一部を負担させることができる。

(負担金の徴収方法等)
第四十八条  前三条の規定による負担金の徴収方法その他負担金に関して必要な事項は、政令で定める。

(適用除外)
第四十九条  この節の規定は、公園事業のうち、道路法 による道路に係る事業及び他の法律にその執行に要する費用に関して別段の規定があるその他の事業については、適用しない。

    第七節 雑則
(実地調査)
第五十条  環境大臣は国立公園若しくは国定公園の指定、公園計画の決定若しくは公園事業の執行又は国立公園の公園事業の決定に関し、都道府県知事は国定公園の指定若しくはその区域の拡張に係る申出、公園計画の決定若しくは追加に係る申出若しくは公園事業の決定又は公園事業の執行に関し、環境大臣以外の国の機関は公園事業の執行に関し、実地調査のため必要があるときは、それぞれ当該職員をして、他人の土地に立ち入らせ、標識を設置させ、測量させ、又は実地調査の障害となる木竹若しくは垣、さく等を伐採させ、若しくは除去させることができる。ただし、道路法 その他他の法律に実地調査に関する規定があるときは、当該規定の定めるところによる。

2  国の機関又は都道府県知事は、当該職員をして前項の規定による行為をさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者(所有者の住所が明らかでないときは、その占有者。この条において以下同じ。)及び占有者並びに木竹又は垣、さく等の所有者にその旨を通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。

3  第一項の職員は、日出前及び日没後においては、宅地又は垣、さく等で囲まれた土地に立ち入つてはならない。

4  第一項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

5  土地の所有者若しくは占有者又は木竹若しくは垣、さく等の所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入り又は標識の設置その他の行為を拒み、又は妨げてはならない。

(公害等調整委員会の裁定)
第五十一条  第十三条第三項、第十四条第三項、第二十四条第三項又は第二十六条第二項の規定による環境大臣又は都道府県知事の処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に裁定を申請することができる。この場合には、行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。

2  行政不服審査法第十八条 の規定は、前項の処分につき、処分庁が誤つて審査請求又は異議申立てをすることができる旨を教示した場合に準用する。

(損失の補償)
第五十二条  国は国立公園について、都道府県は国定公園について、第十三条第三項、第十四条第三項若しくは第二十四条第三項の許可を得ることができないため、第二十五条の規定により許可に条件を付せられたため、又は第二十六条第二項の規定による処分を受けたため損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

2  前項の規定による補償を受けようとする者は、国に係る当該補償については環境大臣に、都道府県に係る当該補償については都道府県知事にこれを請求しなければならない。

3  環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。

4  国又は都道府県は、第五十条第一項の規定によるそれぞれの当該職員の行為によつて損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

5  第二項及び第三項の規定は、前項の規定による損失の補償について準用する。この場合において、第二項及び第三項中「環境大臣」とあるのは、「第五十条第一項に規定する実地調査に関する事務を所掌する大臣」と読み替えるものとする。

(訴えの提起)
第五十三条  前条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による決定に不服がある者は、その通知を受けた日から六月以内に訴えをもつて補償すべき金額の増額を請求することができる。

2  前項の訴えにおいては、国又は都道府県を被告とする。

(負担金の強制徴収)
第五十四条  この法律の規定により国に納付すべき負担金を納付しない者があるときは、環境大臣は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。

2  前項の場合においては、環境大臣は、環境省令の定めるところにより、延滞金を徴収することができる。ただし、延滞金は、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額を超えない範囲内で定めなければならない。

3  第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、環境大臣は、国税滞納処分の例により前二項に規定する負担金及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金及び延滞金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

4  延滞金は、負担金に先立つものとする。

(協議)
第五十五条  環境大臣は、国立公園若しくは国定公園の指定、その区域の拡張若しくは公園計画の決定若しくは変更又は国立公園の特別地域、特別保護地区、利用調整地区若しくは海中公園地区の指定若しくはその区域の拡張をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

2  都道府県知事は、国定公園の特別地域、特別保護地区、利用調整地区又は海中公園地区の指定又はその区域の拡張をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

3  環境大臣以外の国の機関は、第九条第一項の規定により国立公園に関する公園事業を執行しようとするときは、環境大臣に協議しなければならない。

4  国の機関は、第十条第一項ただし書の規定により国定公園に関する公園事業を執行しようとするときは、都道府県知事に協議しなければならない。

(国に関する特例)
第五十六条  国の機関が行う行為については、第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項第六号又は第二十四条第三項の規定による許可を受けることを要しない。この場合において当該国の機関は、その行為をしようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に協議しなければならない。

2  都道府県知事は、国定公園について前項の規定による協議を受けた場合において、当該協議に係る行為が当該国定公園の風致又は景観に及ぼす影響その他の事情を考慮して環境省令で定める行為に該当するときは、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

3  国の機関は、第十三条第六項から第八項まで、第十四条第六項若しくは第七項、第二十四条第六項若しくは第七項又は第二十六条第一項の規定により届出を要する行為をしたとき、又はしようとするときは、これらの規定による届出の例により、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事にその旨を通知しなければならない。

4  環境大臣又は都道府県知事は、第二十六条第一項の規定による届出の例による通知があつた場合において、当該公園の風景を保護するために必要があると認めるときは、当該国の機関に対し、風景の保護のために執るべき措置について協議を求めることができる。

(権限の委任)
第五十六条の二  この法律に規定する環境大臣の権限は、環境省令で定めるところにより、地方環境事務所長に委任することができる。

(事務の区分)
第五十七条  第十三条第一項、同条第二項において準用する第五条第三項、第十四条第一項、同条第二項において準用する第五条第三項、第二十四条第一項、同条第二項において準用する第五条第三項及び第五十五条第二項(利用調整地区に係る部分を除く。)の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。

(原生自然環境保全地域との関係)
第五十八条  自然環境保全法第十四条第一項 の規定により指定された原生自然環境保全地域の区域は、国立公園又は国定公園の区域に含まれないものとする。

   第三章 都道府県立自然公園
(指定)
第五十九条  都道府県は、条例の定めるところにより、区域を定めて都道府県立自然公園を指定することができる。

(保護及び利用)
第六十条  都道府県は、条例の定めるところにより、都道府県立自然公園の風致を維持するためその区域内に特別地域を、都道府県立自然公園の風致の維持とその適正な利用を図るため特別地域内に利用調整地区を指定し、かつ、特別地域内、利用調整地区内及び当該都道府県立自然公園の区域のうち特別地域に含まれない区域内における行為につき、それぞれ国立公園の特別地域、利用調整地区又は普通地域内における行為に関する前章第三節の規定による規制の範囲内において、条例で必要な規制を定めることができる。

2  都道府県は、条例で、都道府県立自然公園に関し認定関係事務の実施のため必要がある場合に、都道府県知事が第十七条から第二十三条までの規定の例により指定認定機関を指定し、当該指定認定機関に認定関係事務を行わせることができる旨を定めることができる。

3  都道府県は、都道府県立自然公園の利用のための施設を集団的に整備するため、条例の定めるところにより、その区域内に集団施設地区を指定し、かつ、第三十条の規定の例により、条例で、特別地域及び集団施設地区内における同条第一項各号に掲げる行為を禁止することができる。

(風景地保護協定)
第六十一条  都道府県は、条例で、都道府県立自然公園に関し自然の風景地の保護のため必要がある場合に、地方公共団体又は次条の規定に基づく条例の規定により指定された公園管理団体が前章第四節の規定の例により土地の所有者等と風景地保護協定を締結することができる旨を定めることができる。

(公園管理団体)
第六十二条  都道府県は、条例で、都道府県立自然公園に関し自然の風景地の保護とその適正な利用を図るため必要がある場合に、都道府県知事が前章第五節の規定の例により公園管理団体を指定することができる旨を定めることができる。

(実地調査)
第六十三条  都道府県は、条例で、都道府県立自然公園に関し実地調査のため必要がある場合に、都道府県知事が第五十条の規定の例により当該職員をして他人の土地に立ち入らせ、又は同条第一項に規定する標識の設置その他の行為をさせることができる旨を定めることができる。

(損失の補償)
第六十四条  都道府県は、第六十条第一項の規定に基づく条例の規定による処分又は前条の規定に基づく条例の規定による当該職員の行為によつて損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

(公害等調整委員会の裁定)
第六十五条  第六十条第一項の規定に基づく条例の規定による都道府県知事の処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に裁定を申請することができる。この場合には、第五十一条第一項後段及び第二項の規定を準用する。

(協議等)
第六十六条  都道府県は、都道府県立自然公園の特別地域又は利用調整地区の指定又はその区域の拡張をしようとするときは、国の関係地方行政機関の長に協議しなければならない。

2  都道府県が第六十条第一項の規定に基づく条例で都道府県立自然公園の区域内における行為につき規制を定めた場合における国の機関が行う行為に関する特例については、第五十六条の規定の例による。

(報告、助言又は勧告)
第六十七条  環境大臣は、都道府県に対し、都道府県立自然公園に関し、必要な報告を求めることができる。

2  環境大臣は、都道府県に対し、都道府県立自然公園の行政又は技術に関し、必要な助言又は勧告をすることができる。

(国立公園等との関係)
第六十八条  国立公園若しくは国定公園又は自然環境保全法第十四条第一項 の規定により指定された原生自然環境保全地域の区域は、都道府県立自然公園の区域に含まれないものとする。

   第四章 罰則
第六十九条  第二十七条第一項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第七十条  次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一  第十三条第三項、第十四条第三項、第十五条第三項又は第二十四条第三項の規定に違反した者
二  偽りその他不正の手段により第十六条第一項の認定を受けた者
三  第二十五条の規定により許可に付せられた条件に違反した者

第七十一条  第二十条第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第七十二条  第二十六条第二項又は第四十条の規定による命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第七十三条  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一  偽りその他不正の手段により第十六条第五項の立入認定証の再交付を受けた者
二  第十九条第四項の許可を受けないで認定関係事務の全部を廃止した者
三  第二十二条第一項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
四  第二十六条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
五  第二十六条第五項の規定に違反した者
六  第二十八条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
七  第二十八条第二項の規定による立入検査又は立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者
八  国立公園又は国定公園の特別地域、海中公園地区又は集団施設地区内において、みだりに第三十条第一項第一号に掲げる行為をした者
九  国立公園又は国定公園の特別地域、海中公園地区又は集団施設地区内において、第三十条第二項の規定による当該職員の指示に従わないで、みだりに同条第一項第二号に掲げる行為をした者
十  第五十条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入り又は標識の設置その他の行為を拒み、又は妨げた者

第七十四条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第六十九条、第七十条、第七十二条又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。

第七十五条  第十六条第六項の規定に違反して立入認定証を携帯しないで立ち入つた者は、十万円以下の過料に処する。

第七十六条  第六十条、第六十二条又は第六十三条の規定に基づく条例には、その条例に違反した者に対して、その違反行為の態様に応じ、それぞれ、前各条に定める処罰の程度を超えない限度において、刑を科する旨の規定を設けることができる。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO161.html





自然再生推進法
(平成十四年十二月十一日法律第百四十八号)

(目的)
第一条  この法律は、自然再生についての基本理念を定め、及び実施者等の責務を明らかにするとともに、自然再生基本方針の策定その他の自然再生を推進するために必要な事項を定めることにより、自然再生に関する施策を総合的に推進し、もって生物の多様性の確保を通じて自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「自然再生」とは、過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法 (平成十年法律第七号)第二条第二項 に規定する特定非営利活動法人をいう。以下同じ。)、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が参加して、河川、湿原、干潟、藻場、里山、里地、森林その他の自然環境を保全し、再生し、若しくは創出し、又はその状態を維持管理することをいう。

2  この法律において「自然再生事業」とは、自然再生を目的として実施される事業をいう。

3  この法律において「土地の所有者等」とは、土地若しくは木竹の所有者又は土地若しくは木竹の使用及び収益を目的とする権利、漁業権若しくは入漁権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。

(基本理念)
第三条  自然再生は、健全で恵み豊かな自然が将来の世代にわたって維持されるとともに、生物の多様性の確保を通じて自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与することを旨として適切に行われなければならない。

2  自然再生は、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が連携するとともに、透明性を確保しつつ、自主的かつ積極的に取り組んで実施されなければならない。

3  自然再生は、地域における自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を踏まえて、かつ、科学的知見に基づいて実施されなければならない。

4  自然再生事業は、自然再生事業の着手後においても自然再生の状況を監視し、その監視の結果に科学的な評価を加え、これを当該自然再生事業に反映させる方法により実施されなければならない。

5  自然再生事業の実施に当たっては、自然環境の保全に関する学習(以下「自然環境学習」という。)の重要性にかんがみ、自然環境学習の場として活用が図られるよう配慮されなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第四条  国及び地方公共団体は、地域住民、特定非営利活動法人その他の民間の団体等が実施する自然再生事業について、必要な協力をするよう努めなければならない。

(実施者の責務)
第五条  この法律に基づいて自然再生事業を実施しようとする者(河川法 (昭和三十九年法律第百六十七号)、港湾法 (昭和二十五年法律第二百十八号)その他の法律の規定に基づき自然再生事業の対象となる区域の一部又は全部を管理する者からの委託を受けて自然再生事業を実施しようとする者を含む。以下「実施者」という。)は、基本理念にのっとり、自然再生事業の実施に主体的に取り組むよう努めなければならない。

(他の公益との調整)
第六条  自然再生は、国土の保全その他の公益との調整に留意して実施されなければならない。

(自然再生基本方針)
第七条  政府は、自然再生に関する施策を総合的に推進するための基本方針(以下「自然再生基本方針」という。)を定めなければならない。

2  自然再生基本方針には、次の事項を定めるものとする。
一  自然再生の推進に関する基本的方向
二  次条第一項に規定する協議会に関する基本的事項
三  次条第二項第一号の自然再生全体構想及び第九条第一項に規定する自然再生事業実施計画の作成に関する基本的事項
四  自然再生に関して行われる自然環境学習の推進に関する基本的事項
五  その他自然再生の推進に関する重要事項

3  環境大臣は、あらかじめ農林水産大臣及び国土交通大臣と協議して自然再生基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4  環境大臣は、自然再生基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、広く一般の意見を聴かなければならない。

5  環境大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、自然再生基本方針を公表しなければならない。

6  自然再生基本方針は、自然再生事業の進捗状況等を踏まえ、おおむね五年ごとに見直しを行うものとする。

7  第三項から第五項までの規定は、自然再生基本方針の変更について準用する。

(自然再生協議会)
第八条  実施者は、次項に規定する事務を行うため、当該実施者のほか、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者、土地の所有者等その他の当該実施者が実施しようとする自然再生事業又はこれに関連する自然再生に関する活動に参加しようとする者並びに関係地方公共団体及び関係行政機関からなる自然再生協議会(以下「協議会」という。)を組織するものとする。

2  協議会は、次の事務を行うものとする。
一  自然再生全体構想を作成すること。
二  次条第一項に規定する自然再生事業実施計画の案について協議すること。
三  自然再生事業の実施に係る連絡調整を行うこと。

3  前項第一号の自然再生全体構想(以下「自然再生全体構想」という。)は、自然再生基本方針に即して、次の事項を定めるものとする。
一  自然再生の対象となる区域
二  自然再生の目標
三  協議会に参加する者の名称又は氏名及びその役割分担
四  その他自然再生の推進に必要な事項

4  協議会の組織及び運営に関して必要な事項は、協議会が定める。

5  協議会の構成員は、相協力して、自然再生の推進に努めなければならない。

(自然再生事業実施計画)
第九条  実施者は、自然再生基本方針に基づき、自然再生事業の実施に関する計画(以下「自然再生事業実施計画」という。)を作成しなければならない。

2  自然再生事業実施計画には、次の事項を定めるものとする。
一  実施者の名称又は氏名及び実施者の属する協議会の名称
二  自然再生事業の対象となる区域及びその内容
三  自然再生事業の対象となる区域の周辺地域の自然環境との関係並びに自然環境の保全上の意義及び効果
四  その他自然再生事業の実施に関し必要な事項

3  実施者は、自然再生事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、その案について協議会において十分に協議するとともに、その協議の結果に基づいて作成しなければならない。

4  自然再生事業実施計画は、自然再生全体構想と整合性のとれたものでなければならない。

5  実施者は、自然再生事業実施計画を作成したときは、主務省令で定めるところにより、遅滞なく、主務大臣及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生事業の対象となる区域の所在地を管轄する都道府県知事に、当該自然再生事業実施計画の写し(当該自然再生事業実施計画の添付書類の写しを含む。以下同じ。)及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生全体構想の写し(当該自然再生全体構想の添付書類の写しを含む。以下同じ。)を送付しなければならない。

6  主務大臣及び都道府県知事は、前項の規定により自然再生事業実施計画の写し及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、実施者に対し、当該自然再生事業実施計画に関し必要な助言をすることができる。この場合において、主務大臣は、第十七条第二項の自然再生専門家会議の意見を聴くものとする。

7  第三項から前項までの規定は、自然再生事業実施計画の変更について準用する。

(維持管理に関する協定)
第十条  自然再生事業の対象区域の全部又は一部について自然再生に係る維持管理を実施しようとする実施者は、当該区域の土地の所有者等と協定を締結して、その維持管理を行うことができる。

(実施者の相談に応じる体制の整備)
第十一条  主務大臣は、実施者の相談に的確に応じることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。

(自然再生事業の実施についての配慮)
第十二条  国の行政機関及び関係地方公共団体の長は、自然再生事業実施計画に基づく自然再生事業の実施のため法令の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該自然再生事業が円滑かつ迅速に実施されるよう、適切な配慮をするものとする。

(自然再生事業の進捗状況等の公表)
第十三条  主務大臣は、毎年、自然再生事業の進捗状況を公表しなければならない。

2  主務大臣は、第九条第五項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定により自然再生事業実施計画の写し及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、これを公表しなければならない。

(自然再生事業実施計画の進捗状況の報告)
第十四条  主務大臣は、主務省令で定めるところにより、自然再生事業実施計画に基づき自然再生事業を実施する者に対し、当該自然再生事業実施計画の進捗状況について報告を求めることができる。

(財政上の措置等)
第十五条  国及び地方公共団体は、自然再生を推進するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

(自然再生に関するその他の措置)
第十六条  国及び地方公共団体は、自然再生に関して行われる自然環境学習の振興及び自然再生に関する広報活動の充実のために必要な措置を講ずるものとする。

2  国及び地方公共団体は、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等が行う自然再生に関する活動の促進に資するため、自然再生に関する情報を適切に提供するよう努めるものとする。

3  国及び地方公共団体は、自然再生に関する研究開発の推進、その成果の普及その他の自然再生に関する科学技術の振興を図るものとする。

4  国及び地方公共団体は、自然再生事業の実施に関連して、地域の環境と調和のとれた農林水産業の推進を図るものとする。

(自然再生推進会議)
第十七条  政府は、環境省、農林水産省、国土交通省その他の関係行政機関の職員をもって構成する自然再生推進会議を設け、自然再生の総合的、効果的かつ効率的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。

2  環境省、農林水産省及び国土交通省は、自然環境に関し専門的知識を有する者によって構成する自然再生専門家会議を設け、前項の連絡調整を行うに際しては、その意見を聴くものとする。

(主務大臣等)
第十八条  この法律における主務大臣は、環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣とする。

2  この法律における主務省令は、環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣の発する命令とする。

http://www.env.go.jp/hourei/sogo_mokuji.php?mn=18







獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
(平成十四年七月十二日法律第八十八号)

 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 基本指針等(第三条―第七条)
 第三章 鳥獣保護事業の実施
  第一節 鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等の規制(第八条―第十八条)
  第二節 鳥獣の飼養、販売等の規制(第十九条―第二十七条)
  第三節 鳥獣保護区(第二十八条―第三十三条)
  第四節 休猟区(第三十四条)
 第四章 狩猟の適正化
  第一節 危険の予防(第三十五条―第三十八条)
  第二節 狩猟免許(第三十九条―第五十四条)
  第三節 狩猟者登録(第五十五条―第六十七条)
  第四節 猟区(第六十八条―第七十四条)
 第五章 雑則(第七十五条―第八十二条)
 第六章 罰則(第八十三条―第八十八条)
 附則

   第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、鳥獣の保護を図るための事業を実施するとともに、鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害を防止し、併せて猟具の使用に係る危険を予防することにより、鳥獣の保護及び狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「鳥獣」とは、鳥類又は哺乳類に属する野生動物をいう。

2  この法律において「法定猟法」とは、銃器(装薬銃及び空気銃(圧縮ガスを使用するものを含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)、網又はわなであって環境省令で定めるものを使用する猟法その他環境省令で定める猟法をいう。

3  この法律において「狩猟鳥獣」とは、その肉又は毛皮を利用する目的、生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害を防止する目的その他の目的で捕獲等(捕獲又は殺傷をいう。以下同じ。)の対象となる鳥獣(鳥類のひなを除く。)であって、その捕獲等がその生息の状況に著しく影響を及ぼすおそれのないものとして環境省令で定めるものをいう。

4  この法律において「狩猟」とは、法定猟法により、狩猟鳥獣の捕獲等をすることをいう。

5  この法律において「狩猟期間」とは、毎年十月十五日(北海道にあっては、毎年九月十五日)から翌年四月十五日までの期間で狩猟鳥獣の捕獲等をすることができる期間をいう。

6  環境大臣は、第三項の環境省令を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、公聴会を開いて利害関係人の意見を聴いた上で、農林水産大臣に協議するとともに、中央環境審議会の意見を聴かなければならない。

   第二章 基本指針等
(基本指針)
第三条  環境大臣は、鳥獣の保護を図るための事業(第三十五条第一項に規定する銃猟禁止区域及び銃猟制限区域並びに第六十八条第一項に規定する猟区に関する事項を含む。以下「鳥獣保護事業」という。)を実施するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。

2  基本指針においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一  鳥獣保護事業の実施に関する基本的事項
二  次条第一項に規定する鳥獣保護事業計画において同条第二項第一号の鳥獣保護事業計画の計画期間を定めるに当たって遵守すべき基準その他当該鳥獣保護事業計画の作成に関する事項
三  その他鳥獣保護事業を実施するために必要な事項

3  環境大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、農林水産大臣に協議するとともに、中央環境審議会の意見を聴かなければならない。

4  環境大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(鳥獣保護事業計画)
第四条  都道府県知事は、基本指針に即して、当該都道府県知事が行う鳥獣保護事業の実施に関する計画(以下「鳥獣保護事業計画」という。)を定めるものとする。

2  鳥獣保護事業計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一  鳥獣保護事業計画の計画期間
二  第二十八条第一項の規定により都道府県知事が指定する鳥獣保護区、第二十九条第一項に規定する特別保護地区及び第三十四条第一項に規定する休猟区に関する事項
三  鳥獣の人工増殖(人工的な方法により鳥獣を増殖させることをいう。以下同じ。)及び放鳥獣(鳥獣の保護のためにその生息地に当該鳥獣を解放することをいう。以下同じ。)に関する事項
四  第九条第一項の許可(鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止の目的に係るものに限る。)に関する事項
五  第三十五条第一項に規定する銃猟禁止区域及び銃猟制限区域並びに第六十八条第一項に規定する猟区に関する事項
六  第七条第一項に規定する特定鳥獣保護管理計画を作成する場合においては、その作成に関する事項
七  鳥獣の生息の状況の調査に関する事項
八  鳥獣保護事業に関する普及啓発に関する事項
九  鳥獣保護事業の実施体制に関する事項
十  その他鳥獣保護事業の実施のために必要な事項

3  都道府県知事は、鳥獣保護事業計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、自然環境保全法 第五十一条の規定により置かれる審議会その他の合議制の機関(以下「合議制機関」という。)の意見を聴かなければならない。

4  都道府県知事は、鳥獣保護事業計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、環境大臣に報告しなければならない。

(鳥獣保護事業計画の達成の推進)
第五条  都道府県知事は、鳥獣保護事業計画の達成に必要な措置を講ずるものとする。

(国の援助)
第六条  国は、都道府県知事が、鳥獣保護事業計画に定められた事業を実施しようとするときは、当該事業が円滑に実施されるように必要な助言その他の援助の実施に努めるものとする。

(特定鳥獣保護管理計画)
第七条  都道府県知事は、当該都道府県の区域内においてその数が著しく増加又は減少している鳥獣がある場合において、当該鳥獣の生息の状況その他の事情を勘案して長期的な観点から当該鳥獣の保護を図るため特に必要があると認めるときは、当該鳥獣(以下「特定鳥獣」という。)の保護のための管理(以下「保護管理」という。)に関する計画(以下「特定鳥獣保護管理計画」という。)を定めることができる。

2  特定鳥獣保護管理計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一  特定鳥獣の種類
二  特定鳥獣保護管理計画の計画期間
三  特定鳥獣の保護管理が行われるべき区域
四  特定鳥獣の保護管理の目標
五  特定鳥獣の数の調整に関する事項
六  特定鳥獣の生息地の保護及び整備に関する事項
七  その他特定鳥獣の保護管理のために必要な事項

3  特定鳥獣保護管理計画は、鳥獣保護事業計画に適合したものでなければならない。

4  都道府県知事は、特定鳥獣保護管理計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、公聴会を開いて利害関係人の意見を聴かなければならない。

5  都道府県知事は、特定鳥獣保護管理計画を定め、又はこれを変更しようとする場合において、次に掲げるときは、あらかじめ、環境大臣に協議しなければならない。
一  その特定鳥獣が特に保護を図る必要があるものとして環境省令で定める鳥獣(以下「希少鳥獣」という。)であるとき。
二  第二項第三号に掲げる区域内に第二十八条第一項の規定により環境大臣が指定する鳥獣保護区があるとき。

6  都道府県知事は、特定鳥獣保護管理計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体と協議しなければならない。

7  第四条第三項及び第四項の規定は、特定鳥獣保護管理計画について準用する。

   第三章 鳥獣保護事業の実施
    第一節 鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等の規制
(鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の禁止)
第八条  鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一  次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等又は採取等をするとき。
二  第十一条第一項の規定により狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。
三  第十三条第一項の規定により同項に規定する鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をするとき。

(鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可)
第九条  学術研究の目的、鳥獣による生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害の防止の目的、第七条第二項第五号に掲げる特定鳥獣の数の調整の目的その他環境省令で定める目的で鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしようとする者は、次に掲げる場合にあっては環境大臣の、それ以外の場合にあっては都道府県知事の許可を受けなければならない。
一  第二十八条第一項の規定により環境大臣が指定する鳥獣保護区の区域内において鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をするとき。
二  希少鳥獣の捕獲等又は希少鳥獣のうちの鳥類の卵の採取等をするとき。
三  その構造、材質及び使用の方法を勘案して鳥獣の保護に重大な支障があるものとして環境省令で定める網又はわなを使用して鳥獣の捕獲等をするとき。

2  前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、環境大臣又は都道府県知事に許可の申請をしなければならない。

3  環境大臣又は都道府県知事は、前項の許可の申請があったときは、当該申請に係る捕獲等又は採取等が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第一項の許可をしなければならない。
一  捕獲等又は採取等の目的が第一項に規定する目的に適合しないとき。
二  捕獲等又は採取等によって鳥獣の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあるとき(生態系に係る被害を防止する目的で捕獲等又は採取等をする場合であって、環境省令で定める場合を除く。)。
三  捕獲等又は採取等によって生態系の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあるとき。
四  捕獲等又は採取等に際し、住民の安全の確保若しくは環境省令で定める区域(以下「指定区域」という。)の静穏の保持に支障を及ぼすおそれがあるとき。

4  環境大臣又は都道府県知事は、第一項の許可をする場合において、その許可の有効期間を定めるものとする。

5  環境大臣又は都道府県知事は、第一項の許可をする場合において、鳥獣の保護、生態系の保護又は住民の安全の確保及び指定区域の静穏の保持のため必要があると認めるときは、その許可に条件を付することができる。

6  環境大臣又は都道府県知事は、特定鳥獣保護管理計画が定められた場合において、当該特定鳥獣保護管理計画に係る特定鳥獣について第一項の許可をしようとするときは、当該特定鳥獣保護管理計画の達成に資することとなるよう適切な配慮をするものとする。

7  環境大臣又は都道府県知事は、第一項の許可をしたときは、環境省令で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。

8  第一項の許可を受けた者のうち、国、地方公共団体その他適切かつ効果的に同項の許可に係る捕獲等又は採取等をすることができるものとして環境大臣の定める法人は、環境省令で定めるところにより、環境大臣又は都道府県知事に申請をして、その者の監督の下にその許可に係る捕獲等又は採取等に従事する者(以下「従事者」という。)であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。

9  第一項の許可を受けた者は、その者又は従事者が第七項の許可証(以下単に「許可証」という。)若しくは前項の従事者証(以下単に「従事者証」という。)を亡失し、又は許可証若しくは従事者証が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣又は都道府県知事に申請をして、許可証又は従事者証の再交付を受けることができる。

10  第一項の許可を受けた者又は従事者は、捕獲等又は採取等をするときは、許可証又は従事者証を携帯し、国又は地方公共団体の職員、警察官その他関係者から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

11  第一項の許可を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、環境省令で定めるところにより、許可証又は従事者証(第四号の場合にあっては、発見し、又は回復した許可証若しくは従事者証)を、環境大臣又は都道府県知事に返納しなければならない。
一  次条第二項の規定により許可が取り消されたとき。
二  第八十七条の規定により許可が失効したとき。
三  第四項の規定により定められた有効期間が満了したとき。
四  第九項の規定により許可証又は従事者証の再交付を受けた後において亡失した許可証又は従事者証を発見し、又は回復したとき。

12  第一項の許可を受けた者は、第四項の規定により定められた許可の有効期間が満了したときは、環境省令で定めるところにより、その日から起算して三十日を経過する日までに、その許可に係る捕獲等又は採取等の結果を環境大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。

13  絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四条第三項に規定する国内希少野生動植物種及び同法第五条第一項に規定する緊急指定種に係る第一項の鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等については、同法第十条第一項の許可を受けたとき、又は同法第五十四条第二項の規定により国の機関が環境大臣に協議をしたとき若しくは地方公共団体が環境大臣に協議しその同意を得たときは、第一項の許可(環境大臣に係るものに限る。)を受けることを要しない。

(許可に係る措置命令等)
第十条  環境大臣又は都道府県知事は、前条第一項の規定に違反して許可を受けないで鳥獣の捕獲等若しくは鳥類の卵の採取等をした者又は同条第五項の規定により付された条件に違反した者に対し、次に掲げる場合は、当該違反に係る鳥獣を解放することその他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
一  鳥獣の保護のため必要があると認めるとき。
二  生態系の保護のため必要があると認めるとき。
三  捕獲等又は採取等に際し、住民の安全の確保若しくは指定区域の静穏の保持のため必要があると認めるとき。

2  環境大臣又は都道府県知事は、前条第一項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において、前項各号に掲げるときは、その許可を取り消すことができる。

(狩猟鳥獣の捕獲等)
第十一条  次に掲げる場合には、第九条第一項の規定にかかわらず、第二十八条第一項に規定する鳥獣保護区、第三十四条第一項に規定する休猟区その他生態系の保護又は住民の安全の確保若しくは静穏の保持が特に必要な区域として環境省令で定める区域以外の区域(以下「狩猟可能区域」という。)において、狩猟期間(次項の規定により限定されている場合はその期間とし、第十四条第一項の規定により延長されている場合はその期間とする。)内に限り、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けないで、狩猟鳥獣の捕獲等をすることができる。
一  次条、第十四条から第十七条まで及び次章第一節から第三節までの規定に従って狩猟をするとき。
二  次条、第十四条から第十七条まで、第三十六条及び第三十七条の規定に従って、次に掲げる狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。
イ 法定猟法以外の猟法による狩猟鳥獣の捕獲等
ロ 垣、さくその他これに類するもので囲まれた住宅の敷地内において銃器を使用しないでする狩猟鳥獣の捕獲等

2  環境大臣は、狩猟鳥獣(鳥類(狩猟鳥獣のうちの鳥類に限る。)のひなを含む。以下「対象狩猟鳥獣」という。)の保護を図るため必要があると認めるときは、狩猟期間の範囲内においてその捕獲等をする期間を限定することができる。

3  第三条第三項の規定は、前項の規定による狩猟期間の限定について準用する。

(対象狩猟鳥獣の捕獲等の禁止又は制限)
第十二条  環境大臣は国際的又は全国的な対象狩猟鳥獣の保護の見地から、特に保護を図る必要があると認める対象狩猟鳥獣がある場合には、次に掲げる禁止又は制限をすることができる。
一  区域又は期間を定めて当該対象狩猟鳥獣の捕獲等を禁止すること。
二  区域又は期間を定めて当該対象狩猟鳥獣の捕獲等の数を制限すること。
三  当該対象狩猟鳥獣の保護に支障を及ぼすものとして禁止すべき猟法を定めてこれにより捕獲等をすることを禁止すること。

2  都道府県知事は、地域の対象狩猟鳥獣の保護の見地から、特に保護を図る必要があると認める対象狩猟鳥獣がある場合には、前項の禁止又は制限に加え、同項各号に掲げる禁止又は制限をすることができる。

3  都道府県知事は、前項の禁止又は制限をし、又はこれを変更しようとするときは、環境大臣に届け出なければならない。

4  第九条第一項の許可を受けた者又は従事者は、第一項又は第二項の規定による禁止又は制限にかかわらず、当該許可に係る捕獲等をすることができる。

5  第二条第六項の規定は第一項の規定による禁止又は制限について、第四条第三項及び第七条第四項の規定は第二項の規定による禁止又は制限について準用する。

(環境省令で定める鳥獣の捕獲等)
第十三条  農業又は林業の事業活動に伴い捕獲等又は採取等をすることがやむを得ない鳥獣若しくは鳥類の卵であって環境省令で定めるものは、第九条第一項の規定にかかわらず、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けないで、環境省令で定めるところにより、捕獲等又は採取等をすることができる。

2  第三条第三項の規定は、前項の環境省令について準用する。

(特定鳥獣に係る特例)
第十四条  都道府県知事は、特定鳥獣が狩猟鳥獣であり、かつ、その狩猟期間が第十一条第二項の規定により限定されている場合において、当該特定鳥獣に係る特定鳥獣保護管理計画の達成を図るため特に必要があると認めるときは、その狩猟期間の範囲内で、当該特定鳥獣に関し、同項の規定により限定された期間を延長することができる。

2  都道府県知事は、特定鳥獣が狩猟鳥獣である場合において、当該特定鳥獣に係る特定鳥獣保護管理計画の達成を図るため特に必要があると認めるときは、その都道府県の区域内で、環境大臣が当該特定鳥獣に関し行う第十二条第一項の規定による禁止又は制限の全部又は一部を解除することができる。

3  第四条第三項、第七条第四項及び第十二条第三項の規定は第一項の規定による期間の延長及び前項の規定による禁止又は制限の解除について、同条第四項の規定は前項の規定による禁止又は制限の解除について準用する。

(指定猟法禁止区域)
第十五条  環境大臣又は都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、次に掲げる区域について、それぞれ鳥獣の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあると認める猟法(以下「指定猟法」という。)を定め、指定猟法により鳥獣の捕獲等をすることを禁止する区域を指定猟法禁止区域として指定することができる。
一  環境大臣にあっては、全国的な鳥獣の保護の見地からその鳥獣の保護のため必要な区域
二  都道府県知事にあっては、地域の鳥獣の保護の見地からその鳥獣の保護のため必要な当該都道府県内の区域であって前号の区域以外の区域

2  環境大臣又は都道府県知事は、前項の規定による指定をするときは、その旨並びにその名称、区域及び存続期間を公示しなければならない。

3  第一項の規定による指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。

4  指定猟法禁止区域内においては、指定猟法により鳥獣の捕獲等をしてはならない。ただし、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けて当該許可に係る捕獲等をする場合は、この限りでない。

5  環境大臣又は都道府県知事は、第十一項において準用する第九条第二項の申請があったときは、当該申請に係る捕獲等が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、前項の許可をしなければならない。
一  指定猟法による捕獲等によって鳥獣の保護に支障を及ぼすおそれがあるとき。
二  指定猟法による捕獲等によって生態系の保護に支障を及ぼすおそれがあるとき。

6  環境大臣又は都道府県知事は、第四項の許可をする場合において、鳥獣の保護又は生態系の保護のため必要があると認めるときは、その許可に条件を付することができる。

7  第四項の許可を受けた者は、その者が第十一項において読み替えて準用する第九条第七項の指定猟法許可証(以下単に「指定猟法許可証」という。)を亡失し、又は指定猟法許可証が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣又は都道府県知事に申請をして、指定猟法許可証の再交付を受けることができる。

8  第四項の許可を受けた者は、指定猟法により鳥獣の捕獲等をするときは、指定猟法許可証を携帯し、国又は地方公共団体の職員、警察官その他関係者から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

9  第四項の許可を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、環境省令で定めるところにより、指定猟法許可証(第三号の場合にあっては、発見し、又は回復した指定猟法許可証)を、環境大臣又は都道府県知事に返納しなければならない。
一  第十一項の規定により読み替えて準用する第十条第二項の規定により許可が取り消されたとき。
二  第十一項の規定により準用する第九条第四項の規定により定められた有効期間が満了したとき。
三  第七項の規定により指定猟法許可証の再交付を受けた後において亡失した指定猟法許可証を発見し、又は回復したとき。

10  環境大臣又は都道府県知事は、第四項の規定に違反し、又は第六項の規定により付された条件に違反した者に対し、次に掲げる場合は、当該違反に係る鳥獣を解放することその他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
一  鳥獣の保護のため必要があると認めるとき。
二  生態系の保護のため必要があると認めるとき。

11  第九条第二項、第四項及び第七項の規定は第四項の許可について、第十条第二項の規定は第四項の許可を受けた者について準用する。この場合において、第九条第七項中「許可証」とあるのは「指定猟法許可証」と、第十条第二項中「前項各号」とあるのは「第十五条第十項各号」と読み替えるものとする。

12  第一項の規定により都道府県知事が指定する指定猟法禁止区域の全部又は一部について同項の規定により環境大臣が指定する指定猟法禁止区域が指定されたときは、当該都道府県知事が指定する当該指定猟法禁止区域は、第二項及び第三項の規定にかかわらず、それぞれ、その指定が解除され、又は環境大臣が指定する当該指定猟法禁止区域と重複する区域以外の区域に変更されたものとみなす。

13  環境大臣又は都道府県知事は、指定猟法禁止区域の指定をしたときは、環境省令で定めるところにより、当該指定猟法禁止区域の区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。

(使用禁止猟具の所持規制)
第十六条  第十二条第一項第三号に規定する猟法に使用される猟具であって環境省令で定めるもの(以下この条において「使用禁止猟具」という。)は、鳥獣の捕獲等の目的で所持してはならない。ただし、第九条第一項の許可を受けた者又は従事者が、当該許可に係る使用禁止猟具を用いて当該許可に係る捕獲等をする目的で所持する場合は、この限りでない。

2  使用禁止猟具は、販売し、又は頒布してはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一  第九条第一項の許可を受けた者又は従事者に当該許可に係る使用禁止猟具を販売し、又は頒布するとき。
二  輸出される使用禁止猟具を、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、環境大臣に届け出て販売し、又は頒布するとき。

3  環境大臣は、第一項の環境省令を定めようとするときは農林水産大臣及び経済産業大臣に、前項第二号の環境省令を定めようとするときは経済産業大臣に、協議しなければならない。

(土地の占有者の承諾)
第十七条  垣、さくその他これに類するもので囲まれた土地又は作物のある土地において、鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をしようとする者は、あらかじめ、その土地の占有者の承諾を得なければならない。

(鳥獣の放置等の禁止)
第十八条  鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をした者は、適切な処理が困難な場合又は生態系に影響を及ぼすおそれが軽微である場合として環境省令で定める場合を除き、当該捕獲等又は採取等をした場所に、当該鳥獣又は鳥類の卵を放置してはならない。

    第二節 鳥獣の飼養、販売等の規制
(飼養の登録)
第十九条  第九条第一項の規定による許可を受けて捕獲をした鳥獣のうち、対象狩猟鳥獣以外の鳥獣(同項の規定により許可を受けて採取をした鳥類の卵からふ化させたものを含む。第二十二条第一項及び第八十四条第一項第七号において同じ。)を飼養しようとする者は、その者の住所地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。ただし、第九条第四項に規定する有効期間の末日から起算して三十日を経過する日までの間に飼養するときは、この限りでない。

2  前項の登録(以下この節において単に「登録」という。)を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に登録の申請をしなければならない。

3  都道府県知事は、登録をしたときは、その申請をした者に対し、環境省令で定めるところにより、登録票を交付しなければならない。

4  登録の有効期間は、登録の日から一年とする。

5  前項の有効期間は、登録を受けた者又は次条第一項の規定により登録鳥獣(第一項の規定により登録を受けた鳥獣をいう。以下この節において同じ。)の譲受け又は引受けをした者の申請により更新することができる。

6  登録鳥獣を飼養している者は、その者が第三項の登録票(以下単に「登録票」という。)で当該登録鳥獣に係るものを亡失し、又は登録票が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に申請をして、登録票の再交付を受けることができる。

(登録鳥獣及び登録票の管理等)
第二十条  登録鳥獣の譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引受け(以下この節において「譲渡し等」という。)は、当該登録鳥獣に係る登録票とともにしなければならない。

2  登録票は、その登録票に係る登録鳥獣とともにする場合を除いては、譲渡し等をしてはならない。

3  登録鳥獣の譲受け又は引受けをした者は、環境省令で定めるところにより、その日から起算して三十日を経過する日までの間にその者の住所地を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

(登録票の返納等)
第二十一条  登録票(第二号に掲げる場合にあっては、発見し、又は回復した登録票)は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、その日から起算して三十日を経過する日までの間に都道府県知事に返納しなければならない。
一  登録票に係る登録鳥獣を飼養しないこととなったとき(登録票とともにその登録票に係る登録鳥獣の譲渡し等をしたときを除く。)。
二  第十九条第六項の規定により登録票の再交付を受けた後において亡失した登録票を発見し、又は回復したとき。

2  第十九条第六項の規定は、盗難その他の事由により登録鳥獣を亡失したことによって前項第一号に掲げる場合に該当して同項の規定により登録票を都道府県知事に返納した後において当該登録鳥獣を発見し、又は回復したときについて準用する。

(登録を受けた者に対する措置命令等)
第二十二条  都道府県知事は、第十九条第一項の規定に違反して登録を受けないで対象狩猟鳥獣以外の鳥獣の飼養をした者に対し、当該違反に係る鳥獣を解放することその他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

2  都道府県知事は、登録を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合は、その登録を取り消すことができる。

(販売禁止鳥獣等)
第二十三条  販売されることによりその保護に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣(その加工品であって環境省令で定めるもの及び繁殖したものを含む。)又は鳥類の卵であって環境省令で定めるもの(次条において「販売禁止鳥獣等」という。)は、販売してはならない。ただし、次条第一項の許可を受けて販売する場合は、この限りでない。

(販売禁止鳥獣等の販売の許可)
第二十四条  学術研究の目的、養殖の目的その他環境省令で定める目的で販売禁止鳥獣等の販売をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

2  都道府県知事は、第十一項において準用する第十九条第二項の申請があったときは、当該申請に係る販売が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、前項の許可をしなければならない。
一  販売の目的が前項に規定する目的に適合しないとき。
二  販売されることにより前条に規定する鳥獣の保護に支障を及ぼすおそれがあるとき。

3  都道府県知事は、第一項の許可をする場合において、その許可の有効期間を定めるものとする。

4  都道府県知事は、第一項の許可をする場合において、販売禁止鳥獣等の保護のため必要があると認めるときは、その許可に条件を付することができる。

5  都道府県知事は、第一項の許可をしたときは、環境省令で定めるところにより、販売許可証を交付しなければならない。

6  第一項の許可を受けた者は、その者が前項の販売許可証(以下単に「販売許可証」という。)を亡失し、又は販売許可証が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に申請をして、販売許可証の再交付を受けることができる。

7  第一項の許可を受けた者は、販売禁止鳥獣等の販売をするときは、販売許可証を携帯し、国又は地方公共団体の職員、警察官その他関係者から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

8  第一項の許可を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、環境省令で定めるところにより、販売許可証(第三号の場合にあっては、発見し、又は回復した販売許可証)を、都道府県知事に返納しなければならない。
一  第十項の規定により許可が取り消されたとき。
二  第三項の規定により定められた有効期間が満了したとき。
三  第六項の規定により販売許可証の再交付を受けた後において亡失した販売許可証を発見し、又は回復したとき。

9  都道府県知事は、前条の規定に違反し、又は第四項の規定により付された条件に違反した者に対し、次に掲げる場合は、当該違反に係る鳥獣を解放することその他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
一  前条に規定する鳥獣の保護のため必要があると認めるとき。
二  生態系の保護のため必要があると認めるとき。

10  都道府県知事は、第一項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において、前項各号に掲げるときは、その許可を取り消すことができる。

11  第十九条第二項の規定は、第一項の許可を受けようとする者について準用する。

(鳥獣等の輸出の規制)
第二十五条  鳥獣(その加工品であって環境省令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)又は鳥類の卵であって環境省令で定めるものは、この法律に違反して捕獲又は採取をしたものではないことを証する証明書(以下「適法捕獲等証明書」という。)を添付してあるものでなければ、輸出してはならない。

2  適法捕獲等証明書の交付を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、環境大臣に申請をしなければならない。

3  環境大臣は、前項の申請に係る鳥獣又は鳥類の卵が違法に捕獲又は採取をされたものではないと認められるときは、環境省令で定めるところにより、適法捕獲等証明書を交付しなければならない。

4  適法捕獲等証明書の交付を受けた者は、その者が適法捕獲等証明書を亡失し、又は適法捕獲等証明書が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣に申請をして、適法捕獲等証明書の再交付を受けることができる。

5  適法捕獲等証明書の交付を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、環境省令で定めるところにより、その適法捕獲等証明書(第二号の場合にあっては、発見し、又は回復した適法捕獲等証明書)を、環境大臣に返納しなければならない。
一  第七項の規定により適法捕獲等証明書の効力が取り消されたとき。
二  前項の規定により適法捕獲等証明書の再交付を受けた後において亡失した適法捕獲等証明書を発見し、又は回復したとき。

6  環境大臣は、第一項の規定に違反した者に対し、次に掲げる場合は、当該違反に係る鳥獣を解放することその他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
一  第一項に規定する鳥獣の保護のため必要があると認めるとき。
二  生態系の保護のため必要があると認めるとき。

7  環境大臣は、適法捕獲等証明書の交付を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において、前項各号に掲げるときは、その適法捕獲等証明書の効力を取り消すことができる。

(鳥獣等の輸入の規制)
第二十六条  鳥獣(その加工品であって環境省令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)又は鳥類の卵であって環境省令で定めるものは、当該鳥獣又は鳥類の卵が適法に捕獲若しくは採取をされたこと又は輸出が許可されたことを証する外国の政府機関その他環境大臣が定める者により発行された証明書を添付してあるものでなければ、輸入してはならない。ただし、当該鳥獣若しくは鳥類の卵の捕獲若しくは採取又は輸出に関し証明する制度を有しない国又は地域として環境大臣が定める国又は地域から輸入する場合は、この限りでない。

(違法に捕獲又は輸入した鳥獣の飼養、譲渡し等の禁止)
第二十七条  この法律に違反して、捕獲し、若しくは輸入した鳥獣(この法律に違反して、採取し、若しくは輸入した鳥類の卵からふ化されたもの及びこれらの加工品であって環境省令で定めるものを含む。)又は採取し、若しくは輸入した鳥類の卵は、飼養、譲渡し若しくは譲受け又は販売、加工若しくは保管のため引渡し若しくは引受けをしてはならない。

    第三節 鳥獣保護区

(鳥獣保護区)
第二十八条  環境大臣又は都道府県知事は、鳥獣の保護を図るため特に必要があると認めるときは、鳥獣の種類その他鳥獣の生息の状況を勘案してそれぞれ次に掲げる区域を鳥獣保護区として指定することができる。
一  環境大臣にあっては、国際的又は全国的な鳥獣の保護の見地からその鳥獣の保護のため重要と認める区域
二  都道府県知事にあっては、地域の鳥獣の保護の見地からその鳥獣の保護のため重要と認める当該都道府県内の区域であって前号の区域以外の区域

2  前項の規定による指定又はその変更は、鳥獣保護区の名称、区域、存続期間及び当該鳥獣保護区の保護に関する指針を定めてするものとする。

3  環境大臣又は都道府県知事は、第一項の規定による指定をし、又はその変更をしようとするとき(変更にあっては、鳥獣保護区の区域を拡張するときに限る。次項から第六項までにおいて同じ。)は、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。

4  環境大臣又は都道府県知事は、第一項の規定による指定をし、又はその変更をしようとするときは、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を公告し、公告した日から起算して十四日を経過する日までの間、当該鳥獣保護区の名称、区域、存続期間及び当該鳥獣保護区の保護に関する指針の案(次項及び第六項において「指針案」という。)を公衆の縦覧に供しなければならない。

5  前項の規定による公告があったときは、第一項の規定による指定をし、又はその変更をしようとする区域の住民及び利害関係人は、前項に規定する期間が経過する日までの間に、環境大臣又は都道府県知事に指針案についての意見書を提出することができる。

6  環境大臣又は都道府県知事は、指針案について異議がある旨の前項の意見書の提出があったとき、その他鳥獣保護区の指定又は変更に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催するものとする。

7  鳥獣保護区の存続期間は、二十年を超えることができない。ただし、二十年以内の期間を定めてこれを更新することができる。

8  環境大臣又は都道府県知事は、鳥獣の生息の状況の変化その他の事情の変化により第一項の規定による指定の必要がなくなったと認めるとき、又はその指定を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を解除しなければならない。

9  第二項並びに第十五条第二項、第三項及び第十三項の規定は第七項ただし書の規定による更新について、第三条第三項の規定は第一項の規定により環境大臣が行う指定及びその変更(鳥獣保護区の区域を拡張するものに限る。)について、第四条第三項及び第十二条第三項の規定は第一項の規定により都道府県知事が行う指定及びその変更(第四条第三項の場合にあっては、鳥獣保護区の区域を拡張するものに限る。)について、第十五条第二項、第三項及び第十三項の規定は第一項の規定による指定及びその変更について準用する。この場合において、同条第二項中「その旨並びにその名称、区域及び存続期間」とあるのは「その旨並びに鳥獣保護区の名称、区域、存続期間及び当該鳥獣保護区の保護に関する指針」と、同条第三項中「前項の規定による公示」とあるのは「第二十八条第九項において読み替えて準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。

10  第十二条第三項の規定は第八項の規定により都道府県知事が行う鳥獣保護区の指定の解除について、第十五条第二項及び第三項の規定は第八項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、同条第二項中「その旨並びにその名称、区域及び存続期間」とあるのは「その旨及び解除に係る区域」と、同条第三項中「前項の規定による公示」とあるのは「第二十八条第十項において読み替えて準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。

11  鳥獣保護区の区域内の土地又は木竹に関し、所有権その他の権利を有する者は、正当な理由がない限り、環境大臣又は都道府県知事が当該土地又は木竹に鳥獣の生息及び繁殖に必要な営巣、給水、給餌等の施設を設けることを拒んではならない。

(特別保護地区)
第二十九条  環境大臣又は都道府県知事は、それぞれ鳥獣保護区の区域内で鳥獣の保護又は鳥獣の生息地の保護を図るため特に必要があると認める区域を特別保護地区として指定することができる。

2  特別保護地区の存続期間は、当該特別保護地区が属する鳥獣保護区の存続期間の範囲内において環境大臣又は都道府県知事が定める期間とする。

3  環境大臣又は都道府県知事は、鳥獣の生息の状況の変化その他の事情の変化により第一項の規定による指定の必要がなくなったと認めるとき、又はその指定を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を解除しなければならない。

4  第二項の規定は第一項の規定による指定の変更について、第三条第三項の規定は第一項の規定により環境大臣が行う指定及びその変更(特別保護地区の区域を拡張し、又は存続期間を延長するものに限る。)について、第四条第三項及び第十二条第三項の規定は第一項の規定により都道府県知事が行う指定及びその変更(第四条第三項の場合にあっては、特別保護地区の区域を拡張し、又は存続期間を延長するものに限る。)について、第十五条第二項、第三項及び第十三項並びに前条第二項から第六項までの規定は第一項の規定による指定及びその変更(同条第三項から第六項までの場合にあっては、特別保護地区の区域を拡張し、又は存続期間を延長するものに限る。)について準用する。この場合において、第十二条第三項中「届け出なければ」とあるのは「協議しなければ」と、第十五条第二項中「その旨並びにその名称、区域及び存続期間」とあるのは「その旨並びに特別保護地区の名称、区域、存続期間及び当該特別保護地区の保護に関する指針」と、同条第三項中「前項の規定による公示」とあるのは「第二十九条第四項において読み替えて準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。

5  第十二条第三項の規定は第三項の規定により都道府県知事が行う指定の解除について、第十五条第二項及び第三項の規定は第三項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第十二条第三項中「届け出なければ」とあるのは「協議しなければ」と、第十五条第二項中「その旨並びにその名称、区域及び存続期間」とあるのは「その旨及び解除に係る区域」と、同条第三項中「前項の規定による公示」とあるのは「第二十九条第五項において読み替えて準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。

6  環境大臣は、第四項の規定により読み替えて準用する第十二条第三項の規定による協議を受けた場合(第一項の規定による指定の変更の場合にあっては、特別保護地区の区域を拡張し、又は存続期間を延長するときに限る。)は、農林水産大臣に協議しなければならない。

7  特別保護地区の区域内においては、次に掲げる行為は、第一項の規定により環境大臣が指定する特別保護地区(以下「国指定特別保護地区」という。)にあっては環境大臣の、同項の規定により都道府県知事が指定する特別保護地区(以下「都道府県指定特別保護地区」という。)にあっては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、鳥獣の保護に支障がないと認められる行為として国指定特別保護地区にあっては環境大臣が、都道府県指定特別保護地区にあっては都道府県知事がそれぞれ定めるものについては、この限りでない。
一  建築物その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
二  水面を埋め立て、又は干拓すること。
三  木竹を伐採すること。
四  前三号に掲げるもののほか、国指定特別保護地区にあっては環境大臣が、都道府県指定特別保護地区にあっては都道府県知事がそれぞれ指定する区域内において、鳥獣の保護に影響を及ぼすおそれがある行為として政令で定めるものを行うこと。

8  前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、国指定特別保護地区にあっては環境大臣に、都道府県指定特別保護地区にあっては都道府県知事にそれぞれ許可の申請をしなければならない。

9  環境大臣又は都道府県知事は、前項の許可の申請があったときは、当該申請に係る行為が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第七項の許可をしなければならない。
一  当該行為が鳥獣の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあるとき。
二  当該行為が鳥獣の生息地の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあるとき。

10  環境大臣又は都道府県知事は、鳥獣の保護又は鳥獣の生息地の保護のため必要があると認めるときは、第七項の許可に条件を付することができる。

(措置命令等)
第三十条  環境大臣は国指定特別保護地区について、都道府県知事は都道府県指定特別保護地区について、鳥獣の保護のため必要があると認めるときは、特別保護地区の区域内において前条第七項の許可を受けて同項各号に掲げる行為をしている者に対し、その行為の実施方法について指示をすることができる。

2  環境大臣は国指定特別保護地区について、都道府県知事は都道府県指定特別保護地区について、鳥獣の保護又は鳥獣の生息地の保護のために必要があると認めるときは、前条第七項の規定に違反した者又は同条第十項の規定により付された条件に違反した者に対し、これらの保護のために必要な限度において、その行為の中止を命じ、又はこれらの者若しくはこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物若しくは物件についての権利を承継した者に対し、相当の期限を定めて、原状回復を命じ、若しくは原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

3  前項の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置(以下「原状回復等」という。)を命じようとする場合において、過失がなくて当該原状回復等を命ずべき者を確知することができないときは、環境大臣又は都道府県知事は、その者の負担において、当該原状回復等を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該原状回復等を行うべき旨及びその期限までに当該原状回復等を行わないときは、環境大臣若しくは都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が当該原状回復等を行う旨をあらかじめ公告しなければならない。

4  前項の規定により原状回復等を行おうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

(実地調査)
第三十一条  環境大臣又は都道府県知事は、第二十八条第一項又は第二十九条第一項若しくは第七項第四号の規定による指定をするための実地調査に必要な限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。

2  環境大臣又は都道府県知事は、その職員に前項の規定による立入りをさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者又は占有者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。

3  第一項の規定による立入りをする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4  土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。

(損失の補償)
第三十二条  国は第二十八条第一項の規定により環境大臣が指定する鳥獣保護区(以下「国指定鳥獣保護区」という。)について、都道府県知事は同項の規定により都道府県知事が指定する鳥獣保護区(以下「都道府県指定鳥獣保護区」という。)について、同条第十一項の規定により施設を設置されたため、第二十九条第七項の許可を受けることができないため、又は同条第十項の規定により条件を付されたため損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失の補償をする。

2  前項の補償を受けようとする者は、環境大臣又は都道府県知事にその請求をしなければならない。

3  環境大臣又は都道府県知事は、前項の請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、その請求をした者に通知しなければならない。

4  前項の規定による金額の決定に不服がある者は、同項の規定による通知を受けた日から起算して三月を経過する日までの間に、訴えをもってその増額の請求をすることができる。

5  前項の訴えにおいては、国又は都道府県を被告とする。

(国指定鳥獣保護区と都道府県指定鳥獣保護区との関係)
第三十三条  都道府県指定鳥獣保護区の区域の全部又は一部について国指定鳥獣保護区が指定されたときは、当該都道府県指定鳥獣保護区は、第二十八条第二項並びに同条第九項及び第十項において準用する第十五条第二項及び第三項の規定にかかわらず、それぞれ、その指定が解除され、又は当該国指定鳥獣保護区の区域と重複する区域以外の区域に変更されたものとみなす。

    第四節 休猟区
(休猟区の指定)
第三十四条  都道府県知事は、狩猟鳥獣の数が著しく減少している場合において、その数を増加させる必要があると認められる区域があるときは、その区域を休猟区として指定することができる。

2  休猟区の存続期間は、三年を超えることができない。

3  都道府県知事は、第一項の規定による指定をするときは、その旨並びにその名称、区域及び存続期間を公示しなければな
らない。

4  第一項の規定による指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。

5  都道府県知事は、休猟区の指定をしたときは、環境省令で定めるところにより、当該休猟区の区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。

   第四章 狩猟の適正化
    第一節 危険の予防
(銃猟禁止区域等)
第三十五条  都道府県知事は、銃器を使用した鳥獣の捕獲等(以下「銃猟」という。)に伴う危険の予防又は指定区域の静穏の保持のため、銃猟を禁止し、又は制限する必要があると認める区域を、銃猟禁止区域又は銃猟制限区域として指定することができる。

2  銃猟禁止区域内においては、銃猟をしてはならない。ただし、第九条第一項の許可を受けた者又は従事者がその許可に係る捕獲等をする場合は、この限りでない。

3  銃猟制限区域内においては、都道府県知事の承認を受けないで銃猟をしてはならない。ただし、第九条第一項の許可を受けた者又は従事者がその許可に係る捕獲等をする場合は、この限りでない。

4  前項の承認(以下この条において単に「承認」という。)を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に承認の申請をしなければならない。

5  都道府県知事は、前項の申請があったときは、当該申請に係る銃猟が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、承認をしなければならない。
一  銃猟に伴う危険の予防に支障を及ぼすおそれがあるとき。
二  指定区域の静穏の保持に支障を及ぼすおそれがあるとき。

6  承認は、銃猟をしようとする者の数について、環境省令で定める基準に従い都道府県知事が定める数の範囲内において行うものとする。

7  都道府県知事は、承認をする場合において、危険の予防又は指定区域の静穏の保持のため必要があると認めるときは、承認に条件を付することができる。

8  承認を受けた者は、その者が第十二項において読み替えて準用する第二十四条第五項の承認証(以下単に「承認証」という。)を亡失し、又は承認証が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に申請をして、承認証の再交付を受けることができる。

9  承認を受けた者は、銃猟制限区域内において銃猟をするときは、承認証を携帯し、国又は地方公共団体の職員、警察官その他関係者から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

10  承認を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、環境省令で定めるところにより、承認証(第三号の場合にあっては、発見し、又は回復した承認証)を、都道府県知事に返納しなければならない。
一  第十二項において読み替えて準用する第二十四条第十項の規定により承認が取り消されたとき。
二  第十二項において準用する第二十四条第三項の規定により定められた有効期間が満了したとき。
三  第八項の規定により承認証の再交付を受けた後において亡失した承認証を発見し、又は回復したとき。

11  都道府県知事は、第三項の規定に違反し、又は第七項の規定により付された条件に違反した者に対し、次に掲げる場合は、銃猟をする場所を変更することその他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
一  銃猟に伴う危険の予防のため必要があると認めるとき。
二  指定区域の静穏の保持のため必要があると認めるとき。

12  第二十四条第三項及び第五項の規定は承認について、同条第十項の規定は承認を受けた者について、前条第三項から第五項までの規定は第一項の指定について準用する。この場合において、第二十四条第五項中「販売許可証」とあるのは「承認証」と、同条第十項中「前項各号」とあるのは「第三十五条第十一項各号」と、前条第四項中「前項の規定による公示」とあるのは「第三十五条第十二項において準用する前項の規定による公示」と読み替えるものとする。

(危険猟法の禁止)
第三十六条  爆発物、劇薬、毒薬を使用する猟法その他環境省令で定める猟法(次条において「危険猟法」という。)により鳥獣の捕獲等をしてはならない。ただし、第十三条第一項の規定により鳥獣の捕獲等をする場合又は次条第一項の許可を受けてその許可に係る鳥獣の捕獲等をする場合は、この限りでない。

(危険猟法の許可)
第三十七条  第九条第一項に規定する目的で危険猟法により鳥獣の捕獲等をしようとする者は、環境大臣の許可を受けなければならない。

2  前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、環境大臣に許可の申請をしなければならない。

3  環境大臣は、前項の申請があったときは、当該申請に係る鳥獣の捕獲等が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第一項の許可をしなければならない。
一  鳥獣の捕獲等の目的が第一項に規定する目的に適合しないとき。
二  人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれがあるとき。

4  環境大臣は、第一項の許可をする場合において、その許可の有効期間を定めるものとする。

5  環境大臣は、第一項の許可をする場合において、危険の予防のため必要があると認めるときは、その許可に条件を付することができる。

6  環境大臣は、第一項の許可をしたときは、環境省令で定めるところにより、危険猟法許可証を交付しなければならない。

7  第一項の許可を受けた者は、その者が前項の危険猟法許可証(以下単に「危険猟法許可証」という。)を亡失し、又は危険猟法許可証が滅失したときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣に申請をして、危険猟法許可証の再交付を受けることができる。

8  第一項の許可を受けた者は、危険猟法により鳥獣の捕獲等をするときは、危険猟法許可証を携帯し、国又は地方公共団体の職員、警察官その他関係者から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

9  第一項の許可を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、環境省令で定めるところにより、危険猟法許可証(第三号の場合にあっては、発見し、又は回復した危険猟法許可証)を、環境大臣に返納しなければならない。
一  第十一項の規定により許可が取り消されたとき。
二  第四項の規定により定められた有効期間が満了したとき。
三  第七項の規定により危険猟法許可証の再交付を受けた後において亡失した危険猟法許可証を発見し、又は回復したとき。

10  環境大臣は、第一項の規定に違反して許可を受けないで鳥獣の捕獲等をした者又は第五項の規定により付された条件に違反した者に対し、危険の予防のため必要があると認めるときは、鳥獣の捕獲等をする場所を変更することその他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

11  環境大臣は、第一項の許可を受けた者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合において、危険の予防のため必要があると認めるときは、その許可を取り消すことができる。

(銃猟の制限)
第三十八条  日出前及び日没後においては、銃猟をしてはならない。

2  住居が集合している地域若しくは広場、駅その他の多数の者の集合する場所において、又は弾丸の到達するおそれのある人、飼養若しくは保管されている動物、建物若しくは電車、自動車、船舶その他の乗物に向かって、銃猟をしてはならない。

    第二節 狩猟免許
(狩猟免許)
第三十九条  狩猟をしようとする者は、都道府県知事の免許(以下「狩猟免許」という。)を受けなければならない。

2  狩猟免許は、網・わな猟免許、第一種銃猟免許及び第二種銃猟免許に区分する。

3  次の表の上欄に掲げる猟法により狩猟鳥獣の捕獲等をしようとする者は、当該猟法の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる狩猟免許を受けなければならない。ただし、第九条第一項の許可を受けてする場合及び第十一条第一項第二号(同号イに係る部分を除く。)に掲げる場合は、この限りでない。
猟法の種類 狩猟免許の種類
銃器以外の猟具を使用する法定猟法 網・わな猟免許
装薬銃を使用する猟法 第一種銃猟免許
空気銃を使用する猟法 第二種銃猟免許

4  第一種銃猟免許を受けた者は、装薬銃を使用する猟法により狩猟鳥獣の捕獲等をすることができるほか、空気銃を使用する猟法により狩猟鳥獣の捕獲等をすることができる。

(狩猟免許の欠格事由)
第四十条  次の各号のいずれかに該当する者に対しては、狩猟免許(第六号の場合にあっては、取消しに係る種類のものに限る。)を与えない。
一  二十歳に満たない者
二  精神障害又は発作による意識障害をもたらし、その他の狩猟を適正に行うことに支障を及ぼすおそれがある病気として環境省令で定めるものにかかっている者
三  麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
四  自己の行為の是非を判別し、又はその判別に従って行動する能力がなく、又は著しく低い者(前三号に該当する者を除く。)
五  この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反して、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
六  第五十二条第二項第一号の規定により狩猟免許を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者

(狩猟免許の申請)
第四十一条  狩猟免許を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、その者の住所地を管轄する都道府県知事(以下「管轄都道府県知事」という。)に、申請書を提出し、かつ、管轄都道府県知事の行う狩猟免許試験を受けなければならない。

(狩猟免許の条件)
第四十二条  管轄都道府県知事は、狩猟の適正化を図るため必要があると認めるときは、狩猟免許に、その狩猟免許に係る者の身体の状態に応じ、その者がすることができる猟法の種類を限定し、その他狩猟をするについて必要な条件を付し、及びこれを変更することができる。

(狩猟免状の交付)
第四十三条  狩猟免許は、狩猟免許試験に合格した者に対し、環境省令で定めるところにより、狩猟免状を交付して行う。

(狩猟免許の有効期間)
第四十四条  狩猟免許の有効期間は、当該狩猟免許に係る狩猟免許試験を受けた日から起算して三年を経過した日の属する年の九月十四日までの期間とする。
2  第五十一条第三項の規定により更新された狩猟免許の有効期間は、三年とする。

(狩猟免状の記載事項)
第四十五条  狩猟免状には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一  狩猟免状の番号
二  狩猟免状の交付年月日及び狩猟免許の有効期間の末日
三  狩猟免許の種類
四  狩猟免許を受けた者の住所、氏名及び生年月日

2  管轄都道府県知事は、前項に規定するもののほか、狩猟免許を受けた者について、第四十二条の規定により、狩猟免許に条件を付し、又は狩猟免許に付されている条件を変更したときは、その者の狩猟免状に当該条件に係る事項を記載しなければならない。

(狩猟免状の記載事項の変更の届出等)
第四十六条  狩猟免許を受けた者は、前条第一項第四号に掲げる事項に変更を生じたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、管轄都道府県知事(都道府県の区域を異にして住所を変更したときは、変更した後の管轄都道府県知事)に届け出て、狩猟免状にその変更に係る事項の記載を受けなければならない。

2  狩猟免許を受けた者は、狩猟免状を亡失し、滅失し、汚損し、又は破損したときは、環境省令で定めるところにより、管轄都道府県知事に申請して、狩猟免状の再交付を受けることができる。

(受験資格)
第四十七条  第四十条各号のいずれかに該当する者は、狩猟免許試験を受けることができない。

(狩猟免許試験の方法)
第四十八条  狩猟免許試験は、環境省令で定めるところにより、狩猟免許の種類ごとに次に掲げる事項について行う。
一  狩猟について必要な適性
二  狩猟について必要な技能
三  狩猟について必要な知識

(狩猟免許試験の免除)
第四十九条  次の各号のいずれかに該当する者に対しては、環境省令で定めるところにより、狩猟免許試験の一部を免除することができる。
一  既に狩猟免許を受けている者で、当該狩猟免許の有効期間内に、当該狩猟免許の種類以外の種類の狩猟免許について狩猟免許試験を受けようとするもの
二  災害その他環境省令で定めるやむを得ない理由のため、第五十一条第三項の狩猟免許の有効期間の更新を受けなかった者

(狩猟免許試験の停止等)
第五十条  管轄都道府県知事は、不正の手段によって狩猟免許試験を受け、又は受けようとした者に対しては、その狩猟免許試験を停止し、又は合格の決定を取り消すことができる。

2  前項の規定により合格の決定を取り消したときは、管轄都道府県知事は、その旨を直ちにその者に通知しなければならない。この場合において、当該狩猟免許試験に係る狩猟免許は、その通知を受けた日に効力を失うものとする。

3  管轄都道府県知事は、第一項の規定による処分を受けた者に対し、三年以内の期間を定めて、狩猟免許試験を受けることができないものとすることができる。

(狩猟免許の更新)
第五十一条  狩猟免許の有効期間の更新を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、管轄都道府県知事に申請書を提出しなければならない。

2  前項の規定による申請書の提出があったときは、管轄都道府県知事は、環境省令で定めるところにより、その者について、第四十八条第一号に掲げる事項に係る試験(次項において「適性試験」という。)を行わなければならない。

3  適性試験の結果から判断して、当該狩猟免許の更新を受けようとする者が狩猟をすることが支障がないと認めたときは、当該管轄都道府県知事は、環境省令で定めるところにより、当該狩猟免許の更新をしなければならない。

4  狩猟免許の更新を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、管轄都道府県知事が行う講習を受けるよう努めなければならない。

(狩猟免許の取消し等)
第五十二条  管轄都道府県知事は、狩猟免許を受けた者が第四十条第二号から第四号までのいずれかに該当することが判明したときは、その者の狩猟免許を取り消さなければならない。

2  管轄都道府県知事は、狩猟免許を受けた者が次の各号のいずれかに該当するに至った場合は、その者の狩猟免許の全部若しくは一部を取り消し、又は一年を超えない範囲内で期間を定めて狩猟免許の全部若しくは一部の効力を停止することができる。
一  この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。
二  狩猟について必要な適性を欠くに至ったことが判明したとき。

(狩猟免許の失効)
第五十三条  狩猟免許は、狩猟免許を受けた者が狩猟免許の更新を受けなかったときは、その効力を失う。

(狩猟免状の返納)
第五十四条  狩猟免許を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、環境省令で定めるところにより、狩猟免状(第三号の場合にあっては、発見し、又は回復した狩猟免状)を、管轄都道府県知事に返納しなければならない。
一  狩猟免許が取り消されたとき。
二  狩猟免許が失効したとき。
三  第四十六条第二項の規定により狩猟免状の再交付を受けた後において亡失した狩猟免状を発見し、又は回復したとき。

    第三節 狩猟者登録
(狩猟者登録)
第五十五条  狩猟をしようとする者は、狩猟をしようとする区域を管轄する都道府県知事(以下この節において「登録都道府県知事」という。)の登録を受けなければならない。ただし、第九条第一項の許可を受けてする場合及び第十一条第一項第二号(同号イに係る部分を除く。)に掲げる場合は、この限りでない。

2  前項の登録(以下「狩猟者登録」という。)の有効期間は、当該狩猟者登録を受けた年の十月十五日(狩猟者登録を受けた日が同月十六日以後であるときは、その狩猟者登録を受けた日)からその日の属する年の翌年の四月十五日までとする。ただし、北海道においては、当該狩猟者登録を受けた年の九月十五日(狩猟者登録を受けた日が同月十六日以後であるときは、その狩猟者登録を受けた日)からその日の属する年の翌年の四月十五日までとする。

(狩猟者登録の申請)
第五十六条  狩猟者登録を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、登録都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
一  狩猟免許の種類
二  狩猟をする場所
三  住所、氏名及び生年月日
四  その他環境省令で定める事項

(狩猟者登録の実施)
第五十七条  登録都道府県知事は、前条の規定による申請書の提出があったときは、次条の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を狩猟者登録簿に登録しなければならない。
一  前条各号に掲げる事項
二  登録年月日及び登録番号

2  狩猟者登録は、当該狩猟者登録を受けた狩猟免許の種類及び狩猟をする場所に限り、その効力を有する。

3  登録都道府県知事は、第一項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。

(狩猟者登録の拒否)
第五十八条  登録都道府県知事は、狩猟者登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は申請書のうちに重要な事項についての虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一  狩猟免許を有しない者
二  第五十二条第二項の規定により狩猟免許の効力の停止を受け、その期間が経過しない者
三  狩猟により生ずる危害の防止又は損害の賠償について環境省令で定める要件を備えていない者

(狩猟者登録の制限)
第五十九条  登録都道府県知事は、当該都道府県の区域内における鳥獣の生息の状況その他の事情を勘案して必要があると認めるときは、狩猟を行うことができる者の数を制限し、その範囲内において狩猟者登録をすることができる。

(狩猟者登録証等)
第六十条  登録都道府県知事は、狩猟者登録をしたときは、申請者に、環境省令で定めるところにより、狩猟者登録証及び狩猟者登録を受けたことを示す記章(以下「狩猟者記章」という。)を交付する。

(狩猟者登録の変更の登録等)
第六十一条  狩猟者登録を受けた者は、第五十六条第一号及び第二号に掲げる事項を変更しようとするときは、登録都道府県知事の変更登録を受けなければならない。

2  前項の変更登録(以下単に「変更登録」という。)を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、変更に係る事項を記載した申請書を登録都道府県知事に提出しなければならない。

3  第五十五条第二項及び第五十六条から第五十八条までの規定は、変更登録について準用する。この場合において,第五十六条中「次に掲げる事項」とあるのは「変更に係る事項」と、第五十八条第一項中「狩猟者登録を受けようとする者が次の各号」とあるのは「変更登録に係る狩猟者登録を受けようとする者が次の各号」と読み替えるものとする。

4  狩猟者登録を受けた者は、第五十六条第三号及び第四号に掲げる事項に変更を生じたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、登録都道府県知事に届け出なければならない。その届出があった場合には、登録都道府県知事は、遅滞なく、当該登録を変更するものとする。

5  狩猟者登録を受けた者は、前条の狩猟者登録証(以下単に「狩猟者登録証」という。)又は狩猟者記章を亡失し、滅失し、
汚損し、又は破損したときは、環境省令で定めるところにより、登録都道府県知事に申請して、狩猟者登録証又は狩猟者記章の再交付を受けることができる。

(狩猟者登録証の携帯及び提示義務等)
第六十二条  狩猟者登録を受けた者は、狩猟をするときは、狩猟者登録証を携帯し、国又は地方公共団体の職員、警察官その他関係者から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

2  狩猟者登録を受けた者は、狩猟をするときは、狩猟者記章を衣服又は帽子の見やすい場所に着用しなければならない。

3  網・わな猟免許に係る狩猟者登録を受けた者は、狩猟をするときは、その使用する猟具ごとに、見やすい場所に、住所、氏名その他環境省令で定める事項を表示しなければならない。

(狩猟者登録の抹消)
第六十三条  登録都道府県知事は、狩猟者登録を受けた者が次の各号のいずれかに該当するに至った場合は、当該狩猟者登録を抹消しなければならない。
一  狩猟免許が取り消されたとき。
二  狩猟免許の効力が停止されたとき。
三  狩猟免許が失効したとき。
四  次条の規定により登録が取り消されたとき。

(狩猟者登録の取消し等)
第六十四条  登録都道府県知事は、狩猟者登録を受けた者が次の各号のいずれかに該当する場合は、その登録を取り消し、又は六月を超えない期間を定めてその狩猟者登録の全部又は一部の効力を停止することができる。
一  不正の手段により狩猟者登録又は変更登録を受けたとき。
二  第五十八条各号のいずれかに該当することとなったとき。
三  第六十一条第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

(狩猟者登録証等の返納)
第六十五条  狩猟者登録を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、環境省令で定めるところにより、狩猟者登録証又は狩猟者記章(第三号の場合にあっては、発見し、又は回復した狩猟者登録証若しくは狩猟者記章)を、登録都道府県知事に返納しなければならない。
一  狩猟者登録が抹消されたとき。
二  狩猟者登録の有効期間が満了したとき。
三  第六十一条第五項の規定により狩猟者登録証又は狩猟者記章の再交付を受けた後において亡失した狩猟者登録証若しくは狩猟者記章を発見し、又は回復したとき。

(報告義務)
第六十六条  狩猟者登録を受けた者は、その狩猟者登録の有効期間が満了したときは、環境省令で定めるところにより、その日から起算して三十日を経過する日までに、その狩猟者登録に係る狩猟の結果を登録都道府県知事に報告しなければならない。

(狩猟者登録の通知)
第六十七条  登録都道府県知事は、狩猟者登録をした場合は、当該狩猟者登録をした者に係る管轄都道府県知事に、その旨を通知するものとする。
2  管轄都道府県知事は、前項の通知に係る者について狩猟免許の取消し若しくは狩猟免許の効力の停止をしたとき、又は狩猟免許の失効があったときは、当該者の狩猟者登録をした登録都道府県知事にその旨を通知するものとする。
    第四節 猟区


(猟区の認可)
第六十八条  狩猟鳥獣の生息数を確保しつつ安全な狩猟の実施を図るため、一定の区域において、放鳥獣、狩猟者数の制限その他狩猟の管理をしようとする者は、規程を定め、環境省令で定めるところにより、当該区域(以下「猟区」という。)における狩猟の管理について都道府県知事の認可を受けることができる。
2  前項の認可を受けようとする者は、同項の規程(以下「猟区管理規程」という。)に次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  猟区の名称
二  区域
三  存続期間
四  専ら放鳥獣をされた狩猟鳥獣の捕獲を目的とする猟区(以下この節において「放鳥獣猟区」という。)にあっては、その旨及び放鳥獣をする狩猟鳥獣の種類
五  その他政令で定める事項
3  猟区の存続期間は、十年を超えることができない。
4  都道府県知事は、第一項の認可をしようとするときは、安全な狩猟の実施の確保、狩猟鳥獣の捕獲等の調整の必要の有無その他の事情を考慮して、これをしなければならない。

(土地の権利者の同意)
第六十九条  前条第一項の規定による認可を申請しようとする者は、あらかじめ、猟区における狩猟の管理について当該区域内の土地に関し登記した権利を有する者の同意を得なければならない。

(認可の公示)
第七十条  都道府県知事は、第六十八条第一項の規定による認可をするときは、同条第二項第一号から第三号までに掲げる事項その他環境省令で定める事項を公示しなければならない。
2  第六十八条第一項の規定による認可を受けて猟区を設定した者(以下「猟区設定者」という。)は、その猟区の認可を受けたときは、環境省令で定めるところにより、その猟区の区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。

(猟区管理規程の変更等)
第七十一条  猟区設定者は、猟区管理規程を変更しようとする場合(次項に規定する軽微な事項に係る場合を除く。)又は猟区を廃止しようとする場合は、政令で定めるところにより、都道府県知事の認可を受けなければならない。
2  猟区設定者は、猟区管理規程のうち政令で定める軽微な事項を変更した場合は、遅滞なく、都道府県知事に届け出なければならない。
3  前条第一項の規定は、第一項の規定による変更及び廃止について準用する。この場合において、同項の規定による廃止については、同条第一項中「同条第二項第一号から第三号までに掲げる事項その他環境省令で定める事項」とあるのは、「その旨及び廃止に係る区域」と読み替えるものとする。

(認可の取消し)
第七十二条  都道府県知事は、安全な狩猟の実施の確保、鳥獣の保護その他公益上の必要があると認めるときは、猟区の認可を取り消すことができる。
2  第七十条第一項の規定は、前項の規定による認可の取消しについて準用する。この場合において、同条第一項中「同条第二項第一号から第三号までに掲げる事項その他環境省令で定める事項」とあるのは、「その旨及び取消しに係る区域」と読み替えるものとする。

(猟区の管理)
第七十三条  国は、その設定した猟区内における狩猟鳥獣の生息数を確保しつつ安全な狩猟の実施を図るため必要があると認めるときは、狩猟鳥獣の生息及び繁殖に必要な施設の設置、その人工増殖その他の当該猟区の維持管理に関する事務を、環境大臣が中央環境審議会の意見を聴いて、指定する者に委託することができる。
2  前項の規定は、地方公共団体が設定する猟区について準用する。この場合において、同項中「環境大臣が中央環境審議会の」とあるのは、「都道府県知事が合議制機関の」と読み替えるものとする。
3  第一項(前項の規定により準用される場合を含む。)の規定により委託を受けた者(以下「受託者」という。)は、当該事務に要する費用を負担しなければならない。
4  受託者は、猟区内において狩猟をしようとする者から、その費用に充てるべき金額を徴収し、その収入とすることができる。

(猟区に係る特例)
第七十四条  猟区においては、猟区設定者の承認を得なければ、狩猟又は第九条第一項の規定による鳥獣の捕獲等をしてはならない。
2  放鳥獣猟区においては、当該放鳥獣猟区に放鳥獣された狩猟鳥獣以外について狩猟をしてはならない。
   第五章 雑則


(報告徴収及び立入検査等)
第七十五条  環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、第九条第一項の許可を受けた者、鳥獣(その加工品を含む。)若しくは鳥類の卵の販売、輸出、輸入若しくは加工をしようとする者、特別保護地区の区域内において第二十九条第七項各号に掲げる行為をした者、狩猟免許を受けた者若しくは狩猟者登録を受けた者又は猟区設定者に対し、その行為の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
2  環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、特別保護地区の区域内において第二十九条第七項各号に掲げる行為をした者が所有し、又は占有する土地に立ち入り、その者がした行為の実施状況について検査させ、若しくは関係者に質問させ、又はその行為が鳥獣の保護又は鳥獣の生息地の保護に及ぼす影響について調査をさせることができる。
3  環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、鳥獣保護区、休猟区、猟区、店舗その他の必要な場所に立ち入り、狩猟をする者その他の者の所持する鳥獣(その加工品を含む。)又は鳥類の卵を検査させることができる。
4  第二項の規定による立入検査若しくは立入調査又は前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
5  第一項から第三項までの規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(取締りに従事する職員)
第七十六条  鳥獣の保護又は狩猟の適正化に関する取締りの事務を担当する都道府県の職員であってその所属する都道府県の知事がその者の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議をして指名したものは、この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。

第七十七条  環境大臣は、その職員のうち政令で定める要件を備えるものに、第十条第一項、第十五条第十項、第二十五条第六項、第三十条第一項若しくは第二項、第三十七条第十項又は第七十五条第一項に規定する権限の一部を行わせることができる。
2  前項の規定により環境大臣の権限の一部を行う職員は、その権限を行うときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3  前二項に規定するもののほか、前項の職員に関し必要な事項は、政令で定める。

(鳥獣保護員)
第七十八条  鳥獣保護事業の実施に関する事務を補助させるため、都道府県に鳥獣保護員を置くことができる。
2  鳥獣保護員は、非常勤とする。

(環境大臣の指示等)
第七十九条  環境大臣は、鳥獣の数が著しく減少しているとき、その他鳥獣の保護を図るため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、次に掲げる事務に関し必要な指示をすることができる。
一  第九条第一項又は第二十四条第一項の許可に関する事務
二  第十四条第一項の規定による延長に関する事務
三  第十四条第二項の規定による禁止又は制限の解除に関する事務
四  第十九条第一項の規定による登録に関する事務
2  都道府県知事は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十七の二第一項の条例で定めるところにより、第九条第一項、第十九条第一項又は第二十四条第一項に規定する都道府県知事の権限に属する事務を市町村が処理する場合において、鳥獣の保護を図るため必要があると認めるときは、当該市町村に対し、当該事務に必要な指示をすることができる。

(適用除外)
第八十条  この法律の規定は、環境衛生の維持に重大な支障を及ぼすおそれのある鳥獣又は他の法令により捕獲等について適切な保護管理がなされている鳥獣であって環境省令で定めるものについては、適用しない。
2  第三条第三項の規定は、前項の環境省令について準用する。

(経過措置)
第八十一条  この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

(環境省令への委任)
第八十二条  この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、環境省令で定める。
   第六章 罰則


第八十三条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  第八条の規定に違反して狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をした者(第九条第十三項の規定により同条第一項の許可を受けることを要しないとされた者を除く。)
二  狩猟可能区域以外の区域において、又は狩猟期間(第十一条第二項の規定により限定されている場合はその期間とし、第十四条第一項の規定により延長されている場合はその期間とする。)外の期間に狩猟鳥獣の捕獲等をした者(第九条第一項の許可を受けた者及び第十三条第一項の規定により捕獲等をした者を除く。)
三  第十条第一項、第二十五条第六項又は第三十七条第十項の規定による命令に違反した者
四  第二十五条第一項、第二十六条、第三十五条第二項、第三十六条又は第三十八条の規定に違反した者
五  第五十五条第一項の規定に違反して登録を受けないで狩猟をした者
六  偽りその他不正の手段により第九条第一項の許可、狩猟免許若しくはその更新又は狩猟者登録若しくは変更登録を受けた者
2  前項第一号、第二号及び第四号(第三十五条第二項、第三十六条又は第三十八条に係る部分に限る。)の未遂罪は、罰する。
3  第一項第一号、第二号、第四号及び第五号の犯罪行為の用に供した物及びその犯罪行為によって捕獲した鳥獣又は採取した鳥類の卵であって、犯人の所有に係る物は、没収する。

第八十四条  次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一  第九条第五項又は第三十七条第五項の規定により付された条件に違反した者
二  許可証若しくは従事者証、危険猟法許可証又は狩猟者登録証を他人に使用させた者
三  他人の許可証若しくは従事者証、危険猟法許可証又は狩猟者登録証を使用した者
四  第十二条第一項又は第二項の規定による禁止又は制限(第十四条第二項の規定によりその一部が解除されたものを含む。)に違反した者
五  第十五条第四項、第十六条第一項若しくは第二項、第二十条第一項若しくは第二項、第二十三条、第二十七条、第二十九条第七項又は第三十五条第三項の規定に違反した者
六  第十五条第十項、第二十二条第一項、第二十四条第九項、第三十条第二項又は第三十五条第十一項の規定による命令に違反した者
七  第十九条第一項の規定に違反して登録を受けないで対象狩猟鳥獣以外の鳥獣の飼養をした者
2  前項第四号及び第五号(第十五条第四項又は第三十五条第三項に係る部分に限る。)の未遂罪は、罰する。

第八十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一  第十五条第六項、第二十四条第四項、第二十九条第十項又は第三十五条第七項の規定により付された条件に違反した者
二  第十七条の規定に違反して占有者の承諾を得ないで鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等をした者
三  第二十条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
四  第二十八条第十一項又は第七十四条第一項の規定に違反した者
五  第四十二条の規定により管轄都道府県知事が付し、若しくは変更した条件に違反して狩猟をした者
六  指定猟法許可証、販売許可証又は承認証を他人に使用させた者
七  他人の指定猟法許可証、販売許可証又は承認証を使用した者
2  前項第二号の罪は、第十七条の占有者の告訴がなければ公訴を提起することができない。

第八十六条  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一  第九条第十項若しくは第十一項、第十五条第八項若しくは第九項、第十八条、第二十一条第一項、第二十四条第七項若しくは第八項、第二十五条第五項、第三十五条第九項若しくは第十項、第三十七条第八項若しくは第九項、第五十四条、第六十二条第一項又は第六十五条の規定に違反した者
二  第九条第十二項、第六十六条又は第七十五条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
三  第十五条第十三項(第二十八条第九項及び第二十九条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第五項(第三十五条第十二項において準用する場合を含む。)若しくは第七十条第二項の標識又は第二十八条第十一項の施設を移転し、汚損し、き損し、又は除去した者
四  第三十一条第四項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げた者
五  第四十六条第一項又は第六十一条第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
六  第六十二条第二項の規定に違反して狩猟者記章を着用しないで狩猟をした者
七  第六十二条第三項の規定に違反して表示をしないで猟具を使用して狩猟をした者
八  第七十一条第一項の規定に違反して都道府知事の認可を受けないで猟区管理規程を変更し、又は廃止した者
九  第七十五条第二項の規定による立入検査若しくは立入調査を拒み、妨げ、又は忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
十  第七十五条第三項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

第八十七条  第九条第一項の許可又は狩猟免許を受けた者がこの法律の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられたときは、その許可又は狩猟免許は効力を失うものとする。

第八十八条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第八十三条から第八十六条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
http://law.e-gov.go.jp/announce/H14HO088.html


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